JPH0716982A - 有機複層被覆鋼板 - Google Patents

有機複層被覆鋼板

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JPH0716982A
JPH0716982A JP19197693A JP19197693A JPH0716982A JP H0716982 A JPH0716982 A JP H0716982A JP 19197693 A JP19197693 A JP 19197693A JP 19197693 A JP19197693 A JP 19197693A JP H0716982 A JPH0716982 A JP H0716982A
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JP
Japan
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layer
steel sheet
coating
corrosion resistance
organic
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JP19197693A
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English (en)
Inventor
Yasushi Hosoda
靖 細田
Kiwamu Yoshida
究 吉田
Masaya Kimoto
雅也 木本
Shinya Hikino
真也 引野
Kiyoyuki Fukui
清之 福井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車,家電製品,建材等の材料として十分
に優れた裸耐食性,塗装後耐食性を示す有機複層被覆鋼
板を提供する。 【構成】 有機複層被覆鋼板を、鋼板の少なくとも片面
上に、めっき層と、その上に設けられた“Cr付着量で1
0〜200 mg/m2 のクロメ−ト皮膜層”を形成し、更
にその上層として“アルキン類,アルキノ−ル類,アミ
ン類もしくはその塩,チオ化合物,複素環化合物,ポリ
カルボン酸化合物もしくはその塩,芳香族カルボン酸化
合物もしくはその塩,並びにリグニンスルホン酸もしく
はその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を総計で
0.05〜20wt%含有する 0.1〜2μm厚の有機樹脂皮膜
層”を形成して成る構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車,家電製品,
建材等の材料として好適な高耐食性有機複層被覆鋼板に
関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】これまで自動車を始めとした多
くの産業分野で各種の表面処理鋼板が利用されてきた
が、近年、その使用量の増加に伴って性能への要求も高
まる一方であり、特に自動車用においては「耐孔あき1
0年保証」といった長期的な高耐食性が求められてい
る。
【0003】もっとも、自動車車体用の防錆鋼板につい
ては従来から数多くの表面処理鋼板が開発され実用化が
なされてきた。中でも、防食めっき(亜鉛又は亜鉛合金
めっき等)鋼板上にクロメ−ト皮膜層と薄い有機樹脂皮
膜層を形成させた所謂“有機複層被覆鋼板”は、クロメ
−ト皮膜の防食作用と有機樹脂被覆の腐食環境遮断作用
等による効果が複合されるため、他の防錆鋼板に比べて
圧倒的に優れた耐食性を示すものとして知られている。
【0004】しかも、本発明者等によりクロメ−ト皮膜
の防食性向上に関する検討がなされた結果、「部分還元
したクロム酸を主剤とする水性懸濁液に多価アルコ−
ル,多価カルボン酸等を添加し、 これを鋼板に塗布して
から適正な温度域で焼付を行うことで、 鋼板の焼付硬化
性を失わせることなく防食性能のより優れたクロメ−ト
皮膜を形成させることが可能である」との事項が明らか
となり(特開昭64−80522号公報)、有機複層被
覆鋼板の更なる高性能化の可能性を窺わせた。
【0005】しかし、一般に有機複層被覆鋼板は優れた
裸耐食性(即ち無塗装状態での耐食性)を有しているも
のの、有機複層被覆鋼板の上に更に電着塗装,中塗り,
上塗りを施した後の耐食性{つまり塗装後耐食性(疵部
耐食性,端面耐食性)}については未だ十分とは言えな
いのが現状である。
【0006】このようなことから、本発明の目的は、優
れた裸耐食性を示すことは勿論、塗装後耐食性について
も十分に満足できる高耐食性有機複層被覆鋼板を提供す
ることに置かれた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、「有機複層
被覆鋼板を構成する有機樹脂皮膜層の中に腐食抑制効果
のあるインヒビタ−を含有させること」が有機複層被覆
鋼板の塗装後耐食性を向上させる上で非常に有効である
との知見を得るに至った。
【0008】本発明は、上記知見事項等を基に行われた
更なる研究の結果を踏まえて完成されたものであり、
「有機複層被覆鋼板を、 鋼板の少なくとも片面上に、 め
っき層と、 その上に設けられた“Cr付着量で10〜20
0 mg/m2 のクロメ−ト皮膜層”と、 更にその上層とし
ての“アルキン類,アルキノ−ル類,アミン類もしくは
その塩,チオ化合物,複素環化合物,ポリカルボン酸化
合物もしくはその塩,芳香族カルボン酸化合物もしくは
その塩,並びにリグニンスルホン酸もしくはその塩から
選ばれた少なくとも1種の化合物を総計で0.05〜20wt%
含有する 0.1〜2μm厚の有機樹脂皮膜層”とを有して
成る構成とすることにより、 優れた塗装後耐食性をも発
揮し得るようにした点」に大きな特徴を有している。
【0009】上述のように、本発明は、“従来の耐食性
めっき鋼板(片面めっきでも両面めっきでも構わな
い)”のめっき層の上にクロメ−ト皮膜層を設け、更に
インヒビタ−として知られる腐食抑制有機化合物(アル
キン類等)を含有する有機樹脂皮膜を設けることによっ
て優れた耐食性,塗装後耐食性を備える有機複層被覆鋼
板を実現するものであるが、母材として適用するめっき
鋼板(鋼板並びにめっき金属)の種類やめっきの付着
量、更にはクロメ−ト皮膜層の種類や付着量ついては特
に制限されるものではなく、従来の有機複層被覆鋼板の
それと同様で良い。
【0010】ただ、母材として適用するめっき鋼板とし
ては、耐食性の点で優ることが知られている亜鉛系又は
アルミニウム系めっき鋼板、より具体的に示すと純Znめ
っき鋼板,Zn−X(X=Fe,Co,Ni,Mn,Cr,Mg,Al)
合金めっき鋼板,純Alめっき鋼板,Al−Mn合金めっき鋼
板等が好ましいと言える。なお、上記めっき鋼板は、め
っき層の形成に際して“電気めっき法", "溶融めっき
法", "蒸着めっき法”等の何れの方法が用いられたもの
でも良く、また片面めっきのものでも両面めっきのもの
でも相応の効果を得ることができる。そして、めっき付
着量についても特に制限されるものではないが、加工性
と耐食性のバランスからすれば片面当り10〜60g/m
2 の範囲内が好ましいと言える。
【0011】更に、母材として適用するめっき鋼板は、
上述した亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板の少なく
とも片面上に対して“フラッシュめっき”と呼ばれる上
層めっきを更に設けたものでも良い。このとき、直下の
めっき層を電気めっき法により形成したものは、通常、
乾燥工程を入れずに水洗のみで電気めっきを行うことが
上層めっきの密着性,均一性の点で望ましい。また、直
下のめっき層を溶融めっき法又は気相めっき法で形成し
たものは、その表面を活性化させるために40〜120
g/L(リットル) のNaOHを含む60〜80℃の水溶液中に浸
漬した後、水洗によってアルカリを除去してから電気め
っきを行うことが上層めっきの密着性,均一性の点で望
ましい。
【0012】めっき鋼板として亜鉛系合金電気めっき鋼
板を適用する場合は、それの製造に当り、亜鉛めっき浴
中に合金元素を硫酸塩,酢酸塩,炭酸塩,モリブデン酸
塩,次亜りん酸塩,有機金属塩等の形で添加するか、あ
るいは予めめっき合金を構成する金属を狙いの組成とな
るように溶解した状態のめっき浴を使って電気めっきす
れば良い。
【0013】さて、本発明に係る有機複層被覆鋼板は、
上記めっき鋼板の少なくとも片面上に有機樹脂皮膜層の
下層としてのクロメ−ト皮膜層が形成されている。この
クロメ−ト皮膜層の形成は、塗布型,反応型あるいは電
解型の何れによっても構わないが、より優れた耐食性を
確保しようとの観点からは塗布型クロメ−ト処理による
のが好ましいと言える。
【0014】クロメ−ト皮膜層の形成に用いるクロメ−
ト処理液としてはクロム酸もしくはクロム酸塩の溶液が
使用されるが、その溶液中に従来より公知の各種添加剤
(コロイダルシリカ,酸,水性樹脂等)の1種もしくは
2種以上を含有していても良い。
【0015】また、次に述べる二段還元法(部分還元
法)も、低温での還元,造膜が効率良く進行するので好
ましい。即ち、一段目の還元として、クロム酸水溶液中
のクロム酸 (Cr6+)を予め部分還元する。これにより、
加熱乾燥(焼付)時に還元するクロム酸量を減少させ、
効果的に造膜させることができる。この場合、一段目の
還元率としては、Cr3+/全Cr{=Cr3+/ (Cr3++Cr6+)
}の比を 0.4〜 0.6程度にするのが好ましい。この比
が 0.4未満であると還元効率が劣り、 0.6を超えるとCr
6+が過剰になって処理液の安定性が損なわれる恐れがあ
る。
【0016】一段目の還元に用いる還元剤は限定される
ものではなく、多価アルコ−ル,多価カルボン酸等が用
いられる。また、市販の部分還元クロメ−ト処理液を用
いても良い。一段目の還元がなされた処理液には、未還
元のCr6+に対して1〜4当量倍の量の還元剤を添加する
のが好ましい。この還元剤の量が1当量倍未満であると
クロメ−ト皮膜の耐食性,耐クロム溶出性が不十分とな
り、また4当量倍を超えると還元剤の還元作用が飽和す
るばかりでなく電着塗装性,溶接性を低下させる恐れが
出てくるためである。この還元剤を添加する時期は、塗
装の直前であることが最も好ましい。
【0017】なお、クロメ−ト処理液を塗布した後の加
熱乾燥は80〜250℃で行うのが好ましいが、素地鋼
板がプレス加工後の塗装工程での焼付時に硬化する“焼
付硬化型”のものである場合には、鋼板の焼付硬化性を
阻害しないように150℃以下で焼付を行えば良い。
【0018】ところで、本発明に係る有機複層被覆鋼板
におけるクロメ−ト皮膜層の付着量は金属Cr量として1
0〜200 mg/m2 (好ましくは30〜120 mg/
2 )に調整すべきである。なぜなら、クロメ−ト皮膜
付着量が金属Cr量換算で10 mg/m2 未満であると十分
な塗装後耐食性(疵部耐食性,端面耐食性)向上効果を
確保することができず、一方、200 mg/m2 を超えた
場合には電着塗装性や溶接性の劣化を招くからである。
【0019】本発明に係る有機複層被覆鋼板は、上記ク
ロメ−ト皮膜層の上に更に後述するインヒビタ−を含む
有機樹脂皮膜層を 0.1〜2μmの厚みで備えている。こ
の場合、有機樹脂皮膜層の厚みが 0.1μm未満では耐食
性が不十分となり、一方、2μmを超える厚みになると
溶接性,電着塗装性が著しく低下する。
【0020】有機樹脂皮膜層の形成は、インヒビタ−及
び架橋剤を含有する樹脂液を塗布した後、乾燥硬化させ
ることにより行われる(一般的には適当な温度に加熱し
て塗膜を焼付けるのが良い)。なお、樹脂種は特に制限
されるものではなくアクリル樹脂やウレタン樹脂等も使
用できるが、好ましい樹脂種はエポキシ系樹脂である。
【0021】塗布に用いる樹脂液中には、樹脂及び架橋
剤のほか、必要により希釈用の溶媒や、1種又は2種以
上の添加剤を含有していても良い。このような任意の添
加剤としては、無機充填剤,顔料類{防錆顔料,体質顔
料(特に着色顔料)},可塑剤,潤滑性付与成分等があ
る。
【0022】好ましい樹脂種であるエポキシ系樹脂とし
ては、ビスフェノ−ルA系,ビスフェノ−ルF系,ノボ
ラック型,臭素化エポキシ等の任意のグリシジルエ−テ
ル系エポキシ樹脂が使用できる。また、エポキシ樹脂中
のエポキシ基及びヒドロキシル基を乾性油脂肪酸中のカ
ルボキシル基と反応させたエポキシエステル樹脂や、イ
ソシアネ−トと反応させることにより得られるウレタン
変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂も使用できる。
【0023】また、本発明においてエポキシ樹脂の1種
として好適に使用できるものに、ポリヒドロキシルポリ
エ−テル樹脂がある。この樹脂は、単核型もしくは二核
型の2価フェノ−ルあるいは単核型と二核型との混合2
価フェノ−ルを、アルカリ触媒の存在下でほぼ等モル量
のエピハロヒドリンと重縮合させて得られる重合体であ
る。
【0024】エポキシ系樹脂液中には、皮膜の種々の性
能(加工性,可撓性,潤滑性,電着塗装性等)を改善す
る目的でエポキシ系以外の樹脂(例えば皮膜に可撓性を
与えるためのブチラ−ル樹脂や電着塗装性を向上するた
めの水溶性樹脂等)を添加しても良い。ただ、エポキシ
系以外の樹脂の添加量は、あまり多くなると耐食性の低
下を招くことから、樹脂液中の全樹脂固形分の50wt%
以下とする。
【0025】エポキシ系樹脂用の架橋剤としては、フェ
ノ−ル樹脂,アミノ樹脂,ポリアミド,アミノポリアミ
ド,アミン,ブロックイソシアネ−ト,酸無水物等の公
知の各種の架橋剤を1種もしくは2種以上使用すること
ができる。架橋剤を使用すると、樹脂皮膜層による耐食
性改善効果が一層向上する。架橋剤の添加量は、エポキ
シ系樹脂中のエポキシ基とヒドロキシル基の合計量に対
する架橋剤中の官能基のモル比が 0.1〜2の範囲内が好
ましい。
【0026】樹脂皮膜層による耐食性向上を目的とし
て、所望により無機充填材を樹脂液中に添加しても良
い。有効な無機充填材の例としては、コロイダルシリ
カ,各種珪酸塩鉱物,アルミナ,炭酸カルシウム,りん
酸亜鉛,りん酸カルシウム,りんモリブデン酸亜鉛,り
んモリブデン酸アルミニウム等が挙げられる。なお、無
機充填剤の添加量は樹脂固形分に対して1〜30wt%の
範囲内が好ましい。また、クロム酸ストロンチウムやク
ロム酸亜鉛等の金属クロム酸塩系防錆顔料を樹脂液中に
添加しておくことも耐食性向上に有効である。
【0027】更に、本発明に係る有機複層被覆が鋼板の
片面のみに形成される場合には、最上層の有機樹脂皮膜
層に着色顔料を含有させて皮膜を着色しておくと、表裏
の識別が容易となるのでユ−ザ−の作業に好都合とな
る。着色顔料としては、酸化鉄,酸化チタン顔料,カ−
ボン等の無機系顔料は勿論のこと、有機系顔料も使用可
能である。
【0028】先にも述べたように、有機樹脂皮膜層の形
成は、例えば上述した樹脂液をロ−ルコ−タ−等の適当
な塗布手段でクロメ−ト皮膜上に塗布した後、加熱して
塗膜を硬化させる方法で行うことができる。加熱温度
は、エポキシ系樹脂の場合であると80〜250℃(好
ましくは120〜200℃)である。なお、素地鋼板が
焼付け硬化型の場合には、この時の加熱温度も150℃
以下とするのが好ましい。
【0029】有機樹脂皮膜層中に含有せしめられるイン
ヒビタ−は、アルキン類,アルキノ−ル類,アミン類,
チオ化合物,複素環化合物,ポリカルボン酸化合物もし
くはその塩,芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩,
並びにリグニンスルホン酸もしくはその塩のうちの1種
以上である。
【0030】このうちのアルキン類とは、炭素−炭素三
重結合を含む有機化合物のことであり、例えばペンチ
ン,ヘキシン,ヘプチン,オクチン等が挙げられる。
【0031】アルキノ−ル類とは、上記のアルキン類に
1個以上の水酸基を有する有機化合物のことであり、プ
ロパルギルアルコ−ル,1−ヘキシン−3−オ−ル,1
−ヘプチン−3−オ−ル等が挙げられる。
【0032】アミン類は、脂肪族,脂環式,芳香族の何
れでも良い。例えば、オクチルアミン,ノニルアミン,
デシルアミン,ラウリルアミン,トリデシルアミン,セ
チルアミン等のアルキルアミン類、プロペニルアミン,
ブテニルアミン等のアルケニルアミン類、シクロヘキシ
ルアミン等の脂環式アミン類、アニリン等の芳香族アミ
ン類等が挙げられる。
【0033】チオ化合物は、分子中に硫黄原子を1個以
上含む有機化合物であり、デシルメルカプタン等のアル
キルメルカプタン類、ジメチルスルフィド等のジアルキ
ルスルフィド類、チオ尿素及びその誘導体、チオグリコ
−ル酸等が例示される。
【0034】複素環化合物は、環状の分子において環の
構成原子として炭素以外の原子が含まれている有機化合
物であり、ピリジン,ベンゾチアゾ−ル,ベンゾトリア
ゾ−ル,キノリン,インド−ル,チオフェン,ピロ−
ル,フラン,プリン等、並びにこれらの置換誘導体が例
示される。
【0035】また、ポリカルボン酸化合物は分子中にカ
ルボキシル基を2個以上含む化合物であり、脂肪族ポリ
カルボン酸としてはクエン酸,コハク酸,マロン酸,ア
ジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸等が例示される。
【0036】そして、芳香族カルボン酸化合物は芳香環
(ベンゼン環,ナフタレン環等)に連結されたカルボキ
シル基を分子内に有する化合物であって、安息香酸,ケ
イ皮酸,サリチル酸,トルイル酸,ナフタレンカルボン
酸等が例示される。
【0037】なお、アミン類並びにカルボン酸類につい
てはその塩を用いることも可能である。即ち、アミン類
の場合にはその酸付加塩(硫酸塩,塩酸塩等)を、ポリ
カルボン酸や芳香族カルボン酸についてはその金属塩
(アルカリ金属塩,亜鉛塩等)やアンモニウム塩を使用
することができる。更に、上記以外の化合物としてリグ
ニンスルホン酸もしくはその塩を挙げることができ、こ
れらは上記化合物と同等の効果を奏する。
【0038】これらのインヒビタ−を有機樹脂皮膜層中
に含有せしめるには、前述した如く塗装に供する樹脂液
(塗料)に予め所望のインヒビタ−(1種又は2種以
上)を溶解させておき、通常と同様に塗装・焼付を行え
ば良い。
【0039】ところで、有機樹脂皮膜層中に含有させる
インヒビタ−の割合は総計で0.05〜20wt%(より好まし
くは 0.5〜5wt%)とすべきである。なぜなら、インヒ
ビタ−の含有割合が総計で0.05wt%より少ない場合に
は、十分な耐食性向上効果(特に疵部耐食性,端面耐食
性の向上効果)が得られず、一方、20wt%より多いと有
機樹脂皮膜の緻密度(架橋度)が低下し、結果として耐
食性が不十分になるためである。
【0040】そして、上述した本発明に係る有機複層被
覆鋼板では、有機樹脂皮膜層中に腐食抑制効果のあるイ
ンヒビタ−を含有しているため、これとめっき層,有機
樹脂皮膜層との複合作用によって従来の有機複層被覆鋼
板では達成することのできない優れた塗装後耐食性を発
揮する。
【0041】次に、本発明の効果を実施例により更に具
体的に説明する。
【実施例】表1及び表2に示す各種母材めっき鋼板(冷
延鋼板に電気めっきしたもの)を準備した後、これらに
クロメ−ト処理を施してからクリア−膜(有機樹脂膜)
を被覆し、同じく表1及び表2に示した皮膜構成及び皮
膜組成の有機複層被覆鋼板を作成した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】なお、この際、クロメ−ト処理に当っては
市販の塗布型クロメ−ト処理液を用いた。また、有機樹
脂膜の形成では、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂:6
5wt%,フェノ−ル樹脂型硬化剤:15wt%,乾性シリ
カ:15wt%,潤滑成分:5wt%をシクロヘキサノンに
溶解し、NV(不揮発成分)を20wt%に調整した樹脂
液を用い、一部の例を除いてはこれに表1及び表2に示
すインヒビタ−を添加したものを塗布して焼付けた。
【0045】そして、このようにして得られた各有機複
層被覆鋼板について“塗装後の疵部耐食性”及び“塗装
後の端面耐食性”を評価した。なお、“塗装後の疵部耐
食性”及び“塗装後の端面耐食性”は以下に示す方法で
評価した。
【0046】(a) 塗装後の疵部耐食性 まず、有機複層被覆鋼板から70mm×150mmの試験片
を切り出した後、この未加工の平板を脱脂剤FC433
6(商品名:日本パ−カライジング社)で脱脂した後、
U−80(商品名:日本ペイント社)で厚さ20±1μ
mのカチオン電着塗装を施し、175℃で25分間焼付
けた。そして、その後、自動車用アルキッド系塗料の中
塗り(40μm),焼付け,メラミン・ポリエステル系
塗料の上塗り(40μm),焼付けを行って試料を作成
した。
【0047】次いで、この試料の評価面(塗装面)側に
カッタ−ナイフで鋼板素地に達するクロスカットを入
れ、下記サイクル設定の複合腐食試験を行った。 塩水噴霧(5%NaCl,35℃,7時間)→乾燥(50
℃,2時間)→湿潤(RH85%,50℃,15時間)
【0048】疵部耐食性の評価は、上記の腐食サイクル
試験を30サイクル実施後、クロスカット部のブリスタ
−度合いを次のような段階に区分けして行った。 ◎: ブリスタ−幅<0.5mm , ○: ブリスタ−幅<1.0mm , △: ブリスタ−幅<2.0mm , ×: ブリスタ−幅<3.0mm , ××: ブリスタ−幅≧3.0mm 。
【0049】(b) 塗装後の端面耐食性 まず、有機複層被覆鋼板から試験片端面のカエリが板厚
の10%となるように金型のクリアランスを調整してプ
レス打抜きを行い、打ち抜いた試験片に上記と同様の電
着塗装,中塗り,上塗りを行って試料を作成した。そし
て、この試験片を前記と同様の腐食サイクル試験に供し
た。
【0050】端面耐食性の評価は、腐食サイクル試験を
60サイクル実施後、端面の赤錆発生面積率を次のよう
な段階に区分して行った。 ◎: 赤錆発生なし, ○: 赤錆発生5%以下, △: 赤錆発生5%超10%以下, ×: 赤錆発生10%超30%以下, ××: 赤錆発生30%超。
【0051】これらの評価結果を表1及び表2に併せて
示す。表1及び表2に示される結果からも明らかなよう
に、本発明に係る有機複層被覆鋼板は比較材(従来剤を
含む)に比べて非常に優れた塗装後の疵部耐食性,端面
耐食性を示すことが分かる。
【0052】以上に説明した如く、この発明によれば、
非常に優れた疵部耐食性,端面耐食性を示す有機複層被
覆鋼板を提供することが可能となり、自動車や建材等の
耐久性向上に大きく寄与することが可能となるなど、産
業上極めて有用な効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 引野 真也 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 福井 清之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面上に、めっき層
    と、その上に設けられたCr付着量で10〜200 mg/m
    2 のクロメ−ト皮膜層と、更にその上層としての“アル
    キン類,アルキノ−ル類,アミン類もしくはその塩,チ
    オ化合物,複素環化合物,ポリカルボン酸化合物もしく
    はその塩,芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩,並
    びにリグニンスルホン酸もしくはその塩から選ばれた少
    なくとも1種の化合物を総計で0.05〜20wt%含有する
    0.1〜2μm厚の有機樹脂皮膜層”とを有して成ること
    を特徴とする、高耐食性有機複層被覆鋼板。
JP19197693A 1993-07-06 1993-07-06 有機複層被覆鋼板 Pending JPH0716982A (ja)

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Cited By (3)

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