JPH07181628A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH07181628A
JPH07181628A JP34585093A JP34585093A JPH07181628A JP H07181628 A JPH07181628 A JP H07181628A JP 34585093 A JP34585093 A JP 34585093A JP 34585093 A JP34585093 A JP 34585093A JP H07181628 A JPH07181628 A JP H07181628A
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JP
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layer
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silver halide
film
photographic light
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JP34585093A
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English (en)
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Isao Ikuhara
功 生原
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた機械的性質を有し、かつ巻き癖が少な
く、かつ乳剤層と支持体の密着性に優れたハロゲン化銀
写真感光材料を提供する。 【構成】ポリエステルフィルム支持体上に少なくとも1
層の感光性層を有してなる写真感光材料において、該ポ
リエステルフィルムの曲げ弾性率が550Kg/mm2 以上
900kg/mm2 以下、ガラス転移温度(Tg)が90℃
以上200℃以下であり、製膜後から感光層塗設までの
間にその表面をグロー放電処理することを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、曲げ弾性率が550Kg
/mm2 以上900Kg/mm2 以下、ガラス転移温度が90
℃以上200℃以下、且つ製膜後から感光層塗設までの
間にその表面をグロー放電処理したポリエステルフィル
ムを支持体とするハロゲン化銀写真感光材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】PETに代表されるポリエステル系ポリ
マーは、ガラス転移温度(以下「Tg」と記す)以下の
温度で熱処理する事(以下 below Tg annealing 、略し
て「BTA」と記す)により巻き癖カールをつきにくく
する手法が知られている(例えば米国特許414173
5号)。ところがPETの場合、Tgが80℃程度と低
いため、フィルム使用時にこれ以上の熱履歴を受け(例
えば炎天下の車中)、ロール状にまかれた状態で分子鎖
が容易に流動を起こし、固定され、強い巻き癖カールを
示すことがあり、BTA処理による巻き癖防止効果が小
さい。ところが、80℃を超えるTgを有する無色透明
ポリマー、例えばPETに類似のポリエステル系ポリマ
ーであるポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と
記す、Tg約120℃)、あるいは非晶性ポリマーであ
るポリアリレート(以下「PAr」と記す、Tg約19
0℃)やポリカーボネート(以下「PC」と記す、Tg
約150℃)等はBTA処理により巻き癖防止効果は更
にいっそう大きくなるが、BTA処理を施さなくてもP
ETに比べ巻き癖ははるかに付き難い。しかし、ポリエ
チレンナフタレートのようにTgが高いポリエステル支
持体は乳剤層との密着が悪く実用されなかった。さら
に、ハロゲン化銀写真感光材料の使用環境が多岐にわた
るにつれ、支持体上へのハロゲン化銀乳剤層の密着性能
がより一層要求されるに至っている。特に、乳剤膜厚が
厚いカラーネガ、カラーリバーサルフィルムに於いて
は、従来の密着レベルでは不十分である。乳剤層と支持
体の密着が悪いと、せっかく撮影され、記録された画像
が欠落するという致命的な問題を引き起こす。
【0003】グロー放電処理は、米国特許第34623
35号、同3761299号、同4072769号およ
び英国特許第891469号明細書に記載されている。
ところで、写真フィルム支持体としてポリエステルフィ
ルムを使用すると撮影時または自動現像機内での搬送時
にポリエステル支持体が帯電し易く、放電するためにか
ぶりを生じることがある。現在の帯電防止技術は、用い
る素材が処理液中に溶出してしまうため現像処理後には
帯電防止性能か消去し、帯電のために付着したゴミがプ
リント時に写るという問題があり、改善が必要とされて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、乳剤層と支持体の密着性に優れ、優れた機械的
性質を有する支持体からなり、巻き癖が少ないハロゲン
化銀写真感光材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のこれらの目的
は、ポリエステルフィルム支持体上に少なくとも1層の
感光性層を有してなる写真感光材料において、該ポリエ
ステルフィルムの曲げ弾性率が550Kg/mm2 以上90
0kg/mm2 以下、ガラス転移温度が90℃以上200℃
以下であり、製膜後から感光層塗設までの間にその表面
をグロー放電処理することを特徴とするハロゲン化銀写
真感光材料によって達成された。
【0006】本発明に用いられるポリエステルフィルム
支持体の曲げ弾性率は550Kg/mm2 以上900kg/mm
2 以下が好ましい。曲げ弾性率は、曲げ変形に要する応
力より求められる弾性率である。曲げ弾性率の測定方法
として、本発明では円環法を使用した。第1図に示すよ
うにフィルム円環にし、荷重Wをかけた時の変位δを測
定する。 曲げ硬さEI=1.45×10- (W/δ)R3 試料2次モーメントI=t2 a/12 曲げ弾性率E=1.45×10- (W/δ)R3 /I
(Kg/mm2 ) で求められる。 ここでI;試料断面の2次モーメント W;荷重(Kg重) δ;変位(mm) R;試料円環の半径(mm) t;試料厚み(mm) a;試料巾(mm)
【0007】本発明においては、支持体上に1層以上の
感光性層が塗設されるが、この感光性層が、塗布から巻
き取り、加工までの感光材料の製造工程中および感光材
料の現像処理までのプロセス中に種々の変形を引き起こ
す。この感光性層の変形の程度と支持体の強度が適度に
バランスしないと感光材料としての使用に耐えない。本
発明者は、幅方向カール(樋状カール)故障について鋭
意研究した結果、ハロゲン化銀写真感光材料においては
支持体の曲げ弾性率は550Kg/mm2 以上が必要である
ことを見いだした。曲げ弾性率が550Kg/mm2 未満で
は、実施例で示したように支持体厚みを90μm以下に
すると著しい幅方向カール(樋状カール)を生じ、カメ
ラ内でのハンドリングにおいてフィルムに致命的な損傷
を引き起こす。本発明の曲げ弾性率が550Kg/mm2
上900Kg/mm2 以下のポリマーフィルムを支持体とし
て用いると、90μm以下、少なくとも75μmまで厚
みを減少させても感光材料の製造およびカメラ内でのハ
ンドリングで故障を生じないことがわかった。
【0008】本発明に用いられるポリエステル支持体の
Tgは90℃以上200℃以下が好ましい。このような
Tgを有するポリエステルは、次のような2塩基酸とジ
オールから形成される。塩基酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ジ
フェニレンp,p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無水
フタル酸、3,6エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】等を挙げることができる。ジオールとして
は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,10−デカンジオール、1,12−トデカンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シ
クロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタ
ノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、
1,4−ベンゼンジメタノール、
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】等を挙げることができる。また、必要に応
じて、単官能または、3以上の多官能の水酸基含有化合
物、あるいは酸含有化合物が共重合されていても構わな
い。また、本発明のポリエステルには、分子内に水酸基
とカルボキシル基(あるいはそのエステル)を同時に有
する化合物が共重合されていても構わない。このような
化合物の例としては以下が挙げられる。
【0015】
【化5】
【0016】本発明のポリエステルフィルム支持体は、
曲げ弾性率が550Kg/mm2 以上900Kg/mm2 以下、
Tgが90℃以上200℃以下のポリエステルフィルム
である。このようなポリエステルフィルムの具体例とし
て、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロ
ヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)等のホ
モポリマー、あるいはジカルボン酸として2,6−ナフ
タレンジカルボン酸(NDCA)とテレフタル酸(TP
A)イソフタル酸(IPA)、オクトフタル酸(OP
A)、ビフェニル−4,4′−ジカルボン酸(PPD
C)の中から1種以上の組み合わせを、ジオールとして
エチレングリコール(EG)、シクロヘキサンジメタノ
ール(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NP
G)、ビスフェノールA(BPA)、ビフェノール(B
P)の中から1種以上の組み合わせを、共重合成分であ
るヒドロキシカルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸
(PHBA)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボ
ン酸(HNCA)等を共重合させたものが挙げられる。
【0017】これらの中で好ましいものとして、ナフタ
レンジカルボン酸、テレフタル酸、とエチレングリコー
ルのコポリマー(ナフタレンジカルボン酸とテレフタル
酸のモル比は0.3:0.7〜1:0の間が好ましく、
0.5:0.5〜1:0の間が更に好ましい。)、ナフ
タレンジカルボン酸とエチレングリコール、ビフェノー
ルAのコポリマー(エチレングリコールとビスフェノー
ルAのモル比は0.6:0.4〜1:0の間が好まし
く、0.8:0.2〜1:0の間が更に好ましい。)、
ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−4,4′−ジカ
ルボン酸とエチレングリコールのコポリマー(ナフタレ
ンジカルボン酸とビフェニル−4,4′−ジカルボン酸
のモル比は0.6:0.4〜1:0の間が好ましく、
0.8:0.2〜1:0の間がさらに好ましい。)、ナ
フタレンジカルボン酸とネオペンチルグリコール、エチ
レングリコールのコポリマー(ネオペンチルグリコール
とエチレングリコールのモル比は0.8:0.2〜0:
1の間が好ましく、0.5:0.5〜0:1の間がさら
に好ましい。)、ナフタレンジカルボン酸とエチレング
リコール、ビフェノールのコポリマー(エチレングリコ
ールとビフェノールのモル比は任意で良い。)等の共重
合およびPENとPET(組成比0.3:0.7〜1:
0が好ましく、0.5:0.5〜1:0が更に好まし
い)PENとPAr(組成比0.5:0.5〜1:0が
好ましく、0.7:0.3〜1:0が更に好ましい)等
のポリマーブレンドでも良い。
【0018】PENはこれらのポリエステルの中で最も
好ましく、高い弾性率を有し、かつガラス転移温度も1
20℃付近と充分高い。これらのコポリマーおよびホモ
ポリマーは、従来公知のポリエステルの製造方法に従っ
て合成できる。例えば酸性分をグリコール成分と直接エ
ステル化反応するか、または酸成分としてジアルキルエ
ステルを用いる場合は、まず、グリコール成分とエステ
ル交換反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコ
ール成分を除去することにより、合成することができ
る。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、グリコ
ールと反応させても良い。この際、必要に応じて、エス
テル交換反応触媒、あるいは重合反応触媒を用いたり、
熱安定化剤を添加しても良い。これらのポリエステル合
成法については、例えば、高分子実験学第5巻「重縮合
と重付加」(共立出版、1980年)第103頁〜第1
36頁、“合成高分子V”(朝倉書店、1971年)第
187頁〜286頁の記載を参考に行うことができる。
これらのポリエステルの好ましい重量平均分子量の範囲
は約5,000ないし100,000である。
【0019】また、このようにして得られたポリマーの
ポリマーブレンドは、特開昭49−5482、同64−
4325、特開平3−192718、リサーチ・ディス
クロージャー283,739−41、同284,779
−82、同294,807−14に記載した方法に従っ
て容易に形成することができる。
【0020】次に本発明に用いるポリエステルの好まし
い具体的化合物例を示すが、本発明はこれに限定される
ものではない。 ポリエステル化合物例 1.ホモポリマー(( )内はモル比を表す。) PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコール (EG)(100/100)〕 Tg=119℃ 2.共重合体(( )内はモル比を表す。) 2−1 2,6−NDCA/TPA/EG=35/65/100 Tg=91℃ 2−2 2,6−NDCA/TPA/EG=80/20/100 Tg=111℃ 2−3 2,6−NDCA/EG/BPA=100/65/35 Tg=130℃ 2−4 2,6−NDCA/EG/BPA=100/80/20 Tg=125℃ 2−5 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA=75/25/75/25 Tg=122℃ 2−6 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA=50/50/75/25 Tg=112℃ 2−7 2,6−NDCA/NPG/EG/=100/70/30 Tg=105℃ 2−8 2,6−NDCA/NPG/EG/=100/50/50 Tg=110℃ 3.ポリマーブレンド(( )内はモル比を表す。) 3−1 PEN/PET=35/65 Tg=93℃ 3−2 PEN/PET=50/50 Tg=96℃ 3−3 PEN/PET=80/20 Tg=110℃ 3−4 PEN/PAr=55/45 Tg=153℃ 3−5 PEN/PAr=70/30 Tg=141℃ 3−6 PEN/PAr=90/10 Tg=125℃ 3−7 PEN/PCT=70/30 Tg=112℃ 3−8 PEN/PCT=50/50 Tg=107℃
【0021】本発明のポリマーフィルム支持体の好まし
い厚さは70〜120μmであり、更に好ましい厚さは
75〜120μmである。厚さが120μmを超えると
パトローネを小型化するという目的を満足しない。ま
た、75μmに満たないと通常得られるポリエステルフ
ィルムの曲げ弾性率(≦900Kg/mm2 )では樋状カー
ルを発生し易い。
【0022】本発明のグロー放電処理時の圧力は0.0
05〜20Torrとするのが好ましい。より好ましくは
0.02〜2Torrである。圧力が低すぎると支持体表面
を十分に改質することができず、充分な接着性を得るこ
とができない。一方圧力が高すぎると安定な放電が起こ
らない。また、電圧は、500〜5000Vの間が好ま
しい。より好ましくは500〜3000Vである。電圧
が低過ぎると支持体表面を十分に改質することができ
ず、十分な接着性を得ることができない。一方電圧が高
すぎると表面が変質してしまい、逆に接着性が低下す
る。また、使用する放電周波数は、従来技術に見られる
ように、直流から数1000MHz、好ましくは50H
z〜20MHz、さらに好ましくは1KHz〜1MHz
である。放電処理強度は、0.01KV・A・分/m2
5KV・A・分/m2、好ましくは0.15KV・A・分
/m2〜1KV・A・分/m2で所望の接着性能が得られ
る。
【0023】一般にグロー放電処理の場合、酸素、窒素
あるいはアルゴンのような種々のガスを導入しながら行
うが、本発明の熱処理したポリエステル支持体の場合、
水蒸気が最も効率的である。アルゴンガスを導入する
と、接着性が向上し、黄色みの上昇は比較的少ないもの
の、ガスの価値が高価であり工業的に適しないという問
題点がある。これに対して、水蒸気を導入した場合は、
アルゴンあるいはヘリウムガスの導入の場合と同等ある
いはそれ以上の接着効果を有し、価値も大幅に安価であ
り、工業的に優れた方法である。
【0024】水蒸気の存在下でグロー放電処理を実施す
る本発明の水蒸気分圧は、10%以上100%以下、更
に好ましくは40%以上90%以下であることが望まし
い。10%未満では充分な接着性を得ることが困難とな
る。水蒸気以外のガスは酸素、窒素等からなる空気であ
る。このようなグロー放電の処理雰囲気中に水蒸気を定
量的に導入する方法は、グロー放電処理装置に取付けた
サンプリングチューブからガスを4極子型質量分析器
(日本真空製MSQ−150)に導き、組成を定量しな
がら行うことで達成できる。
【0025】我々はさらに、表面処理すべきフィルムを
予め加熱した状態で真空グロー放電処理を行うと、常温
で処理するのに比べ短時間処理で接着性や表面親水性が
向上し、かつフィルムの黄色みの程度を大幅に減少させ
ることができることを見いだした。予熱温度は50℃以
上Tg以下が好ましく、70℃以上Tg以下がより好ま
しく、90℃以上Tg以下がさらに好ましい。Tg以上
の温度で予熱すると密着がやや悪化してしまう。真空中
でポリマー表面温度を上げる具体的方法としては、赤外
線ヒータによる加熱、熱ロールに接触させることによる
加熱等がある。例えばフィルム面を115℃に予熱した
い場合、115℃の熱ロールにフィルムを高々1秒間接
触するだけで十分である。加熱方法は前述の方法に限ら
ず、広く公知の加熱方法を利用することができる。
【0026】このようにして、グロー放電処理を施こし
た支持体は、直ちに冷却ロールを用いて温度を下げるこ
とが好ましい。支持体は温度の上昇に伴ない外力により
塑性変形し易くなり、被処理支持体の平面性が損なわれ
てしまう。さらに低分子量体(モノマー、オリゴマー
等)が支持体表面に析出し、透明性や耐ブロッキング性
を悪化させる可能性がある。
【0027】製膜した本発明のポリエステルフィルムを
Tg−40℃以上ガラス転移温度未満の温度で熱処理す
ると、著しく巻きぐせの付き難いフィルムが得られるこ
とを見いだした。さらに我々は、Tg以上の温度からT
g未満にゆっくり冷却しながら熱処理する方が、より巻
きぐせの付き難いフィルムを得られることを見いだし
た。
【0028】本発明では、Tg−40℃以上Tg未満で
の熱処理もしくはTgからTg未満への徐冷を「後熱処
理」と呼び、これに先立ってTg以上、Tg+130℃
以下の温度で行う熱処理を「前熱処理」という。前熱処
理は、ポリエステル支持体の熱履歴を完全に壊すために
Tg以上の温度で行う必要がなる。一方、Tg+130
℃を越えると、一般にベースの流動性が増大し取扱い上
問題が生じる。従って、Tg以上Tg+130℃以下の
温度で熱処理を行うことが好ましい。さらに好ましく
は、Tg+10℃以上Tg+100℃以下の温度が好ま
しい。前熱処理時間は、0.1分以上の時間が必要であ
る。しかし、1500時間以上の熱処理を行うと、ベー
スの着色が発生し好ましくない。従って、前熱処理時間
は、0.1分以上1500時間以下、さらに好ましくは
1分以上1時間以下である。
【0029】このように前熱処理したベースを後熱処理
する。後熱処理は、Tg−40℃以上Tg未満の温度で
熱処理するのがよい。後熱処理は、Tg未満の一定温度
で行ってもよく、またTgからゆっくり冷却しながら熱
処理してもよい。Tg以上の温度からTg未満の温度に
まで徐冷する方法がさらによい。Tg以上の温度からT
g未満の温度にまで徐冷する方法において平均冷却速度
を−0.01℃/分〜−100℃/分にするのが好まし
く、−0. 01℃/分〜/−40℃/分がさらに好まし
い。このような後熱処理により、DSC測定を行うと、
Tgを跨いだ所に吸熱ピークが現れる。ここでのガラス
転移温度(Tg)とは、示差熱分析計(DSC)を用
い、サンプルフィルム10mgをチッ素気流中、20℃
/分で昇温していった時、ベースラインから偏奇しはじ
める温度と新たなベースラインに戻る温度の算術平均温
度を意味する。
【0030】ロール状に巻き取ったフィルムを熱処理す
ると、巻き芯部と外周部、また支持体のエッジ部と中央
部で著しい温度差が生じる。例えば、2軸延伸したポリ
エステルベースは、温度の上昇に伴って収縮しこの収縮
が原因で支持体の幅方向に周期的な凹凸(以後ベコと称
する)が発生する。また高温で支持体がクリープし易く
なり、巻芯の凹凸に合わせて支持体が変形する「巻芯写
り」と呼ばれる故障も発生し易い。しかし前熱処理後、
後熱処理する本発明は、約20分の熱処理で巻きぐせ低
減が得られるので、搬送中に熱処理を行い、この間に熱
収縮を終了させることでロール状に巻き取ってもベコの
発生を無くすことができる。
【0031】この様な熱処理は、例えば製膜機の後端に
熱処理ゾーンを設置して行っても良く、また下塗工程の
乾燥ゾーン中で行うこともできる。例えばポリエステル
支持体の場合、通常熱固定と呼ばれる熱処理を製膜プロ
セスの最後に行う。熱固定で200℃近くまで加熱され
るため、一度所定の温度まで冷風や冷却ドラム等で冷却
した後、所定の温度勾配を設けた熱処理ゾーンを通すこ
とで本発明の熱処理を行うことができる。この熱処理
は、赤外線ヒーターや高温スチーム等によっても行うこ
とができる。最も好ましいのは、下塗り、バック層等の
塗設工程で行う方法である。この理由として、この様な
塗布工程は長い乾燥ゾーンを有するため、この設備をそ
のまま本発明の熱処理プロセスに用いることができ、設
備投資が少なくて済むことが挙げられる。
【0032】また、これらのポリマーフィルム中に経時
安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練り込んでも良
い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸収を持たない
ものが望ましく、かつその添加量はポリマーフィルムの
重量に対して通常0.5重量%ないし20重量%、好ま
しくは1重量%ないし10重量%程度である。0.5重
量%未満では紫外線劣化を抑える効果を期待できない。
紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベ
ンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2(2′−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2′−ヒドロキシ3′,5′−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′
−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニ
ル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤が
挙げられる。
【0033】ポリエステル特に芳香族系ポリエステルの
屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上に塗
設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は1.5
0〜1.55とこの値より小さいので、光がフィルムエ
ッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面で反射して
いわゆるライトパイピング現象(縁被り)を起こす。こ
の様なライトパイピング現象を回避するため、フィルム
に不活性無機粒子等を含有させる方法ならびに染料を添
加する方法等が知られている。染料添加による方法はフ
ィルムヘイズを著しく増加させないので好ましい。フィ
ルム染色に使用する染料については、色調は感光材料の
一般的な性質上グレー染色が好ましく、ポリエステルフ
ィルムの製膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステ
ルとの相溶性に優れたものが好ましい。染料としては、
上記の観点から三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKa
yaset等ポリエステル用として市販されている染料を混
合することにより目的を達成することが可能である。
【0034】本発明によるポリエステルフィルムは、用
途に応じて易滑性を付与することも可能であり、不活性
無機化合物の練り込み、あるいは界面活性剤の塗布等が
一般的手法として用いられる。かかる不活性無機粒子と
してはSiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO3
タルク、カオリン等が例示される。また、上記のポリエ
ステル合成反応系に不活性な粒子を添加する外部粒子系
による易滑性付与以外にポリエステルの重合反応時に添
加する触媒等を析出させる内部粒子系による易滑性付与
方法も採用可能である。外部粒子系としてはポリエステ
ルフィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2、あるい
は析出する粒子径を比較的小さくすることが可能な内部
粒子系を選択することが望ましい。更には、練り込みに
よる場合、よりフィルムの透明性を得るために機能付与
した層を積層する方法も好ましい。この手段としては具
体的には複数の押し出し機ならびにフィードブロック、
あるいはマルチマニフォールドダイによる共押出し法が
例示される。
【0035】本発明の帯電防止剤として最も好ましい物
は、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al2 3 、In2
3 、SiO2 、MgO、BaO、M0 3 、V2 5
の中から選ばれた少なくとも1種の結晶性の金属酸化物
或いはこれらの複合酸化物の微粒子である。この中で特
に好ましい物は、SnO2 を主成分とし酸化アンチモン
約5〜20%含有させ及び/又はさらに他成分(例えば
酸化珪素、ホウ素、リンなど)を含有させた導電性材料
である。これらの導電性の結晶性酸化物、或いはその複
合酸化物の微粒子はその体積抵抗率が107 Ωcm以
下、より好ましくは105 Ωcm以下である。またその
粒子サイズは0.002〜0.7μm、特に0.005
〜0.3μmであることが望ましい。この導電性を有す
る層は、該支持体に対して、ハロゲン化銀乳剤層側にあ
ってもよいし、ハロゲン化銀乳剤層と反対側のバック層
にあってもよい。その際用いられるバインダーは特に限
定されず、水溶性でもよく有機溶剤性バインダーでもよ
く、あるいはラテックスのように架橋されていてもよ
い。得られた帯電防止層の体積抵抗は1012Ω〜103
Ω、より好ましくは1010Ω〜103 Ωであり、さらに
は109 Ω〜103 Ωが好ましい。
【0036】更に、本発明のハロゲン化銀写真感光材料
には、各種の情報を記録するために磁気記録層を有して
いてもよい。強磁性体は公知の物を使用することができ
る。磁気記録層は支持体層のバック面に用いるのが好ま
しく、塗布または印刷によって設けることができる。
又、各種の情報を記録するために光学的に記録するスペ
ースを感光材料に与えてもよい。
【0037】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としてはカラー用黒白
用何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写真感光
材料について説明する。本発明の感光材料は、支持体上
に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀
乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロ
ゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特
に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質
的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲ
ン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有する
ハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色
光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単
位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材
料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側
から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設
置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっ
ても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれた
ような設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性
層の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感
光性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭61−4
3748号、同59−113438号、同59−113
440号、同61−20037号、同61−20038
号明細書に記載されているようなカプラー、DIR化合
物等が含まれていてもよく、通常用いられるように混色
防止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構成する
複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,
470号あるいは英国特許第923,045号、特開昭
57−112751号、同62−200350号、同6
2−206541号、同62−206543号、同56
−25738号、同62−63936号、同59−20
2464号、特公昭55−34932号、同49−15
495号明細書に記載されている。ハロゲン化銀粒子
は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を
有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有す
るもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいは
それらの複合形でもよい。
【0038】ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下
の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No. 1764
3(1978年12月)、22〜23頁、“I.乳剤製
造(Emulsion preparation and types)" 、および同No.
18716(1979年11月)、648頁などに記載
された方法を用いて調製することができる。米国特許第
3,574,628号、同3,655,394号および
英国特許第1,413,748号などに記載された単分
散乳剤も好ましい。また、アスペクト比が約5以上であ
るような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子
は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アン
ド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science
and Engineering)、第14巻、248〜257頁(19
70年);米国特許第4,434,226号、同4,4
14,310号、同4,433,048号、同4,43
9,520号および英国特許第2,112,157号な
どに記載の方法により簡単に調製することができる。結
晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲ
ン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていても
よい。また、エピタキシャル接合によって組成の異なる
ハロゲン化銀が接合されていてもよく、また例えばロダ
ン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合さ
れていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用
いてもよい。
【0039】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャー N
o.17643および同 No.18716に記載されてお
り、その該当個所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載個所を示した。
【0040】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同第
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0041】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャー(RD)No. 17643、VII −C〜Gに記
載された特許に記載されている。
【0042】本発明に使用するカプラーは、種々の公知
分散方法により感光材料に導入できる。
【0043】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同第
2,541,230号などに記載されている。本発明の
感光材料は乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜
厚の総和が28μm以下であり、かつ、膜膨潤速度T1/
2 が30秒以下が好ましい。膜厚は、25℃相対湿度5
5%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速
度T1/2 は、当該技術分野において公知の手法に従って
測定することができる。例えばエー・グリーン(A. Gree
n)らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・
エンジニアリング( Photogr. Sci. Eng.)、19巻、2
号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨
潤計)を使用することにより測定でき、T1/2 は発色現
像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨
潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、このT1/2 の膜厚に到
達するまでの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2 は、バ
インダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、ある
いは塗布後の経時条件を変えることによって調整するこ
とができる。また、膨潤率は150〜400%が好まし
い。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚
から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算
できる。
【0044】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No. 17643の28〜29頁及び同No. 1
8716の615左欄〜右欄に記載された通常の方法に
よって現像処理することができる。本発明のハロゲン化
銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の目的で
発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するためには、発
色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。
例えば米国特許第3,342,597号のインドアニリ
ン系化合物、同第3,342,599号、リサーチ・デ
ィスクロージャー14,850号及び同15,159号
記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924号に記載
されている。
【0045】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず
最初に以降に用いる巻ぐせ測定法とそれに関する用語お
よび比較例として用いた共重合体とブレンド物の内容に
ついて説明を加える。 ・コアセット フィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせを付けること。 ・コアセットカール コアセットにより付けた長さ方向の巻ぐせ。巻ぐせの程
度は、ANSI/ASC pH1.29−1985のTe
st Method Aに従って測定し、1/R〔m〕(Rはカー
ルの半径)で表示した。 ・比較例に用いた共重合体とブレンド物の内容 4−1 2,6−NDCA/TPA/EG=25/75/100 Tg=82℃ 4−2 2,6−NDCA/EG/BPA=100/55/45 Tg=135℃ 4−3 PEN/PET=25/75 Tg=82℃ 4−4 PEN/PAr=45/55 Tg=161℃ 実施例1 1)支持体の作成 PET、PEN、およびPAr樹脂を予め150℃で4
時間熱風乾燥した後、表2のサンプルNo. 7〜14に示
すような混合比で2軸混練押し出し機を用い300℃で
押し出した後ペレット化した。このポリマーアロイ樹脂
組成物と表2のサンプルNo. 1〜6に示したポリエステ
ル共重合体およびポリマーアロイを構成する単体樹脂
に、それぞれの100重量部と、ポリエステル厚み85
μmで吸光度(400nm)が0.05となるように染料
Diaresin( 三菱化成(株) 製)を添加し、常法により乾
燥した後、300℃にて溶融後、Tダイから押し出し
た。その後Tg+30℃で3〜4倍の縦延伸を行い、続
いてTg+20℃で2〜4倍の横延伸を行い、さらに2
30℃で6秒間熱固定し、表1および表2に示したよう
な、種々の厚みと弾性率のPENおよびPETフィルム
と厚さ90μmのブレンドおよび共重合体フィルムを得
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】2)支持体の熱処理と表面処理 上記の方法で得たフィルムを表1、表2の条件で熱処理
をした。熱処理は全て直径30cmの巻芯に下塗面を外側
にして実施した。比較例として、熱処理を施さない物を
No. 1、No. 11に示した。この後、全てのフィルム支
持体の両面に、0.2Torrの減圧(H2 O分圧80モル
%)、出力2500Wで0.5KV・A・分/m2の処理
強度で両面にグロー放電処理をした。ベース予熱温度
は、サンプルNo. 1−11〜15については60℃、そ
の他のものについては70℃とした。
【0049】3)下塗層(乳剤層側)の塗設 表1、2に示した全ての支持体に下記組成の下塗液を1
0ml/m2塗布し、Tg−5℃の温度で10分間乾燥し
た。 ゼラチン 1.0 重量部 サリチル酸 0.3 重量部 レゾルシン 1.0 重量部 化合物6 0.05 重量部
【0050】
【化6】
【0051】 ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.1 重量部 水 2.2 重量部 メタノール 95.35 重量部 4)バック層の塗設 下塗後の支持体の下塗層を設けた側とは反対側の面に、
下記組成のバック処方を塗設した。 (4ー1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチ
モン複合物分散液)の調整 塩化第2スズ水和物230重量部と3塩化アンチモン2
3重量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液
を得た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を前記
溶液がpH3になるまで滴下し、コロイド状酸化第2ス
ズと酸化アンチモンの共沈澱物を得た。得られた共沈澱
物を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱
物を得た。平均粒径は0.05μmであった。赤褐色コ
ロイド状沈澱物を遠心分離により分離した。過剰なイオ
ンを除くため沈澱物に水を加え遠心分離によって水洗し
た。この操作を3回繰り返し過剰イオンを除去した。過
剰イオンを除去したコロイド状沈澱物200重量部を水
1500重量部に再分散し、500℃に加熱した焼成炉
に噴霧し、青みがかった平均粒径0.005μmの酸化
第2スズ/酸化アンチモン複合物の微粒子を得た。この
微粒子粉末の抵抗率は25Ω・cmであった。上記微粉
末40重量部と水60重量部の混合液をpH7.0に調
整し、攪拌機で粗分散の後、横型サンドミル(ダイノミ
ル、Willy A.Backfen AG製)で滞留時間が30分にな
るまで分散して調整した。二次粒凝集体としての平均粒
径は0.15μmであった。
【0052】(4ー2)帯電防止層の塗設 下記処方を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布し、
Tg−5℃の温度で30秒間乾燥した(この時、搬送系
のケーシング内温度及び搬送ローラーの実質的な温度は
Tg−5℃であることを確認した)。 ・導電性微粒子分散液(SnO2 /Sb2 3 、0.10μm)10重量部 ・ゼラチン 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部
【0053】(4ー3)バック層の塗設 さらに、ジアセチルセルロースをバインダーとして、以
下の処方でバック分散塗布液を作成した。 ・二酸化ケイ素(平均粒径0.3μm) 0.01 重量部 ・酸化アルミニウム 0.03 重量部 ・ジアセチルセルロース 1.0 重量部 ・メチルエチルケトン 9.4 重量部 ・シクロヘキサノン 9.4 重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンパラノニルフェノールエーテル 0.06 重量部 ・トリメチロールプロパン 3トルエンジイソシアネート付加物 0.03 重量部 ・コロイダルシリカ(エアロジル平均粒径0.02μm)0.02 重量部 ・C8 17SO2 N(CH3 )(CH2 CH2 O)6 H 0.01 重量部 ・ポリ(二フッ化ビニリデン/四フッ化ビニリデン) 0.01 重量部 (モル比9:1) ・ポリ(メチルメタクリレート/ジビニルベンゼン) 0.01 重量部 (モル比9:1、平均粒径1.0μm) 分散はサンドグラインダーを用い、2000回転で2時
間行った。分散メディアとしてはガラスビーズを用い
た。得られた液にトルエンジイソシアネート化合物をバ
インダーに対して30%添加した後、バーコーターに
て、固形分ジアセチルセルロースの塗布量が0.3g/
2 となるように先に塗布した帯電防止層の上に塗布、
115℃3分間乾燥した。(この時、搬送系のケーシン
グ内温度及び搬送ローラーの実質的な温度は115であ
ることを確認した)。
【0054】(4−4)滑り層の塗設 滑り剤分散液の作成 下記2種類の滑り剤を4:1の割合で混合し、等重量の
キシレンを加え100℃で加熱溶解後、攪拌と超音波を
かけつつ、この液に滑り剤溶液の10倍重量の室温イソ
プロパノールを一気に添加し、分散液を作成した。更
に、この分散液を、キシレン/シクロヘキサノン/イソ
プロパノール(70/25/5重量比)に希釈し高圧ホ
モジナイザー(25℃、300kg/cm2 )で微細分
散して、滑り剤の濃度が0.1重量%となるようにし
た。塗布はスライドコーティング方式で15mg/m2
になるように行い、115℃で5分間乾燥した。(この
時、搬送系のケーシング内温度及び搬送ローラーの実質
的な温度は115℃であることを確認した)。 n−C1735COOC3061−n 4 重量部 n−C3061O(CH2 CH2 O)10H 1 重量部
【0055】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材の主な物は下記のよ
うに分類されている。 ExC:シアンカプラー ExM:マゼンタカプラー ExY:イエローカプラー ExS:増感色素 UV :紫外線吸収剤 HBS:高沸点有機溶剤 H :ゼラチン硬化剤 各成分に対応する数字は、g/m2 単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。但し、増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0056】第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0057】第2層(中間層) ヨウ臭化銀乳剤G 銀 0.065 2,5−ジ−t−ペンタデシルハイドロキノン0.18 ExC−2 0.020 UV−1 0.060 UV−2 0.080 UV−3 0.10 HBS−1 0.10 HBS−2 0.020 ゼラチン 1.04
【0058】第3層(低感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤A 銀 0.25 ヨウ臭化銀乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0059】第4層(中感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0060】第5層(高感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0061】第6層(中間層) Cpd−1 0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0062】第7層(低感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0063】第8層(中感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0064】第9層(高感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0065】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0066】第11層(低感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0067】第12層(中感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0068】第13層(高感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0069】第14層(第1保護層) ヨウ臭化銀乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0070】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0071】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0072】
【表3】
【0073】表3において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2−191938号の実施例
に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒
子調製時に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3−237450号の実施例
に従い、各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸
ナトリウムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が
施されている。 (3)平板状粒子の調製には特開平1−158426号
の実施例に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3−237450号に記載されているような転
位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。 また、この写真感光材料に用いたカプラーや各種添加剤
等の化合物名を示す。
【0074】
【化7】
【0075】
【化8】
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
【化12】
【0080】
【化13】
【0081】
【化14】
【0082】
【化15】
【0083】
【化16】
【0084】
【化17】
【0085】
【化18】
【0086】
【化19】
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルについて
巻ぐせの評価を実施した。評価は下記手順に従って行っ
た。 6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにス
リットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感
光層を内巻にし、直径7mmのスプールに巻きつけた。
これを密封容器中に入れ、80℃で2時間加熱して巻き
ぐせを付けた。この温度条件は、夏季に車中に置かれた
フィルムを想定した条件である。 6−2)現像処理、カール測定 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、一晩25℃の部
屋の中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを
取出し、これを自動現像機(ミニラボFP−560B:
富士写真フイルム製)で現像処理し、直ちに25℃60
%RH条件下で、カール板を用いてカール測定を行っ
た。さらに、カールが強い事によって生じる現像処理ム
ラとフィルムの後端折れも評価した。処理ムラがない物
を○、軽度のムラが生じている物を△、強度のムラが生
じている物を×とした。○のみが許容される。フィルム
の後端折れに関しては、後端折れが発生しない物を○、
発生するが実用上許容される△、搬送トラブルが生じる
×の3段階で評価した。 6ー3)樋状カール 感光層が塗設されたサンプルを35mm幅で1.2mの
長さにスリットした後、25℃10%RHで1晩調湿
後、これを平坦な台の上に感光層が下になるように置
き、その時の高さをノギスを用いて測定した。現行TA
C支持体カラー写真フィルムSG−200(富士写真フ
イルム製)を基準タイプとし、これより大きな値を示し
た物を×、これと同様以下の物を○として表した。
【0090】現像処理条件を下記に示す。測定に使用し
た試料は、前もって像様露光を与えた試料を別途ランニ
ング処理し、発色現像補充量がタンク容量の3倍量補充
されるまで実施した処理液を用いて処理された。 処理工程 温 度 時間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 38℃ 1分 漂 白 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 定 着 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 安定浴 38℃ 1分
【0091】用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β− ヒドロキシエチル)アニリン・モノサルフェート) 4g 水を加えて 全量 1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ミリリットル 酢酸 30ミリリットル 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ミリリットル カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明バン 15g 水を加えて 全量 1リットル
【0092】7)結果 評価結果を表1、2に示した。本発明の曲げ弾性率が5
50Kg/mm2 以上、ガラス転移温度が90度以上のポリ
エステルフィルム支持体を用い、本発明の熱処理方法に
て熱処理を施した表1のサンプルNo. 3、4、6、8、
9、表2のサンプルNo. 2、3、5、6、8〜10、1
2〜14は現像処理トラブルを発生せず、また樋状カー
ルも小さく良好であった。一方、本発明の熱処理方法に
より熱処理を施さなかった表1のサンプルNo. 1、2、
5、あるいは本発明の範囲外である曲げ弾性率が550
Kg/mm2 未満、または/およびTgが90℃未満のポリ
エステルフィルムを支持体として用いた表1のサンプル
No. 10〜15、表2のサンプルNo. 1、4、7、11
は現像処理トラブルまたは/および樋状カールが発生し
た。また、本発明の550Kg/mm2 以上の曲げ弾性率を
有するもののフィルム厚みが75μmである表1のサン
プルNo. 7はトイ状カールにやや問題を生じた。 実施例2 1)支持体の作成 実施例1と同様の方法で表4、5に示した様な、厚み9
0μmのPENおよびPETフィルムとブレンド物およ
び共重合体よりなるフィルムを得た。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】2)支持体の熱処理、表面処理、下塗り層
(乳剤層側)の塗設 上記方法で得たフィルムを表4、5に示した条件で熱処
理を施した。この後、表4、5に示した用に、大部分の
フィルム表面にはグロー放電処理を施した。残りのもの
は、下記処方の下塗り処理(下塗り処法A)を乳剤層側
に施し、支持体と乳剤層の密着を図った。表4、5は処
理の種類の覧に下塗り処法Aと記した。 下塗り処法A 支持体に近い側から順に下塗り第1層、下塗り第2層を
塗布した。 (1)下塗り第1層処方 塩化ビニリデンラテックス(V−14) 15重量部 例示化合物 H−1 2%対塩化ビニリデンラテックス ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm)80mg/m2の塗 布となるように添加 蒸留水を加え 100重量部 10重量%KOHを加えてpH=6に調製 塗布液温度 10℃ 乾燥膜厚 0.9μm 乾燥条件 フィルムのTg−5℃で2分間 (2)下塗り第2層処方 ゼラチン 1重量部 メチルセルロース 0.05重量部
【0096】
【化22】
【0097】0.02重量部
【化23】
【0098】0.03重量部
【化24】
【0099】 0.0035重量部 酢酸 0.2重量部 蒸留水を加えて 100重量部 塗布液温度 25℃ 乾燥膜厚 0.1μm 乾燥条件 フィルムのTg−5℃で2分間 グロー放電処理条件は、H2 O分圧とベース予熱温度を
表4,5に示した条件とした以外は、実施例1と同じ条
件で実施した。グロー放電処理を施したフィルムには、
実施例1と同様にして、その乳剤層側に下塗り層を塗設
した。
【0100】3)バック層、感光材層の塗設 実施例1と同様にしてバック層、感光材層を塗設した。
但し、表4のサンプルNo. 13のみ導電性微粒子分散液
を含まない液を帯電防止層の代わりに塗布した。 4)写真フィルムの評価 4−1)コアセット 表4に示した種々の径のスプールを用いた他は実施例1
と同じ条件で実施した。 4−2)現像処理、長さ方向カールおよび樋状カール測
定 実施例1と同じ条件で実施した。 4−3)圧力被り 感光層まで付いたサンプルを35mm幅で1.2mの長さ
にスリットした後、表4、5に示したスプールに巻き付
け、30分間放置した後、これを上述の現像方法にて現
像処理し、目視で被りを評価した。被りが発生した物を
×、しない物を○として表した。
【0101】4−4)乾燥時の密着評価法 乳剤面、バック面表面に、カミソリで縦横5mm間隔に6
本ずつ切れ目をいれて25個のます目を作り、この上に
粘着テープ(日東電気工業(株)製、ニットーテープ)
を貼り付け、180度方向に素早く引き剥がす。この方
法において、剥離しないものをA級、未剥離部分が95
%以上の場合をB級、90%以上の場合をC級、60%
以上の場合をD級、60%未満の場合をE級とする。写
真材料として十分実用に耐える密着強度とは、上記4段
階評価のうちAとB級に分類される物である。 4−5)湿潤時の密着評価法 上記の、発色現像、定着、安定浴の各処理段階におい
て、液中でフィルムの乳剤面及びバック面に鉄筆を用い
て引掻傷を×印に付け、これをゴムサックを付けた指頭
で強く5回擦り×の線に沿って剥がれた最大の剥離幅に
より密着力を評価する。乳剤及びバック層が傷以上に剥
離しない場合をA級、最大剥離幅が2mm以上の時をB
級、最大剥離幅が5mm以内の時をC級、他をD級とす
る。写真材料として十分実用に耐える密着強度とは、上
記4段階評価のうちA級に分類される物である。
【0102】4−6)スタチックマークテスト 未露光の試料を25℃、10%RHで6時間調湿した
後、同一空調条件の暗室中において、試料を各種素材に
対してそのスタチックマークがどのようになるかを調べ
るべくゴムローラー及びウレタンローラーで摩擦した
後、前述の現像液で現像し、定着、水洗を行ってスタチ
ックマークの発生度を調べた。スタチックマークの発生
度の評価は以下の4段階に分けて行った。 A:スタチックマークの発生が全く認められない B: 〃 少し認められる C: 〃 かなり認められる D: 〃 ほぼ全面に認められる 写真材料として十分実用に耐えるものは、上記4段階評
価のうちA級に分類される物である。 4−7)ゴミ付きテスト 温湿度25℃、10%RH条件下で現像処理前及び後の
試料(20cm×20cm)をナイロンで良く擦り、タバコ
の灰の付着性を調べた。評価は以下の4段階で行った。 A:ゴミ付きは全く見られなかった B: 〃 少し認められた C: 〃 相当認められた D: 〃 が激しく認められた 写真材料として十分実用に耐えるものは、上記4段階評
価のうちA級に分類される物である。
【0103】5)結果 評価結果を表4、5に示した。 支持体上グロー放電処理の密着への効果 グロー放電処理を行わない表4のサンプルNo. 1および
下塗り処法Aを施した表4のサンプルNo. 2、表5のサ
ンプルNo. 3、6、9、12はすべて密着が不良である
のに対してグロー放電処理を施した表4のサンプルNo.
3〜14、表5のサンプルNo. 1、2、4、5、7、
8、10、11は実用上問題の無い密着を示した。H2
Oの分圧が5%あると密着レベルは実用上良好な領域に
はいるが、分圧が増加するに従いさらに良化することが
表4のサンプルNo. 3〜6から分かる。またグロー放電
処理前のベース予熱温度を50℃からPENのガラス転
移温度119℃以下にすると非常に良好な密着を示すの
に対して、50℃未満及び119℃を越える温度で予熱
すると密着がやや劣ることが表4のサンプルNo. 6、8
〜10から分かる。
【0104】スプール径の効果 スプール径を5mm未満にすると圧力被りが発生すること
が、表4のサンプルNo. 12〜14の結果よりわかっ
た。 金属酸化物を用いた帯電防止層のスタチックマーク、
ゴミ付きの効果 金属酸化物を用いない表4のサンプルNo. 11の体積抵
抗は1×1015Ω以上となり、低湿度(25℃、10%
RH)での帯電防止性が悪く、本発明の金属酸化物を用
いた表4のサンプルNo. 1〜10、12〜14、表5の
サンプルNo. 1〜12(体積抵抗約1×109 Ω)に比
べてスタチックマークとゴミ付きが劣る。体積抵抗率が
107 Ω/cm以下である金属酸化物を用いると優れた帯
電防止能を持つことが分かる。
【0105】実施例3 1)支持体の作成 実施例1、2と同様の方法で表6に示した様な曲げ弾性
率が550Kg/mm2 以上、Tgが90℃以上の厚さ90
μmの種々のポリエステルフィルムを作成した。
【0106】
【表6】
【0107】
【表7】
【0108】
【表8】
【0109】2)支持体の熱処理と表面処理 上記方法で得たフィルムを表6に示した条件で熱処理を
施した。比較例として、熱処理を施さないものを4−1
とした。この後、実施例1と同様の条件でグロー放電処
理を施した。但し、ベース予熱温度はすべてのサンプル
につき80℃とした。 3)下塗り層(乳剤層側)バック層、感光材層 実施例1、2と同様にして下塗り層、バック層、感光材
層を塗設した。
【0110】4)写真フィルムの評価 実施例1、2と同様にしてカール値と現像処理時のトラ
ブル等の評価を行った。 5)結果 評価結果を表6に示した。前熱処理を行なった表6のサ
ンプルNo. 3、6、11、15、19、22は後熱処理
のみを行なった表6のサンプルNo. 2、5、10、1
8、21に比べ、短時間の前熱処理でカール回復性が著
しく向上した。
【0111】
【発明の効果】本発明の写真感光材料は、 1)乳剤層およびバック層と支持体の密着性に優れる。 2)優れた機械的性質を有し、樋状カールが少ない。 3)支持体厚みを薄くでき、パトローネ、従ってカメラ
を小型化できる。 4)巻き癖が付きにくく、現像処理トラブルを発生しな
い。 5)不帯電性に優れスタチックマークを発生しない。 などの特長をもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】曲げ弾性率の円環法による測定の説明図であ
る。
【符号の説明】
1:荷重前の支持体フィルム 2:荷重後の支持体フィルム W:荷重 δ:変位
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明のポリマーフィルム支持体の好まし
い厚さは70〜120μmであり、更に好ましい厚さは
75〜120μmである。厚さが120μmを超えると
パトローネを小型化するという目的を満足しない。ま
た、75μmに満たないと通常得られるポリエステルフ
ィルムの曲げ弾性率(≦900Kg/mm2 )では樋状カー
ルを発生し易い。本発明のポリエステル支持体は常法に
より、二軸延伸及び熱固定して製膜されるが、延伸工程
に於て、フィルムの表裏に温度差を与えることが好まし
い。特に好ましいのは、最初に行う延伸工程である。こ
のようにして得られた支持体は低温側を外巻き(凸側)
にしてカールする性質を有する。従って、低温側に乳剤
を塗設しておくと、低湿時、乳剤を内巻きにして発生す
る樋状カールと相殺し、好ましい。又、長さ方向の巻き
ぐせカールを解消する効果も認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/85 1/91

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム支持体上に少なく
    とも1層の感光性層を有してなる写真感光材料におい
    て、該ポリエステルフィルムの曲げ弾性率が550Kg/
    mm2 以上900kg/mm2 以下、ガラス転移温度(Tg)
    が90℃以上200℃以下であり、製膜後から感光層塗
    設までの間にその表面をグロー放電処理することを特徴
    とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 グロー放電処理雰囲気のガス組成におい
    てH2 Oが10モル%以上であることを特徴とする請求
    項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 製膜後から感光層塗設までの間に、Tg
    −40℃以上Tg未満の温度で熱処理することを特徴と
    する請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
  4. 【請求項4】 グロー放電処理を行う前に該ポリエステ
    ルフィルム支持体を50℃以上該ポリエステルフィルム
    支持体のガラス転移温度未満の温度で予熱することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀
    写真感光材料。
  5. 【請求項5】 該熱処理の前に、該ポリエステルフィル
    ム支持体をTg以上の温度で前熱処理することを特徴と
    する請求項3または4のいずれかに記載のハロゲン化銀
    写真感光材料。
  6. 【請求項6】 該写真感光材料の少なくとも片面に導電
    性を有する層を少なくとも1層有し、導電性を有する層
    の電気導電材料がZn、Ti、Sn、Al、In、S
    i、Mg、Ba、Mo、W、Vを主成分とし、かつその
    体積抵抗率が107 Ω/cm以下である金属酸化物から選
    ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  7. 【請求項7】 該写真感光材料が、外径が5〜11mmの
    スプールに巻き込まれるロール状であることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感
    光材料。
  8. 【請求項8】 該ポリエステルフィルム支持体が、ナフ
    タレンジカルボン酸を全カルボン酸の30モル%以上含
    むポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  9. 【請求項9】 該ポリエステルフィルム支持体が、ポリ
    エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のハ
    ロゲン化銀写真感光材料。
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