JPH07251491A - 写真用ポリエステル積層支持体の製造方法 - Google Patents

写真用ポリエステル積層支持体の製造方法

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JPH07251491A
JPH07251491A JP23740594A JP23740594A JPH07251491A JP H07251491 A JPH07251491 A JP H07251491A JP 23740594 A JP23740594 A JP 23740594A JP 23740594 A JP23740594 A JP 23740594A JP H07251491 A JPH07251491 A JP H07251491A
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JP
Japan
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layer
temperature
polyester
photographic
curl
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Pending
Application number
JP23740594A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumio Kawamoto
二三男 川本
Yoshiki Sakaino
佳樹 境野
Shohei Yoshida
昌平 吉田
Yasutomo Goto
靖友 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Laminated Bodies (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】幅方向(樋状)のカールが小さく、かつ優れた
機械的性質を有する写真用ポリエステル積層フィルムの
製造方法を提供する。 【構成】(1)式で示される温度で熱固定を行ったこと
を特徴とする写真用ポリエステル積層支持体の製造方
法。 熱固定温度(℃)=(Tm(H)−10)〜(Tm(L)−50) (1)式 Tm(H)(℃):積層支持体を構成するポリエステルのう
ち、高い融解温度を示すポリエステルの融解温度。 Tm(L)(℃):積層支持体を構成するポリエステルのう
ち、低い融解温度を示すポリエステルの融解温度

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用積層ポリエステ
ル支持体および、その製造方法に関するものであり、カ
メラ内での傷の発生の少ない、幅方向に永久カ−ルを付
与され、力学強度に優れ、かつ層間の密着性に優れた写
真用ポリエステル積層支持体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、ロール状ハロゲン化銀感光材料の
支持体としてトリアセチルセルロース(以下TACと略
する)が用いられてきた。これは、カートリッジ内でつ
いた巻癖が現像処理中に回復するためである。最近カー
トリッジの小型化が求められているが、TAC支持体は
力学強度が弱く115μm以下に薄手化できなかった。
一方、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す
る)に代表されるポリエステル支持体は、力学強度が良
好で、薄手化に適した支持体であるが、巻癖が回復しな
いという欠点を有していた。このような欠点を克服する
方法として、ポリエステル系ポリマーに、ガラス転移温
度(以下「Tg」と記す)以下の温度で熱処理する事
(以下 below Tg annealing 、 略して「BTA」と記
す)により巻き癖カールをつきにくくする手法が米国特
許4141735号明細書に記載されている。
【0003】ハロゲン化銀写真感光材料は、一般にゼラ
チンに分散した感光層を塗設しており、この層が低湿化
で収縮を引き起こし幅方向カールを発生する。この幅方
向のカールによりフィルムのカメラ内でのハンドリング
においてフィルム圧板とバック面の摩擦により擦り傷が
発生し、フィルムに致命的な損傷を引き起こす。このよ
うな永久カールをポリエステルベースに付与する方法と
して、従来からいくつかの方法が知られている。例え
ば、特開平1−131550号公報には、延伸製膜中の
支持体の表裏の温度に差を与えることで、永久カールを
付与している。このような方法は、150μm以上の厚
い支持体では、表裏の温度差を与え易く有効な手法であ
る。しかし、本発明のような100μm以下の薄手支持
体では温度差を与えにくく実施困難であった。また、特
開昭50−123420号公報およびUS419854
8号明細書に記載されているように、異なる層を積層す
る方法も知られている。しかし、これらの方法は力学強
度が低下しやすい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、幅方向カールを打ち消すだけの永久カールを予
め有し、かつ層間の密着に優れた機械的性を有するポリ
エステル支持体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような本発明の課題
は、少なくとも2種類以上のポリエステルを積層し、か
つ各層を構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg
)が、いずれの層も90℃以上200℃以下の積層体
の製膜法において、(4)式、より好ましくは(5)
式、さらに好ましくは(6)式で示される温度範囲で熱
固定を行ったことを特徴とする写真用ポリエステル積層
支持体の製造方法によって達成された。 熱固定温度(℃)=(Tm(H)−10)〜(Tm(L)−50) (4)式 熱固定温度(℃)=(Tm(H)−15)〜(Tm(L)−35) (5)式 熱固定温度(℃)=(Tm(H)−20)〜(Tm(L)−30) (6)式 (Tm(H)(℃):積層支持体を構成するポリエステルの
うち、最も高い融解温度 Tm(L)(℃):積層支持体を構成するポリエステルのう
ち、最も低い融解温度)
【0006】熱固定は、製膜フィルム中に結晶を発生さ
せるプロセスであり、力学強度(引っかき強度、ヤング
率、引裂強度、スチフネス等)に大きく影響する。即
ち、熱固定温度(Tf)よりもTm が低い層が存在する
と、その層では、結晶は生成されず(融解されるため)
力学強度の弱い層が発生する。一方、Tf がTm よりよ
り大幅に低い層が存在すると、その層でも結晶の生成が
不十分となり、力学強度の弱い層が発生する。本発明で
は上記(4)〜(6)式で示される範囲内に於いて熱固
定を行うことにより、十分な力学強度、永久カールを有
する写真用支持体を製造するこができた。
【0007】このような特徴を有する積層体の製膜方法
は、共押しだし法、インラインラミネート法、オフライ
ンラミネート法等の通常の方法によって製膜することが
できる。共押し出し法は、各層ごとに溶融したメルト
を、スリット状のダイからシート状に押し出す。これを
ダイに導き、層数に応じたマルチマニホールドまたはフ
ィードブロックを用いて積層した後、口金から押し出
し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸
フィルムをつくった後、2軸延伸、熱固定を行うもので
ある。インラインラミネート法は、二軸延伸完了前(未
延伸時あるいは一軸延伸後)に各層を積層後、二軸延
伸、熱固定を完了させるもので、ドライラミネ−ショ
ン、ホットメルトラミネーション、押し出しラミネーシ
ョン等を用いることができる。オフラインラミネート法
は二軸延伸完了後積層するもので、前記ラミネーション
法が用いられる。これら積層溶融押し出し、二軸延伸製
膜法は次のように行うことができる。各層の原料ポリエ
ステルのペレットを乾燥した後、通常の押し出し機に供
給し、各素材のTm 〜Tm +80℃で溶融する。これ
を、上記方法で積層しながら、キャスティングドラムに
押し出し、未延伸フィルムを作る。この時静電印加法等
を用いてもよい。これを、二軸延伸して製膜する。延伸
温度は、各層のうち最も高いTg (Tg/H とする)〜T
g/H +70℃の間で選ぶ。延伸の倍率はそれぞれ2.5
〜4倍で実施するのが好ましい。二軸延伸は同時二軸延
伸でも逐次二軸延伸でもかまわない。また二軸延伸後さ
らに、1回以上縦、横あるいは両方向に延伸してもよ
い。このような二軸延伸をよりスムーズに行うために
は、各層のTg の最高温度と最低温度の差が50℃以
内、より好ましくは40℃以内、さらに好ましくは30
℃以内になるように各層の素材を選定するのがよい。
【0008】延伸の終了したフィルムは、熱固定処理を
行う。これにより、フィルム内に結晶が生成し強固なフ
ィルムとすることができ、上述のように本発明のポイン
トとなるプロセスである。熱固定ゾーンの中では、上記
(4)〜(6)式の温度範囲内になるように温度設定す
るが、このような温度設定は、熱風の導入、あるいは中
に設置した赤外線ヒーター等により行うことができる。
この中の温度制御は、20℃以内になるようにするのが
好ましく、これにより力学強度の安定したフィルムを得
ることができる。熱固定時間は5〜180秒間、より好
ましくは10〜120秒、さらに好ましくは15秒〜6
0秒実施する。このような熱固定は固定幅で行ってもよ
く、弛緩させながら行っても良い。この後、Tg 以下の
温度にまで冷却したあと、巻取る。
【0009】さらに、本発明の効果を大きくするために
は、Tm(H)とTm(L)の差が0℃以上30℃以下、より好
ましくは2℃以上20℃以下、さらに好ましくは4℃以
上10℃以下である素材を積層するのが好ましい。
【0010】こうして得られた積層体の表裏の層の結晶
化度は、一方の最外層の結晶化度χ CAと他方の最外層の
結晶化度χCBが(7)式、より好ましくは(8)式、さ
らに好ましくは(9)式の関係を満たしていることが好
ましい。 0.05≦(χCA−χCB)/χCA≦0.9 (7)式 0.10≦(χCA−χCB)/χCA≦0.8 (8)式 0.15≦(χCA−χCB)/χCA≦0.7 (9)式 この範囲以下では、表裏の結晶化度の差が小さすぎ、十
分な永久カ−ルを付与することができず、一方これ以上
では、一方の層の結晶が殆ど生成していないことを意味
し、その結果力学強度が低下し好ましくない。
【0011】このような積層体を形成する各層の素材の
組み合わせは、同一ポリマーで固有粘度を変えたもので
もよく、また素材の異なるポリマー(異種のホモポリマ
ー、組成素材および組成比の異なる共重合体、ポリマー
ブレンド等)から選んでも良い。なかでも好ましいの
は、素材の異なるポリマーを積層するものであり、より
容易に永久カールを付与しやすい。さらに、これらの素
材の異なる層はなるべく厚み方向に離して積層したほう
が、より大きな永久カールを達成しやすく、互いに最表
層に配置するのが最も好ましい。本発明でいう「素材の
異なるポリマー」とは、共重合、あるいはポリマーブレ
ンドで組成比が2重量%以上異なるものをいう。より顕
著な永久カールを得るには組成比が2重量%以上、より
好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは7重量%以
上異なるものを用いるとよい。しかし、隣接する層どう
しはあまり素材を余り大きく変えすぎると、積層フィル
ム間の接着性が低下しやすい。このため、隣接層の素材
は、共重合体の素材を同じにし、その配合比を変えた共
重合体、あるいは主成分のポリマーを共通にし、副成分
の素材を変えたポリマーブレンドが好ましい。共重合体
の場合、共通するモノマー成分が、好ましくは50モル
%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好まし
くは80モル%以上のものが好ましい。ポリマーブレン
ドの場合、共通するポリマー成分が、好ましくは50wt
%以上、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましく
は80wt%以上のものが好ましい。
【0012】また積層構造は、2層以上何層から構成さ
れてもよいが、好ましいのは、5〜2層、より好ましい
のは3〜2層、さらに好ましいのが2層である。本発明
ような永久カールは、最低2層あれば発現させることが
できるため、製膜コストを下げるために層数の少ないほ
うが好ましい。各層の好ましい厚さは、10〜90μ
m、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは
30〜70μmである。この範囲以下では、十分な永久
カールを達成することができない。さらに2層フィルム
の場合、厚みの比は好ましくは1:5〜5:1さらに好
ましくは1:3〜3:1の範囲である。厚みの差が大き
くなりすぎると両者の熱収縮の差による歪みが大きくな
りすぎ、カールコントロールができなくなる。また、支
持体の総膜厚は、好ましくは60〜100μm、より好
ましくは70〜95μm、さらに好ましくは80〜95
μmである。これ以上薄いと、力学強度が不足し、取扱
い中に折れやクニックの発生の原因になる。一方これ以
上厚いと、本発明の目的の一つである薄手化を達成でき
ない。
【0013】このような本発明の積層体を形成するポリ
エステルとして、次のようなものが挙げられる。ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメタノールテ
レフタレート(PCT)等のホモポリマー、あるいはジ
カルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン酸(N
DCA)とテレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(I
PA)、オルトフタル酸(OPA)、シクロヘキサンジ
カルボン酸(CHDC)、パラフェニレンジカルボン酸
(PPDC)の中から1種以上の組み合わせを、ジオー
ルとしてエチレングリコール(EG)、シクロヘキサン
ジメタノール(CHDM)、ネオペンチルグリコール
(NPG)、ビスフェノールA(BPA)、ビフェノー
ル(BP)の中から1種以上の組み合わせを、共重合成
分であるヒドロキシカルボン酸としてパラヒドロキシ安
息香酸(PHBA)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン
カルボン酸(HNCA)等を共重合させたものが挙げら
れる。
【0014】これらの中で特に好ましいものとして、ナ
フタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸)
を全ジカルボン酸中の30モル%以上、好ましくは50
モル%以上、更に好ましくは70モル%以上含むポリエ
ステルが好ましい。更にポリマーブレンドでも良い。
【0015】しかし、親水基を含む吸水性ポリエステル
を用いるのは、好ましくない。吸水性ポリエステルと
は、(25℃の水に浸漬した時の飽和吸水量が1.0重
量%以上のものであり、ポリマー中に、ポリアルキレン
グリコール(分子量200以上)を1重量%以上、ある
いは)スルホイソフタル酸ナトリウムに代表されるよう
な金属スルホネート基を結合したジカルボン酸モノマー
を全酸性分に対し1モル%以上含むポリエステルであ
る。このような、吸水性ポリマーは現像処理中に吸水に
よる力学強度の低下を発生し、現像機の中でジャミング
や、傷を発生しやすく、本発明に用いるのは好ましくな
いためである。実質的に金属スルホネート基及び/又は
ポリオキシエチレン基を含有しないことが更に好まし
い。
【0016】これらのコポリマーおよびホモポリマー
は、従来公知のポリエステルの製造方法に従って合成で
きる。例えば酸性分をグリコール成分と直接エステル化
反応するか、または酸成分としてジアルキルエステルを
用いる場合は、まず、グリコール成分とエステル交換反
応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコール成分
を除去することにより、合成することができる。あるい
は、酸成分を酸ハライドとしておき、グリコールと反応
させても良い。この際、必要に応じて、エステル交換反
応触媒、あるいは重合反応触媒を用いたり、熱安定化剤
を添加しても良い。これらのポリエステル合成法につい
ては、例えば、高分子実験学第5巻「重縮合と重付加」
(共立出版、1980年)第103頁〜第136頁、
“合成高分子V”(朝倉書店、1971年)第187頁
〜第286頁の記載を参考に行うことができる。これら
のポリエステルの好ましい重量平均分子量の範囲は約
5,000ないし100,000である。
【0017】また、このようにして得られたポリマーの
ポリマーブレンドは、特開昭49−5482、同64−
4325、特開平3−192718、リサーチ・ディス
クロージャー283,739−41、同284,779
−82、同294,807−14に記載した方法に従っ
て容易に形成することができる。
【0018】次に本発明に用いるポリエステルの好まし
い具体的化合物例を示すが、本発明はこれに限定される
ものではない。 ポリエステル化合物例 1.ホモポリマー(( )内はモル比を表す。) 1−1 PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレング リコール(EG)(100/100)〕 Tg =119℃ Tm =268℃ 1−2 PCT:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(C HDM)(100/100)〕 Tg =93℃ Tm =293℃ 2.共重合体(( )内はモル比を表す。) 2−1 2,6−NDCA/TPA/EG=35/65/100 Tg =91℃ Tm =254℃ 2−2 2,6−NDCA/TPA/EG=80/20/100 Tg =111℃ Tm =264℃ 2−3 2,6−NDCA/TPA/EG=95/5/100 Tg =117℃ Tm =242℃ 2−4 2,6−NDCA/EG/BPA=100/65/35 Tg =130℃ Tm =242℃ 2−5 2,6−NDCA/EG/BPA=100/80/20 Tg =125℃ Tm =250℃ 2−6 2,6−NDCA/EG/BPA=100/95/5 Tg =121℃ Tm =260℃ 2−7 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA=75/25/75/25 Tg =122℃ Tm =249℃ 2−8 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA=50/50/75/25 Tg =112℃ Tm =240℃ 2−9 2,6−NDCA/NPG/EG=100/70/30 Tg =105℃ Tm =239℃ 2−10 2,6−NDCA/NPG/EG=100/50/50 Tg =110℃ Tm =251℃ 2−11 2,6−NDCA/NPG/EG=100/10/90 Tg =116℃ Tm =258℃ 3.ポリマーブレンド(( )内は重量比を表す。) 3−1 PEN/PET=35/65 Tg =93℃ Tm =253℃ 3−2 PEN/PET=50/50 Tg =96℃ Tm =255℃ 3−3 PEN/PET=95/5 Tg =116℃ Tm =265℃ 3−4 PEN/PAr=55/45 Tg =153℃ Tm =244℃ 3−5 PEN/PAr=70/30 Tg =141℃ Tm =248℃ 3−6 PEN/PAr=95/5 Tg =121℃ Tm =259℃ 3−7 PEN/PCT=50/50 Tg =107℃ Tm =239℃ 3−8 PEN/PCT=70/30 Tg =112℃ Tm =255℃ 3−9 PEN/PCT=95/5 Tg =118℃ Tm =262℃ 3−10 PEN/PET=80/20 Tg =109℃ Tm =258℃
【0019】さらに、このようにして得られたポリマ
ー、ポリマーブレンドに、重合中あるいは、重合終了後
に、経時安定性付与のために紫外線吸収剤、ライトパイ
ピング防止のため不活性無機粒子や染料、易滑性を付与
するために不活性無機化合物等を添加してもよい。紫外
線吸収剤としては、可視領域に吸収を持たないものが望
ましく、かつその添加量はポリマーフィルムの重量に対
して通常0.5重量%ないし20重量%、好ましくは1
重量%ないし10重量%程度である。0.5重量%未満
では紫外線劣化を抑える効果を期待できない。紫外線吸
収剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデ
シルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,
2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノンなどのベンゾフェノン系、2(2′−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2′−ヒドロキシ3′,5′−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′
−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニ
ル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤が
挙げられる。
【0020】ポリエステル特に芳香族系ポリエステルの
屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上に塗
設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は1.5
0〜1.55とこの値より小さいので、光がフィルムエ
ッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面で反射して
いわゆるライトパイピング現象(縁被り)を起こす。こ
の様なライトパイピング現象を回避するため、フィルム
に不活性無機粒子等を含有させる方法ならびに染料を添
加する方法等が知られている。染料添加による方法はフ
ィルムヘイズを著しく増加させないので好ましい。フィ
ルム染色に使用する染料については、色調は感光材料の
一般的な性質上グレー染色が好ましく、ポリエステルフ
ィルムの製膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステ
ルとの相溶性に優れたものが好ましい。染料としては、
上記の観点から三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKa
yaset等ポリエステル用として市販されている染料を混
合することにより目的を達成することが可能である。
【0021】本発明によるポリエステルフィルムは、用
途に応じて易滑性を付与することも可能であり、不活性
無機化合物の練り込み、あるいは界面活性剤の塗布等が
一般的手法として用いられる。かかる不活性無機粒子と
してはSiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO3
タルク、カオリン等が例示される。また、上記のポリエ
ステル合成反応系に不活性な粒子を添加する外部粒子系
による易滑性付与以外にポリエステルの重合反応時に添
加する触媒等を析出させる内部粒子系による易滑性付与
方法も採用可能である。外部粒子系としてはポリエステ
ルフィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2、あるい
は析出する粒子径を比較的小さくすることが可能な内部
粒子系を選択することが望ましい。更には、よりフィル
ムの透明性を得るために、本発明のような積層フィルム
の場合、このような粒子を最外層のみに付与することも
好ましい。
【0022】さらに、これらの本発明の積層体を構成す
るポリエステルは、Tg が80〜200℃のものが好ま
しく、より好ましくは90℃〜180℃、さらに好まし
くは105℃〜150℃である。これ以下では、写真感
光材料の出会う最高温度(80℃;夏期の自動車内の温
度)を下回り、カ−トリッジ内で巻癖が強く付き好まし
くない。一方、この温度以上のTg を示す透明汎用ポリ
エステルフィルムは現在のところ存在しない。
【0023】本発明に用いられるポリエステル支持体の
層構成は、少なくとも一層が、ナフタレンジカルボン酸
とエチレングリコールを主成分とするポリエステル、さ
らに好ましくは、ポリエチレン−2.6−ナフタレ−ト
(PEN)であることが好ましい。これは、これらの素
材がPETにも勝る極めて高い力学強度を有する上に、
Tg が120℃と高く、高温下においても巻癖が付きに
くいという特徴を有しているためである。
【0024】以下に、本発明で用いられる好ましい積層
体の層構成の例を示すが、本発明はこれに限定されるも
のではない。 好ましい層構成例 (1) 2層フィルム サンプルNo. 素材 厚み(μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− F2−1 1−1/2−2 60/30 F2−2 1−1/2−2 45/45 F2−3 1−1/2−2 30/60 F2−4 1−1/2−2 40/50 F2−5 1−1/2−2 45/55 F2−6 1−1/2−2 35/45 F2−7 1−1/2−3 40/50 F2−8 1−1/2−5 〃 F2−9 1−1/2−6 〃 F2−10 1−1/3−10 40/50 F2−11 1−1/3−10 45/55 F2−12 1−1/3−10 35/45 F2−13 1−1/3−3 40/50 F2−14 1−1/3−5 〃 F2−15 1−1/3−6 〃 F2−16 2−2/2−3 50/40 F2−17 2−5/2−3 〃 F2−18 2−6/2−3 〃 F2−19 3−5/3−3 〃 F2−20 3−6/3−7 〃 F2−21 3−10/3−3 〃 F2−22 2−2/3−3 〃 F2−23 2−5/3−3 〃 F2−24 2−6/3−3 〃
【0025】 (2) 3層フィルム サンプルNo. 素材 厚み(μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− F3−1 1−1/2−3/2−2 30/30/30 F3−2 1−1/2−6/2−5 〃 F3−3 1−1/2−7/2−8 〃 F3−4 1−1/3−3/3−10 〃 F3−5 1−1/3−6/3−5 〃 F3−6 1−1/3−9/3−8 〃 F3−7 1−1/2−6/3−5 〃
【0026】 (3) 4層フィルム サンプルNo. 素材 厚み(μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− F4−1 1−1/2−6/2−2/2−1 23/23/23/23 F4−2 1−1/3−3/3−2/3−1 〃 F4−3 1−1/3−6/3−5/3−4 〃 F4−4 1−1/2−6/3−10/2−1 〃
【0027】次に本発明の熱処理方法についてのべる。
この熱処理は、上記の方法で製膜した本発明の積層ポリ
エステルフィルムを、最も高いTg を有するポリエステ
ルのTg(Tg/H)以下、50℃以上の温度で、より好まし
くはTg/H℃以下、60℃以上、さらに好ましくはTg/
H 以下、70℃以上で熱処理を行うことにより、巻癖を
つきにくくすることができ、より一層取扱い性に優れた
フィルムにすることができる。このような熱処理は、上
記温度範囲内の一定温度で実施してもよく、昇温あるい
は冷却しながら熱処理してもよい。なかでも好ましいの
が、一定温度あるいは、冷却しながらの熱処理である。
冷却の平均冷却速度は−0.01〜−20℃/時間、よ
り好ましくは−0.1〜−10℃/時間、さらに好まし
くは−0.2〜5℃/時間である。この熱処理時間は、
0.1時間以上1500時間以下、より好ましくは0.
2時間以上400時間以下、さらに好ましくは0.5時
間以上200時間以下である。0.1時間以下では十分
な効果を得ることができず、1500時間以上では効果
が飽和する一方、支持体の着色や脆化が起こりやすくな
る。
【0028】このような巻き癖解消の効果をより一層増
大させるには、この熱処理の前にTg以上Tm未満の温
度で熱処理をし、支持体の熱履歴を消去させた後、上記
50℃以上Tg/H未満の温度で再熱処理を行うとよい。
本発明では、この熱処理を「前熱処理」と呼び、前項で
述べた50℃以上Tg/H未満の熱処理を「後熱処理」と
呼び区別する。前熱処理温度はTg/H以上融点未満、さ
らに好ましくはTg/H+20℃以上結晶化温度(DSC
で求めた結晶化温度)以下で行うのがよい。融点以上の
温度で前熱処理を行うと、支持体の弾性が著しく低下す
ることにより面状や搬送性に問題が生じる。前熱処理は
この温度範囲内で、一定温度で実施してもよく(定温前
熱処理)、降温しながら実施してもよく(降温前熱処
理)、また昇温しながら実施してもよい(昇温前熱処
理)。前熱処理の時間は、0.1分以上1500時間以
下、さらに好ましくは1分以上1時間以下である。0.
1分以下では十分な効果を得ることができず、1500
時間以上では効果が飽和する一方で、支持体の着色や脆
化が起こりやすくなる。この前熱処理の後、後熱処理を
実施するが、前熱処理終了温度から後熱処理開始温度に
まで急速冷却してもよく、Tgをまたいで徐々に後熱処
理開始温度にまで冷却してもよい。また一度室温に冷却
した後、後熱処理温度に上昇させてもよい。これらの前
熱処理と後熱処理の方法の組み合わせは幾つかあるが、
Tg/H +20℃以上結晶化温度以下で定温前熱処理をし
た後、Tg/Hから積層フィルムを構成する素材のうち最
も低いTg (Tg/リットル)−20℃の温度範囲まで
冷却速度−0.1〜−5℃/時間で冷却しながら後熱処
理するのが好ましい。
【0029】このような後熱処理、あるいは、前熱処理
後、後熱処理を行った支持体をDSCで測定すると、T
g/リットル−20℃〜Tg/H +80℃の間に極大値をも
つ吸熱ピークが現れる。この吸熱ピークの面積(吸熱
量)が大きいほど、巻癖はつきにくくなる。10mgの
試料を20℃/分で昇温しながら窒素気流中でDSC測
定した場合、この吸熱量が100mcal/g以上、1
000mcal/g以下であるのが好ましい。これ以下
では、十分に巻癖をつけることができず、一方これ以上
の値では、巻癖をつきにくくする効果は飽和する。より
好ましくは、150mcal/g以上、500mcal
/g以下、さらに好ましくは、200mcal/g以
上、400mcal/g以下である。
【0030】このような支持体の熱処理は、ロール状あ
るいは、ウェブ状で搬送しながら実施することが考えら
れる。ロール状で熱処理する場合、ロールを室温から恒
温槽中で熱処理する方(以降低温巻取り法と呼ぶ)、ウ
ェブ搬送中に所定温度にした後ロール状に巻取り熱処理
する方法(以降高温巻取り法と呼ぶ)のいずれの方法で
実施してもよい。前者の方法は昇温、降温に時間を要す
るが、設備投資が少なくて済む利点がある。一方、後者
の方法は高温での巻取り設備が必要だが昇温時間を省略
できる利点がある。しかし、ロール状での熱処理では、
前述のように熱処理中に発生する熱収縮応力のために、
巻締まりによるしわや、巻芯部の切り口写り等の面状故
障が発生しやすい欠点を有する。一方、ウェブ状で熱処
理する場合、十分な熱処理効果を達成するためには長大
な熱処理設備を必要とし、現実性に問題がある。このよ
うに、2つの方法で一長一短があるが、本発明の効果
は、いずれに対しても同様に有効であるが、工業規模で
の生産性を考慮すると、前者のロ−ル状での熱処理のほ
うがより好ましい。
【0031】前者のように、支持体をロ−ルに巻き付け
て熱処理を施す場合、ロ−ルの単位幅あたりの巻張力は
初期張力が3〜75kg/mが好ましく、より好ましく
は10〜40kg/m、さらに好ましくは12〜30k
g/mである。巻終わりの張力は、3〜75kg/mが
好ましいく、より好ましくは5〜35kg/m、さらに
好ましくは7〜30kg/mである。この範囲以下で
は、緩巻きのため熱処理中にロ−ルが自重でたるみ変形
が発生しやすく、一方、この値以上は、巻締まりによる
シワが発生しやすい。さらに、巻初めの張力を巻終わり
の張力より大きくする方がより好ましい。巻き付けはバ
ック層を塗設するつもりの面を内巻にしたほうが好まし
い。
【0032】さらに、この支持体を巻き付ける巻芯の直
径は50mm以上2000mm以下、より好ましくは1
00mm以上1000mm以下、さらに好ましくは15
0mm以上、600mm以下である。直径がこの範囲よ
り大きいと運搬等の取扱いが行いにくくなり、一方、こ
の範囲以下では巻き付ける支持体の巻回数が多くなる。
巻回数が多くなると、巻芯近くの支持体が受ける熱収縮
応力が高くなりやすく、平面性の低下を引き起こし易
い。熱処理で用いられるロール巻き芯の材質は特に限定
されないが、熱による強度低下や変形のないものが好ま
しく、例えばステンレス,アルミニウム、ガラスファイ
バー入り樹脂を挙げることが出来る。また、これらの巻
芯上に、必要に応じて、ゴムや樹脂をライニングしても
よい。さらにこのロール巻き芯は、フィルムへの温度伝
播が効率を上げるために中空ないしは、加熱出来るよう
に電気ヒーター内蔵または高温液体を流液できるような
構造を有していても良い。このような熱処理は、製膜後
から感光層塗布までの間、どこで実施してもよいが、感
光層の下塗り前、表面処理後に実施するのが好ましい。
次に本発明の上記積層体を支持体に用いたハロゲン化銀
写真感光材料(以下、写真感光材料、或いは写真感材と
称する)について説明する。これらのポリエステルフィ
ルムを支持体に使用する場合、これらポリエステルフィ
ルムが何れも疎水性の表面を有するため、支持体上にゼ
ラチンを主とした保護コロイドからなる写真層やバック
層を表面処理無しに強固に接着させることは困難であ
る。このような難点を克服するために試みられた従来技
術としてはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、グ
ロー放電処理等があり、何れも効果を有するが、紫外線
処理、グロー放電処理がなかでも有効であり、さらに、
グロ−放電処理が最も有効であった。このような表面処
理方法は、「発明協会公開技報 公技番号94−602
3」18ペ−ジ〜22ペ−ジ(6.下塗り・バック素
材)に記載の方法で実施することができる。次に表面処
理した支持体と感光層の間に設ける下塗り層について述
べる。下塗り層としては、第1層として支持体によく接
着する層(以下、下塗り第1層と略す)を設け、その上
に第2層として下塗り第1層と写真層をよく接着する層
(以下、下塗り第2層と略す)を塗布するいわゆる重層
法と、支持体と写真層をよく接着する層を一層のみ塗布
する単層法とがあり、いずれの方法を用いてもよい。こ
れらは、「発明協会公開技報 公技番号94−602
3」18ページ〜22ページ(6.下塗り・バック素
材)に記載の方法で実施することができる。本発明の支
持体には、帯電防止層を付与することが好ましい。この
ような帯電防止剤は特に制限されず、導電性の帯電防止
剤でも良いし、帯電列調整作用を有する化合物でも良
い。導電性帯電防止剤としては、金属酸化物やイオン性
化合物などを挙げることができ、本発明で好ましく用い
られる導電性の帯電防止剤は、現像処理後も帯電防止性
が失活しない導電性金属酸化物及びその誘導体,導電性
金属,炭素繊維,π共役系高分子(ポリアリーレンビニ
レン等)などであり、この中でも特に好ましく用いられ
る導電性材料は結晶性の金属酸化物粒子である。このよ
うな帯電防止剤の塗設は、「発明協会公開技報 公技番
号94−6023」22ペ−ジ〜25ペ−ジ(7.帯電
防止剤)に記載の方法で実施することができる。更に、
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、各種の情報を
記録するために特開平6−059357に記載されてい
るような磁気記録層を有していてもよい。磁気記録層は
支持体層のバック面に用いるのが好ましく、塗布または
印刷によって設けることができる。又、各種の情報を記
録するために光学的に記録するスペースを感光材料に与
えてもよい。また、本発明の支持体には、種々の機能を
付与することができる。例えば、滑り層を付与してもよ
い。ここで用いられる滑り剤としては、例えば、特公昭
53−292号公報に開示されているようなポリオルガ
ノシロキサン、米国特許第4、275、146号明細書
に開示されているような高級脂肪酸アミド、特公昭58
−33541号公報、英国特許第927、446号明細
書或いは特開昭55−126238号及び同58−90
633号公報に開示されているような高級脂肪酸エステ
ル(炭素数10〜24の脂肪酸と炭素数10〜24のア
ルコールのエステル)、そして、米国特許第3、93
3、516号明細書に開示されているような高級脂肪酸
金属塩、また、特開昭58−50534に開示されてい
るような、直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコールのエス
テル、世界公開90108115.8に開示されている
ような分岐アルキル基を含む高級脂肪酸−高級アルコー
ルエステル等が知られている。このような滑り層の付与
は、「発明協会公開技報 公技番号94−6023」2
5ページ〜28ページ(7.滑り剤)に記載の方法で実
施することができる。次に本発明の写真感光材料の写真
層について記載する。ハロゲン化銀乳剤層としてはカラ
ー用黒白用何れでもよい。これらの乳剤層の調製方法
は、「発明協会公開技報 公技番号94−6023」7
9ページ〜83ページ(16.感光層)に記載の方法で
実施することができる。このようにして得られたフィル
ムはカートリッジ内のスプールに巻き付けて用いられる
が、スプールの直径は5〜11mmのものを用いるのが
好ましく、より好ましくは、6〜10mm、さらに好ま
しくは、7〜9mmである。この範囲以下では、巻癖が
強くなりすぎ、ミニラボ内でトラブルを発生しやすく、
一方この範囲以上では、カートリッジの小型化を実現で
きない。本発明中に記載した物性値の測定法について説
明する。 1.ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm) 本発明で言うTgとは、走査型示差熱分析計(DSC)
を用いて求めることができる。すなわち、窒素気流中で
サンプル10mgを、一度20℃/分で300℃まで昇
温後(1st run )、室温まで急冷し、非晶としたあ
と、再び20℃/分で昇温(2nd run )したときにベ
−スラインから偏奇しはじめる温度と新たなベースライ
ンに戻る温度の算術平均として求めたものをTg とし、
融解ピークの最大点を示す温度をTm とした。
【0033】2.結晶化度(χc ) DSCを用いて、最外層のχcを下記方法で求めた。 (1) サンプルフィルム最外層を剃刀を用いて5mgずつ
削り取る。 (2) 窒素気流中、20℃/分で室温から330℃まで昇
温し、DSC測定を行い、融解熱を求める(1st run
)。 (3) 下記方法でχcを求める。 χc =(サンプルの融解熱)/(結晶の融解熱) なお、結晶の融解熱は、下記方法で求めた。窒素気流中
でサンプル10mgを、DSC中で一度20℃/分で3
00℃まで昇温後(1st run )、室温まで急冷し、非
晶とする。これを結晶化温度(DSCの2nd run で観測
される発熱ピークの頂点を示す温度)で、発熱が観測さ
れなくなるまで等温結晶化させる。この融解熱を上記方
法で測定したものを「結晶の融解熱」とした。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 1)支持体の作成 ・積層体 表1に示したような、ポリエステルを通常のエステル交
換法にしたがって重合した。これを押し出し機を用い3
10℃で溶融後表1に示した組み合わせで共押しだし法
により、全層厚み90μmのPEN/共重合体ポリエス
テル或いはPEN/ブレンドポリエステルの積層ポリエ
ステルフィルムを得た。これを表1に示した条件で二軸
延伸を行った後、熱風を吹き込むことで230℃に保っ
た熱固定ゾーン(ゾーン中の温度範囲:最高温度と最低
温度の差=10℃)に導き、5%の緩和を行いながら6
秒間熱固定した。これを40℃にまで冷却後巻取り、表
1に示した厚みと表裏の結晶化度の差を持った2軸延伸
積層フィルムを得た。この様にして製膜したフィルムは
高い固有粘度を有する面を内側に、低い固有粘度を有す
る面を外側にカールする性質を有していた。 ・単層体 比較例として、単層の2軸延伸フィルムも製膜した。こ
れらの厚みは90μmであった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】2)支持体の熱処理と表面処理 上記の方法で得たフィルムを表1の条件で熱処理をし
た。熱処理は全て直径30cmの巻芯に下塗面を外側にし
て実施した。この後、全てのフィルム支持体の両面に、
0.2Torrの減圧(H2 O分圧80モル%)、出力25
00Wで0.5KV・A・分/m2の処理強度で両面にグ
ロー放電処理をした。ベース予熱温度は、全て90℃と
した。
【0038】3)下塗層(乳剤層側)の塗設 表1に示した全ての支持体に下記組成の下塗液を10ml
/m2塗布し、Tg −5℃の温度で10分間乾燥した。 ゼラチン 1.0 重量部 サリチル酸 0.3 重量部 レゾルシン 1.0 重量部 化合物6 0.05 重量部
【0039】
【化1】
【0040】 ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.1 重量部 水 2.2 重量部 メタノール 95.35 重量部 4)バック層の塗設 下塗後の支持体の下塗層を設けた側とは反対側の面に、
下記組成のバック処方を塗設した。 (4ー1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチ
モン複合物分散液)の調整 塩化第2スズ水和物230重量部と3塩化アンチモン2
3重量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液
を得た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を前記
溶液がpH3になるまで滴下し、コロイド状酸化第2ス
ズと酸化アンチモンの共沈澱物を得た。得られた共沈澱
物を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱
物を得た。平均粒径は0.05μmであった。赤褐色コ
ロイド状沈澱物を遠心分離により分離した。過剰なイオ
ンを除くため沈澱物に水を加え遠心分離によって水洗し
た。この操作を3回繰り返し過剰イオンを除去した。過
剰イオンを除去したコロイド状沈澱物200重量部を水
1500重量部に再分散し、500℃に加熱した焼成炉
に噴霧し、青みがかった平均粒径0.005μmの酸化
第2スズ/酸化アンチモン複合物の微粒子を得た。この
微粒子粉末の抵抗率は25Ω・cmであった。上記微粉末
40重量部と水60重量部の混合液をpH7.0に調整
し、攪拌機で粗分散の後、横型サンドミル(ダイノミ
ル、Willy A.Backfen AG製)で滞留時間が30分にな
るまで分散して調整した。二次粒凝集体としての平均粒
径は0.15μmであった。
【0041】(4ー2)帯電防止層の塗設 下記処方を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布し、
Tg−5℃の温度で30秒間乾燥した(この時、搬送系
のケーシング内温度及び搬送ローラーの実質的な温度は
Tg−5℃であることを確認した)。 ・導電性微粒子分散液(SnO2 /Sb2 3 、0.10μm)10重量部 ・ゼラチン 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部
【0042】(4ー3)バック層の塗設 さらに、ジアセチルセルロースをバインダーとして、以
下の処方でバック分散塗布液を作成した。 ・二酸化ケイ素(平均粒径0.3μm) 0.01 重量部 ・酸化アルミニウム 0.03 重量部 ・ジアセチルセルロース 1.0 重量部 ・メチルエチルケトン 9.4 重量部 ・シクロヘキサノン 9.4 重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンパラノニルフェノールエーテル 0.06 重量部 ・トリメチロールプロパン 3トルエンジイソシアネート付加物 0.03 重量部 ・コロイダルシリカ(エアロジル平均粒径0.02μm)0.02 重量部 ・C8 17SO2 N(CH3 )(CH2 CH2 O)6 H 0.01 重量部 ・ポリ(二フッ化ビニリデン/四フッ化ビニリデン) 0.01 重量部 (モル比9:1) ・ポリ(メチルメタクリレート/ジビニルベンゼン) 0.01 重量部 (モル比9:1、平均粒径1.0μm) 分散はサンドグラインダーを用い、2000回転で2時
間行った。分散メディアとしてはガラスビーズを用い
た。得られた液にトルエンジイソシアネート化合物をバ
インダーに対して30%添加した後、バーコーターに
て、固形分ジアセチルセルロースの塗布量が0.3g/
m2となるように先に塗布した帯電防止層の上に塗布、1
15℃3分間乾燥した。(この時、搬送系のケーシング
内温度及び搬送ローラーの実質的な温度は115である
ことを確認した)。
【0043】(4−4)滑り層の塗設 滑り剤分散液の作成 下記2種類の滑り剤を4:1の割合で混合し、等重量の
キシレンを加え100℃で加熱溶解後、攪拌と超音波を
かけつつ、この液に滑り剤溶液の10倍重量の室温イソ
プロパノールを一気に添加し、分散液を作成した。更
に、この分散液を、キシレン/シクロヘキサノン/イソ
プロパノール(70/25/5重量比)に希釈し高圧ホ
モジナイザー(25℃、300kg/cm2 )で微細分散し
て、滑り剤の濃度が0.1重量%となるようにした。塗
布はスライドコーティング方式で15mg/m2になるよう
に行い、115℃で5分間乾燥した。(この時、搬送系
のケーシング内温度及び搬送ローラーの実質的な温度は
115℃であることを確認した)。 n−C1735COOC3061−n 4 重量部 n−C3061O(CH2 CH2 O)10H 1 重量部
【0044】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材の主な物は下記のよ
うに分類されている。 ExC:シアンカプラー ExM:マゼンタカプラー ExY:イエローカプラー ExS:増感色素 UV :紫外線吸収剤 HBS:高沸点有機溶剤 H :ゼラチン硬化剤 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。但し、増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0045】第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0046】第2層(中間層) ヨウ臭化銀乳剤G 銀 0.065 2,5−ジ−t−ペンタデシルハイドロキノン0.18 ExC−2 0.020 UV−1 0.060 UV−2 0.080 UV−3 0.10 HBS−1 0.10 HBS−2 0.020 ゼラチン 1.04
【0047】第3層(低感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤A 銀 0.25 ヨウ臭化銀乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0048】第4層(中感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0049】第5層(高感度赤感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0050】第6層(中間層)Cpd−1
0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0051】第7層(低感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0052】第8層(中感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0053】第9層(高感度緑感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0054】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0055】第11層(低感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0056】第12層(中感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0057】第13層(高感度青感乳剤層) ヨウ臭化銀乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0058】第14層(第1保護層) ヨウ臭化銀乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0059】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0060】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ためにW−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F−
1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、イ
リジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0061】
【表3】
【0062】表2において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2−191938号の実施例
に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒
子調製時に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3−237450号の実施例
に従い、各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸
ナトリウムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が
施されている。 (3)平板状粒子の調製には特開平1−158426号
の実施例に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3−237450号に記載されているような転
位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。また、
この写真感光材料に用いたカプラーや各種添加剤等の化
合物名を示す。
【0063】
【化2】
【0064】
【化3】
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
【0067】
【化6】
【0068】
【化7】
【0069】
【化8】
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】
【化11】
【0073】
【化12】
【0074】
【化13】
【0075】
【化14】
【0076】
【化15】
【0077】
【化16】
【0078】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルについて
樋状カール、巻き癖カールの評価を下記手順に従って実
施した。 6ー1)幅方向カール(樋状カール) フィルムを幅方向に35mm、長手方向に3mmの大き
さに裁断し、これを25℃・10%RH下で4時間以上調
湿後、ANSI/AS C pH1.29−1985の
Test Method Aに従ってカ−ル板を用いて測定した。こ
れを、1/R〔m〕(Rはカールの半径)で表示した。
【0079】6−2)巻癖カ−ル(コアセットカ−ル) (1) コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃,60%RHで1晩調湿後、感
光層を内巻にし、直径7mmのスプールに巻きつけた。こ
れを密封容器中に入れ、80℃で2時間加熱して巻きぐ
せを付けた。(この温度条件は、夏季に車中に置かれた
フィルムを想定した条件である。) (2) 現像処理、巻き癖カール測定 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、一晩25℃の部
屋の中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを
取出し、これを自動現像機(ミニラボFP−560B:
富士写真フイルム製)で現像処理し、直ちに25℃,6
0%RH条件下で、カール板を用いて、ANSI/AS
C PH1.29−1985のTest Method Aに従って
測定し、1/R〔m〕(Rはカールの半径)で表示し
た。さらに、巻き癖カールが強い事によって生じる現像
処理ムラとフィルムの後端折れも目視で評価した。現像
処理条件を下記に示す。測定に使用した試料は、前もっ
て像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、発色
現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実施し
た処理液を用いて処理された。 処理工程 温 度 時間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 38℃ 1分 漂 白 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 定 着 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 安定浴 38℃ 1分
【0080】用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β− ヒドロキシエチル)アニリン・モノサルフェート) 4g 水を加えて 全量 1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ミリリットル 酢酸 30ミリリットル 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ミリリットル カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明バン 15g 水を加えて 全量 1リットル
【0081】7)結果 評価結果を表1に示した。本発明の多層構造よりなるポ
リエステルフィルムを支持体として用いた表1のサンプ
ルNo. 2〜7,9〜12,14〜19,21,22,2
4,25は積層構造を有さないサンプルに比べて、樋状
カールが小さく良好であった。また、本発明の熱処理方
法により熱処理を施した表1のサンプルNo. 2,4,
6,7,9,11,13,14,16,18,19,2
1,24は巻き癖カールは小さく、現像処理トラブルを
発生せずより好ましい結果が得られた。一方、本発明の
熱処理を施さなかったサンプルは現像トラブルえお発生
した。また、少なくとも一層のTg が90℃未満の、サ
ンプルNo.6,7,18,19も巻癖カ−ルがやや強く
なり現像トラブルを発生した。
【0082】実施例2 1)支持体の作成 表3に示した様な、PEN/共重合体ポリエステルある
いはPEN/ブレンドポリエステルの層構成を有した積
層ポリエステルフィルムを、実施例1と同じ条件で押し
出し未延伸フィルムとした後、140℃で3.0倍の縦
延伸、続いて130℃で3.2倍の横延伸を行った。こ
の後、表3中に示した温度で、20秒間熱固定を行っ
た。熱固定は、5%の弛緩を行いながら、所定の温度の
熱風を送り込みながら実施した。この時の熱固定ゾ−ン
中の最高温度と最低温度の差は15℃であった。この後
40℃まで冷却した後巻取り、2軸延伸積層フィルムを
得た。また、本実施例のなかでは明細書本文中に記載し
たポリマ−素材以外にも、下記のような素材も用いた。 4−1 2,6−NDCA/TPA/EG=25/75/100 Tg=82℃ Tm=254℃ 4−2 PEN/PET=25/75 Tg=82℃ Tm=254℃ 4−3 2,6−NDCA/NPG/EG=100/80/20 Tg=95℃ Tm=235℃ 4−4 PEN/PAr=40/60 Tg=160℃ Tm=234℃ 4−5 PET Tg=79℃ Tm=253℃ また、下記の固有粘度の異なるPENも用いた。 4−6 PEN(固有粘度0.55) Tg=119℃ Tm=268℃ 4−7 PEN(固有粘度0.72) Tg=119℃ Tm=268℃
【0083】このようにして得られた積層フィルムのヤ
ング率・層間密着を下記の方法で測定した。 ・ヤング率の測定 サンプルフィルムを長さ200mm幅10mmに裁断
し、これをチャック間距離100mmになるように引っ
張り試験機にセットする。これを25℃60%RH下で1
0mm/分で引っ張りながら測定した。これを長手方
向、幅方向で測定し、その平均値を求めた。これらの結
果は表3に示した。 ・層間密着 フィルムの片面に5mm間隔で剃刀で切れ込みを入れ、
その上に粘着テ−プを張り付け強く擦る。粘着テ−プを
180度方向に勢いよく引きはがし密着の程度を評価し
た。全く剥離しないものを○、剥離面積が10%以下の
ものを△、それ以上剥離したものを×とした。△、○が
許容レベルである。共通成分が50%以下のサンプルN
o. 1,11,15,23,24,25は△であり、5
0%以上共通成分を有する、これら以外のサンプルはす
べて○であった。
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】2)支持体の熱処理、表面処理、下塗り
層、帯電防止層、バック層、滑り層の塗設 上記方法で得たフィルムを、実施例1と同様にしてフィ
ルムの両面にグロー放電処理を施した。この後、実施例
1と同様にして一方の面に帯電防止層を付与した後、表
3に示した条件で熱処理を施した。熱処理は、直径30
cmのアルミニウム性巻芯に帯電防止層を内巻にして巻
き付けて実施した。この後、実施例1と同様にして、帯
電防止層と反対の面に下塗り層、帯電防止層側にバック
層、滑り層をそれぞれ実施例1と同様にして塗設した。
【0087】3)感光層の塗設 実施例1と同様にして、下塗り面側に感光層を塗設し
た。 4)写真感材の評価 このようにして得た写真感材について樋状カ−ル、現像
後のカ−ル、現像処理トラブル、圧力かぶり、クニック
を評価した。 4−1)樋状カール(幅方向のカール) 実施例1と同様の方法で評価した。 4−2)現像後のカール、現像処理トラブル 実施例1と同様にコアセット、現像処理を行った後、巻
癖カ−ル測定を実施した。現像トラブルについては目視
で評価し、次のように表現した。現像処理は、全く発生
していないものを○、軽度のムラが発生しているものを
△、強度のムラが発生しているものを×とした。また、
フィルムの後端オレは発生しないものを○、発生してい
るがプリント時に問題のないものを△、プリント時に問
題を発生するものを×とした。実用上許容されるのは
△、○である。 4−3)圧力かぶり 表3に示したスプ−ルに、25℃60%RH下で調湿して
おいた未露光の感材を、感光層を内側にして巻き付けた
あと、1時間放置した。これを、実施例1の巻癖評価の
ところに記載した現像処理を施した後、目視で評価を行
った。全くかぶりの発生しなかったものを○、発生した
がフィルム後端から10cm以内のものを△、それ以上
のところでも発生しているものを×とした。△、○が許
容される。 4−4)クニック 未露光の感材を 実施例1の巻癖評価のところに記載し
た現像処理を施した後、感材に発生したクニックを評価
した。全く発生しなかったものを○、発生したが、プリ
ント時に影響を及ぼさなかったものを△、プリント時に
影響したものを×とした。許容されるのは、△と○であ
る。
【0088】5)結果 評価結果を表3に示した。本発明の温度範囲外で熱固定
を実施したサンプルNo.3,4,13,14,17,
18,20,21はいずれもヤング率が大きく低下し、
あるいは大きな幅方向カ−ルとなり好ましくなかった。
一方本発明条件で熱固定を行った、これ以外のサンプル
はヤング率が高く、幅方向カ−ルも小さく良好であっ
た。また、同一素材で固有粘度の異なるものを積層した
サンプルNo.27は幅方向カ−ルは大きくなり好ましく
ない。各層のTg は90℃であることがより好ましく、
これ以下の素材を有するサンプルNo. 24,25,26
は巻癖カ−ルがやや大きく、現像処理トラブルが発生し
ている。(χCA−χCB)/χCAは、0.05から0.9
のほうがより好ましく、この範囲外のサンプルNo.
1,11,15,22,23はややヤング率が低下して
いる。各層の厚みは10μm以上が好ましく、これ以下
のサンプルNo.5では、樋状カ−ルの値がやや大きく
なる。また、全層の厚みは60μm未満のサンプルNo.
7では、△レベルの弱いクニックが発生した。他のサン
プル、即ち60μm以上の厚みを有するものはすべて○
レベルであった。各層の素材のTmの差は30℃〜2℃
であることがより好ましく、この範囲外のサンプルNo.
22,23はヤング率がやや低下している。一方、サン
プルNo.27は各層の素材のTm は同一であり差は0
であるため、2℃以上Tmの差を有する実施例2の結果
に比べて樋状カ−ルがやや大きめになっている。スプー
ル径は5mm以上がより好ましく、それ以下のスプール
に巻き付けたサンプルNo.9では圧力かぶりが発生し
ている。
【0089】
【発明の効果】本発明の製造方法を実施することによ
り、樋状カ−ル(幅方向のカール)がつきにくく、かつ
力学強度および層間密着の優れた写真用ポリエステル積
層フィルムを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/81 (72)発明者 後藤 靖友 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種類以上のポリエステルを
    積層し、かつ各層を構成するポリエステルのガラス転移
    温度(Tg )が、いずれの層も90℃以上200℃以下
    の積層体の製膜法において、(1)式で示される温度範
    囲で熱固定を行ったことを特徴とする写真用ポリエステ
    ル積層支持体の製造方法。 熱固定温度(℃)=(Tm(H)−10)〜(Tm(L)−50) (1)式 (Tm(H)(℃):積層支持体を構成するポリエステルの
    うち、最も高い融解温度 Tm(L)(℃):積層支持体を構成するポリエステルのう
    ち、最も低い融解温度)
  2. 【請求項2】 Tm(H)とTm(L)の差が2℃以上30℃以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の写真用ポリ
    エステル積層支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2の方法で製造した写真用ポ
    リエステル積層支持体に於いて、一方の最外層の結晶化
    度χCAと他方の最外層の結晶化度χCBが(2)式の関係
    を満たすことを特徴とする写真用ポリエステル積層支持
    体。 0.05≦(χCA−χCB)/χCA≦0.9 (2)式
  4. 【請求項4】 積層体を構成する少なくとも一層が、ナ
    フタレンジカルボン酸とエチレングリコールを主成分と
    するポリエステルからなることを特徴とする請求項3,
    4に記載の写真用ポリエステル積層支持体。
  5. 【請求項5】 積層体を構成する隣接層どうしが、少な
    くとも50%以上の共通成分を有することを特徴とする
    請求項3,4に記載の写真用ポリエステル積層支持体。
  6. 【請求項6】 積層体が2層からなり、全層の厚みが6
    0μm以上100μm以下であることを特徴とする請求
    項3〜5に記載の写真用ポリエステル積層支持体。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6に記載の写真用ポリエステ
    ル積層支持体上に、少なくとも1層の感光性層を塗設し
    たことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  8. 【請求項8】 該写真用ポリエステル積層支持体を、該
    ポリエステル積層体を構成するポリエステルの内で、最
    も高いTg を有するポリエステルのTg 以下、50℃以
    上で、製膜後から感光層塗設までの間に、熱処理された
    ことを特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料。
  9. 【請求項9】 該写真感光材料が、外径が5〜11mmの
    スプールに巻き込まれるロール状であることを特徴とす
    る請求項7,8に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  10. 【請求項10】 該ポリエステルが、実質的に金属スル
    ホネ−ト基および/またはポリオキシエチレン基を含ま
    ないことを特徴とする請求項1に記載の写真用ポリエス
    テル積層支持体の製造方法。
JP23740594A 1994-01-28 1994-09-30 写真用ポリエステル積層支持体の製造方法 Pending JPH07251491A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0844519A1 (en) * 1996-11-19 1998-05-27 Eastman Kodak Company Co-extruded film with non-crystalline core
JP2011161645A (ja) * 2010-02-04 2011-08-25 Seiren Co Ltd インクジェットプリント用メディア

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