JPH07179040A - サーモクロミズム組成物、サーモクロミズム発現方法、それを利用した記録媒体および記録方法 - Google Patents

サーモクロミズム組成物、サーモクロミズム発現方法、それを利用した記録媒体および記録方法

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JPH07179040A
JPH07179040A JP5323985A JP32398593A JPH07179040A JP H07179040 A JPH07179040 A JP H07179040A JP 5323985 A JP5323985 A JP 5323985A JP 32398593 A JP32398593 A JP 32398593A JP H07179040 A JPH07179040 A JP H07179040A
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JP
Japan
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acid
color
thermochromism
amino
recording medium
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JP5323985A
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English (en)
Inventor
Katsuji Maruyama
勝次 丸山
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録された画像がある期間経過すると自然に
消色し、しかも、再使用できるようなサーモクロミズム
記録組成物およびそれを利用した記録媒体を提供するこ
と。 【構成】 炭素数12以上の高級アルキル基を有する有
機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物およびフェノ
ール性化合物のうち何れかである電子受容性化合物およ
びこれ等の化合物と加熱反応して発色する電子供与性化
合物を含有する組成物であり、その発色状態における示
差走査熱量分析または示差熱分析における昇温過程で発
熱ピークを示す可逆的熱発色組成物において、更に消色
促進剤を含有する経時制御型サーモクロミズム組成物、
およびそれを利用した記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子供与性呈色性化合物
と電子受容性化合物との間の発色反応を利用したサーモ
クロミズム組成物およびそれを用いた可逆的感熱記録媒
体および記録方法に関するものである。さらに、選択さ
れた消色促進剤を併用した経時制御型サーモクロミズム
組成物、サーモクロミズム発現方法、それを利用した記
録媒体および記録方法である。
【0002】
【従来の技術】温度変化により可逆的に色調変化を示す
材料は、例えば、特公昭51−44707、4470
9、44908、特開昭51−31682、54−58
727等でジアリールフタリド、スピロピラン、または
フルオラン等の電子供与性呈色性化合物とフェノール性
化合物を電子受容性化合物に第3物質としてアルコール
類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、
またはカルボン酸類から選ばれる化合物の3成分からな
る可逆熱変色材料の提案、また、特開昭53−1029
22では、上記第3物質として非イオン界面活性剤また
は結晶性ワックスからなる可逆性加熱発消色性色材の提
案、また、特開昭56−159275、特開昭61−1
2783では、指示薬と温度によりPHが可逆的に変化
するとする酸・塩基混合系の併用の提案、また、特開昭
59−184269では、結晶水の喪失により変色する
化合物を利用した熱変色性組成物、また、特開昭60−
149685では、上記第3物質として有機カルボン酸
と第一級アミンとの塩からなる熱可逆変色性組成物の提
案等等がある。しかしながら、これらの提案の何れも
が、温度に依存して色調変化を示すがメモリー性を有し
ていないために、記録材料として用いるまでに至らず、
示温塗料等に一部で用いられているのみである。一方、
メモリー性を保持可能である提案では、例えば、特開昭
52−140483では、電子受容性顕色剤として、オ
キシ安息香酸エステル誘導体を用いて、誘導体化合物の
選択により熱発色体の消色速度を調節しているサーモク
ロミズム材料の提案があるが、消色の速度や発色が残る
という消色の状態が充分とはいえず、実用に限定があ
る。また、特開昭60−193691では、電子受容性
顕色剤として没食子酸とフロログルシノールとの組合せ
を用いたものが示されているが、熱発色体は水または水
蒸気で消色するものであり、この場合も問題が残る。ま
た、特開平2−188293、188294では、フェ
ノール性水酸基とカルボキシル基を有し、且つアミノ基
との塩化合物形成系を用いて、特定温度域で熱発色さ
せ、それより高温で加熱により消色させることができる
が、顕色作用と減色作用とは競争的に起こるためこれら
の作用を熱的に制御することがむずかしく、また、高い
濃度が得られにくいこともあり、未だ充分とは言い難
い。
【0003】本発明者らは、発色剤と顕色剤との間の反
応を利用した可逆的熱発色組成物において、従来技術に
見られる前記問題を解決し、発色と消色を加熱のみで容
易に行わせることができ、しかも、その発色状態と消色
状態を常温において安定に保持することが可能で且つ、
消色温度が発色温度よりも低い可逆的熱発色組成物およ
び安定した発色状態と消し残りのない消色状態が得ら
れ、発色と消色の繰返しが安定して行える可逆的感熱記
録媒体および表示体を用いる記録方法および表示方法そ
の他について特開平5−124360において提案して
いるが、本提案に特定の消色促進剤を第3物質として加
えることにより、発色体の経時消色を制御できることを
見出して本発明を完成するに至った。
【0004】従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発
色剤とも言う)と電子受容性化合物(以下、顕色剤とも
言う)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く
知られ、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、自
動券売機、科学計測機のプリンター、CRT医療計測機
用プリンター等に広範囲に応用され使用されている。し
かしながら、従来の製品は、いずれも、その発色が不可
逆的なもので、発色と消色を交互に繰り返して行わせる
ことはできない。最近、環境問題や自然保護の立場か
ら、記録された情報画像が一定の時間または一定の期間
可視化可能な状態で保持され、不可視化または消色の特
別の手段を用いることなく経時で不可視化または消色さ
れ且つ繰返して使用可能であるような記録媒体が必要に
なってきた。例えば、ワードプロセッサーの試し刷り
用、保存の必要がない打合せメモや会議資料、ファクシ
ミリ送信用宛名または原稿、等の一度使用後捨てられる
ものの再利用である。
【0005】特開平5−124360の提案の完成は、
一つの化合物で顕色と消色の両機能を有する構造の化合
物を見出したことによるもので、すなわち、主として脂
肪族系で顕色能を現す水酸基若しくはカルボキシル基の
部分と分子間の凝集力に影響する長い脂肪族鎖構造部分
とを合わせ持つ化合物であり、加熱により得られた発色
体の消色は発色温度より低い温度で再加熱を行うと、顕
色剤が結晶化して発色剤から分離するために消色状態に
なることが解明されており、繰り返して使用できること
は前述の通りである。本発明はこれらの知見を元に、前
記顕色剤の凝集力を弱めることにより経時消色制御がで
きる消色促進制御可能な化合物を見出して完成したもの
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、記録された
画像がある期間経過すると自然に消色し、しかも、再使
用できるようなサーモクロミズム組成物、それを利用し
た記録媒体、表示媒体、記録方法等を提供しようとする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の経時消色制御型
サーモクロミズム組成物は、基本的に発色剤と顕色剤の
組合せに消色促進剤を組合せることによって構成される
ものである。発色剤としては、それ自体無色あるいは淡
色の染料前駆体であり、特に限定されず、従来公知のも
の例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フル
オラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオー
ラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物などが用
いられる。
【0008】本発明の可逆的熱発色組成物に用いられる
顕色剤は、基本的に分子内に発色剤を発色させることが
できる顕色能を示す構造と分子間の凝集力をコントロー
ルする長い脂肪族鎖構造部分を合わせ持つ化合物であ
り、炭素数12以上の脂肪族基を持つ有機リン酸化合
物、脂肪族カルボン酸化合物あるいはフェノール化合物
である。脂肪族基は、直鎖状または分枝状のアルキル
基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ
基、エステル基等の置換基を有していてもよい。有機リ
ン酸化合物としては、下記一般式(1)で表わされる化
合物が用いられる。 R1−PO(OH)2 (1) (ただし、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例と
しては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルホ
スホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホス
ホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン
酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘ
キサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
【0009】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸類が用い
られる。 R2−CH(OH)−COOH (2) (ただし、R2は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボ
ン酸化合物としては、たとえば以下のものが挙げられ
る。
【0010】α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシ
テトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−
ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカ
ン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシド
コサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロ
キシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸
等。
【0011】脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲ
ン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を持つ脂
肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ
位の炭素にハロゲン元素を持つものが用いられる。この
ような化合物の具体例としては、たとえば以下のものを
挙げることができる。2−ブロモヘキサデカン酸、2−
ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2
−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブ
ロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−
ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン
酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカ
ン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオク
タデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロ
ドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオ
クタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨード
オクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸等。
【0012】脂肪族カルボン酸化合物としては、炭素鎖
中にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を有する
脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位
またはγ位の炭素がオキソ基となっているものが用いら
れる。このような化合物の具体例としては、たとえば以
下のものを挙げることができる。2−オキソドデカン
酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカ
ン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサ
ン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン
酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカ
ン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサ
ン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデ
カン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサ
ン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式
(3)で表わされる二塩基酸が用いられる。
【0013】
【化1】
【0014】(ただし、R3は炭素数12以上の脂肪族
基を表わし、Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、
nは1または2を表わす)一般式(3)で表わされる二
塩基酸の具体例としては、たとえば、以下のものが挙げ
られる。ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘ
キサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコデ
シルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ
酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ
酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリン
ゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ
酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ
酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオ
リンゴ酸、オクタデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジ
チオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシル
ジチオリンゴ酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、
下記一般式(4)で表わされる二塩基酸が用いられる。
【0015】
【化2】
【0016】(ただし、R4、R5、R6は水素又は脂肪
族基を表わし、このうち少なくともひとつは炭素数12
以上の脂肪族基である)一般式(4)で表わされる二塩
基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられ
る。ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テト
ラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタ
デシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブ
タン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3
−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシ
ルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二
酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エ
チル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−デ
シルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタ
ン酸、2−テトラデシル−3−オクタデシル二酸等。脂
肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(5)で表
わされる二塩基酸が用いられる。
【0017】
【化3】
【0018】(ただし、R7、R8は水素又は脂肪族基を
表わし、このうち少なくともひとつは炭素数12以上の
脂肪族基である)一般式(5)で表わされる二塩基酸の
具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。ド
デシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシル
マロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン
酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデ
シルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシ
ルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマ
ロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロ
ン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロ
ン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシ
ルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシ
ルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。脂肪族カ
ルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表わされ
る二塩基酸が用いられる。
【0019】
【化4】
【0020】(ただし、R9は炭素数12以上の脂肪族
基を表わし、nは0または1を表わし、mは1,2また
は3を表わし、nが0の場合、mは2または3であり、
nが1の場合はmは1または2を表わす)一般式(6)
で表わされる二塩基酸の具体例としては、たとえば以下
のものが挙げられる。2−ドデシル−ペンタン二酸、2
−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペ
ンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコ
シル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2
−ベンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘ
キサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコ
シル−ヘキサン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物として
は、長鎖脂肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三
塩基酸も用いられる。その具体例としては、たとえば以
下のものが挙げられる。
【0021】
【化5】
【0022】フェノール化合物としては、下記一般式
(7)で表わされる化合物が用いられる。
【0023】
【化6】
【0024】(ただし、Yは−S−,−O−,−NHC
O−,−CONH−又は−COO−を表わし、R10は炭
素数12以上の脂肪族基を表わし、nは1,2または3
の整数である)。一般式(7)で表わされるフェノール
化合物の具体例としては、たとえば以下のものが挙げら
れる。
【0025】p−(ドデシルチオ)フェノール、p−
(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシル
チオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノー
ル、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシ
ルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノ
ール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テト
ラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキ
シ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノー
ル、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコ
シルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)
フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p
−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデ
シルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバ
モイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノ
ール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テト
ラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシ
ルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸
エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食
子酸テトラコシルエステル等。
【0026】本発明の可逆的感熱発色性組成物は、基本
的に前記顕色剤に対して発色剤を組合せることによって
構成されるものである。本発明で用いる発色剤は電子供
与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染
料前駆体であり、特に限定されず、従来公知のもの、た
とえばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラ
ン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミ
ン系化合物、インドリノフタリド系化合物などが用いら
れる。その発色剤の具体例を以下に示す。
【0027】
【化7】
【0028】(ただし、R3は水素または炭素数1〜4
のアルキル基、R4は炭素数1〜6のアルキル基、シク
ロヘキシル基または置換されていてもよいフェニル基を
示す。フェニル基に対する置換基としては、メチル基、
エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基な
どのアルコキシ基またはハロゲン等が示される。R5
水素、炭素数1〜2のアルキル基、アルコキシ基または
ハロゲンを表わす。R6は水素、メチル基、ハロゲンま
たは置換されていてもよいアミノ基を表わす。アミノ基
に対する置換基としては、例えば、アルキル基、置換さ
れていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラ
ルキル基を示す。ここでの置換基はアルキル基、ハロゲ
ン、アルコキシ基などである)。このような発色剤の具
体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。
【0029】3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフ
ルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフル
オラン、3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,
4’−ジメチルフェニル)アミノフルオラン、3−(N
−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−プロピル−
N−メチル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フ
ェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メ
チル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−n−
プロピル−N−イソプロピル)アミノ−6−メチル−7
−フェニルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−
sec−ブチル)アミノ−6−メチル−7−フェニルア
ミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリ
フルオロメチルフェニル)アミノフルオラン、3−(N
−n−アミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−
フェニルアミノ、3−n−オクチルアミノ−7−(p−
クロルフェニル)アミノフルオラン、3−n−パルミチ
ルアミノ−7−(p−クロルフェニル)アミノフルオラ
ン、3−ジ−n−オクチルアミノ−7−(p−クロルフ
ェニル)アミノフルオラン、3−(N−n−アミル−N
−n−ブチル)アミノ−7−(p−メチルカルボニルフ
ェニル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−エチル−N
−n−ヘキシル)アミノ−7−フェニルアミノフルオラ
ン等。
【0030】本発明において好ましく用いられる他の発
色剤の具体例を示すと、以下の通りである。3,3−ビ
ス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3
−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチル
アミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクト
ン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−
6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメ
チルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−
ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−
(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル
−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3’−トリフ
ルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノ
フルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)−
6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタ
ム〕、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−ト
リクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ
ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラ
ン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロ
ヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチ
ル−7−(N,N−ジベンジアルミノ)フルオラン、ベ
ンゾロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メト
キシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ
−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、
3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメトキシアミノフェ
ニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニ
ル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチ
ルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニ
トロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−
4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキ
シ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メ
トキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’
−ヒドロキシ−−4’−クロル−5’−メトキシフェニ
ル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−
トリフルオロメチルアニリン)フルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフル
オロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7
−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェ
ニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p
−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フ
ルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカ
ルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルア
ミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)
フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフル
オラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス
(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−
6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−
N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α
−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3
−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル
−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7
−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチ
ル−7−タシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、
3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリ
ノ)フルオラン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフ
ェニル)−6−クロルフタリド、3−シクロヘキシルア
ミノ−6−クロルフルオラン、3−シクロヘキシルアミ
ノ−6−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−
クロルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフ
ルオラン、3−ジブロピルアミノ−7−クロルフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−フェニルア
ミノ−フルオラン、3−ピロリジノ−6−クロル−7−
フェニルアミノ−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6
−クロル−7−(m−トリフロロメチルフェニル)アミ
ノ−フルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロ
ル−7−(o−クロルフェニル)アミノ−フルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−(2’,3’ジ
クロルフェニル)アミノ−フルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−ジブチ
ルアミノ−6−クロル−7−エトキシエチルアミノ−フ
ルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルフェ
ニル)アミノ−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−
(o−ブロモフェニル)アミノ−フルオラン、3−ジブ
チルアミノ−7−(o−フルオロフェニル)アミノ−フ
ルオラン、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミ
ノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル
−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒド
ロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’
−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、2−
〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)〕−9−(o−クロ
ルフェニル)アミノ−キサンチル安息香酸ラクタム、3
−N−エチル−N−イソアミルアミノ−7−クロルフル
オラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−ト
リフロロメチルアニリノフルオラン、3−ピロリジノ−
6−メチル−7−m−トリフロロメチルアニリノフルオ
ラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ
−6−メチル−7−m−トリフロロメチルアニリノフル
オラン、3−モルホリノ−7−(N−n−プロピル−N
−m−トリフロロメチルフェニル)アミノフルオラン、
3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−7−アミノ
−フルオラン、3−(N−エチル−N−フェニルアミ
ノ)−7−アミノ−フルオラン、3−(N−プロピル−
N−フェニルアミノ)−7−アミノ−フルオラン、3−
〔N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−
7−アミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p
−メチルフェニル)アミノ〕−7−アミノ−フルオラ
ン、3−〔N−プロピル−N−(p−メチルフェニル)
アミノ〕−7−アミノ−フルオラン、3−〔N−メチル
−N−(p−エチルフェニル)アミノ〕−7−アミノ−
フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−エチルフェ
ニル)アミノ〕−7−アミノ−フルオラン、3−〔N−
プロピル−N−(p−エチルフェニル)アミノ〕−7−
アミノ−フルオラン、3−〔N−メチル−N−(2’,
4’−ジメチルフェニル)アミノ〕−7−アミノ−フル
オラン、3−〔N−エチル−N−(2’,4’−ジメチ
ルフェニル)アミノ〕−7−アミノ−フルオラン、3−
〔N−プロピル−N−(2’,4’−ジメチルフェニ
ル)アミノ〕−7−アミノ−フルオラン、3−〔N−メ
チル−N−(p−クロルフェニル)アミノ〕−7−アミ
ノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−クロル
フェニル)アミノ〕−7−アミノ−フルオラン、3−
〔N−プロピル−N−(p−クロルフェニル)アミノ〕
−7−アミノ−フルオラン、3−(N−メチル−N−フ
ェニルアミノ)−7−メチルアミノ−フルオラン、3−
(N−エチル−N−フェニルアミノ)−7−メチルアミ
ノ−フルオラン、3−(N−プロピル−N−フェニルア
ミノ)−7−メチルアミノ−フルオラン、3−〔N−メ
チル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−7−エチ
ルアミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−
メチルフェニル)アミノ〕−7−ベンジルアミノ−フル
オラン、3−〔N−メチル−N−(2’,4’−ジメチ
ルフェニル)アミノ〕−7−メチルアミノ−フルオラ
ン、3−〔N−エチル−N−(2’,4’−ジメチルフ
ェニル)アミノ〕−7−エチルアミノ−フルオラン、3
−〔N−メチル−N−(2’,4’−ジメチルフェニ
ル)アミノ〕−7−ベンジルアミノ−フルオラン、3−
〔N−エチル−N−(2’,4’−ジメチルフェニル)
アミノ〕−7−ベンジルアミノ−フルオラン、3−(N
−メチル−N−フェニルアミノ)−7−ジメチルアミノ
−フルオラン、3−(N−エチル−N−フェニルアミ
ノ)−7−ジメチルアミノ−フルオラン、3−〔N−メ
チル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−7−ジエ
チルアミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p
−メチルフェニル)アミノ〕−7−ジエチルアミノ−フ
ルオラン、3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−
7−ジプロピルアミノフルオラン、3−(N−エチル−
N−フェニルアミノ)−7−ジプロピルアミノフルオラ
ン、3−〔N−メチル−N−(p−メチルフェニル)ア
ミノ〕−7−ジベンジルアミノ−フルオラン、3−〔N
−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−7−
ジベンジルアミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N
−(p−メチルフェニル)アミノ〕−7−ジ(p−メチ
ルベンジル)アミノ−フルオラン、3−〔N−メチル−
N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−7−アセチルア
ミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−メチ
ルフェニル)アミノ〕−7−ベンゾイルアミノ−フルオ
ラン、3−〔N−メチル−N−(p−メチルフェニル)
アミノ〕−7−(o−メトキシベンゾイル)アミノ−フ
ルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−メチルフェニ
ル)アミノ〕−6−メチル−7−フェニルアミノ−フル
オラン、3−〔N−メチル−N−(p−メチルフェニ
ル)アミノ〕−6−メチル−7−フェニルアミノ−フル
オラン、3−〔N−メチル−N−(p−メチルフェニ
ル)アミノ〕−6−t−ブチル−7−(p−メチルフェ
ニル)アミノ−フルオラン、3−(N−エチル−N−フ
ェニルアミノ)−6−メチル−7−(N−エチル−N−
(p−メチルフェニル)アミノ−フルオラン、3−〔N
−プロピル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−6
−メチル−7−〔N−メチル−N−(p−メチルフェニ
ル)アミノ〕−フルオラン、3−〔N−エチル−N−
(p−メチルフェニル)アミノ〕−5−メチル−7−ベ
ンジルアミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N−
(p−メチルフェニル)アミノ〕−5−クロロ−7−ジ
ベンジルアミノ−フルオラン、3−〔N−メチル−N−
(p−メチルフェニル)アミノ〕−5−メトキシ−7−
ジベンジルアミノ−フルオラン、3−〔N−エチル−N
−(p−メチルフェニル)アミノ〕−6−メチル−フル
オラン、3−〔N−エチル−N−(p−メチルフェニ
ル)アミノ〕−5−メトキシ−フルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチ
ル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラ
ン、3−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)−
7,8−ベンゾフルオラン、3−N,N−ジブチルアミ
ノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−メチル−N
−シクロヘキシルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラ
ン、3−(N−エチル−N−P−メチルフェニルアミ
ノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−N,N−ジアリ
ルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エト
キシエチル−N−エチルアミノ)−7,8−ベンゾフル
オラン等。
【0031】次に本発明の可逆的熱発色性組成物の発色
消色現象について説明する。図1に本発明の組成物の濃
度の温度に対する変化の様子を示す。この図の横軸は温
度を示し、縦軸は濃度をし示している。図中Aは常温で
消色状態にある組成物を示し、Bはこの組成物が加熱溶
融状態にあり発色した状態を示す。また、Cは常温にあ
るこの組成物の発色状態を示している。はじめこの組成
物がAの状態にあるとし、この状態から昇温していく
と、混合溶融(共融)しはじめる温度T1で濃度が上り
Bの状態に達する。Bの状態から冷却すると、この発色
状態を維持したまま、常温に戻りCに達する。(図中の
実線の経路)。Cの状態から再び昇温していくと、温度
2で濃度が低下し、ついには消色状態となりDに達す
る。Dの状態から冷却し降温するとそのまま消色状態A
に戻る(図中の鎖線の経路)。図1に示された温度T1
は発色開始温度であり、T2は消色開始温度である。ま
た、T2からT1までの温度が消色温度領域となる。図1
からもわかるように、本発明の組成物の発色消色現象の
特徴は、溶融して発色する温度より低い温度領域に消色
温度範囲があり、常温発色状態からこの範囲に加熱する
ことにより消色することである。また、発色と消色の現
象は繰り返し起こすことができるものである。なお、図
1は、本発明の組成物の代表的な発色と消色の仕方を示
したものであり、発色開始温度、消色開始温度は用いる
材料の組合わせで異なる。また溶融して発色している状
態Bの濃度とその状態から冷却して得た発色状態Cにお
ける濃度は必らずしも一致するものではなく、異なる場
合もある。
【0032】本発明の可逆的熱発色性組成物の発色は、
組成物を構成する顕色剤と発色剤が加熱によって共融反
応して形成した発色体を室温まで冷却することにより得
られるものである。この組成物は、溶融温度より低温側
に消色温度領域を持つため、溶融発色状態から発色を保
持したまま冷却して常温にするには、一般的には急冷で
あることが好ましい。徐冷になると消色温度領域を通る
ときに消色が起き、濃度が低下することが多い。発色体
は、発色剤と顕色剤の分子が相互作用し、発色剤のラク
トン環が開環して発色しているものと考えられる。溶融
状態から急冷された状態の組成物は、発色体および発色
体の形成には直接関与していない顕色剤分子と発色剤を
含んでいる。本発明の組成物の常温における発色状態の
組成物は、これらの間に凝集力が働き固化した状態にあ
る。従来の感熱発色性組成物の発色した状態は、凝集し
た固体とならない場合が多い。本発明の組成物は、発色
状態では凝集した固体となっている。この状態の凝集構
造には何らかの規則性を示す場合が多い。規則性の程度
は、非常に規則性の高い場合もあるし、あまり規則性の
高くない場合もあり、これは顕色剤と発色剤の組合わせ
や量比あるいは冷却条件に依存する。このような凝集構
造の形成は、基本的には発色体を形成している顕色剤分
子の長鎖構造部分および発色体を形成していない過剰分
の顕色剤分子の長鎖部分が大きな影響を及ぼしている。
【0033】本発明において、消色促進のために可逆的
熱発色組成物に含有させるアルキル基を有するケトン誘
導体は、融点を有するケトン誘導体が好ましく使用され
る。その具体例を以下に例示する。 2−ヘキサデカノン:CH3(CH213COCH3 9−ヘプタデカノン:CH3(CH27CO(CH27
CH3 3−オクタデカノン:CH3(CH214COCH2CH3 2−ノナデカノン:CH3(CH216COCH3 7−エイコサノン:CH3(CH212CO(CH25
3 2−ヘニコサノン:CH3(CH218COCH3 11−ヘニコサノン:CH3(CH29CO(CH29
CH3 12−トリコサノン:CH3(CH210CO(CH2
10CH3 9−ペンタコサノン:CH3(CH215CO(CH27
3 9−ヘキサコサノン:CH3(CH216CO(CH27
CH3 14−ヘプタコサノン:CH3(CH212CO(C
212CH3 10−ノナコサノン:CH3(CH218CO(CH28
CH3 16−ヘントリアコンタノン:CH3(CH)14CO
(CH214CH3 18−ペンタトリアコンタノン:CH3(CH216CO
(CH216CH3 22−トリテトラコンタノン:CH3(CH220CO
(CH220CH3 2−ペンタデカノン:CH3(CH212COCH3等。
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【実施例】以下実施例によって、本発明を具体的に説明
する。なお、以下に示す部はいずれも重量部である。 実施例1 i.サ―モクロミズム組成物:下記化合物を良く混合し
てサーモクロミズム組成物を得た。 3−(NN−ジ−n−ブチル)アミノ−7−o−クロル アニリノフルオラン 1.0部 オクタデシルホスホン酸 4.0部 n−トリデカノフェノン 0.2部 ii.可逆性感熱記録媒体:下記組成物を溶解して可逆性
感熱記録形成液とした。 上記サーモクロミズム組成物 1.0部 ポリウレタン樹脂(商品名:パラプレンP−22S: 日本ポリウレタン社製) 1.44部 テトラヒドロフラン 11.70部 トルエン 0.40部 この液を、100μm厚のポリエステルフィルム上にワ
イヤーバーで約14g/m2 になるように塗布し、10
0℃で5分間加熱乾燥して全面発色したシートをさらに
80℃で3分間加熱乾燥して消色処理をして経時制御型
サーモクロミズム記録シートを作製した。次に、このよ
うにして得た記録媒体にワードプロセッサー(マイリポ
ートNL−3Ai:リコー社製)の記録シートとして用
いて印字を行ったところ、黒色の記録画像が得られた。
予め用意したベタ部の濃度をマクベス濃度計で測定した
ところ1.74を示した。同一記録画像を3枚印字し
た。このうちの1枚を80℃の乾燥器中で2分間加熱を
行って記録画像を消色させることができた。消色部の濃
度は0.12を示した。この消色した記録シートを再度
ワードプロセッサーで印字を行って記録画像を得ること
ができた。この記録と消去を5回繰り返して操作を行っ
たところ、可逆的に熱記録と熱消去ができることが確認
された。
【0038】他の2枚について、室温で放置した時間と
記録画像濃度の変化を追跡したところ、2時間で濃度は
1.68、6時間で濃度は1.13を維持しており、記
録画像濃度としては充分なものであった。このうちの1
枚を80℃の乾燥器中で2分間加熱を行って記録画像を
消色させることができた。消色部の濃度は0.12を示
しした。残りの1枚については、室温放置を継続して2
4時間後、消色部濃度は0.12を示して自然消色が認
められた。何れの消色シートも再度の熱記録をすること
ができた。以上のように、書き替えのできる記録媒体を
得ることができた。以下、実施例2〜5については、実
施例1のサーモクロミズム組成物のうちn−トリデカノ
フェノンの添加量を変えた以外は実施例1と同様操作で
可逆性感熱記録媒体を作製して評価した結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、実施例2〜5とも必要に応じて、実
施例1に準じて75〜85℃の乾燥器中で約1〜2分加
熱することによって直ちに印字記録画像を消色させるこ
とができる。以上のように、サーモクロミズム組成物の
うち、選択された消色促進剤の添加量を変えることによ
り、加熱発色経時時間を制御できる組成物が得られ、こ
れを用いて記録媒体化したものは、視認に充分である印
字記録画像の濃度1.0を維持できる時間を制御可能で
あり、そして、24時間後には例外なく自然消色して元
の状態に戻り、中間の段階で必要に応じて消色させるこ
ともできる。可逆的に熱記録と熱消色を繰り返して行う
ことができる組成物或いは記録媒体である。以上のよう
にして、書き替えのできる記録媒体を得ることができ
た。
【0041】実施例6 i.サーモクロミズム組成物:下記化合物を良く混合し
てサーモクロミズム組成物を得た。 3−(NN−ジ−n−ブチル)アミノ−7−o−クロル アニリノフルオラン 1.0部 ヘキサデシルホスホン酸 4.0部 n−テトラデカノフェノン 0.34部 ii.可逆性感熱記録媒体:下記組成物を溶解して可逆性
感熱記録液とした。 上記サーモクロミズム組成物 1.0部 ポリウレタン樹脂(商品名:パラプレンp−26S: 日本ポリウレタン社製) 1.21部 テトラヒドロフラン 11.7部 トルエン 0.4部 この液を、実施例1に準じて透明PETフィルム上に塗
布して感熱記録シートを作製した。次に、記録層上に紫
外線硬化性樹脂ユニデックC7−157の55%酢酸エ
チル溶液を0.1mm径ワイヤーバーで塗布して55℃
で乾燥後UV照射により硬化させ薄膜保護層を設けて透
明感熱記録シートを作製した。この記録シートに前記ワ
ードプロセッサーにより同一記録画像を3枚印字した。
予め用意したベタ部の濃度は1.89を示した。このう
ちの1枚を85℃の乾燥器中で2分間加熱を行って印字
記録画像を消色させることができた。他の2枚につい
て、室温で放置した時間と印字記録画像濃度の変化を追
跡したところ、1時間経過では濃度1.76を維持して
おり、5時間までは記録濃度として充分である濃度1.
10を維持できている。このうちの1枚を85℃の乾燥
機中で2分間加熱を行って印字記録画像は消去できた。
残りの1枚について室温放置を継続したところ、自然消
色が進み15時間後で印字記録画像は視認できにくくな
り、20時間後には印字前の状態に戻っていた。この実
施例では、自然消色経過で1時間の間は印字記録濃度が
維持できる閾値を有していた。また、記録濃度を維持し
ている間の記録シートは、OHPの投影像としても鮮明
な黒色像としてみることができた。以上のように、この
感熱記録シートは、熱記録と強制熱消色或いは自然放置
による消色を可逆的に繰り返して再現を行うことができ
るもので、書き替えのできる記録媒体を得ることができ
た。
【0042】実施例7 i.サーモクロミズム組成物:下記組成物を乳鉢で充分
に混合分散してサーモクロミズム組成物を得た。 3、6−ジ−NN−ジフェニルアミノフルオラン 1.00部 オクタデシルマロン酸 4.00部 2−ヘキサデカノン 0.35部 ポリビニルアルコール10%水溶液 8.10部 ii.可逆性感熱記録媒体:上記の組成物をイオン交換水
20部と共にかきまぜて希釈した液を白色合成紙(VI
F−92、王子油化社製92μm厚)にワイヤーバーで
途布して50℃で充分に乾燥した。乾燥後の塗布量は
4.4g/m2である僅かに青みを帯びた記録シートが
得られた。
【0043】この記録シートをRIFAX−V600
(リコー社製GIII FAX機)の受信紙として送信像
を得たところ、僅かに青みを帯びた白色を背景に青色の
文字画像として記録された。マクベス反射濃度計RD−
914で測定した濃度は1.10を示した。この記録さ
れたシートは自然放置して2時間の間は充分に読み取る
ことができるものであり、約25時間後にはほぼ記録前
の状態に消色していた。さらに、この操作を5回繰り返
したところ、発色記録と記録消色とを可逆的に再現し
た。なお、この発色記録シートは、ドライヤー等で加温
することにより記録の消色を促進できる。以上のよう
に、自然消色もしくは加温による消色促進ができる書き
替え可能な記録媒体を得るかとができた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のサーモク
ロミズム組成物及びそれを用いた記録媒体は、加熱によ
る発色状態の時間制御が可能で自然放置により消色させ
ることができる他に、加温または加熱により、消色を促
進できる可逆的に発消色を繰り返すことができるため、
これを利用して記録された情報画像が一定の時間または
一定の期間は可視化可能な状態で保持し、経時で自然に
不可視化状態にするか、場合によっては、加温または加
熱により任意に消去ができてなお且つある程度の再利用
できる書き替え可能な記録媒体として提供できる。従っ
て、環境問題や資源保護の観点から有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆的感熱記録媒体の発色濃度と湿度
との関係を示すグラフである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数12以上の高級アルキル基を有す
    る有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物およびフ
    ェノール性化合物のうち何れかである電子受容性化合物
    およびこれ等の化合物と加熱反応して発色する電子供与
    性化合物を含有する組成物であり、その発色状態におけ
    る示差走査熱量分析または示差熱分析における昇温過程
    で発熱ピークを示す可逆的熱発色組成物において、更に
    消色促進剤を含有することを特徴とする経時制御型サー
    モクロミズム組成物。
  2. 【請求項2】 消色促進剤が常温で固体である結晶性の
    ケトン誘導体であることを特徴とする請求項1記載のサ
    ーモクロミズム組成物。
  3. 【請求項3】 ケトン誘導体が、同一または異なったア
    ルキル基で置換されている化合物からなることを特徴と
    する請求項2記載のサーモクロミズム組成物。
  4. 【請求項4】 ケトン誘導体が、アルキル基、アラルキ
    ル基またはアリル基の何れかの複合基で置換されている
    化合物からなることを特徴とする請求項2または請求項
    3記載のサーモクロミズム組成物。
  5. 【請求項5】 消色促進剤の含有量が、用いられる電子
    受容性化合物重量の3〜30%であることを特徴とする
    請求項1ないし請求項4の何れかに記載のサーモクロミ
    ズム組成物。
  6. 【請求項6】 結着性樹脂を含有し、その含有量が、サ
    ーモクロミズ組成固形分重量の100〜250%である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記
    載のサーモクロミズム組成物。
  7. 【請求項7】 結着性樹脂を含有し、それが、ポリウレ
    タン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリス
    チレン樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリアクリル
    樹脂の何れかまたはこれらの混合物であることを特徴と
    する請求項1ないし請求項6の何れかに記載のサーモク
    ロミズム組成物。
  8. 【請求項8】 結着性樹脂を含有し、それが、ポリビニ
    ルアルコール樹脂または、アルキルセルローズ樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに
    記載のサーモクロミズム組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8の何れかに記載
    の組成物を加熱発色後、経時自然消色に加えて、必要に
    応じて発色温度よりも低い温度に加熱することにより消
    色を促進させる工程からなるサーモクロミズム発現方
    法。
  10. 【請求項10】 支持体上に請求項1〜8の何れかに記
    載の組成物を層状に設けてなる経時制御型サーモクロミ
    ズム記録媒体。
  11. 【請求項11】 記録媒体上に保護層を有することを特
    徴とする請求項10記載のサーモクロミズム記録媒体。
  12. 【請求項12】 透明性支持体上に経時制御型サーモク
    ロミズム媒体層を設けて、さらに、その上に樹脂薄膜層
    を有し、全体が透明であることを特徴とする請求項10
    または請求項11記載のサーモクロミズム記録媒体。
  13. 【請求項13】 請求項10の感熱記録媒体または表示
    媒体に、加熱により発色情報像を形成し、経時自然消色
    に加えて、必要に応じて発色温度よりも低い温度に加熱
    することにより消色を促進させる工程からなることを特
    徴とする経時制御型サーモクロミズム記録方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010001339A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JP2010059256A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性液状組成物及びそれを用いた筆記具
DE102017117478A1 (de) 2017-08-02 2019-02-07 Joanneum Research Forschungsgesellschaft Mbh Sensormaterial mit temperaturabhängiger Färbung

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