JPH07166312A - 溶融金属めっき浴のドロス回収方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は溶融金属めっき浴中のドロスの分離
回収方法と装置である。 【構成】 溶融亜鉛９ａの汲上げ手段２１、汲み上げら
れる溶融亜鉛９ａの収容容器２２、収容容器２２内に配
置された異なるメッシュのフイルター３１ａ、３１ｂ、
３１ｃを備えた複数のドロス回収容器２３ａ、２３ｂ、
２３ｃ、還流手段２４を具備し、ドロス回収容器を異な
るメッシュのフイルター３１ａ、３１ｂ、３１ｃを備え
たドロス回収容器２３ａ、２３ｂ、２３ｃの順に配列し
て、メッシュを汲上げ手段側から還流手段側に向かって
小さくなるように形成している。ドロス回収容器２３ｃ
の還流手段側に微細気泡発生装置２５を取付けている。 【効果】 溶融金属めっき浴のドロスの分離回収を連続
的に効率良く出来、品質欠陥の少ない溶融金属めっき鋼
板を製造することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続的に走行する鋼板
に溶融亜鉛を主成分とする溶融金属めっきを施す場合に
発生する、めっき浴中の不純物いわゆるドロスを分離
し、回収する方法及びその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の連続溶融金属めっき方法は、連
続的に鋼板を予備処理して所定の加熱パターンで高温に
保持し、溶融金属めっき浴（以降めっき浴と云う）中に
通板させ、めっき付着量を制御した後に、所定の冷却パ
ターンで常温まで冷却する方法が代表的なものである。

【０００３】この場合、めっき浴中で鉄が溶出して、め
っき成分との金属間化合物、いわゆるドロスを生成す
る。このドロスの密度はめっき浴の密度に比して、鉄成
分を含有するために、一般に大きくなり、めっき浴中を
沈降する。

【０００４】しかしながら、溶出した鉄との金属間化合
物であるが故に、ドロスの粒径は小さく、密度差による
沈降速度は極めて長い。そのために、沈降中のドロスが
鋼板に付着した場合には、表面品質上大きな問題とな
る。

【０００５】一方、連続操業においては、ドロスが最終
的に浴底部に沈降するため、堆積したドロス量が増加す
ると鋼板の通板により誘起する溶融亜鉛の流れによっ
て、一旦沈降したドロスが再度浮遊して、鋼板に付着す
る場合もあり、製品品質上好ましくない。

【０００６】溶融亜鉛からドロスを除去する方法とし
て、実開平２−１４６１５３号公報には、「ボトムドロ
ス除去装置」が開示され、そこではめっき浴底部に堆積
したドロスをガスリフトポンプで汲み上げ、その全量を
フイルタで濾過する方法が記載されている。

【０００７】即ち、図３に示すように、溶融めっき浴槽
１のボトムドロス３が堆積している部分にボトムドロス
回収フード４を没めて固定し、浴面９より上方で気体噴
射管１４に圧縮空気を供給し、ボトムドロス回収フード
４内に圧縮空気を注入する。これにより、ボトムドロス
が粉砕され、細分される。また、圧縮空気はボトムドロ
ス回収フード４内のめっき浴２に上昇流を形成し、めっ
き浴２とともに回収ドロス上昇管８を上昇する。

【０００８】これにより、ボトムドロス回収フード４内
に浴流入管５を通して溶融めっき金属が流入する。浴流
入管５の先端の浴流入口７には逆止弁６を備え、逆流を
防止している。粉砕、細分されたボトムドロス３は上昇
気流に乗って、回収ドロス上昇管８を上昇して、逆Ｕ状
部１０より排出され、ドロス濾過器１２に流下し、ドロ
ス濾過器１２のフイルター１３で濾過されて、フイルタ
ー１３上にドロス３が回収され、フイルター１３を透過
しためっき浴２は溶融めっき浴槽１に還流して再利用さ
れる。

【０００９】また、特開平３−１８３７５１号公報で
は、「亜鉛ポット内の浴中不純物除去装置」が開示さ
れ、そこではめっき浴中に浸漬した回転羽根の先端から
不活性ガスを吹き込んでドロスを浮上分離する方法が記
載されている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た「ボトムドロス除去装置」を用いた場合は、汲み上げ
ためっき液の全量をドロス濾過器１２のフィルター１３
で除去するために、短時間でフィルタが目詰まりを生
じ、そのため連続的な操業に使用できない。

【００１１】また、特開平２−１４６１５３号公報に示
すような「不純物除去装置」では、めっき浴中に回転羽
根のような可動手段を設置することは、めっき液による
浸食や、装置の保全性に問題があり、又信頼性の高い装
置とは言えない。

【００１２】本発明は上記のような問題点の解決を図っ
たものであり、溶融金属めっき浴のドロスの分離回収を
連続的に効率良く出来る方法及び装置を提供することを
目的としている。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は溶融金属めっき浴の溶融金属を汲上げる汲
上げ手段、その汲上げ手段によって汲み上げられる溶融
金属を収容する収容容器、その収容容器内に配置された
異なるメッシュのフイルターを備えた複数のドロス回収
容器、収容容器に汲上げられる溶融金属を再び前記めっ
き浴に還流する還流手段を具備し、前記ドロス回収容器
のフィルターのメッシュを汲上げ手段側から還流手段側
に向かって細かくなるように形成した溶融金属めっき浴
のドロス回収装置とするものである。

【００１４】また、上記ドロス回収装置に最小メッシュ
のフイルターを備えたドロス回収容器の還流手段側に微
細気泡発生装置を取付けた溶融金属めっき浴のドロス回
収装置とするものである。

【００１５】また上記のような装置を用いて、溶融金属
めっき浴の溶融金属を収容容器に汲上げ、その収容容器
内に配置され、フイルターのメッシュを汲上げ手段側か
ら還流手段側に向かって細かくなるように形成した異な
るメッシュのフイルターを備えた複数のドロス回収容器
を通過させて、そこで溶融金属めっき浴のドロスを分離
回収し、清浄になった溶融金属を前記溶融金属めっき浴
に還流させる溶融金属めっき浴のドロス回収方法とする
ものである。

【００１６】

【作用】本発明では、まず溶融金属めっき浴の溶融金属
を汲み上げ手段を介して収容容器に汲上げる。前記溶融
金属は、前記収容容器の他端側に設けられた還流手段を
介して前記めっき浴内に還流される。従って、収容容器
内では、前記溶融金属は、汲み上げ手段から還流手段へ
向かう流れを形成する。このとき、前記収容容器を通過
する溶融金属に含まれるドロスは、その収容容器内でフ
ィルターメッシュを汲み上げ手段から還流手段に向かう
にしたがって細かくなるように形成した複数のドロス回
収容器を通過する。このようにして、大径のドロスは粗
いメッシュのフイルターを備えたドロス回収容器で沈降
もしくはフィルタに捕獲され、小径のドロスは微細なメ
ッシュのフイルターを備えたドロス回収容器で沈降もし
くはフィルタに捕獲される。上記のようなドロス回収容
器を通過した溶融金属は清浄になってめっき浴に還流さ
れる。

【００１７】沈降もしくはフィルタに捕獲されたドロス
は、ドロス回収容器毎に収容容器から取り出して系外に
排出する。また、前記メッシュフィルタの目詰まりを生
じやすいドロス回収容器には微細な不活性ガス気泡を発
生させてドロスを微細気泡にトラップさせると、メッシ
ュフィルタの目詰まりを防ぐことができて好ましい。

【００１８】

【実施例】以下に本発明の実施例を図によって説明す
る。図１は本発明のドロス回収装置の一実施例を示す図
である。図１において、９は溶融亜鉛めっき浴、９ａは
溶融亜鉛、２１は溶融亜鉛９ａを汲上げる汲上げ手段、
２２は収容容器、２３ａ、２３ｂ、２３ｃは収容容器２
２内に配置された複数のドロス回収容器、３１ａ、３１
ｂ、３１ｃは、ドロス回収容器２３ａ、２３ｂ、２３ｃ
に備えられた異なるメッシュのフイルター、２４は、溶
融亜鉛を再びめっき浴９に還流する還流手段である。フ
イルター３１ａ、３１ｂ、３１ｃのメッシュは、汲上げ
手段側から還流手段側に向かって細かくなるように形成
されている。図１において井桁Ａ、Ｂ、Ｃで表示してい
るごとく、フィルター３１ａが最も粗く、フィルター３
１ｃが最も細かい。

【００１９】本実施例においては、汲上げ手段２１にガ
スリフト管２１ａ、ガス供給管２１ｂからなるガスリフ
トポンプを用いている。ガスリフトポンプに供給する窒
素ガスは流量調節バルブ３３で調整され、窒素ガスの吐
出口はガスリフト管２１ａの入口に挿入されている。ガ
スリフト管２１ａに不活性ガスとして窒素をガス供給管
２１ｂを通じて吹き込むと、ガスリフト管２１ａの内部
を窒素ガスが上昇し、それにともなって、ドロスを含む
溶融亜鉛が溶融亜鉛めっき浴面以上の位置に設置された
収納容器２２に汲み上げられ、ドロス回収容器２３ａに
入る。そして粗いフィルター３１ａを通って、ドロス回
収容器２３ｂに入り、更に中程度のメッシュのフィルタ
ー３１ｂを通ってドロス回収容器２３ｃに入る。そし
て、ドロス回収容器２３ｃに入った溶融亜鉛は、もっと
も細かいメッシュのフィルター３１ｃを通って還流手段
である戻り管２６に入り、溶融亜鉛めっき浴９に戻る。
収納容器２２に上昇した窒素は、ガス排出口２７から排
出される。

【００２０】上述のように、溶融亜鉛が収納容器２２に
汲み上げられて循環する過程において、溶融亜鉛に含ま
れるドロスがフィルター３１ａ、３１ｂ、３１ｃにて除
去される。フィルターのメッシュは、後に行くほど細か
くなっているので、従来技術のように、フィルターがす
ぐに目詰まりすることはない。ドロス回収容器２３ａ、
２３ｂ、２３Ｃは、それぞれ、収納容器２２から引き出
せるようになっている。引き出す場合には、収納容器２
２の上蓋２２ａを開けて、吊具３４で引出す。

【００２１】最終のドロス回収容器２３ｃ内では小径の
ドロスが浮遊し、フィルタ３１ｃが急速に目詰まりを生
じるおそれがある。この対策として、本実施例において
は、ドロス回収容器２３ｃの底部の戻り管２６側に微細
気泡発生装置２５を設け、微細な気泡を底部より供給す
る。すると、その気泡に微細なドロスが吸着し、浴表面
近傍に濃化して滞留する。とって、最もメッシュの細か
いフィルター３１ｃが短期間で目詰まりすることがなく
なる。

【００２２】図２は、本発明のドロス回収装置を連続亜
鉛めっきラインに適用する場合の機器の配置を示す図で
ある。図示しない無酸化炉、還元炉等で表面を清浄、活
性化された鋼板は、加熱された状態でスナウト２８から
溶融亜鉛ポット２９の溶融亜鉛めっき浴９に浸漬され、
シンクロール２９で反転され、上記めっき浴９上でガス
ワイピンク装置３０で付着量を調整されて矢印の方向に
引き抜かれる。本装置は、この溶融亜鉛ポット２９内に
図２に示すような状態で設置して使用される。

【００２３】本発明を用いた連続溶融亜鉛めっきライン
では、めっき液循環量が２０トン／時間、ガスリフトポ
ンプ用の窒素ガス使用量を５ｍ³ ／時間とした場合に、
従来のフィルタ方式では１時間で目詰まりを生じていた
ものが、本方式では８時間毎にドロスを回収することで
連続処理が出来た。

【００２４】また、亜鉛めっき鋼板上に付着するドロス
欠陥の発生率は１月の平均値として８０％低減出来、従
来めっき浴底面に堆積していたドロスが３０％まで低減
し、堆積したドロスの処理を行う必要が無くなった。

【００２５】

【発明の効果】以上のように、本発明の方法および装置
を用いた場合は、溶融金属めっき浴のドロスの分離回収
を連続的に効率良く出来、品質欠陥の少ない溶融金属め
っき鋼板を製造することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のドロス回収装置の一実施例を示す図で
ある。

【図２】本発明のドロス回収装置を連続溶融亜鉛めっき
ラインに適用した状態の例を示す図である。

【図３】従来のボトムドロス除去装置の一例を示す図で
ある。

【符号の説明】

２１ 汲上げ手段 ２２ 収容容器 ２３ａ、２３ｂ、２３ｃ メッシュの異なるフィルター
を備えたドロス回収容器 ２４ 還流手段 ２５ 微細気泡発生装置 ２７ 窒素ガスの排出口 ３１ａ、３１ｂ、３１ｃ メッシュの異なるフィルター ３２ａ、３２ｂ、３２ｃ 大きさの異なるドロス

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属めっき浴の溶融金属を汲上げる
   汲上げ手段、その汲上げ手段によって汲み上げられる溶
   融金属を収容する収容容器、その収容容器に配置された
   メッシュフイルターを備えた複数のドロス回収容器、収
   容容器に汲上げられる溶融金属を再び前記めっき浴に還
   流する還流手段を具備し、前記ドロス回収容器のフィル
   ターのメッシュを汲上げ手段側から還流手段側に向かっ
   て細かくなるように形成したことを特徴とする溶融金属
   めっき浴のドロス回収装置。
2. 【請求項２】 少なくとも１つの前記ドロス回収容器の
   下面に微細気泡発生装置が設けられたことを特徴とする
   請求項１記載の溶融金属めっき浴のドロス回収装置。
3. 【請求項３】 溶融金属めっき浴の溶融金属を収容容器
   に汲上げ、その収容容器に配置され、フイルターのメッ
   シュを汲上げ手段側から還流手段側に向かって細かくな
   るように形成した異なるメッシュのフイルターを備えた
   複数のドロス回収容器を通過させて、そこで溶融金属め
   っき浴のドロスを分離回収し、清浄になった溶融金属を
   前記溶融金属めっき浴に還流させることを特徴とした溶
   融金属めっき浴のドロス回収方法。