JPH10140309A - 溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置 - Google Patents

溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置

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Publication number
JPH10140309A
JPH10140309A JP30013596A JP30013596A JPH10140309A JP H10140309 A JPH10140309 A JP H10140309A JP 30013596 A JP30013596 A JP 30013596A JP 30013596 A JP30013596 A JP 30013596A JP H10140309 A JPH10140309 A JP H10140309A
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JP
Japan
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dross
zinc melt
storage tank
tank
plating tank
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Application number
JP30013596A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Araki
健治 荒木
Yutaka Mihara
豊 三原
Toshio Ishii
俊夫 石井
Takaharu Nagayama
隆治 永山
Takashi Yamashita
敬士 山下
Masayuki Hatakeyama
誠之 畠山
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボトムドロスとトップドロスの両者を同時に
効率よく除去でき、かつ構造が単純な、溶融亜鉛めっき
設備におけるドロス除去装置を提供する。 【解決手段】 溶融亜鉛めっき設備のめっき部におい
て、めっき槽の隣接位置にドロスを浮上・沈降分離でき
る溶融亜鉛の貯留槽と、前記めっき槽と前記貯留槽との
間の溶融亜鉛の移送手段とを備え、前記めっき槽から前
記貯留槽への亜鉛融液の移送手段が、沈降ドロスを移送
する手段と浮上ドロスを移送する手段の2 系統で構成さ
れ、前記沈降ドロスの移送手段が、めっき槽の下槽部の
亜鉛融液をポンプで汲み上げて移送する方式であり、前
記浮上ドロスの移送手段が、めっき槽の液面近傍の亜鉛
融液を溝状流路からオーバーフローにより移送する方式
である溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融亜鉛めっき設
備におけるドロス除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっきでは溶融亜鉛めっき浴
(以下亜鉛融液と略する)中にドロスといわれる異物が
発生する。その代表は、亜鉛と鋼板の反応物であるFeZn
7 、亜鉛と大気との反応物であるZnO 、FeZn7 が亜鉛融
液中の添加元素であるAlと反応したFe2Al5である。
【0003】FeZn7 は亜鉛融液より比重が大きく、沈降
するのでボトムドロスと呼ばれる。ZnO は亜鉛融液より
比重が小さく、かつ凝集しやすいので、簡単に浮上す
る。亜鉛融液面に常に浮遊しているので、トップドロス
といわれる。Fe2Al5は亜鉛融液より比重が小さいが、凝
集しにくいため、ZnO よりはるかに浮上しにくい。しか
し液面近傍に浮遊し、あるいはZnO を主成分とするトッ
プドロスにも取り込まれている。広義にはこれをも含め
てトップドロスという。
【0004】ボトムドロスは球換算の直径で300 μm 程
度以下の微小粒子である。これは亜鉛融液の流れがなく
静かな状態であれば、めっき槽の底部に堆積したままの
状態である。しかし鋼板の走行や、浴中ロールの回転運
動によって、亜鉛融液が激しく攪拌されると、亜鉛融液
との比重差が非常に小さいため、ドロスは巻き上げられ
て鋼板に付着する。
【0005】トップドロスは液面に浮かんでいる。当然
ながら、除去しなければ徐々に増加し、鋼板に付着する
ので、人手による除去が行われている。しかしFe2Al5
分散しやすいため、十分に除去できないため、鋼板に付
着する。
【0006】ドロスが鋼板に付着したドロス性表面欠陥
は溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥のうち、もっとも深刻
なものである。したがって、操業中にドロスを除去する
試みが非常に数多く行われている。
【0007】ドロス処理は、理想的にはボトムドロスと
トップドロスが同時に処理されることである。しかしそ
のような提案は過去になされていない。それどころか個
別処理に関しても、実用化できるような満足できる提案
はなされていない。
【0008】さらに、めっき槽の近傍は、高温と騒音の
ため、典型的な3K職場となっている。そのため、トッ
プドロスに関しても、人手を介さない完全除去が強く望
まれている。
【0009】ボトムドロスの個別処理に関しては、非常
に多くの提案がなされている。これらは、亜鉛融液をめ
っき槽外に汲み出し、ドロスを沈殿する方法、ろ過する
方法、Alを添加して浮上分離する方法などである。しか
し、従来の提案はいずれも実用化されていない。その理
由は、これらの提案の技術は机上では成立するものであ
っても、実設備では、機構が複雑すぎたり、ドロス除去
が不十分であったり、耐久性が不十分であったり、分離
したドロスの設備外への搬出が煩雑であったりするから
である。
【0010】沈殿法で代表的なものは特開昭53-88633
号、特開平4-154948号、特開平5-98405 号、特開平3-26
7357号の各公報に開示されている。
【0011】特開昭53-88633号公報には、沈殿槽で亜鉛
融液を冷却し、ボトムドロスを生成・沈殿除去すること
が開示されている。さらにその実施例では、沈殿槽の大
きさをめっき槽の大きさの約1/4 にすることを示してい
る。しかし、この方法ではボトムドロスは十分には沈殿
除去されない。
【0012】特開平4-154948号公報に記載の技術は、め
っき槽にボトムドロスが沈殿するのを回避することを主
眼としたものであり、めっき槽の寸法・形状に関しては
詳細な提案がなされている。しかし沈殿槽に関しては、
ドロスが沈殿・堆積しやすいように十分な平面積と深さ
を有することと示されているのみである。ドロス処理は
水処理とは異なり、技術の蓄積・体系化が全くなされて
おらず、かつドロスの挙動は水中の異物とは全く異な
る。例えばドロスは成長するが、水中の異物は成長しな
い。したがって、この公報に示されている技術は、効率
的沈殿分離手段を提案したものとはいえない。
【0013】特開平5-98405 号公報には、球相当直径が
50μm 以上のドロスを沈降除去することができる小容量
の沈殿槽を設置することが開示されている。しかしこの
公報にはドロスを沈殿させるための具体的手段について
は示されていない。この技術の沈殿槽では、沈殿効率が
非常に悪いと推定される。
【0014】特開平3-267357号公報には、沈殿槽内に亜
鉛融液に上下方向の迂回を強要する邪魔板を設けること
が開示されている。しかしこの方法のドロスの沈殿除去
作用は弱い。さらに、上方向の流れをつくる邪魔板が、
亜鉛融液中に完全に沈んでいるため、取り外しできな
い。このため堆積したドロスの沈殿槽外への排出作業
が、それに妨害され、非常に煩雑となる。
【0015】トップドロスの個別処理に関しても多くの
提案がなされている。その中で、人手作業の補助手段と
して一部で使われているのが、ロボットによる汲み出し
である。めっき浴の液面上には、付着量制御のためのガ
スワイピング装置やロールを駆動させるための装置など
各種の装置が配されている。さらにドロスの汲み出し
は、亜鉛融液とともに汲み出すため、かなりの重量物運
搬作業である。各種の装置の下の狭い部分から、かなり
の重量のあるドロスを、Fe2Al5系のドロスを分散させな
いように、静かに汲み出す作業は熟練を要する。したが
って、ロボットの活用はあくまで人手作業の補助手段の
域を脱しえない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、ボトムドロスとトップド
ロスの両者を同時に効率よく除去でき、かつ構造が単純
な、溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置を提供
することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明はドロスの沈降・
浮上挙動、実設備での作業性などに関して詳細に検討を
重ねた結果、完成されたものである。
【0018】本発明は、第1 に、溶融亜鉛めっき設備の
めっき部において、めっき槽の隣接位置にドロスを浮上
・沈降分離できる亜鉛融液の貯留槽と、前記めっき槽と
前記貯留槽との間の亜鉛融液の移送手段とを備え、前記
めっき槽から前記貯留槽への亜鉛融液の移送手段が、沈
降ドロスを移送する手段と浮上ドロスを移送する手段の
2 系統で構成され、前記沈降ドロスの移送手段が、めっ
き槽の下槽部の亜鉛融液をポンプで汲み上げて移送する
方式であり、前記浮上ドロスの移送手段が、めっき槽の
液面近傍の亜鉛融液を溝状流路からオーバーフローによ
り移送する方式であること、を特徴とする溶融亜鉛めっ
き設備におけるドロス除去装置である。
【0019】第2 に、前記発明において、貯留槽の亜鉛
融液の貯留量が10m3以上であり、めっき槽から貯留槽へ
の亜鉛融液の移送量が2m3/hr以上であることを特徴とす
る溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置である。
【0020】第3 に、前記第1 または前記第2 発明にお
いて、貯留槽に、亜鉛融液を強制的に水平方向に迂回さ
せる邪魔板を1 枚以上備え、邪魔板の上辺部が亜鉛融液
面の上方に位置し、邪魔板の下辺部が貯留槽の底面部に
接し、邪魔板の側辺部の一方が貯留槽の側面部に接して
いることを特徴とする溶融亜鉛めっき設備におけるドロ
ス除去装置である。
【0021】このように構成される本発明の作用は以下
のとおりである。本発明の考え方の基本は、ボトムドロ
スとトップドロスを同時に処理できること、ドロス処理
はめっき槽ではなく別の槽で行うこと、亜鉛融液からの
分離は浮上・沈降分離で行うこと、分離後のドロス処理
が自動化装置によりバケットにて汲み出し搬出すること
が可能な装置であることの四つである。
【0022】ドロス処理をめっき槽ではなく、別の槽で
行う理由は、つぎの理由による。めっき槽中およびその
近傍には各種の装置があり、そのような環境のところで
ドロス処理を行えば、めっき槽の周辺が益々複雑にな
り、実操業に支障を来たす。別の槽で行なうとこのよう
なことがなく、また、分離したドロス処理が容易にな
る。
【0023】ボトムドロスはめっき槽の底部に沈降して
濃化しているので、めっき槽の下槽部より汲み上げれば
少ない移送量で効率よくボトムドロスを貯留槽に移送す
ることができる。
【0024】トップドロスは浮上してめっき槽の亜鉛融
液面またはその近傍に浮遊している。溝状流路からオー
バーフローにより貯留槽に流れ込む亜鉛融液の流れに乗
って浮上ドロスが貯留槽に流れ込む。その際分解しやす
いFe2Al5も分解することなく貯留槽に搬送される。
【0025】貯流槽では、ボトムドロスは沈殿させ、ト
ップドロスは浮上させて亜鉛融液より分離する。浮上・
沈殿分離法を採用したのは、これがドロスの特性を上手
く活用した最もシンプルな分離法であるからである。亜
鉛融液は溶損の激しい液体であるため、亜鉛融液用とし
て使える材料はセラッミクスなどに限定される。したが
って構造がシンプルであることは、実用化を考える場合
非常に大切である。
【0026】貯留槽で効率のよいドロス分離を実現する
には、ドロスの特性にミートした槽サイズ・構造が必要
である。ドロスが沈殿あるいは浮上するには時間が必要
である。貯留槽でその時間だけ亜鉛融液が滞留しなけれ
ばならない。すなわち貯留槽の容量はこの滞留時間を確
保できるものでなければならない。この時間を確保する
には下限容量を10m3にすることが好ましい。分離効率の
点からは、容量は大きいほどよい。設備費のことを勘案
すると100 m3程度が工業的には上限である。
【0027】貯留槽での亜鉛融液の流れが理想的常流の
時、すなわち対流がない時、分離効率が最もよい。理想
的常流とは、流れが水平方向の成分のみで構成されてい
る場合である。亜鉛融液に水平方向の迂回を強制する邪
魔板を設けることにより、亜鉛融液の流れが理想的常流
に近づくので、分離効率がさらに向上する。
【0028】めっき槽中でボトムドロスは徐々に成長す
る。めっき槽で有害なドロス( 直径>100 μm)が成長し
て鋼板に付着することを防ぐには、めっき槽中における
亜鉛融液の滞留時間をドロスがこの直径に成長しないよ
うな時間にすればよい。そのためには、めっき槽から貯
留槽への移送量が2m3/hr以上であることが好ましい。
【0029】貯留槽で亜鉛融液から分離されたドロスが
ある程度蓄積すると、これを除去する必要がある。この
作業を行う際には、亜鉛融液の循環を止める。また、亜
鉛融液を強制的に水平方向に迂回させる邪魔板を設けて
いる場合は、この邪魔板を取り外す。貯留槽の上部には
機器がない、すなわちすっきりしているので、ドロス除
去作業の自動化が容易であり、ロッボトなどの自動化装
置で汲み出すことができる。
【0030】なお、前記した本発明の貯留槽の好ましい
容量を算出するに際しては、水処理システムを設計する
に際して用いられる下記のストークスの式とカンプの式
を用いた。
【0031】ストークスの式は溶液中の異物の沈降(浮
上)速度を与える。カンプの式は、理想的常流の場合の
沈殿(浮遊)槽における除去率を与える。亜鉛融液中の
ドロスは、厳密には水中の異物とは挙動が異なるが、こ
れらの式はドロスの沈降(浮上)に関するおおよその目
安を与えると考えられる。
【0032】ストークスの式: V=(1/18)・{( ρP ―ρ)/μ}・g ・ DP 2 但し、 V :粒子の沈降(浮上)速度(cm/sec) ρP :粒子の密度(g/cm3) ρ:液体の密度(g/cm3) μ:液体の粘性係数(g/cm/sec) g:重力の加速度(cm/sec2) DP :粒子の直径(cm) カンプの式: E=V/(Q/A) 但し、 E :沈殿(浮上)除去率 V :粒子の沈降(浮上)速度(m/sec) Q :流量(m3/sec) A :貯流槽の水平面積(m2) ρP =7.25g/cm3、ρ=7.17g/cm3、μ=0.038g/cm/secとし
た場合、ストークスの式から算出されるボトムドロスの
沈降速度は、ドロスの直径が50μm の場合で約0.12m/h
r、100 μm の場合で0.5m/hr 、200 μm の場合で2m/hr
である。ドロスの径が大きいほど、除去し易いことに
なる。自動車車体部品のプレス実験より、実害のあるボ
トムドロスの直径の下限は約100 μm であることが分か
っている。亜鉛融液の循環量(Q)を2m3/hr、貯流槽の
深さを2.5mとすると、カンプの式よりこの直径のドロス
を完全除去(除去率E=1 )できる貯留量の下限は10m3
なる。貯留量を10m3以上としたのは、このような理由に
よる。
【0033】また、前記した亜鉛融液の移送量は以下の
ような考察より定めた。ボトムドロスは徐々に成長す
る。この成長速度は、鋼板の処理量(亜鉛融液中へのFe
原子の供給量)、亜鉛融液の温度などの影響を受ける。
発明者らの別の実験によれば、実験結果は非常に分散し
ているが、通常の処理量(0.8mm 厚で30〜100t/hr)、
亜鉛融液温度(460 ℃)の場合で、50μm 以下のドロス
が100 μm 以上になるのには、10〜50時間必要である。
有害なドロス(直径>100 μm )が鋼板に付着しないよ
うにするには、この直径に成長する前に、このドロスを
めっき槽から排出すればよい。ここで対象としているボ
トムドロスは、めっき槽では底部に濃化している。しか
し単純化のため、めっき槽は完全混合系とした。めっき
槽の容量は小さめに設計したとしても、10m3程度にはな
る。この場合ドロスの成長時間である10時間で、ほとん
どの亜鉛融液(90%以上)が置換されるには、2m3/hr以
上の移送量が必要である。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1 、図2
を参照しながら説明する。図1 は本発明の第一の実施の
形態に係るドロス除去装置の側面からの断面図、図2 は
ドロスの分離効率を一層向上させるために、貯留槽に邪
魔板を設置した場合の本発明の第二の実施の形態に係る
ドロス除去装置の平面図である。
【0035】図1 に示す装置では、溶融亜鉛めっき設備
のめっき部に、めっき槽3とドロス除去装置とを有して
いる。このドロス除去装置は、めっき槽3に隣接して設
けられた貯留槽6と、めっき槽3から貯留槽6へ亜鉛融
液を移送するための第1の移送管8および溝状流路7
と、貯留槽6からめっき槽3へ亜鉛融液を移送するため
の第2の移送管9と、移送管8に設けられたポンプ12
と、移送管9に設けられたポンプ13とで構成されてい
る。さらに、ボトムドロスがポンプ13の吸い込み口に
移動するのを遮るための堰14がポンプ13の吸い込み
口の近くに設けられている。
【0036】また、溝状流路7には溝状流路7を通って
めっき槽3から貯留槽6への亜鉛融液の流れ込みを停止
できる流路仕切板17が脱着自在になっている。溝状流
路7に流路仕切板17を取り付けると、めっき槽3と貯
留槽6の間の亜鉛融液の移動がなくなり、流路仕切板1
7を取り外すとめっき槽3と貯留槽6の間の亜鉛融液の
移動が可能になる。亜鉛融液をめっき槽3と貯留槽6の
間を移送中は、流路仕切板17を取外して、めっき槽3
の液面近傍の亜鉛融液が、溝状流路7から貯留槽6に流
れ込むようにする。貯留槽6でドロス除去作業を行う際
に、流路仕切板17を溝状流路7に取り付けると、めっ
き槽3の亜鉛融液が溝状流路7から貯留槽6に流れ込む
ことがなくなる。
【0037】加熱炉から出た被めっき鋼帯1は、スナウ
ト5を経由してめっき槽3に搬送され、めっき槽3に溜
められている亜鉛融液2に浸漬される。ついで、鋼帯1
はめっき槽3中のシンクロール4によって方向転換され
た後、上方に走行する。
【0038】この間、鋼帯1から鉄原子が溶出する。こ
の鉄原子の溶出の態様としては、鋼帯1から直接溶出す
る場合と、鋼帯1表面にできた微小鉄亜鉛合金層が剥離
後、溶解する場合の二通りがあると考えられている。
【0039】このようにして溶解している鉄分がFeZn7
として再析出し、ボトムドロスへと成長する。発生直後
は直径5〜10μm と小さいが、徐々に成長する。成長速
度は鋼帯1の処理量、すなわち鉄の溶出量の影響を受け
る。通常の処理量の範囲では、有害となる直径である直
径100 μm まで成長する時間は10〜50時間である。有害
な直径のドロスにならないうちに、ドロスは亜鉛融液と
ともに貯留槽6に送りこまれなければならない。
【0040】めっき槽3の容量は小さい方が望ましい。
この方が亜鉛融液の移送量を少なくできるからである。
シンクロール4を十分に浸漬する必要があるので、容量
の下限は10m3である。実ラインのめっき槽容量はほとん
どが20〜50m3である。
【0041】めっき槽3を出た後、ガスワイピング装置
16により亜鉛付着量が調節される。この装置16では
ジェット流となった空気が鋼帯に吹き付けられる。この
際、亜鉛が酸化されZnO となる。これがトップドロスの
主成分である。
【0042】亜鉛融液には、溶融亜鉛めっき鋼板の亜鉛
の密着性をよくするため、微量のAl(0.10〜0.20%)が
添加されている。このAlによりFeZn7 の一部はFe2Al5
変換される。このドロスもトップドロスに取り込まれて
いる。このドロスは非常に分散し易い。トップドロスに
小さな機械的刺激を与えただけで容易に分解し、直径50
μm 以下になる。
【0043】ボトムドロスはめっき槽3の底部に多く存
在する。ボトムドロスの吸い込み効率を高くするため、
移送管8の吸い込み口はめっき槽3の底部近くにした方
がよい。ボトムドロスはおもに移送管8により貯留槽6
に移送される。移送管8は、亜鉛融液による溶損を避け
るため、セラッミクス製、少なくとも内面がセラッミク
ス製であることが望ましい。ポンプ12はインペラー式
のメカニカルポンプでもよいし、ガスの浮上力を活用し
たガスリフトポンプでもよい。いずれも材質はセラッミ
クスが望ましい。
【0044】トップドロスは亜鉛融液面上およびその近
傍に浮遊している。ポンプ13の貯留槽6からめっき槽
3への亜鉛融液の移送量は、ポンプ12のめっき槽3か
ら貯留槽6への亜鉛融液の移送量より大きい。そのた
め、めっき槽の液面近傍の亜鉛融液が溝状流路からオー
バーフローして貯留槽に流れ込む。トップドロスはめっ
き槽3の亜鉛融液面上にできている前記溝状流路7に向
かう流れに乗り、まず溝状流路7に集まり、ついで溝状
流路7をとおり、貯留槽6に流れ込む。この方法では、
めっき槽3上の機器の下に漂っているドロスも無理なく
排出できる。さらに、機械的刺激も小さいので、Fe2Al5
系のドロスを分散させずに、静かに貯留槽6に送り込め
る。
【0045】溝状流路7は、トップドロスの移動路とな
る以外に、つぎのような作用もある。もし溝状流路7が
なく、亜鉛融液の移送が移送管8と移送管9によっての
みなされるとすると、亜鉛融液面の精密な液位制御が必
要である。この理由は、両移送管をとおる亜鉛融液移送
量が完全に同量でないと、どちらかの槽から亜鉛融液が
溢れることになるからである。溝状流路7があれば、亜
鉛融液の移送量制御は粗くてもよい。
【0046】貯留槽6に送り込まれた亜鉛融液は、この
槽内を移送管9の吸い込み口に向かって非常にゆっくり
と流れる。たとえば貯留量が40m3、移送流量が8m3/hr
の場合では、5時間かけて吸い込み口に到達する。この
間、ボトムドロス10は徐々に沈降し、貯留槽の底部に
静かに堆積する。ポンプ13の吸い込み口近くに堰14
が設けられているので、底部に堆積したボトムドロス1
0がポンプ13の吸い込み口側に移動しない。
【0047】トップドロスは浮いたまま流し込まれるの
で、ほとんどがめっき槽3内と同じ状態である。しかし
Fe2Al5系ドロスの一部は、貯留槽6への流入口の所で分
散し、直径が約50μm 以下の微細なドロスになる。滞留
時間が十分にあるため、このドロスも再浮上し、トップ
ドロス11に吸収される。
【0048】分離されたドロスの除去作業は1 回/月程
度の割合で行えばよい。この作業を行う際には、ポンプ
12、13を停止し、流路仕切板17を溝状流路7に取
り付けて、亜鉛融液の移送を止める。ドロスの汲み出し
は専用の自動化された装置で、バケットにて行う。貯留
槽6からのドロスの除去は、完全でなくてもよい。除去
後は、上記の作業時に亜鉛融液中に分散したドロスが沈
静化した後、すなわち沈むものは沈め、浮くものは浮か
した後、流路仕切板17を溝状流路7から取外し、ポン
プ12、13を用いて亜鉛融液の移送を再開する。この
ようにすれば、残されたドロスの周辺に新たなドロスが
堆積するだけであるので、鋼帯1の表面品質に対する悪
影響はまったくでない。流路仕切板17を使用しなくて
もドロス除去作業ができるが、流路仕切板17を使用す
ることにより、貯留槽6でのドロス除去作業の影響がめ
っき槽3に及ばなくなる。そのため、鋼板が走行中であ
ってもドロス除去作業を行うことができる。
【0049】ドロスが分離された亜鉛融液のめっき槽3
への移送は、移送管9により行われる。ポンプ13の貯
留槽6からめっき槽3への亜鉛融液の移送量は、ポンプ
12のめっき槽3から貯留槽6への亜鉛融液の移送量よ
り多くなっている。移送管9とポンプ13の材質に対す
る要求は、移送管8とポンプ12に対する要求と同じで
ある。
【0050】図2 に示す装置では、ドロスの分離効率を
一層よくするため、図1 に示した装置に加えてさらに邪
魔板15が設けてある。邪魔板15は貯留槽6から脱着
可能になっている。図2 では示されていないが、邪魔板
15の上辺部は亜鉛融液面の上に出ているので、脱着可
能な構造にするのは容易である。
【0051】この邪魔板15により、亜鉛融液は蛇行し
ながら、移送管9の吸い込み口へと流れる。ドロスの沈
殿(浮上)効率が最も高くなるのは、亜鉛融液の流れが
理想的常流の場合である。理想的常流とは、流れが水平
方向の成分のみで構成されている場合である。対流を抑
えれば、この状態に近づく。邪魔板15は、この作用を
する。邪魔板15の数は1枚でも効果があるが、その数
が多ければ多いほど、常流化作用が強い。ドロス除去作
業時には、邪魔板15を外す。上辺部が液面上に出てい
るので、脱着が容易である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ボトムドロスとトップドロスの両者を同時に処理でき
る、ドロスの除去効率が高い、構造が簡単でかつ高耐久
性である、かつドロスの設備外への排出が容易な、溶融
亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1 】本発明の第一の実施の形態に係るドロス除去装
置を示す断面図。
【図2 】本発明の第二の実施の形態に係るドロス除去装
置を示す平面図。
【符号の説明】
1 鋼帯 2 亜鉛融液 3 めっき槽 4 シンクロール 5 スナウト 6 貯留槽 7 溝状流路 8 第1の移送管 9 第2の移送管 10 ボトムドロス 11 トップドロス 12、13 ポンプ 14 堰 15 邪魔板 16 ガスワイピング装置 17 流路仕切板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永山 隆治 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 敬士 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 畠山 誠之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき設備のめっき部におい
    て、めっき槽の隣接位置にドロスを浮上・沈降分離でき
    る亜鉛融液の貯留槽と、前記めっき槽と前記貯留槽との
    間の亜鉛融液の移送手段とを備え、 前記めっき槽から前記貯留槽への亜鉛融液の移送手段
    が、沈降ドロスを移送する手段と浮上ドロスを移送する
    手段の2 系統で構成され、 前記沈降ドロスの移送手段が、めっき槽の下槽部の亜鉛
    融液をポンプで汲み上げて移送する方式であり、 前記浮上ドロスの移送手段が、めっき槽の液面近傍の亜
    鉛融液を溝状流路からオーバーフローにより移送する方
    式であること、を特徴とする溶融亜鉛めっき設備におけ
    るドロス除去装置。
  2. 【請求項2】 前記貯留槽の亜鉛融液の貯留量が10m3
    上であり、前記めっき槽から前記貯留槽への亜鉛融液の
    移送量が2m3/hr 以上であることを特徴とする請求項1
    記載の溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置。
  3. 【請求項3】 前記貯留槽に、亜鉛融液を強制的に水平
    方向に迂回させる邪魔板を1 枚以上備え、前記邪魔板の
    上辺部が亜鉛融液面の上方に位置し、前記邪魔板の下辺
    部が前記貯留槽の底面部に接し、前記邪魔板の側辺部の
    一方が前記貯留槽の側面部に接していることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の溶融亜鉛めっき設備に
    おけるドロス除去装置。
JP30013596A 1996-11-12 1996-11-12 溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置 Pending JPH10140309A (ja)

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