JP4487386B2 - 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 - Google Patents
鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4487386B2 JP4487386B2 JP2000156275A JP2000156275A JP4487386B2 JP 4487386 B2 JP4487386 B2 JP 4487386B2 JP 2000156275 A JP2000156275 A JP 2000156275A JP 2000156275 A JP2000156275 A JP 2000156275A JP 4487386 B2 JP4487386 B2 JP 4487386B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plating
- dross
- tank
- bath
- molten metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Coating With Molten Metal (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼帯の連続溶融金属めっきにおいて、簡易な装置で、溶融金属めっき浴中にAlなどのめっき助剤を添加し、かつ、該めっき助剤に起因するドロスなどめっき浴中のドロスを効果的に除去することが可能な鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9に、従来の鋼帯の溶融金属めっき装置を縦断面図によって示す。
なお、図9において、1は溶融金属であるめっき浴、2はめっき用ポット、3はめっき浴1中に配設されたシンクロール(以下、浴中シンクロールまたはシンクロールと記す)、4は鋼帯(:鋼板を含み、以下鋼板と記すこともある)、5はスナウト、f1は鋼帯の搬送方向(通板方向)、f2はシンクロールの回転方向を示す。
【0003】
すなわち、鋼帯の連続溶融金属めっき装置においては、鋼帯を溶融金属であるめっき浴1中に連続的に侵入させ、浴中シンクロール3を周回後、方向転換し、めっき浴1液面より上方へ引き上げて連続的にめっきを施す。
以下、溶融金属めっきにおける従来技術を、鋼帯の連続溶融金属めっきの代表例である溶融亜鉛めっきを例として説明する。
【0004】
現在、溶融亜鉛めっきラインにおいては、一般的に、めっきしたままの通常の溶融亜鉛めっき鋼板と、溶融亜鉛めっき後、加熱合金化処理を施す合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、同一ラインで適宜処理を切り替えることにより製造している。
この場合、下記事項(1) 、(2) が重要となる。
(1) めっき浴中のAl濃度の管理:
上記した溶融亜鉛めっき鋼板製造時においては、めっき直後に生成する硬くて脆い鉄・亜鉛合金層の形成を抑制し、めっき層の加工性を良くするために、めっき浴に、めっき助剤としてアルミニウム(以下、Alと記す)を添加する。
【0005】
この場合、Alを直接めっき浴に添加すると、AlとFeが迅速に反応し、後記するFe2Al5を主成分とする浮上ドロスが多量に生成し、めっき鋼板へのドロス付着による問題が生じる。
このため、Alのめっき液への添加方法としては、めっき用ポット2とは別個に設けたAl溶解槽のめっき液に、Alインゴット、高Al含有亜鉛インゴットまたはAl塩などを装入、溶解し、Fe2Al5を主成分とするドロスを除去した後、Al含有めっき液をめっき用ポット2に供給する方法が用いられている。
【0006】
一方、上記した合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造時は、めっき浴中のAlが合金化反応を抑制するため、めっき浴中のAl含有量を、上記した通常の溶融亜鉛めっきにおけるAl濃度管理範囲の下限付近に調整する。
以上述べたように、鋼帯の溶融亜鉛めっきにおいては、めっき浴中のAl濃度の管理が極めて重要である。
【0007】
(2) めっき浴中のドロスの低減:
溶融亜鉛めっき浴に浸漬した鋼帯(以下ストリップとも記す)からはFeが溶出する。
溶融亜鉛めっき浴中で溶解度以上のFeは、ZnおよびAlと反応し、生成したFeZn7 を主成分とするボトムドロスがめっきポット内の底部に堆積し、Fe2Al5を主成分とする浮上ドロスがめっき浴上に浮上する。
【0008】
この場合、ボトムドロスは、めっき浴中のシンクロールを周回して搬送されるストリップの随伴流であるめっき液に巻き上げられてストリップに付着する。
また、浮上ドロスは再度めっき液中に一部巻き込まれ、上記と同様にストリップに付着する。
この結果、製造されためっき鋼板のプレス時に、プレスブツと称する表面不均一部分が生じ、鮮映性が損なわれるばかりでなく、付着ドロスが金型に損傷を与えるという問題があり、めっき浴中のドロスを低減することが重要な課題となる。
【0009】
上記した問題を解決するため、特開平1−147047号公報において、溶融亜鉛めっき設備の主ポットに、めっき浴循環装置を介して加熱装置と気泡吹込み装置とを備えた副ポットを併設し、副ポット内のめっき浴にAl含有亜鉛インゴットを投入し、副ポット内めっき浴中のドロスを比重の軽いFe2Al5に改質し、Fe2Al5含有ドロスを副ポット下部から吹き込んだ気泡によって浮上分離した後、この溶融亜鉛めっき浴を主ポットに戻す溶融亜鉛めっき浴の管理方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、上記した方法は、下記▲1▼〜▲4▼の問題を有している。
▲1▼ポンプの交換および配管の閉塞:
主ポットと副ポットとの間におけるめっき液の循環のために、ポンプが必要となる。
この結果、ポンプおよび配管が亜鉛もしくはドロスによって閉塞もしくは破損することが避けられず、ポンプの交換および配管中の閉塞物の除去など装置の保守が必要となる。
【0011】
▲2▼設備の大型化、複雑化:
加熱装置と気泡吹込み装置を備えた副ポットを併設するため、設備が大型化、複雑化する。
▲3▼めっき浴浴温制御の問題:
主ポット(めっき用ポット)へ副ポットからめっき液が流入するため、主ポットのめっき浴の浴温の制御方法が複雑となる。
【0012】
▲4▼エネルギー消費量の増加:
副ポットを併設し、副ポット内でAl含有インゴットを加熱、溶解するため、副ポットからの熱放散によって、エネルギー消費量が増加する。
以上述べたように、従来、簡易な設備で、溶融亜鉛めっき浴など溶融金属めっき浴中にAlなどのめっき助剤を添加すると共に、該めっき助剤に起因するドロスなどめっき浴中のドロスを効果的に除去することが可能な、鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置が求められていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、鋼帯の連続溶融金属めっきにおいて、簡易な装置で、溶融金属めっき浴にAlなどのめっき助剤を添加すると共に、該めっき助剤に起因するドロスなどめっき浴中のドロスを効果的に除去し、かつ、ドロスの回収作業が容易で装置の保守性に優れた鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、鋼帯を溶融金属であるめっき浴1中に連続的に侵入させ、浴中シンクロール3を周回後、方向転換し、めっき浴1液面より上方へ引き上げて連続的にめっきを施す鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法であって、前記めっき浴1にドロス除去槽10を浸漬すると共に、該ドロス除去槽10として、該ドロス除去槽10槽内(以下、単に槽内とも記す)へのめっき液流入口11と、槽内に設けられかつ板面が上下方向に配設されたドロス比重分離用の複数枚の邪魔板13、14と、槽内からのめっき液流出口15と、槽内へめっき助剤を装入するめっき助剤装入口20を有するドロス除去槽10を用い、該ドロス除去槽10槽内にめっき助剤を装入し、ドロス除去槽10槽外めっき浴のめっき液を、前記めっき液流入口11から前記ドロス除去槽10槽内に導入し、前記複数枚の邪魔板13、14のそれぞれの下方または上方を通過せしめ、めっき液中のドロスを比重分離した後、前記めっき液流出口15からめっき浴1中に再循環することを特徴とする鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法である。
【0015】
前記した第1の発明は、前記したドロス除去槽10槽外めっき浴のめっき液を、前記めっき液流入口11から前記ドロス除去槽10槽内に導入する方法が、ドロス除去槽10槽外めっき浴のめっき液を、浴中シンクロール3の回転によって生じるめっき液の流れFを駆動力として前記めっき液流入口11から前記ドロス除去槽10槽内に導入する方法である。
【0016】
また、前記した第1の発明においては、前記ドロス除去槽10の前記めっき液流入口11に、ドロス除去槽10槽内へのめっき液流入量調整用の可動整流板12を取り付け、該可動整流板12によってドロス除去槽10槽内へのめっき液流入量を調整することが好ましい(第1の発明の好適態様)。
【0017】
さらに、前記した第1の発明、第1の発明の好適態様のめっき浴の清浄化方法は、前記溶融金属として溶融亜鉛を用い、前記めっき助剤としてAl(:元素)を含有するめっき助剤を用いた溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法として特に好適に用いられる。
第2の発明は、鋼帯を溶融金属であるめっき浴1中に連続的に侵入させ溶融金属めっきを施すめっき用ポット2と、鋼帯を方向転換させめっき浴1液面より上方へ引き上げるための浴中シンクロール3と、溶融金属めっき浴中のドロスを除去するためのドロス除去槽10を有する鋼帯の溶融金属めっき装置であって、前記ドロス除去槽10として、前記ドロス除去槽10槽内(以下、単に槽内とも記す)へのめっき液流入口11と、槽内に設けられかつ板面が上下方向に配設されたドロス比重分離用の複数枚の邪魔板13、14と、槽内からのめっき液流出口15と、槽内にめっき助剤を装入するめっき助剤装入口20を有するドロス除去槽10を用い、該ドロス除去槽10をめっき浴1に浸漬配置したことを特徴とする溶融金属めっき装置である。
【0018】
前記した第2の発明は、前記めっき液流入口11を、前記めっき液流出口15に対して、浴中シンクロール3の回転によって生じるめっき液の流れの上流側に配置する。
また、前記した第2の発明においては、前記ドロス除去槽10の前記めっき液流入口11に、ドロス除去槽10槽内へのめっき液流入量調整用の可動整流板12を取り付けることが好ましい(第2の発明の第1の好適態様)。
【0019】
また、前記した第2の発明、第2の発明の第1の好適態様においては、前記めっき液流出口15を、該めっき液流出口15の開口部最下端の位置が、ドロス除去槽10槽内の槽底から100mm 以上の高さの位置となるように配置することが好ましい(第2の発明の第2の好適態様、第3の好適態様)。
また、前記した第2の発明、第2の発明の第1の好適態様においては、前記めっき液流出口15を、該めっき液流出口15の開口部最下端の位置が、ドロス除去槽10槽内の槽底から100mm 以上の高さの位置で、かつ、ドロス除去槽10槽内のめっき液液面の高さおよびドロス除去槽10槽外のめっき浴1浴面の高さの両者よりも低い高さの位置となるように配置することが好ましい(第2の発明の第4の好適態様、第5の好適態様)。
【0020】
また、前記した第2の発明、第2の発明の第1の好適態様〜第5の好適態様においては、前記複数枚の邪魔板13、14の少なくとも一枚を取り外し可能な構造とすることが好ましい(第2の発明の第6の好適態様〜第11の好適態様)。
また、前記した第2の発明、第2の発明の第1の好適態様〜第11の好適態様においては、前記ドロス除去槽10を一体としてめっき浴1から引き上げ可能な構造とすることが好ましい。
【0021】
さらに、前記した第2の発明、第2の発明の各好適態様の溶融金属めっき装置は、前記溶融金属として溶融亜鉛を用い、前記めっき助剤としてAl(:元素)を含有するめっき助剤を用いた溶融金属めっき装置として特に好適に用いられる。
なお、前記した第1の発明の好適態様、第2の発明の第1の好適態様における前記可動整流板12としては、前記ドロス除去槽10のめっき液流入口11に設けられ、めっき液の流れに対して抵抗を与える面を有し、ドロス除去槽10槽外のめっき浴1のめっき液をドロス除去槽10槽内に導入すると共に、上記した面が傾動および/または移動することが可能な可動部材であればその形状、構造は特に制限を受けるものではない。
【0022】
また、前記した第1の発明においては、前記したドロス除去槽10槽外めっき浴のめっき液を、前記めっき液流入口11から前記ドロス除去槽10槽内に導入する駆動力は、浴中シンクロール3の回転による駆動力に限定されるものではなく、ドロス除去槽10槽内のめっき液中に翼形断面を有する回転羽根を配設し、浴中シンクロール3の回転による駆動力に加えて、上記回転羽根による駆動力を併用してもよく、前記した第2の発明においては、ドロス除去槽10槽内のめっき液中に翼形断面を有する回転羽根を設けてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは前記した課題を解決するために、図7に示す槽内に複数枚の邪魔板32、33を各々上下方向に取り付けたドロス除去槽30を用い、ドロス除去槽槽内(以下、ドロス除去槽内、または、単に、槽内とも記す)の溶融亜鉛31の流量を変化させ、ドロスの比重分離実験を行った。
【0024】
図8に、得られた結果を示す。
なお、図8に示す溶融亜鉛の流量は、溶融亜鉛中の粒子の移動速度、溶融亜鉛の流れと直交する槽内断面の面積および溶融亜鉛の密度から求め、ドロス除去効率:ηは下記式(1) から求めた。
ドロス除去効率:η=〔(A−B)/A〕×100 %………(1)
なお、上記式(1) 中、
A:ドロス除去槽入口の溶融亜鉛中の粒子径≧20μm の粒子の個数
B:ドロス除去槽出口の溶融亜鉛中の粒子径≧20μm の粒子の個数
を示し、上記した個数は、ドロス除去槽入口、出口の溶融亜鉛をサンプリングし、凝固後の亜鉛の断面の観察によって測定した。
【0025】
図8に示されるように、上記した実験によって、一定値以下の溶融亜鉛流量、すなわち上記した実験装置においては、0.5t/min以下の溶融亜鉛流量でほぼ100 %に近いドロス除去効率ηが得られることが分かった。
本発明者らは、▲1▼上記で得られた実験結果および▲2▼回転する浴中シンクロールを用いた鋼帯の連続溶融金属めっきのめっき浴におけるめっき液の循環流に着目した。
【0026】
すなわち、回転する浴中シンクロールを用いた鋼帯の連続溶融金属めっきのめっき浴においては、浴中シンクロールの回転方向に沿ってめっき液が流れ、めっき浴内に循環流が形成される。
本発明者らは、ドロス除去槽をめっき浴に浸漬配置すると共に、上記した循環流を有効に活用し、ドロス除去槽内に溶融金属を導入することによって、ポンプを用いずにめっき浴中のドロスを比重分離できるのではないかと考えた。
【0027】
さらに、本発明者らは、Alなどのめっき助剤を、上記したドロス除去槽内に直接装入することによって、めっき助剤の溶解槽を別個に配設することなく、めっき助剤をめっき浴中に添加し、しかも、例えば、めっき助剤としてAlを用いる場合、AlとFeの急速な反応で生成するFe-Al 系ドロスを分離し、清浄な高Alめっき液をめっき浴中に供給できるのではないかと考えた。
【0028】
このため、めっき浴内にめっき浴の循環流を利用したドロス除去槽を配設して実験を行った。
その結果、後記する実施例で示すように、めっき浴中のドロスが効率的に比重分離され、溶融金属めっき鋼板へのドロス付着を極めて効果的に防止することが可能であることが分かった。
【0029】
さらに、Alなどのめっき助剤をドロス除去槽内に直接装入した場合も、めっき助剤に起因するドロスを極めて効果的に分離し、めっき助剤を富化した清浄なめっき液をめっき浴中に供給することが可能であることが分かり本発明を完成した。
図1に、本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置およびドロス除去槽の1例を平面図(a) 、A−A部矢視図(縦側面図)(b) およびB−B部断面図(縦断面図)(c) によって示す。
【0030】
なお、図1において、1は溶融金属であるめっき浴、2はめっき用ポット、3は浴中シンクロール(:シンクロール)、4は鋼帯、5はスナウト、10はドロス除去槽、11はドロス除去槽10内へのめっき液流入口、12はめっき液流入口11に設けられたドロス除去槽10内へのめっき液流入量調整用の可動整流板、12S は可動整流板12の回転軸、13、14は板面が上下方向に配設されためっき液中のドロス比重分離用の邪魔板、15はドロス除去槽10内からのめっき液流出口、20はドロス除去槽10に設けられたドロス除去槽10内へめっき助剤を装入するめっき助剤の装入口(以下、槽内へのめっき助剤装入口もしくはめっき助剤装入口と記す)、Fはめっき液の流れ、fはめっき液の流れ方向、f1は鋼帯の搬送方向(通板方向)、f3は可動整流板12の回転方向、hはめっき液流出口15の開口部最下端部のドロス除去槽10内槽底に対する高さ、θはめっき液流入口11に対する可動整流板12の水平方向の角度(以下、整流板角度とも記す)を示す。
【0031】
図1に示す溶融金属めっき装置においては、溶融金属めっき浴中のドロスを除去するためのドロス除去槽10がめっき浴1に浸漬されている。
また、上記ドロス除去槽10として、槽内へのめっき液流入口11と、槽内に設けられかつ板面が上下方向に配設されためっき液中のドロス比重分離用の複数枚の邪魔板13、14と、槽内からのめっき液流出口15と、槽内へめっき助剤を装入するためのめっき助剤装入口20を有するドロス除去槽10を配設し、ドロス除去槽10のめっき液流入口11に、ドロス除去槽10槽内へのめっき液流入量調整用の可動整流板12を取り付けた。
【0032】
なお、図1に示すドロス除去槽10は、槽全体をめっき浴に浸漬することなく、ドロス除去槽10の槽壁がめっき浴浴面(めっき浴液面)より上方に突き出し、またドロス比重分離用の邪魔板13および邪魔板14が下記に示すように配置されている。
すなわち、図1に示す溶融金属めっき装置においては、ドロス比重分離用の邪魔板13は、板面上方端部がめっき液液面より上方に突き出すと共に、板面下方端部とドロス除去槽10内の槽底との間にめっき液流通用の流路を形成するように配置されている。
【0033】
また、ドロス比重分離用の邪魔板14は、板面上方端部がめっき液中に浸漬され、板面上方端部上方にめっき液流通用の流路を形成し、板面下方端部がドロス除去槽10内の槽底に至るように配置されている。
また、ドロス比重分離用の邪魔板13と邪魔板14の両者は、邪魔板13の板面下方端部が邪魔板14の板面上方端部より低い位置となるように配置されている。
【0034】
この結果、めっき液がドロス除去槽10内に配設された邪魔板13、14のそれぞれの下方または上方を通過することによって、ドロス除去槽10内にめっき液の下降流および上昇流の両者が形成され、めっき液中の比重の軽いドロスは、ドロス除去槽10内のめっき液液面に浮上し、めっき液中の比重の重いドロスは、ドロス除去槽10内の槽底に沈積し、めっき液中のドロスが比重分離される。
【0035】
また、図1に示す溶融金属めっき装置においては、ドロス除去槽10内へのめっき液流入量調整用の可動整流板12が、板面が上下方向となるように配設されると共に、整流板が、可動整流板12の回転軸12S を中心として水平方向(f3の方向)に回転可能な構成となっている。
この結果、めっき液の流れが可動整流板12によって抵抗を受け、めっき液流入口11に対する可動整流板12の水平方向の角度(:整流板角度)θを調整することによって、ドロス除去槽10内へのめっき液流入口11の開口部の開度を調整し、ドロス除去槽10内へのめっき液の流入量を調整することができる。
【0036】
なお、本発明における前記可動整流板12としては、上記した目的から、ドロス除去槽10のめっき液流入口11に設けられ、めっき液の流れに対して抵抗を与える面を有し、めっき浴1内のめっき液をドロス除去槽10内に導入すると共に、上記した面が傾動および/または移動することが可能な可動部材であればその形状、構造は特に制限を受けるものではない。
【0037】
次に、図2に、上記した図1に示す溶融金属めっき装置を斜視図によって示す。
なお、図2において、16はドロス除去槽10の保守時に、ドロス除去槽10を一体(全体)としてめっき浴から引き上げるためにドロス除去槽10に取り付けられた懸架用部材を示し、その他の符号は図1と同一の内容を示す。
【0038】
以上述べた図1、図2に示す本発明の溶融金属めっき装置によれば、めっき液を、浴中シンクロール3の回転によって生じるめっき液の流れFを駆動力としてドロス除去槽10のめっき液流入口11からドロス除去槽10内に導入し、複数枚の邪魔板13、14のそれぞれの下方または上方を通過せしめ、めっき液中のドロスを比重分離した後、めっき液流出口15からめっき浴1中に再循環することが可能となった。
【0039】
さらに、Alなどのめっき助剤を、めっき助剤装入口20などからドロス除去槽10内に、直接、装入、溶解することによって、めっき助剤の溶解槽を別個に配設する必要がなくなり、▲1▼設備の小型化、簡易化、▲2▼めっき浴浴温制御の簡易化および▲3▼省エネルギーが達成できるばかりでなく、めっき助剤に起因するドロスなどドロスを極めて効果的に分離し、めっき助剤を富化した清浄なめっき液をめっき浴中に供給することが可能となった。
【0040】
なお、本発明におけるめっき助剤装入口20としては、その構成は特に制限されるものではなく、Alなどのめっき助剤をドロス除去槽10内に装入可能な装入口であればよく、前記した図1、図2に示すドロス除去槽10上部の大気開放部であってもよい。
また、前記しためっき助剤としては特に制限を受けるものではないが、特に、鋼帯表面の鉄もしくはめっき金属である溶融金属と反応し、めっき後の鋼板表面に付着物として残留する生成物を形成するめっき助剤が好ましい。
【0041】
例えば、溶融金属として溶融亜鉛を用いた溶融亜鉛めっきにおけるめっき助剤としては、アミニウム(:Al)、Al合金、Alを含有する塩類、鉛、Si、Si合金などが例示される。
また、本発明においては、溶融金属として溶融亜鉛を用いた溶融亜鉛めっきにおけるめっき助剤としては、Al(:Al元素)を含有するめっき助剤が特に好ましく、該めっき助剤のAl(:Al元素)の含有量は、好ましくは5〜100 %、さらには40〜100 %であることがより好ましい。
【0042】
上記した溶融亜鉛めっきにおけるAl含有めっき助剤のドロス除去槽10内のめっき液への装入方法としては、Alインゴット、Al含有亜鉛インゴット、Zn含有AlインゴットおよびAlの塩類などから選ばれる1種または2種以上をドロス除去槽10内へ装入する方法を用いることができる。
なお、図3に示すように、本発明においては、上記しためっき液の流れFをさらに効果的に利用するために、めっき用ポット2内にめっき液流れに対する抵抗板19を設けてもよい。
【0043】
これは、上記した抵抗板19によって抵抗板19の配設箇所におけるめっき液の流通抵抗が大となり、ドロス除去槽10内へのめっき液の流入量(流入速度)が増加するためである。
また、上記した抵抗板19は、図3に示すめっき用ポット2の側壁に取り付けた抵抗板19に限定はされず、めっき用ポット2内に配設され、ドロス除去槽10内へのめっき液の流入量(流入速度)を増加できる位置に取り付けた抵抗板19であればよい。
【0044】
なお、上記した抵抗板19の配設箇所、配設個数、板幅などの仕様は、前記した図8に例示したドロス除去効率:ηとドロス除去槽10内の溶融亜鉛流量など溶融金属流量との関係および必要なドロス除去量に基づいて定めることができ、また、抵抗板19の配設によって、ドロス除去槽10内へのめっき液の流入量が過剰となった場合は、抵抗板19の板幅の変更もしくは可動整流板12の整流板角度θを調整することによって、ドロス除去槽10内へのめっき液の流入量を調整することができる。
【0045】
以上、ドロス除去槽10にめっき助剤を装入し、浴中シンクロール3の回転によって生じるめっき液の流れFを駆動力として、めっき液を、ドロス除去槽10内に導入し、めっき液中のドロスを比重分離した後、めっき浴1中に再循環するめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置について述べたが、本発明においては、上記した駆動力は、浴中シンクロール3の回転による駆動力に限定されるものではなく、ドロス除去槽10内のめっき液中に翼形断面を有する回転羽根を配設し、浴中シンクロール3の回転による駆動力に加えて、上記回転羽根による駆動力を併用してもよい。
【0046】
すなわち、一時的にシンクロールの回転速度が遅くなった場合や、ドロス除去槽10内のめっき液をめっき浴1内へ迅速に循環させたい場合、上記した補助的な駆動力を併用することができる。
上記した回転羽根は、その回転面がドロス除去槽10内のめっき液中において、必要なめっき液流れ方向に直交するように配設し、垂直方向など上下方向に配設した回転駆動軸によってギヤ、流体継手などを介して回転羽根を回転させることが好ましい。
【0047】
これは、回転駆動軸を上下方向に配設した場合、回転駆動軸がめっき用ポット2およびドロス除去槽10の側壁を貫通しないため、後記するドロス除去槽10のめっき浴1からの引き上げを迅速に行うことができ、ドロス除去槽10の保守、補修が容易となるためである。
また、前記した図1〜図3に例示した本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置においては、めっき液の酸化を防止するために、めっき液液面上の雰囲気をN2ガスなどの不活性ガス雰囲気としてもよい。
【0048】
以上述べた本発明の鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置によれば、比重の重いドロスがドロス除去槽10の槽内底部に沈降し分離されるばかりでなく、ドロス除去槽10内のめっき液液面の上方を大気開放とするか空間を形成することが可能であるため、比重の軽いドロスはドロス除去槽10の槽内のめっき液液面に浮上、滞留し、浮上ドロスが再度めっき液中に巻き込まれることが防止される。
【0049】
この結果、本発明によれば、鋼帯の連続溶融金属めっきにおいて、めっき浴中のドロスを効果的に除去することが可能となった。
さらに、本発明によれば、めっき浴1に浸漬したドロス除去槽10内にめっき助剤を装入するため、めっき助剤溶解槽を別個に配設することなく、めっき助剤に起因するドロスの問題を解決し、めっき助剤を富化した清浄なめっき液をめっき浴中に供給することが可能となった。
【0050】
また、本発明によれば、ドロス除去槽10をめっき浴1内に浸漬配置するため、めっき浴外にドロス除去槽を設ける場合の放散熱量が大幅に低減でき、省エネルギーを達成できるという効果を有する。
また、本発明によれば、ドロス除去槽10をめっき浴1内に浸漬配置するため、ドロス除去槽からのめっき液の漏洩の問題が無く、安全上の問題も無い。
【0051】
さらに、本発明によれば、ポンプおよび配管が不要であり、ポンプおよび配管の亜鉛もしくはドロスによる閉塞もしくは破損に対する保守が不要となり、保守性に優れた連続溶融金属めっき装置を達成できた。
次に、本発明のさらなる好適態様について述べる。
すなわち、本発明においては、ドロス除去槽10のめっき液流出口15を、めっき液流出口15の開口部最下端の位置がドロス除去槽10内の槽底から100mm 以上の高さの位置となるよう配置することが好ましい。
【0052】
これは、めっき液流出口15を、上記した条件を満足するように配置することによって、ドロス除去槽10出口側の槽底に沈降したドロスの槽外めっき浴への流出を防止できるためである。
また、本発明においては、ドロス除去槽10のめっき液流出口15から槽外のめっき浴1へのめっき液の流出が阻害されないように、めっき液流出口15を、めっき液流出口15の開口部最下端の位置が、ドロス除去槽10内の槽底から100mm 以上の高さの位置で、かつ、ドロス除去槽10内のめっき液液面の高さおよびドロス除去槽10槽外のめっき浴1浴面の高さの両者よりも低い高さの位置となるよう配置することが好ましい。
【0053】
さらに、本発明においては、前記した複数枚の邪魔板13、14の少なくとも一枚を取り外し可能な構造とすることが好ましい。
図4に、上記した溶融金属めっき装置の一例を、図1のB−B部縦断面図によって示す。
なお、図4において、17a 、18a は邪魔板13、邪魔板14のそれぞれを両面側から挟持する支持部材、17b 、18b は邪魔板13、邪魔板14のそれぞれを邪魔板の下端で支持する支持部材を示し、その他の符号は図1〜図3と同一の内容を示す。
【0054】
すなわち、図4に示す鋼帯の溶融金属めっき装置においては、装置稼働時においても、邪魔板13、邪魔板14を上方に引き上げ取り外すことができる。
本発明においては、図4に例示するように、複数枚の邪魔板13、14の少なくとも一枚を取り外し可能な構造とすることによって、溶融金属めっき装置の稼働中においても、邪魔板を取り外し、ドロス除去槽10内の槽底に沈積した槽底ドロスを容易に掻き出し、回収することが可能となる。
【0055】
なお、上記した溶融金属めっき装置の稼働中に槽底ドロスを掻き出し、回収する際には、前記したドロス除去槽10のめっき液流入口11に対する可動整流板12の水平方向の角度(:整流板角度)θを0度としめっき液流入口11を閉鎖し、ドロス除去槽10内におけるめっき液の流れを停止することによって、ドロス除去槽10内の槽底ドロスおよびドロス除去槽10内の浮遊ドロスの槽外めっき浴中への流出を防止できる。
【0056】
さらに、本発明においては、図2、図4に例示するようにドロス除去槽10に懸架用部材16などを取り付け、ドロス除去槽10を一体(全体)としてめっき浴1から引き上げ可能な構造とすることが好ましい。
これは、ドロス除去槽10を上記した構造とし、ドロス除去槽10を一体(全体)としてめっき浴1から引き上げることによって、ドロス除去槽10の保守、補修を容易に行うことができ、また保守、補修の時間を短縮することができるためである。
【0057】
また、ドロス除去槽10を上記した構造とすることによって、軽微な保守、補修の場合は、溶融金属めっき装置の稼働中においても、ドロス除去槽10を一体(全体)としてめっき浴1から引き上げ、保守、補修を行うことができる。
以上本発明について述べたが、本発明における鋼帯の溶融金属めっきの溶融金属としては、溶融亜鉛に限定されることはなく、亜鉛を主成分とする溶融(亜鉛−アルミ:Zn-Al )、アルミを主成分とする溶融(アルミ−亜鉛:Al-Zn )など、溶融亜鉛以外の溶融金属を用いることもできる。
【0058】
すなわち、本発明は、前記した本発明の作用、効果に基づき、溶融亜鉛以外の溶融金属を用いた鋼帯の溶融金属めっきにおける溶融金属めっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置としても好適に用いることができる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明および本発明により得られる効果をさらに具体的に説明する。
前記した図1、図2に示す本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置を用い、Alインゴットを、ドロス除去槽10のめっき助剤装入口20からドロス除去槽10内めっき液中に装入し、ドロス除去槽10めっき液流出口15におけるめっき液中のドロスの個数を調査した(実施例1)。
【0060】
また、前記した図9に示す従来の鋼帯の溶融金属めっき装置を用い、Alインゴットをめっき浴1に装入し、めっき浴中のドロスの個数を調査した(比較例1)。
さらに、図1、図2に示す本発明の溶融金属めっき装置を用いて鋼帯への連続溶融亜鉛めっきを行い、鋼板へのドロス付着状況を調べた(実施例2)。
【0061】
また、図9に示す従来の溶融金属めっき装置を用いて鋼帯への連続溶融亜鉛めっきを行い(比較例2)、本発明の溶融金属めっき装置で得られた鋼板のドロス付着状況と従来の溶融金属めっき装置で得られた鋼板のドロス付着状況との比較を行った。
さらに、図1、図2および図4に示す本発明の溶融金属めっき装置を用い本発明の溶融金属めっき装置の保守の難易度を評価した(実施例3)。
【0062】
なお、図1、図2および図4に示す溶融金属めっき装置において、めっき液流出口15の開口部最下端の位置は、ドロス除去槽10内の槽底から 500mmの高さとした。
すなわち、図1(b) 、図2においてh= 500mmとした。
(実施例1)
図1、図2に示す本発明の溶融金属めっき装置を用い、予め、ドロス除去槽10のめっき液流入口11に対する可動整流板12の水平方向の角度(:整流板角度)θと、ドロス除去槽10内の循環溶融亜鉛流量との関係を、前記した図8と同様の方法で調査した。
【0063】
図5に、得られた結果を示す。
なお、図5に示す循環溶融亜鉛流量は、可動整流板12を取り付ける前のドロス除去槽10内の循環溶融亜鉛流量を1とし、相対値で示した。
図5に示されるように、整流板角度:θ=90度の時に最大の循環溶融亜鉛流量が得られ、以下の実験では整流板角度:θ=90度と設定した。
【0064】
次に、Alインゴットを、ドロス除去槽10のめっき助剤装入口20から順次ドロス除去槽10内めっき液中に装入し、下記条件下で鋼帯の連続溶融亜鉛めっきを行い、ドロス除去槽10めっき液流出口15におけるめっき液中のドロスの個数を調査した。
(溶融亜鉛めっきの条件:)
鋼帯:冷延鋼板、板厚0.4 〜1.6mm ×板幅750 〜1850mm
溶融亜鉛めっき浴侵入板温:470 〜480 ℃
溶融亜鉛めっき浴Al濃度 :0.13〜0.15%
通板速度 :30〜150m/min
すなわち、ドロス除去槽10めっき液流出口15の溶融亜鉛を、先端に内寸法において深さ、幅、奥行きの各々の長さが等しい受け容器を取り付けた杓状の採取棒でサンプリングした。
【0065】
次に、凝固後の立方体の亜鉛の上面全面に存在するドロスの個数および側面の幅方向中央部に高さ方向に設定した基準線上に存在するドロスの個数を顕微鏡で観察、測定し、それら2者について求められた個数を乗じ、得られた値を亜鉛の体積で除することによって、亜鉛単位体積当たりに存在するドロスの個数を求めた。
【0066】
なお、上記したドロスとしては、粒径が10μm 以上のドロスを選択した。
図6に、得られた結果を示す。
(比較例1)
前記した図9に示す従来の溶融金属めっき装置を用い、Alインゴットを順次めっき浴中に装入した以外は前記した実施例1と同様の条件で鋼帯の連続溶融亜鉛めっきを行い、前記した実施例1と同様の方法で、めっき浴中のドロスの個数を調査した。
【0067】
図6に、得られた結果を示す。
図6の前記した実施例1と比較例1との対比で示されるように、本発明によれば、めっき液中に直接Alなどのめっき助剤を添加した条件下においても、めっき液中のドロスが効率的に比重分離され、めっき浴中に、めっき助剤を富化した清浄なめっき液を供給することが可能であることが分かった。
【0068】
(実施例2)
前記した図1、図2に示す本発明の溶融金属めっき装置を用い、Alインゴットを、ドロス除去槽10のめっき助剤装入口20から順次ドロス除去槽10内めっき液中に装入し、下記条件下で鋼帯の連続溶融亜鉛めっきを行い、得られた溶融亜鉛めっき鋼板の品質を下記試験方法で評価した。
【0069】
なお、整流板角度:θ=90度と設定した。
(溶融亜鉛めっきの条件:)
鋼帯:冷延鋼板、板厚0.4 〜1.6mm ×板幅750 〜1850mm
溶融亜鉛めっき浴侵入板温:470 〜480 ℃
溶融亜鉛めっき浴Al濃度 :0.13〜0.15%
通板速度 :30〜150m/min
(溶融亜鉛めっき鋼板の試験方法:)
得られた鋼帯50コイルについて下記試験を行い、品質を評価した。
【0070】
溶融亜鉛めっき鋼板のドロス付着による不良率:
溶融亜鉛めっき鋼板をプレス加工し、プレス加工後の鋼板のドロス付着個数が2個/m2以上の製品を不良とし、全製品中における不良製品の発生率を不良率と定義した。
表1に、得られた試験結果を示す。
【0071】
(比較例2)
図9に示す従来の溶融金属めっき装置を用いた以外は前記した実施例2と同様の条件で鋼帯への連続溶融亜鉛めっきを行い、得られた溶融亜鉛めっき鋼板の品質を前記した実施例2と同様の方法で評価した。
なお、本比較例においては、めっき浴へのAlの添加は、めっき用ポット2とは別個に設けたAlインゴット溶解槽でAlを添加しためっき液をめっき用ポット2に循環供給することによって行った。
【0072】
表1に、得られた試験結果を示す。
表1の前記した実施例2と比較例2との対比で示されるように、本発明によれば、めっき液中にAlなどのめっき助剤を添加した条件下においても、めっき液中のドロスが効率的に比重分離され、めっき助剤を富化した清浄なめっき液をめっき浴に供給することが可能となり、溶融金属めっき鋼板へのドロス付着を極めて効果的に防止することが可能であることが分かった。
【0073】
【表1】
【0074】
(実施例3)
前記した実施例2で用いた図1、図2に示す溶融金属めっき装置において、前記した図4に示す邪魔板13、邪魔板14を両面側から挟持する支持部材17a 、18a および邪魔板13、邪魔板14を邪魔板の下端で支持する支持部材17b 、18b を取り付けた。
【0075】
本実施例においては、前記した実施例2と同様の方法および条件で鋼帯への連続溶融亜鉛めっきを行うと共に、下記(1) 、(2) の方法で本発明の溶融金属めっき装置の保守の難易度を評価した。
(1) ドロス除去槽内の蓄積ドロスの回収:
ドロス除去槽10内に槽底ドロスおよび浮遊ドロスが蓄積した時点で、装置を稼働した状態でドロスの掻き上げ、回収を行った。
【0076】
すなわち、ドロス除去槽10内にドロスが蓄積した時点で、可動整流板12の整流板角度:θを0度とし、めっき液流入口11を閉鎖した。
次に、邪魔板13、邪魔板14を上方に引き上げ取り外し、槽底ドロスおよび浮遊ドロスを掻き上げ、回収した。
この結果、ドロス除去槽10内の槽底ドロスおよび浮遊ドロスの両者を容易に回収することができ、また回収時に製造された鋼板へのドロス付着量が回収前後のドロス付着量と同様に少ないことが分かった。
【0077】
(2) ドロス除去槽の保守、補修:
ドロス除去槽10内の邪魔板13、14の支持部材17b 、18b の凹部にドロスが沈積し、邪魔板13、14の取り外し、取り付けに支障が生じた時点で、ドロス除去槽10の懸架用部材16にチェーンを掛け、巻上機を用いてドロス除去槽10を一体(全体)としてめっき浴1から引き上げた。
【0078】
次に、支持部材17b 、18b の凹部に沈積したドロスを除去した。
また、上記したドロス除去後、ドロス除去槽10をめっき浴1中に浸漬した。
この結果、溶融金属めっき装置の稼働中においても、短時間かつ容易にドロス除去槽10の保守、補修を行うことができることが分かった。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、鋼帯の連続溶融金属めっきにおいて、極めて簡易な装置で、溶融金属めっき浴にAlなどのめっき助剤を添加すると共に、該めっき助剤に起因するドロスなどめっき浴中のドロスを効果的に除去し、かつ、ドロスの回収作業が容易で装置の保守性に優れた溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および鋼帯の溶融金属めっき装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置の1例を示す平面図(a) 、A−A部矢視図(縦側面図)(b) およびB−B部断面図(縦断面図)(c) である。
【図2】本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置の1例を示す斜視図である。
【図3】本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置の1例を示す平面図である。
【図4】本発明の鋼帯の溶融金属めっき装置の1例を示す図1のB−B部縦断面図である。
【図5】整流板角度θとドロス除去槽内の循環溶融亜鉛流量との関係を示すグラフである。
【図6】実施例1、比較例1における浴中ドロスの個数を示すグラフである。
【図7】ドロス除去槽を示す縦断面図である。
【図8】ドロス除去槽内の溶融亜鉛流量とドロス除去効率ηとの関係を示すグラフである。
【図9】従来の鋼帯の溶融金属めっき装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 めっき浴(溶融金属)
2 めっき用ポット
3 浴中シンクロール(:シンクロール)
4 鋼帯
5 スナウト
10、30 ドロス除去槽
11 ドロス除去槽内へのめっき液流入口
12 ドロス除去槽内へのめっき液流入量調整用の可動整流板
12S 可動整流板の回転軸
13、14、32、33 めっき液中のドロス比重分離用の邪魔板
15 ドロス除去槽内からのめっき液流出口
16 ドロス除去槽懸架用部材
17a 、17b 、18a 、18b 邪魔板の支持部材
19 抵抗板
20 めっき助剤の装入口
31 溶融亜鉛
F めっき液の流れ
f めっき液の流れ方向
f1 鋼帯の搬送方向(通板方向)
f2 浴中シンクロールの回転方向
f3 可動整流板の回転方向
h めっき液流出口の開口部最下端部のドロス除去槽内槽底に対する高さ
θ 整流板角度
Claims (4)
- 鋼帯を溶融金属であるめっき浴(1) 中に連続的に侵入させ、浴中シンクロール(3) を周回後、方向転換し、めっき浴(1) 液面より上方へ引き上げて連続的にめっきを施す鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法であって、前記めっき浴(1) にドロス除去槽(10)を浸漬すると共に、該ドロス除去槽(10)として、槽内へのめっき液流入口(11)と、槽内に設けられかつ板面が上下方向に配設されたドロス比重分離用の複数枚の邪魔板(13 、14) と、槽内からのめっき液流出口(15)と、槽内へめっき助剤を装入するめっき助剤装入口(20)を有するドロス除去槽(10)を用い、該ドロス除去槽(10)槽内にめっき助剤を装入し、ドロス除去槽(10)槽外めっき浴のめっき液を、浴中シンクロール(3) の回転によって生じるめっき液の流れFを駆動力として前記めっき液流入口(11)から前記ドロス除去槽(10)槽内に導入し、前記複数枚の邪魔板(13 、14) のそれぞれの下方または上方を通過せしめ、めっき液中のドロスを比重分離した後、前記めっき液流出口(15)からめっき浴(1) 中に再循環することを特徴とする鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法。
- 鋼帯を溶融金属であるめっき浴(1) 中に連続的に侵入させ溶融金属めっきを施すめっき用ポット(2) と、鋼帯を方向転換させめっき浴(1) 液面より上方へ引き上げるための浴中シンクロール(3) と、溶融金属めっき浴中のドロスを除去するためのドロス除去槽(10)を有する鋼帯の溶融金属めっき装置であって、前記ドロス除去槽(10)として、槽内へのめっき液流入口(11)と、槽内に設けられかつ板面が上下方向に配設されたドロス比重分離用の複数枚の邪魔板(13 、14) と、槽内からのめっき液流出口(15)と、槽内へめっき助剤を装入するめっき助剤装入口(20)を有し、且つ、前記めっき液流入口(11)を、前記めっき液流出口(15)に対して、浴中シンクロール(3) の回転によって生じるめっき液の流れの上流側に配置したドロス除去槽(10)を用い、該ドロス除去槽(10)をめっき浴(1) に浸漬配置したことを特徴とする鋼帯の溶融金属めっき装置。
- 前記ドロス除去槽(10)の前記めっき液流入口(11)に、ドロス除去槽(10)槽内へのめっき液流入量調整用の可動整流板(12)を取り付けたことを特徴とする請求項2記載の鋼帯の溶融金属めっき装置。
- 前記ドロス除去槽(10)を一体としてめっき浴(1) から引き上げ可能な構造としたことを特徴とする請求項2または3記載の鋼帯の溶融金属めっき装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000156275A JP4487386B2 (ja) | 2000-05-26 | 2000-05-26 | 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000156275A JP4487386B2 (ja) | 2000-05-26 | 2000-05-26 | 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001335904A JP2001335904A (ja) | 2001-12-07 |
JP4487386B2 true JP4487386B2 (ja) | 2010-06-23 |
Family
ID=18661085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000156275A Expired - Lifetime JP4487386B2 (ja) | 2000-05-26 | 2000-05-26 | 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4487386B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104878337A (zh) * | 2015-05-04 | 2015-09-02 | 神宇通信科技股份公司 | 同轴电缆铜线镀锡生产线的节能型镀锡装置 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4884795B2 (ja) * | 2005-04-15 | 2012-02-29 | 新日本製鐵株式会社 | 金属帯の連続溶融金属めっき設備 |
KR101415651B1 (ko) | 2012-08-21 | 2014-07-04 | (주)엠솔루션 | 도금욕조의 드로스 포집부재 |
-
2000
- 2000-05-26 JP JP2000156275A patent/JP4487386B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104878337A (zh) * | 2015-05-04 | 2015-09-02 | 神宇通信科技股份公司 | 同轴电缆铜线镀锡生产线的节能型镀锡装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001335904A (ja) | 2001-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100360748B1 (ko) | 용융아연계 도금방법 및 그 장치 | |
JP5586478B2 (ja) | 鋼ストリップのための溶融めっき装置 | |
JP5449196B2 (ja) | 鋼ストリップの浸漬亜鉛めっき方法 | |
JP4487386B2 (ja) | 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 | |
JPH0734209A (ja) | 連続溶融めっき方法及びその方法に使用するドロス除去装置 | |
JP4238457B2 (ja) | 溶融金属めっき浴中のドロスの除去方法および溶融金属めっき装置 | |
JP5263412B2 (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板製造装置及び溶融亜鉛めっき鋼板製造方法 | |
JP2959409B2 (ja) | めっき浴のドロス除去装置 | |
KR100591277B1 (ko) | 제철소에 구비되는 아연도금욕조의 침전이물질 제거장치 | |
JP2842204B2 (ja) | 連続溶融めっき方法及びその装置 | |
JP2002275607A (ja) | 溶融金属めっき浴中のドロスの除去方法および溶融金属めっき装置 | |
JPH05295506A (ja) | めっき浴清浄化装置 | |
JP5076579B2 (ja) | 溶融金属めっき方法およびその装置 | |
JP4691821B2 (ja) | 溶融亜鉛めっき方法および装置 | |
JP3745730B2 (ja) | 美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP2842214B2 (ja) | 連続溶融めっき方法及びその装置 | |
JP2003231958A (ja) | 溶融金属めっき鋼板の製造装置 | |
JPH08188859A (ja) | 溶融めっき鋼板のドロス付着防止装置 | |
JP5115041B2 (ja) | 溶融金属めっき装置 | |
JPH11152553A (ja) | 溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置および方法 | |
JPH07228959A (ja) | 溶融めっき浴内浮遊ドロス回収装置および回収方法 | |
JPH10140309A (ja) | 溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置 | |
KR20060074689A (ko) | 용융도금욕에서 바닥드로스 제거방법 및 용융도금장치 | |
JPH07258812A (ja) | めっき浴清浄方法及びその装置 | |
JP2010037650A (ja) | 溶融金属浄化装置および溶融金属の浄化方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091208 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100204 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100309 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100322 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140409 Year of fee payment: 4 |