JPH0716051A - 加熱調理用油脂組成物 - Google Patents
加熱調理用油脂組成物Info
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- JPH0716051A JPH0716051A JP5187228A JP18722893A JPH0716051A JP H0716051 A JPH0716051 A JP H0716051A JP 5187228 A JP5187228 A JP 5187228A JP 18722893 A JP18722893 A JP 18722893A JP H0716051 A JPH0716051 A JP H0716051A
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Abstract
加熱時の劣化臭の発生の抑制など揚げ物用の油として必
要とされる好適な性能を有し、かつ風味の良い揚げ物が
得られる加熱調理用油脂組成物を提供する。 【構成】 油脂を主成分とし、0.01〜5重量%のシ
ョ糖脂肪酸エステルおよび0.01〜5重量%のポリグ
リセリン脂肪酸エステルが含まれてなる加熱調理用油脂
組成物。該油脂組成物に更に5〜50重量%のジグリセ
リドが含まれていることが好ましい。
Description
ライ、天ぷらなどの揚げ物用の油に適した油脂組成物に
関する。
用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自
体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コー
ン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、
ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイ
ックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多
く用いられている。液状油脂とは、基準油脂分析法2.
3.8.2−27による冷却試験を実施した場合、20
℃で液状である油脂を示す。
げ物作業中での油はねが生じ易すかったり、また天ぷら
を揚げた場合には、衣の花咲性(散り状態)が十分でな
いなどの問題がある。更に加熱による油の劣化臭(嫌悪
感のある臭気)が発生し易く、これが上記の花咲性の不
十分さによると思われる油っぽさと相俟って、揚げ物の
風味が損なわれ易かった。
ショ糖エステル)は、従来からケーキ等の菓子類の生地
の調製用の乳化剤(起泡剤)として(例えば、特開昭6
2−162133号公報)、あるいはショートニングな
どに用いられる油脂の結晶成長抑制剤(例えば、特開昭
62−205738号公報)として良く知られている。
また、特開昭47−34703号公報には、耐寒性を改
良するために、液状の植物油に蔗糖のジ(または)トリ
不飽和脂肪酸エステルを添加溶解することからなる液状
食用油の製造法が開示されている。しかしながら、上記
のようなショ糖エステルを用いての加熱調理用、特に、
揚げ物用の油脂への試みは為されていなかった。
うなショ糖エステルを利用した油脂組成物の天ぷら、フ
ライ等の揚げ物用の油としての利用を検討した。しかし
ながら、従来のショ糖エステルは、油脂への溶解性や、
加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね抑制、揚げ物
を作る時の衣の花咲性などの揚げ物用の油としての特性
の点においてこれら全てが満足できるものがなく、更に
揚げ物が油っぽかったり、嫌悪感のある油臭を発生させ
るなど風味の点においても十分満足できるとは言えなか
った。本発明の目的は、揚げ物用の油(油脂組成物)と
して以下のような機能の殆ど全てを備えた油脂組成物を
提供することである。 (1)揚げ物を作る時の衣の花咲性(散り状態)や食感
を向上させる。 (2)加熱時の劣化臭(嫌悪感のある臭い)の発生を抑
制する。 (3)揚げ物の風味を低下させない(油っぽさを低減
し、また嫌悪感のある油臭を発生させない)。 (4)揚げ物の作業時の油はねを抑制する。 (5)室温(20℃)において白濁したり、油不溶分を
生じない。
な好ましい特性を有する加熱調理用、特に揚げ物用の油
を求めて鋭意研究を行った。その結果、油脂に、ショ糖
脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとを特
定量加えることによって従来にない加熱調理用油脂組成
物が得られることを見出し、本発明を完成させた。また
得られた油脂組成物に更にジグリセライドを含有させる
ことによってさらに性能(保存性)の向上した油脂組成
物が得られることを見出した。
5重量%のショ糖脂肪酸エステル(以下、単にショ糖エ
ステルと称す)及び0.01〜5重量%のポリグリセリ
ン脂肪酸エステル(以下、単にポリグリセリンエステル
と称す)が含まれてなる加熱調理用油脂組成物にある。
本発明においては、上記油脂組成物に更に5〜50重量
%のジグリセライドが含まれていることが好ましい。
る。 (1)上記ショ糖エステルのエステル化度が、25〜6
0%である。 (2)上記ショ糖エステルの構成脂肪酸の50重量%を
越す量(好ましくは、70重量%以上)が不飽和脂肪酸
である。 (3)上記ポリグリセリンエステルのエステル化度が、
20〜75%である。 (4)上記ポリグリセリンエステルのHLBが、3.5
〜8.0の範囲にある。 (5)上記ショ糖エステルとポリグリセリンエステルと
の油脂組成物中での総含有量が、0.01〜5重量%で
ある。 (6)ショ糖エステルとポリグリセリンエステルとの含
有量の比(重量比)が、95:5〜40:60(更に好
ましくは、95:5〜60:40)である。
ついて説明する。本発明の加熱調理用油脂組成物は、油
脂を主成分とし、これにショ糖エステルとポリグリセリ
ンエステルとが含有されてなるものである。本発明で使
用されるショ糖エステルは、油脂への溶解性が良好で、
ポリグリセリンエステルと共に添加して、前述した性
能、例えば、加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね
抑制、揚げ物を作る時の衣の花咲性などの良好な性能が
付与されるようなものであることが好ましい。このこと
から、ショ糖エステルの構成脂肪酸は、不飽和脂肪酸が
50重量%より多いことが好ましい。不飽和脂肪酸のみ
で構成したショ糖エステルは、油はね抑制効果が弱く、
また加熱劣化し易くなる。このため、ショ糖エステル中
には、飽和脂肪酸が、5重量%以上、50重量%以下
(好ましくは、10重量%以上、30重量%以下)含ま
れるように配合することが好ましい。また、低温におけ
る油溶性を向上させるために不飽和脂肪酸の構成率が、
70重量%以上(更に好ましくは、90重量%以上)と
することが好ましい。
の構成脂肪酸が加熱時の劣化臭や嫌な臭いの発生の少な
い炭素数14以上のものであることが好ましく、特に、
飽和脂肪酸は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18
のステアリン酸またはこれらの混合物を主成分とするも
のであることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数
18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれ
らの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
(エステル置換度)が1(ショ糖モノエステル[SM
E])、2(ショ糖ジエステル[SDE])、3(ショ
糖トリエステル[STE])及び4〜8(ショ糖ポリエ
ステル[SPE])のショ糖エステルの混合物で構成さ
れている。本発明において、ショ糖エステルの使用量が
比較的少なくて済み、揚げ物作業中での加熱臭、風味、
花咲性を更に向上させるためには、ショ糖エステル中の
ショ糖ジエステル[SDE]及びショ糖トリエステル
[STE]の含有量は多いことが好ましい。
ョ糖ジエステル[SDE]の含有量は、20重量%以
上、95重量%以下の範囲(更に好ましくは、33〜9
0重量%の範囲)とすることが好ましい。また、ショ糖
エステル中のショ糖トリエステル[STE]の含有量
は、45重量%以下(更に好ましくは、15〜45重量
%の範囲)とすることが好ましい。[SDE]及び[S
TE]は、油脂組成物中にその総含有量が、0.02重
量%以上(更に好ましくは、0.05〜1.5重量%)
であることが好ましい。ショ糖エステル中のショ糖ポリ
エステル[SPE]、特に5以上のエステル化度のもの
は、油脂組成物中に1重量%以上含有されると、油っぽ
さを感じるようになり、従って、油脂組成物中での[S
PE]の含有量は、3重量%以下であることが好まし
い。また、([STE]+[SPE])/[SDE]≦
4.0の関係を有していることが好ましい。
が低いと油溶性及び風味が低下する傾向にあり、一方そ
の値が高いと花咲性の効果や油はね抑制効果が十分得に
くくなる。このため、本発明においては、エステル化度
は、25〜75%範囲(好ましくは、25〜45%の範
囲)とすることが好ましい。ここで、エステル化度は、
糖・ポリオールが有する水酸基に対して脂肪酸がエステ
ル結合している割合(%)を意味する。ショ糖エステル
のエステル化度の上記適応性については、ショ糖エステ
ル中のショ糖モノエステル[SME]の含有割合が大き
く影響し、[SME]の含有量が多くなると、風味や油
溶性を低下させる。このため、[SME]は10重量%
以下(好ましくは、0.01重量%〜5重量%の範囲)
にすることが好ましい。また、油脂組成物中の[SM
E]の含有量は、0.1重量%以下とすることが好まし
い。
の合成法を利用して調製することができる。一般に行わ
れる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化反応
により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチルの
相溶性溶媒(通常、ジメチルホルムアミド)を用い、炭
酸カリウムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、
ショ糖と脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤とを用いて、
加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧脱水
し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方法が
代表的である。また、炭酸カリウムを触媒として、ショ
糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。得ら
れた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、クロ
ロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラ
ムにかけて分画し、得られた各分画物を目的とする配合
に再配合することにより、本発明の油脂組成物に含まれ
るショ糖エステルを調製することができる。なお、市販
品のショ糖エステルから上記の方法にて分画し、得れら
た各分画物を本発明に適合するように再配合することに
よっても得ることができる。更に、市販品のショ糖エス
テルをヘキサンに溶解後、エタノールと水を添加し、エ
タノールと水の量比を調節することにより、ヘキサン相
にショ糖エステルのジエステル以上の成分を濃縮するこ
とによって得られたものも利用することができる。
ステルは、エステル化度が20〜75%(更に好ましく
は、30〜55%)程度のものが好ましい。エステル化
度は、グリセリンの有する水酸基に対して脂肪酸がエス
テル結合している割合(%)を意味する。グリセリンの
縮合度は、2〜10の範囲であることが好ましい。又エ
ステルとしては、以下の範囲のものが好ましい。 ─────────────────── ポリグリセリン 結合している脂肪酸の数 ─────────────────── ジグリセリン 1〜2 トリグリセリン 2〜4 テトラグリセリン 2〜4 ペンタグリセリン 2〜5 ヘキサグリセリン 2〜6 ヘプタグリセリン 3〜6 オクタグリセリン 3〜6 ノナグリセリン 3〜7 デカグリセリン 3〜8 ────────────────── 本発明においては、ポリグリセリンエステルは、そのH
LBが3.5〜8.0の範囲(より好ましくは、4.5
〜7.0の範囲)のものが好ましい。
上記ショ糖エステルと同様に不飽和脂肪酸が多いことが
好ましい。具体的には、不飽和脂肪酸が50〜90重量
%の範囲(更に好ましくは、70〜90重量%の範囲)
で含まれていることが好ましい。一方、飽和脂肪酸は、
50重量%以下(好ましくは、3〜20重量%)である
ことが好ましい。不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸は、上
記ショ糖エステルと同様にその構成脂肪酸が炭素数14
以上のものであることが好ましく、特に、飽和脂肪酸
は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリ
ン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであるこ
とが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレ
イン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれらの混合物
を主成分とするものであることが好ましい。
の特に好ましい具体例としては、ジグリセリンモノエス
テル、トリグリセリンジエステル、テトラグリセリント
リエステル、ヘキサグリセリントリエステル、ヘキサグ
リセリンテトラエステル、ヘキサグリセリンペンタエス
テル、デカグリセリンペンタエステル、およびデカグリ
セリンヘプタエステルを挙げることができる。上記の中
でも、オレイン酸とのエステルが特に好ましい。
ステルは、例えば、グリセリンの脱水縮合によって得た
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル交換反応などの公
知の方法を利用して製造することができるが、市販され
ていものを利用しても良い。
ように調製したショ糖エステルとポリグリセリンエステ
ルを油脂に添加、混合することにより調製することがで
きる。油脂の例としては、前述したコーン油、菜種油、
大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、ハ
イオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり
油、ごま油、オリーブ油などの液状油脂が好ましいが、
パーム油、ラードなどの固形、あるいは半固形油脂も使
用することができる。
は、その含有量が油脂組成物中に0.01〜5重量%
(好ましくは、0.01〜2重量%)となるように配合
される。本発明の油脂組成物中でのポリグリセリンエス
テルは、その含有量が油脂組成物中に0.01〜5重量
%(好ましくは、0.01〜2重量%)となるように配
合される。また、本発明の油脂組成物中でのショ糖エス
テルとポリグリセリンエステルとの総含有量は、0.0
1〜5.0重量%(更に好ましくは、0.1〜2重量
%)であることが好ましい。そして、この場合のショ糖
エステルとポリグリセリンエステルと含有量の比(重量
比)は、95:5〜40:60(更に好ましくは、9
5:5〜60:40、特に、95:5〜70:30)で
ある。
ジグリセライドが含まれていることが好ましい。本発明
においては、ジグリセライドは、ジグリセライドを50
重量%以上、好ましくは65重量%以上含むグリセライ
ド混合物が使用される。グリセライド混合物中のジグリ
セライド以外の成分はモノグリセライド及びトリグリセ
ライドであるが、モノグリセライドはジグリセライドの
20重量%以下であることが好ましい。
構成する脂肪酸残基は、炭素数は8〜24であることが
好ましく、全構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸残基の含量は
70重量%以上、特に80重量%以上であることが好ま
しい。ジグリセライドはジ不飽和グリセライドであるこ
とが好ましい。
は、不飽和脂肪酸残基のレベルの高い油脂、例えば、サ
フラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、菜種油、
大豆油、パーム油、ひまわり油、ごま油、更にラード、
牛脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、ランダム
化油、硬化油、エステル交換油から選ばれた一種または
二種以上の油脂と、グリセリンとの混合物を、アルカリ
金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下で
エステル交換反応させるか、またはこれらの油脂由来の
不飽和脂肪酸レベルの高い脂肪酸とグリセリンとをエス
テル化反応して得られるジグリセライド含量の高い油脂
を、単独でもしくは上述した原料油脂とを混合すること
により得ることができる。反応で生成した過剰のモノグ
リセリドは分子蒸留法またはクロマトグラフィー法によ
り除去することができる。これらの反応はアルカリ触媒
等を用いた化学反応でも行なうことが可能であるが、
1,3位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に穏和な条件
で反応を行なうのが風味等の点で優れており好ましい。
グリセリド混合物中のジグリセライド含量を高くする別
の方法として、例えば、天然食用油脂の分別油の利用が
挙げられる。
は、油脂組成物中に5〜50重量%(更に好ましくは、
5〜20重量%、特に、7〜15重量%)の量で含まれ
るように配合されていることが好ましい。なお、油脂に
は、天然の成分としてジグリセライドがわずかに含むも
のもあるが、本発明においては、これらを含めて上記の
範囲の含有量であることが好ましい。
を更に具体的に説明する。
記の各ショ糖エステルは、市販ショ糖エステルあるい
は、市販ショ糖エステルをクロロホルム−メタノールを
展開溶媒としたシリカゲルカラムにて分画し、得られた
各分画物と、脂肪酸メチル及びショ糖より合成すること
によって得たショ糖エステルを必要に応じて再調合する
ことにより調製した。
テル(SE)中のエステル組成等を下記の表1に示す。
なお、表1の「脂肪酸組成」の欄の「ス」、「パ」、
「オ」及び「リ」は、それぞれステアリン酸(飽和)、
パルミチン酸(飽和)、オレイン酸(不飽和)、及びリ
ノール酸(不飽和)を表す。
調製)ヘキサグリセリン1重量部に対してオレイン酸
(純度76%)3.3重量部を混合し、水酸化ナトリウ
ムを触媒として窒素ガス気流下200℃で反応させ、反
応後、静置分離して、ヘキサグリセリンペンタオレエー
トを得た。更に必要に応じて活性炭・白土処理を行っ
た。また、同様にして脂肪酸比と反応時間とをコントロ
ールすることにより、各種ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルを得た。
肪酸エステル(PGE)を下記の表2に示す。
ショ糖エステルAを油脂組成物中での含有量が0.2重
量%、及び上記のポリグリセリン脂肪酸エステルQ(ヘ
キサグリセリンペンタオレエート)を油脂組成物中での
含有量が0.05重量%となるように添加することによ
り、本発明に従う油脂組成物Iを調製した。
及ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類及び添加量を下
記の表1に示すように変えた以外は、油脂組成物Iの調
製と同様にして、それぞれに対応する本発明に従う油脂
組成物II〜XIを調製した。
のみを用い、その種類及び添加量を下記の表1に示すよ
うに変えた以外は、油脂組成物Iの調製と同様にして、
それぞれに対応する比較用の油脂組成物a〜cを調製し
た。
脂肪酸エステルのみを用い、その種類及び/又は添加量
を下記の表1に示すように変えた以外は、油脂組成物I
の調製と同様にして、それぞれに対応する比較用の油脂
組成物p、q及びq−1を調製した。
油脂組成物を使用して揚げ物(天ぷら)を行った場合の
衣の花咲性、揚げ物の風味、加熱による嫌悪感のある臭
気(劣化臭)、食感を下記のような試験を行うことによ
り調べ、評価した。 (試験方法)油脂組成物500gを鉄製の揚げ物用の鍋
(直径15cm、高さ8cm)に入れ、200℃まで加
熱した。円柱型(直径3cm、高さ0.5cm、重さ3
g)のサツマイモ5個に、予め調製した天ぷら用生地2
0g(0℃で冷却しながら調製した卵1個、水150
g、薄力粉100gからなる)を付着させて油脂組成物
中に投じ、4分後に取り出し、天ぷらを揚げた。
画像解析を行い円周に対する面積比から評価した。すな
わち、次式で示すように、円形状になった場合には、1
に近づき、花咲が進むほど数値が大きくなる。評価は、
以下のように設定した。 変形度=(円周長)2/4π×面積 5:花咲が非常に良好なもの(変形度4以上) 4:花咲が良好なもの(変形度3以上〜4未満) 3:花咲が良好とは言えないが、実用上問題ない程度の
もの(変形度1.5〜2未満) 2:花咲が一部に認められるもの(変形度1.5〜2未
満) 1:花咲がほとんど認められないもの(変形度1以上〜
1.5未満)
で調理している間の油臭を評価した。また、揚げ種から
の臭いが出ないように濾紙を使用し、これを長方形(2
×5cm)に切ったものに衣(水:小麦粉:卵=15
0:100:50(重量比))を付けて、一回に5枚ず
つ40枚を揚げながら評価した。コーンサラダ油を使用
して発生した劣化臭または異臭を1、劣化臭または異臭
のない場合を5として評価し、その平均値を評点とし
た。
げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで揚げた天ぷらとを
ブラインドペアテストで行い、コーンサラダ油で揚げた
天ぷらより油っぽくなく、加熱による嫌悪感のある臭
気、あるいはこれらが混在した風味の発生がなく、おい
しいと答えたパネラーの評点を5、コーンサラダ油で揚
げた方がおいしいと答えたパネラーの評価を1、どちら
とも言えないとした場合を3とする5段階評価を行い、
5人のパネラーの評点の平均値をその天ぷらの風味の評
点とした。
り、海老と大葉(紫蘇の葉)について、180℃で本発
明の油脂組成物を用いて揚げたものと、サラダ油のみで
揚げたものとを、揚げた後5分後にペアテストにより行
った。評価は、以下の5段階評価でその平均値を評点と
した。 1:本発明の油脂組成物の方が衣がカリっとしている。 2:本発明の油脂組成物の方が衣がややカリっとしてい
る。 3:両者とも差が無い。 4:サラダ油の方がややカリっとしている。 5:サラダ油の方がカリっとしている。 結果を以下の表3に示す。
に、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エス
テルの双方を含む本発明に従う油脂組成物を使用して揚
げ物を行った場合には、食感、風味、劣化臭及び花咲性
において良好な性能を示している。一方、ショ糖エステ
ル又はポリグリセリン脂肪酸エステルの何れか一方を含
む比較用の油脂組成物を使用して揚げ物を行った場合に
は、本発明に従う油脂組成物を使用した場合に比べ、上
記の項目についての性能は劣っている。
ーゼである市販リパーゼ製剤(ノボインダストリーA.
S社製、商品名:Lypozyme 3A )を触媒として、菜種油
由来脂肪酸860g及びグリセリン140gを40℃で
反応させた。リパーゼ製剤を濾別した後、反応生成物を
分子蒸留にかけ、常法により精製して、ジグリセライド
80重量%、トリグリセライド18重量%及びモノグリ
セライド2重量%からなるグリセライド混合物(C18の
不飽和脂肪酸含量78重量%、C20の不飽和脂肪酸含量
2重量%、C14〜C18の飽和脂肪酸含量20重量%)を
製造した。
ゼイドの油脂組成物中での含有量が10重量%となるよ
うに上記で得たグリセライド混合物を添加し、本発明に
従う油脂組成物I−1〜XI−1をそれぞれ調製した。
脂組成物I〜XI及び上記で得られた油脂組成物I−1〜
XI−1を用いて保存性の評価を行った。保存性は、40
℃で、70%RHの条件に各油脂組成物を放置した後、
水分を800ppmまで上昇させ、容器を密閉し、これ
を5℃の状態に一週間保存し、保存後の各油脂組成物の
状態を以下の基準で評価した。 5:透明でまったく霞がかかっていないもの、 4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、 3:全体に霞がかかっているもの、 2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、 1:一部結晶が析出してくるもの 得られた結果を表4に示す。
に、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エス
テルの双方を含む本発明に従う油脂組成物に、更にジグ
リセライドを含有したものは、保存性が向上することが
わかる。
加熱時の油臭(劣化臭)、揚げ物作業時の油はね抑制、
そして揚げ物作業時の衣の花咲性(散り状態)などの揚
げ物用の油として必要とされる性能の殆どを備えてい
る。またジグリセライドを含有させることによって保存
性も高められる。従って、本発明に従う加熱調理用油脂
組成物を使用することによって、油っぽさが低減され、
嫌悪感のある油臭の発生が抑えられるなど風味の良好な
揚げ物ができる。
る。 (1)上記ショ糖エステルのエステル化度が、25〜7
5%である。 (2)上記ショ糖エステルの構成脂肪酸の50重量%を
越す量(好ましくは、70重量%以上)が不飽和脂肪酸
である。 (3)上記ポリグリセリンエステルのエステル化度が、
20〜75%である。 (4)上記ポリグリセリンエステルのHLBが、3.5
〜8.0の範囲にある。 (5)上記ショ糖エステルとポリグリセリンエステルと
の油脂組成物中での総含有量が、0.01〜5重量%で
ある。 (6)ショ糖エステルとポリグリセリンエステルとの含
有量の比(重量比)が、95:5〜40:60(更に好
ましくは、95:5〜60:40)である。
ステルは、例えば、グリセリンの脱水縮合によって得た
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル交換反応などの公
知の方法を利用して製造することができるが、市販され
ているものを利用しても良い。
及ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類及び添加量を下
記の表3に示すように変えた以外は、油脂組成物Iの調
製と同様にして、それぞれに対応する本発明に従う油脂
組成物II〜XIを調製した。
のみを用い、その種類及び添加量を下記の表3に示すよ
うに変えた以外は、油脂組成物Iの調製と同様にして、
それぞれに対応する比較用の油脂組成物a〜cを調製し
た。
脂肪酸エステルのみを用い、その種類及び/又は添加量
を下記の表3に示すように変えた以外は、油脂組成物I
の調製と同様にして、それぞれに対応する比較用の油脂
組成物p、q及びq−1を調製した。
画像解析を行い円周に対する面積比から評価した。すな
わち、次式で示すように、円形状になった場合には、1
に近づき、花咲が進むほど数値が大きくなる。評価は、
以下のように設定した。 変形度=(円周長)2/4π×面積 5:花咲が非常に良好なもの(変形度4以上) 4:花咲が良好なもの(変形度3以上〜4未満) 3:花咲が良好とは言えないが、実用上問題ない程度の
もの(変形度1.5〜2未満) 2:花咲が一部に認められるもの(変形度1.5〜2未
満) 1:花咲がほとんど認められないもの(変形度1以上〜
1.5未満)
り、海老と大葉(紫蘇の葉)について、180℃で本発
明の油脂組成物を用いて揚げたものと、サラダ油のみで
揚げたものとを、掲げた後5分後にペアテストにより行
った。評価は、以下の5段階評価でその平均値を評点と
した。5 :本発明の油脂組成物の方が衣がカリっとしている。4 :本発明の油脂組成物の方が衣がややカリっとしてい
る。 3:両者とも差が無い。2 :サラダ油の方がややカリっとしている。1 :サラダ油の方がカリっとしている。 結果を以下の表3に示す。
グリセライドの油脂組成物中での含有量が10重量%と
なるように上記で得たグリセライド混合物を添加し、本
発明に従う油脂組成物I−1〜VII−1をそれぞれ調
製した。
脂組成物I〜VII及び上記で得られた油脂組成物I−
1〜VII−1を用いて保存性の評価を行った。保存性
は、40℃で、70%RHの条件に各油脂組成物を放置
した後、水分を800ppmまで上昇させ、容器を密閉
し、これを5℃の状態に一週間保存し、保存後の各油脂
組成物の状態を以下の基準で評価した。 5:透明でまったく霞がかかっていないもの、 4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、 3:全体に霞がかかっているもの、 2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、 1:一部結晶が析出してくるもの 得られた結果を表4に示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 油脂を主成分とし、0.01〜5重量%
のショ糖脂肪酸エステルおよび0.01〜5重量%のポ
リグリセリン脂肪酸エステルが含まれてなる加熱調理用
油脂組成物。 - 【請求項2】 更に5〜50重量%のジグリセライドが
含まれてなる請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
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