JPH07153055A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07153055A
JPH07153055A JP32126393A JP32126393A JPH07153055A JP H07153055 A JPH07153055 A JP H07153055A JP 32126393 A JP32126393 A JP 32126393A JP 32126393 A JP32126393 A JP 32126393A JP H07153055 A JPH07153055 A JP H07153055A
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magnetic
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magnetic recording
copolymer
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JP32126393A
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Kiyoto Fukushima
清人 福島
Hiroyuki Miyahara
裕之 宮原
Motoyuki Tsunoda
元幸 角田
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 すぐれた帯電防止効果とすぐれた電磁変換特
性とをもつ磁性層を有する磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に強磁性粉末とカーボンブラ
ックとを結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気記録
媒体で、アミン変性ビニル単位と酸性官能基変性ビニル
単位とを有する共重合体を結合剤中に含有し、さらにカ
ーボンブラックとしては、比表面積が90〜330m2/g
で、DBP吸油量が45〜120ml/100g のものを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗布型の磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体では、すぐれた電磁変換特
性を得るために、磁性層表面の平滑性を向上させること
が重要である。塗布型の磁気記録媒体において、このよ
うな表面性の良否を左右する要因の一つに、用いる磁性
塗料の構成成分の分散性や塗布時の流動性がある。
【0003】近年、磁気記録媒体は、一層記録の短波長
化、高密度化が求められている。このため、塗布型の磁
気記録媒体では、用いる磁性粉末が一層微粉末化され、
さらに磁気モーメントも大きくなっており、磁性塗料の
調製に際し、磁性粉末粒子がこれまで以上に凝集しやす
くなってきている。
【0004】また、磁気記録媒体の使用環境の拡大にと
もない、ほこり等の異物の多い環境下でも記録の短波長
化および高密度化に対応することが望まれている。ほこ
り等の異物の多い環境下で使用する際に、付着する磁性
層表面のわずかな異物等が、信号の記録時や再生時に信
号の欠落となり、ドロップアウトやノイズ等の原因とな
りやすく、記録の短波長化および高密度化にともない、
これらの欠点も一層顕在化する。
【0005】磁性粉末が凝集し、均一に分散されていな
い状態の磁性塗料を用いて磁性層の塗布を行なうと、種
々の原因で磁性層の表面性が低下し、磁気記録媒体とし
ての電磁変換特性が低下する。このため、塗布に用いる
磁性塗料としては、光沢度を低下させるような磁性粉末
の凝集がなく、さらにニュートン流体にできるだけ近い
流体特性をもつものが好ましい。
【0006】例えば、特公平2−56730号公報で
は、塩化ビニル単位とビニルアルコール単位とアミン変
性ビニル単位とを構成成分としてもつ共重合体を結合剤
として用い、磁性粉末を分散させた磁性層をもつ磁気記
録媒体が提案されている。この結合剤を用いると、磁性
塗料の調製時には分散性がすぐれ、比較的ニュートン流
体に近い流体特性をもつ磁性塗料が得られる。しかし、
塗布に際し、粘度調整等のために溶剤を添加したり、放
置したりすることで凝集物が発生し、塗料の経時安定性
が悪化しやすく、光沢度の低下を生じる。このため、こ
の状態となった磁性塗料を用いて得られた磁性層の表面
性が低下するという欠点を有する。
【0007】また、特公昭62−52363号公報で
は、塩化ビニルとアルキルカルボン酸ビニルエステル
と、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体(例えばマレ
イン酸、フマル酸、メタクリル酸、それらのエステル
類、アクリル酸およびそのエステル類)とを構成成分と
する共重合体を含有する結合剤を用い、磁性粉末を分散
させた磁性層をもつ磁気記録媒体が提案されている。こ
の結合剤を用いると、調製時の分散性も比較的よく、塗
料の経時安定性も良好な磁性塗料が得られる。しかし、
ニュートン流体に近い流体特性は得られず チクソトロ
ピー性が増加し、塗布時に種々の障害が生じやすく、磁
性層の表面性が低下しやすいという欠点をもつ。
【0008】また、特開昭63−172710号公報で
は、塩化ビニル、ビニルエステルおよび塩化ビニルと共
重合しうる他の単量体(例えば、メタクリル酸およびそ
のエステル類、アクリル酸およびそのエステル類、マレ
イン酸、フマル酸およびそのエステル類、アクリロニト
リル、塩化ビニリデン等が例示されている。)を共重合
して得られた塩化ビニル・ビニルエステル共重合体に、
アミン化合物とエポキシ基含有化合物とを加えて有機溶
剤中でケン化反応を行い、得られる共重合体を主材とし
て配合する磁気記録媒体用樹脂の製造方法が提案されて
いる。ここで前記塩化ビニルと共重合しうる他の単量体
は任意成分として加えられるものであるが、これらの単
量体、特にマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタク
リル酸等を含む前記共重合体を結合剤中に用いると、分
散性がすぐれ、比較的ニュートン流体に近い流体特性を
もち、さらに経時安定性も改善された磁性塗料が得られ
る。そして、この磁性塗料を用いて設層した磁性層は、
すぐれた表面性をもつ。しかしながら、磁性層の帯電防
止をするため、通常のカーボンブラックを磁性塗料に加
えると、磁性塗料のニュートン流体に近い流体特性とは
ならず、チクソトロピー性は増加してしまい、すぐれた
電磁変換特性をもつ磁気記録媒体は得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、すぐ
れた分散性と光沢の経時安定性とニュートン流体にでき
る限り近い流体特性とをもつ磁性塗料を用い、すぐれた
帯電防止効果とすぐれた電磁変換特性とをもつ磁性層を
有する磁気記録媒体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。 (1)非磁性支持体上に強磁性粉末とカーボンブラック
とを結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体
であって、前記結合剤は、アミン変性ビニル単位と酸性
官能基変性ビニル単位とを有する共重合体を含有し、前
記カーボンブラックの比表面積が90〜330m2/gであ
り、DBP吸油量が45〜120ml/100g である磁気記
録媒体。 (2)前記アミン変性ビニル単位の含有量が0.03〜
2.3wt%、前記酸性官能基変性ビニル単位の含有量が
0.05〜1.8wt%である上記(1)の磁気記録媒
体。 (3)前記酸性官能基変性ビニル単位が、カルボキシル
基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基およびホスホン酸
基の少なくとも1種を含むビニル単位である上記(1)
または(2)の磁気記録媒体。 (4)前記共重合体の平均重合度が200〜800であ
る上記(1)〜(3)のいずれかの磁気記録媒体。 (5)前記カーボンブラックの含有量が、前記強磁性粉
末100重量部に対して3〜20重量部である上記
(1)〜(4)のいずれかの磁気記録媒体。 (6)前記結合剤が、さらに極性基を有するポリウレタ
ンを含有する上記(1)〜(5)のいずれかの磁気記録
媒体。 (7)非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散さ
せた1層以上の内部磁性層と、その上に設層された最外
層磁性層を有し、少なくとも前記最外層磁性層と接する
内部磁性層が、上記(1)〜(6)のいずれかの磁性層
である磁気記録媒体。 (8)前記最外層磁性層が、上記(1)〜(4)のいず
れかの共重合体を含有する上記(7)の磁気記録媒体。 (9)前記最外層磁性層が、カーボンブラックを含まな
い上記(7)または(8)の磁気記録媒体。
【0011】なお、前記特開昭63−172710号公
報等には、上記の共重合体に対するカーボンブラックの
添加については開示されていない。
【0012】
【具体的構成】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体
上に強磁性粉末とカーボンブラックとを結合剤中に分散
させた磁性層も設けた磁気記録媒体であって、結合剤と
してはアミン変性ビニル単位と酸性官能基変性ビニル単
位とを有する共重合体を含有し、さらに用いるカーボン
ブラックの比表面積が90〜330m2/gであり、DBP
吸油量が45〜120ml/100g である。
【0013】このように、アミン変性ビニル単位と酸性
官能基変性ビニル単位とを同一の分子中に含有する共重
合体を用いることで、すぐれた分散性と光沢の経時安定
性とニュートン流体にできる限り近い流体特性とをもつ
磁性塗料を作成することができる。その上さらに、前記
比表面積とDBP吸油量範囲とをもつカーボンブラック
を共存させることで、カーボンブラックを加えたことに
よる磁性塗料の流体特性の悪化等が原因の表面性低下を
抑えることができる。
【0014】本発明の結合剤に含有される前記共重合体
に含まれるアミン変性ビニル単位の含有量は、0.03
〜2.3wt%が好ましく、より好ましくは0.05〜
2.0wt%、特に0.5〜1.5wt%が好ましい。アミ
ン変性ビニル単位の含有量が多すぎると塗料の安定性が
悪化しやすくなり、少なすぎると磁性粉末等の分散性が
悪化しやすく、チクソトロピー性も増加しやすくなる。
また、酸性官能基変性ビニル単位の含有量は、0.05
〜1.8wt%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.
5wt%、特に0.5〜1.5wt%が好ましい。酸性官能
基変性ビニル単位が多すぎると、磁性塗料のチクソトロ
ピー性が増加しやすくなり、塗設した磁性層の表面性が
低下しやすい。また、少なすぎると、磁性塗料の経時安
定性が悪化して凝集物が生じやすく、このような磁性塗
料を用いて塗設した磁性層の表面の光沢が低下しやすく
なる。
【0015】酸性官能基変性ビニル単位に含まれる官能
基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、
リン酸基、ホスホン酸基等を挙げることができ、これら
の官能基を少なくとも1種以上含有しているビニル単位
である。これらのビニル単位としては、上記の官能基を
もつものであればどのようなものであってもよい。例え
ばカルボキシル基を有するものとしては、マレイン酸、
フマル酸、アクリル酸、およびメタクリル酸等が挙げら
れ、スルホン酸基を有するものとしては、スチレンスル
ホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、メタリルスル
ホン酸ソーダ、スルホエチルアクリレート等を挙げるこ
とができる。これらのうちでは、カルボキシル基を有す
るマレイン酸やフマル酸、スルホン酸基を有するスルホ
エチルアクリレートやメタリルスルホン酸ソーダ、リン
酸基を有する2−アシッドホスホオキシエチルメタクリ
レート等が特に好ましい。
【0016】また、本発明に用いる共重合体に含まれる
アミン変性ビニル単位は、アミノ基を含む。アミノ基と
しては非置換アミノ、置換アミノのいずれであってもよ
く、例えば前記酸性官能基変性ビニル単位を含む塩化ビ
ニル共重合体を、後述する各種のアミン化合物とともに
処理することで導入することができる。なお、アミン変
性ビニル単位には、さらに前記酸性官能基変性ビニル単
位に含まれる官能基として例示した種々の官能基が含ま
れていてもよい。
【0017】本発明の磁気記録媒体に用いる結合剤に含
有する共重合体は、前記アミン変性ビニル単位および酸
性官能基変性ビニル単位を有する塩化ビニル系の共重合
体で、塩化ビニル、アルキルカルボン酸ビニルエステ
ル、さらに必要に応じてビニルアルコールを含む。
【0018】これらの構成単位のうち、アルキルカルボ
ン酸ビニルエステルとしては、原料価格等の関係から、
酢酸ビニルを用いることが好ましいが、プロピオン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニル等を用いることもできる。
また、ビニルアルコールは前記アルキルカルボン酸ビニ
ルエステルのアルキルカルボン酸部分をケン化すること
で得られる。アルキルカルボン酸ビニルエステルの含有
量は、0.5〜10wt%、より好ましくは1.0〜5.
0wt%である。また、必要に応じて含有してもよい成分
としてビニルアルコールの含有量は、0〜8.0wt%、
より好ましくは3.0〜6.0wt%である。これらを除
く残部は実質的に塩化ビニルであることが好ましい。ア
ルキルカルボン酸ビニルエステルの含有量が多すぎる
と、磁性塗料としたとき、強磁性粉末等との親和性が低
下しやすくなり、分散性が悪化しやすい。また少なすぎ
ると、樹脂の溶解性が悪化しやすくなる。必要に応じて
添加してもよいビニルアルコールの含有量が多すぎる
と、ケン化率が高いことになり、共重合体の熱安定性が
低下しやすく、保存特性が悪化しやすくなる。
【0019】共重合体の平均重合度は、好ましくは20
0〜800、より好ましくは300〜500、特に35
0〜450である。平均重合度が高すぎると共重合体の
溶解性、分散性等が悪化しやすく、低すぎると磁性層強
度が低下しやすくなり、磁性層の走行耐久性等が悪化し
やすくなる。
【0020】なお、このような共重合体にはさらに0.
5wt%程度以下の範囲で他の単量体成分、例えばアリル
グリシジルエーテルや2−ヒドロキシエチルメタアクリ
レート等が含まれていてもよい。
【0021】なお、本明細書において、ニュートン流体
に近い流体特性をもつとは、回転粘度計(例えばB型回
転粘度計)を用い、回転速度とローターの種類を固定し
て経時的な粘度の変化を測定したとき、経時的な粘度変
化が少ない特性をもつことをいう。本明細書において経
時的な粘度変化が少ないとは、塗料作成直後に測定した
粘度と、塗料作成後20℃で30分放置後に測定した粘
度とを比較したとき、作成直後の粘度に対して放置後の
粘度の増加率が120%以下の場合である。この程度以
下の粘度の変化率を示す流体特性をもつ磁性塗料とする
ことで、良好な塗布性や表面性が得られる。
【0022】本発明で用いる共重合体は、どのように製
造されたものであってもよい。例えば、塩化ビニル、ア
ルキルカルボン酸ビニルエステル、さらに例えばマレイ
ン酸やフマル酸等、前記例示した酸性官能基変性ビニル
単位に含まれる官能基を有する単量体を懸濁重合法、乳
化重合法、溶液重合法、塊状重合法等を用いて共重合さ
せる。得られた中間生成物の共重合体を、アルコール等
の有機溶剤でKOH、NaOH等のアルカリあるいは塩
酸、硫酸等の酸を触媒としてケン化を行なう。この際、
後述するアミン化合物を添加し、一定時間所望のケン化
度が得られるまで適当な温度で攪拌することで得られ
る。なお、このようにして得られた共重合体には、ビニ
ルアルコールが含まれる。また、前記得られた中間生成
物の共重合体を、アルコール等の適当な溶剤および後述
するアミン化合物を添加して適当な温度で反応させるこ
とで、ビニルアルコールを含まない本発明の共重合体を
得ることもできる。
【0023】前述のアミン変性に用いられるアミン化合
物としては、脂肪族アミン、脂環状アミン、芳香族アミ
ン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等
の第1級、第2級もしくは第3級アミンがあり、具体的
にはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミ
ン、ナフチルアミン、アニリン、o−トルイジン、ジエ
チルアミン、ジオクチルアミン、ジイソブチルアミン、
ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチ
ルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチ
ルジエタノールアミン、2−メトキシエチルアミン、N
−メチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリイソブチルアミン、トリデシルアミン、N−メ
チルブチルアミン、N−メチルジフェニルアミン、ヘキ
サメチレンテトラミン、トリエタノールアミン、トリブ
チルアミン、ジメチルプロピルアミン、ピリジン、α−
ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチ
ジン、キノリン、モルホリン、タウリン酸ナトリウム、
スルファニル酸カリウム、セチルアミンスルホン酸、ジ
アミノプロパンおよびヘキサメチレンジアミン等が挙げ
られる。
【0024】このような共重合体を結合剤中に含有する
ことで、すぐれた分散性と経時安定性とニュートン流体
にできる限り近い流体特性とをもつ磁性塗料を得ること
ができる。なお、上記共重合体にかえて、アミン変性ビ
ニル単位を有する共重合体と、酸性官能基変性ビニル単
位を有する共重合体とを用い、それぞれを混合して用い
ても、本発明で用いるアミン変性ビニル単位と酸性官能
基変性ビニル単位とを同一の共重合体中に含有するもの
を用いた場合と同等の効果は得られない。
【0025】本発明に用いられる結合剤は、前記共重合
体を結合剤総量の20〜80wt%含有し、さらに、必要
に応じて他の樹脂を1種以上併用することが好ましい。
併用する樹脂として好ましいのは、一層の分散性向上や
磁性層の耐久走行性等の物理的特性の向上を目的として
添加するポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0026】ポリウレタン樹脂としては通常このような
磁気記録媒体に用いられるものはいずれも使用できる
が、磁性塗料中の強磁性粉末等の分散性をさらに向上さ
せる点からは極性基を有するものを用いることが好まし
い。極性基をもたないポリウレタンを用いると分散性が
低下し、表面性が低下して磁性層に影響し、電磁変換特
性を低下させる原因となる。
【0027】極性基としては、イオウを含有するスルホ
ン酸基、硫酸基またはそれらのエステルもしくは塩、リ
ンを含有するホスホン酸基、リン酸基またはそれらのエ
ステルもしくは塩、あるいはカルボキシル基等を一種以
上含むものが好ましく、特に好ましいのはスルホン酸基
(−SO3 Y)、カルボキシル基(−COOY)、リン
酸基(−PO4 Y)ホスホン酸基(−PO32 )等で
ある。ただしYはH、アルカリ金属のいずれであっても
よい。これらの極性基はポリマー1分子あたり0.1〜
5分子程度含まれていることが好ましい。なお、ポリウ
レタン樹脂の含有量は結合剤の総計に対して20〜80
wt%程度が好ましい。
【0028】さらに併用することのできる樹脂として
は、通常用いられている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
反応型樹脂等があり、これらを2種以上混合してもよ
い。
【0029】熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル
−アクリル酸エステル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン系共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル系共重合体、アクリ
ル酸エステル−アクリロニトリル系共重合体、アクリル
酸エステル−塩化ビニリデン系共重合体、メタクリル酸
エステル−塩化ビニリデン系共重合体、メタクリル酸エ
ステル−エチレン系共重合体、ポリ弗化ビニル−塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル系共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビ
ニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテ
ートブチレート、セルロースダイアセテート、セルロー
ストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロ
セルロース等)、スチレンブタジエン系共重合体、ポリ
エステル樹脂−クロロビニルエーテルアクリル酸エステ
ル系共重合体、アミノ樹脂および合成ゴム系の熱可塑性
樹脂などをあげることができる。これらは一種単独でも
二種以上を組み合わせてもよい。
【0030】また、前記熱硬化性樹脂または反応型樹脂
としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アル
キッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹脂、高
分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマー
との混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネー
トプレポリマーとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂
およびポリアミン樹脂等が挙げられる。これらは一種単
独でも二種以上を組み合わせてもよい。
【0031】また、これらの共重合体等を用いる場合、
架橋剤も併用することが好ましい。架橋剤としては、各
種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用いる
ことができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキサ
メチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナート
の1種以上が好ましい。これらの架橋剤は、トリメチロ
ールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性した架
橋剤またはジイソシアネート化合物3分子が結合したイ
ソシアヌレート型の架橋剤として用いることが特に好ま
しく、結合剤樹脂に含有される官能基等と結合して樹脂
を架橋する。架橋剤の含有量は樹脂100重量部に対
し、10〜30重量部とすることが好ましい。
【0032】これら磁性層中の結合剤の含有量は、通
常、強磁性粉末100重量部に対して10〜30重量
部、より好ましくは15〜25重量部である。含有量が
少なすぎると磁性層の強度が低下して例えば走行耐久性
が低下しやすい。一方多すぎると強磁性粉末量が減少す
るため電磁変換特性が低下しやすくなる。
【0033】本発明で用いる磁性層は、さらにカーボン
ブラックを含有する。カーボンブラックとしては、比表
面積(BET)が90〜330m2/gの範囲であることが
好ましく、より好ましくは120〜250m2/gであり、
DBP吸油量が45〜120ml/100g の範囲であること
が好ましく、より好ましくは45〜80ml/100g であ
る。BETが小さすぎると磁性塗料を放置したとき凝集
物が生じやすく、光沢の低下を招きやすい。また大きす
ぎると磁性塗料の粘度が高くなりすぎる傾向がある。D
BP吸油量が小さすぎると磁性粉末の分散性が低下しや
すく、特性の低下を招きやすくなり、大きすぎるとチク
ソトロピー性が増加しやすくなる。このような範囲のカ
ーボンブラックを、前記の共重合体と併用して用いるこ
とで、本発明の磁気記録媒体の磁性層がすぐれた帯電防
止効果をもつ。さらに、磁性層の塗布に用いる磁性塗料
がすぐれた分散性、すぐれた経時安定性およびニュート
ン流体に近い流体特性を保つことができ、ひいては磁性
層のすぐれた電磁変換特性が得られる。
【0034】カーボンブラックの含有量は、強磁性粉末
100重量部に対して3〜20重量部、より好ましくは
4〜10重量部である。この程度磁性層にカーボンブラ
ックを含有することで、磁性層の帯電を防止し、ドロッ
プアウト等を低下させるするすぐれた効果をもつ。ま
た、磁気記録媒体の走行に際し、走行摩擦を低下させた
り、さらに、例えばテープエンド検出に光センサを用い
ているVHS規格向けテープでの光透過率を低下させた
りするすぐれた効果をも示す。カーボンブラックの含有
量が少なすぎると帯電防止効果等、前記の効果は得られ
なくなり、多すぎるとチクソトロピー性が増加しやす
く、磁性層の表面性が悪化しやすい。
【0035】以上、本発明では、磁性層用の磁性塗料に
用いる結合剤として前記のものを用い、さらに含有する
カーボンブラックとしては特に前記のBETおよびDB
P吸油量を有するものが好ましいことを説明してきた。
しかし、2層以上の磁性層を有する磁気記録媒体では、
前記カーボンブラックのもつ帯電防止効果や光透過性を
低下させる効果を得るためには、すべての磁性層がカー
ボンブラックを含有しなくてもよい。カーボンブラック
を含有せず、前記共重合体を含有する磁性塗料はチクソ
トロピー性等の増加がなく、よりニュートン流体に近い
流体特性が得られる。このため、カーボンブラックを含
有しない磁性塗料を用いて設層した磁性層の表面性も容
易にすぐれたものが得られる。
【0036】このような理由から、非磁性支持体上に強
磁性粉末を結合剤中に分散させた1層以上の内部磁性層
と、その上に設層された最外層磁性層を有する磁気記録
媒体では、その表面性を向上させるために、本発明で用
いるカーボンブラックを含有する磁性塗料を用いて設層
する磁性層は、少なくとも前記最外層磁性層と接する内
部磁性層とすることが好ましい。このとき、前記最外層
磁性層としては特に制限はなく、表面性および電磁変換
特性がすぐれた磁性層であればどのようであってもよ
い。しかし、より好ましくは、前記最外層磁性層の設層
に用いる磁性塗料中には前記アミン変性ビニル単位と酸
性官能基変性ビニル単位とを同一共重合体上に有する共
重合体を含有する磁性塗料を用いる。これにより、前記
最外層磁性層の一層すぐれた表面性が得られる。また特
に好ましくは、前記最外層磁性層の設層に用いる磁性塗
料はカーボンブラックを含まない。このような磁性層構
成とすることで、最外層磁性層は表面性のすぐれた磁性
層となり、さらに前記最外層の磁性層と接するカーボン
ブラックを含む磁性層により帯電性防止効果も十分に得
られ、例えばドロップアウト等が少なく、一層電磁変換
特性のすぐれた磁気記録媒体が得られる。この際、非磁
性支持体上の一方の面上に磁性層を3層以上設層する場
合は、少なくとも前記最外層磁性層と接する内部磁性層
に、本発明で用いるカーボンブラックを含有する磁性塗
料を用いた磁性層を設層すればよい。
【0037】本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いる強
磁性粉末には特に制限はなく、例えば強磁性金属粉末や
コバルト被着強磁性酸化鉄粉末、強磁性二酸化クロム微
粉末、バリウムフェライト等の各種酸化物磁性粉末等が
挙げられる。
【0038】強磁性粉末の形状は、針状、紡錘状、粒
状、板状等通常用いられている形状であれば限定しない
が、粒状、板状等の形状より、例えば針状あるいは紡錘
状であれば、磁場配向処理の効果がより高く期待出来る
こと、磁性層自体の長手方向の強度が高まることなどか
ら、好ましくは針状あるいは紡錘状である。
【0039】強磁性粉末の平均長径は0.05〜0.6
μm 、平均軸比2〜20のものが好ましいが、さらに好
ましくは、平均長径0.08〜0.4μm 、平均軸比4
〜15のものである。平均長径が大きすぎるとテープの
バルクノイズが大きくなり、一方、小さすぎると磁気塗
料中で磁性粉どうしの凝集がおこりやすい。また、磁性
層に用いる強磁性粉末として強磁性金属粉末を用いる場
合、強磁性の金属(Fe、Co、Ni等)あるいはその
合金を75重量%以上、好ましくは80重量%以上含ん
でいてもよい。
【0040】この強磁性粉末の保磁力Hcは、300〜
2500Oe、さらに好ましくは500〜2200Oeであ
る。Hcが大きすぎると通常のヘッドで信号を記録する
ことが困難になりやすく、小さすぎると短波長記録の再
生出力が十分に得られなくなり好ましくない。また、飽
和磁化σs は、50〜180emu/g で、好ましくは60
〜150emu/g である。σs が小さすぎると再生出力が
低下しやすくなる。
【0041】磁性層中の強磁性粉末の含有量は、磁性層
組成中の50〜95wt%が好ましく、より好ましくは7
5〜90wt%である。強磁性粉末の含有量が多すぎると
カレンダー加工による表面平滑性の改良が困難になる傾
向があり、小さすぎると再生出力が低下しやすい。
【0042】さらに磁性層中には、磁性層の機械的強度
を高めるために、一般に研磨剤として用いられているα
−Fe23 、TiO2 、グラファイト、CaO、Si
2、Cr23 、α−Al23 、SiC、CaCO3
、BaSO4 、ZnO、MgO、窒化ホウ素、TiC
等の無機非磁性粉末等を含有させることが好ましい。ま
た、磁性層中には、必要に応じ、界面活性剤等の分散
剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の
潤滑剤、その他の通常用いられる各種添加物を添加して
もよい。
【0043】このような磁性層組成成分を用いて磁性塗
料を作製するが、塗料調製時に用いる溶剤としては特に
制限はなく、バインダーの溶解性および相溶性等を考慮
して適宜選択すればよい。例えばアセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の芳香族炭化水素類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプ
ロパロール、ブタノール等のアルコール類、イソプロピ
ルエーテル、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル
類、テトヒドロフラン、フルフラール等のフラン類等、
ジメチルフォルムアミド、ビニルピロリドン等の希釈剤
ないし溶剤が挙げられる。これらの溶剤等を単一溶剤ま
たはこれらの混合溶剤として用いればよい。また、磁性
塗料中の溶剤の含有量や溶剤の混合比率等に特に制限は
なく、磁性塗料の組成、調製方法あるいは塗布方法等を
考慮して適宜決定すればよく、これらの組成成分と溶剤
等を混合する方法にも特に制限はない。
【0044】このようにして調製した磁性塗料を非磁性
支持体へ塗布方法するが、非磁性支持体として用いる材
質には特に制限はなく、目的に応じて各種可撓性材質、
各種剛性材質から選択し、各種規格に応じてテープ状な
どの所定形状および寸法とすればよい。例えば、可撓性
材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、
ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリカーボネートなどの各種樹脂が挙げられ
る。
【0045】また、塗布方法にも特に制限はなく、通常
用いられている方法であればどのような方法であっても
よい。さらに2層以上の磁性層を設層する場合も、その
方法に特に制限はなく、非磁性支持体上に2層以上の磁
性層が湿潤状態で重畳塗布するいわゆるウェット・オン
・ウェット塗布方法、あるいは非磁性支持体上に1層を
塗布し、乾燥後にさらに上層を塗布するいわゆるウェッ
ト・オン・ドライ塗布方法等いずれも用いることができ
る。
【0046】なお、必要に応じて、磁性層と非磁性支持
体との間に、例えば通常の非磁性下地層や、非磁性支持
体と磁性層や非磁性下地層等との接着性を向上させるた
めの下塗り層を設けたり、さらにバックコート層を設け
てもよい。
【0047】このようにして設けた磁性層の厚さは2.
0〜3.5μm 程度が好ましく、特に磁性層として2層
以上設層する場合は、最外層磁性層の厚さは0.2〜
1.0μm 、より好ましくは0.3〜0.5μm 、内部
磁性層の厚さは1.5〜3.0μm 、より好ましくは
1.8〜3.0μm である。
【0048】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 下記の組成の磁性塗料を調製し、この磁性塗料を用いて
PET製の非磁性支持体上に通常の方法で3.0μm 厚
の磁性層を設層し、1/2インチ巾に切断してVHS用
の磁気テープを作成した。なお、塩化ビニル系共重合体
は酢酸ビニルを3wt%、アミン変性ビニル単位を0.5
wt%、酸性官能基変性ビニル単位としてマレイン酸を
0.5wt%、さらにビニルアルコールを5wt%含有し、
残部は塩化ビニルで、平均重合度400のものを用い
た。また、用いたカーボンブラックのDBP給油量、B
ETおよび含有量を表1に示した。
【0049】磁性層用磁性塗料組成 強磁性粉末(Co被着型マグネタイト:BET 35 m2/g ) 100重量部 塩化ビニル系共重合体(上記) 10重量部 ポリウレタン樹脂(スルホン酸基 100当量/106g含有) 10重量部 α−アルミナ 5重量部 カーボンブラック (表1参照) メチルエチルケトン 45重量部 トルエン 35重量部 シクロヘキサノン 20重量部
【0050】上記組成物をボールミルに投入し、24時
間攪拌分散させ、分散後さらにポリイソシアネート(コ
ロネートL)を6重量部添加して攪拌混合させて磁性塗
料を調製した。
【0051】以下に示す方法で磁性塗料の粘度、次いで
得られたそれぞれの磁気テープ試料を用い、磁性層表面
の光沢度、さらに電磁変換特性としてY−S/N、C−
S/N、また帯電性を評価するためにドロップアウトの
個数を計測した。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0052】<塗料粘度>TOKIMEC社製BH型粘
度計を使用し、20℃で、20rpm の回転数でNo.5
ローターを用いて磁性塗料中で回転させ、1分間経過後
の測定値を得た。表1および2にはこの読み取り値を2
00倍した値を示した。測定は試料作成直後と20℃、
30分間放置後との2回行い、チクソトロピー性を評価
した。
【0053】<光沢度>村上色彩製光沢度系GM−3D
型を用いた。塗料作成直後の磁性塗料を用いて設層した
磁性層と、調製後1週間放置した磁性塗料を用いて設層
した磁性層とについてその光沢度を測定し、経時安定性
を評価した。
【0054】<電磁変換特性> Y−S/N:ローデンシュワルツ社製ノイズメーター
UPSF2と、日本ビクター社製VTR BR7000
Aとを用い、50%ホワイト信号を記録、再生し、VH
S標準テープ(VTR−2)との差をdB表示した。
【0055】C−S/N:ローデンシュワルツ社製ノイ
ズメーター UPSF2と、日本ビクター社製VTR
BR7000Aとを用い、クロマ信号を記録、再生し、
VHS標準テープ(VTR−2)との差をdB表示した。
【0056】<ドロップアウト>カラーバー信号を記録
して、シバソク製VH4−1BZ型ドロップアウトカウ
ンターを用いて同信号再生時、60秒間に−20dbの出
力低下が15μsec.以上継続した個数を計数した。
【0057】
【表1】
【0058】実施例2 実施例1で用いた磁性塗料の組成のうち、カーボンブラ
ックとしてはDBP吸油量50ml/100g 、BET135
m2/gのものを強磁性粉末100重量部に対して7.0重
量部添加し、さらに用いた塩化ビニル系共重合体のアミ
ン変性ビニル単位と酸性官能基変性ビニル単位とを、表
2に示す含有量および種類に変化させたものを用い、実
施例1と同様に、VHS用の磁気テープを作成した。な
お、平均重合度およびビニルアルコール含有量は実施例
1で用いた共重合体と同じである。
【0059】実施例1に示す方法で磁性塗料の粘度を測
定し、次いで得られたそれぞれの磁気テープ試料を用
い、磁性層表面の光沢度および電磁変換特性としてY−
S/N、C−S/Nを測定した。得られた結果を表2に
まとめて示す。
【0060】
【表2】
【0061】比較例1 アミン変性ビニル単位を含む塩化ビニル系共重合体と酸
性官能基変性ビニル単位を含む塩化ビニル系共重合体と
を準備し、総計でアミン変性ビニル単位が0.5wt%、
酸性官能基変性ビニル単位(マレイン酸)が0.5wt%
含有となるように2種の共重合体を混合した。実施例1
で用いた磁性塗料の組成のうち、塩化ビニル系共重合体
にかえて、この塩化ビニル系共重合体混合物を用い、実
施例1と同様に、VHS用の磁気テープを作成した。な
お、混合した共重合体の平均重合度およびビニルアルコ
ール含有量は実施例1で用いた共重合体と同じである。
【0062】実施例1に示す方法で磁性塗料の粘度を測
定し、次いで得られた磁気テープ試料を用い、磁性層表
面の光沢度および電磁変換特性としてY−S/N、C−
S/Nを測定した。その結果、塗料粘度は作成直後の2
700cps が、20℃で30分放置後には、4000cp
s に変化した。光沢度は、塗料作成直後の磁性塗料を用
いて設層した磁性層が99%、調製後1週間放置した磁
性塗料を用いて設層した磁性層が86%であった。電磁
変換特性としては、Y−S/Nが1.0dB、C−S/N
が1.0dBであった。
【0063】実施例3 内部磁性層用および最外層磁性層用として、表3に示す
共重合体組成とカーボンブラックとを含有するそれぞれ
の磁性塗料を調製し、2層の磁性層をもつ磁気テープを
作成した。なお、最外層磁性層の組成は、強磁性粉末を
Co被着型γ−Fe23 (BET:42m2/g)にかえ
たほかは実施例1と同じ組成とし、内部磁性層の組成は
実施例1と同じとした。また、カーボンブラックのDB
P吸油量、BETの変化と塩化ビニル共重合体のアミン
変性ビニル単位、酸性官能基変性ビニル単位の含有量の
変化とは、実施例1および実施例2の相当するものを用
いて対応し、酸性官能基変性ビニル単位の種類はマレイ
ン酸とした。内部磁性層(層厚さ2.0μm )と最外層
磁性層(層厚さ0.4μm )はウェット・オン・ウェッ
ト塗布方法により同時に設層した。他は実施例1と同様
とした。
【0064】得られたそれぞれの磁気テープ試料を用
い、実施例1に示す方法で電磁変換特性としてY−S/
N、C−S/N、さらに帯電性を評価するためにドロッ
プアウトの個数を計測した。得られた結果を表3にまと
めて示す。
【0065】
【表3】
【0066】
【本発明の効果】本発明で用いられるアミン変性ビニル
単位と酸性官能基変性ビニル単位とを含有する共重合体
と、DBP吸油量およびBETが本発明の範囲であるカ
ーボンブラックとを含有する磁性塗料は、表1および2
の塗料粘度および光沢度の結果から、すぐれた分散性と
経時安定性とニュートン流体に近い流体特性とをもつこ
とがわかる。この磁性塗料を用いて設層した磁性層は、
表1および2に示すようにすぐれた電磁変換特性とすぐ
れた帯電防止効果とをもつ。さらに、磁性層を2層以上
もつ構成とするときは、この磁性層を内部磁性層とし、
最外層磁性層は前記共重合体を含有し、カーボンブラッ
クを含まない磁性塗料を用いて設層することで、表3に
示すように、より一層すぐれた電磁変換特性が得られ、
本発明の効果はより一層顕著となる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末とカーボン
    ブラックとを結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気
    記録媒体であって、 前記結合剤は、アミン変性ビニル単位と酸性官能基変性
    ビニル単位とを有する共重合体を含有し、 前記カーボンブラックの比表面積が90〜330m2/gで
    あり、DBP吸油量が45〜120ml/100g である磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記アミン変性ビニル単位の含有量が
    0.03〜2.3wt%、前記酸性官能基変性ビニル単位
    の含有量が0.05〜1.8wt%である請求項1の磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記酸性官能基変性ビニル単位が、カル
    ボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基およびホ
    スホン酸基の少なくとも1種を含むビニル単位である請
    求項1または2の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記共重合体の平均重合度が200〜8
    00である請求項1〜3のいずれかの磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記カーボンブラックの含有量が、前記
    強磁性粉末100重量部に対して3〜20重量部である
    請求項1〜4のいずれかの磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記結合剤が、さらに極性基を有するポ
    リウレタンを含有する請求項1〜5のいずれかの磁気記
    録媒体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中
    に分散させた1層以上の内部磁性層と、その上に設層さ
    れた最外層磁性層を有し、 少なくとも前記最外層磁性層と接する内部磁性層が、請
    求項1〜6のいずれかの磁性層である磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記最外層磁性層が、請求項1〜4のい
    ずれかの共重合体を含有する請求項7の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記最外層磁性層が、カーボンブラック
    を含まない請求項7または8の磁気記録媒体。
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