JP2651749B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2651749B2
JP2651749B2 JP40448590A JP40448590A JP2651749B2 JP 2651749 B2 JP2651749 B2 JP 2651749B2 JP 40448590 A JP40448590 A JP 40448590A JP 40448590 A JP40448590 A JP 40448590A JP 2651749 B2 JP2651749 B2 JP 2651749B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高記録密度用の磁気記録
媒体に関し、特に、データ記録用の磁気記録ディスクに
最適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体に対しては、高密度
記録化への要求が高まっている。そして、塗布型の磁気
記録媒体にあっては強磁性粉末の粒子サイズを小さくし
たり、強磁性粉末の分散性を向上させたり、更に強磁性
粉末の磁性層中での充填度を高めるための方策が種々提
案されている。更に有効な方法としては、磁気特性が優
れていることから強磁性粉末として強磁性金属粉末を用
いることも行われている。
【0003】また、OA機器としてのミニコン、パソコ
ンの普及にともない外部記憶媒体としての磁気記録ディ
スクの普及が著しく、サイズの小型化や媒体の記録密度
の向上の要求に応えるべく、鋭意実用化が検討されてい
る。そして、その記録密度としては最短記録波長として
3.0μm以下さらには1.5μm以下の短波長の記録
が望まれている。そのために、前記磁気記録ディスクに
あっても強磁性金属粉末を使用した媒体が検討されてい
る。
【0004】前記磁気記録ディスクは、デジタル信号を
記録するデータ記録であるので、トラック位置を決める
ためのサーボ信号を書き込む必要があり、そのサーボ信
号を書き込む方式としては、ディスクの裏面に書き込む
方法、記録層と同一の面内にセクターを設けて書き込む
セクター方式、磁性層を重層にして下層にサーボ信号を
書き込む埋め込みサーボ方式等の方法がある。媒体の高
記録密度化を考慮したときには、最後の埋め込みサーボ
方式が最も有利である。
【0005】埋め込みサーボ方式を採用した磁気記録デ
ィスクとしては、例えば、特公昭40−23745号公
報に開示されており、そこには、下層磁性層の保磁力を
上層磁性層の保磁力よりも大きくして、5:1もしくは
8乃至10:1程度にすることが開示されている。磁性
層の強磁性粉末を強磁性金属粉末とした場合には、下層
磁性層の抗磁力を上層磁性層のそれに比べて余り大きく
すると、サーボ信号の書き込みが困難になる。
【0006】特に、記録波長が3.0μm以下の高密度
記録となると上層磁性層のデータ記録信号と下層磁性層
のサーボ信号とを互いに安定に保って記録することが難
しくなってくる。例えば、磁気ヘッドが記録トラックを
精度良く追随することができなくなって出力変動が著し
く大きくなって、忠実なデータの読み出しが不可能にな
ったりする事があった。また、上層磁性層に高密度でデ
ータを記録使用とするとその厚さを薄くしなければなら
ず、下層磁性層のサーボ信号を安定に保持するのが問題
となってきた。従来、高記録密度化に留意してサーボ信
号の書き込みのことを配慮した磁気記録媒体の提案はほ
とんどなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、特に、データ記
録用の磁気記録ディスクに最適な高記録密度用の磁気記
録媒体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、非
磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤樹脂を主体とする磁
性層を2層有する磁気記録媒体において、上層磁性層
は、強磁性粉末が強磁性金属粉末で、厚さが0.05乃
至0.5μmであって且つ抗磁力が1200乃至200
0Oe(エルステッド)であり、下層磁性層は、抗磁力が
上層磁性層の抗磁力よりも800乃至2500Oe大き
く、さらに下層磁性層単独の場合の残留磁束密度は上層
磁性層単独の場合の残留磁束密度の30乃至70%であ
ることを特徴とする磁気記録媒体により達成される。
【0009】本発明の磁気記録媒体においては、非磁性
支持体上に形成される磁性層が2層よりなり、上層磁性
層は強磁性金属粉末を強磁性粉末として且つ磁性層の厚
さを0.5μm以下と薄くすることにより、高記録密度
に適した記録層となし、さらに、下層磁性層の強磁性粉
末の抗磁力をある程度大きくすることにより、下層磁性
層に予め書き込まれたサーボ信号が上層にデジタル信号
などのデータが後から重ね書きされても消去できないよ
うにすることによって、例えば、最短記録波長が3.0
μm以下の高記録密度のデータ記録ができる磁気記録デ
ィスクに最適な磁気記録媒体の提供が可能になった。さ
らに、下層磁性層単独の残留磁束密度を上層磁性層の残
留磁束密度よりも小さい範囲に特定することによって、
下層磁性層に書き込まれたサーボ信号により上層磁性層
に記録された記録データが消去されないようにした。本
発明の磁気記録媒体の上層磁性層の抗磁力としては、1
200乃至2000Oe、好ましくは1300乃至180
0Oeである。抗磁力が余り小さくなると、記録波長が
3.0μm以下程度の短波長領域で良好な電磁変換特性
を得ようとした場合、自己減磁作用により信号の出力が
低下して、記録密度が大きくできず、また、余り大きく
なると記録ヘッドによる磁化反転が不可能になって書き
込みが充分に行えなくなったり、データの記録に多大の
エネルギーが必要となるので好ましくない。本発明でい
う磁性層の抗磁力は、上層もしくは下層の磁性層をそれ
ぞれ単独で形成したときの磁性層の抗磁力である。
【0010】前記強磁性粉末は比表面積が30乃至60
2/gであってX線回折法から求められる結晶子サイ
ズが100乃至300A(オングストローム)であるこ
とが望ましい。また、前記強磁性金属粉末は少なくとも
Feを含むことが必要であり、具体的には、Fe,Fe
−Co,Fe−Ni又はFe−Ni−Coを主体とした
金属単体あるいは合金である。本発明の磁気記録ディス
クを高記録密度化するために、前記のように粒子サイズ
が小さいことが必要であると同時に磁気特性としては、
飽和磁化は少なくとも110emu/g以上、望ましく
は120emu/g以上である。そして、その粒子の軸
比は5以上あることが望ましい。更に特性を改良するた
めに、組成中にB,C,Al,Si、P等の非金属が添
加されることもある。通常、前記金属粉末の粒子表面
は、化学的に安定させるために酸化物の層が形成されて
いる。
【0011】本発明の磁気記録媒体における、上層磁性
層の厚さは、0.05乃至0.5μm好ましくは、0.
07乃至0.45μmである。上層磁性層の厚さが余り
薄くなると上層磁性層にデータを書き込むときに下層磁
性層のサーボ信号上に重ね書きする状態となるし、他方
上層磁性層に書き込まれたデータ信号にとっては、下層
のサーボ信号の影響を受け易くなって上層のデジタル信
号が消去され易くなるので好ましくない。また、余り厚
くなると、空隙損失のためにサーボ信号出力が低下しデ
ータの読み出しが難しくなったり、厚み損失により記録
密度を充分大きくできない。
【0012】下層磁性層の抗磁力は、上層磁性層の抗磁
力よりも800乃至2500Oe、好ましくは900乃至
2300Oeであることが好ましい。上層磁性層の抗磁力
が余り小さいと上層磁性層にデータを書き込んだときに
サーボ信号が消去され易くなるなど、サーボ信号の記録
安定性に問題があり、また余り大きくなると書き込みが
難しくなる。
【0013】下層磁性層の強磁性粉末としては、強磁性
金属粉末もしくは板状六方晶フェライトが好ましい。特
に、板状六方晶フェライトは、抗磁力が比較的大きいも
のが得易いこと、残留磁束密度が抗磁力に比してそれほ
ど大きくないことから本発明の磁気記録媒体には最も適
している。
【0014】前記板状六方晶フェライトは、平板状でそ
の平板面に垂直な方向に磁化容易軸がある強磁性体であ
って、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、あるいはそ
れらのコバルト置換体等があり、中でも特にバリウムフ
ェライトのコバルト置換体、ストロンチウムフェライト
のコバルト置換体が好ましい。更に必要に応じてその特
性を改良するためにIn,Zn,Ge,Nb,V等の元
素を添加してもよい。また前記板状六方晶フェライト粉
末にあっては比表面積で25m2/g以上、板状比が2
乃至6、粒子長が0.02乃至1.0μm程度の非常に
小さいものを使用することにより、記録密度を一層高め
ることができる。前記板状六方晶フェライト粉末の粒子
サイズを前記のように小さいことが必要であると同時に
磁気特性としては、飽和磁化は少なくとも50emu/
g以上、望ましくは53emu/g以上である。又抗磁
力としては、上層磁性層に使用した強磁性金属粉末の抗
磁力よりも800乃至2500Oe( エルステット゛ 大きいこ
とが望ましい。
【0015】本発明の磁気記録媒体の下層磁性層中に強
磁性金属粉末を使用する場合、抗磁力以外は上層磁性層
と同じ様な観点から選択できる。本発明の磁気記録媒体
にあっては、下層磁性層の残留磁束密度は、上層磁性層
の残留磁束密度の30乃至70%、好ましくは35乃至
65%である。下層磁性層の残留磁束密度が余り小さい
とサーボ信号を磁気ヘッドが充分に読み出すことができ
ず、また余り大きいと上層磁性層に書き込まれたデータ
を消去したり減磁させたりするので好ましくない。
【0016】以上のように、高密度でデータを記録再生
する磁気記録媒体とするための埋め込み型サーボ方式の
磁気記録媒体において、上層磁性層の強磁性粉末に強磁
性金属粉末を使用して、且つその厚さも薄くし、また下
層磁性層に使用する強磁性粉末のの抗磁力を上層磁性層
に使用する強磁性粉末のそれよりも大きくし、さらに下
層磁性層の残留磁束密度を上層磁性層の残留磁束密度よ
りも小さくすることによって、最短記録波長が3.0μ
m以下の短波長領域での記録再生特性の優れたデジタル
信号の記録再生に好適な磁気記録媒体を得ることができ
た。
【0017】下層磁性層の厚さとしては、0.8乃至
2.5μmが望ましく、磁性層の全厚としては、1.0
乃至3.0μmである。本発明の磁気記録媒体におい
て、磁性層を非磁性支持体上に形成するための磁性塗料
の塗布方法の例としては、特開昭61−139929号
公報、特開昭61−54992号公報で開示された、同
時または逐次潤滑塗布方式(以下、ウェット・オン・ウ
ェット塗布方式という)が有効である。即ち、ウェット
・オン・ウェット塗布方式とは、初め1層を塗布した後
に湿潤状態で可及的速やかに次の層をその上に塗布す
る、いわゆる逐次塗布方式、及び多層同時にエクストル
ージョン塗布方式で塗布する方法等をいう。
【0018】本発明における磁気記録媒体の磁性層中の
結合剤樹脂は、従来から公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂、反応型の樹脂やこれらの混合物が使用できる。例
えば塩化ビニル系共重合体、アクリル酸エステル系共重
合体、メタクリル酸系共重合体、ウレタンエラストマ
ー、セルロース系誘導体、エポキシーアミド樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂等である。硬化剤として、各種のポ
リイソシアネートを使用することもできる。前記結合剤
樹脂の使用量としては、前記強磁性粉末100重量部当
り5乃至300重量部である。又、前記結合剤樹脂中に
は強磁性粉末の分散を促進するために、その分子中にカ
ルボキシル基、スルフォン酸基、水酸基、アミノ基、エ
ポキシ基が導入される事が好ましい。特に、強磁性粉末
が前記の微粒子の強磁性金属粉末や六方晶フェライトで
ある場合特に有効である。
【0019】磁気記録媒体の磁性層中には、前記の強磁
性粉末及び結合剤樹脂の他に特性を付与するために更に
潤滑剤、研磨剤、カーボンブラックなどが添加される。
前記潤滑剤としては、脂肪酸エステルが最も効果的であ
り中でも炭素数6乃至22の脂肪酸と炭素数4乃至22
のアルコールを縮合して得られる化合物が良い。 脂肪
酸エステルの具体例としては、カプリル酸ブチル、ラウ
リン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチ
ル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリス
チン酸オクチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブ
チル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステ
アリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、アンソルビタ
ンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレ
ート、アンソルビタントリステアレート、ステアリン酸
ヘキサデシル、オレイン酸オレイル、オレイルオレー
ト、ラウリルアルコール等が挙げられる。中でも特にミ
リスチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸
エチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ヘキサデシ
ル、オレイン酸オレイルが好ましい。
【0020】これらの潤滑剤の添加量としては、強磁性
粉末100重量部当り3乃至20重量部であることが望
ましい。添加量が少ないと高温や低温に於て充分な走行
耐久性が得られず、又余り多くなると磁性層の膜物性を
低下させ、特に高温環境でドロップアウトの発生を招く
ので望ましくない。潤滑剤としては、更に以下の化合物
を使用することもできる。即ち、シリコンオイル、グラ
ファイト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、
フッ素アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、
アルキル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
【0021】研磨剤としては、モース硬度が6以上の研
磨剤、例えば、溶融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、
コランダム、人造コランダム、ダイヤモンド粒子、ざく
ろ石、エメリー等が使用できる。研磨剤粒子の粒子サイ
ズとしては、平均粒子径が0.3乃至1.0μm、より
望ましくは、0.4乃至0.8μmである。その磁性層
中への添加量としては、5乃至20重量部である。添加
量が少ないと充分な耐久性が得られず、又多すぎると出
力が低下する。磁気記録媒体の磁性層中には、その他分
散剤、帯電防止剤が添加されることがある。
【0022】以上の磁性層用の組成物を溶剤と共に分散
して、得られた塗布液を非磁性体上に塗布し、必要に応
じて配向し、次いで乾燥をして、磁性層を非磁性支持体
上に形成して磁気記録媒体を得、裁断して磁気記録ディ
スクとしたりテープ状の媒体とする。以上述べてきた本
発明の磁気記録媒体の実施態様としては、磁気記録ディ
スクが主体であったが、テープ状の媒体であってもその
利点を有効に生かすことができる。特に、検索、追記書
き込みを行うデータ記録用の媒体、固定ヘッドを使用し
たシステム用の媒体として好適である。以上の本発明の
新規な特徴を以下の実施例、比較例によりさらに具体的
に説明する。
【0023】
【実施例】〔実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例
3〕下記表1に記載のFe−NiーCo系強磁性金属粉
末を用い下記組成及び条件で下層磁性層用塗布液を得
た。 (下層磁性層用塗布液) ・強磁性金属粉末(表1に記載) 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 17 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 7.5重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 20 重量部 ・αー酸化鉄 30 重量部 ・メチルエチルケトン 132 重量部 ・シクロヘキサノン 93.5重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サンド
グラインダーで微分散し、その微分散液400重量部に
対し、下記組成物を加え混合撹拌し下層磁性層用塗布液
を得た。 ・オレイン酸 2.0重量部 ・ブチルステアレート 3.0重量部 ・ブトキシエチルステアレート 3.0重量部 ・ポリイソシアネート 6.5重量部 ・メチルエチルケトン 30.5重量部 ・シクロヘキサノン 21 重量部
【0024】
【0025】(上層磁性層用磁性塗布液1)表2の粉−
4〜粉−8のFeーNi系強磁性金属粉末を用い、下記
組成及び条件で上層磁性層用塗布液を得た。 ・強磁性金属粉末 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 14 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 5 重量部 ・αーAl23 (平均粒径0.3μ) 12 重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 2 重量部 ・メチルエチルケトン 192 重量部 ・シクロヘキサノン 95 重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サンドグ
ラインダーで微分散し、その微分散液420重量部に対
し、下記組成物を加え混合撹拌し上層磁性層用塗布液を
得た。 ・オレイン酸 1 重量部 ・ブチルステアレート 2 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 2 重量部 ・ポリイソシアネート 6 重量部 ・メチルエチルケトン 46 重量部 ・シクロヘキサノン 23 重量部
【0026】
【0027】次いで、厚さ60μmのポリエチレンテレ
フタレートベースを非磁性支持体としてその片面にまず
下層磁性層用塗布液を乾燥後の膜厚1.2μmとなるよ
うに塗布した後、塗布膜が乾燥しないうちに上層磁性層
用塗布液を乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布
し、乾燥しないうちに磁性層中の強磁性粉末の粒子をラ
ンダム配向させた後、乾燥した。その後、非磁性支持体
の他面にも上記と同一の条件で2層の磁性層を形成して
磁気記録媒体の試料を得た。得られた磁気記録媒体の試
料をスーパーカレンダーロールで処理して磁性層表面を
平滑化し、円盤状に打ち抜き磁気記録ディスクを得た。
得られた磁気記録ディスクの磁性層の構成と磁気特性表
3に示す。
【0028】 表3 下層磁性層 上層磁性層 強磁性 抗磁力 残留磁束密度 強磁性 抗磁力 残留磁束密度 粉末 (Oe) (ガウス) 粉末 (Oe) (ガウス) 比較例1 粉−1 2200 790 粉−6 1490 1620 実施例1 粉−2 2580 750 粉−6 1490 1620 実施例2 粉−3 2950 710 粉−6 1490 1620 比較例2 粉−2 2580 750 粉−4 1040 1690 実施例3 粉−2 2580 750 粉−5 1270 1640 実施例4 粉−2 2580 750 粉−7 1770 1580比較例3 粉−2 2580 750 粉−8 1970 1540
【0029】なお、表3に示した磁気特性は、上層磁性
層及び下層磁性層単独の磁気特性であって、東英工業
(株)製VSM−3型により外部磁場10kOeを印加し
て測定した。次ぎに、前記磁気記録ディスクの各試料の
電磁変換特性を以下の条件で測定した。その評価結果
が、表4である。記録再生回路として東京エンジニアリ
ング(株)製SK505を使用してディスクドライブで
各磁気記録ディスクの試料の特性を測定した。低息サー
ボ信号の記録周波数として100KHz、高域データ信
号の記録周波数としては625KHzを使用した。サー
ボ信号記録用の磁気ヘッドとしては、トラック幅50μ
m、ギャップ幅1.0μmのMIG型のヘッドを使用し
た。磁気録ディスクの回転数は360rpm,ヘッド位
置は半径38mm及び半径23mmで測定した。サーボ
記録は、磁気録ディスクを予め交流消磁しておき、サー
ボ記録用の磁気ヘッドで記録電流50mAで記録した。
サーボ信号を記録した後、データ記録信号を重ね書きし
て、次いで再生を行なってそのときのサーボ信号成分、
データ信号成分の出力成分を横河ヒューレットパッカー
ド社製のスペクトラムアナライザー3585Aで測定し
た。磁気記録ディスクの半径23mm及び38mmにお
いてデータ信号記録電流を変えて、繰り返し記録を行な
ってデータ信号の最大出力及びサーボ信号出力を測定し
た。
【0030】 表4 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例1 +6.8 +12.9 -6.5 -0.4 3.2 0.7 実施例1 +6.4 +12.5 -4.5 +0.3 0.7 0.4 実施例2 +6.7 +13.2 -4.2 +1.5 0.6 0.4 比較例2 +4.8 +14.1 -4.3 -0.5 0.6 0.7 実施例3 +5.6 +13.8 -4.1 +0.3 0.5 0.5 実施例4 +7.3 +11.7 -4.4 +1.3 0.7 0.4比較例3 +7.9 +10.6 -5.3 -2.1 1.2 1.0
【0031】〔実施例5〜7及び比較例4〜6〕厚さ6
0μmポリエチレンテレフタレートベースの非磁性支持
体の片面に強磁性粉末として前記粉−2を使用した前記
下層用磁性塗布液を乾燥後の厚さが表5に示すような厚
さで塗布し、乾燥しないうちに強磁性粉末として前記粉
−6を使用した前記上層磁性層用塗布液を同じく乾燥後
の厚さが表5示す厚さで塗布した後、磁性層中の磁性粒
子をランダム配向し乾燥させた。その後、非磁性支持体
の他面に同一の条件で2層の磁性層を設けた。得られた
磁気記録媒体をスーパーカレンダーロールで加圧成形処
理して磁性層表面を平滑化処理した後、ディスク状に打
ち抜き磁気記録ディスクを得た。
【0032】得られた磁気記録ディスクの磁性層の構成
及び磁気特性を表5に示す。 表5 下層磁性層 上層磁性層 厚さ 抗磁力 残留磁束 厚さ 抗磁力 残留磁束 (μm)(Oe) 密度( カ゛ウス ) (μm) (Oe) 密度( カ゛ウス ) 実施例5 1.2 2580 750 0.3 1490 1620 実施例6 1.2 2580 750 0.5 1490 1620 比較例4 1.2 2580 750 0.8 1490 1620 比較例5 0.7 2580 750 0.3 1490 1620 実施例7 2.0 2580 750 0.3 1490 1620比較例6 2.8 2580 750 0.3 1490 1620
【0033】さらに、各磁気記録ディスクの試料の電磁
変換特性を測定した結果が表6である。 表6 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 実施例5 +6.4 +12.5 -4.5 +0.3 0.7 0.5 実施例6 +6.3 +12.7 -5.0 -1.2 1.0 0.9 比較例4 +5.8 +12.6 -7.1 -3.2 3.5 1.2 比較例5 +6.1 +12.4 -4.2 -0.5 0.6 0.8 実施例7 +6.5 +12.7 -4.3 +0.5 0.7 0.5比較例6 +6.4 +12.6 -6.8 -2.0 3.3 1.0
【0034】〔比較例7〕強磁性金属粉末の試料粉−6
を強磁性粉末として使用して、下記の組成及び条件で上
層磁性層用塗布液を得た。 ・強磁性金属粉末(Hc=1480oe) 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 16 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 6 重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 7 重量部 ・αーAl23 (平均粒径0.3μ) 15 重量部 ・メチルエチルケトン 184 重量部 ・シクロヘキサノン 92 重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サンドグ
ラインダーで微分散し、その微分散液420重量部に対
し下記組成物を加え混合撹拌し上層磁性層用塗布液2を
得た。 ・オレイン酸 1 重量部 ・ブチルステアレート 2 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 2 重量部 ・ポリイソシアネート 7 重量部 ・メチルエチルケトン 45 重量部 ・シクロヘキサノン 23 重量部 厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートベース
の片面に粉−2を強磁性粉末として使用した前記下層磁
性層用塗布液1を乾燥後の厚さが1.2μmになるよう
に塗布し、乾燥しないうちに前記粉−6を強磁性粉末と
して使用した前記上層磁性層用塗布液2を乾燥後の厚さ
が0.3μmになるように塗布し、磁性層中の強磁性粉
末の磁性粒子をランダム配向させた後乾燥した。次い
で、非磁性支持体の他方の面に同じ条件で2層の磁性層
を設けた。得られた磁気記録媒体をスーパーカレンダー
ロールで加圧成形処理して磁性層表面を平滑化した。し
かる後、ディスク状に打ち抜き磁気記録ディスクを得
た。得られた磁気ディスクの層構成及び特性を表7に示
す。
【0035】 表7 下層磁性層 上層磁性層 厚さ 抗磁力 残留磁束 厚さ 抗磁力 残留磁束 (μm)(Oe) 密度(カ゛ウス) (μm) (Oe) 密度(カ゛ウス) 比較例7 1.2 2580 750 0.3 1480 1300 また、電磁変換特性を表8に示す。 表8 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例7 +4.3 +10.8 -4.3 +0.4 0.7 0.5
【0036】〔比較例8及び比較例9〕粉−2の強磁性
金属粉末を強磁性粉末として使用した以下の2種類の組
成の下層磁性層用塗布液A及び下層磁性層用塗布液Bを
下層磁性用塗布液1と同一の条件で作成した。 組成 下層磁性層用 下層磁性層用 塗布液A 塗布液B ・強磁性金属粉末(Hc=2570oe ) 100 重量部 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ヒ゛ニル 17 重量部 18 重量部 酢酸ヒ゛ニル共重合体(重合度400) 7.5重量部 8 重量部 ・カーホ゛ンフ゛ラック(平均粒径20nm) 10 重量部 30 重量部 ・αー酸化鉄 20 重量部 30 重量部 ・メチルエチルケトン 147 重量部 140 重量部 ・シクロヘキサノン 98.5重量部 94 重量部 ・オレイン酸 2 重量部 2 重量部 ・ブチルステアレート 3 重量部 3 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 3 重量部 3 重量部 ・ポリイソシアネート 6.5重量部 7 重量部 ・メチルエチルケトン 30.5重量部 31 重量部 ・シクロヘキサノン 21 重量部 21 重量部 厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートベース
の片面に粉−2を強磁性粉末として使用した前記下層磁
性層用塗布液A及びBを乾燥後の厚さが1.2μmにな
るようにそれぞれ塗布し、乾燥しないうちに粉−6を強
磁性粉末として使用した前記の上層磁性層用塗布液を乾
燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、磁性層中
の強磁性粉末の磁性粒子をランダム配向させた後乾燥し
た。次いで、非磁性支持体の他方の面に同じ条件で2層
の磁性層を設けた。得られた磁気記録媒体をスーパーカ
レンダーロールで加圧成形処理して磁性層表面を平滑化
した。しかる後、ディスク状に打ち抜き磁気記録ディス
クを得た。得られた磁気ディスクの層構成及び特性を表
9に示す。
【0037】 表9 下層磁性層 上層磁性層 塗布液 抗磁力 残留磁束 抗磁力 残留磁束 (Oe) 密度(カ゛ウス) (Oe) 密度(カ゛ウス) 比較例8 2 2560 1220 1490 1620比較例9 3 2580 410 1490 1620 また、電磁変換特性を表10に示す。 表10 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例8 +6.7 +12.6 -6.8 -3.4 3.3 1.3 比較例9 +6.5 +12.4 -7.2 -3.1 3.6 1.3
【0038】〔実施例8〜実施例11及び比較例10〜
比較例12〕下記表11に記載の六角板状バリウムフェ
ライト磁性粉末を用い下記組成及び条件で下層磁性層用
塗布液を得た。 (下層磁性層用塗布液1) ・強磁性金属粉末(表11に記載) 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 15 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 6.5重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 5 重量部 ・メチルエチルケトン 131 重量部 ・シクロヘキサノン 92.5重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サンドグラ
インダーで微分散し、その微分散液350重量部に対
し、下記組成物を加え混合撹拌しそれぞれ強磁性粉末の
異なる3種類の下層磁性層用塗布液を得た。 ・オレイン酸 2.0重量部 ・ブチルステアレート 3.0重量部 ・ブトキシエチルステアレート 3.0重量部 ・ポリイソシアネート 6.0重量部 ・メチルエチルケトン 42.0重量部 ・シクロヘキサノン 29.0重量部
【0039】
【0040】(上層磁性層用磁性塗布液)前記表2の粉
−4〜粉−8のFe−Ni系の強磁性金属粉末を用い、
下記組成及び条件で上層磁性層用塗布液を得た。 ・強磁性金属粉末 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 14 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 5 重量部 ・αーAl23 (平均粒径0.3μ) 12 重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 2 重量部 ・メチルエチルケトン 192 重量部 ・シクロヘキサノン 95 重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サン
ドグラインダーで微分散し、その微分散液420重量部
に対し、下記組成物を加え混合撹拌しそれぞれ強磁性粉
末の異なる4種類の上層磁性層用塗布液を得た。 ・オレイン酸 1 重量部 ・ブチルステアレート 2 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 2 重量部 ・ポリイソシアネート 6 重量部 ・メチルエチルケトン 46 重量部 ・シクロヘキサノン 23 重量部 次いで、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート
ベースを非磁性支持体としてその片面にまず下層磁性層
用塗布液を乾燥後の膜厚1.2μmとなるように塗布し
た後、塗布膜が乾燥しないうちに上層磁性層用塗布液を
乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布し、乾燥し
ないうちに磁性層中の強磁性粉末の粒子をランダム配向
させた後、乾燥した。その後、非磁性支持体の他面にも
上記と同一の条件で2層の磁性層を形成して磁気記録媒
体の試料を得た。得られた磁気記録媒体の試料をスーパ
ーカレンダーロールで処理して磁性層表面を平滑化し、
円盤状に打ち抜き磁気記録ディスクを得た。得られた磁
気記録ディスクの磁性層の構成と磁気特性表12に示
す。
【0041】 表12 下層磁性層 上層磁性層 強磁性 抗磁力 残留磁束密度 強磁性 抗磁力 残留磁束密度 粉末 (Oe) (ガウス) 粉末 (Oe) (ガウス) 比較例10 粉−9 2210 770 粉−6 1490 1620 実施例8 粉−10 2590 730 粉−6 1490 1620 実施例9 粉−11 3030 680 粉−6 1490 1620 比較例11 粉−10 2590 730 粉−4 1040 1690 実施例10 粉−10 2590 730 粉−5 1270 1640 実施例11 粉−10 2590 730 粉−7 1770 1580比較例12 粉−10 2590 730 粉−8 1970 1540 電磁変換特性の測定結果が表13である。 表13 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例10 +6.5 +12.6 -7.0 -1.0 3.3 1.0 実施例8 +6.1 +12.2 -4.4 -0.5 0.7 0.7 実施例9 +6.4 +12.9 -3.8 +0.7 0.4 0.4 比較例11 +4.3 +13.7 -4.4 -1.0 0.6 1.0 実施例10 +5.4 +13.5 -3.7 -0.5 0.4 0.5 実施例11 +7.0 +11.4 -4.5 +0.5 0.7 0.5比較例12 +7.7 +10.1 -5.8 -2.9 1.5 1.2
【0042】〔実施例12〜14及び比較例13〜1
5〕厚さ60μmポリエチレンテレフタレートベースの
非磁性支持体の片面に強磁性粉末として前記粉−11を
使用した前記下層用磁性塗布液を乾燥後の厚さが表5に
示すような厚さで塗布し、乾燥しないうちに強磁性粉末
として前記粉−6を使用した前記上層磁性層用塗布液1
を同じく乾燥後の厚さが表14に示す厚さで塗布した
後、磁性層中の磁性粒子をランダム配向し乾燥させた。
その後、非磁性支持体の他面に同一の条件で2層の磁性
層を設けた。得られた磁気記録媒体をスーパーカレンダ
ーロールで加圧成形処理して磁性層表面を平滑化処理し
た後、ディスク状に打ち抜き磁気記録ディスクを得た。
得られた磁気記録ディスクの磁性層の構成及び磁気特性
を表5に示す。
【0043】 表14 下層磁性層 上層磁性層 厚さ 抗磁力 残留磁束 厚さ 抗磁力 残留磁束 (μm)(Oe) 密度(カ゛ウス) (μm) (Oe) 密度(カ゛ウス) 実施例12 1.2 3030 690 0.3 1490 1620 実施例13 1.2 3030 690 0.5 1490 1620 比較例13 1.2 3030 690 0.8 1490 1620 比較例14 0.7 3030 690 0.3 1490 1620 実施例14 2.0 3030 690 0.3 1490 1620比較例15 2.8 3030 690 0.3 1490 1620 さらに、各磁気記録ディスクの試料の電磁変換特性
を測定した結果が表15である。 表15 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 実施例12 +6.4 +12.3 -3.8 +0.7 0.4 0.4 実施例13 +6.2 +12.5 -4.1 -0.7 0.7 0.7 比較例13 +5.4 +12.4 -6.5 -2.9 1.6 1.2 比較例14 +5.6 +12.0 -4.2 -0.5 0.6 0.7 実施例14 +6.5 +12.5 -3.9 +0.5 0.5 0.4比較例15 +6.4 +12.4 -6.2 -2.0 1.5 1.0
【0044】〔比較例16〕強磁性金属粉末の試料粉−
6を強磁性粉末として使用して、下記の組成及び条件で
上層磁性層用塗布液を得た。 ・強磁性金属粉末(Hc=1480oe) 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ビニル 16 重量部 酢酸ビニル共重合体(重合度400) ・ポリウレタン樹脂(日本ホ゜リウレタン N-2301) 6 重量部 ・カーボンブラック(平均粒径20nm) 7 重量部 ・αーAl23 (平均粒径0.3μ) 15 重量部 ・メチルエチルケトン 184 重量部 ・シクロヘキサノン 92 重量部 上記組成物を強力ニーダーで混練させた後、サンドグ
ラインダーで微分散し、その微分散液420重量部に対
し下記組成物を加え混合撹拌し上層磁性層用塗布液を得
た。 ・オレイン酸 1 重量部 ・ブチルステアレート 2 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 2 重量部 ・ポリイソシアネート 7 重量部 ・メチルエチルケトン 45 重量部 ・シクロヘキサノン 23 重量部 厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートベースの
片面に粉−11を強磁性粉末として使用した前記下層磁
性層用塗布液を乾燥後の厚さが1.2μmになるように
塗布し、乾燥しないうちに前記粉−6を強磁性粉末とし
て使用した前記上層磁性層用塗布液を乾燥後の厚さが
0.3μmになるように塗布し、磁性層中の強磁性粉末
の磁性粒子をランダム配向させた後乾燥した。次いで、
非磁性支持体の他方の面に同じ条件で2層の磁性層を設
けた。得られた磁気記録媒体をスーパーカレンダーロー
ルで加圧成形処理して磁性層表面を平滑化した。しかる
後、ディスク状に打ち抜き磁気記録ディスクを得た。得
られた磁気記録ディスクの層構成及び特性を表16に示
す。
【0045】 表16 下層磁性層 上層磁性層 厚さ 抗磁力 残留磁束 厚さ 抗磁力 残留磁束 (μm)(Oe) 密度(カ゛ウス) (μm) (Oe) 密度(カ゛ウス) 比較例16 1.2 3030 690 0.3 1480 1300 また、電磁変換特性を表17に示す。 表17 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例16 +3.8 +10.3 -4.3 +0.4 0.7 0.5
【0046】〔比較例17及び比較例18〕粉−11の
バリウムフェライト磁性粉末を強磁性粉末として使用し
た以下の2種類の組成の下層磁性層用塗布液C及び下層
磁性層用塗布液Dを下層磁性用塗布液1と同一の条件で
作成した。 組成 下層磁性層用 下層磁性層用 塗布液組成C 塗布液組成D ・ハ゛リウムフェライト粉末(Hc=3000 Oe) 100 重量部 100 重量部 ・無水マレイン酸含有塩化ヒ゛ニル 10.5 重量部 18 重量部 酢酸ヒ゛ニル共重合体(重合度400) 4 重量部 8 重量部 ・カーホ゛ンフ゛ラック(平均粒径20nm) 5 重量部 25 重量部 ・αー酸化鉄 20 重量部 30 重量部 ・メチルエチルケトン 147 重量部 140 重量部 ・シクロヘキサノン 98.5重量部 94 重量部 ・オレイン酸 2 重量部 2 重量部 ・ブチルステアレート 3 重量部 3 重量部 ・ブトキシエチルステアレート 3 重量部 3 重量部 ・ポリイソシアネート 3.5重量部 7 重量部 ・メチルエチルケトン 30.5重量部 31 重量部 ・シクロヘキサノン 21 重量部 21 重量部 厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートベース
の片面に粉−11を強磁性粉末として使用した前記下層
磁性層用塗布液C及びDを乾燥後の厚さが1.2μmに
なるようにそれぞれ塗布し、乾燥しないうちに粉−6を
強磁性粉末として使用した前記上層磁性層用塗布液1を
乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、磁性層
中の強磁性粉末の磁性粒子をランダム配向させた後乾燥
した。次いで、非磁性支持体の他方の面に同じ条件で2
層の磁性層を設けた。得られた磁気記録媒体をスーパー
カレンダーロールで加圧成形処理して磁性層表面を平滑
化した。しかる後、ディスク状に打ち抜き磁気記録ディ
スクを得た。得られた磁気ディスクの層構成及び特性を
表18に示す。
【0047】 表18 下層磁性層 上層磁性層 塗布液 抗磁力 残留磁束 抗磁力 残留磁束 (Oe) 密度(カ゛ウス) (Oe) 密度(カ゛ウス) 比較例17 C 3010 1190 1490 1620比較例18 D 3040 390 1490 1620 また、電磁変換特性を表19に示す。 表19 データ信号出力 サーボ信号出力 データ信号出力変動 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm 半径23mm 半径38mm (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB) 比較例17 +6.4 +12.5 -6.6 -3.5 3.3 1.3 比較例18 +6.3 +12.3 -7.0 -3.2 3.6 1.2
【0048】
【発明の効果】上層磁性層の厚さを薄くして、且つその
強磁性粉末を抗磁力の大きい強磁性金属粉末を使用し、
下層磁性層には前記上層磁性層の強磁性粉末の抗磁力よ
りも大きい強磁性粉末を使用し、且つ下層磁性層の残留
磁束密度を上層磁性層のそれよりも小さくすることによ
って、高記録密度であって上層磁性層にデータ記録、下
層磁性層にサーボ信号記録を行なう埋め込み型サーボ方
式のデータ記録用に最適な磁気記録媒体を得ることがで
きる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤樹
    脂を主体とする磁性層を2層有する磁気記録媒体におい
    て、上層磁性層は、強磁性粉末が強磁性金属粉末で、
    さが0.05乃至0.5μmであって且つ抗磁力が12
    00乃至2000Oe(エルステッド)であり、下層磁性
    層は、抗磁力が上層磁性層の抗磁力よりも800乃至2
    500Oe大きく、さらに下層磁性層単独の場合の残留磁
    束密度は上層磁性層単独の場合の残留磁束密度の30乃
    至70%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録波長が3.0μm以下のディジタル
    信号を記録再生するための請求項1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記下層の強磁性粉末が板状六方晶フェ
    ライトである請求項1の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記下層の強磁性粉末が強磁性金属粉末
    である請求項1記載の磁気記録媒体。
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