JP2006120261A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
磁性層の厚さが100nm未満であり、磁性粉末の形状が略粒状で、磁性層に含まれるカーボンブラックの平均粒子径をDc、磁性層の厚さをDmとした時に、0.5≦Dc/Dm≦1.0の関係を満たす構成とする。
【選択図】図3
Description
ここでいうカーボンブラックの平均粒子径とは、磁性層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率20万倍で観察し、カーボンブラックの一次粒子径50個を測定し求めた数平均粒子径である。
<磁性層>
磁性層の厚さは、100nm未満が好ましく、10nm以上100nm未満がより好ましい。100nmを超えると自己減磁や厚み損失が大きくなりすぎ、短波長記録再生特性が悪くなるからである。また、10nm未満では得られる出力が小さくなったり、均一な磁性層を塗布し難い場合がある。
架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましく用いられる。
これらの架橋剤は、バインダ樹脂100重量部あたり、通常1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部の割合で用いられる。下塗層上にウエット・オン・ウエットで磁性層を塗布する場合には、下塗塗料からある程度のポリイソシアネートが拡散供給されるので、ポリイソシアネートを併用しなくても磁性層はある程度架橋される。
磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常、1.5〜11.0μmのものが使用される。より好ましくは2.0〜7.0μm、最も好ましくは2.0〜6.0μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、1.5μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、11.0μmを超えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。
本発明においては、磁性層の厚さが100nm未満と薄いので、磁性層の平滑性を高くして、短波長記録特性を向上させるため、下塗層を設けるのが好ましい。
なお、磁性粉末を含む下塗層も排除するものではない。
磁性層、下塗層には、磁性層、下塗層に含まれるそれぞれの全粉体に対して、0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させるのが好ましく、また0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させるのが好ましく、さらに0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸エステルを含有させるのが好ましい。
下塗層や磁性層に含まれる非磁性粉末やカーボンブラック、磁性粉末は、結合剤(バインダ樹脂)との分散性を良くするため、適宜の分散剤で表面処理することができる。また、上記各粉体を含む下塗層、磁性層を形成するための塗料中に適宜の分散剤を添加してもよい。分散剤としては、リン酸系分散剤、カルボン酸系分散剤、アミン系分散剤、キレート剤、各種シランカップリング剤などが好適なものとして用いられる。これらの分散剤は、混練前処理工程、混練工程や初期分散工程の後に配合するのが好ましい。リン酸系分散剤としては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチルなどのアルキルリン酸エステル類、フエニルホスホン酸、モノオクチルフエニルホスホン酸などの芳香族リン酸類などが挙げられ、市販品として、東邦化学製の「GARFAC RS410」、城北化学工業製の「JP−502」、「JP−504」、「JP−508」などを用いることができる。また、カルボン酸系分散剤としては、炭素数12〜18個の脂肪酸、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸などが用いられる。また、上記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、上記脂肪酸のアミド、上記脂肪酸のエステルまたはこれにフッ素を含ませた化合物、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩、銅フタロシアニン、安息香酸、フタル酸、テトラカルボキシルナフタレン、ジカルボキシルナフタレン、炭素数12〜22の脂肪酸などが挙げられる。アミン系分散剤としては炭素数8〜22の脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等がある。さらに、キレ―ト剤としては、1,10−フエナントロリン、EDTA、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、グリシン、ジチアゾン、ニトリロ三酢酸などが挙げられる。これらは、単独でも組み合わせて使用してもよい。
本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的としてバック層を設けることができる。バック層は、蒸着、スパッタ、CVD、塗布によって形成されるが、おもにカーボンブラックとバインダ樹脂とからなるバックコート層が一般的である。
磁性塗料、下塗塗料、バックコート塗料に使用する有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用され、さらにトルエンなどと混合して使用される。
《下塗塗料成分》
(1)
・非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm) 76部
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸 1部
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 1.4部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
(1)混練工程
・磁性粉末 (Y−N−Fe) 100部
(Y/Fe:5.5at%、
N/Fe:11.9at%
σs:103A・m2/kg(103emu/g)、
Hc:211.0kA/m(2650Oe)、
平均粒子径:17nm、軸比:1.2)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 13部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 4.5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・粒状アルミナ粉末(平均粒子径:40nm) 10部
・メチルアシッドホスフェート(MAP) 2部
・カーボンブラック 3部
(平均粒子径:75nm、吸油量72ml/100g)
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 9部
(2)希釈工程
・パルミチン酸アミド(PA) 1.5部
・ステアリン酸n−ブチル(SB) 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 350部
(3)配合工程
・ポリイソシアネート 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 29部
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 80部
・カーボンブラック(平均粒子径:350nm) 10部
・非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・トルエン 260部
・メチルエチルケトン 525部
磁性粉末を、バリウム磁性粉末(Ba−Fe)(σs:51A・m2/kg(51emu/g)、Hc:161.5kA/m(2029Oe)、板状比:2.7)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のコンピュータ用テープを作製した。
磁性粉末を、鉄系磁性粉末(Co−Fe)(σs:92A・m2/kg(92emu/g)、Hc:111.4kA/m(1400Oe)、軸比:2.8)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のコンピュータ用テープを作製した。
磁性塗料に含ませるカーボンブラックを、平均粒子径:100nm、吸油量68ml/100gのものに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のコンピュータ用テープを作製した。
磁性塗料に含ませるカーボンブラックを、平均粒子径:40nm、吸油量114ml/100gのものに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のコンピュータ用テープを作製した。
磁性層の厚さを110nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のコンピュータ用テープを作製した。
磁性粉末を、バリウム磁性粉末(Ba−Fe)(σs:52A・m2/kg(52emu/g)、Hc:160.8kA/m(2020Oe)、板状比:3.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4のコンピュータ用テープを作製した。
磁性粉末を、鉄系磁性粉末(Co−Fe)(σs:88A・m2/kg(88emu/g)、Hc:114.6kA/m(1440Oe)、軸比:3.5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のコンピュータ用テープを作製した。
磁性粉末の平均粒子径を20nm、磁性塗料に含ませるカーボンブラックを、平均粒子径:100nm、吸油量68ml/100gのものに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6のコンピュータ用テープを作製した。
〈C/N測定〉
テープの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.2μm)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、更に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより矩形波を記録電流電流発生器に入力制御し、波長0.2μmの信号を書き込み、MRヘッドの出力をプリアンプで増幅後、スペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。
カンタム社製DLT7000ドライブを使用して、室温環境下で全長かつ全トラックを300時間連続で走行させ、ドライブが出力するエラー情報をRS−232Cインターフェース経由で読みとり、記録容量1MB当たりのエラー数として評価した。
試料の磁気記録媒体を樹脂埋めし、それを集束イオンビーム加工装置で厚さ方向の断面をテープの長手方向に切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で10万倍にて10視野の写真撮影を行い、磁性層表面、磁性層−下塗層界面を縁取りする。つぎに、写真1視野当り、界面に非磁性粉末のかかっていない任意の5個所を選び、それぞれ縁取りした線間の距離を下塗層の厚さとして計測する。写真10視野について同様の計測を行い、それらを平均して磁性層厚さとした。
撮影倍率を20万倍としたことを除き、上記した磁性層厚さを求める場合と同様にして、必要枚数の磁性層断面の写真撮影を行い、写真視野中の磁性層を長手方向に0.5μm長さ毎に区切り、各区切りの磁性層中のカーボンブラックの内、粒子径が最大の一次粒子の外形を縁取りする。カーボンブラックは通常、一次粒子が孤立粒子として存在する場合と、一次粒子が鎖状につながったストラクチャを形成している場合とがあるが、いずれの場合にも、粒子径が最大の一次粒子の外形を縁取りし、その外形の最大さしわたしを粒子径として測定する。50個のカーボンブラックのについて同様の測定を行い、それらの数平均値をカーボンブラックの平均粒子径とした。
撮影倍率を20万倍としたことを除き、上記した磁性層厚さを求める場合と同様にして、必要枚数の磁性層断面の写真撮影を行い、磁性層中に含まれる磁性粉末の粒子径および軸比を計測する。磁性粉末については粒子径および軸比分布が極めて小さいので、代表的な磁性粉末粒子の粒子径および軸比を測定すればよいが、粒子径および軸比分布がある場合には、50個の磁性粉末粒子について、各粒子の粒子径および軸比を計測し、それら50個の数平均値を磁性粉末の平均粒子径及び平均軸比とした。
Claims (1)
- 非磁性支持体上に、少なくとも磁性粉末とカーボンブラックとを含む磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層の厚さが100nm未満であり、前記磁性粉末の形状が略粒状で、前記カーボンブラックの平均粒子径をDc、前記磁性層の厚さをDmとした時に、0.5≦Dc/Dm≦1.0の関係を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
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