JPH0715051A - Ybco超電導薄膜の製造方法 - Google Patents

Ybco超電導薄膜の製造方法

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JPH0715051A
JPH0715051A JP5153824A JP15382493A JPH0715051A JP H0715051 A JPH0715051 A JP H0715051A JP 5153824 A JP5153824 A JP 5153824A JP 15382493 A JP15382493 A JP 15382493A JP H0715051 A JPH0715051 A JP H0715051A
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voltage
target
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thin film
ybco
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Yukihisa Yoshida
幸久 吉田
Wataru Ito
伊藤  渉
Tadataka Morishita
忠隆 森下
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KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTS
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Mitsubishi Electric Corp
Nippon Steel Corp
Original Assignee
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTS
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Mitsubishi Electric Corp
Nippon Steel Corp
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Publication date
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    • H10N60/0268Manufacture or treatment of devices comprising copper oxide
    • H10N60/0296Processes for depositing or forming superconductor layers
    • H10N60/0408Processes for depositing or forming superconductor layers by sputtering

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハイブリッドプラズマスパッタ法において、
新しい成膜パラメータを導入して、結晶性に優れた超電
導薄膜を歩留りよく提供できるYBCO超電導薄膜の製
造方法を得る。 【構成】 平行平板型スパッタリング法を用いて、基板
6上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する際、
高周波電源10による高周波電圧と直流電源13による
直流電圧とを重畳してカソード4電極に同時印加し、導
電性を有するYBCOターゲット5を該カソード4上に
配置し、かつ基板ホルダー7に直流電源8から直流電圧
を印加して基板6及びターゲット5直上に形成される各
々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スパッタリング現象
を利用して結晶性に優れたY−Ba−Cu−O系(以下
YBCOという)超電導薄膜を製造するYBCO超電導
薄膜の製造方法に関するもので、特に、膜のY:Ba:
Cu組成比が1:2:3になるように成膜条件を最適化
するものであり、そして、該薄膜を用いたセンサー、電
子デバイス等の応用開発分野であるエレクトロニクス分
野に適用して好適ならしめるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、基板上にY−Ba−Cu−O系超
電導薄膜を形成するための平行平板型スパッタリング法
として、ハイブリッドプラズマスパッタ法というものが
ある。このハイブリッドプラズマスパッタ法は、高周波
電圧とこれをカットするローパスフィルターを介して直
流電圧を重畳してカソード電極に同時印加し、導電性を
有するYBCOターゲットを該カソード上に配置して低
真空度の下でスパッタリングすることを特徴とするもの
で、結晶性に優れたYBCO薄膜を提供する方法である
(例えば、Physica C 204(1993) 295ー298 W.Ito etal
“Highest crystallinity of a-axio YBCO filmz by DC
-94.92MHz hybrid plasma magnetron spattering"参
照)。
【0003】上記ハイブリッドプラズマスパッタ法にお
いて、カソード電極へ高周波電圧の印加と同時に直流電
源より印加するバイアス電圧を増加していくと、例えば
図7に示すように、ターゲットの導電性を反映して、あ
る電圧値から電流が急激に増大し、所謂定電圧領域に入
ることが知られている。この時、高周波プラズマに直流
プラズマが重畳され(以下、これをハイブリッドプラズ
マ状態という)、該プラズマを用いると、結晶性に寄与
する高周波プラズマの利点を保持しながら成膜速度の高
速化が可能となる。なお、図7はY:Ba:Cu組成比
が1:2:3であるYBa2Cu3xターゲットに高周
波と同時に直流電圧を印加したときのカソードにかける
バイアス電圧と電流の関係を示す特性図で、ターゲット
電圧は、高周波電圧の印加に基づく高周波プラズマによ
って生成するカソード側のセルフバイアスに直流電源に
よる負のバイアス電圧を重畳したものであり、ターゲッ
ト電流は該ターゲット電圧の印加に基づき流れる電流を
示す。
【0004】このハイブリッドプラズマスパッタ法を用
いて、膜のY:Ba:Cu組成比が1:2:3になるよ
うに成膜条件を最適化することにより、自動的に結晶性
も最適化されたYBCO薄膜が作製できる。最適化され
た成膜条件の一例としては、成膜圧力が475mTor
r、スパッタガスArと反応ガスO2 の流量比が2:
1、RF出力が60W、カソード電圧−100V、カソ
ード電流0.5Aである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したカ
ソード電圧は図7に示す特性の定電圧領域での値であ
り、これはターゲットの導電性、つまり抵抗に依存して
いる。従って、用いるターゲットによって定電圧領域の
カソード電圧値は異なってきて、例えば導電性に優れな
いターゲットを用いた場合には、ハイブリッドプラズマ
を生成するために必要なカソードでの電圧下降は大きく
なる。
【0006】この時、膜の組成に対する最適成膜条件は
得られるが、後述するように、上記成膜条件で得られる
膜は、その結晶性や表面モホロジー(表面平滑性)に関
して大きな問題が残る。これまでの結果からすると、定
電圧領域でのカソード電圧が−100Vより数10V下
まわると、他の成膜パラメータを制御して膜の組成を最
適化しても、求めるべき結晶性は得られないことがわか
った。
【0007】これらのことから、ハイブリッドプラズマ
スパッタ法は、用いるターゲットの導電性に敏感かつ非
常に束縛された手法であることがわかり、ターゲットに
対する膜の歩留りなどを考えた時に現実的な成膜手法と
して問題が残るものと思われる。
【0008】この発明はかかる問題点を克服するために
なされたもので、ハイブリッドプラズマスパッタ法にお
いて、新しい成膜パラメータを導入して、結晶性に優れ
たYBa2Cu3x 超電導薄膜を歩留りよく提供するこ
とができるYBCO超電導薄膜の製造方法を得ることを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
るYBCO超電導薄膜の製造方法は、平行平板型スパッ
タリング法を用いて、基板上にY−Ba−Cu−O系超
電導薄膜を形成する方法において、高周波電圧と直流電
圧とを重畳してカソード電極に同時印加し、導電性を有
するYBCOターゲットを該カソード上に配置し、かつ
基板ホルダーに直流電圧を印加して基板及びターゲット
直上に形成される各々のイオンシースでの電圧降下の差
で成膜条件を制御することを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法は、平行平板型スパッタリング法を用いて、
基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
と共に、上記基板ホルダーに印加する直流負電圧を、0
Vから150Vまでの範囲で制御することを特徴とする
ものである。
【0011】また、請求項3に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法は、平行平板型スパッタリング法を用いて、
基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
と共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波プラズマ
によって生成するカソード側のセルフバイアスに重畳付
加する直流負電圧を、0Vを越えて200V以下の範囲
で制御することを特徴とするものである。
【0012】また、請求項4に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法は、平行平板型スパッタリング法を用いて、
基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
と共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波プラズマ
によって生成するカソード側のセルフバイアスに重畳付
加する直流電流を、0mAを越えて1A以下の範囲で制
御することを特徴とするものである。
【0013】また、請求項5に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法は、平行平板型スパッタリング法を用いて、
基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
と共に、スパッタリング圧力範囲を、200mTorr
以上、2Torr以下の範囲で成膜することを特徴とす
るものである。
【0014】さらに、請求項6に係るYBCO超電導薄
膜の製造方法は、平行平板型スパッタリング法を用い
て、基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成す
る方法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカ
ソード電極に同時印加し、導電性を有するYBCOター
ゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直
流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される
各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御
すると共に、温度範囲を、600℃以上、900℃以下
の範囲で成膜することを特徴とするものである。
【0015】
【作用】この発明の請求項1に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御することにより、ターゲットに依存することな
く、異相のない優れた結晶性を持つa軸配向膜を得るこ
とを可能にする。
【0016】また、請求項2に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御すると共に、上記基板ホルダーに印加する直流負
電圧を、0Vから150Vまでの範囲で制御することに
より、基板及びターゲット直上に形成される各々のイオ
ンシースでの電圧降下の差で成膜する際に、ターゲット
によってターゲット側に形成されるイオンシースにおけ
る電圧降下の変動に拘わらず、常に膜の配向性に適切な
上記電圧降下の差を得るべく、基板バイアスを可変とす
る。
【0017】また、請求項3に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御すると共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周
波プラズマによって生成するカソード側のセルフバイア
スに重畳付加する直流負電圧を、0Vを越えて200V
以下の範囲で制御することにより、ハイブリットプラズ
マスパッタ法においてDCプラズマの特性が強調される
のを制限して高周波プラズマの特性の利用を可能にし、
目的とする結晶性が得られるべく、カソード側に印加す
る直流負電圧を制御する。
【0018】また、請求項4に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御すると共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周
波プラズマによって生成するカソード側のセルフバイア
スに重畳付加する直流電流を、0mAを越えて1A以下
の範囲で制御することにより、ハイブリットプラズマス
パッタ法においてDCプラズマの特性が強調されるのを
制限して高周波プラズマの特性の利用を可能にし、目的
とする結晶性が得られるべく、カソード側に付加する直
流負電流を制御する。
【0019】また、請求項5に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御すると共に、スパッタリング圧力範囲を、200
mTorr以上、2Torr以下の範囲で成膜すること
により、酸素負イオンの基板への到達を阻止して膜の再
スパッタを引き起こすのを抑制すると共に、ターゲット
からスパッタされる蒸着種が飛行中に熱撹乱を受け過ぎ
ないで基板に到達し易くすべく、成膜時に必要なスパッ
タリング圧力を確保する。
【0020】さらに、請求項6に係るYBCO超電導薄
膜の製造方法においては、高周波電圧と直流電圧とを重
畳してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYB
COターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホル
ダーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形
成される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条
件を制御すると共に、温度範囲を、600℃以上、90
0℃以下の範囲で成膜することにより、YBCO構造を
形成するのに必要な基板温度を確保して、表面モホロジ
ーが損なわれることなく、YBCO結晶化に伴う成膜時
の基板温度を確保する。
【0021】
【実施例】この発明は、上述したハイブリッドプラズマ
スパッタ法において、新しい成膜パラメータとして、基
板ホルダーに印加する直流バイアス(以下、基板バイア
スという)を導入し、基板及びターゲット直上に形成さ
れる各々のイオンシースにおける電圧降下の差で成膜条
件を制御することを要旨とするものであり、これにより
結晶性に優れたYBCO薄膜をターゲットに対して歩留
りよく提供するものである。
【0022】以下、図示実施例をもとにこの発明を詳細
に説明する。 実施例1.図1はこの発明を実施するために用いられる
成膜装置を示す概略図である。但し、この発明はこの装
置に限定されることなく、この発明の本質を損なわない
範囲でこの装置を適宜変更することが可能である。
【0023】図1において、1×10-7Torr代まで
排気された成膜室1にアルゴンと酸素の混合ガスが導入
され、排気速度を制御することにより所定の圧力とす
る。磁石2と冷却水路3を設けたカソード4上に、Y:
Ba:Cuの組成比が1:2:3に調合されたYBCO
ターゲット5が配置され、このほぼ30mm直上に基板
6が基板ホルダー7を介してセットされる。
【0024】上記基板ホルダー7には直流電源8が接続
され、その端子を交換することにより正または負の基板
バイアスを印加できる。また、上記基板6は背面のヒー
タ9により所定の温度まで加熱される。さらに、上記カ
ソード4には高周波(94.92MHz)の電源10が
整合器11を介して接続され、高周波電圧が印加され
る。同時に、ローパスフィルター12を介して接続され
た直流電源13により負のバイアスが高周波電圧に重畳
印加される。なお、基板6には、SrTiO3 とMgO
を用いた。
【0025】ところで、基板バイアスを成膜のパラメー
タとして用いるためには、その極性の膜への影響を調べ
ることは必須である。以下に、全圧力475mTor
r、アルゴン−酸素比を1:2、ターゲット電圧および
電流が−130V、0.5A、基板温度650℃を成膜
条件とした基板バイアスの実験結果を示す。
【0026】まず、正の基板バイアスとして、直流電源
8から例えば50Vを基板ホルダー7に印加した場合、
ターゲット5側の電位が基板6側に印加したバイアス電
圧の値だけ上昇することが観察された。また、作製され
た膜はその組成及び結晶性に関してバイアスを印加しな
い場合のものと同じであった。
【0027】これらのことから、正の基板バイアスは、
図2に示すように、基板6側とターゲット5の間に生成
されるプラズマのポテンシャルプロファイルを上方にシ
フトするだけで、ターゲット5をスパッタするプラズマ
粒子や基板に到達する蒸着粒子には特別な影響を及ぼさ
ないことがわかった。なお、図2は+50Vの基板バイ
アスを印加したときのプラズマポテンシャルのプロファ
イル特性図で、点線で示されるプラズマ電位の特性は、
直流電源8を0Vにして基板6側をアースに落とした場
合の特性であり、また、実線で示されるプラズマ電位の
特性は、直流電源8により50Vを基板ホルダー7に印
加した場合の特性である。
【0028】一方、負の基板バイアスはその効果が顕著
に表われた。他の成膜パラメータを固定し、直流電源8
により負のバイアス値のみを変えたときの膜の組成比の
変化を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】平行平板型のスパッタリングにおいて酸化
物をターゲットとして用いた場合、ターゲット5から放
出される酸素負イオンがカソードシースで加速され、基
板6側を再スパッタし、膜の組成ずれを引き起こす効果
はよく知られている。表1は、再スパッタの最も受けに
くいY金属で規格化した結果であるが、負のバイアス値
を大きくするに伴い組成比Cu/Yの増加が最も顕著と
なり、CuがBaやY以上に再スパッタを受けやすいこ
とを考慮すると、負の基板バイアスは酸素負イオンを排
除し再スパッタ効果を低減する傾向にあることがわかっ
た。
【0031】また、この時のプラズマのポテンシャルプ
ロファイルは観測されるターゲット5及び基板6側の電
位から図3のようになっていることが推測され、これは
表1の結果と一致することがわかる。すなわち、表1に
おいて、基板バイアスとして、直流電源8から−40V
のバイアス電圧を印加した場合、図3(a)に示すポテ
ンシャルプロファイルとなり、また、−80Vのバイア
ス電圧を印加した場合、図3(b)に示すポテンシャル
プロファイルとなる。
【0032】以上まとめると、正の基板バイアスは成膜
に何ら影響しない一方で、負の基板バイアスは再スパッ
タ効果を低減する成膜パラメータになり得ることがわか
った。この実施例1においては、負の基板バイアスは1
50Vを越えると、アルゴンの正イオンによる基板6側
のスパッタが顕著になっていまい膜の劣化を招くので、
基板バイアスを0Vから150Vまでとする。また、ハ
イブリッドプラズマスパッタ法において、DCプラズマ
の特性が強調され過ぎると、高周波プラズマの特性が利
用できなくなるので、直流電源13からカソード4側に
印加する直流負電圧の上限は200Vとし、これに伴い
直流負電流は1A以下に制限される。
【0033】実施例2.次に、以上のような知見を得た
うえで、基板バイアスがハイブリッドプラズマスパッタ
法において有効な成膜パラメータになることを以下に説
明するが、まず、ハイブリッドプラズマスパッタ法にお
いて解決すべき問題点が浮き彫りにされた経緯について
説明する。
【0034】ハイブリットプラズマ状態でのターゲット
電圧(カソード電圧と同じ)をVtとすると、ターゲッ
ト電圧Vtは他の成膜パラメータとは独立に、かつター
ゲット5の導電性を反映してほぼ一意的に決まってしま
う。つまり、カソード4に設置するターゲット5の導電
性によってVtは変わってきて、導電性の悪いターゲッ
トを用いた場合、ターゲット電圧Vtは大きくなる。
【0035】そこで、膜の物性のターゲット依存性を調
べるために、導電性の異なる2種類のターゲット#1と
#2を用い、a軸配向YBa2Cu3x 薄膜(YBa2
Cu3x 構造のa軸方向が基板に対し垂直となる)の
作製を目的として比較成膜実験を行った。
【0036】ターゲット#1を用いた場合、ターゲット
電圧Vtは−100Vであるのに対し、ターゲット#2
では−130Vとなった。そして、それぞれのターゲッ
トに対し、膜の組成比の最適化を行った成膜条件が表2
に記されている。
【0037】
【表2】
【0038】表2において、全圧力やAr−O2 比が異
なってくるのは各ターゲットのターゲット電圧Vtを反
映しているためである。既述したように、ハイブリッド
プラズマ状態は、ターゲット電圧が定電圧領域に入った
ときに達成されるが、表2に示すターゲット#1と#2
の注目すべき違いはその際の電圧値にある。ターゲット
#2の場合、定電圧領域に入るターゲット電圧が−13
0Vと、ターゲット#1の場合より大きくなるのは、タ
ーゲットの電気抵抗が大きいことに起因している。
【0039】該ターゲットに対する成膜条件の相違は、
ターゲット電圧のそれによって説明できる。すなわち、
成膜時のターゲット電圧が大きいターゲット#2を用い
た場合、ターゲット5直上に形成されるイオンシースに
おける酸素負イオンの加速も促進され、それに伴う再ス
パッタ効果の増大を抑制するために、成膜圧力はターゲ
ット#1の場合より高くなる。また、アルゴンと酸素の
混合比に関しては、ターゲットの電気抵抗が高いのはタ
ーゲット中に含まれる酸素量の不足に起因しているだろ
うことを考えれば理解できる。
【0040】そして、特に、注目すべきことは、以上の
ような成膜条件の相違によって特徴づけられる二種の該
ターゲットをスパッタして得られる膜の結晶性あるいは
配向性は、膜のY:Ba:Cuの組成比が共に1:2:
3であるにもかかわらず、スパッタするターゲットが異
なると、膜の結晶性あるいは配向性がかなり異なってく
ることである。
【0041】ここで、各ターゲットから得られた膜の物
性について述べる。ターゲット#1を用いた場合、膜の
組成を最適化することにより、自動的に膜の結晶性も最
適化され、高品質のa軸配向膜が得られることがX線回
折法によって確認された。一方、ターゲット#2の場合
では、同様のX線回折法によって、図4に示す如く、バ
ルクよりもかなり長い格子間隔をもつa軸配向(格子間
隔d=3.90Å)を示すと同時に、垂直方向に4.0
Åの格子間隔をもつ異相が現われることが確認された。
【0042】すなわち、図4はターゲット#2を用いて
SrTiO3 基板(STOで表記)とMgO基板の各基
板上に作製したYBCO薄膜のX線回折法による結晶配
向パターンを示すもので、横軸は回折角、縦軸はX線強
度であり、同図(a)はSrTiO3 基板上、同図
(b)はMgO基板上のそれぞれの結晶配向パターンを
示している。なお、同図(a)において、SrTiO3
基板上における膜の結晶配向パターン(n00)のピー
クは基板のそれと重なっていて確認できないので、同図
(b)に示すMgO基板上での結果も対応させて示して
いる。また、異相はOPとして示している。
【0043】ここで、図4(b)を例にとって、MgO
基板上のYBCOのa軸長(格子間隔)の導出方法を簡
単に説明すると、X線回折法の基礎公式として、 ブラックの公式:2dsinθ=nλ (dは格子間隔、θは回折角、nはブラッグ反射次数、
λはX線波長)があるが、回折角θに図4(b)におけ
るYBCOの結晶配向パターン(100)のピークの2
θ値(22.76°)から11.38°、ブラッグ反射
次数nに1、X線波長λにCuのkα1線の波長1.5
405Åをそれぞれ代入すると、格子間隔d=3.90
Åが求まる。
【0044】また、高分解能走査型電子顕微鏡による表
面モホロジーの観察より該異相の原因と思われるパーテ
ィクルが確認された(図5(a)参照)。つまり、ター
ゲット#2からは目的とするa軸配向膜は得られないこ
とが分かる。なお、図5(a)は図4(a)の膜の組
織、図5(b)は図6(a)の膜の組織を示す模式図で
ある。
【0045】以上の結果から、我々の理想とするターゲ
ットはターゲット#1であり、ターゲット#2は不適当
なターゲットということになる。ところで、我々は常に
ターゲット#1のようなターゲットを手に入れられるわ
けではなく、また、適当なターゲットか否かはカソード
4に設置しプラズマを生成したときに分かり、このた
め、ターゲットの交換などに費やす膨大な時間やターゲ
ットに対する歩留まりなどを考えたとき、ハイブリッド
プラズマスパッタ法は、今後、これをデバイス作製など
に応用する場合、現実の成膜手法として問題が残ること
が判明した。
【0046】この実施例2では、かかる問題点を解決す
べく、ターゲット#2を用いて基板バイアス実験を実施
する過程で、成膜にとって重要で、かつ新しいパラメー
タが見いだされた。結論から述べると、直流電源8から
−40Vの基板バイアスを印加することによって、ター
ゲット#1を用いた時と同じように異相の見られないa
軸配向膜がターゲット#2からも得られることがわかっ
た。この時の成膜条件は、全圧力475mTorr、A
rとO2 のガス組成比1:3、ターゲット電流及び電圧
は0.5Aと−140Vである。
【0047】得られた膜のX線回折法による配向性及び
結晶性評価の結果を図6に示す。この図6において、
(a)はターゲット#2を用い、かつ−40Vの基板バ
イアスを印加して得られるYBCO薄膜のX線回折法に
よるパターン、(b)はその膜の結晶配向パターン(2
00)のピークの関するロッキングカーブをそれぞれ示
す。図6(b)から理解されるように、膜の結晶性を反
映する結晶配向パターン(200)のピークに関するロ
ッキングカーブの半値幅は、0.058度まで回復され
た。また、表面モホロジーは、図5(b)に見られるよ
うに、パーティクルのないものに改善された。
【0048】ここで、−40Vの基板バイアスの効果を
考察し、この実施例2の論旨を明確にする。まず、カソ
ード4(ターゲット5側)及びアノード(基板6側)の
直上に形成されるイオンシースにおける電圧降下をV
t,Vs とおき、それらの差:Vd(=|Vt−Vs
|)を考える。ターゲット#1を用いるとき、アノード
は接地されているので、Vdは100Vである(Vt=
−100V、Vs=0V)。一方、ターゲット#2を用
いるとき、アノードが接地されている場合、Vdは13
0Vであるが、−40Vの基板バイアスを印加した際に
は、図3(a)からわかるように、Vdは100Vとな
る(Vt=−140V、Vs=−40V)。
【0049】プラズマ中で、唯一電圧勾配の存在するイ
オンシースでは、酸素負イオンのみならず蒸着種である
金属イオンも加速され、それらはこの過程で基板上での
マイグレーションに必要なエネルギーを得るが、このエ
ネルギーは作製しようとする薄膜の物性に対して過不足
のないものでなければならない。このことと、上述した
“Vd=100Vの場合にa軸配向膜が得られる”とい
う実験事実を合わせて考慮すると、Vd=100Vは、
該手法によって異相のない優れた結晶性をもつa軸配向
膜を得るための必要な条件であると考えられ、また、V
d=100Vは基板バイアスを導入することによってタ
ーゲット5に依存することなく達成できることがわか
る。
【0050】なお、上記実施例2ではa軸配向膜につい
て述べたが、他の配向性を持った膜、例えばc軸配向膜
などの作製を目的とする場合いにも適用できることが予
想される。また、記述したように、ターゲットによって
Vtの値が変わってくるので、膜の配向性に適切なVd
の値を得るために印加する基板バイアスは可変である必
要がある。但し、負の基板バイアスは150Vを越える
と、アルゴンの正イオンによる基板側のスパッタが顕著
になってしまい膜の劣化を招くので、0Vから150V
までとする。
【0051】また、ハイブリッドプラズマスパッタ法に
おいて、DCプラズマの特性が強調され過ぎると、高周
波プラズマの特性が利用できなくなるので、カソード4
側に印加する直流負電圧の上限は200Vとし、これに
伴い直流負電流は1A以下に制限される。
【0052】また、スパッタリング圧力は200mTo
rr以下になると、基板バイアスをもってしても酸素負
イオンの基板への到達を阻止できず膜の再スパッタを引
き起こす。また、2Torrを越えると、ターゲットか
らスパッタされる蒸着種は飛行中における熱撹乱を受け
過ぎて基板に到達できなくなる。従って、スパッタリン
グ圧力は200mTorr以上、2Torr以下とする
ことが好ましい。
【0053】さらに、成膜時に基板温度は、他の成膜手
法と同様に、YBCO結晶化の重要な成膜パラメータで
ある。基板温度が600℃以下の場合、YBCO構造は
もはや形成されず、また、900℃以上の場合、再蒸着
などのため、表面モホロジーが著しく損なわれる。従っ
て、基板温度を600℃以上900℃以下とする。
【0054】上述したように、ハイブリッドプラズマス
パッタ法では、従来の成膜パラメータの制御だけでは、
用いるターゲットからの束縛が厳しく、常時安定して要
求される配向性及び結晶性を有するYBCO薄膜を提供
することが困難であり、つまり、ハイブリッドプラズマ
スパッタ法では、ターゲットに対する膜の歩留まりが悪
いという問題点があったが、上記実施例によれば、基板
バイアスを導入し、基板及びターゲットの各々の直上に
形成されるイオンシースでの電圧降下の差であるVdと
いう新しい成膜パラメータを制御することによって、か
かる問題点を解決するものであり、今後の薄膜の超電導
特性向上の研究及びデバイスへの応用などに貢献するも
のと思われる。
【0055】
【発明の効果】この発明の請求項1に係るYBCO超電
導薄膜の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを
重畳してカソード電極に同時印加し、導電性を有するY
BCOターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホ
ルダーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に
形成される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜
条件を制御することにより、ターゲットに依存すること
なく、異相のない優れた配向性及び結晶性を持つa軸配
向膜を得ることができるという効果を奏する。
【0056】また、請求項2に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを重畳し
てカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBCO
ターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダー
に直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成さ
れる各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を
制御すると共に、上記基板ホルダーに印加する直流負電
圧を、0Vから150Vまでの範囲で制御することによ
り、基板及びターゲット直上に形成される各々のイオン
シースでの電圧降下の差で成膜する際に、ターゲットに
よってターゲット側に形成されるイオンシースにおける
電圧降下の変動に拘わらず、常に膜の配向性に適切な上
記電圧降下の差を得ることができ、ターゲットに束縛さ
れることなく常時安定した配向性及び結晶性を有するY
BCO膜を得ることができるという効果を奏する。
【0057】また、請求項3に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを重畳し
てカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBCO
ターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダー
に直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成さ
れる各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を
制御すると共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波
プラズマによって生成するカソード側のセルフバイアス
に重畳付加する直流負電圧を、0Vを越えて200V以
下の範囲で制御することにより、ハイブリットプラズマ
スパッタ法においてDCプラズマの特性が強調されるの
を制限して高周波プラズマの特性の利用を可能にし、目
的とする結晶性が得られるという効果を奏する。
【0058】また、請求項4に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを重畳し
てカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBCO
ターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダー
に直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成さ
れる各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を
制御すると共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波
プラズマによって生成するカソード側のセルフバイアス
に重畳付加する直流電流を、0mAを越えて1A以下の
範囲で制御することにより、ハイブリットプラズマスパ
ッタ法においてDCプラズマの特性が強調されるのを制
限して高周波プラズマの特性の利用を可能にし、目的と
する結晶性が得られるという効果を奏する。
【0059】また、請求項5に係るYBCO超電導薄膜
の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを重畳し
てカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBCO
ターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダー
に直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成さ
れる各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を
制御すると共に、スパッタリング圧力範囲を、200m
Torr以上、2Torr以下の範囲で成膜することに
より、酸素負イオンの基板への到達を阻止して膜の再ス
パッタを引き起こすのを抑制すると共に、ターゲットか
らスパッタされる蒸着種が飛行中に熱撹乱を受け過ぎな
いで基板に到達し易くすることができるという効果を奏
する。
【0060】さらに、請求項6に係るYBCO超電導薄
膜の製造方法によれば、高周波電圧と直流電圧とを重畳
してカソード電極に同時印加し、導電性を有するYBC
Oターゲットを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダ
ーに直流電圧を印加して基板及びターゲット直上に形成
される各々のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件
を制御すると共に、温度範囲を、600℃以上、900
℃以下の範囲で成膜することにより、YBCO構造を形
成するのに必要な基板温度を確保して、表面モホロジー
が損なわれることなく、YBCO結晶化を図ることがで
きるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するための成膜装置の一例を示
す概念図である。
【図2】この発明の実施例1を説明するもので、図1の
基板ホルダー7に+50Vの基板バイアスを印加したと
きのプラズマポテンシャルのプロファイル特性図であ
る。
【図3】この発明の実施例1を説明するもので、図1の
基板ホルダー7に負の基板バイアスを印加したときのプ
ロファイルペテンシャルのプロファイル特性図で、
(a)は−40V印加時、(b)は−80V印加時の特
性図である。
【図4】この発明の実施例2を説明するもので、ターゲ
ット#2を用いて得られるYBCO薄膜のX線回折法に
よるパターン図で、(a)はSrTiO3 基板上、
(b)はMgO基板上のパターン図である。
【図5】この発明の実施例2を説明するもので、高分解
能走査型電子顕微鏡観察から得られた表面モホロジーの
模式図で、(a)は図4(a)の膜の組織、(b)は図
6(a)の膜の組織を示す模式図である。
【図6】この発明の実施例2を説明するもので、ターゲ
ット#2を用い、かつ−40Vの基板バイアスを印加し
て得られるYBCO薄膜のX線回折法によるパターン
(同図(a))と、その膜の結晶配向パターン(20
0)のピークの関するロッキングカーブ(同図(b))
を示す特性図である。
【図7】従来例の説明に供するもので、YBaCu3x
ターゲットに高周波と同時に直流電圧を印加したときの
カソードにかけるバイアス電圧と電流の関係を示す特性
図である。
【符号の説明】
4 カソード 5 ターゲット 6 基板 8 直流電源 10 高周波電源 13 直流電源
フロントページの続き (72)発明者 吉田 幸久 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 伊藤 渉 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 森下 忠隆 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    ことを特徴とするYBCO超電導薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    と共に、上記基板ホルダーに印加する直流負電圧を、0
    Vから150Vまでの範囲で制御することを特徴とする
    YBCO超電導薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    と共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波プラズマ
    によって生成するカソード側のセルフバイアスに重畳付
    加する直流負電圧を、0Vを越えて200V以下の範囲
    で制御することを特徴とするYBCO超電導薄膜の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    と共に、上記高周波電圧の印加に基づく高周波プラズマ
    によって生成するカソード側のセルフバイアスに重畳付
    加する直流電流を、0mAを越えて1A以下の範囲で制
    御することを特徴とするYBCO超電導薄膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    と共に、スパッタリング圧力範囲を、200mTorr
    以上、2Torr以下の範囲で成膜することを特徴とす
    るYBCO超電導薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 平行平板型スパッタリング法を用いて、
    基板上にY−Ba−Cu−O系超電導薄膜を形成する方
    法において、高周波電圧と直流電圧とを重畳してカソー
    ド電極に同時印加し、導電性を有するYBCOターゲッ
    トを該カソード上に配置し、かつ基板ホルダーに直流電
    圧を印加して基板及びターゲット直上に形成される各々
    のイオンシースでの電圧降下の差で成膜条件を制御する
    と共に、温度範囲を、600℃以上、900℃以下の範
    囲で成膜することを特徴とするYBCO超電導薄膜の製
    造方法。
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