JP2698254B2 - 酸化物薄膜の成膜方法 - Google Patents

酸化物薄膜の成膜方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化物薄膜、特に酸
化物からなり超電導特性を示す薄膜と酸化物からなり絶
縁特性または半導体特性を示す薄膜との接合膜からなる
酸化物薄膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ジョセフソン素子とか超電導
回路配線とか超電導体を用いた種々のデバイスの研究お
よびその実用化が進められている。このような超電導体
を用いた、実用性のあるデバイスを作製する目的で、超
電導体と絶縁体(または半導体)とからなる接合膜を形
成する試みが続けられている。このような接合膜の形成
の従来方法として、例えば、文献I:「Jpn.J.A
ppl.Phys.29(1990),p.1668、
或いは、p.1076」に開示された技術がある。
【0003】この文献に開示されている方法は、高周波
(RF)マグネトロンスパッタ法を用いた、酸化物超電
導体薄膜および酸化物絶縁体(または酸化物半導体)薄
膜の作製方法、或いは、酸化物超電導体薄膜および酸化
物絶縁体(または酸化物半導体)薄膜の接合膜の作製方
法である。ここで、酸化物超電導体薄膜とは、酸化物薄
膜を極低温領域にまで冷却したとき、超電導特性を示す
酸化物薄膜のことを意味しており、また、酸化物絶縁体
(または酸化物半導体)薄膜とは、通常は半導体特性を
示しているが温度が非常に低いときには絶縁体として使
用出来る酸化物薄膜のことを意味している。以下の説明
の便宜のために、この超電導特性を示す酸化物薄膜を第
1酸化物薄膜と称し、また、通常は半導体特性を示して
いるが温度が非常に低いときは絶縁体として使用できる
酸化物薄膜を第2酸化物薄膜と称する。一般に、両酸化
物薄膜を作り分けて、少なくとも2層構造の接合膜であ
る酸化物薄膜を作製する方法には以下の2通りがあると
されている。
【0004】第1の方法は、構成する元素種が同一の
ターゲットを用い、かつ、このターゲットおよびターゲ
ットカソード電圧以外の他の成膜条件(例えば、スパッ
タガス種、ガス圧力、基板温度、放電周波数、入力電
力、その他)のうち、所要の成膜条件を変えて成膜する
方法である。
【0005】第2の方法は、ターゲットを構成する元
素種が異なるターゲットに変え、その他の成膜条件(例
えば、ターゲットカソード電圧、スパッタガス種、ガス
圧力、基板温度、放電周波数、入力電力、その他)を変
えずに、或いは、これらの成膜条件のうち、所要の成膜
条件を変えて成膜する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た第1の従来方法によると、高周波放電を用いたスパッ
タ法で、互いに同一の化学組成を有する第1および第2
酸化物薄膜を、同一の成膜装置を用いて、作り分ける場
合に、以下に述べるような問題が生ずる。
【0007】先ず、YBa2 Cu3X 膜(但し、Xは
零よりも大きい正の値)からなる第1酸化物薄膜とYB
2 Cu3Y 膜(但し、Yは零よりも大きい正の値)
またはこれに近い組成比を有する第2酸化物薄膜とから
なる接合膜を、上述した第1の従来方法で作製する場
合、成膜完了後に第1酸化物薄膜において超電導特性を
得るためには、通常、この接合膜を充分に酸化させてい
る。このとき、第2酸化物薄膜も酸化が進行して超電導
特性を示してしまう。このため、従来方法では、上述し
たような接合膜が未だ得られていない。
【0008】また、上述した第2の従来方法によれば、
構成する元素種が異なるターゲットを用いて第1および
第2酸化物薄膜を作り分けて接合膜を形成しているの
で、第1および第2酸化物薄膜の化学組成も同一となら
ず、異なった組成を有することとなる。従って、組成の
異なる両酸化物薄膜間で相互拡散が起こり、このため、
膜特性の劣化が生ずる。
【0009】さらに、上述した第2の従来方法によれ
ば、既に説明したように、ターゲットとターゲットカソ
ード電圧とを除いた、他の成膜条件を変更する必要があ
る場合もある。そのため、スパッタガス種、ガス圧力、
基板温度、放電周波数、入力電力等の変更を必要とする
ため、成膜処理に時間的中断が生じてしまう。そのた
め、生産効率が低下してしまう。これとは別に、通常は
成膜室内は完全真空ではなくて汚染物が浮遊したりして
いるので、1つ目の酸化物薄膜を作製した後、2つ目の
酸化物薄膜を作製開始するまでの待ち時間があると、1
つ目の膜の表面が汚染する。そのため、第1および第2
酸化物薄膜の接合膜の接合界面は良質な界面とはなら
ず、従って、両膜間の接合特性も劣化してしまう。この
接合膜は、第1および第2酸化物薄膜間の界面領域に汚
染物を含んだ接合膜或いは汚染物質によって変質した膜
領域を含んだ接合膜となっているため、酸化物薄膜を第
1および第2酸化物薄膜で構成していると称しているも
のの、この酸化物薄膜の実態は、第1および第2酸化物
薄膜の連続した接合膜が構成されているとは言えない。
【0010】また、特に、構成する元素種が同一のター
ゲットを用い、かつ、同一スパッタガスを用いて、同一
化学組成の、互いに接合した第1および2酸化物薄膜か
らなる酸化物薄膜を形成したという報告はない。
【0011】この発明の目的は、膜特性に優れた、2層
以上の層構造からなる酸化物薄膜を、時間的中断をせず
に連続的に成膜し得る酸化物薄膜の成膜方法を提供し、
結果として接合界面での界面特性の劣化が生じない2層
以上の層構造からなる酸化物薄膜を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の目的の達成を
図るため、この発明の酸化物薄膜の成膜方法によれば、
高周波放電を用いたスパッタ法により複合酸化物ターゲ
ットをスパッタリングすることにより酸化物薄膜を成膜
するに当たり、ターゲットの切り替えおよびターゲット
カソード電圧の切り替えのみによって、超電導特性を示
すYBa2 Cu3X (但し、Xは零よりも大きい正の
値)で表される第1酸化物薄膜と、第1酸化物薄膜が超
電導特性を示す温度範囲では絶縁体の特性を示すが、こ
の温度範囲外では半導体の特性を示すYBa2 Cu3
Y (但し、Yは零よりも大きい正の値であって、かつY
≠X)で表される第2酸化物薄膜とを作り分けることを
特徴とする。
【0013】この発明の実施に当たり、好ましくは、タ
ーゲットカソード電圧としてターゲットの自己バイアス
電圧を用いて第2酸化物薄膜を成膜するのが良い。
【0014】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、ターゲットカソード電圧を外部直流電圧電源を用い
て与えて第1酸化物薄膜を成膜するのが良い。
【0015】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、第1および第2酸化物薄膜を連続形成して第1およ
び第2酸化物薄膜の接合膜を形成するのが良い。
【0016】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、ターゲットおよびターゲットカソード電圧を対にし
て、少なくとも1回以上切り替えるのが良い。
【0017】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、第1および第2酸化物薄膜の成膜用ターゲットをY
(イットリウム)−Ba(バリウム)−Cu(銅)−O
(酸素)ターゲットとするのが良い。
【0018】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、第1酸化物薄膜の成膜用ターゲットをY、Baおよ
びCu間の化学組成比がY:Ba:Cu=1:3:7の
ターゲットとし、および、第2酸化物薄膜の成膜用ター
ゲットをY、BaおよびCu間の化学組成比がY:B
a:Cu=1:2:5のターゲットとするのが良い。
【0019】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、放電周波数を13.56MHz以上の工業周波数と
するのが良い。
【0020】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、スパッタ法を高周波(RF)マグネトロンスパッタ
法とするのが良い。
【0021】
【作用】上述したこの発明の酸化物薄膜の製造方法によ
れば、ターゲットの切り替えおよびターゲットカソード
電圧の切り替えのみによって、第1および第2酸化物薄
膜の作り分けを行なっている。このためには、ターゲッ
トとしては、構成する元素種が同一のターゲットを同一
成膜室内に予め具えておき、かつ、ターゲットカソード
電圧の切り替えのためのスイッチおよび所要の電源を成
膜室外に設けておけば良い。このようにすれば、一方の
酸化物薄膜の成膜終了に合わせて、ターゲットおよびタ
ーゲットカソード電圧の切り替えを行なえば、同一の成
膜室内で、先に成膜した酸化物薄膜上に、時間的に途切
れなく、従って、連続的に、次の酸化物薄膜を成膜出来
る。従って、第1および第2酸化物薄膜ともに同一或い
は実質的に同一の化学組成からなり、また、これら両酸
化物薄膜間の接合界面領域には汚染物が混入しておら
ず、しかも、汚染物によって変質した領域を含まない接
合膜を酸化物薄膜として形成することかできる。また、
ターゲットおよびターゲットカソード電圧以外の成膜条
件を変える必要がないので、一方から他方の酸化物薄膜
の成膜への切り替えを時間的な中断を生ぜずに行なえ、
このため、生産効率が従来よりも高まる。
【0022】また、上述したこの発明の酸化物薄膜の製
造方法により得られた酸化物薄膜によれば、超電導特性
を示す第1酸化物薄膜と、通常は半導体特性を示してい
るが温度が非常に低いときには絶縁体として使用出来る
第2酸化物薄膜とが連続形成された、少なくとも1つの
接合を有する構造の酸化物薄膜となっている。そして、
第1および第2酸化物薄膜の化学組成は両者ともに同一
或いは実質的に同一であり、しかも、両者の格子定数は
同一か、或いは、ほぼ同一といえる程度の値である。化
学組成が同一であることにより、第1および第2酸化物
をそれぞれ構成する元素が両膜間を拡散する恐れが無い
ので、膜特性の劣化が生ずる恐れが無い。また、化学組
成が同一であり、しかも、格子定数が実質的に同一であ
るので、膜質が優れている。さらに、第1および第2酸
化物薄膜が連続形成された状態にあり、両膜の接合の界
面領域に汚染物質が混入したり、或いは、汚染物質によ
り界面領域が変質した領域を含んでいないので、この点
からも膜特性が劣化する恐れは無い。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例に
つき説明する。
【0024】先ず、この発明の説明に先立ち、この発明
の実施に用いた装置の要部構成の概略を図1を参照して
簡単に説明する。ここでは、RFマグネトロンスパッタ
装置につき、代表して説明する。
【0025】このRFマグネトロンスパッタ装置は、従
来装置と実質的に同一の構成部分を含んだ装置である。
【0026】成膜室20は、アノード兼用の、回転およ
び固定自在のターンテーブル22と、これに対向して設
けた複数のカソード24とを具える。ターンテーブル2
2とカソード24との間の距離は調整可能となってい
る。ターンテーブル22とそれぞれのカソード24との
間にRFパワー電源26およびマッチングボックス42
の直列接続回路を接続してある。
【0027】この発明の実施例では、複合酸化物ターゲ
ットを用いて高周波マグネトロンスパッタを行って酸化
物薄膜を形成するために、放電周波数として13.56
MHzはもとより、これよりも高い周波数であって成膜
が可能な負のセルフバイアス電圧がターゲットに得られ
る周波数を用いても良い。従って、この実施例では、R
Fパワー電源26のそれぞれをマッチングボックス42
とともに、13.56MHz、40.68MHz、6
7.80MHz、94.92MHz等の周波数のいずれ
かのRFパワー電源に交換できる構成としておくのが好
ましい。
【0028】カソード24の面はターゲット搭載面とな
っており、交換可能な状態でターゲット(28a,28
b:代表して28で表す場合がある。)を載置する。こ
のターゲット28のスパッタを制御する回動自在のシャ
ッタ30を設けてある。そして、ターンテーブル22
に、成膜面がカソード24と対向するようにして成膜用
の下地として機能する例えば基板32を搭載する。34
はカソード毎のスパッタリングを隔離するための隔壁で
ある。そして、RFマグネトロンスパッタを行わせるた
めに必要な磁界を発生させるためのマグネット36をカ
ソード24の、ターゲット搭載面の下側に設けてある。
また、スパッタガスをガス導入系38から導入する。こ
の成膜室20は、真空排気系によって真空排気出来る構
成となっている。また、ターンテーブル22の上方に
は、基板32を加熱するための加熱ヒータ40を設けて
ある。
【0029】さらに、この成膜装置には、カソード24
およびマッチングボックス42間の接続点と接地(アー
ス)点との間に切り替えスイッチ44a,44b,44
c、ローパスフィルタ46a,46b,46c、および
直流電圧電源48a,48b,48cの組み合わせから
なる直列回路を接続する。この直流電圧電源48a,4
8b,48cの電圧値を可変可能とするのが好ましい。
図示の実施例では、各カソード24に対して個別にこの
直列回路を設けてあるが、設計に応じて、所要のカソー
ドに対してのみこの直列回路を設けるように構成しても
よい。
【0030】次に、先ず、この発明の酸化物薄膜の成膜
方法の好適実施例につき説明する。この実施例では、酸
化物薄膜として、互いに化学組成が同一の第1および第
2酸化物薄膜の、2層構造の接合膜を成膜するとする。
この場合の組成をY(イットリウム)−Ba(バリウ
ム)−Cu(銅)−O(酸素)とする。この第1および
第2酸化物薄膜の成膜に共通する成膜条件は、接合が1
つの接合膜を成膜する間はもとより、接合個数が2個以
上の個数であっても、各接合の両側の第1および第2酸
化物薄膜の連続成膜中は、固定させて変更しない。この
成膜条件を好適例として以下の通りに設定する。
【0031】 共通成膜条件 放電周波数(RF):94.92MHz RFパワー :60ワット(W) 基板 :SrTiO3 (100)基板 基板温度 :700℃−780℃の範囲内の任意の温度 スパッタガス :ArおよびO2 (混合ガス) スパッタガス圧力 :200mTorr (内訳は、Ar:100mTorrおよび O2 :100mtorr) このような共通の成膜条件を用い、かつ、第1および第
2酸化物薄膜を作り分けて成膜するための、それぞれの
個別成膜条件を設定して1つの接合構造の酸化物薄膜を
形成した。
【0032】以下、第1酸化物薄膜および第2酸化物薄
膜のそれぞれの成膜と、成膜された膜の特性につきそれ
ぞれ説明し、次に、第1および第2酸化物薄膜の接合膜
としての酸化物薄膜の成膜およびその特性につき説明す
る。成膜された各膜の特性のうち、化学組成は誘導結合
プラズマ(ICP)発光分析法で、酸化物薄膜の結晶配
向性や格子定数についてはX線回折法で、また、電気的
特性は直流四端子法或いは直流三端子法で調べた。
【0033】第1酸化物薄膜(酸化物超電導薄膜) ターゲットとして複合酸化物ターゲットを用いる。周知
の通り、複合とはカチオン種が複数個あるという意味で
ある。この実施例では、複合酸化物ターゲットとして、
好ましくは、Y(イットリウム)−Ba(バリウム)−
Cu(銅)−O(酸素)の、従って、Y,BaおよびC
uの3種のカチオン種を含む第1ターゲットを用いる。
この第1ターゲットを、好ましくは、YBa3 Cu7
U (但し、組成比Uは0<Uを満たす値で、上限値は定
かでは無い。)とする。また、この第1のターゲット2
8aを焼結体とする。なお、ここで、ターゲットをYB
3 Cu7U と表したが、ターゲットの場合には、こ
の表示は、周知の通り、Y:Ba:Cu=1:3:7の
結晶構造を持っているのではなく、単に、構成する元素
種の化学的組成比がY:Ba:Cu=1:3:7である
ことを意味している。
【0034】まず、SrTiO3 基板32をターンテー
ブル22の所定位置へ設置するとともに、第1ターゲッ
ト28aを1つのカソード24に搭載する。このとき、
この基板の(100)面を成膜面とする。ターンテーブ
ル22を回転させて位置調整を行い、基板32と第1タ
ーゲット28aとを対向させる。
【0035】基板温度およびガス圧力を設定してから、
スイッチ44aを閉じ、他のスイッチ44bおよび44
cを開いた状態とする。これにより、第1ターゲット2
8aが搭載されているカソード24に、RFパワー電源
26がマッチングボックス42を介して接続されると共
に、直流電圧電源48aがローパスフィルタ46aを介
して接続される。なお、この実施例では、この直流電圧
電源48aの電圧を、ターゲットカソード電圧が−10
0ボルト(マイナスの100V)となるように、設定す
るとする。従って、このカソード24には、外部の直流
電圧電源48aから、−100Vの電圧がターゲットカ
ソード電圧として印加される。そして、関連するRFパ
ワー電源26を作動させて放電を開始させる。基板32
と対向する、第1ターゲット28aが搭載されたカソー
ド24に関連するシャッタ30を開け、第1ターゲット
28aをスパッタして成膜を開始する。
【0036】RFパワー電源26から供給されるエネル
ギーでスパッタガスが電離してスパッタガスイオンとな
り、このスパッタガスイオンによって第1ターゲット2
8aがスパッタされる。第1ターゲット28aからスパ
ッタされて飛散する粒子はターンテーブル22上に置か
れた基板32に到達し、これら粒子が加熱ヒータ40か
らの加熱で結晶化して、基板32上に酸化物薄膜を形成
する。このときの膜厚を一例として1000オングスト
ローム(A°:オングストロームを表す。)とした。ま
た、成膜速度は、毎秒0.12A°であった。
【0037】成膜終了後、酸化物薄膜を1気圧の酸素中
で室温まで冷却させた後、この酸化物薄膜が被着してい
る基板32を取り出す。
【0038】得られた酸化物薄膜の評価を行なうため、
既に説明した手法を用いて、化学組成、結晶配向性、格
子定数、電気的特性を調べた。
【0039】その結果、第1ターゲット28aとしてY
Ba3 Cu7U ターゲットを用い、および、ターゲッ
トカソード電圧を、RFパワー電源26およびマッチン
グボックス42にローパスフィルタ46aを通じて接続
された直流電圧電源48aで、−100Vにして得られ
た第1酸化物薄膜の化学組成分析から、化学組成は、ほ
ぼY:Ba:Cu=1:2:3であることが判明した。
従って、この第1酸化物薄膜は、YBa2 Cu3X
(但し、Xは組成比を表しており、その値は0<Xを満
たす値である。)である。Y、BaおよびCuの組成比
がほぼ1:2:3の関係にある酸化物は超電導特性を示
すことが既に知られているので、この第1酸化物薄膜も
超電導特性を示すと考えられる。そこで、確認のため、
超電導特性を示す温度領域で、この第1酸化物薄膜の抵
抗率−温度特性を調べた。その結果を図2に示す。
【0040】図2は、横軸に温度(単位はK)を採り、
縦軸に抵抗率(単位はmΩcm)を採って示してある。
測定された特性曲線からも理解出来るように、この第1
酸化物薄膜は、60Kで超電導転移のオンセットを示
し、また、33Kで抵抗率は零を示していることが判
る。
【0041】また、この第1酸化物薄膜に対するX線回
折パターンを図3に示す。図3の横軸は、X線の入射角
θの2倍の角度(2θ:単位は角度(deg.)とす
る。)を採り、縦軸にX線回折の強度(単位を任意とす
る。)とって示してある。但し、この測定は、2θが1
0°から75°の範囲内の値でおこなった。図3中、ピ
ーク値P1、P2およびP3はそれぞれSrTiO3
板32に対応する回折ピークを示している。図中、それ
ぞれのピークP1、P2およびP3の右側に別のピーク
p1、p2およびp3が出現しており、ピークp1(2
3.14°)は、YBa2 Cu3X の(100)面、
p2(47.21°)は(200)面およびp3(7
3.79°)は(300)面からの回折ピークをそれぞ
れ示している。この実験結果から、この第1酸化物薄膜
の結晶は、a軸配向していることが判る。また、この図
3より、格子定数aが3.85A°であることが判る。
従って、この第1酸化物薄膜は、超電導特性を有してお
り、従って、この薄膜は、周知の通り、YBa2 Cu3
X からなる結晶構造を持っている。
【0042】第2酸化物薄膜(酸化物絶縁体(または
半導体)薄膜) 上述した第1酸化物薄膜の場合とは異なり、複合ターゲ
ットとして第1ターゲットとは構成する元素種が同一で
あるが、その組成比が異なる第2ターゲットを用いて、
酸化物薄膜の単独の成膜を行なった。この第2ターゲッ
トを、YBa2Cu5V (但し、組成比Vは0<Vを
満たす値で、上限値は定かでは無い。)とする。この第
2ターゲットの場合にも、YBa2 Cu5V と表して
いるが、この表示は、Y:Ba:Cu=1:2:5から
なる結晶構造を持っているのでは無く、単に、第2ター
ゲットを構成する元素種の化学組成比がY:Ba:Cu
=1:2:5であることを意味している。
【0043】また、このターゲットを焼結体とする。こ
の成膜に際し、この第2ターゲットを第1ターゲットの
代わりに用いて、これを、第1酸化物薄膜の成膜時と同
様に、カソード24に搭載し、これを28bで示す。こ
の時の成膜条件および成膜のための装置の動作上のプロ
セスは、ターゲットカソード電圧を変更する以外は、第
1酸化物薄膜の成膜条件およびプロセスと同一とした。
従って、この場合には、スイッチ44a,44bおよび
44cを開いた状態(非接続状態)にして、外部の直流
電圧電源48a,48bおよび48cと各カソードとが
切り離されるようにした。
【0044】この場合、ターゲットカソード電圧は、ス
パッタ条件(例えば、スパッタリングガス種、スパッタ
リングガス圧力、放電周波数、入力電力等)や装置形状
(例えば、電極間の面積比)で定まる自己バイアス電圧
とし、この実施例では、この電圧を、−50ボルト(マ
イナス50V)とした。上述したSrTiO3 基板の
(100)面上への第2酸化物薄膜の成膜速度は、0.
02A°(第1酸化物薄膜の成膜速度の6分の1の速
度)であった。また、膜厚を400A°とした。このよ
うに、第2酸化物薄膜の成膜を、数百mTorrの高圧
力雰囲気で、かつ、マイナスの約数十ボルトという低い
自己バイアス電圧で、上述したような低成長速度で成膜
出来るので、従来よりも膜厚制御が容易となる。従っ
て、この第2酸化物薄膜の膜厚も、数十A°以下の値で
制御可能となる。
【0045】成膜終了後、酸化物薄膜を1気圧の酸素中
で室温まで冷却させた後、この第2酸化物薄膜が被着し
ている基板32を取り出す。
【0046】得られた酸化物薄膜の評価を行なうため、
既に説明した手法を用いて、化学組成、結晶配向性、格
子定数、電気的特性を調べた。
【0047】その結果、第2ターゲット28bとしてY
Ba2 Cu5V ターゲットを用い、および、ターゲッ
トカソード電圧を、セルフバイアス電圧による−50V
にして得られた第2酸化物薄膜の化学組成分析から、化
学組成は、ほぼY:Ba:Cu=1:2:3であって、
上述した第1酸化物薄膜と化学組成が同一であることが
判明した。そして、この第2酸化物薄膜は、その組成比
がY:Ba:Cu=1:2:3であるか、これに近い組
成比を有している。そこで、ここでは、この第2酸化物
薄膜を、便宜的に、YBa2 Cu3Y (但し、Yは組
成比を表しており、その値は0<Yを満たす値であり、
Y≠Xである。)と表す。なお、この第2酸化物薄膜
は、Y:Ba:Cuのうちのいづれか1つの元素を基準
とした場合、他の2つの元素の含有量は、上述の組成比
から10%程度の誤差範囲内にある。この酸化物は、
Y、BaおよびCuの組成比がほぼ1:2:3の関係に
ある酸化物は超電導特性を示すことが既に知られている
ので、この第2酸化物薄膜も超電導特性を示すと考えら
れる。そこで、確認のため、超電導特性を示す温度領域
で、この第2酸化物薄膜の抵抗率−温度特性を調べた。
その結果を図4に示す。
【0048】図4は、横軸に温度(単位はK)を採り、
縦軸に抵抗率(単位はmΩcm)を採って示してある。
測定された特性曲線からも理解出来るように、この第2
酸化物薄膜は、温度が比較的高い領域であると半導体特
性を示し、さらに温度が非常に低くなると絶縁特性を示
すことが判る。このように、この第2特性は、温度領域
によって、半導体特性と絶縁特性とを示す物質であり、
超電導特性を示さないことが判った。
【0049】図5は、図3と同様な、第2酸化物薄膜に
対するX線回折パターンを示す図である。図5の横軸
は、X線の入射角θの2倍の角度(2θ:単位は角度
(deg.)とする。)を採り、縦軸にX線回折の強度
(単位を任意とする。)とって示してある。但し、この
測定は、2θが10°から75°の範囲内の値でおこな
った。図5中、ピークP4、P5およびP6はそれぞれ
SrTiO3 基板32に対応する回折ピークを示してい
る。図中、それぞれのピークP4、P5およびP6の右
側に別のピークp4、p5およびp6が出現しており、
ピークp4(23.17°)は、YBa2 Cu3X
(100)面、p5(47.34°)は(200)面お
よびp6(73.98°)は(300)面からの回折パ
ターンをそれぞれ示している。
【0050】この図5の結果からも理解出来るように、
この第2酸化物薄膜結晶はa軸配向していて、その格子
定数aは3.84A°であって、第1酸化物薄膜の格子
定数3.85A°と著しく接近していることが判る。こ
の事実から、同一成膜室を用いて、第1および第2酸化
物薄膜を連続形成して、両膜の接合膜からなる酸化物薄
膜の成膜が期待出来る。
【0051】接合膜としての酸化物薄膜の形成 第1および第2酸化物薄膜を、同一成膜室内で、時間的
中断を生ぜずに、連続して行なって、基板上に第1酸化
物薄膜、第2酸化物薄膜の順に成膜して、1つの接合か
らなる酸化物薄膜を成膜した。この酸化物薄膜50を、
図6に断面で、概略的に示す。このときの第1および第
2酸化物薄膜のそれぞれの成膜条件は、既に説明した通
りの条件でそれぞれ行なった。そして、第1酸化物膜5
2の成膜の際には、切り替えスイッチ44aを閉じて
(接続状態にする)おいて、他の切り替えスイッチ44
bおよび44cは非接続状態とし、また、第1ターゲッ
ト28aに対向するシャッタは開き、他のシャッタは全
て閉じた状態とした。第1酸化物薄膜52の成膜完了
後、スイッチ44aを非接続状態とし、これと同時に、
ターンテーブルを回転させて基板32を第2ターゲット
と対向する位置に設定した。そして、これと同時に、第
1ターゲット28aに対向するシャッタを閉じると共に
第2ターゲット28bに対向するシャッタを開いて、成
膜された第1酸化物薄膜52の上に第2酸化物薄膜54
を成膜した。この実施例では、成膜条件のうち、第1酸
化物薄膜52の膜厚を1000A°とした点は先に説明
した条件と同じであるが、第2酸化物薄膜54の膜厚を
約100A°とした。図6において、接合を56で示
す。
【0052】このようにして成膜された酸化物薄膜50
を構成する第2酸化物薄膜54の抵抗率−温度特性を直
流三端子法で測定したところ、その振舞は、単一膜であ
る場合の図4で示した特性と同様な振舞を示し、この第
2酸化物薄膜54自体が温度に応じて半導体特性および
絶縁特性の両特性を示すことが判った。また、この第2
酸化物薄膜54に対してAr(アルゴン)イオンでその
露出表面から下側の第1酸化物薄膜52の方向に約50
0A°の深さだけエッチングして、第1酸化物薄膜52
を全面的に露出させて、直流四端子法で抵抗率−温度特
性を測定した。その結果、この第1酸化物薄膜52の抵
抗率−温度特性は、単一膜である場合の図2に示した特
性と同様な振舞いを示し、これが超電導特性を示すこと
が判った。
【0053】また、第1および第2酸化物薄膜52およ
び54からなる接合56を含む薄膜のICP分析では、
化学組成比は、ほぼY:Ba:Cu=1:2:3である
ことが判明した。この化学組成比を持つことおよび上述
した抵抗率−温度特性とによって、第1酸化物薄膜52
は、超電導特性を示す膜となっていること、および、第
2酸化物薄膜54は、絶縁特性または半導体特性を示す
膜となっていることが判った。
【0054】この発明は、上述した実施例にのみ限定さ
れるものでは無く、多くの変形または変更をなし得るこ
と明らかである。例えば、上述した実施例では、第1お
よび第2ターゲットの化学組成をY−Ba−Cu−Oと
したが、これに何ら限定されるものでは無く、最終的に
連続成膜される第1酸化物薄膜は、その化学組成がYB
2 Cu3Z1(但し、組成比z1は、0<z1を満足
する値である。)となり、また、第2酸化物薄膜は、そ
の化学組成がYBa2 Cu3Z2(但し、組成比z2
は、0<z2を満足する値である。)またはこれに近い
組成比となるような元素種および化学組成を有するター
ゲットであればどのようなターゲットでも良い。
【0055】また、下地として、SrTiO3 基板の例
を挙げて説明したが、これに限定されるものでは無く、
下地と成膜された膜との間で、これら下地および膜を構
成する元素が大きな相互拡散を引き起こさない、例え
ば、MgO、NdGaO3 或いはその他の成膜に好適な
材料からなる下地であれば良い。
【0056】また、上述した実施例では、RFマグネト
ロンスパッタ法で成膜する例を説明したが、RFスパッ
タ法であってもよい。
【0057】また、上述した実施例では、第1および第
2酸化物薄膜の接合を1つとしたが、第1および第2酸
化物薄膜の成膜を、連続して、順次に、繰り返して行な
って2以上の接合を有する酸化物薄膜を成膜してもよ
い。
【0058】また、上述した成膜条件のうち、特に言及
しなかった諸条件についても、設計に応じて、任意適当
に変更してもよい。
【0059】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の発明によれば、構成する元素種が同一のターゲットを
用い、ターゲットカソード電圧だけを変更して、超電導
特性を示す第1酸化物薄膜と、通常は半導体特性を示し
ているが、温度が非常に低いときには絶縁体として使用
出来る第2酸化物薄膜とをつくり分けるので、これら第
1および第2酸化物薄膜を同一成膜室内で、時間的中断
を生じさせないで、連続的に成膜することが出来る。従
って、成膜された、少なくとも1つの接合を有する酸化
物薄膜は、接合界面領域に汚染物が混入しておらず、ま
た、汚染物に基づく変質した領域が形成されない。従っ
て、この発明により成膜されたれ酸化物薄膜は、従来の
酸化物薄膜よりも膜質が良く、しかも、膜特性が優れ、
これらの特性が劣化する恐れが従来よりも解消される。
【0060】また、この発明によれば、成膜後に、第1
酸化物薄膜に超電導特性を与えるための酸化を行っても
第2酸化物薄膜は超電導特性を示すことが無い。
【0061】また、同一成膜室内で2つの酸化物薄膜を
連続成膜でき、しかも、膜質も良く、接合特性も良いの
で、この発明による酸化物薄膜の生産効率は従来方法に
おける場合の生産効率よりも著しく向上する。
【0062】また、この発明により成膜された酸化物薄
膜は、接合の両側の膜の格子定数が実質的に同等である
と見做せる程度の値を有しているので、格子不整合が小
さく、従って、この酸化物薄膜上に半導体構成材料をエ
ピタキシャル成長させることが可能となる。
【0063】以上の利点を有するので、成膜された酸化
物薄膜は、ジョセフソン素子とか、超電導回路配線とか
の超電導特性を用いたデバイスの形成に使用して好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の説明に供する、RFマグネ
トロンスパッタ装置の要部の構成を概略的に示す図であ
る。
【図2】この発明の成膜方法により成膜された、超電導
特性を示す酸化物薄膜の抵抗率−温度特性の測定結果を
示す図である。
【図3】この発明の成膜方法により成膜された、超電導
特性を示す第1酸化物薄膜のX線回折パターンの測定結
果を示す図である。
【図4】この発明の成膜方法により成膜された、絶縁特
性または場合によっては半導体特性を示す酸化物薄膜の
抵抗率−温度特性の測定結果を示す図である。
【図5】この発明の成膜方法により成膜された、通常は
半導体特性を示しているが、温度が非常に低いときには
絶縁体として使用出来る第2酸化物薄膜のX線回折パタ
ーンの測定結果を示す図である。
【図6】この発明の酸化物薄膜の成膜方法によって得ら
れた、1つの接合を有する酸化物薄膜の例を示す概略的
断面図である。
【符号の説明】
20:成膜室 22:ターンテーブル 24:カソード 26:RFパワー電源 28a,28b:ターゲット 30:シャッタ 32:基板 34:隔壁 36:マグネット 38:ガス導入系 40:加熱ヒータ 42:マッチングボックス 44a,44b,44c:(切り替え)スイッチ 46a,46b,46c:ローパスフィルタ 48a,48b,48c:直流電圧電源 50:酸化物薄膜 52:第1酸化物薄膜 54:第2酸化物薄膜 56:接合
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森下 忠隆 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所内 (56)参考文献 特開 平2−311398(JP,A) 特開 昭64−20639(JP,A) 特開 平1−106479(JP,A) 特開 平1−140622(JP,A) 特開 昭64−51680(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波放電を用いたスパッタ法により複
    合酸化物ターゲットをスパッタリングすることにより酸
    化物薄膜を成膜するに当たり、 複合酸化物ターゲットの切り替えと、ターゲットカソー
    ド電圧の切り替えとによって、 超電導特性を示すYBa2 Cu3X (但し、Xは零よ
    りも大きい正の値)で表される第1酸化物薄膜と、 該第1酸化物薄膜が超電導特性を示す温度範囲では絶縁
    体の特性を示すが、該温度範囲外では半導体の特性を示
    すYBa2 Cu3Y (但し、Yは零よりも大きい正の
    値であって、かつY≠X)で表される第2酸化物薄膜と
    を作り分けることを特徴とする酸化物薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の酸化物薄膜の成膜方法
    において、前記ターゲットカソード電圧として、前記複
    合酸化物ターゲットの自己バイアス電圧を用いて、前記
    第2酸化物薄膜を成膜することを特徴とする酸化物薄膜
    の成膜方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の酸化物薄膜の
    成膜方法において、前記ターゲットカソード電圧を外部
    直流電圧電源を用いて与えることにより、前記第1酸化
    物薄膜を成膜することを特徴とする酸化物薄膜の成膜方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸
    化物薄膜の成膜方法において、前記第1酸化物薄膜と、
    前記第2酸化物薄膜とを連続形成して、該第1酸化物薄
    膜と該第2酸化物薄膜との接合膜を形成することを特徴
    とする酸化物薄膜の成膜方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸
    化物薄膜の成膜方法において、前記複合酸化物ターゲッ
    トおよび前記ターゲットカソード電圧を、少なくとも1
    回以上切り替えることを特徴とする酸化物薄膜の成膜方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸
    化物薄膜の成膜方法において、前記第1酸化物薄膜およ
    び前記第2酸化物薄膜の複合酸化物ターゲットを、それ
    ぞれY(イットリウム)−Ba(バリウム)−Cu
    (銅)−O(酸素)ターゲットとすることを特徴とする
    酸化物薄膜の成膜方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項に記載の酸化
    物薄膜の成膜方法において、前記第1酸化物薄膜の複合
    酸化物ターゲットをY、BaおよびCu間の化学組成比
    がY:Ba:Cu=1:3:7の複合酸化物ターゲット
    とし、および、前記第2酸化物薄膜の複合酸化物ターゲ
    ットをY、BaおよびCu間の化学組成比がY:Ba:
    Cu=1:2:5の複合酸化物ターゲットとすることを
    特徴とする酸化物薄膜の成膜方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸
    化物薄膜の成膜方法において、放電周波数を13.56
    MHz以上の工業周波数とすることを特徴とする酸化物
    薄膜の成膜方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸
    化物薄膜の成膜方法において、前記スパッタ法を高周波
    (RF)マグネトロンスパッタ法とすることを特徴とす
    る酸化物薄膜の成膜方法。
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