JPH04323367A - 酸化物超電導薄膜のスパッタリング方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜のスパッタリング方法

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JPH04323367A
JPH04323367A JP3116690A JP11669091A JPH04323367A JP H04323367 A JPH04323367 A JP H04323367A JP 3116690 A JP3116690 A JP 3116690A JP 11669091 A JP11669091 A JP 11669091A JP H04323367 A JPH04323367 A JP H04323367A
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unstable
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film
oxygen
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JP3116690A
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Kazuo Hirata
和男 平田
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Original Assignee
Anelva Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種類の異なる複数のタ
−ゲットを用いて酸化物超電導薄膜を作製するマルチタ
−ゲット方式のスパッタリング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スパッタリング現象を利用して薄
膜を作製し、その薄膜の基礎物性を測定したり、薄膜を
加工してデバイスに応用したりする基礎研究や実用化技
術の開発が活発に行われている。
【0003】スパッタリング法を、使用するタ−ゲット
の個数の観点から分類すると、シングルタ−ゲットスパ
ッタリング法と、マルチタ−ゲットスパッタリング法に
分けることができる。前者は、一つのタ−ゲットで膜を
作製する方法であり、通常は作製しようとする膜と同じ
組成のタ−ゲットを利用する。後者は、複数のタ−ゲッ
トを用いて膜を作製する方法であり、作製しようとする
膜が複数の元素から構成されている場合に、これらの元
素の単体または組み合わせからなる組成のタ−ゲットを
複数種類用いる。したがって、シングルタ−ゲットスパ
ッタリング法は簡易的であり、マルチタ−ゲットスパッ
タリング法は複雑な装置構成になる。
【0004】最近、薄膜作製技術の進歩と共に高機能デ
バイスへの要望が高まり、高品位な多層膜、多元素膜が
要求されている。これらの要求を実現するためには薄膜
を原子層レベルでいかに再現性良く制御できるかがポイ
ントとなる。この薄膜の精密組成制御合成の観点からシ
ングルタ−ゲットスパッタリング法では限界があり、マ
ルチタ−ゲットスパッタリング法が要望されている。
【0005】多元素薄膜の一例として酸化物薄膜がある
。現在脚光を浴びている酸化物薄膜としては、酸化物超
電導薄膜やITO薄膜(透明導電膜)、SrTiO3薄
膜(高誘電率膜)などが挙げられる。特に、酸化物超電
導薄膜は酸素を含む3種類以上の元素で構成されており
、膜組成によりその膜の特性が変化する。したがって、
膜組成を精密に制御する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】実用化されている従来
のマルチタ−ゲットスパッタリング法では、その膜を構
成する元素からなる複数のタ−ゲットを使用することに
よって精密組成制御が可能であり、かつデポジションレ
−トも向上すると考えられていた。しかし、構成する元
素によっては、次のような問題点がある。 (1)タ−ゲットの形状に加工できない。 (2)タ−ゲットの裏板にボンディングできない。 (3)タ−ゲットが大気に触れると不安定になり、表面
の膜質が変化して再現性がない。 (4)タ−ゲットに大電力を印加すると異常放電が発生
し、タ−ゲトの表面形状が変化したり、タ−ゲットが割
れたりする。 (5)タ−ゲットから発生する酸素負イオンや2次電子
によって基板上の膜が再スパッタリングされて、膜組成
が変動する。
【0007】これらの問題点は、前述した膜の精密組成
制御やデポジションレ−トやスル−プット(生産性)に
大きく影響を及ぼし、実際に膜を作製したりデバイスを
作製したりする場合に大きな問題となる。このことが解
決されないとその膜が実用化されないこともある。具体
例を挙げれば、このような薄膜として酸化物超電導薄膜
がある。Y1Ba2Cu3O7を例にして説明すると、
直径4インチのタ−ゲットに300W以上の電力を長時
間印加すると、異常放電を起こす。さらに、基板加熱の
状態では200W以上で異常放電を起こし、タ−ゲット
の表面形状が変化して使用できなくなる。この原因は、
この物質の構成元素であるBaが、単体でも非常に不安
定であって、前記の問題点(1)〜(5)のすべてを含
むからである。特に、(5)の再スパッタリング現象の
影響は大きい。この再スパッタリング現象とは、タ−ゲ
ットから放出された酸素負イオンがタ−ゲット近傍のシ
−ス電界によって基板方向に加速され、基板表面に付着
している膜(スパッタリングされた粒子)に衝突して、
これらの粒子を膜からはじき飛ばす現象を指す。酸化物
超電導薄膜においては、この再スパッタリング現象によ
り膜組成がタ−ゲット組成と一致しなくなり、膜の超電
導特性が著しく劣化する。この再スパッタリング現象は
、他の酸化物にも多くみられ、多元素系酸化物に多く見
られる特徴がある。
【0008】本発明の目的は、マルチタ−ゲットスパッ
タリング法によって酸化物超電導薄膜を作製する方法に
おいて、膜作製の再現性や制御性およびデポジションレ
−トを改善することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明のスパッタリ
ング方法は、複数のタ−ゲットをスパッタリングするこ
とによって基板上に酸化物超電導薄膜を堆積させるスパ
ッタリング方法において、前記酸化物超電導薄膜が、銅
と酸素とその他の少なくとも一つの元素(以下、その他
元素という。)とからなり、かつ、その他元素の少なく
とも一つは、単体の状態および酸素との化合物の状態で
はスパッタリングのタ−ゲットとして不安定な性質を有
する元素(以下、不安定元素という。)であり、前記複
数のタ−ゲットの組成は、銅と酸素とその他元素との任
意の組み合わせからなる群から選ばれ、かつ、不安定元
素を含むタ−ゲットは必ず銅と酸素を含むようにするこ
とを特徴としている。
【0010】ここで、その他元素は1種類に限らず、2
種類以上の元素となることも多い。たとえば、Y−Ba
−Cu−O系の酸化物超電導薄膜では、YとBaが本発
明におけるその他元素となる。使用する複数のタ−ゲッ
トの組成としては、銅と酸素とその他元素との任意の組
み合わせからなる群から選ばれることになるが、この組
み合わせには、銅の単体からなるタ−ゲット、その他元
素の単体からなるタ−ゲット、銅と酸素とからなるタ−
ゲット、銅とその他元素とからなるタ−ゲット、その他
元素と酸素とからなるタ−ゲット、銅と酸素とその他元
素とからなるタ−ゲット、など各種の組み合わせが考え
られ、その中からその超電導薄膜を作製するに最も適し
たものをいくつか選ぶことになる。その際に、不安定元
素を含むタ−ゲットは、必ず、銅と酸素と不安定元素と
からなるタ−ゲットの状態で使用することにしている。
【0011】第2の発明は、第1の発明の特徴に加えて
、不安定元素と銅と酸素とからなるタ−ゲットは、不安
定元素に対する銅の組成比が1より小さいことを特徴と
している。
【0012】第3の発明は、第2の発明の特徴に加えて
、不安定元素に対する銅の組成比が0.1〜0.2であ
ることを特徴としている。
【0013】第4の発明は、上述のいずれかの発明にお
いて、融点が1000℃以下の条件および第1イオン化
エネルギ−が7.5eV以下の条件の少なくとも一つを
満たした元素を不安定元素として取り扱うことを特徴と
している。
【0014】
【作用】マルチタ−ゲットスパッタリング法によって精
密な膜組成制御をし、かつデポジションレ−トを高める
には、作製すべき膜を構成する元素を含む複数のタ−ゲ
ットをどのように選択するかが重要となる。本発明者は
、実験事実から次のことを見いだした。酸化物超電導薄
膜を構成する元素の中に、融点が1000℃以下もしく
は第1イオン化エネルギ−が7.5eV以下の元素が含
まれている場合には、スパッタリングにおいて以下に示
す特徴がある。 (1)作製しようとする薄膜と同一組成のタ−ゲットを
使用する場合、このタ−ゲットに印加する電力には限界
がある。この限界値を越えると異常放電が起こる。この
異常放電により、タ−ゲットの表面に割れが生じやすい
。 (2)融点または第1イオン化エネルギ−が上記の条件
を満たす元素は、単体の状態および酸化物の状態でタ−
ゲットとして不安定である(以下、このようなタ−ゲッ
トとして不安定な元素を不安定元素と呼ぶことにする。 )。ただし、この不安定元素に酸素と少量の銅を加える
ことにより安定化する。 (3)タ−ゲットにおいて不安定元素が酸素と結合した
場合、スパッタリングにおいてタ−ゲットから酸素負イ
オンや2次電子を発生しやすい。これにより、膜の再ス
パッタリング現象が生じる。そして、タ−ゲットのエロ
−ジョン領域に対向する基板表面において、この再スパ
ッタリング現象が強く起こる。スパッタリング中に基板
を移動させると、基板移動方向に沿った膜組成の変動は
小さくなる。しかし、基板移動方向に垂直な方向に沿っ
た膜組成の変動は、エロ−ジョン領域の形状に依存し、
基板移動による膜組成の均一化の効果は小さい。
【0015】図1は、酸化物超電導薄膜を構成する元素
について横軸に第1イオン化エネルギ−を、縦軸に融点
をとったグラフである。実験の結果、Ta、Nb、Si
、Cuについては単体または酸化物の状態でタ−ゲット
として安定して使用できるがその他の元素では単体およ
び酸化物の状態でタ−ゲットとしてはあまり安定でない
ことが分かった。すなわち、一点鎖線10よりも右上の
領域に含まれる元素はタ−ゲットとして安定であり、左
下の領域に含まれる元素は不安定であると判定すること
ができる。一点鎖線10より左側の領域というのは、融
点が約1000℃以下の条件および第1イオン化エネル
ギ−が約7.5eVの条件の少なくとも一つを満足する
ものである。したがって、融点とイオン化エネルギ−の
数値が不安定元素を判定する条件となりうる。この判定
数値は、図1のグラフをもとにして得られたものである
から、数値そのものに臨界的意義があるのではなくて、
図1のグラフ上で安定元素と不安定元素とを区別するこ
とができる限りにおいて多少の幅があるものである。
【0016】ところで、タ−ゲットとしての安定性を判
断する上で、元素の融点と第1イオン化エネルギ−に着
目したのは次のような理由による。元素の第1イオン化
エネルギ−とは、その元素から電子1個を取り除くのに
必要なエネルギ−である。第1イオン化エネルギ−が小
さい元素では、電子が放出されやすいので、この元素と
酸素とが含まれているタ−ゲットでは、この元素から放
出された電子が酸素と結び付いて酸素の負イオンを放出
しやすくなると推定される。これにより、タ−ゲットの
エロ−ジョン領域の酸素が欠乏し、タ−ゲット組成が部
分的に変化して、タ−ゲットの割れなどを引き起こし、
タ−ゲットが不安定になりやすい。また、融点が低い元
素は、蒸気圧が比較的高く、スパッタリング中にタ−ゲ
ットが高温になった部分ではこの元素が蒸発しやすい。 これにより、タ−ゲットのエロ−ジョン領域の組成が変
化して、同様にタ−ゲットが不安定になりやすい。
【0017】本発明では、不安定元素をタ−ゲットとし
て利用する場合に、必ず銅と酸素とを含むようにしてタ
−ゲットとしての安定化を図っている。この場合に、不
安定元素の膜中での組成を精密に制御するという観点か
らは、不安定元素を含むタ−ゲットにおいて、不安定元
素に対する銅の組成比を1以下に、できれば0.1〜0
.2程度にするのが好ましい。これは次のような理由に
よる。複数のタ−ゲットを利用して酸化物超電導薄膜を
作製する場合に、膜の組成比を所望の値にするには各タ
−ゲットに印加する電力を最適値に制御する必要がある
。この最適値は、あらかじめ実験によって求めておくこ
とになる。常に、この求めた電力値でスパッタリングす
る限りにおいては、不安定元素と銅の組成比はどのよう
な値であっても組成制御の観点からは特に大きな問題は
ない。しかし、デポジションレ−トを変更する場合には
問題が生じる。デポジションレ−トを変更するには、各
タ−ゲットに印加する電力を同じ割合で増減すればよい
と考えられるが、同一タ−ゲットに含まれる不安定元素
と銅のそれぞれのスパッタ率の電力依存性が異なるので
、電力値を変更すると、膜組成が理想値からずれる恐れ
がある。したがって、膜中の不安定元素の組成制御の観
点からは、不安定元素に対する銅の組成比はできるだけ
小さいほうがよい。発明者が実験した限りでは、不安定
元素に対する銅の組成比を0.1〜0.2程度まで小さ
くしてもタ−ゲットとして安定に使用できた。タ−ゲッ
トの安定性が確保される限り、この組成比はもっと小さ
くしてもよい。
【0018】
【実施例】本発明の実施例として、Y1Ba2Cu3O
7の酸化物超電導薄膜を作製した例について述べる。ま
ず、この物質を構成する元素(酸素以外)の第1イオン
化エネルギ−と融点を表1に示す。また、各構成元素の
組み合わせからなる各種のタ−ゲットについての安定性
の評価を表2に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表2より、YとBaは、単体では不安定で
実用的なタ−ゲットとして利用できないことが分かる。 特にBaは、酸化物にしても、Yおよび酸素を結合して
も、安定化しない。このようなBaであっても、酸素と
Cuとを結合させることにより安定化することができる
。この場合、Baに対するCuの比率を0.2まで減少
させても実用可能なタ−ゲットを得ている。一方、Yに
ついては、酸素と結合することにより、ある程度安定化
するが、長時間スパッタリングするとタ−ゲット表面に
ひび割れを生じる。このYについても、酸素とCuとを
結合させることにより、さらに安定化することができる
。この場合、Yに対するCuの比率を0.1まで減少さ
せても実用可能なタ−ゲットを得ている。
【0022】なお、表2において四元系のタ−ゲットは
YBaCuOとなっていて組成比を明記していないが、
この種のタ−ゲットは各種の組成比についてすべて安定
であったので、このように表現してある。
【0023】次に、これらのタ−ゲットを利用して酸化
物超電導薄膜を作製した実施例を図面を参照して説明す
る。図2は、この実施例で使用したマルチタ−ゲットス
パッタリング装置の平面断面図である。真空容器56は
主排気系(図示しない)によって圧力が10−7Tor
r以下の真空状態に保たれている。真空容器56の内部
には、基板57を800℃まで加熱可能な基板加熱装置
58と、この基板57を保持して矢印59の方向に移動
させる基板回転ホルダ−60が設置されている。この基
板回転ホルダ−60には基板57を最大6個まで取り付
けることができる。
【0024】基板57は、基板移動機構62を矢印63
の方向に動作させることによって、真空容器56から基
板交換室61へと真空状態で移動が可能である。基板5
7は基板回転ホルダ−60によって、後述する複数のタ
−ゲットに順番に対向するように移動できて、高周波ス
パッタリングによって基板57の表面に膜を堆積するこ
とができる。
【0025】真空容器56には大きなポ−トが6か所あ
り、そのうち4か所にマグネトロンカソ−ドが設置され
ており、残りの2か所には上述した基板交換室61とビ
ュ−イングポ−ト(のぞき窓)64が設置されている。 4個のマグネトロンカソ−ド65、66、67、68に
は、それぞれ独立にタ−ゲット69、70、71、72
を備えている。各タ−ゲットの周囲にはタ−ゲットシ−
ルド(図示しない)が設置されている。各カソ−ドに高
周波電力を供給するために、それぞれ、インピ−ダンス
整合器73、74、75、76と高周波電源77、78
、79、80が接続されている。高周波電源77〜80
は、同時放電時に互いに干渉しないように、周波数13
.56MHzを中心に±6kHzの範囲内で同一周波数
にならないようにしてある。すなわち、高周波電源77
〜80の順に、13.560MHz、13.554MH
z、13.557MHz、13.563MHzの周波数
を利用している。
【0026】各タ−ゲット69〜72と基板回転ホルダ
−60との間には、それぞれ独立にシャッタ−81、8
2、83、84があり、シャッタ−駆動機構85、86
、87、88によって駆動されて開閉する。シャッタ−
駆動機構85〜88は5kgf/cm2の圧縮空気によ
って駆動される。圧縮空気の制御は図3に示す電磁弁8
9によって行われる。電磁弁31はシャッタ−制御装置
90からの開閉信号によって制御され、各シャッタ−は
それぞれ独立に開閉制御される。シャッタ−制御装置9
0は、コンピュ−タ33からの信号を受けて、各シャッ
タ−の開閉を同時にあるいは順番に開閉することができ
る。
【0027】図2に戻って、各カソ−ド65〜68には
ロ−パスフィルタ92、93、94、95を介して電圧
計96、97、98、99が接続されている。ロ−パス
フィルタはCとLの簡単な回路で構成されている。これ
により、各電圧計には、放電時にタ−ゲットに誘起され
るセルフバイアス電圧が表示される。電圧計96〜99
は図3に示す記録計100に接続されている。なお、図
示しないが、記録計100には、真空容器56内の圧力
や基板57の温度も記録される。記録計100の情報は
コンピュ−タ33に常時入力されている。以上のような
装置構成により、各タ−ゲット69〜72に誘起される
セルフバイアス電圧が常時モニタ−される。
【0028】次に、図2に示す装置による具体的な膜作
製方法を説明する。タ−ゲット69にY1Ba2Cu3
Oy、タ−ゲット70にBa1Cu0.2Oy、タ−ゲ
ット71にCuO、タ−ゲット72にY1Cu0.1O
yを用いた。膜組成分布を測定する実験では、基板にS
iウェ−ハを用い、基板温度を室温とした。超電導臨界
温度を測定する実験では、基板にMgOを用い、基板温
度を650℃とした。基板回転ホルダ−は30rpmで
回転させた。タ−ゲット・基板間距離は42mmである
。放電時の導入ガスは、ArとO2の1対1の混合ガス
で、圧力が4Paである。各タ−ゲットに印加する電力
は、タ−ゲット69〜72の順に、150W、150W
、175W、90Wである。
【0029】膜組成分布を測定する実験では、シャッタ
−を閉じた状態で約30分間のプリスパッタリングを行
い、タ−ゲットのセルフバイアス電圧が安定してから、
各シャッタ−を開いて、Siウェ−ハに200分間堆積
を行った。このときのデポジションレ−トは29.6オ
ングストロ−ム/分であった。図4は、直径4インチの
タ−ゲットを用いた場合の膜組成分布のグラフであり、
図5はそのときの基板とタ−ゲットを示す。図5の(A
)は直径3インチのSiウェ−ハ12の基板であり、ス
パッタリング中は矢印14の方向に移動している。そし
て、移動方向に沿ったA−A方向の膜組成分布が図4の
(A)に示され、移動方向に垂直なB−B方向の膜組成
分布が図4の(B)に示されている。図5の(B)は直
径4インチの円形タ−ゲット16であり、そのエロ−ジ
ョン領域18は内径が40mm、外径が90mm、エロ
−ジョン中心(最も深い位置)の位置が直径70mmで
ある。図4の(A)と(B)を比較すると分かるように
、基板移動方向(A−A方向)に沿った膜組成分布は化
学量論組成比にほぼ一致した均一な分布であるのに対し
て、基板移動方向に垂直な方向(B−B方向)の膜組成
分布は、エロ−ジョン領域の内径(40mm)よりも内
側の領域で化学量論組成比にほぼ一致して均一となるが
その外側では化学量論組成比よりもBaとCuが少なく
なる。BaとCuが少なくなる原因は、酸素負イオンに
よる再スパッタリングの影響である。
【0030】図6と図7は、矩形タ−ゲットを用いた場
合の、図4および図5と同様の図面である。図7の(B
)は矩形タ−ゲット20を示しており、その寸法は10
0mm×120mmであり、エロ−ジョン領域22の内
側寸法は50mm×70mmであり、外側寸法は90×
110mmである。矢印24はこのタ−ゲットに対向す
る基板の移動方向を示している。すなわち、基板の移動
方向に垂直な方向の基板寸法(約76mm)は、この方
向に沿ったエロ−ジョン領域の内側寸法(約70mm)
と同程度になっている。このような配置にしたことによ
り、図6から明らかなように、基板移動方向に沿った膜
組成分布も、基板移動方向に垂直な方向の膜組成分布も
、化学量論組成比にほぼ一致した均一な分布となる。図
6の例では、基板全面で化学量論組成比に対して±5%
以内の精度で精密に膜組成制御ができた。もちろん、基
板の移動方向に垂直な方向の基板寸法を、この方向に沿
ったエロ−ジョン領域の内側寸法より小さくすれば、同
様に均一な組成比分布となる。
【0031】図8は、基板加熱を650℃にしてMgO
基板上に作成した超電導膜の超電導臨界温度Tcを測定
したグラフである。グラフ(A)は図5の(B)に示す
円形タ−ゲットを使用した場合であり、グラフ(B)は
図7の(B)に示す矩形タ−ゲットを使用した場合であ
る。いずれの場合も基板移動方向に垂直方向の超電導臨
界温度の分布を示してある。これらのグラフは上述の膜
組成分布の結果を反映しており、円形タ−ゲットでは基
板の外側部分で臨界温度が低下するのに対して、矩形タ
−ゲットを使用した場合は基板全面で90Kの均一な臨
界温度を得ている。
【0032】上述の実施例ではY系の酸化物超電導薄膜
について述べたが、Cuを含む構造のその他の酸化物超
電導薄膜、たとえばK2NiF4系、Bi系、Tl(タ
リウム)系についても本発明を適用することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明では、不安定元素を構成元素とし
て含む酸化物超電導薄膜をマルチタ−ゲットスパッタリ
ング法で作製する場合に、不安定元素を必ず銅と酸素と
を含む状態でタ−ゲットとして使用することにより、タ
−ゲットが安定化して異常放電がなくなり、またタ−ゲ
ットの破損などのトラブルがなくなった。また、このよ
うにして不安定元素を、独立して電力制御可能な別個の
タ−ゲットとして利用できるようにしたことにより、膜
のデポジションレ−トを飛躍的に増加させることができ
た。さらに、不安定元素を含むタ−ゲットにおいて不安
定元素に対する銅の組成比を小さくすることにより、タ
−ゲットに印加する電力を増減しても膜組成比の変動を
少なくすることができ、膜組成の精密な制御が容易にな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物超電導薄膜を構成する元素の融点と第1
イオン化エネルギ−のグラフである。
【図2】本発明を実施するための装置の一例の平面断面
図である。
【図3】図2に示す装置のシャッタ−制御系のブロック
図である。
【図4】円形タ−ゲットを使用した場合の膜組成比分布
のグラフである。
【図5】図4のグラフを得る際に使用した基板とタ−ゲ
ットの平面図である。
【図6】矩形タ−ゲットを使用した場合の膜組成比分布
のグラフである。
【図7】図6のグラフを得る際に使用した基板とタ−ゲ
ットの平面図である。
【図8】作製した膜の超電導臨界温度分布のグラフであ
る。
【符号の説明】
10  不安定元素と安定元素とを分ける境界線12、
57  基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  複数のタ−ゲットをスパッタリングす
    ることによって基板上に酸化物超電導薄膜を堆積させる
    スパッタリング方法において、前記酸化物超電導薄膜が
    、銅と酸素とその他の少なくとも一つの元素(以下、そ
    の他元素という。)とからなり、かつ、その他元素の少
    なくとも一つは、単体の状態および酸素との化合物の状
    態ではスパッタリングのタ−ゲットとして不安定な性質
    を有する元素(以下、不安定元素という。)であり、前
    記複数のタ−ゲットの組成は、銅と酸素とその他元素と
    の任意の組み合わせからなる群から選ばれ、かつ、不安
    定元素を含むタ−ゲットは必ず銅と酸素を含むようにす
    ることを特徴とする、酸化物超電導薄膜のスパッタリン
    グ方法。
  2. 【請求項2】  不安定元素と銅と酸素とからなるタ−
    ゲットは、不安定元素に対する銅の組成比が1より小さ
    いことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング方法
  3. 【請求項3】  不安定元素に対する銅の組成比が0.
    1〜0.2であることを特徴とする請求項2記載のスパ
    ッタリング方法。
  4. 【請求項4】  融点が1000℃以下の条件および第
    1イオン化エネルギ−が7.5eV以下の条件の少なく
    とも一つを満たした元素を不安定元素として取り扱うこ
    とを特徴とする請求項1、2または3記載のスパッタリ
    ング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009270135A (ja) * 2008-05-01 2009-11-19 Fujifilm Corp 成膜方法
JP2012229490A (ja) * 2012-07-12 2012-11-22 Fujifilm Corp 成膜方法

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