JP2002296413A - 光学多層膜干渉フィルタの作製装置および作製方法 - Google Patents
光学多層膜干渉フィルタの作製装置および作製方法Info
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Abstract
向上させて高い膜性能を有する光学フィルタを作製で
き、表面平坦化を達成でき、応力特性を向上できる光学
多層膜干渉フィルタの作製装置および作製方法を提供す
る。 【解決手段】 基板22上に光学多層膜フィルタを作製
する装置である。成膜チャンバ17Aと、放電発生用プ
ロセスガスを導入する機構56と、低圧力放電発生機構
58を備える。成膜チャンバでは、基板ホルダ21と、
タンタルターゲット23と、シリコンターゲット24が
備えられ、選択したターゲットを使用して基板表面に対
しスパッタリング成膜が行われる。ターゲット23,2
4の使用を切り換えるターゲット切換え機構59を備え
る。低圧力放電を発生させ、ターゲットを交互に選択し
て低圧力放電スパッタリングに基づき基板上に五酸化タ
ンタルと二酸化ケイ素を交互に堆積して誘電体多層膜を
形成する。
Description
ルタの作製装置および作製方法に関し、特に、スパッタ
リング成膜法を利用して量産性を高めた光学多層膜干渉
フィルタの作製装置および作製方法に関する。
の大容量化に伴い、既存の光ファイバ網を利用した高密
度波長分割多重(DWDM:Dense Wavelength Divisio
n Multiplexing)に基づく伝送が採用されている。DW
DM伝送のシステムの各所では光学多層膜干渉フィルタ
が使用されている。このことから、近年、DWDM関連
の市場からの要求で、誘電体多層膜で構成された光学多
層膜干渉フィルタの需要が高くなってきている。
は、例えば、波長を分割したり合波したりするときに使
用される狭帯BPF(バンド・パス・フィルタ)、入出
力信号をモニタするときに使用されるBS(ビーム・ス
プリッタ)、出力光の平坦化に使用されるEDFA(Er
bium Doped Fiber Amplifier)などがある。
る性能は、要約すると、次の通りである。
る(波長安定性)。ここで光学特性の安定性とは、温度
や湿度の変化に対して分光特性が変化しないということ
である。
からなる2種類の誘電体層を交互に積層して極めて多い
層を堆積して作るときにおいて、その物理構造として各
層の吸収係数を十分に低くすることである(低損失)。
2種類の誘電体層としては、五酸化タンタルと二酸化ケ
イ素が代表的である。
を与えるノジュール(nodule)の問題があるが、透過損
失を小さくするためノジュールの発生が抑制されている
ことである(低損失)。フィルタの内部や表面にノジュ
ールが存在すると、透過光の遮断・散乱が発生し、損失
の原因となる。
る観点で、成膜前の基板の表面を清浄化しておくことで
ある(低損失)。
ィルタを構成する各層が正確な膜厚に加工されているこ
とである(高精度の膜厚制御性と応力)。蒸発技術を利
用した従来の成膜では、膜厚分布を補正するために、基
板の近傍に補正板を置いたり、蒸発源を基板回転中心の
位置から離す方法が採用されている。しかしながら、再
現性の点で問題がある。
干渉フィルタは、従来、専ら真空蒸着法によって作製さ
れていた。真空蒸着法としては、特開平10−1707
17号公報の図6に示されかつ従来技術の欄に記載され
た真空蒸着装置がある。この真空蒸着装置は、真空チャ
ンバの底部に2つの電子銃るつぼを回転可能に置き、そ
の上方に傘状の形態をした回転状態の大型の基板ホルダ
の下面に複数の基板を取り付けている。電子銃によって
るつぼから蒸発した物質は、上昇し、複数の基板の各々
の表面に付着し、成膜を行う。2つの電子銃るつぼの各
々には異なる成膜材料が入っており、電子ビームを発生
させて成膜材料に対して照射できるようにし、シャッタ
を開いて成膜材料を交互に蒸発させることにより基板の
表面に多層膜を形成する。成膜の間、基板ホルダを回転
させ、かつ基板を回転させることにより、基板表面に成
膜される材料の分布状態を均一化している。
ムスパッタリング法が提案されている。イオンビームス
パッタリング法としては前述の特開平10−17071
7号公報によって開示される発明に係る製造方法があ
る。この製造方法、当該公報の図1に示されるごとく、
真空チャンバの下部にアルゴンイオン源を設け、アルゴ
ンイオン源の出射部の前方に、ターゲットして2種類の
成膜材料を設け、かつ180度回転し得る成膜材料ホル
ダを設けている。真空チャンバの上方位置に複数の基板
を取り付けかつ回転自在に設けられた基板ホルダが配置
されている。成膜材料ホルダの成膜材料にアルゴンイオ
ン源からアルゴンイオンビームを照射すると、成膜材料
がスパッタされ、スパッタされた成膜材料は上方に移動
し、複数の基板の各々に成膜が行われる。成膜材料ホル
ダを回転させることにより成膜材料を交互に選択し、か
かる構造によって成膜材料を交互に基板上に堆積させ多
層膜を形成する。この場合にも、成膜の間、基板ホルダ
を回転させかつ基板を回転させることにより、基板表面
に成膜される材料の分布状態を均一化している。
フィルタの製造方法では、前述した真空蒸着方法とイオ
ンビームスパッタ法のいずれも歩留まりが非常に悪く、
量産に向いていないという問題があった。
mであり、例えば上記のBPFの作製では0.01〜
0.05nmの膜厚制御を求められることから、膜厚制
御性が悪いという問題を有していた。
合には、ターゲット(成膜材料)からスパッタされた粒
子と共に反跳アルゴンが同じ方向に飛ぶために、膜中に
多くのアルゴンが混入し、大きな圧縮応力を有するとい
う問題を提起する。従って成膜した膜を切り出すと、応
力が低下するように変化し、目的通りの性能を有する光
学多層膜干渉フィルタを作ることが難しく、歩留まりが
低い問題がある。
とにあり、生産歩留まりが高く、量産することができ、
さらに膜厚の制御性を向上させることにより高い膜性能
を有する光学フィルタを作製でき、加えて界面の平坦化
を確実に達成でき、応力特性を向上できる光学多層膜干
渉フィルタの作製装置および作製方法を提供することに
ある。
光学多層膜干渉フィルタの作製装置および作製方法は、
上記の目的を達成するために、次のように構成される。
製装置(請求項1に対応)は、基板上に多層膜を堆積し
て光学多層膜フィルタを作製する装置であり、成膜チャ
ンバと、成膜チャンバに放電発生用プロセスガスを導入
するガス導入機構と、成膜チャンバの内部で低圧力放電
を発生させる低圧力放電発生機構と、第1誘電体膜材料
のターゲットと第2誘電体膜材料のターゲットの使用を
切り換えるターゲット切換え機構とを備える。上記成膜
チャンバでは、基板を搭載する基板ホルダと、第1誘電
体膜材料のターゲットと、第2誘電体膜材料のターゲッ
トとが備えられ、選択されたターゲットを使用して基板
の表面に対してスパッタリング成膜が行われる。成膜チ
ャンバ内に基板を搬入して基板ホルダ上に搭載し、ガス
導入機構で導入されたプロセスガスを用いてかつ低圧力
放電発生機構で低圧力放電を発生させ、ターゲット切換
え機構でターゲットを交互に選択して低圧力放電スパッ
タリングに基づき基板上に第1誘電体膜と第2誘電体膜
を交互に堆積して誘電体多層膜を形成する。
の作製方法(請求項4に対応)は、基板上に多層膜を堆
積して光学多層膜フィルタを作製する方法であり、基板
ホルダが設けられた成膜チャンバ内に基板を搬入するス
テップと、成膜チャンバ内にプロセスガスを導入するス
テップと、成膜チャンバ内に低圧力放電を発生させるス
テップと、第1誘電体膜材料のターゲットを使用可能状
態に選択してスパッタリングを行って基板の上に第1誘
電体膜を堆積させ、次に、第2誘電体膜材料のターゲッ
トを使用可能状態に選択してスパッタリングを行って第
1誘電体膜の上に第2誘電体膜を堆積させ、さらに第1
誘電体膜の堆積と第2誘電体膜の堆積を繰返すステップ
とから構成される。低圧力放電スパッタリングに基づき
基板上に第1誘電体膜と第2誘電体膜による誘電体多層
膜を形成する。
はアルゴンと酸素の混合ガス、第1誘電体膜材料はタン
タル、第2誘電体膜材料はケイ素であり、基板上に五酸
化タンタルと二酸化ケイ素が交互に堆積される(請求項
2、請求項5に対応)。
a以下の低圧力で発生することを特徴とする(請求項
3、請求項6に対応)。
を添付図面に基づいて説明する。
配置関係については本発明が理解できる程度に概略的に
示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材
質)については例示にすぎない。従って本発明は、以下
に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許
請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限
り様々な形態に変更することができる。
タの作製装置の代表的な構成を示し、内部機構の概略構
成が判明する程度に示された平面図である。以下では
「光学多層膜干渉フィルタの作製装置」を「光学多層膜
作製装置」という。この光学多層膜作製装置10はクラ
スタ型の構成を有し、複数の成膜チャンバを備えてい
る。各成膜チャンバでは、基板ホルダに搭載された一枚
の基板に対してスパッタリング法により多層膜の成膜が
行われる。成膜放電の方式は好ましくは反応性DCスパ
ッタリング法である。さらに各成膜チャンバには低圧力
放電カソードが設けられている。
にはロボット搬送装置11が備えられた搬送チャンバ1
2が設置されている。ロボット搬送装置11は、伸縮自
在なアーム13と基板を搭載するためのハンド14とを
備えている。アーム13の基端部は搬送チャンバ12の
中心部12aに回転自在に取り付けられている。
2には、ロード/アンロードチャンバ15,16が設け
られている。ロード/アンロードチャンバ15によっ
て、外部から光学多層膜作製装置10に処理対象の基板
43を搬入すると共に、光学多層膜干渉フィルタの成膜
処理が終了した基板を光学多層膜作製装置10から外部
へ搬出する。ロード/アンロードチャンバ16も同じ機
能を有し、ロード/アンロードチャンバ16を経由して
搬入された基板は、同チャンバから搬出される。ロード
/アンロードチャンバを2つ設けた理由は、2つのチャ
ンバを交互に使い分けることにより、生産性を高めるた
めである。
ャンバ12の周囲に、例えば3つの成膜チャンバ17
A,17B,17Cと、1つの酸化膜成膜チャンバ18
と、1つのクリーンニングチャンバ19とが設けられて
いる。2つのチャンバの間には、両チャンバを隔離し、
かつ必要に応じて開閉自在なゲートバルブ20が設けら
れている。なお各チャンバには真空排気機構、原料ガス
(またはプロセスガス)導入機構、電力供給機構等が付
設されているが、図1においてそれらの図示は省略され
ている。なお成膜チャンバの数は目的に応じて任意に変
更することができ、酸化膜成膜チャンバ18とクリーニ
ングチャンバ19は必ずしも設ける必要はなく、省略す
ることもできる。
る光学多層膜を成膜するにあたり、例えば3つの成膜チ
ャンバ17A,17B,17Cを用意し、各成膜チャン
バに一元ターゲットを対応させている。各成膜チャンバ
に用意されるターゲットの構成は同じであるが、各々で
プロセス(膜厚や総数)を変えることにより異なる波長
の光学フィルタを作製することが可能となる。通常20
0GHz用の光学フィルタが一般的であるが、各膜の厚
さと積層数を変えることにより、50MHzなどの作製
の難しいとされるフィルタも作製することができる。
17B,17Cをクラスタ型構造で接続して光学多層膜
作製装置10を構成することにより、光学多層膜干渉フ
ィルタの生産性を飛躍的に高めるようにしている。さら
に従来の蒸着装置では、各光学フィルタごとに個別の装
置を用意して対応するしかなかったのに対して、本実施
形態の構成によれば、1つの装置によって対応すること
ができる。
々では、反応性DCスパッタリング法に基づき、所定の
2種類の成膜材料(誘電体膜材料)に係るターゲットを
用いて、かつ当該ターゲットが設けられたカソード部分
に低圧力放電方式の構成を用いることにより、2種類の
誘電体膜を交互に堆積させる成膜処理が行われる。
ンタルと二酸化ケイ素の各誘電体膜が交互に連続的に堆
積される。このため、成膜チャンバ17Aでは、その底
部中央の基板ホルダ21上に配置された基板22に対
し、天井部にTa(タンタル)とSi(ケイ素)のそれ
ぞれに対応する2つのターゲット23,24が取り付け
られている。なお図1においては、成膜チャンバ17A
の内部を所要の真空状態にするための真空排気機構、タ
ーゲット23,24のスパッタに要する電力を供給する
ための機構、プラズマを生成するための機構等の図示は
省略されている。このことは他の成膜チャンバ等でも同
じである。なおターゲットの種類と個数は上記の実施形
態に限定されず、目的に応じて任意に変更することがで
きる。
部中央の基板ホルダ27上に配置された基板28に対
し、天井部にターゲット29,30が取り付けられてい
る。さらに成膜チャンバ17Cでも、上記と同様に、そ
の底部中央の基板ホルダ33上に配置された基板34に
対し、天井部に2つのターゲット35,36が取り付け
られている。
板ホルダ、40は基板であり、クリーンニングチャンバ
19で41は基板ホルダ、42は基板である。クリーン
ニングチャンバ19では、イオンビームエッチング機構
とRFスパッタエッチング機構が設けられ、表面平坦化
を行うことができる。
バ17Aに設けられた特徴的構造をより詳しく説明す
る。図2の成膜チャンバ17Aの平面図であり、図3は
成膜チャンバ17Aの縦断面図である。図2と図3にお
いて、図1で説明した要素と実質的に同一の要素には同
一の符号を付している。
2には前述の通り2つのターゲット23,24が設けら
れている。これらのターゲット23,24は天井部52
において傾斜した状態にて取り付けられている。成膜チ
ャンバ17Aの底面部の中央には、回転駆動機構53に
よって回転自在に設けられた基板ホルダ21が配置され
る。基板ホルダ21の上には基板22を水平状態に保っ
て搭載している。基板22へのスパッタ成膜のとき基板
22は回転状態にある。
られている。この排気ポート54から排気が行われるよ
うに排気ポート54には排気管を介して排気装置55が
接続されている。排気装置55による排気動作によって
容器51の内部は所要の真空状態に保持される。排気装
置55としては、具体的に、例えば、メインバルブを介
して連結されたメインポンプ(クライオポンプ)と、荒
引きバルブを介して連結された油回転ポンプあるいはド
ライポンプを含んで構成されている。
は、前述のターゲット23,24のいずれかを選択的に
スパッタリングするために、放電を発生させ、プラズマ
を生成する。放電を発生させる放電ガス(プロセスガス
またはスパッタガス)として、ガス供給部56からアル
ゴンと酸素の混合ガスが導入される。ガス供給部56の
設置箇所は、図示された箇所には限定されない。なお放
電ガスとしては、条件に応じてアルゴンのみまたは酸素
のみ導入するように構成することもできる。
る排気作用で容器51の内部の圧力は好ましくは10-2
Pa以下の圧力レベルに保持される。
設けられたターゲット23,24は、それぞれ、下方で
水平に配置された基板34の上面に対して所定角度で向
くような姿勢にて配置されている。ターゲット23,2
4はカソード部として形成されている。ターゲット23
はタンタルターゲットであり、ターゲット24はシリコ
ン(ケイ素)ターゲットである。
57が接続されている。DC電源57からターゲット2
3,24のいずれかに選択的に所定の電圧が印加され
る。電圧としては、例えば−200〜−600V(ボル
ト)以下である。
石ユニット58が配置される。磁石ユニット58は、電
磁石で構成してもよいし、永久磁石で構成してもよい
し、両者を組み合わせて構成してもよい。磁石ユニット
58によって、ターゲット23,24の内側表面上に特
定の磁界分布が形成される。
方を用いてスパッタリング成膜を行うときには、上記の
DC電源57と磁石ユニット58の構成に基づいて、タ
ーゲットを所定電圧に保持しかつターゲット表面上に所
定の磁界分布を形成することにより、低圧力放電式のス
パッタリングを行うことが可能となる。なお低圧力放電
によるスパッタリング法の詳しい構成に関しては、本出
願人に基づく特願平8−82848号または特願平8−
240362号の特許出願に開示された発明を利用する
ことができる。
22の間には、回転自在に設けられたシャッタ機構59
が配置されている。シャッタ機構59の開閉動作によっ
て、2つのターゲット23,24のうちスパッタリング
成膜に使用されるいずれか1つのターゲットが選択され
る。シャッタ機構59には、従来より知られた任意の機
構を用いることができる。かかる構成によって、基板2
2に対して、スパッタリングされたターゲット物質(成
膜物質)の斜め入射を実現する。
3,24を交互に選択することにより、基板22の上に
はタンタルによる誘電体膜(五酸化タンタル膜)とケイ
素による誘電体膜(二酸化ケイ素膜)が交互に堆積され
る。こうして基板22の表面に多層膜が形成される。ま
たシャッタ機構59に基づいて、基板22上の多層成膜
において高均一な膜厚分布が達成され、かつターゲット
相互の汚染や誘電体膜同士で汚染が生じるのを防止して
いる。
の表面に堆積する膜の厚みを測定する膜厚検出器60が
モニタとして付設されている。膜厚検出器60から出力
される膜厚検出信号に基づいて基板22の表面に成膜さ
れる誘電体多層膜の膜厚が制御される。図中、制御装置
の図示は省略されている。この膜厚検出器60を利用し
た膜厚制御で使用される方式には、光学式膜厚制御方
式、あるいは水晶式膜厚制御方式が使われる。
載された基板22に対して、成膜チャンバ17Aの容器
51内を所定の低圧力レベルに減圧し、ガス供給部56
からアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを放電スパッタ
ガスとして所定の流量導入する。シャッタ機構59でタ
ンタルターゲット23を選択し、これをアルゴンと酸素
の混合ガスでスパッタリングして基板22の表面に五酸
化タンタル膜(Ta2O5)が堆積される。次に、シャッ
タ機構59でシリコンターゲット24を選択し、これを
アルゴンと酸素の混合ガスでスパッタリングして基板2
2の表面に二酸化ケイ素膜(SiO2)が堆積される。
その後、五酸化タンタルと二酸化ケイ素を交互に堆積し
て光学多層膜干渉フィルタが形成される。成膜チャンバ
17Aにおいて、反応性DCスパッタリング法を利用し
て誘電体の多層膜を基板22上に成膜することができ
る。膜厚の均一性は、前述の斜め入射回転成膜法で達成
される。また異なる種類の誘電体膜を交互に堆積するに
あたり、低圧力放電によるスパッタリングに基づき、こ
の成膜を可能にしている。上記のごとくスパッタリング
法を利用することにより、光学多層膜干渉フィルタを、
高い性能を実現しながら、高い歩留まりで作製すること
ができる。
O2の膜の堆積速度は5オングストローム(Å)/秒(se
c)以上である。
の成膜チャンバ17Aと同様な構成で作られている。た
だし、製作しようとする光学フィルタに応じてプロセス
を異ならせている。
タルターゲット23とシリコンターゲット24を設け、
スパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いて
スパッタするようにしたが、その代わりに、五酸化タン
タルのターゲットと二酸化ケイ素のターゲットを用意
し、スパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを導
入してスパッタするようにすることもできる。
膜の光学干渉フィルタを作製するにあたり、多層膜をい
くつかのグループに分け、複数の成膜チャンバを利用し
て成膜することもできる。これによって、膜の平坦性を
良好にすることができ、膜質を高めることができる。
で作製された光学多層膜干渉フィルタの多層膜の堆積状
態の一例を顕微鏡写真(断面SEM写真)で示す。図4
によれば、最下層の基板(ガラス基板)に対して、2種
類の誘電体膜が交互に良好な界面性の下で堆積されてい
るのが判る。さらに低圧放電の効果に基づき、表面粗さ
Raは2オングストローム(Å)程度で堆積しているの
がわかる。この光学多層膜は、31層2キャビティーB
PFに関するものであり、狙い波長は1550nmであ
る。
れば、基板上に第1と第2の誘電体膜を繰返し堆積して
光学多層膜干渉フィルタを作製することにおいて低圧力
放電を利用してスパッタリング成膜法の使用を実用化し
たため、1つの装置でありながら各チャンバで異なる波
長のBPFを同時に製造することも可能となり、歩留ま
りを向上させて従来のバッチ装置に比較すると5〜10
台分に相当する程度に、飛躍的に生産性を高め、かつ膜
性能の向上も達成することができる。
置の代表的な実施形態の構成を示す平面図である。
チャンバの構成をより詳しく示す平面図である。
チャンバの構成をより詳しく示す縦断面図である。
光学多層膜干渉フィルタの多層膜の堆積状態の断面の一
例を示す顕微鏡写真である。
0)
ムスパッタリング法が提案されている。イオンビームス
パッタリング法としては前述の特開平10−17071
7号公報によって開示される発明に係る製造方法があ
る。この製造方法、当該公報の図1に示されるごとく、
真空チャンバの下部にアルゴンイオン源を設け、アルゴ
ンイオン源の出射部の前方に、ターゲットとして2種類
の成膜材料を設け、かつ180度回転し得る成膜材料ホ
ルダを設けている。真空チャンバの上方位置に複数の基
板を取り付けかつ回転自在に設けられた基板ホルダが配
置されている。成膜材料ホルダの成膜材料にアルゴンイ
オン源からアルゴンイオンビームを照射すると、成膜材
料がスパッタされ、スパッタされた成膜材料は上方に移
動し、複数の基板の各々に成膜が行われる。成膜材料ホ
ルダを回転させることにより成膜材料を交互に選択し、
かかる構造によって成膜材料を交互に基板上に堆積させ
多層膜を形成する。この場合にも、成膜の間、基板ホル
ダを回転させかつ基板を回転させることにより、基板表
面に成膜される材料の分布状態を均一化している。
57が接続されている。DC電源57からターゲット2
3,24のいずれかに選択的に所定の電圧が印加され
る。電圧としては、例えば−200〜−600V(ボル
ト)である。
Claims (6)
- 【請求項1】 基板上に多層膜を堆積して光学多層膜フ
ィルタを作製する装置であり、 前記基板を搭載する基板ホルダと、第1誘電体膜材料の
ターゲットと、第2誘電体膜材料のターゲットとを備
え、選択された前記ターゲットを使用して前記基板の表
面に対してスパッタリング成膜が行われる成膜チャンバ
と、 前記成膜チャンバに放電発生用プロセスガスを導入する
ガス導入機構と、 前記成膜チャンバの内部で低圧力放電を発生させる低圧
力放電発生機構と、 前記第1誘電体膜材料のターゲットと前記第2誘電体膜
材料のターゲットの使用を切り換えるターゲット切換え
機構とを備え、 前記成膜チャンバ内に前記基板を搬入して前記基板ホル
ダ上に搭載し、前記ガス導入機構で導入された前記プロ
セスガスを用いてかつ前記低圧力放電発生機構で前記低
圧力放電を発生させ、前記ターゲット切換え機構でター
ゲットを交互に選択して低圧力放電スパッタリングに基
づき前記基板上に第1誘電体膜と第2誘電体膜を交互に
堆積して誘電体多層膜を形成したことを特徴とする光学
多層膜干渉フィルタの作製装置。 - 【請求項2】 前記プロセスガスはアルゴンと酸素の混
合ガス、前記第1誘電体膜材料はタンタル、前記第2誘
電体膜材料はケイ素であり、前記基板上に五酸化タンタ
ルと二酸化ケイ素が交互に堆積されることを特徴とする
請求項1記載の光学多層膜干渉フィルタの作製装置。 - 【請求項3】 前記低圧力放電は10-2Pa以下の低圧
力で発生することを特徴とする請求項1または2記載の
光学多層膜干渉フィルタの作製装置。 - 【請求項4】 基板上に多層膜を堆積して光学多層膜フ
ィルタを作製する方法であり、 基板ホルダが設けられた成膜チャンバ内に前記基板を搬
入し、 前記成膜チャンバ内にプロセスガスを導入し、 前記成膜チャンバ内に低圧力放電を発生させ、 第1誘電体膜材料のターゲットを使用可能状態に選択し
てスパッタリングを行って前記基板の上に第1誘電体膜
を堆積させ、次に、第2誘電体膜材料のターゲットを使
用可能状態に選択してスパッタリングを行って前記第1
誘電体膜の上に第2誘電体膜を堆積させ、さらに前記第
1誘電体膜の堆積と前記第2誘電体膜の堆積を繰返し、 低圧力放電スパッタリングに基づき前記基板上に第1誘
電体膜と第2誘電体膜による誘電体多層膜を形成したこ
とを特徴とする光学多層膜干渉フィルタの作製方法。 - 【請求項5】 前記プロセスガスはアルゴンと酸素の混
合ガス、前記第1誘電体膜材料はタンタル、前記第2誘
電体膜材料はケイ素であり、前記基板上に五酸化タンタ
ルと二酸化ケイ素が交互に堆積されることを特徴とする
請求項4記載の光学多層膜干渉フィルタの作製方法。 - 【請求項6】 前記低圧力放電は10-2Pa以下の低圧
力で発生することを特徴とする請求項4または5記載の
光学多層膜干渉フィルタの作製方法。
Priority Applications (1)
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