JP3240008B2 - 酸化物薄膜の成膜方法 - Google Patents

酸化物薄膜の成膜方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物理蒸着法によって酸
化物薄膜を基板上に、高速でしかもより高効率でもって
成膜する酸化物薄膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、酸化物薄膜を真空蒸着法あるいはス
パッタリング法等の物理蒸着法により形成する際、例え
ば(1)酸素ガスを真空チャンバー内に一様に供給した
状態で材料を蒸着する。(2)酸素ガスを主に基板表面
に供給した状態で材料を蒸着する。(3)酸素ガスを主
に材料表面に供給した状態で材料を蒸着する。(4)基
板を加熱した状態で材料を蒸着する。(5)前記(4)
項と(1)〜(3)項とを夫々組み合わせる等種々の手
段が用いられている。
【0003】そのなかで例えば、特開昭61ー260505号公
報には透明導電膜の製造方法が記載されており、不活性
ガスと酸化性ガスとの混合ガス中で金属をスパッタリン
グして基板上に透明導電膜を形成する透明導電膜の製造
方法において、スパッタリング中に基板にバイアス電圧
を印加し透明導電膜の膜質を制御する方法が開示され、
シート抵抗の極小値を示すO2流量より低酸素流量側では
着色低級酸化物を形成し、高酸素流量側では透明高抵抗
な酸化物を形成し、この低級酸化物から化学量論組成の
高抵抗な酸化物に変化する領域において成膜速度が急激
に変化し、該領域で低電気抵抗,高光透過率を有する透
明導電膜が得られるため、予め酸素流量の最適化を行な
った後に、成膜パラメータである入力パワー、および酸
素, アルゴンガス流量を固定し、基板ホルダに印加する
バイアス電圧を可変できるようにし、透明導電膜の膜厚
をこのバイアス電圧により制御するものであるというこ
とが記載されている。
【0004】また例えば、特開昭63ー76868 号公報には
スパッタリング装置が記載されており、真空容器内にタ
ーゲットと基板を対向配置し、不活性ガスと反応性ガス
との混合ガス雰囲気にしたその容器中で放電を発生させ
て、回転する基板面にスパッタリングによりスパッタ物
質を被着形成する装置構成において、回転する基板とタ
ーゲットとの対向領域を避けた領域においてその基板面
に近づけて、放電電極と、その周囲に反応性ガス流出口
と、更にその外周部に排気口を備えた外囲部とからなる
ガス反応促進機構を配置し、基板面に被着されたスパッ
タ物質を、更にガス反応促進機構で反応性ガスと反応さ
せるようにしたものが開示され、反応性スパッタリング
中におけるスパッタ物質に対する反応性ガスの反応が、
ターゲット側と基板側との二箇所で制御することができ
るので、反応性スパッタリングの条件を制御して基板側
に中間反応スパッタ物質を被着した際に、該中間反応ス
パッタ物質中に未反応スパッタ物質が混在することがあ
っても、ガス反応促進機構において反応性ガスとの反応
促進を行うことにより、該未反応スパッタ物質の混在の
ない均質な中間反応スパッタ物質を形成することが可能
であるということが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】前述したような、従
来の酸化物薄膜の形成手段では、光透過率の高い酸化物
薄膜を高速で成膜することが困難であり、例えば前述し
た(1)〜(3)項の手段では蒸着用材料から基板への
蒸着速度を増大すると、金属薄膜や金属に近い低光透過
率の酸化物薄膜が形成され易く、また前記(4)と
(5)項の手段では前記蒸着速度を増大したとしても、
基板温度を上昇させれば高光透過率の薄膜を成膜するこ
とができるものの、基板の温度上昇に時間を要すること
となって高効率の手段とは言い難いものである。
【0006】また例えば、特開昭61ー260505号公報に記
載の方法では、予め酸素流量の最適化をしたとしても、
基板表面側ならびにターゲット表面側の両者をより有効
に活かせるようにアルゴンガスと酸素ガスを装置内で、
ことに酸素ガスを分配してまでコントロールしたもので
はなく、必ずしも充分高効率化したとは未だ言い難いも
のである。
【0007】さらに例えば、特開昭63ー76868 号公報に
記載の装置では、反応性スパッタリング中でのスパッタ
物質に対する反応性ガスの反応が、ターゲット側と基板
側との二箇所で制御することができるものの、ガス反応
促進機構が必要であって装置が複雑となりかつ混合ガス
あるいは酸素ガスの供給口の配置が充分適切とは言え
ず、しかもコスト的にも増大するものであり、必ずしも
すべてに好ましいとは言い難いものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明はこのような問
題点に鑑みてなしたものであり、高光透過率の各種酸化
物薄膜を高速でもって形成速度を増大するように、基板
表面側における酸化反応を促進するだけでなく、蒸着用
材料表面側での酸化反応を適宜引き起こさせることによ
り、透明な高透視性の各種酸化物薄膜を高効率でもって
成膜することができる酸化物薄膜の成膜方法を提供する
ものである。
【0009】 すなわち、本発明は、物理蒸着法によっ
て基板の表面上に酸化物薄膜を成膜する方法において、
酸素ガスと不活性ガスを用いて酸化物薄膜用の蒸着用材
料から酸化物薄膜を成膜する基板表面に蒸着する際に、
該両ガスのうち酸素ガスを、前記蒸着用材料の表面近傍
側と前記基板表面近傍側とに分離独立して分配し供給す
るようにし、蒸着用材料の粒子が低級状態に酸化され、
酸化反応に対して活発な状態で飛び出し、基板表面に到
達すると、基板表面近傍側に供給されている酸素ガスに
より、低級酸化状態から酸化反応が加速度的に進行し、
酸化物薄膜を成膜することを特徴とする酸化物薄膜の成
膜方法。ならびに、基板表面近傍への供給酸素量に対す
る蒸着用材料表面近傍への供給酸素量の比率を決定し、
面内での膜厚分布ならびに光透過率分布を調整する光透
過性の酸化物薄膜の成膜方法。また、本発明は、スパッ
タ中に基板を載せた基板搬送用トレイがターゲット上を
移動して成膜するインライン式連続成膜装置において、
酸素ガスと不活性ガスを用いて酸化物薄膜用の蒸着用材
料から酸化物薄膜を成膜する基板表面に蒸着する際に、
該両ガスのうち酸素ガスを、前記蒸着用材料の表面近傍
側と前記基板表面近傍側とに分離独立して分配し供給す
るようにしたことを特徴とする酸化物薄膜の成膜装置。
さらに、分離独立して分配する手段が、防着板と該板を
挟んで分離独立せしめて配置した各ガス吐出口とからな
ることを特徴とする。さらにまた、基板表面側に分配し
た他のもう一つの酸素ガス吐出口を基板搬送用トレイが
ターゲット上に位置している際の基板の表面の下部近傍
に設けることを特徴とする。
【0010】ここで、前記したように酸素ガスと不活性
ガスを用い、該両ガスのうち酸素ガスを、酸化物薄膜用
の蒸着用材料の表面近傍側と酸化物薄膜を成膜する基板
表面近傍側とに分離独立して分配し供給するようにした
のは、ことに蒸着用材料表面近傍側への酸素ガスの分配
供給をすることにより、蒸着用材料の粒子が低級状態に
酸化され、酸化反応に対して活発な状態で飛び出し、基
板表面に到達すると、基板表面近傍側に供給されている
酸素ガスにより、低級酸化状態から酸化反応が加速度的
でに進行し、高速でより効率的な成膜とすることとなる
ようにしたものである。
【0011】また、前記酸素ガスを分離独立して供給す
る手段としては、酸素ガス配管の吐出口を蒸着用材料の
表面近傍と基板の表面近傍とに分離独立するように、蒸
着用材料の周辺域では分割する仕切り板である防着板を
採用して囲いを設け、該囲い内にArガス吐出口に併せ、
蒸着用材料表面側に供給する酸素ガス吐出口をも配置
し、蒸着用材料の表面近傍の酸素ガス雰囲気と基板の表
面近傍の酸素ガス雰囲気の分離をより効果的とし、さら
に前記防着板の外側に基板表面に供給する酸素ガス吐出
口を配置し、加えて基板の周辺域では開口部を有するト
レイを用いることで、前記防着板と該トレイの両者が相
まって、基板表面に供給する酸素ガスがより効率的な成
膜と成らしめることとなり、さらにまた前記した基板表
面に供給する酸素ガス吐出口の位置としては、基板表面
に近く酸素ガスが流れるようになるような場所ならびに
方向が良く、仮に少し離れた位置、例えば隣接のターゲ
ット位置付近でもよく、前記効果は得られるものであ
る。
【0012】さらに、例えば蒸着用材料表面側と基板表
面側への供給酸素量を合わせた合計量が一定の場合、基
板表面近傍への供給酸素量に対する蒸着用材料表面近傍
への供給酸素量の比率を低減すると、酸化反応はより急
速に進行することとなるものの、基板面積が大きい場
合、面内での膜厚分布ならびに光透過率分布の変動幅が
大きくなるので、基板面積に応じて前記比率を決定する
必要があるものである。また該膜厚分布ならびに光透過
率分布の変動幅を小さくするためには、蒸着用材料表面
近傍側と基板表面近傍側に全体一様に酸素ガスが供給さ
れるように、蒸着用材料と基板の大きさおよび位置等に
応じてガス吐出口の形状ならびに位置を決めることが好
ましく、さらにまた酸素ガスが基板表面の全体一様に供
給され易い基板ホルダー形状にすることが肝心となるも
のである。
【0013】さらにまた、前記蒸着用材料としては、金
属材料あるいは金属酸化物材料等がともに、ことに金属
材料が本願発明の成膜方法に採用でき、また成膜方法と
してはDCプロセスおよびRFプロセスともに、ことにDC反
応プロセスが本願発明の成膜方法に採用でき、とくに金
属材料を用いてDC反応プロセスによる成膜方法がより効
果的となるものである。
【0014】つぎに、基板としては、無機質はもちろん
有機質でも各種透明ガラスが好ましく、無色あるいは着
色等でもよく、また本願発明の酸化物薄膜の成膜方法で
得られた膜付き板ガラスは単板で使用できることはもと
より、複層ガラスあるいは合せガラス、強化ガラス等各
種板ガラス製品として使用できることは言うまでもな
い。
【0015】
【作用】前述したとおり、本発明の酸化物薄膜の成膜方
法は、成膜する際に導入する酸素ガスを、酸化物薄膜用
蒸着材料の表面近傍側と酸化物薄膜を成膜する基板表面
近傍側とに分離独立せしめ、ことに蒸着用材料の周辺域
では防着板等を利用して囲いを設け、該囲い内にArガス
吐出口に併せ、蒸着用材料表面近傍側に供給する酸素ガ
ス吐出口をも配置し、蒸着用材料の表面近傍の酸素ガス
雰囲気と基板の表面近傍の酸素ガス雰囲気の分離をする
ようにして分配し供給するようにしたことにより、両者
のO2ガスが確実で効果的に分離分配でき、そのコントロ
ールも充分で確実にでき、基板表面近傍への供給酸素量
に対する蒸着用材料表面近傍への供給酸素量の比率を適
宜適切とでき、基板面積が大きい場合、面内での膜厚分
布ならびに光透過率分布の変動幅を減じ得、蒸着用材料
表面近傍側のArガスの中の酸素ガスを低級酸化状態とな
して効果的になるとともに、基板表面近傍側に供給する
酸素ガスも低級酸化状態から基板表面への酸化被膜が加
速度的に進行してより効率的な成膜と成らしめることな
り、高速で効率的な成膜となって高光透過率でしかも膜
厚変動の少ない薄膜を安定確実に被膜できることとなる
酸化物薄膜の成膜方法である。
【0016】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の一実施例をより
具体的に説明する。ただし本発明は係る実施例に限定さ
れるものではない。
【0017】図1は、本発明に係る酸化物薄膜の成膜方
法の一実施例における、ターゲットとその周辺部での各
ガス吐出口と防着板、および基板とそのトレイ等の配置
を示すマグネトロンスパッタリング装置の要部概略縱断
面図である。
【0018】図において、上述のマグネトロンスパッタ
リング装置を用いて、Taメタルのターゲット4に印加
電力をかけるDCスパッタにより、Ta2O5 薄膜を高光透過
率でしかも高速に成膜するものであって、該装置はス
パッタ中に基板2を載せた基板搬送用トレイ3がターゲ
ット4上を矢印の方向に移動して成膜するインライン式
連続成膜装置である。
【0019】また、前記Taメタルのターゲット4のDCス
パッタによるTa2O5 薄膜の成膜には、スパッタガスとし
てArガスならびにO2ガスを使用し、Arガス吐出口5はタ
ーゲット4表面近傍に設け、しかもターゲット4の表面
全体に該ガスが供給されるように、ターゲット4の寸法
よりも大きい幅の吐出口5とするとともに、またターゲ
ット表面側に分配した一つのO2ガス吐出口6はArガス吐
出口5と同様にターゲット4表面近傍に設け、場合によ
ってはArガス吐出口5と共用でもよいものであり、基板
表面側に分配した他のもう一つのO2ガス吐出口7を基板
搬送用トレイ3がターゲット4上に位置している際の基
板2の表面の下部近傍に設け、しかも基板2の表面全体
に該O2ガスが供給されるように基板2の寸法よりも大き
い幅の吐出口7とする。
【0020】さらに、前記ターゲットの周辺には、ター
ゲット表面近傍側に分配した一つのO2ガス吐出口6なら
びにArガス吐出口5と、基板表面近傍側に分配した他の
もう一つのO2ガス吐出口7との間に防着板8を設置して
おり、防着効果はもちろん、O2ガス導入時のターゲット
表面近傍のO2ガス雰囲気と基板表面近傍のO2ガス雰囲気
の分離効果も奏するものである。
【0021】さらにまた、前記基板搬送用トレイ3の形
状は、前記基板2を載置する中央域にトレイ下部中央域
開口部を備えた箱状型になっており、スパッタ中にはタ
ーゲット4上を箱状型の基板搬送用トレイ3が矢印方向
に移動し、スパッタガス、ことにO2ガスの圧力および流
れの変化が発現し易いのに対し、前記トレイ3の前後の
壁面を開口し、トレイ前壁面開口部10およびトレイ後壁
面開口部11を設け、スパッタガス、ことにO2ガス流れ易
いようにして前記変化をより小さくするようにするもの
であり、またさらに基板2は前記トレイの底面よりも高
い位置に載置し、基板表面にO2ガスが供給され易いよう
にするものである。
【0022】実施例1 基板として大きさ450mm x450 mm、厚さ3mmのクリアー
ガラス(Fl3)を用い、中性洗剤、水すすぎ、イソプロ
ピルアルコールで順次洗浄し、乾燥した後、前記マグネ
トロンスパッタリング装置の真空槽内にセットしてある
Taのターゲットに対向して上方を往復できるよう基板搬
送用トレイ3をセットし、つぎに前記槽内を真空ポンプ
で約5x10-6Torr以下までに脱気した後、該真空槽内
に、基板表面近傍側のO2ガス(但し、ターゲット表面側
吐出口からのO2ガス流量と基板表面側吐出口からのO2
ス流量の比は1:17とする)の圧力を約1.3 x10-3Torr
で、ターゲット表面側のスパッタガス(ArガスとO2
ス)とを併せて導入し、全圧力を約5.2 x10-3Torrに真
空度を保持し、前記Taのターゲットに約8kwの電力を印
加し、O2ガスならびにArとO2ガスによるDCマグネトロン
反応スパッタの中を、前記Taターゲット上方においてス
ピード約270mm /min で前記板ガラスを矢印方向に搬送
すること、すなわち基板上の任意点がターゲット上を通
過する時間である成膜時間が約45秒程度によって成膜
し、Ta2O5 薄膜を得た。
【0023】得られたTa2O5 薄膜は、約155nm の膜厚で
あって、光透過率は約86%程度と高光透過率であった。実施例2 実施例1と同様の方法で、基板表面側のO2ガスを、ター
ゲット表面側吐出口からのO2ガス流量と基板表面側吐出
口からのO2ガス流量の比は1:16とし、また前記Taター
ゲット上方においてスピード約285mm /min で前記板ガ
ラスを矢印方向に搬送すること、すなわち基板上の任意
点がターゲット上を通過する時間である成膜時間が約42
秒程度によって成膜し、Ta2O5 薄膜を得た。
【0024】得られたTa2O5 薄膜は、約100nm の膜厚で
あって、光透過率は約82%程度と高光透過率であった。
なお、前記実施例において、膜厚と光透過率の関係にお
ける光透過率の値は、多分に基板の温度的なものが影響
したものと推測され、一因と思われる。
【0025】比較例1 前記実施例1と2に対し、酸素ガスを分離独立の分配供
給をしないで、O2ガスをターゲット表面側吐出口からの
みの導入とし、前記Taのターゲットに約3.8kwの電力を
印加し、O2ガスとArガスによるDCマグネトロン反応スパ
ッタの中で行い、他の条件は前記実施例と同様の処理と
して成膜し、Ta2O5 薄膜を得た。
【0026】得られたTa2O5 薄膜は、約39nmの膜厚であ
って、光透過率は約81%程度と高光透過率であった。な
お、前記Taのターゲットに約3.8kw を超えるより大きい
印加電力とすると、成膜した薄膜はメタル状の薄膜とな
るものであった。
【0027】比較例2 前記比較例1に対し、O2ガスを基板表面側吐出口からの
みの導入とし、前記Taのターゲットに約4kwの電力を印
加し、O2ガスとArガスによるDCマグネトロン反応スパッ
タの中で行い、他の条件は前記実施例と同様の処理とし
て成膜し、Ta2O 5 薄膜を得た。
【0028】得られたTa2O5 薄膜は、約50nmの膜厚であ
って、光透過率は約74%程度と前記各例より低い光透過
率であった。なお、前記Taのターゲットに約4kwを超え
るより大きい印加電力とすると、成膜した薄膜はメタル
状の薄膜となるものであった。
【0029】各比較例は、各実施例に比して、成膜速度
は遅く、光透過率も比較的高くなく、必ずしも充分高効
率でかつ高光透過率のものが安定して、しかも確実に得
られるとは言い難いものである。
【0030】
【発明の効果】以上前述したように、本発明によれば、
真空蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法による酸
化物薄膜の成膜方法において、蒸着用材料から基板表面
に蒸着する際に、ことに酸素ガスを蒸着用材料表面近傍
側と基板表面近傍側とに分離独立して分配し供給するこ
とにより薄膜を成膜するので、高光透過率の酸化物薄膜
を高速でしかも高効率で成膜することができる有用な酸
化物薄膜の成膜方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸化物薄膜の成膜方法の一実施例
におけるスバッタリング装置の要部を示す概略縱断面図
である。
【符号の説明】 マグネトロンスパッタリング装置 2 基板 3 基板搬送用トレイ 4 ターゲット 5 Arガス吐出口 6 O2ガス吐出口(ターゲット面近傍) 7 O2ガス吐出口(基板面近傍) 8 防着板 9 トレイ下部中央域開口部 10 トレイ前壁面開口部 11 トレイ後壁面開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 忠彦 東京都品川区西大井1丁目6ー3 株式 会社ニコン大井製作所内 (72)発明者 中瀬 喜好 三重県多気郡明和町有爾中92ー1 (72)発明者 田尾 正人 三重県松阪市大黒田町1858 (72)発明者 稲葉 博司 三重県松阪市光町10ー12 (56)参考文献 特開 昭63−76868(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 C23C 14/00 - 14/58

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物理蒸着法によって基板の表面上に酸化
    物薄膜を成膜する方法において、酸素ガスと不活性ガス
    を用いて酸化物薄膜用の蒸着用材料から酸化物薄膜を成
    膜する基板表面に蒸着する際に、該両ガスのうち酸素ガ
    スを、前記蒸着用材料の表面近傍側と前記基板表面近傍
    側とに分離独立して分配し供給するようにし、蒸着用材
    料の粒子が低級状態に酸化され、酸化反応に対して活発
    な状態で飛び出し、基板表面に到達すると、基板表面近
    傍側に供給されている酸素ガスにより、低級酸化状態か
    ら酸化反応が加速度的に進行し、酸化物薄膜を成膜する
    ことを特徴とする酸化物薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1において、基板表面近傍へ
    の供給酸素量に対する蒸着用材料表面近傍への供給酸素
    量の比率を決定し、面内での膜厚分布ならびに光透過率
    分布を調整することを特徴とする光透過性の酸化物薄膜
    の成膜方法。
  3. 【請求項3】 スパッタ中に基板を載せた基板搬送用ト
    レイがターゲット上を移動して成膜するインライン式連
    続成膜装置において、酸素ガスと不活性ガスを用いて酸
    化物薄膜用の蒸着用材料から酸化物薄膜を成膜する基板
    表面に蒸着する際に、該両ガスのうち酸素ガスを、前記
    蒸着用材料の表面近傍側と前記基板表面近傍側とに分離
    独立して分配し供給するようにしたことを特徴とする酸
    化物薄膜の成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記分離独立して分配する手段が、防着
    板と該板を挟んで分離独立せしめて配置した各ガス吐出
    口とからなることを特徴とする請求項3記載の酸化物薄
    膜の成膜装置。
  5. 【請求項5】 基板表面側に分配した他のもう一つの酸
    素ガス吐出口を基板搬送用トレイがターゲット上に位置
    している際の基板の表面の下部近傍に設けることを特徴
    とする請求項3または4記載の酸化物薄膜の成膜装置。
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