JPH0715047B2 - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents
熱可塑性ポリエステル組成物Info
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- JPH0715047B2 JPH0715047B2 JP62250483A JP25048387A JPH0715047B2 JP H0715047 B2 JPH0715047 B2 JP H0715047B2 JP 62250483 A JP62250483 A JP 62250483A JP 25048387 A JP25048387 A JP 25048387A JP H0715047 B2 JPH0715047 B2 JP H0715047B2
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- Japan
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- weight
- parts
- calcium carbonate
- film
- carbonate particles
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- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱可塑性ポリエステル組成物に関するもので
あり、更に詳しくは表面を改質した炭酸カルシウム粒子
を熱可塑性ポリエステル中に均一に微分散せしめた滑り
性、耐摩耗性の優れたフィルムあるいは繊維を得るに適
した熱可塑性ポリエステル組成物に関するものである。
あり、更に詳しくは表面を改質した炭酸カルシウム粒子
を熱可塑性ポリエステル中に均一に微分散せしめた滑り
性、耐摩耗性の優れたフィルムあるいは繊維を得るに適
した熱可塑性ポリエステル組成物に関するものである。
[従来の技術] 一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレ
フタレートは優れた力学特性、化学特性を有しており、
フィルム、繊維などの成形品として広く用いられてい
る。
フタレートは優れた力学特性、化学特性を有しており、
フィルム、繊維などの成形品として広く用いられてい
る。
しかしながら該ポリエステルは成形品に加工する際に滑
り性不足のため生産性が低下するという問題点があっ
た。このような問題を改善する方法として、従来よりポ
リエステル中に不活性粒子を分散含有せしめ、成形品の
表面に凹凸を付与する方法が行なわれている。例えば特
開昭49−130448号公報ではビス脂肪酸アマイド化合物及
び脂肪酸エステル化合物で表面処理された炭酸カルシウ
ム、特開昭52−78953号公報では炭酸カルシウムと他の
粒子の併用が提案されている。これらの方法は滑り性の
問題解決には有効であるが、成形品とした場合には耐摩
耗性を満足すべきレベルとすることはできない。
り性不足のため生産性が低下するという問題点があっ
た。このような問題を改善する方法として、従来よりポ
リエステル中に不活性粒子を分散含有せしめ、成形品の
表面に凹凸を付与する方法が行なわれている。例えば特
開昭49−130448号公報ではビス脂肪酸アマイド化合物及
び脂肪酸エステル化合物で表面処理された炭酸カルシウ
ム、特開昭52−78953号公報では炭酸カルシウムと他の
粒子の併用が提案されている。これらの方法は滑り性の
問題解決には有効であるが、成形品とした場合には耐摩
耗性を満足すべきレベルとすることはできない。
成形品、例えば磁気テープ用フィルムの耐摩耗性が低い
場合、磁気テープの製造工程中にフィルムの摩耗粉が発
生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で塗布抜けが生
じ、その結果磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)等を
引き起こす。また磁気テープを使用する際は多くの場
合、記録、再生機器等と接触しながら走行させるため、
接触時に生じる摩耗粉が磁性体上に付着し、記録、再生
時に磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)を生じる。す
なわち、磁気テープ用フィルムは磁気テープ製造工程中
においても又磁気テープとして使用する場合においても
滑り性や耐摩耗性を有することが必要となる。耐摩耗性
を向上させる手法として、例えば特開昭60−197755号公
報においては熱減量率を規定した炭酸カルシウム粒子に
よる方法や、特開昭60−71632号公報においてはカルボ
ン酸化合物による炭酸カルシウム粒子の表面処理が提案
されている。しかしこれらの方法を採用してもなお炭酸
カルシウム粒子とポリエステルとの親和性が不足し、耐
摩耗性はいまだ十分でない。
場合、磁気テープの製造工程中にフィルムの摩耗粉が発
生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で塗布抜けが生
じ、その結果磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)等を
引き起こす。また磁気テープを使用する際は多くの場
合、記録、再生機器等と接触しながら走行させるため、
接触時に生じる摩耗粉が磁性体上に付着し、記録、再生
時に磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)を生じる。す
なわち、磁気テープ用フィルムは磁気テープ製造工程中
においても又磁気テープとして使用する場合においても
滑り性や耐摩耗性を有することが必要となる。耐摩耗性
を向上させる手法として、例えば特開昭60−197755号公
報においては熱減量率を規定した炭酸カルシウム粒子に
よる方法や、特開昭60−71632号公報においてはカルボ
ン酸化合物による炭酸カルシウム粒子の表面処理が提案
されている。しかしこれらの方法を採用してもなお炭酸
カルシウム粒子とポリエステルとの親和性が不足し、耐
摩耗性はいまだ十分でない。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、前記した従来技術の欠点を解消するこ
とにあり、特に炭酸カルシウム粒子と熱可塑性ポリエス
テルとの親和性を向上させ、滑り性、耐摩耗性ともに優
れたフィルム、繊維を製造し得るポリエステル組成物を
得ることにある。
とにあり、特に炭酸カルシウム粒子と熱可塑性ポリエス
テルとの親和性を向上させ、滑り性、耐摩耗性ともに優
れたフィルム、繊維を製造し得るポリエステル組成物を
得ることにある。
[問題点を解決するための手段] 前記した本発明の目的は、表面の一部または全表面にリ
ン酸カルシウムが形成されている炭酸カルシウム粒子を
含有してなる熱可塑性ポリエステル組成物によって達成
できる。
ン酸カルシウムが形成されている炭酸カルシウム粒子を
含有してなる熱可塑性ポリエステル組成物によって達成
できる。
本発明におけるリン酸カルシウムとは、ポリリン酸(PnO
3n+1)(n+2)-(ここでn=2〜6)とカルシウムとの塩
を主成分とするものであり、該リン酸カルシウムは例え
ば炭酸カルシウム粒子のグリコールスラリを攪拌しなが
ら希リン酸を作用させるなどして得られるものである。
該リン酸カルシウムは単一成分または混合成分であって
もよく、特に好ましいリン酸カルシウムはX線回折で回
折パターンを示さない非晶質リン酸カルシウムである。
3n+1)(n+2)-(ここでn=2〜6)とカルシウムとの塩
を主成分とするものであり、該リン酸カルシウムは例え
ば炭酸カルシウム粒子のグリコールスラリを攪拌しなが
ら希リン酸を作用させるなどして得られるものである。
該リン酸カルシウムは単一成分または混合成分であって
もよく、特に好ましいリン酸カルシウムはX線回折で回
折パターンを示さない非晶質リン酸カルシウムである。
また、本発明においてリン酸カルシウムは、少なくとも
炭酸カルシウム粒子表面の一部または全体に形成され、
ポリエステルの親和性を高めていることが必要である。
なお炭酸カルシウム粒子の表面の少なくとも一部にリン
酸カルシウムが存在することは、該粒子(A)1gと塩化
水素0.35gを1の蒸留水中で常温下10分間から30分間
攪拌し、通常の方法でもって固体部分と液体部分に別
し、固体部分を乾燥して得られる粒子(B)の拡散反射
赤外吸収差スペクトル((A)(B))における1000〜
1200cm-1領域のリン酸塩帰属ピークの検出によって確認
できる。また、上述した粒子(A)と粒子(B)のリン
元素とカルシウム元素を通常の螢光X線分析、カルシウ
ム元素は原子吸収分析法、リン元素は比色定量法などに
よって分析すると粒子(A)に対して粒子(B)はリン
元素/カルシウム元素の比が顕著に低下しており、この
ことからも粒子表面にリン化合物が偏在することがわか
る。該リン酸カルシウムの量は炭酸カルシウム粒子100
重量部に対して好ましくは0.01〜100重量部、更に好ま
しくは0.1〜30重量部、一層好ましくは0.5〜10重量部で
ある。
炭酸カルシウム粒子表面の一部または全体に形成され、
ポリエステルの親和性を高めていることが必要である。
なお炭酸カルシウム粒子の表面の少なくとも一部にリン
酸カルシウムが存在することは、該粒子(A)1gと塩化
水素0.35gを1の蒸留水中で常温下10分間から30分間
攪拌し、通常の方法でもって固体部分と液体部分に別
し、固体部分を乾燥して得られる粒子(B)の拡散反射
赤外吸収差スペクトル((A)(B))における1000〜
1200cm-1領域のリン酸塩帰属ピークの検出によって確認
できる。また、上述した粒子(A)と粒子(B)のリン
元素とカルシウム元素を通常の螢光X線分析、カルシウ
ム元素は原子吸収分析法、リン元素は比色定量法などに
よって分析すると粒子(A)に対して粒子(B)はリン
元素/カルシウム元素の比が顕著に低下しており、この
ことからも粒子表面にリン化合物が偏在することがわか
る。該リン酸カルシウムの量は炭酸カルシウム粒子100
重量部に対して好ましくは0.01〜100重量部、更に好ま
しくは0.1〜30重量部、一層好ましくは0.5〜10重量部で
ある。
リン酸カルシウムの量が炭酸カルシウム粒子100重量部
に対し0.01重量部未満であると耐摩耗性に対して十分な
効果が得にくい。一方、100重量部を越えると熱可塑性
ポリエステルの重縮合反応中に添加した場合、反応性を
鈍らせ重合時間がのびることになる。本発明における炭
酸カルシウム粒子は天然石灰石を粉砕した重質炭酸カル
シウムでも、合成による沈降炭酸カルシウムであっても
よい。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径は熱可塑性ポリ
エステル組成物からの成形品の目的に応じて任意に選ぶ
ことができるが、フィルムあるいは繊維に用いる際には
好ましくは0.01〜5.0μm、更に好ましくは0.1〜3.0μ
mが使用される。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径0.01
μm未満であると成形品の滑り性が十分でなく、一方、
5.0μmを越えると粗大な突起が成形品に発生するため
に好ましくない。なお平均粒子径とは通常の沈降法で測
定した全粒子の50重量%の点にある粒子の相当球直径で
ある。
に対し0.01重量部未満であると耐摩耗性に対して十分な
効果が得にくい。一方、100重量部を越えると熱可塑性
ポリエステルの重縮合反応中に添加した場合、反応性を
鈍らせ重合時間がのびることになる。本発明における炭
酸カルシウム粒子は天然石灰石を粉砕した重質炭酸カル
シウムでも、合成による沈降炭酸カルシウムであっても
よい。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径は熱可塑性ポリ
エステル組成物からの成形品の目的に応じて任意に選ぶ
ことができるが、フィルムあるいは繊維に用いる際には
好ましくは0.01〜5.0μm、更に好ましくは0.1〜3.0μ
mが使用される。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径0.01
μm未満であると成形品の滑り性が十分でなく、一方、
5.0μmを越えると粗大な突起が成形品に発生するため
に好ましくない。なお平均粒子径とは通常の沈降法で測
定した全粒子の50重量%の点にある粒子の相当球直径で
ある。
本発明において用いられるポリエステルは芳香族ジカル
ボン酸あるいはそのジアルキルエステル等の二官能性成
分とグリコール成分を原料として重縮合反応によって製
造されるものである。特にこのうちポリエチレンテレフ
タレートを主体とするものが好ましい。このポリエチレ
ンテレフタレートを主体とするポリエステルは、ホモポ
リエステルであってもコポリエステルであってもよく、
共重合成分の例としてはアジピン酸、セバシン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン
酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カル
ボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカ
ルボン酸成分、およびテトラメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシ
アルキレングリコール、p−キシリレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、5−ナトリウムスル
ホレゾルシン等のジオール成分が挙げられる。なお炭酸
カルシウム粒子を熱可塑性ポリエステルへ含有せしめる
ための添加時期は任意でよいが、好ましくはエステル交
換反応前またはエステル化反応前から重縮合反応前の間
である。
ボン酸あるいはそのジアルキルエステル等の二官能性成
分とグリコール成分を原料として重縮合反応によって製
造されるものである。特にこのうちポリエチレンテレフ
タレートを主体とするものが好ましい。このポリエチレ
ンテレフタレートを主体とするポリエステルは、ホモポ
リエステルであってもコポリエステルであってもよく、
共重合成分の例としてはアジピン酸、セバシン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン
酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カル
ボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカ
ルボン酸成分、およびテトラメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシ
アルキレングリコール、p−キシリレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、5−ナトリウムスル
ホレゾルシン等のジオール成分が挙げられる。なお炭酸
カルシウム粒子を熱可塑性ポリエステルへ含有せしめる
ための添加時期は任意でよいが、好ましくはエステル交
換反応前またはエステル化反応前から重縮合反応前の間
である。
[実施例] 次に本発明を実施例及び比較例により具体的に説明す
る。
る。
ここで耐摩耗性の評価はポリエステル組成物をフィルム
とし、細幅にスリットしたテープ状ロールをステンレス
鋼SUS−304製ガイドロールに一定張力で高速、長時間こ
すりつけガイドロール表面に発生する白粉量によって次
のようにランク付けした。
とし、細幅にスリットしたテープ状ロールをステンレス
鋼SUS−304製ガイドロールに一定張力で高速、長時間こ
すりつけガイドロール表面に発生する白粉量によって次
のようにランク付けした。
A級………白粉発生まったくなし B級………白粉発生あり C級………白粉発生多い なおこのうちA級を合格とした。
静摩擦係数はASTM−D−1894B法によって測定し、フィ
ルム表面粗さはJISB0601に準じサーフコム表面粗さ計を
用い、針径2μm、荷重70mg、測定基準長0.25mm、カッ
トオフ0.08mmの条件下で測定した中心線平均粗さ(Ra)
を採用した。また実施例中の[η]はフェノール:テト
ラクロルエタン=1:1(重量比)の混合溶媒中30℃で求
めた極限粘度である。
ルム表面粗さはJISB0601に準じサーフコム表面粗さ計を
用い、針径2μm、荷重70mg、測定基準長0.25mm、カッ
トオフ0.08mmの条件下で測定した中心線平均粗さ(Ra)
を採用した。また実施例中の[η]はフェノール:テト
ラクロルエタン=1:1(重量比)の混合溶媒中30℃で求
めた極限粘度である。
実施例1 平均粒径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子8重量部、
エチレングリコール、92重量部を混合しサンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルト
リン酸0.34重量部をエチレングリコール10重量部に溶解
させ、オルトリン酸溶液を作り、前記合成炭酸カルシウ
ムのエチレングリコールスラリ100重量部と混合した。
エチレングリコール、92重量部を混合しサンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルト
リン酸0.34重量部をエチレングリコール10重量部に溶解
させ、オルトリン酸溶液を作り、前記合成炭酸カルシウ
ムのエチレングリコールスラリ100重量部と混合した。
混合したスラリは100℃に加熱し、3時間攪拌した。こ
のスラリを遠心分離し炭酸カルシウム粒子を単離した。
この炭酸カルシウムを本文記載のごとく、希薄塩酸で表
面を浸食して別分離後拡散反射赤外線吸収法で差スペ
クトルを測定した結果を図1に示した。図1には1000〜
1200cm-1にリン酸基のピークが見られ、リン酸カルシウ
ム(Ca3(PO4)2)が炭酸カルシウム粒子表面に形成して
いることを確認した。参考として図2に和光純薬工業
(株)製試薬Ca3(PO4)2拡散反射赤外線吸収法スペクト
ルを示した。なおX線回折では結晶質の存在は認められ
なかった。また螢光X線分析からリン元素をリン酸カル
シウムに換算してリン酸カルシウム量を計算すると、希
薄塩酸処理前は炭酸カルシウム粒子100重量部に対し6.5
重量部となり、処理後は0.8部となった。他方ジメチル
テレフタレート100重量部とエチレングリコール62重量
部、および0.06重量部の酢酸マグネシウムを加えてエス
テル交換反応を行い、さきに調整したスラリ2重量部と
0.03重量部の酸化アンチモンを加え、重縮合を行い
[η]=0.621のポリエチレンテレフタレート組成物を
得た。ここで得られたポリエチレンテレフタレート組成
物を290℃で溶融押し出しし、未延伸フィルムを得た。
さらにこれを90℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸
して220℃で10秒熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得
た。ここで得られたフィルムをフェノール;テトラクロ
ルエタンに1:1(重量比)混合溶媒に溶解させて遠心分
離し、炭酸カルシウム粒子を単離した。先に示した同様
の方法で差スペクトルを拡散反射赤外線吸収法で測定し
たところ図1と同様のピークが得られ、螢光X線分析か
らリン酸カルシウム量は炭酸カルシウム100重量部に対
し希薄塩酸処理前で6.5部となり、処理後は0.8部となっ
た。このフィルムはRa0.015と、静摩擦係数0.82であ
り、耐摩耗性の評価を行ったところA級となった。
のスラリを遠心分離し炭酸カルシウム粒子を単離した。
この炭酸カルシウムを本文記載のごとく、希薄塩酸で表
面を浸食して別分離後拡散反射赤外線吸収法で差スペ
クトルを測定した結果を図1に示した。図1には1000〜
1200cm-1にリン酸基のピークが見られ、リン酸カルシウ
ム(Ca3(PO4)2)が炭酸カルシウム粒子表面に形成して
いることを確認した。参考として図2に和光純薬工業
(株)製試薬Ca3(PO4)2拡散反射赤外線吸収法スペクト
ルを示した。なおX線回折では結晶質の存在は認められ
なかった。また螢光X線分析からリン元素をリン酸カル
シウムに換算してリン酸カルシウム量を計算すると、希
薄塩酸処理前は炭酸カルシウム粒子100重量部に対し6.5
重量部となり、処理後は0.8部となった。他方ジメチル
テレフタレート100重量部とエチレングリコール62重量
部、および0.06重量部の酢酸マグネシウムを加えてエス
テル交換反応を行い、さきに調整したスラリ2重量部と
0.03重量部の酸化アンチモンを加え、重縮合を行い
[η]=0.621のポリエチレンテレフタレート組成物を
得た。ここで得られたポリエチレンテレフタレート組成
物を290℃で溶融押し出しし、未延伸フィルムを得た。
さらにこれを90℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸
して220℃で10秒熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得
た。ここで得られたフィルムをフェノール;テトラクロ
ルエタンに1:1(重量比)混合溶媒に溶解させて遠心分
離し、炭酸カルシウム粒子を単離した。先に示した同様
の方法で差スペクトルを拡散反射赤外線吸収法で測定し
たところ図1と同様のピークが得られ、螢光X線分析か
らリン酸カルシウム量は炭酸カルシウム100重量部に対
し希薄塩酸処理前で6.5部となり、処理後は0.8部となっ
た。このフィルムはRa0.015と、静摩擦係数0.82であ
り、耐摩耗性の評価を行ったところA級となった。
実施例2 平均粒径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子8重量部、
エチレングリコール92重量部を混合しサンドグラインダ
ーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルトリ
ン酸0.01重量部をエチレングリコール1.5重量部に溶解
させ、オルトリン酸溶液を作り、前記した合成炭酸カル
シウムスラリ100重量部と混合した。
エチレングリコール92重量部を混合しサンドグラインダ
ーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルトリ
ン酸0.01重量部をエチレングリコール1.5重量部に溶解
させ、オルトリン酸溶液を作り、前記した合成炭酸カル
シウムスラリ100重量部と混合した。
混合したスラリを100℃に加熱し、3時間攪拌した。こ
のスラリ中の炭酸カルシウム粒子に形成したリン酸カル
シウムの量は、実施例1と同様に測定すると、炭酸カル
シウム粒子100重量部に対し0.18重量部となった。その
後、実施例1と同様に操作して[η]=0.620、厚さ15
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。こ
こで得られたフィルムを実施例1と同様に処理し、フィ
ルム中の粒子を単離して実施例1と同様に差スペクトル
と測定するとリン酸カルシウムの形成が確認できた。フ
ィルム中の炭酸カルシウム粒子に形成されているリン酸
カルシウム量は実施例1と同様に測定したところ炭酸カ
ルシウム粒子100重量部に対し、希薄塩酸処理前で0.18
重量部処理後で0.4部となった。このフィルムはRa0.01
8、静摩擦係数0.82であり、耐摩耗性の評価を行ったと
ころA級となった。
のスラリ中の炭酸カルシウム粒子に形成したリン酸カル
シウムの量は、実施例1と同様に測定すると、炭酸カル
シウム粒子100重量部に対し0.18重量部となった。その
後、実施例1と同様に操作して[η]=0.620、厚さ15
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。こ
こで得られたフィルムを実施例1と同様に処理し、フィ
ルム中の粒子を単離して実施例1と同様に差スペクトル
と測定するとリン酸カルシウムの形成が確認できた。フ
ィルム中の炭酸カルシウム粒子に形成されているリン酸
カルシウム量は実施例1と同様に測定したところ炭酸カ
ルシウム粒子100重量部に対し、希薄塩酸処理前で0.18
重量部処理後で0.4部となった。このフィルムはRa0.01
8、静摩擦係数0.82であり、耐摩耗性の評価を行ったと
ころA級となった。
比較実施例1 平均粒径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子8重量部、
エチレングリコール92重量部、ピロリン酸ナトリウム10
水塩0.4重量部を混合し、サンドグラインダーで処理
し、100.4重量部のスラリを得た。他方、ジメチルテレ
フタレート100重量部とエチレングリコール62重量部お
よび0.06重量部の酸化マグネシウムを加えてエステル交
換反応を行い、先に調整したスラリ2重量部、0.03重量
部の酸化アンチモンを加え重縮合を行い[η]=0.619
のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。ここで得
られたポリエチレンテレフタレート組成物を290℃で溶
融押し出しし、未延伸フィルムを得た。さらにこれを90
℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸して220℃で10
秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得た。
エチレングリコール92重量部、ピロリン酸ナトリウム10
水塩0.4重量部を混合し、サンドグラインダーで処理
し、100.4重量部のスラリを得た。他方、ジメチルテレ
フタレート100重量部とエチレングリコール62重量部お
よび0.06重量部の酸化マグネシウムを加えてエステル交
換反応を行い、先に調整したスラリ2重量部、0.03重量
部の酸化アンチモンを加え重縮合を行い[η]=0.619
のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。ここで得
られたポリエチレンテレフタレート組成物を290℃で溶
融押し出しし、未延伸フィルムを得た。さらにこれを90
℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸して220℃で10
秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得た。
このフィルムはRa0.018、静摩擦係数0.80であり、耐摩
耗性の評価を行なったところB級となった。
耗性の評価を行なったところB級となった。
比較実施例2 平均粒径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子8重量部、
エチレングリコール92重量部を混合し、サンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルト
リン酸0.01重量部をエチレングリコール1.5重量部に溶
解させ、オルトリン酸溶液を作り、前記の合成炭酸カル
シウムスラリ100重量部と混合した。混合したスラリを6
0℃に加熱し、2時間攪拌した。このスラリ中の炭酸カ
ルシウム粒子に形成したリン酸カルシウムの量は、実施
例1と同様に測定すると炭酸カルシウム粒子100重量部
に対し0.01重量部未満となった。その後実施例と同様に
操作して[η]=0.620、厚さ15μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムを得た。ここで得られたフィルム
を実施例1と同様に処理し、フィルム中の粒子を単離し
て実施例1と同様に差スペクトルを測定するとリン酸カ
ルシウムの形成が確認できた。フィルム中の炭酸カルシ
ウムに形成されているリン酸カルシウム量は実施例1と
同様に測定したところ、炭酸カルシウム100重量部に対
し、希薄塩酸処理前で0.01重量部未満となった。このフ
ィルムはRa0.017、静摩擦係数0.83であり、耐摩耗性は
C級となった。
エチレングリコール92重量部を混合し、サンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。次にオルト
リン酸0.01重量部をエチレングリコール1.5重量部に溶
解させ、オルトリン酸溶液を作り、前記の合成炭酸カル
シウムスラリ100重量部と混合した。混合したスラリを6
0℃に加熱し、2時間攪拌した。このスラリ中の炭酸カ
ルシウム粒子に形成したリン酸カルシウムの量は、実施
例1と同様に測定すると炭酸カルシウム粒子100重量部
に対し0.01重量部未満となった。その後実施例と同様に
操作して[η]=0.620、厚さ15μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムを得た。ここで得られたフィルム
を実施例1と同様に処理し、フィルム中の粒子を単離し
て実施例1と同様に差スペクトルを測定するとリン酸カ
ルシウムの形成が確認できた。フィルム中の炭酸カルシ
ウムに形成されているリン酸カルシウム量は実施例1と
同様に測定したところ、炭酸カルシウム100重量部に対
し、希薄塩酸処理前で0.01重量部未満となった。このフ
ィルムはRa0.017、静摩擦係数0.83であり、耐摩耗性は
C級となった。
比較実施例3 平均粒子径0.3μmの第三リン酸カルシウム8重量部、
エチレングリコール92重量部を混合し、サンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。他方ジメチ
ルテレフタレート100重量部、エチレングリコール62重
量部および0.06重量部の酢酸マグネシウムを加えてエス
テル交換反応を行い、先に調整したスラリ2重量部、0.
03重量部の三酸化アンチモンを加え重縮合を行い[η]
=0.615のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。
ここで得られたポリエチレンテレフタレート組成物を29
0℃で溶融押し出しし、未延伸フィルムを得た。さらに
これを90℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸して22
0℃で10秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得た。
このフィルムはRa0.005、静摩擦係数1.05であり、耐摩
耗性の評価を行ったところC級となった。
エチレングリコール92重量部を混合し、サンドグライン
ダーで処理し、100重量部のスラリを得た。他方ジメチ
ルテレフタレート100重量部、エチレングリコール62重
量部および0.06重量部の酢酸マグネシウムを加えてエス
テル交換反応を行い、先に調整したスラリ2重量部、0.
03重量部の三酸化アンチモンを加え重縮合を行い[η]
=0.615のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。
ここで得られたポリエチレンテレフタレート組成物を29
0℃で溶融押し出しし、未延伸フィルムを得た。さらに
これを90℃で縦および横方向へそれぞれ3倍延伸して22
0℃で10秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得た。
このフィルムはRa0.005、静摩擦係数1.05であり、耐摩
耗性の評価を行ったところC級となった。
実施例1,2および比較例1〜3の結果を表1にまとめ
た。
た。
[発明の効果] 本発明のポリエステル中の炭酸カルシウム粒子はポリエ
ステルとの親和性が良好であるため、ポリエステル組成
物の耐摩耗性が良好である。したがって、本発明のポリ
エステル組成物はポリエステル繊維、フィルム、あるい
はその他の成形品においても有効であるが、特に繰り返
し摩擦使用される磁気テープに好ましく用いることがで
きる。
ステルとの親和性が良好であるため、ポリエステル組成
物の耐摩耗性が良好である。したがって、本発明のポリ
エステル組成物はポリエステル繊維、フィルム、あるい
はその他の成形品においても有効であるが、特に繰り返
し摩擦使用される磁気テープに好ましく用いることがで
きる。
第1図は炭酸カルシウム粒子の希薄塩酸処理した前後の
拡散反射赤外吸収差スペクトルである。第2図は第三リ
ン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)拡散反射赤外線吸収法ス
ペクトルである。
拡散反射赤外吸収差スペクトルである。第2図は第三リ
ン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)拡散反射赤外線吸収法ス
ペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 7:00
Claims (1)
- 【請求項1】表面の一部または全表面にリン酸カルシウ
ムが形成されている炭酸カルシウム粒子を含有してなる
熱可塑性ポリエステル組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62250483A JPH0715047B2 (ja) | 1987-10-02 | 1987-10-02 | 熱可塑性ポリエステル組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62250483A JPH0715047B2 (ja) | 1987-10-02 | 1987-10-02 | 熱可塑性ポリエステル組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0192265A JPH0192265A (ja) | 1989-04-11 |
JPH0715047B2 true JPH0715047B2 (ja) | 1995-02-22 |
Family
ID=17208528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62250483A Expired - Lifetime JPH0715047B2 (ja) | 1987-10-02 | 1987-10-02 | 熱可塑性ポリエステル組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0715047B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2658483B2 (ja) * | 1990-03-29 | 1997-09-30 | 東レ株式会社 | 熱可塑性ポリエステル組成物 |
KR100658377B1 (ko) * | 1999-02-22 | 2006-12-15 | 마루오 칼슘 가부시키가이샤 | 합성수지용 첨가제 및 합성수지 조성물 |
JP2011011924A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-20 | Maruo Calcium Co Ltd | アモルファスリン酸カルシウムを被覆した炭酸カルシウム系樹脂用充填材、及びこれを配合してなる樹脂組成物 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5730813A (en) * | 1980-07-31 | 1982-02-19 | Shimadzu Corp | Connector for multicore optical fiber |
JPS6128522A (ja) * | 1984-07-18 | 1986-02-08 | Toyobo Co Ltd | ポリエステルの製造法 |
-
1987
- 1987-10-02 JP JP62250483A patent/JPH0715047B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5730813A (en) * | 1980-07-31 | 1982-02-19 | Shimadzu Corp | Connector for multicore optical fiber |
JPS6128522A (ja) * | 1984-07-18 | 1986-02-08 | Toyobo Co Ltd | ポリエステルの製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0192265A (ja) | 1989-04-11 |
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Legal Events
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