JPH0715039B2 - ブロー成形用樹脂組成物 - Google Patents

ブロー成形用樹脂組成物

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JPH0715039B2
JPH0715039B2 JP2037275A JP3727590A JPH0715039B2 JP H0715039 B2 JPH0715039 B2 JP H0715039B2 JP 2037275 A JP2037275 A JP 2037275A JP 3727590 A JP3727590 A JP 3727590A JP H0715039 B2 JPH0715039 B2 JP H0715039B2
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copolymer
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淳 七沢
憲章 梅田
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、大型部品のブロー成形に適し、かつ塗装性に
優れたブロー成形用樹脂組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
ブロー成形法は、中空容器を成形する技術としてポリオ
レフィン系樹脂を中心に利用されて来たが、比較的簡便
な装置を用いて大型成形品を得られることからエンジニ
アリング樹脂を用いた大型の構造部品を成形する技術と
しても注目されている。一方、ブロー成形による成形品
は、射出成形による成形品と比較すると外観が必ずしも
良好ではないという欠点があるため、外観の良好な製品
が求められる場合、成形品表面をサンドペーパーで仕上
げるサンディング処理、バフがけ、塗装等の仕上げを必
要とする。従来よりブロー成形性に優れるといわれてい
るポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
アミド等の樹脂材料は、必ずしも塗装性が良好ではな
く、塗膜の密着強度が低い場合が多い。また、ポリフェ
ニレンオキサイドを一成分とする樹脂組成物やポリスチ
レンは耐薬品性に劣るため、塗装時にシンナー等により
ストレスクラックを生じて塗料をすいこみ、表面光沢が
失なわれる“すいこみ”現象を起こす場合がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体である、いわゆるABS樹脂は、塗膜の密着性に優
れ、かつ塗料のすいこみも起こしにくい樹脂材料である
が、この樹脂の特徴のひとつが射出成形品の表面外観の
良さにあるため、あえてブロー成形用材料として検討さ
れることは無かった。また、射出成形法による加工を前
提に設計されたABS樹脂をブロー成形しようとしても、
パリソンの強度が低くドローダウンし易いため、大型成
形品を得るに到らなかった。
本発明は、サンディング処理を必要としない良好な表面
を有した大型のブロー成形品が容易に得られ、かつ塗装
性の良好な樹脂材料を提供することを課題とするもので
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記課題を解決するため研究した結果、特
定の組成を有し且つ特定の分子量及び分子量分布を有す
る樹脂組成物によって該課題が解決できることを見出
し、本発明を完成した。
すなわち、本発明はゴム質重合体(B)にシアン化ビニ
ル化合物(A)と芳香族ビニル化合物(S)を共重合し
てなるグラフト共重合体(I)及び(A),(S)を共
重合してなる共重合体(II)よりなる樹脂組成物であっ
て、下記(i)〜(iii)の特徴を有するブロー成形用
樹脂組成物を用いるものである。
(i) 該樹脂組成物中の(B)が10〜30重量%、 (ii) (B)を除く成分中の(A)の含有量が34〜50
重量%、 (iii)該樹脂組成物のアセトン可溶分の還元粘度が0.6
5〜1.5の範囲にあり、かつポリスチレン換算の重量平均
分子量と数平均分子量の比が2.5〜4.0にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に、ブロー成形性に優れた樹脂、すなわち大型のパ
リソンを成形してもドローダウンしない樹脂とは、低い
歪速度領域における樹脂の溶融粘度の高い樹脂と云われ
る。ABS樹脂において、溶融粘度を高める手段として
は、(イ)ゴム質重合体の含有率を上げる、(ロ)A−
Sよりなる共重合体の分子量を上げる、(ハ)A−Sに
第3成分を共重合し、A−Sのガラス転移温度を上げる
ことが挙げられる。かかる観点からブロー成形に適した
ABS樹脂に関し鋭意検討したところ、本発明者らはただ
単に、溶融粘度を高めただけの樹脂では安定した大型パ
リソンが得られず、A−S成分の分子量の分布がブロー
成形性に大きく関与していることを発見した。すなわ
ち、ゴム質重合体の含有率を上げると溶融粘度は上がる
が溶融張力(メルトテンション)は低下し安定なパリソ
ンが得られない。またガラス転移温度を上げるとスクリ
ューで十分可塑化されず、良好な外観のパリソンが得ら
れない。更に単に分子量の高いA−Sを用いた場合もス
クリューで可塑化されないため、安定した肉厚の均一な
パリソンは得られない。すなわち、分子量の高いA−S
成分と分子量の低いA−S成分がともに存在し、かつ、
平均分子量が大きいA−Sを有する樹脂組成物のみが優
れたブロー成形性を有する。
本発明の樹脂組成物は、ゴム質重合体に化学的に結合し
たシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物よりなる
共重合体を有するグラフト共重合体(I)とシアン化ビ
ニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体(II)によ
り構成される。共重合体(II)は、グラフト共重合反応
(以下反応1と称する)を実施し、共重合体(I)を作
成する時に、グラフト結合せずに生じたもの(以下、共
重合体II−1と称する)と、グラフト反応とは別途の共
重合反応(以下反応2と称する)により得られた共重合
体(以下共重合体II−2と称する)より構成される。樹
脂組成物中の共重合体(II)は、樹脂組成物のアセトン
可溶分として分離が可能である。
本樹脂組成物が良好なブロー成形性を有するためには、
樹脂組成物のアセトン可溶分のηsp/C(30℃、メチルエ
チルケトン溶媒、0.5重量%濃度で測定)が0.65以上、
好しくは、0.7以上に調整し、かつ、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーにより測定したポリセチレン換
算分子量に於いて、(重量平均分子量/数平均分子量)
の値が2.5以上、好ましくは3.0以上とすることが必要で
ある。分子量に分布を持たせる方法には特に制限は無い
が、共重合体(II−1)と共重合体(II−2)の分子量
を別々に設定する方法が簡便であり、(II−1)のηsp
/Cを0.4〜0.6、(II−2)のηsp/Cを0.7〜1.7となるよ
う重合を行ない、混合使用する方法が挙げられる。
ブロー成形によって得られた成形品は、一般に塗装を施
される場合が多い。
ブロー成形品は成形歪が比較的残りにくいので塗装性に
は、使用する樹脂材料の組成が主として関与する。本発
明の樹脂組成物にあってはゴム質重合体を除く樹脂成分
中のシアン化ビニル化合物単位の含有率が重要であり、
34〜50重量%が好適であり、36−44重量%が更に好適で
ある。含有率が34重量%未満では、塗料又はシンナーに
よる成形品表面のストレスクラックにより塗料のすいこ
みを防ぎにくく50重量%を越えると、バリ部分をリワー
クする際に樹脂が着色し好ましくない。含有率は通常の
赤外線分光光度計により測定できる。
本樹脂組成物に於けるゴム質重合体としては、ポリブタ
ジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体といったジエン系ゴム質重合
体、ブチルアクリレート−メチルメタアクリルレート−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリルゴ
ム、エチレン−プロピレン共重合ゴムといった飽和ゴム
質重合体が挙げられる。シアン化ビニル化合物としては
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、芳香族ビニ
ル化合物としてはスチレン、αメチルスチレンが挙げら
れる。
本樹脂組成物の製造方法には特に制約はなく、公知の方
法、すなわち溶液重合、懸濁重合、乳化重合法が適宜使
用でき、グラフト共重合反応(1)を乳化重合法で行な
い、共重合反応(2)を溶液重合法で行なって、両者を
混合使用することも可能である。
本樹脂組成物に対し公知の熱安定剤、紫外線吸収剤、離
型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤を加えること
は任意である。
〔発明の効果〕
本発明のブロー成形用樹脂組成物は、従来のABS樹脂に
はなかった優れたブロー成形性を有し、且つ塗装性に優
れているという効果を有する。よって、本発明組成物に
よって表面外観性の優れた大型ブロー成形品を容易に提
供することが可能となった。
〔実 施 例〕 以下、実施例に基き、本発明を説明する。
(1) グラフト共重合反応1(G−1) ポリブタジエンゴムラテックス(3000Å)ゴム固形分40
部、脱イオン水100部、ロジン酸カリウム0.3部、t−ド
デシルメルカプタン0.2部を還流冷却器付き重合槽に入
れ、気相部を窒素置換しながら70℃に昇温した。アクリ
ロニトリル24部、スチレン36部、クメンハイドロパーオ
キサイド0.15部、t−ドデシルメルカプタン0.4部の混
合液、及び脱イオン水50部にナトリウムホルムアルデヒ
ドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.004部、エチレ
ンジアミンテトラ酢酸ナトリウム0.04部を加えてなる水
溶液を、7時間にわたり連続追添加して、反応させた。
この間、重合系の温度を70℃にコントロールし、追添加
終了後に更にクメンハイドロパーオキサイド0.02部を加
え、1時間その状態を維持して、反応を完結した。モノ
マー転化率は96%であった。
得られたラテックスの一部を凍結し、固形分を分離・乾
燥して得た粉末をアセトンに溶解し、不溶分量から次式
により求めたグラフト率は50%、アセトン可溶分(共重
合体(II−1))のηsp/Cは0.42であった。
同ラテックスを硫酸マグネシウムを用いて塩析し、脱
水、乾燥し、ゴム質重合体41重量%含有のABSフレーク
を得た。同様の反応を追添加するt−ドデシルメルカプ
タンを0.1部で実施し、G−2を得た。分析値を表1に
示した。
(2) 共重合反応2 (2)− M−1〜M−7 完全混合型連続反応器を用い、アクリロニトリル、スチ
レン、エチルベンゼンよりなる単量体溶液を一定速度で
連続追添加しつつ重合系内の反応率を一定に保ち、アク
リロニトリル−スチレン共重合体を得た。この時、反応
温度、連続追添加する単量体の組成、エチルベンゼン使
用量を変え、表2に示した共重合体を得た。またスチレ
ンの一部をブチルアクリレートに置きかえた共重合体も
併せて作成した。
(2)− M−8 脱イオン水170重量部、アルケニルコハク酸カリウム
〔花王石鹸(株)製、ラテムルASK〕1.0重量部、不均化
ロジン酸カリウム1.0重量部、ナトリウムホルムアルデ
ヒドスルホキシレート0.4重量部、硫酸第一鉄0.004重量
部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩0.008
重量部を還流冷却器付き重合槽に入れ、気相部を窒素置
換しながら65℃に昇温した。次いで、これにアクリロニ
トリル35重量部、α−メチルスチレン35重量部、スチレ
ン30重量部、クメンハイドロパーオキシド0.25重量部か
ら成る混合液及び脱イオン水80重量部、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート0.1重量部、硫酸第一鉄
0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウ
ム塩0.002重量部から成る水溶液を8時間にわたり連続
的に追添加し反応させた。この間重合温度を65℃に調節
し、追添加終了後、さらに1時間その状態を維持して重
合を完結させた。
得られた共重合体ラテックスから凍結法により樹脂分を
分離し、十分水洗した後真空乾燥し、フレークを得た。
M−1〜M−8の分析値を一括して表2に示した。
実施例 1 G−1を30重量部、M−1を70重量部に、エチレンビス
ステアリルアミド0.5重量部、熱安定剤(スミライザ B
HT)0.5部を添加し押出機を用い混練し、ペレットを得
た。
得られたペレットをブロー成形機(プラコー(株)DA−
753型)を用い円筒を成形した。
この時、長さ1.5mのパリソンが30秒以上ドローダウンせ
ず、ブロー成形性は極めて良好であった。
得られた成形品に塗料溶液(レクラック55:ノンブラッ
シング:169シンナー重量比=50:15:35)をスプレー塗装
し、80℃にて30分乾燥した後塗装表面のクラックの有
無、塗装のすいこみの有無を目視により観察したとこ
ろ、これら塗装不良現象は認められなかった。用いたペ
レットからアセトン可溶分を抽出し、30℃メチルエチル
ケトン溶媒のηsp/C(0.5重量%濃度にて測定)及び、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn
(重量平均分子量と数平均分子量の比:ともにポリスチ
レン換算値)を求めた。
実施例 2,3 G−1とM−1の比率を、それぞれ50:50、70:30に変え
て得たペレットに対し同様の試験を実施した。
実施例4〜7、比較例1〜5 グラフト共重合体(G−1,G−2)と共重合体(M−1
〜M−8)の組合せを変え同様の試験を実施し、結果を
表3にまとめた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定条件は、
以下である。
機 種)東洋ソーダ(株) HLC−802A型 カラム)TSKゲル 60cm 流 量)THF溶媒0.15wt% 溶液 1.3ml/min 温 度)38℃ 検出器)示差屈折計 尚、測定時間は60分とし、ポリスチレン換算で、重量平
均分子量280万〜2800のものを対象として、測定値を求
めた。
ブロー成形時に、1.5mのパリソンが30秒以上ドローダウ
ンしなかったもののブロー成形性を◎、同15秒以上ドロ
ーダウンしなかったものを○と判定した。ドローダウン
の激しかったもの、又はメルトフラクチャーを起こし均
一な肉厚のパリソンの得られなかったもののブロー成形
性を×と判定した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム質重合体(B)にシアン化ビニル化合
    物(A)と芳香族ビニル化合物(S)を共重合してなる
    グラフト共重合体(I)及びシアン化ビニル化合物
    (A)と芳香族ビニル化合物(S)の共重合体(II)よ
    りなる樹脂組成物であって、下記(i)〜(iii)の特
    徴を有するブロー成形性及び塗装性に優れたブロー成形
    用熱可塑性樹脂組成物。 (i) 該樹脂組成物中の(B)が10〜30重量%、 (ii) 該樹脂組成物において、Bを除く成分に占める
    (A)が34〜50重量%、 (iii)該樹脂組成物のアセトン可溶分の還元粘度が0.6
    5〜1.5の範囲にあり、かつポリスチレン換算の重量平均
    分子量と数平均分子量の比が2.5〜4.0にある。
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