JPH0714624U - トランス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種電子機器に使用されるトランスにおい
て、組立の作業性を向上させ、またショートリングの位
置ズレ、抜けをなくし、漏洩磁束の遮断効果を安定させ
るとともに、ショートリングとコイルとのショートを防
止しトランスの品質、生産性、信頼性の向上を図ること
を目的としたものである。 【構成】 コイル４をボビン３に巻回し、これに磁心５
を組み込んで構成したトランス本体を成形樹脂等からな
る絶縁ケース１０に収納し、その絶縁ケース１０の外周
に段差部１１を設け、銅等の導電体を溶接・成形プレス
等でリング状に加工したショートリング１２をその段差
部１１に図３のようにはめ込み、装着する構造としたも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は各種電子機器に使用されるトランスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、トランスは低ノイズ化のニーズに対応するため、漏洩磁束遮断技術が多 く利用されるようになってきた。

【０００３】 一般に、漏洩磁束遮断技術を用いたトランスとしては図１５，図１６に示すも のがある。

【０００４】 以下従来のトランスについて図１５および図１６を用いて説明する。 図１５は従来のトランスの結線図、図１６はトランスの斜視図である。図１５ において１はトランスの１次巻線、２は２次巻線である。図１６の３はボビン、 ４はコイル、５は磁心であり、６はショートリング、７は半田付け部である。

【０００５】 図１６においてボビン３に１次巻線１および２次巻線２からなるコイル４を巻 回し、これに磁心５を組み込んでトランス本体を構成している。ショートリング ６はある幅を持つ短冊状の銅箔等からなる導電体８をコイル４および磁心５の外 周に巻き付け、半田付け部７で電気的・機械的に接合し短絡回路を構成していた 。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記の従来の構成では、トランス本体に銅箔等の導電体８を巻き 付けて半田付け部７を形成して固定するため、組立の作業性が悪く、またショー トリング６の巻位置がずれ易く、コイル４等から発生する漏洩磁束の遮断効果が ばらつくとともに、ショートリング６とコイル４とのショートが発生する可能性 があった。

【０００７】 本考案は上記従来の問題点を解決するもので、組立の作業性を向上させ、また ショートリングの位置ズレ、抜けをなくすことにより、漏洩磁束の遮断効果を安 定させるとともに、ショートリングとコイルとのショートを防止しトランスの品 質、生産性、信頼性の向上を図ることを目的としたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この課題を解決するために本考案のトランスは、少なくとも１次巻線、２次巻 線を備え、これに磁心を組み込んで構成したトランス本体を収納した絶縁ケース の外周に導電体からなるショートリングを装着する部分に段差部を設け、この段 差部にショートリングの少なくとも一部がはまりこむような構成としたものであ る。

【０００９】

【作用】

この構成により、ショートリングをリング状に加工成形した後、絶縁ケースに 装着できるため、ショートリングの加工成形作業と取付作業を分けることができ 、組立の作業性が向上できるとともに自動化が容易になる。また絶縁ケースのシ ョートリングを装着する部分に、段差部を設けショートリングの一部がはまりこ むようにすることにより機械的に固定ができ、ショートリングの位置ズレおよび 抜けをなくすことができ、トランスの品質、生産性、信頼性の向上を図ることが できる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例について図面を参照しながら説明する。

【００１１】 図１は本考案の第１の実施例におけるトランス結線図、図２は同トランスの分 解斜視図、図３は同トランスの斜視図である。図１，図２に示す本考案の実施例 の構成は、基本的には図１５，図１６に示した従来のトランスと同じ構成である ので、同一構成部分には同一番号を付して詳細な説明を省略する。

【００１２】 図２において、従来例と大きく異なる点はトランス本体を絶縁ケース１０に収 納し、その絶縁ケース１０の外周に段差部１１を設け、ショートリング１２をは め込み装着した点である。

【００１３】 図１，図２，図３において、１次巻線１および２次巻線２からなるコイル４を ボビン３に巻回し、これに磁心５を組み込んで構成したトランス本体を成形樹脂 等からなる絶縁ケース１０に収納し、その絶縁ケース１０の外周に段差部１１を 設け、銅等の導電体を溶接・成形プレス等でリング状に加工したショートリング １２をその段差部１１に図３のようにはめ込み装着する構造としたものである。

【００１４】 このような構成にすることにより、コイル４とショートリング１２の絶縁がで き、またリング状に加工成形したショートリング１２を絶縁ケース１０に装着で きるため、ショートリング１２の加工成形作業と取付作業を分けることができ、 作業性が向上できるとともに自動化が容易にできる。また絶縁ケース１０のショ ートリング１２を装着する部分に段差部１１を設け、ショートリング１２の一部 をはめ込み絶縁ケース１０に機械的に固定するため、ショートリング１２の位置 ズレおよび抜けをなくすことができ、ショートリング１２の漏洩磁束遮断効果の ばらつきを小さくでき、トランスの品質、生産性、信頼性の向上を図ることがで きる。

【００１５】 以下本考案の第２の実施例について図面を参照しながら説明する。 図４は本考案の第２の実施例を示すトランスの分解斜視図、図５はトランスの 斜視図、図６は同トランスの上面を見た平面図、図７は同トランスの絶縁ケース が膨張したときのショートリングの変形を示す平面図である。

【００１６】 図４，図５において１３は絶縁ケース、１４はショートリングであり図３と同 様な構成である。図３と異なるのは絶縁ケース１３に磁心嵌合部１５に対して前 後方向に突出するコイル嵌合部１６を有し、またショートリング１４に曲げ加工 部１８を備えた点である。

【００１７】 図４，図５，図６において、磁心５が入る磁心嵌合部１５に対して前後方向に 突出し、コイル４が入るコイル嵌合部１６を有する絶縁ケース１３に、図４のよ うなリング状に成形したショートリング１４を挿入し、その磁心嵌合部１５とコ イル嵌合部１６との間に形成される段部１７で、ショートリング１４の曲げ加工 部１８を段部１７に沿うように図６の矢印のようにプレス等で押さえ、絶縁ケー ス１３に装着するような構成としたものである。

【００１８】 このような構成にすることにより、ショートリング１４を絶縁ケース１３に挿 入後、曲げ加工部１８を押さえることによりたるみを取ることができ、絶縁ケー ス１３にフィットした装着を可能とするとともに、ショートリング１４の内周長 を絶縁ケース１３の外周長に対し余裕を持った長さとすることができるため、絶 縁ケース１３への挿入が容易になり作業性が向上する。また図７に示すように、 絶縁ケース１３が熱等で膨張したとき、ショートリング１４は曲げ加工部１８が 矢印の方向に開き膨張の応力を吸収し、ショートリング１４および絶縁ケース１ ３の破損を防止でき、トランスの生産性および信頼性を向上させることができる 。

【００１９】 尚、第１の実施例において、図８，図９のように、段差部１１を突起としても 良い。また図１０，図１１，図１２のようにショートリング１２の一部を絶縁ケ ース１０の段差１１で折り曲げて装着しても良い。

【００２０】 また、第２の実施例でも図１３，図１４のような絶縁ケース１３、ショートリ ング１４の組み合わせでも可能である。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、コイルとショートリングの絶縁ができ、またリ ング状に加工成形したショートリングを絶縁ケースに装着できるため、ショート リングの加工成形作業と取付作業を分けることができ、作業性が向上できるとと もに自動化が容易にできる。また絶縁ケースのショートリングを装着する部分に 段差部を設け、ショートリングの一部をはめ込み絶縁ケースに機械的に固定する ため、ショートリングの位置ズレおよび抜けをなくすことができ、ショートリン グの漏洩磁束遮断効果のばらつきを小さくでき、トランスの品質、生産性、信頼 性の向上を図ることができる。

【００２２】 また磁心嵌合部に対して前後方向に突出するコイル嵌合部を有する絶縁ケース を用い、この磁心嵌合部とコイル嵌合部との間に形成される段部でショートリン グを段部に沿うように曲げ加工することによりたるみを取ることができ、絶縁ケ ースにフィットした装着を可能とするとともに、ショートリングの内周長を、絶 縁ケースの外周長に対し余裕を持った長さとすることができるため、絶縁ケース への挿入が容易になる。また絶縁ケースが熱等で膨張したとき、ショートリング は曲げ加工部が矢印の方向に開き膨張の応力を吸収し、ショートリングおよび絶 縁ケースの破損を防止でき、トランスの生産性および信頼性を大きく向上でき、 工業的価値が非常に大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示すトランスの結線図

【図２】同トランスの分解斜視図

【図３】同トランスの斜視図

【図４】本考案の第２の実施例を示すトランスの分解斜
視図

【図５】同トランスの斜視図

【図６】同トランスの上面を見た平面図

【図７】同トランスの絶縁ケースが膨張したときのショ
ートリングの変形応力を示す平面図

【図８】本考案の第１の実施例におけるトランスの他絶
縁ケース例を示す斜視図

【図９】同トランスの斜視図

【図１０】本考案の第１の実施例におけるトランスの他
絶縁ケース例を示す斜視図

【図１１】同トランスの斜視図

【図１２】同トランスのショートリング曲げ加工を示す
平面図

【図１３】本考案の第２の実施例におけるトランスの他
絶縁ケースおよびショートリング組み合わせ例を示す平
面図

【図１４】本考案の第２の実施例におけるトランスの他
絶縁ケースおよびショートリング組み合わせ例を示す平
面図

【図１５】従来のトランスの結線図

【図１６】同トランスの斜視図

【符号の説明】

１ １次巻線 ２ ２次巻線 ４ コイル １０ 絶縁ケース １１ 段差部 １２ ショートリング １５ 磁心嵌合部 １６ コイル嵌合部 １７ 段部 １８ 曲げ加工部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１次巻線、２次巻線を備えこ
   れに磁心を組み込んで構成したトランス本体を収納した
   絶縁ケースの外周に段差部を設け、この段差部に導電体
   からなるショートリングの少なくとも一部をはめ込み装
   着したトランス。
2. 【請求項２】 磁心嵌合部に対して前後方向に突出する
   コイル嵌合部を有する絶縁ケースを用い、この磁心嵌合
   部とコイル嵌合部との間に形成される段部でショートリ
   ングを段部に沿うように曲げ加工した請求項１記載のト
   ランス。