JPH07145100A - 潤滑オイル組成物 - Google Patents

潤滑オイル組成物

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JPH07145100A
JPH07145100A JP6189716A JP18971694A JPH07145100A JP H07145100 A JPH07145100 A JP H07145100A JP 6189716 A JP6189716 A JP 6189716A JP 18971694 A JP18971694 A JP 18971694A JP H07145100 A JPH07145100 A JP H07145100A
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Kenichi Sanechika
健一 実近
Masanori Ikeda
池田  正紀
Hiroyuki Fukui
弘行 福井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下記一般式(1)で表される含フッ素芳香族
化合物(A)と、ベンゼン環およびナフタレン環から選
ばれる芳香核にアルキル基が結合した構造あるいはその
誘導体であり、40℃での動粘度が0.1〜500セン
チストークスの範囲であることを特徴とする芳香族オイ
ル(B)よりなり、上記(A)成分を0.1〜99.9
重量%含有し、かつ40℃での動粘度が2〜500セン
チストークスの範囲であることを特徴とする潤滑オイル
組成物。 R(XRf)n (1) 〔XはOまたはS。nは1〜4の整数。Rは芳香核又は
複核構造、又はそれらの置換体。Rfはフッ素化炭化水
素基又はその炭素−炭素結合間にエーテル結合を含むも
の又はその置換体。〕 【効果】 低温領域から高温領域まで幅広い温度範囲で
ハイドロフルオロアルカン系冷媒及び含フッ素エーテル
系冷媒と良好な相溶性を示し、さらに低温流動性、潤滑
特性、低吸湿性、電気絶縁性耐久性等の特性が良好とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潤滑オイル組成物に関す
るものである。さらに詳しくは、フッ化アルカン、水素
原子含有含フッ素エーテル化合物、あるいはそれらの混
合物を冷媒として使用する冷凍システムに適した冷凍機
用の潤滑オイル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、主にCFC−12がカーエアコン
用や冷蔵庫用の冷凍機の冷媒として、また、HCFC−
22がルームエアコン用の冷凍機の冷媒として使用され
ているが、オゾン層保護の立場からCFC−12やHC
FC−22等の塩素含有冷媒に代替しうる冷媒の開発が
望まれている。
【0003】代替冷媒としては、前記した炭素数1〜5
の低級ハイドロフルオロカーボンが有望であるが、その
中でも特にHFC−134a等の炭素数1〜2のハイド
ロフルオロカーボンが好ましい。CFC−12やHCF
C−22を使用する冷凍システムでは、コンプレッサー
用の潤滑油として鉱油やアルキルベンゼンが使用されて
いる。CFC−12やHCFC−22は塩素原子を含む
ため高い親油性を有し、鉱油やアルキルベンゼンと広い
温度範囲で相溶性を示すので、冷媒が蒸発と凝縮を繰り
返す冷凍システムでも冷媒と潤滑油が分離することはな
い。
【0004】ところが、各種ハイドロフルオロカーボン
系冷媒や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒は塩素原
子を含まないため鉱油やアルキルベンゼン等の炭化水素
系化合物と十分な相溶性がなく、潤滑油として鉱油やア
ルキルベンゼン等の炭化水素系化合物を使用すると、例
えば、コンプレッサーで冷媒により潤滑油が置換されて
しまい、潤滑が不十分になったり、熱交換器の内壁に潤
滑油が付着して熱交換率が悪くなったりといった、数々
の重大な問題が発生する。
【0005】HFC−134a等のハイドロフルオロカ
ーボンや水素原子含有含フッ素エーテル化合物を冷媒と
して用いる冷凍機用の潤滑油としては、少なくとも0℃
〜50℃の範囲、好ましくは−20℃〜70℃の範囲、
特に好ましくは−40℃〜90℃の範囲、更にはそれよ
りも広い温度範囲でHFC−134a等のハイドロフル
オロカーボンや水素原子含有含フッ素エーテル化合物と
相溶性を示す必要がある。
【0006】これまでにHFC−134a等のハイドロ
フルオロカーボンと共に用いるためHFC−134a等
のハイドロフルオロカーボンと相溶性の良好な潤滑油と
して、各種のポリアルキレングリコール系化合物、ポリ
オールエステル系化合物およびポリカーボネート系化合
物が提案されている。例えば、米国特許第475531
6号明細書に開示されている、2つ以上の水酸基を有す
るポリアルキレングリコ―ル(特に、ポリオキシプロピ
レングリコ―ル)は、相溶性を示す温度範囲が広いとさ
れている。しかしながら、その相溶性を示す温度範囲は
潤滑油としてはまだ十分とは言えず、特に、高温領域で
の相溶性の改良が必要である。
【0007】また、ポリオキシアルキレングリコ―ル
は、潤滑油使用条件下での潤滑性が不十分であるし、ま
た、吸湿性が大きいため、金属の腐食、体積固有抵抗の
低下(冷蔵庫等の密閉型冷凍機で問題となる)等の問題
が起こり易く、実用的に優れた冷凍システム用潤滑油と
は言えない。また、特開平3−128991号公報、特
開平3−179091号公報等に開示されているポリオ
ールエステル系化合物や特開平5−32688号公報、
特開平5−86391号公報に開示されているポリカー
ボネート系化合物もHFC−134aとの相溶性に優れ
ているとされているが、極性基を含有するため吸湿性が
高く、耐加水分解性等の耐久性にも問題がある。
【0008】以上のようなポリアルキレングリコール、
ポリエステル系化合物やポリカーボネート系化合物以外
で、HFC−134aのようなハイドロフルオロカーボ
ンとの親和性が期待されるオイルとしてフッ素原子含有
オイルが考えられる。フッ素原子含有オイルに関する公
知文献として以下のような特許が出願されている。特開
昭60−96684号公報には、ヒートポンプ等に使用
されるフルオロカーボン系作動媒体(working
medium)において、フッ素化シリコーン、パーフ
ルオロポリエーテル等のフッ素系潤滑油を使用すると、
フルオロカーボン系作動媒体の耐熱性が向上することが
開示されている。この特許には、潤滑油と作動媒体とし
て使用されるハイドロフルオロカーボンとの相溶性につ
いては何の記載もされていない。また、特開平1−11
8598号公報には、パーフルオロポリエーテルやフッ
素化シリコーン等のフッ素化合物をフルオロカーボン系
冷媒用潤滑として使用することが開示されているが、こ
れらのフッ素化合物とハイドロフルオロカーボンの室温
付近以下の低温領域での相溶性に関しては全く議論され
ていない。
【0009】また、パーフルオロポリエーテルやフッ素
化シリコーン以外のフッ素化合物のハイドロフルオロカ
ーボンとの相溶性については全く記載されていない。そ
こで、本発明者は、特開昭60−96684号公報、特
開平1−118598号公報の実施例に挙げられている
パーフルオロポリエーテル(日本モンテジソン(株)製
Fomblin Y−06,Y−25,Y−45)を含
む下記のような各種構造のパーフルオロポリエーテル
と、HFC−134a、HFC−134、及びHFC−
152a等のフッ化アルカンとの相溶性を調べたとこ
ろ、室温付近以上では相溶性を示す場合もあるが、低温
領域での相溶性は不十分であり、HFC−134a、H
FC−134、及びHFC−152a等のフッ化アルカ
ンを冷媒として用いる冷凍機用の潤滑油としては適さな
いことが分かった。さらに、該当パーフルオロポリエー
テルはアルキルベンゼンや鉱油等の各種炭化水素系オイ
ルと全く相溶しないため、炭化水素系オイルと混合して
ハイドロフルオロカーボン系冷媒を使用する冷凍機用潤
滑油として使用することも出来ない。
【0010】
【化16】
【0011】一方、特開平5−86382号公報には一
般式(1)で表される構造を有する含フッ素芳香族化合
物が、低温領域から高温領域までの幅広い温度範囲でハ
イドロフルオロカーボン系冷媒と良好な相溶性を示し、
耐熱性、潤滑特性、耐久性等の物性が優れたものであ
り、単独でまたはパーフルオロポリエーテルオイル,極
性置換基を有するパーフルオロポリエーテルオイル,ク
ロロフルオロカーボン系オイル,ポリアルキレングリコ
ール系オイル,エステル系オイル,フッ素化シリコーン
オイル等の他のオイルと混合して、冷凍機用潤滑オイル
として使用する方法が開示されているが、より一層の低
温流動性、低吸湿性、電気絶縁性、潤滑性等の物性の向
上とコストの低減が望まれる。
【0012】本発明者等は、特開平5−86382号公
報に記載されている構造の潤滑オイルの特性の更なる向
上を図るべく検討を行った。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、低温
領域から高温領域まで幅広い温度範囲でHFC−134
a等のハイドロフルオロカーボン系冷媒、あるいは、水
素原子含有含フッ素エーテル系冷媒と良好な相溶性を示
し、かつ低温流動性、低吸湿性、電気絶縁性、耐久性、
潤滑特性、生物濃縮性等の安全性、低コスト等冷凍機用
高性能潤滑油に要求される全ての性能を満足する実用的
な潤滑オイル組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の点
に鑑みて、全ての性能を満足する冷凍機用の潤滑オイル
組成物を開発すべく鋭意検討した。すなわち、本発明の
主たる発明は、一般式(1)で表される含フッ素芳香族
化合物(A)と、ベンゼン環およびナフタレン環から選
ばれる芳香核にアルキル基が結合した構造あるいはその
誘導体であり、40℃での動粘度が0.1〜500セン
チストークスの範囲であることを特徴とする芳香族化合
物(B)よりなり、上記(A)成分を0.1〜99.9
重量%含有し、かつ40℃での動粘度が2〜500セン
チストークスの範囲であることを特徴とする潤滑オイル
組成物である。
【0015】R(XRf)n (1) [但し、Xは酸素原子または硫黄原子である。nは1〜
4の整数を表す。Rはべンゼン環およびナフタレン環よ
り選ばれる芳香核あるいは当該芳香核が連結された複核
構造、又はそれらの置換体である。R中の炭素原子数は
6〜60個の範囲であり、RとXRfの結合サイトの数
はn個である。R中の芳香核含有量は(芳香核を形成す
る炭素原子の数)/(R全体の炭素原子の数)の比とし
て0.10〜1.0の範囲である。
【0016】Rfはフルオロアルキル基、フルオロアル
キルアリール基、フルオロアルケニル基、フルオロアリ
ール基、フルオロアラアルキル基より選ばれるフッ素化
炭化水素基または当該フッ素化炭化水素基中の炭素−炭
素単結合間に1〜7個のエーテル結合を含むものおよび
それらの置換体を表す。Rf中の炭素原子数は1〜25
個の範囲であり、Rf中の(フッ素原子の数)/(炭素
原子の数)の比は0.6〜3の範囲である。
【0017】なお、nが2以上の場合には、一般式
(1)で表される化合物は、複数の種類の−XRf基よ
り構成されていてもよい。]しかし、本発明者等は各種
オイルと一般式(1)の化合物の相溶性について詳細な
検討を行い、各種オイルの中でも、特に、少なくとも一
個の芳香核を有する芳香族オイル(B)が一般式(1)
の化合物と幅広い組成で特に優れた相溶性を示すことを
見いだした。
【0018】芳香族オイル(B)は、安価でかつ低温流
動性、低吸湿性、電気絶縁性に優れているが、ハイドロ
フルオロカーボンに対してある程度溶解性を示すもの
の、ハイドロフルオロカーボンを冷媒として用いる冷凍
機用の潤滑油としてはハイドロフルオロカーボンの溶解
性が不十分なものであり。また、芳香族オイル(B)は
それ自身の潤滑性が不十分であるという問題もあるもの
である。
【0019】しかし、本発明者らは一般式(1)で表さ
れる含フッ素芳香族化合物(A)は、前述のように芳香
族オイル(B)と特に良好な相溶性を示すためか、含フ
ッ素芳香族化合物(A)に大量の芳香族オイル(B)を
混合しても当該潤滑オイル組成物は、HFC−134
a、HFC−32等のハイドロフルオロカーボン系冷媒
や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒に対して冷凍機
用潤滑オイルとして充分な相溶性を示す事を見いだし
た。また、当該潤滑オイル組成物では芳香族オイル
(B)の潤滑性も大幅に改善される事も分かった。さら
に、驚くべき事には当該潤滑オイル組成物では、一般式
(1)で表される含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族
オイル(B)何れよりも優れた潤滑性を示す場合もある
事が確認された。
【0020】以下に本発明をさらに詳細に説明する。一
般式(1)中、Rはベンゼン環及びナフタレン環からな
る芳香核或いは当該芳香核が連結された複核構造、又は
それらの置換体である。R全体の炭素原子の数として
は、6〜60個、好ましくは6〜40個、特に好ましく
は6〜30個である。Rには炭素数50以下、好ましく
は20以下、さらに好ましくは15以下の置換基・連結
基を含んでいても良い。
【0021】R中の芳香核の種類としては、各種の芳香
族性を示す基が使用可能であり、窒素原子、酸素原子、
硫黄原子などのヘテロ原子を含むものであっても良い。
しかしながら通常は安定性、原料の入手の容易性より、
炭素数6〜14個の芳香族炭化水素基の中から選ばれ
る。その中でもR中に、含まれる芳香核としてはベンゼ
ン環、およびナフタレン環より選ばれる芳香核が使用さ
れ、特に好ましくはベンゼン核が使用される。
【0022】一般式(1)のRが芳香族環含有基である
ことが、一般式(1)の化合物がHFC系やHFE系の
冷媒および芳香族オイル(B)のいずれとも高い親和性
を示す上で重要である。従って、Rの構造としては一定
以上の割合で芳香族環を含有していれば特にそれ以上の
制約はなく、芳香族環に各種の置換基が結合していても
良いし、又芳香族環同志が各種の連結基で連結された構
造であっても良い。
【0023】当該置換基や連結基としては、各種の炭化
水素基であっても良いし、冷凍機の使用条件下で安定な
各種の極性基あるいは、極性基を含む構造であっても良
い。Rに各種の構造基を含む場合でも一般式(1)の化
合物はHFC系やHFE系の冷媒と良好な相溶性を示
す。これは、HFC系やHFE系の冷媒は、フッ素原子
の電子吸引性により分極したC−H結合を有していて、
当該分極C−H結合は各種の極性基と強い相互作用を示
すために、Rに極性基を含む場合でも一般式(1)の化
合物とHFC系やHFE系の冷媒との相溶性を妨げる事
はないためと思われる。
【0024】すなわちRとしては、一定量以上の芳香核
含有を示していれば良く、通常は[R中の芳香核を形成
する炭素原子の数]/[R全体の炭素原子の数]の比が
0.1以上、好ましくは0.2以上、特に好ましくは
0.5以上であれば良い。一般式(1)におけるRの中
でも、芳香核が直接−XRfに連結する構造のRの場合
に特に安定性に優れた一般式(1)の化合物が容易に合
成できるので、特に好ましい。
【0025】前述のRの構造の代表例としては、たとえ
ば一般式(1a)があげられる。
【0026】
【化17】
【0027】b1 ):炭素数1〜30個のアルキル基、
アルケニル基、シクロアルキル基およびシクロアルケニ
ル基より選ばれる1価の炭化水素基。 b2 ):水酸基、チオール基、ニトリル基、ニトロ基、
フッ素原子、塩素原子より選ばれる1価の置換基。 b3 ):b2 )の1価の置換基、および連結基Yおよび
Y’に使用される2価基a2 )の少なくとも1種を含有
する、b1 )の1価の炭化水素基の誘導体。 b3 における1価の置換基b2 )および2価基a2 )の
数の合計は1〜3個の範囲である。またb3 )の炭化水
素基の誘導体中の炭素原子数の上限は50個である。
【0028】b4 )b1 )およびb3 )炭素−水素結合
の水素原子の1部またはすべてがフッ素原子で置換され
た1価の置換基。 なおAr1 ,Ar2 ,Ar3 およびAr4 のそれぞれの
芳香核に結合する置換基と連結基YおよびY’の数の合
計は、各芳香核1個あたりゼロ〜4個の範囲である。一
般式(1a)において−XRfと結合する位置は一般式
(1a)におけるどの炭素原子でも良い。〕一般式(1
a)において、Pはゼロ〜2の整数、P’はゼロ〜4の
整数を表す。LおよびL’はゼロまたは1であり、mは
ゼロ〜2の整数、m’はゼロ〜5の整数を表す。
【0029】Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,およびAr4
ベンゼン環およびナフタレン環より選ばれる芳香核(好
ましくはベンゼン環)または又は当該芳香核に1価の置
換基が結合した置換体である。当該置換体における置換
基については、後で説明する。YおよびY’は以下のa
1 )〜a3 )より選ばれる多価基であり、Yは2〜4
価、好ましくは2〜3価、特に好ましくは2価である。
Y’は2〜6価、好ましくは2〜3価、特に好ましくは
2価である。
【0030】a1 ):炭素数1〜20個の2〜6価の飽
和または不飽和の炭化水素基あるいはそれらのフッ素原
子置換体。当該多価基に含まれる炭素原子数は1〜20
価の範囲であるが、このましくは1〜15個、特に好ま
しくは1〜10個の範囲である。又、当該多価基がフッ
素原子置換体である場合には、当該多価基における〔フ
ッ素原子の数〕/〔炭素原子の数〕の比は0.2〜2、
好ましくは0.5〜2の範囲である。当該多価基の例を
以下に示す。
【0031】
【化18】
【0032】その他の構造の例としては、
【0033】
【化19】
【0034】また、(1a)においてl=0,l’=
1,m=5,p’=1の場合のY’の例として、
【0035】
【化20】
【0036】がある。 a2 ):以下の〜から選ばれる2〜3価の多価基。
当該多価基中の炭素原子の数はゼロ〜20個の範囲であ
り、好ましくはゼロ〜12の範囲、特に好ましくはゼロ
〜8個の範囲である。 酸素原子(−O−) カルボニル基、エステル結合、アミド結合、カーボ
ネート結合から選ばれるカルボニル含有多価基。
【0037】 硫黄原子(−S−)、スルホニル基、
スルフィニル基から選ばれる硫黄原子含有多価基。 以下に示す基より選ばれる窒素原子、リン原子、ま
たはケイ素原子含有多価基。
【0038】
【化21】
【0039】(Aは単結合、水素原子、または炭素数1
〜6のアルキル基のいずれかである。Bは単結合または
酸素原子(−O−)を表す。Dは単結合、酸素原子(−
O−、−R,−ORのいずれかである。Rは炭素数1〜
20個のアルキル基である。)なお、芳香族核の連結基
Y、Y’としては、さらに上記の多価基が2種又は3種
が組合わさった構造を形成していても良いし、1個の芳
香核に2カ所同時に結合してヘテロ原子含有環を形成し
ていても良い。その例を以下に示す。
【0040】
【化22】
【0041】更に、上記の多価基においてエステル結合
のような非対称構造の基、即ち下記の構造、
【0042】
【化23】
【0043】のように両方の構造を意味するものとす
る。以下にa2 )の多価基の具体例を示す。
【0044】
【化24】
【0045】a3 ):a1 )に示された炭素骨格基の末
端または内部にa2 )の多価基が結合又は挿入された構
造の2〜6価の多価基。すなわちa1 )に示された炭素
骨格基にa2 )に示された多価基の少なくとも1種が結
合するか、又は/およびa1)に示された炭素骨格基の
炭素−炭素結合間にa2 )に示された多価基の少なくと
も1種が挿入された構造の2〜6価の多価基である。当
該基に含まれる炭素原子の数は1〜50個の範囲であ
る。
【0046】当該基に含まれるa2 )の多価基の数は、
通常は1〜6個の範囲、好ましくは1〜4個、特に好ま
しくは1〜3個の範囲である。ただし、当該基がポリア
ルキレンオキシド構造または又はポリジメチルシロキサ
ン構造を含む場合には、多価基の数の上限は20個であ
る。当該基に含まれる炭素原子の数は通常は1〜20個
の範囲であるが好ましくは1〜12個、特に好ましくは
2〜8個の範囲が使用される。ただし当該基がポリアル
キレンオキシド構造又はポリジメチルシロキサン構造を
含む場合には、炭素数の上限は50個である。
【0047】a3 )の多価基の具体例を以下に示す。
【0048】
【化25】
【0049】
【化26】
【0050】Ar1 ,Ar2 ,Ar3 およびAr4 にお
ける芳香核に結合する1価の置換基は以下のb1 )〜b
4 )より選ばれる少なくとも1種である。 b1 ):炭素数1〜30個、好ましくは1〜20個、特
に好ましくは1〜15個であり、アルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルキル基およびシクロケルケニル基より
選ばれる1価の炭化水素基。
【0051】b2 ):水酸基、チオール基、ニトリル
基、ニトロ基、フッ素原子塩素原子より選ばれる1価の
置換基。 b3-1 ):b1 )の炭化水素基の水素原子の一部が
2 )の置換基で置換された構造であるb1 )の炭化水
素基の誘導体。 b3-2 ):b1 )の炭化水素基又はb3-1 )の炭化水素
基の誘導体の炭素−炭素結合に、前述の連結基Yおよび
Y’として例示されてあるa2 )の2価基の少なくとも
1種が挿入された構造である。b1 )の炭化水素基の誘
導体。b3-1 ),b3-2 )における置換基又は/および
2価基a2 )の数は通常は1〜3個、好ましくは1〜2
個、特に好ましくは1個である。ただしポリアルキレン
グリコール構造およびポリジメチルシロキサン構造はそ
れぞれ1価の2価基として数える。又これらの長鎖2価
基を含む場合にはAr1 〜Ar4 の置換基中の炭素原子
の数の上限は、50個、好ましくは40個である。
【0052】b4 ):b1 ),b3-1 )およびb3-2
の炭素−水素結合の水素原子の1部又はすべてがフッ素
原子で置換された1価の置換基。フッ素原子含有置換基
の場合には、当該置換基における[フッ素原子の数]/
[炭素原子の数]の比は、0.05〜3、好ましくは
0.2〜2、特に好ましくは0.5〜2の範囲である。
ただし、フッ素原子含有置換基の中で一般式(1a)の
−XRfに相当するものは除く。なお、Ar1 ,A
2 ,Ar3 ,Ar4 のそれぞれの芳香核に結合する置
換基と連結基YおよびY’の数の合計は、各芳香核1個
あたり通常はゼロ〜4個、好ましくは1〜2個、特に好
ましくは1個である。
【0053】一般式(1a)において−XRfと結合す
る位置は一般式(1a)におけるどの炭素原子でもよい
が好ましくはAr1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar4 における
芳香核中の炭素原子と結合するのが望ましい。Ar1
Ar4 芳香核に結合する置換基の具体例を以下に示す。
なお、以下のような置換基、連結基を含有するRの具体
例としては、以下のものが挙げられる。
【0054】
【化27】
【0055】
【化28】
【0056】
【化29】
【0057】
【化30】
【0058】なお、以下の様な置換基、連結基を含有す
るRの具体例としては以下のものが挙げられる。
【0059】
【化31】
【0060】
【化32】
【0061】
【化33】
【0062】
【化34】
【0063】
【化35】
【0064】
【化36】
【0065】一般式(1)におけるXはO又はS原子で
ある。XがOの場合、安価な合成原料を使用して、か
つ高収率で経済的に含フッ素芳香族化合物が合成出来
る。含フッ素芳香族エーテル化合物が極めて高い安定
性を有する等の理由より特に好ましい。一般式(1)に
おいて、Rfは1価のフッ素化炭化水素基、またはその
誘導体を表す。当該フッ素化炭化水素基とは、各種1価
の炭化水素基水素原子の1部あるいはすべてがフッ素原
子で置換された構造を意味している。その例としては例
えば飽和構造を有するフルオロアルキル基、不飽和構造
を有するフルオロアルケニル基、芳香族核を有するフル
オロアリール基あるいはフルオロアラアルキル基等が挙
げられるが、特にフルオロアルキル基及びフルオロアル
ケニル基は合成が容易で有用である。またRfとしては
当該フッ素化炭化水素基の主鎖中にエーテル結合を含ん
でも良い。Rfにエーテル結合を含む場合には、エーテ
ル結合の数は好ましくは1〜7個の範囲、特に好ましく
は1〜3個の範囲である。さらにRfとしては当該フッ
素化炭化水素基、またはそのエーテル誘導体がさらに他
の置換基により、置換されたものであっても良い。Rf
にフッ素原子およびエーテル結合以外の置換基を含む場
合には、当該置換基の数は、通常は1〜4個の範囲、好
ましくは1〜2個、特に好ましくは1個である。
【0066】Rfの置換基としては、冷凍機の使用条件
下で安定なものであれば、特にそれ以上の制限はない
が、例えば以下のものが挙げられる。 フッ素原子以外のハロゲン原子。すなわち塩素原
子、臭素原子、沃素原子であるが特に好ましくは塩素原
子である。 水酸基、アミノ基、チオール基から選ばれる活性水
素基。(ただし、ハロゲン原子が結合した炭素原子に活
性水素基が結合した構造はとらない。) チオアルコキン基、アルキル置換アミノ基、および
アニル基、アニロキシ基、カルボアルコキシ基、ニトリ
ル基、アミド基、イミド基等の有機酸誘導体から選ばれ
る炭素数10個以内、好ましくは6個以内、特に好まし
くは3個以内の置換基。当該置換基中にはフッ素原子を
含んでいてもよい。
【0067】[Rf中の上記〜の置換基の数]/
[Rf中のフッ素原子と水素原子の総数]の比は、1.
5以下、好ましくは1.0以下である。なお、上記のフ
ッ素化炭化水素基の置換体の中では特にエーテル結合含
有フッ素化炭化水素基と、塩素原子含有フッ素化炭化水
素基が合成が容易でかつ良好な安定性を示すので好まし
い。
【0068】Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の
比は、特にクリティカルな範囲があるわけではなく広範
な比が使用可能であるが通常は0.6以上3以下、好ま
しくは1以上3以下、特に好ましくは1.5以上3以下
のものが使用される。Rf中のフッ素原子の数/炭素原
子の数の比が低すぎる場合には、ハイドロフルオロカー
ボン系冷媒や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒との
相溶性が低くなり、また安定性も低下する傾向にあるの
で好ましくない。Rfの炭素数としては、通常は1〜2
5の範囲が、望ましくは1〜10の範囲が、特に望まし
くは1〜3の範囲が使用される。Rf中の炭素数が25
より多くなると、原料の入手あるいは合成が困難となる
し、また、合成精製が繁雑になったり、粘度が高くなり
すぎるという問題も起こるので好ましくない。
【0069】Rfの構造としては上記要件を満たしてい
れば、特にそれ以上の制限はない。一般式(1b)がそ
の構造の代表例をであるが、この構造に制限されるわけ
ではない。
【0070】
【化37】
【0071】ただし、A1 ,A2 ,A3 はフッ素原子又
は炭素数1〜6、好ましくは1〜3のフッ素化アルキル
基であり、特に好ましくはフッ素原子又は−CF3 であ
る。B1 ,B2 ,B3 は水素原子又は炭素数1〜6、好
ましくは1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは水
素原子または−CH3 である。Zは水素原子またはフッ
素原子である。
【0072】n1 はゼロ〜25、好ましくは1〜20の
整数、n2 はゼロ〜10の整数、n 3 はゼロ〜10の整
数、n4 はゼロ〜7の整数である。ただし(n1
3 )がゼロであることはない。(1b)において
1 ,n2 ,n3 が2以上の整数の場合には各々が同一
又は異なる構造をとってもよい。(1b)においてそれ
ぞれの(CA1 2 ),(CB1 2 ),(CA
3 3 )の各ユニットは、各々複数の構造をとっても良
いし、ランダムに配列してもよく、さらには各々連結し
て二重結合を連結してもよいし、脂環式または芳香族の
環状構造を形成しても良い。
【0073】なお、下記のユニット同志が連結する事は
ない。また下記のユニットが(1b)の末端やZのとな
りに位置する事はない。
【0074】
【化38】
【0075】また、Rfとしては(1b)の構造のフッ
素原子又は水素原子の1部が、1〜4個の範囲内で好ま
しくは1個が、前述のフッ素原子以外のハロゲン原子、
活性水素機および炭素数10個以内の置換基から選ばれ
る少なくとも1個の置換基で置換された構造でも良い。
以下に、本発明に使用される一般式(1)で表される物
質中のRf−の例を例示するが、ここに示すRfの例は
各種方法で合成される一般式(1)の物質中のRfの例
の一部を例示したものであってこれに限定されるもので
はない。
【0076】
【化39】
【0077】〔Z7 =F,Cl,I,H;L 1 =1〜1
8の整数; L 2 =0,1,2〕(4)式の化合物の具体
例としては以下のものが挙げられる。
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
【化43】
【0082】上記一般式の基の具体例としては以下のも
のが挙げられる。
【0083】
【化44】
【0084】また、さらに以下のような基の使用可能で
ある。
【0085】
【化45】
【0086】一般式(1)で表される含フッ素芳香族化
合物の中でも、芳香族オイル(B)との良好な相溶性を
発現するものとしては、通常は、フッ素原子の数/(フ
ッ素原子の数+水素原子の数)の比が、0.03以上
0.85以下、好ましくは0.05以上0.6以下、特
に好ましくは0.1以上0.5以下のものが使用され
る。また一般式(1)の含フッ素芳香族化合物(A)と
しては、複数の種類を混合して使用することもできる。
【0087】一般式(1)におけるnの値は、Rの価数
に依存するものであり、合成の容易さ、適当な粘度範囲
をとること等の理由により、通常は1、2、3、4から
選ばれる整数、好ましくは2、3、4から選ばれる整
数、特に好ましくは2から選ばれる整数である。また、
一般式(1)においてnが2以上である場合には、一般
式(1)の物質は、複数のRfで構成されていても良
い。
【0088】本発明に使用される一般式(1)の含フッ
素芳香族化合物(A)の具体例としては、特開平5−8
6382号公報に開示されている一般式(1)の含フッ
素芳香族化合物が使用される。本発明に使用される一般
式(1)で表される物質は、多様な方法で合成すること
が出来る。
【0089】以下に、一般式(1)において、n=1の
場合の合成例を例示するが、n=2,3,4の場合も同
様の方法によって合成される。1)フェノール類又はチ
オフェノール類と含フッ素オレフィンとの反応。フェノ
ール類又はチオフェノール類と含フッ素オレフィンとの
反応による含フッ素芳香族化合物の合成については、数
多くの反応例が知られている。
【0090】その代表的な反応例を、パーフルオロオレ
フィンの場合を例に取って示すと、以下のような反応が
挙げられる。
【0091】
【化46】
【0092】以下に、フエノール類と含フッ素オレフィ
ンの反応例を示す。例えば、Advance in F
luorine Chemistry,4,50(19
65)には、下記のような多様な含フッ素オレフィンと
フェノール類、又は、アルコール類又はチオフェノール
類とのイオン反応による(1’)、(2’)式と類似の
反応例が示されている。
【0093】CF2 =CF2 、CF2 =CFCl、CF
2 =CFBr、CF2 =CFH、CF2 =CHCl、C
F2 =CCl2 、CHF=CCl2 、CF3 CF=CF
2、CClF2 CF=CF2 、CF3 CCl=CF2 、
CF3 CF=CCl2 、CF3 CCl=CClF、CF
3 CH=CH2 、CF3 CH=CHCl、CF3CCl
=CHCl、CF3 CCl=CCl2 、CF3 CF2 C
CF=CF2 、CF3 CF=CFCF3 、(CF3 )2
C=CF2 、CF2 =CF−CF=CF2 、
【0094】
【化47】
【0095】CF3 CCl=CClCF3 、CCl2 F
CClFCF=CClF、CF3 −(CF2 )4 −CF
=CF2 。 式(3’)の反応式;
【0096】
【化48】
【0097】
【化49】
【0098】
【化50】
【0099】又、さらに、一般式(10’)で表される
ヘキサフルオロプロペン(HFP)のオリゴマー、一般
式(11’)で表されるテトラフルオロエチレン(TF
E)のオリゴマー、あるいはクロルトリフルオロエチレ
ンのオリゴマー等で代表される各種含フッ素オレフィン
から誘導される不飽和結合含有オリゴマーも、
(1’)、(2’)式のような合成反応の原料として使
用する事ができる。
【0100】C3m6m (10’) 〔m:2以上の整数、好ましくは2〜6の整数〕 C2m' 4m' (11’) 〔m’:2以上の整数、好ましくは2〜10の整数〕 このようなオリゴマーの反応例としては、例えば、以下
のような例が挙げられる。
【0101】
【化51】
【0102】日本化学学会誌、1978、253 式(14’)の反応式:
【0103】
【化52】
【0104】以下の反応で代表されるような数多くのT
FE五量体(C10F20)やHFP三量体(C9 F18)と
フェノール類との反応が数多く示されている。 式(15’),(16’),(17’)の反応式;
【0105】
【化53】
【0106】式(18’),(19’)の反応式;
【0107】
【化54】
【0108】又、Journal of Chemis
try54, 162(1991)には、(20’),
(21’)式のようなフェノール類とパーフルオロビニ
ルエーテルの付加反応が報告されている。 式(20’),(21’)の反応式;
【0109】
【化55】
【0110】又、Izvest. Akad. Nau
k S.S.S.R.,Otdel,Khim,Nau
k,1952,261−7には(22’)の反応式に示
されるようなチオフェノールとクロロトリフルオロエチ
レン又はテトラフルオロエチレンの付加反応が報告され
ている。 式(22’)の反応式;
【0111】
【化56】
【0112】又、Bull,Soc.Chim.F
r.,1972,(8),3202−5には(23’)
式のようなチオフェノールとクロロトリフルオロエチレ
ンの付加反応が報告されている。
【0113】
【化57】
【0114】(2)フェノール類又はチオフェノール類
と飽和フルオロカーボン類との反応フェノール類又はチ
オフェノール類と飽和フルオロカーボン類との反応によ
る含フッ素芳香族化合物の反応としては、数多くの反応
方法が考えられるが、代表的な反応方法としては例えば
以下の反応が挙げられる。
【0115】
【化58】
【0116】〔ここで、XはO又はS原子を表す。又X
5 、X6 はハロゲン原子、−OSO2Me、−OCOC
F3 、−OSO2 CF3 、−OSO2 CCl3 、−OS
O2 Cl、
【0117】
【化59】
【0118】等のアニオンとして脱離しやすい置換基を
表す。Ar’は一価の芳香族基を表す。Rf’は一般式
(1)中のRfと同じもので、Rf’X- のアニオン構
造を取り得るものを表す。〕Actual,Che
m.,1987,151 式(26’),(27’)の反応式;
【0119】
【化60】
【0120】”Chemistry of Organ
ic Fluorine Compounds”Hal
sted Press,2nd Edition,P2
79には、アルコール類、フェノール類やチオール類の
酸素又はイオウ原子部分でのアルキル化(Alkyla
tion at Oxygen or Sulfur)
による含フッ素エーテル化合物や含フッ素チオエーテル
化合物の合成法が数多く示されている。
【0121】Jornal of Organic C
hemistry,50,4047(1985) 式(28’)の反応式;
【0122】
【化61】
【0123】Industrial and Engi
neering Chemistry,39,412
(1947) 式(29’)、(30’)の反応式;
【0124】
【化62】
【0125】Pure and Applied Ch
emistry,59,1015(1987) 一般式(32’)で示される各種の含フッ素ハロゲン化
物とフェノキサイドの反応が数多く示されている。 CZ2 Z3 Z4 CFZ3 Z4 (32’) 〔ここでZ2 =Cl,Br,Iであり、Z3 =Z4 =
F,Cl,Br,CF3 ,Hである〕その例としては、
例えば以下の反応が挙げられる。
【0126】
【化63】
【0127】Journal of Organic
Chemistry,25,2009(1960) 式(35’)の反応式;
【0128】
【化64】
【0129】その他にも、各種のエーテル結合又はチオ
エーテル結合を形成する方法を利用して、一般式(1)
の含フッ素芳香族系化合物を合成する事ができる。その
例としては、例えば以下のような水酸基とエポキシ基の
反応によるエーテル形成反応が挙げられる。 式(36’)、(37’)の反応式;
【0130】
【化65】
【0131】〔ここで、Ar’は一価の芳香族基を表
し、Rf”は炭素数1〜16のフルオロカーボン基を表
す。〕さらに、一般式(1)で表される物質の前駆体物
質に各種方法でフッ素原子を導入する方法も利用できる
し、あるいは、これまでに示した各種方法で合成された
反応生成物をさらに各種反応で変換して希望の一般式
(1)で示される物質に誘導してもよい。
【0132】その例としては、例えば以下の方法が挙げ
られる。 Actual.Chem.,1987,151 式(38’)の反応式;
【0133】
【化66】
【0134】〔ここで、R3 は(26’)、(27’)
式のR3 と同じ〕なお、上記の反応に使用される含フッ
素オレフィンや飽和フルオロカーボン等の含フッ素化合
物は、各種の公知方法で合成することが出来る。その例
としては、例えば、”Advances in Flu
orine Chemistery”Butterwo
rth,vol.3,P181に示されているハロゲン
交換による合成法、”Chemistry of Or
ganic Fluorine Compounds”
Halsted Pressに記載されている方法、あ
るいは特開昭50−117705号公報、特公昭43−
11885号公報、特公昭47−22563号公報等に
記載されているフルオロオレフィンのオリゴマーの合成
法等が挙げられるが、何らこれに限定されるものではな
い。
【0135】一般式〔I〕で表される含フッ素芳香族化
合物は、多様な方法によって合成することが可能で、こ
れまでに示した反応はその具体例の一部を例示したもの
である。従って、一般式(1)の物質の合成法は、これ
らの方法に限定されるものではない。また、本発明に使
用される冷凍機油は、一般式(1)で表される構造をと
っていればよく、製造方法によって何ら限定されるもの
ではない。
【0136】以上のように、本願に使用される一般式
(1)の含フッ素芳香族化合物は各種の方法で製造され
るが、さらに、蒸留、抽出、吸着等の処理により精製す
ることが可能である。本発明に使用される芳香族オイル
(B)としては様々な化合物があり、少なくとも1個の
ベンゼン環およびナフタレン環より選ばれる芳香核を含
むオイル状の物質であれば、特にそれ以上の制約はない
が、取扱い易さの点から通常は40℃における動粘度が
0.1〜500cstのものが好ましく、さらに好まし
くは1〜300cstのもの、特に好ましくは3〜10
0cstのものが使用される。
【0137】芳香族オイル(B)中の芳香核の例として
は、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また
芳香族オイル(B)中の芳香核の数としては通常は1〜
4個の範囲であり、好ましくは1〜2個の範囲であり、
特に好ましくは1個である。芳香核の数が5以上になる
と粘度が高くなりすぎるので好ましくない。また芳香族
オイル(B)中における芳香核の構成割合としては、
[芳香核を形成する炭素原子の数]/[芳香族オイル
(B)の分子全体の炭素原子の数]の比として、通常は
0.10〜1.0の範囲、好ましくは0.15〜0.9
の範囲、特に好ましくは0.20〜0.8の範囲であ
る。芳香族オイル(B)中の芳香核の構成割合があまり
低すぎると、芳香族オイル(B)と含フッ素芳香族化合
物(A)との相溶性、あるいは芳香族オイル(B)と含
フッ素芳香化合物(A)よりなる混合オイル組成物のハ
イドロフルオロカーボン冷媒や含フッ素エーテル系冷媒
との相溶性が低くなるので好ましくない。
【0138】本願に使用される芳香族オイル(B)の代
表例としては、芳香核にアルキル基が結合したアルキル
ベンゼンやアルキルナフタレンあるいはそれらの誘導体
が挙げられる。上記の芳香核に結合するアルキル基又は
その誘導体より選ばれる置換基中の炭素原子数は通常は
1〜30個の範囲であり、好ましくは4〜25個の範囲
である。本願に使用されるアルキルベンゼンの誘導体と
しては複数のアルキルベンゼンが、アルキレン基、エー
テル基、エステル基、カーボネート基、カルボニル基、
スルホニル基等の2価基あるいは単結合により連結した
複核構造のものも可能であるし、またそれらの置換体で
もよい。
【0139】従って本願で使用される芳香族オイル
(B)の代表例としては、例えば一般式(B−1)に示
される構造の芳香族化合物が挙げられる。
【0140】
【化67】
【0141】但しAra、Arbはベンゼン環又はナフ
タレン環である。n1 はゼロ〜4、好ましくは1〜3の
整数、n2 はゼロ又は1〜3、好ましくは1又は2の整
数、n3 は1〜3、好ましくは1又は2、特に好ましく
は1の整数、n4 は0,1,2(なおn4 =0の時はn
1 ≠0であり、n4 ≠0の時は(n1 +n2 )≠0であ
る。
【0142】Kは以下の1)〜3)より選ばれる連結基
である。 1) 単結合 2) 酸素原子
【0143】
【化68】
【0144】,スルホニル基およびカルボニル基より選
ばれる2価基。好ましくは酸素原子である。 3) 炭素数1〜12(好ましくは1〜4、特に好まし
くは1)の2価〜4価(好ましくは2価)の飽和炭化水
素基またはその置換体。 R1 ,R2 は炭素数1〜30(好ましくは4〜25)の
アルキル基またはその置換体であり、エーテル結合を含
んでも良い。R1 ,R2 ,K,Arbは各々複数の構造
をとりうる。
【0145】なお、一般式(B−1)の構造で代表され
る芳香族オイル(B)は全炭素原子数の3分の1以内
の、好ましくは5分の1以内の割合でエーテル結合を含
んでいても良い。すなわち、上記酸素原子含有量範囲内
でR1 およびR2 はアルキル基であってもよいし、当該
アルキル基の末端または内部に酸素原子を含む構造、あ
るいはそれらの置換体であっても良い。
【0146】また、(B−1)で代表される芳香族オイ
ル(B)は、全水素原子数の3分の1以内、好ましくは
5分の1以内の水素原子が塩素原子、アミノ基、(−N
RR’)アニル基、アシロキシ基、カルボアルコキシル
基、ニトリル基等の極性基で置換されていても良い。ま
た上記の各種の芳香族オイル(B)全水素原子数の一部
の水素原子、好ましくは2分の1以内の水素原子がフッ
素原子で置換されたものであっても良く、その例として
はたとえば2,2,2−トリフルオロエチル置換芳香族
化合物、3,3,3−トリフルオロプロピル置換芳香族
化合物、あるいはCF3 CHFCF2 置換アルキルベン
ゼンのような各種フッ素置換アルキルベンゼン等が挙げ
られる。なお、芳香族オイル(B)がフッ素原子で置換
されたアルコキシ基を含む、場合にはフッ素化アルコキ
シ基中の[フッ素原子の数]/[炭素原子の数]の比
は、0.6未満である。
【0147】また一般式(B−1)で代表されるオイル
(B)において芳香族環を形成していない炭素原子同志
がさらに結合して二重結合や環状構造を形成していても
良い。また、芳香族オイル(B)を2種類以上混合して
使用することもできるし、芳香族オイル(B)の一部、
好ましくは3分の2以内、特に好ましくは2分の1以内
を非芳香族炭化水素系化合物と置き換えた混合油として
使用することもできる。本発明に使用される芳香族オイ
ル(B)について以下に具体的に説明する。本発明に使
用される芳香族オイル(B)の代表例としては、アルキ
ルベンゼン、アルキルナフタレン、およびアルキルベン
ゼンの誘導体として考えられるアルキル化ビフェニル、
ポリフェニル置換炭化水素、スチレンオリゴマー等の芳
香族化合物を挙げることが出来る。好ましくは、安価に
入手できるアルキルベンゼンとの潤滑オイル組成物であ
る。アルキルベンゼンとしてはモノアルキルベンゼン、
ジアルキルベンゼン、さらには3置換以上のポリアルキ
ルベンゼン等が使用可能であるが、モノおよびジアルキ
ルベンゼンは入手が容易であるので工業的に使用しやす
い。また、アルキルベンゼンとしては。分枝型アルキル
ベンゼンと直鎖型アルキルベンゼンの何れも使用可能で
あるが、特に好ましくははいドロフルオロカーボン系冷
媒と特に良好な相溶性を示す分枝型アルキルベンゼンで
ある。さらに本発明には上記のアルキルベンゼンやアル
キルナフタレンの各種の誘導体も使用可能である。本発
明に使用される芳香族オイル(B)の具体例構造の例を
以下に示す。
【0148】分枝型アルキルベンゼンの例として、例え
ば、
【0149】
【化69】
【0150】直鎖型アルキルベンゼンの例として、例え
ば、
【0151】
【化70】
【0152】〔R :Hまたは炭素数1〜30(好まし
くは4〜25)のアルキル基R’:H,炭素数1〜10
(好ましくは1〜5)のアルキル基、炭素数7〜20
(好ましくは7〜10)のアラルキル基、または炭素数
6〜20(好ましくは6〜14)のアリール基あるいは
それらの置換体。n=ゼロまたは1〜10の整数、好ま
しくは1〜6整数、特に好ましくは1〜3の整数]以下
に、各種アルキル基により置換された芳香族化合物の例
を示す。
【0153】
【化71】
【0154】(18)式の構造の例としては以下のもの
が挙げられる。本発明の一般式(1)で表される含フッ
素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)とからなる
潤滑オイル組成物において(A)成分の混合割合は、
0.1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、
特に好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10
〜90重量%である。(A)成分の混合割合が上記下限
より小さい場合には、ハイドロフルオロカーボン系冷媒
や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒に対する相溶性
や潤滑特性に及ぼす改善の効果が充分に発揮されず、一
方、(A)成分の割合が上記上限より大きい場合には、
低温流動性、低吸湿性、電気絶縁性等の改良効果が充分
でない。
【0155】含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイ
ル(B)よりなる潤滑オイル組成物において、(A)の
割合が高い組成物、例えば、(A)が40重量%〜9
9.9重量%、好ましくは(A)が60重量%〜99.
9重量%の組成物の場合、ハイドロフルオロカーボン系
冷媒や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒と組み合わ
せた冷媒組成物では、幅広い温度領域にわたって均一の
組成物を形成する事が出来る。
【0156】一方、(B)の割合が高い組成物の場合、
含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)より
なる潤滑オイル組成物とハイドロフルオロカーボン系冷
媒や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒と組み合わせ
た冷媒組成物では、条件によっては(B)成分を主成分
とする一部の成分が相分離する場合が起こり得る。しか
し、(A)成分は(B)成分およびハイドロフルオロカ
ーボン系冷媒や水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒何
れとも良好な親和性を示すので、このような相分離を起
こす組成物においても、(A)成分が効果的な油戻り剤
として作用し、このような(B)成分の割合が高い組成
物も使用可能となる。油戻りを効果的に促進するための
含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)より
なる潤滑オイル組成物中の(A)成分の割合は、通常5
重量%以上、好ましくは10重量%、さらに好ましくは
40重量%以上である。当該潤滑オイル組成物中の
(A)成分の割合が高いほど油戻り性が改善される傾向
となるので(A)成分の割合の上限は特になく通常9
9.9重量%まで使用可能である。なお、潤滑特性の向
上のためには、(A)成分の割合は、0.1重量%〜9
9.9重量%、好ましくは、1重量%〜99重量%、特
に好ましくは、10重量%〜90重量%であれば良い。
【0157】本発明で使用される、一般式(1)で表さ
れる含フッ素芳香族化合物(A)および芳香族オイル
(B)としては、それぞれの粘度としては特に制約はな
いが、混合オイル組成物の粘度としては、通常は40℃
における動粘度が、2〜500cStの範囲のものが好
ましく、より好ましくは3〜300cStの範囲のも
の、特に好ましくは5〜150cStの範囲のものが使
用される。粘度があまり低すぎるとコンプレッサー部に
おける充分な潤滑性が得られず好ましくない、また、粘
度があまり高すぎるとコンプレッサー部の回転トルクが
高くなりすぎ好ましくない。
【0158】一般式(1)の化合物(A)がHFC−1
34a(CF3 CH2 F)に代表される各種のHFC系
やHFE系の冷媒と優れた相溶性を示す理由は明らかに
なっているわけではないが以下のような理由が考えられ
る。HFC系冷媒やHFE系冷媒はいずれもC−F結合
とC−H結合を含有しているので、いずれの冷媒もフッ
化カーボン残基と炭化水素残基よりなるハイブリッド構
造とみなされる。
【0159】パーフルオロポリエーテルに代表される従
来のパーフルオロ化されたオイルに対しては冷媒中のフ
ッ化カーボン残基は親和性を示すと考えられているが、
炭化水素残基は全く親和性を示さないと考えられてい
る。HFC−134aのようなHFC系冷媒はパーフル
オロポリエーテルオイルとはある程度の相溶性は示すも
のの、低温領域での相溶性が不十分である事が確認され
ているが、これはHFC系冷媒がパーフルオロポリエー
テルと親和性の低い炭化水素残基を含有しているためと
考えられる。一方、本発明に使用される一般式(1)で
表される化合物は、芳香族環含有基Rとフッ素原子含有
基RfがX(酸素原子又は硫黄原子)連結した構造とな
っている。
【0160】R(XRf)n (1) 一般式(1)の化合物のR部は、HFC系やHFE系の
冷媒の炭化水素残基と親和性を示し、Rf部はHFC系
冷媒やHFE系冷媒のフッ化カーボン残基と親和性を示
すと考えられる。このように一般式(1)の化合物はH
FC系やHFE系冷媒のフッ化カーボン残基と炭化水素
残基のいずれもと親和性を示すので、その結果としてH
FC系やHFE系冷媒と幅広い温度範囲にわたって良好
な相溶性を発現するものと推定される。
【0161】一般式(1)の化合物においてRfで表さ
れるフッ素含有基が、HFC系やHFE系の冷媒との相
溶性に極めて重要な役割を果たしている事は、以下の事
実からも示唆される。すなわち一般式(1)において、
Rf部がそれぞれ−CF2 CF2 H又は−CF2 Hであ
る下記の(1−1)および(1−2)の化合物が、HF
C−134aと−78℃〜90℃でのすべての測定温度
範囲で相溶性を示すのに対し、Rf部がフッ素原子を含
まない−CH2 CH3 になった構造(1−0)の場合に
は、室温〜90゜Cのいずれの温度においてもHFC−
134aと相溶しない。
【0162】
【化72】
【0163】以上のようなRfとRよりなるハイブリッ
ド構造のオイルがフッ化カーボン残基と炭化水素残基よ
りなるハイブリッド構造の冷媒(すなわちHFC系とH
FE系冷媒)と良好な相溶性を示すという事は、本発明
者らが初めて発見した新しい概念である。なお、一般式
(1)のR部の構造としては、飽和炭化水素基の場合と
比べて、芳香族環を含有するものの場合の方が一般に高
い安定性を示す。この理由は明らかではないが、たぶん
R−X−Rf結合の安定性がRに芳香族環を含有するも
のの方がRが飽和炭化水素基の場合と比べて優れている
ためと思われる。従って、一般式(1)におけるR及び
Rfは一般式(1)に規定されている要件を満たせばそ
れ以上の制限はなく、幅広い構造を採用する事が出来
る。
【0164】また,一般式(1)の化合物(A)と芳香
族オイル(B)よりなる潤滑油組成物とHFC系および
HFE系冷媒とが良好な相溶性を示す理由については、
詳細は不明であるが、以下のような理由が推定される。
前述のように、一般式(1)で表される化合物(A)は
HFC系やHFE系の冷媒と良好な相溶性を示す。一方
一般式(1)で表される化合物(A)は本願で使用され
る各種の芳香族オイル(B)とも良好な相溶性を示す事
が確認されている。このように本願で使用される一般式
(1)で表される化合物(A)は、HFC系やHFE系
の冷媒と芳香族オイル(B)のいずれとも良好な親和性
を示すという両親媒的性質を有している。従って、 一般式(1)で表される化合物(A) 芳香族オイル(B)および HFC系やHFE系冷媒 よりなる三成分系冷媒組成物においては、一般式(1)
で表される化合物(A)は芳香族オイル(B)とHFC
系やHFE系冷媒の相溶化剤として機能していることが
考えられる。
【0165】また、本発明の他の一つ態様によれば、請
求項1記載の潤滑オイル組成物とハイドロフルオロカー
ボン系冷媒からなる冷媒組成物が提供される。本発明に
おいて冷凍機用潤滑オイルとともに使用することのでき
る冷媒としては、冷媒として使用可能な低級ハイドロフ
ルオロカーボン(例えば、炭素数1〜5程度のハイドロ
フルオロカーボン)、好ましくは炭素数1〜4のハイド
ロフルオロカーボンが挙げられる。その代表例として
は、HFC−134a(CF3 CH2 F)、HFC−1
34(CHF2 CHF2 )、HFC−143a(CF3
CH3 )、HFC−152a(CH3 CHF2 )、HF
C−32(CH2 2 )、HFC−125(CF3 CH
2 )、CF3 CH2 CHF2 、CF3 CHFCF 3
CHF2 CF2 CHF2 、CF3 CF2 CF3 、CF3
CF2 CF2 CH3、CF3 CHFCHFCF3 、CF
3 CF2 CH3 、CHF2 CF2 CH2 F、CF3 CH
FCHFCF2 CF3 等のフッ化メタン、フッ化エタ
ン、フッ化プロパン、フッ化ブタン等の各種のハイドロ
フルオロカーボンが挙げられる。
【0166】また、これらのハイドロフルオロカーボン
は混合して用いることもでき、その例としては、例え
ば、HCFC−22代替用として有望なHFC−32/
125、HFC−32/134a、HFC−32/12
5/134a、HFC−32/125/290/134
a、HFC−125/134a、HFC−125/14
3a、HFC−125/143a/134a、HFC−
32/125/143a等を挙げることができる。
【0167】さらに、HCFC−22(CHCl
2 )、CFC−12(CCl2 2 )等塩素含有フル
オロカーボンとハイドロフルオロカーボンの混合冷媒も
使用可能である。塩素含有フルオロカーボンとハイドロ
フルオロカーボンの混合冷媒の使用に際しては、好まし
くは塩素含有フルオロカーボンを0.01〜80重量
%、さらに好ましくは0.01〜60重量%、特に好ま
しくは0.01〜40重量%含有して使用する。
【0168】また、本発明における一般式(1)、
(2)、(3)、(3a)で表される含フッ素芳香族化
合物、および、当該含フッ素芳香族化合物と芳香族オイ
ルあるいはその部分置換体からなる潤滑オイル組成物
は、地球温暖化係数がハイドロフルオロカーボン系冷媒
よりも低くなるとして注目されている水素原子含有含フ
ッ素エーテル系冷媒とも良好な相溶性を示す事が確認さ
れた。従って、本発明における一般式(1)、
(2)、(3)、(3a)で表される含フッ素芳香族化
合物、あるいは、当該含フッ素芳香族化合物と芳香族
炭化水素系化合物あるいはその部分置換体からなる潤滑
オイル組成物は、水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒
と組み合わせて新規な冷媒組成物を提供する事が出来
る。
【0169】水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒とし
ては、各種の化合物を使用できるが、分子中の炭素原子
の数と酸素原子の数の和が3〜6の各種化合物で、か
つ、分子中の水素原子を1個以上有する化合物が地球温
暖化係数が低いので特に好ましい。例えば、以下の水素
原子含有含フッ素エーテル系冷媒を例示するが、これら
に限定されるものではない。
【0170】
【化73】
【0171】
【化74】
【0172】本発明において、冷凍システムにおける冷
媒全量/潤滑油全量の重量比は、通常は99/1〜1/
99の範囲、好ましくは95/5〜5/95の範囲、特
に好ましくは90/10〜10/90の範囲である。さ
らに、本発明の他の一つの態様によれば、含フッ素芳香
族化合物(A)が一般式(2)で表される潤滑オイル組
成物、および冷媒組成物が提供される。
【0173】
【化75】
【0174】上記一般式(2)中のR1 、R2 は炭素数
1〜19個のアルキル基または水素原子を表し、かつ、
1 とR2 の炭素数の合計は4以上19以下、好ましく
は5以上16以下の範囲、特に好ましくは5〜12の範
囲である。R1 とR2 の炭素数の合計が3以下の場合
は、高い生物濃縮性を示す。一方、R1 とR2 の炭素数
の合計が20以上の場合は、HFC−134a等のハイ
ドロフルオロカーボン系冷媒や含フッ素エーテル系冷媒
との相溶性が低下したり、また、原料の入手が非常に困
難となる。また、安定性の観点からは、R1 、R2 何れ
かが水素原子であるものより、何れもアルキル基である
方が好ましい。Rfは一般式(1)と同様フルオロカー
ボン基、またはその部分置換体を表し、その定義も同様
である。
【0175】また、本発明の他の一つの態様によれば、
含フッ素芳香族化合物(A)が一般式(3)で表される
潤滑オイル組成物、および冷媒組成物が提供される。
【0176】
【化76】
【0177】[但し、R3 、R4 、R5 は炭素数1〜2
0個のアルキル基である。nは1〜3の整数を表す。n
が2または3の場合には、一般式(3)で表される化合
物は複数の種類のR3 4 5 C−基より構成されてい
ても良い。また、一般式(3)において芳香核に結合し
ている全てのR3 4 5 C−基の炭素原子の数の総和
は4〜25の範囲である。
【0178】一方、本発明に使用される一般式(3)中
のR3 、R4 、R5 は炭素数1〜20個のアルキル基で
ある。nは1〜3の整数を表す。nが2または3の場合
には、一般式(3)で表される化合物は複数の種類のR
3 4 5 C−基より構成されていても良い。また、一
般式(3)において芳香核に結合している全てのR3
4 5 C−基の炭素原子の数の総和は4〜25の範囲で
ある。
【0179】なお、全てのR3 4 5 C−基の炭素数
の合計が26以上の場合は、HFC−134a等のハイ
ドロフルオロカーボン系冷媒あるいは各種の水素原子含
フッ素エーテル系冷媒との相溶性が低下したり、また、
原料の入手が非常に困難となる。Rfは一般式(1)と
同様フルオロカーボン基、またはその部分置換体を表
し、その定義も同様である。
【0180】当該アルキル基R1 、R2 、R3 、R4
5 中には、置換基、連結基を含んでいても良く、その
例としては、例えば、不飽和炭化水素残基、塩素やフッ
素等のハロゲン原子、水酸基、チオール基、アルコキシ
基、ニトリル基、ニトロ基、エーテル基、チオエーテル
基、エステル基、カルボニル基、スルホニル基、スルフ
ィニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミ
ノ基、チオカルバメート基、アミド基、イミド基、ピリ
ジン基、ピリミジン基、ピペリジン基、トリアジン基、
ホスフィン基、ベンゾイミダゾール基、亜リン酸エステ
ル基、トリアゾール基、テトラゾール基、チアゾール
基、チアジアゾール基等の各種の含酸素、含窒素、含リ
ン原子、含イオウ原子の極性基等が挙げられる。その中
でも、特に、フッ素原子およびエーテル基の場合に高い
安定性を示すので好ましい。上記の置換基、連結基の数
は通常は5以下、好ましくは3以下、特に好ましくは1
以下である。
【0181】R1 、R2 、R3 、R4 、R5 の具体例を
一般式(2)または(3)を用いて以下に示す。
【0182】
【化77】
【0183】
【化78】
【0184】
【化79】
【0185】一般式(2)または(3)において、Rf
は、一般式(1)におけるRfと同様なフルオロカーボ
ン基、またはその部分置換体を表し、その定義も同様で
ある。Rfとしては、炭素数1〜25の範囲であるフル
オロアルキル基、フルオロアルケニル基であってもよ
く、次の具体例としては、例えば−C6 11、−C6
12H、−C9 17、−C9 18H等が挙げられる。Rf
の炭素数は、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1
〜3の範囲である。また、Rfとしては、炭素数2〜2
5の範囲であり、かつ、主鎖に1〜7個のエーテル結合
を含有するフルオロアルキル基であってもよい。さらに
Rfは、1〜4個の塩素原子で置換された一般式(1
b)の構造であってもよい。
【0186】より好ましくは炭素数1〜3個のフルオロ
アルキル基、−CF=CFCFF3、−CF2 CFCl
H、−CF=CFCl、及び
【0187】
【化80】
【0188】が使用できる。なお、炭素数1〜3個のフ
ルオロアルキル基の具体例としては、例えば、−CF2
H、−CF3 、−CF2 CF2 H、−CF2 −CF3
−CH2 −CF3 、−CF2 CHFCF3 、−CF2
2 CF3 等が挙げられる。一般式(2)または(3)
で表される含フッ素芳香族化合物の中でも、芳香族炭化
水素系化合物(B)との良好な相溶性を発現するものと
しては、フッ素原子の数/(フッ素原子の数+水素原子
の数)の比が0.03以上0.85以下、好ましくは
0.05以上0.6以下、特に好ましくは0.1以上
0.5以下のものが使用される。また、一般式(2)ま
たは/および(3)の含フッ素芳香族化合物(A)とし
ては複数の種類を混合して使用することもできる。
【0189】一般式(2)または/および(3)で表さ
れる含フッ素芳香族化合物(A)は、単独で、又は複数
の種類を混合して、ハイドロフルオロカーボン系冷媒あ
るいは水素原子含有含フッ素エーテル系冷媒を使用した
冷凍システム用の潤滑油として有利に使用することがで
きる。例えば、一般式(2)と(3)で表される含フッ
素芳香族化合物を混合して用いる事もできる。
【0190】さらに、一般式(2)または/および
(3)の含フッ素芳香族化合物(A)は、上記の相溶性
の改善の効果以外に、例えば下記の効果も得ることがで
きる。 一般式(2)または/および(3)で表される含フッ
素芳香族化合物(A)は、フッ化カーボン残基と炭化水
素残基からなるハイブリッド構造を有し、エステル系オ
イル、ポリアルキレングリコール系オイル、鉱油、アル
キルベンゼンに代表される炭化水素系等の各種オイルと
良好な相溶性を示すため、他のオイルと混合して使用す
ることができる。
【0191】一般式(2)または/および(3)で表さ
れる含フッ素芳香族化合物(A)と混合して使用できる
他のオイルは、例えば、ナフテン系鉱油、パラフィン系
鉱油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリ−
α−オレフィン等に代表される炭化水素系化合物、ポリ
アルキレングリコール、ポリフェニルエーテル等のエー
テル系化合物、パーフルオロポリエーテル、カルボキシ
ル基、カボキシレート基、アミド基、ケトン基やエステ
ル基等のカルボニル含有基、ヒドロキシル基、アミノ
基、イミド基、エーテル基、ベンゾイミダゾール基、亜
リン酸エステル基、ホスフィン基、ニトリル基、ホスフ
ォトリアジン基あるいはトリアジン基等の極性置換基を
含有するパーフルオロポリエーテル、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン、クロロフルオロカーボン等のフッ素系
化合物、ポリオールエステル、混合エステル等のエステ
ル系化合物、ポリカーボネート等のカーボネート系化合
物、ケイ酸エステル、シリコーン、フッ素化シリコーン
等のシリコン系化合物、アリールフォスフェート類、ア
ルキルアリールフォスフェート類、アルキルリン酸エス
テル等のリン系オイルを挙げることができる。通常はこ
れらの中から、一般式(2)または/および(3)の含
フッ素芳香族化合物(A)との混合で得られる潤滑組成
物の粘度あるいは潤滑特性等を考慮して適当な種類のも
のが選択される。
【0192】一般式(2)または/および(3)の含
フッ素芳香族化合物(A)をエステル系、ポリアルキレ
ングリコール系、カーボネート系等に代表される極性オ
イルに混合することにより、極性オイルの問題点である
吸湿性、安定性、潤滑特性等の特性を改善する事が出来
る。 一般式(2)または/および(3)の含フッ素芳香族
化合物(A)は、1)パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱
油等の鉱物油、2)オレフィン(共)重合体、および
3)アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキル
化ビフェニル、ポリフェニル置換炭化水素、スチレンオ
リゴマー等の芳香族炭化水素系化合物等の炭化水素系化
合物と特に良好な相溶性を示すため、当該各種の炭化水
素系化合物と混合して用いることが出来る。
【0193】一般式(2)または/および(3)で表
される化合物(A)は、アルキルベンゼン等の芳香族オ
イル(B)と極めて良好に相溶するため、多量の芳香族
オイル(B)を混合して使用する事が出来る。また、当
該混合オイル組成物は、一般式(2)または/および
(3)で表される化合物の持つハイドロフルオロカーボ
ン系冷媒との良好な相溶性を損なう事なく、低温流動
性、低吸湿性、電気絶縁性等の物性が効果的に改良され
る。
【0194】一般式(2)または/および(3)の含
フッ素芳香族化合物(A)は、炭化水素系化合物とハイ
ドロフルオロカーボン系冷媒何れとも良好な相溶性を示
すため、ハイドロフルオロカーボンとの溶解性が不十分
なアルキルベンゼン等の芳香族炭化水素系化合物あるい
はその部分置換体や鉱油等の炭化水素系化合物の冷凍シ
ステム系内での油戻りを良好にするため効果的な添加剤
として使用することも可能である。
【0195】また、一般式(1)で表される含フッ素
芳香族化合物の中でも一般式(2)または/および
(3)で表される特定の含フッ素芳香族化合物(A)
は、特に高い安定性を示す事が特長である。例えば、特
開平5−86382号公報に記載されている一般式(1
7)や(18)で示されるノニルフェノールタイプやド
デシルフェノールタイプのオイルは空気中で加熱すると
酸化や熱分解が起こるのに対し、 一般式(2)または
/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)
は、空気中で175℃で長時間加熱しても分解しない。
【0196】
【化81】
【0197】さらに、一般式(2)または/および
(3)の含フッ素芳香族化合物(A)を、銅、又は真
鍮、アルミニウム及び炭素鋼のような金属とHFC−1
34aのようなハイドロフルオロカーボンの共存下で加
熱する安定性評価試験(いわゆるシールドチューブテス
ト)にかけた場合、175℃でも、一般式(2)または
/および(3)の含フッ素芳香族化合物(A)及びハイ
ドロフルオロカーボンは安定であり、また、金属表面も
殆ど変化しないと言った良好な結果を示す。
【0198】環境中に放出された化学物質は、その物
質が環境中で安定であればあるほど生物体に接触する確
率が高くなるため、水圏、土壌圏、あるいは、大気圏に
生息する生物体に取り込まれて濃縮され、環境汚染物質
となり得る可能性がある。本発明者らは、環境毒性学の
立場から、一般式(1)で表される各種の潤滑オイルの
構造と生物濃縮性の相関について検討した。その結果、
一般式(2)または/および(3)で表される含フッ素
芳香族化合物(A)が生物濃縮性試験で低い生物濃縮性
を示す事を確認した。
【0199】一般式(2)または/および(3)で表
される含フッ素芳香族化合物(A)の潤滑特性をハイド
ロフルオロカーボンの存在下および不在下で評価したと
ころ、いずれの場合も極圧性(焼き付け荷重)、耐摩粍
性、摩擦係数とも極めて良好な性能を示すことが確認さ
れた。例えば、一般式(2)または/および(3)の化
合物(A)の多くは、鉱油やアルキルベンゼンのような
従来冷媒用冷凍機油、あるいはポリアルキレングリコー
ルやポリエステル系オイル等のHFC−134a用冷凍
油の候補オイルよりもはるかに優れた潤滑特性を示す。
【0200】さらに、上記の一般式(2)または/およ
び(3)の含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル
(B)との混合オイルはハイドロフルオロカーボン系冷
媒との相溶性、低温流動性、低吸湿性、電気絶縁性、潤
滑特性等冷凍機油に要求される全ての諸特性を満足した
実用的に優れたオイルである。この場合、一般式(2)
または/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物
(A)と芳香族オイル(B)とからなる冷凍機用の潤滑
オイル組成物において(A)成分の混合割合は、0.1
〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、特に好
ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90
重量%である。(A)成分の混合割合が上記下限より小
さい場合には、潤滑性およびハイドロフルオロカーボン
系冷媒に対する相溶性が充分ではなく、一方、(A)成
分の割合が上記上限より大きい場合には、低温流動性、
低吸湿性、電気絶縁性等の改良効果が充分でない。
【0201】本発明で使用される、一般式(2)または
/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)
および芳香族オイル(B)としては、それぞれの粘度と
しては特に制約はないが、混合オイル組成物の粘度とし
ては、通常は40℃における動粘度が、2〜500cS
tの範囲のものが好ましく、より好ましくは3〜300
cStの範囲のもの、特に好ましくは5〜150cSt
の範囲のものが使用される。粘度があまり低すぎるとコ
ンプレッサー部における充分な潤滑性が得られず好まし
くない、また、粘度があまり高すぎるとコンプレッサー
部の回転トルクが高くなりすぎ好ましくない。
【0202】また、一般式(2)または/および(3)
で表される含フッ素芳香族化合物(A)を単品としてあ
るいは複数の種類混合して使用する場合、又は他のオイ
ルと混合して使用する場合には、それらの粘度が上記の
一般式(2)または/および(3)で表される含フッ素
芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)からなる混合
オイル組成物の粘度範囲と同じ範囲に入れば良い。
【0203】又、さらに、一般式(2)または/および
(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)が固体で
ある場合でも、HFC系冷媒と当該物質よりなる冷媒組
成物の粘度が、上記各種の動粘度の一般式(2)または
/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)
と芳香族オイル(B)からなる混合オイル組成物よりな
る冷媒組成物と同程度ならば使用可能である。
【0204】本発明において、冷凍システムにおける冷
媒全量/潤滑油全量の重量比は、通常は99/1〜1/
99の範囲、好ましくは95/5〜5/95の範囲、特
に好ましくは90/10〜10/90の範囲である。一
般式(2)または/および(3)で表される含フッ素芳
香族化合物(A)と芳香族オイル(B)からなる潤滑オ
イル組成物の具体的な効果には、例えば以下のようなも
のがある。
【0205】上述の安定性評価試験にかけた場合、一
般式(2)または/および(3)の含フッ素芳香族化合
物(A)、芳香族オイル(B)及びハイドロフルオロカ
ーボンは安定であり、また、金属表面も全く変化しない
と言った良好な結果が得られる。 一般式(2)または/および(3)で表される含フッ
素芳香族系化合物(A)は、低い吸湿性を示すが、一般
式(2)または/および(3)で表される含フッ素芳香
族化合物に芳香族オイル(B)を混合することで吸湿性
はさらに改善され、冷凍機システム系内での水分凍結や
水による金属腐食、HFC−134a等のハイドロフル
オロカーボンの分解の促進等の問題もない。
【0206】一般式(2)または/および(3)で表
される含フッ素芳香族化合物(A)に芳香族オイル
(B)を混合することにより、吸湿による電気特性の低
下が大きく改良される。 一般式(2)または/および(3)で表される含フッ
素芳香族化合物(A)に芳香族オイル(B)を混合する
と、後述の実施例66に示すように(A)、(B)何れ
と比べても潤滑特性がさらに改善されるという全く予想
できない効果も確認された。上記の潤滑特性は、各種の
試験機により測定できるが、例えば、ファレックス試験
機により極圧性および耐摩粍性が測定される。
【0207】本発明の一般式(1)で表される含フッ素
芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)からなる潤滑
オイル組成物の耐摩耗性、極圧性をさらに改良するため
に、耐荷重添加剤(油性剤、耐摩耗剤、極圧剤)を配合
する事ができる。 特に、一般式(2)または/および
(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)は、既存
の添加剤とより良好に溶解するため、各種の添加剤を用
いることが出来る。
【0208】“石油製品添加剤”,幸書房(1979)
には、油性剤とは、金属表面へ吸着する事によって摩擦
係数を低下させるもの、耐摩耗剤とは、比較的低荷重に
おいて摩耗を防止する効果が大きいもの、さらに、極圧
剤とは、金属表面と反応し、高温、高圧下における焼き
付き、摩耗を防止するものと説明されている。但し、一
つの添加剤が例えば油性剤としての役割のみならず、耐
摩耗剤や極圧剤として、2者、3者の役割を果たす場合
も多い事が記載されている。
【0209】油性剤の例としては、カルボン酸系では高
級脂肪酸類、ヒドロキシアリ−ル脂肪酸類、含カルボン
酸多価アルコ−ルエステル類、芳香族カルボン酸等を、
アルコ−ル系では高級アルコ−ル類、残アルコ−ル多価
アルコ−ルエステル類、フェノール系としては、アルキ
ルフェノール類、多価フェノ−ル類等を、エステル系で
はラウリン酸メチル、オレイン酸メチル等の高級脂肪酸
エステル類、多価アルコ−ルエステル類、アクリル酸エ
ステル類等を、アミド系ではラウリン酸アミド、オレイ
ン酸アミド等の高級脂肪酸アミド類等を、更に、カルボ
ン酸の金属塩として、ナトリウム、カリウム等のアルカ
リ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類
金属塩、他の金属としてアルミニウム等とのカルボン酸
塩等を挙げる事ができる。カルボン酸系の具体例として
は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペラル
ゴン酸、ステアリン酸、アラキン酸、セロチン酸、ラク
セン酸等の直鎖型飽和脂肪酸を、イソトリデカン酸、イ
ソミリスチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等
の分岐型飽和脂肪酸を、オレイン酸、リノ−ル酸等の不
飽和脂肪酸を、また、アルコ−ル系の具体例としては、
ラウリルアルコ−ル、セチルアルコ−ル、ステアリルア
ルコ−ル、オレイルアルコ−ル、グリセロ−ルモノオレ
イン酸エステル、グリセロ−ルモノステアリン酸エステ
ル、グリセロ−ルジラウリン酸エステル等を、フェノー
ル類としては、3−ペンタデシルフェノール、4−ヘプ
チルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノー
ル、ドデシルフェノール等やアルキルカテコール類を挙
げることができる。
【0210】その他の耐荷重添加剤としては、硫黄系で
はチオフェン、ベンゾチオフェン等のチオフェン類、ジ
−n−ドデシルスルフィド、ジベンジルスルフィド等の
モノスルフィド類、ジフェニルジスルフィド等のジスル
フィド類、ポリスルフィド類、スルホン類チオスルフィ
ネ−ト類、硫化油脂、チオカ−ボネ−ト類、チアゾ−ル
類、メタンスルホン酸エステル類、n−ドデシルチオ酢
酸等のチオ酢酸類、n−オクタデシルメルカプタン等の
アルキルメルカプタン類等を、窒素系では、アルキル置
換ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール誘導
体等を、ハロゲン系では塩化パラフィン、三フッ化塩化
エチレン(CTFE)オリゴマ−等のクロロフルオロカ
−ボン類等の塩素化炭化水素類、塩素化カルボン酸誘導
体等の塩素系添加剤、フッ素化脂肪族アルコ−ル類、フ
ッ素化脂肪族カルボン酸類、フッ素化脂肪族カルボン酸
エステル類、パ−フルオロポリエ−テルカルボン酸類、
パ−フルオロポリエ−テルカルボン酸エステル類、パ−
フルオロアルキルトリアジン類やパ−フルオロポリエ−
テルトリアジン等の極性基含有フッ素化合物、フッ化黒
鉛、フッ化エチレンオリゴマー類等のフッ素系の添加
剤、臭化アルカン、臭化アルケン、臭化アルキン等の臭
素系の添加剤、ヨウ素化炭化水素類等のヨウ素系の添加
剤を挙げることができる。リン系ではリン酸モノエステ
ル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、ハ
ロゲン化リン酸エステル類等のリン酸エステル系、亜リ
ン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸
トリエステル類、ハロゲン化亜リン酸エステル類等の亜
リン酸エステル系、第三級ホスフィン系、第三級ホスフ
ィンオキシド系、第三級ホスフィンスルフィド系、ホス
ホン酸エステル系、亜ホスホン酸エステル系、ホスフィ
ン酸エステル系、亜ホスフィン酸エステル系、チオリン
酸トリエステル類などのチオリン酸エステル系、チオ亜
リン酸エステル系、チオホスホン酸エステル系、チオホ
スフィン酸エステル系、ホスホロアミデート系、酸性リ
ン酸エステルのアミン塩、ホスファゼン系等を挙げるこ
とができる。シリコーン系ではフッ素化シリコ−ン、カ
ルボキシル基含有シリコ−ン等の有機シリコン化合物
を、金属化合物系ではナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉛等
のナフテン酸塩類、脂肪酸鉛等の脂肪酸塩類、亜鉛−ジ
チオホスフェ−ト類、アンチモン−ジチオホスフェ−ト
類等のチオリン酸塩類、亜鉛−ジチオカルバメ−ト類、
アンチモン−ジチオカルバメ−ト類、鉛−ジチオカルバ
メ−ト類等のチオカルバミン酸塩類、モリブデニウムオ
キシスルフィドジチオカルバメ−ト類、硫化オキシモリ
ブデニウムホスホロジチオエ−ト類等の有機モリブデン
化合物、有機スズ化合物、有機ゲルマニウム化合物、有
機チタン化合物、ホウ酸エステル類、ジエチルシリケー
ト等のオルガノシリケート類、硫化鉄、塩化鉄等の金属
硫化物、金属塩化物、あるいは前記の複合型を挙げる事
ができる。
【0211】フッ素系耐荷重添加剤の具体例としては、
極性基含有フッ素化合物としては、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオ
ロオクタノ−ル、1H,1H,7H−ドデカフルオル−
1−ヘプタノ−ル、1H,1H,11H−エイコサフル
オロ−1−ウンデカノ−ル、2,2,3,3,4,4−
ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオ−ル等のフッ素
化脂肪族アルコ−ル類、パ−フルオロオクタン酸メチ
ル、パ−フルオロノナン酸メチル、等のフッ素化脂肪族
カルボン酸エステル類、ヘキサフルオロプロペンオキシ
ドオリゴマ−ジカルボン酸エステル、パ−フルオロ−
2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナニル酸メチル
等のパーフルオロポリエ−テルカルボン酸エステル類、
パーフルオロノナン酸等のフッ素化脂肪族カルボン酸
類、パ−フルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキ
サノナニル酸等のパ−フルオロポリエ−テルカルボン酸
類等を挙げることができる。
【0212】リン系添加剤の具体例として、正リン酸エ
ステルとしては、トリクレジルホスフェ−ト、トリフェ
ニルホスフェ−ト、トリイソプロピルフェニルホスフェ
−ト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェ−ト、ジ
(2−エチルヘキシル)トリデシルホスフェート、ジ
(2−エチルヘキシル)アリルホスフェート、トリオク
チルホスフェ−ト、トリラウリルホスフェ−ト、トリス
テアリルホスフェ−ト、トリオレイルホスフェ−ト、ト
リス[ポリ(オキシエチレン)トリデシル]ホスフェー
ト、トリス[ポリオキシエチレン)−2−エチルヘキシ
ル]ホスフェート、トリス[ポリ(オキシエチレン)イ
ソオクチル]ホスフェート、トリス[ポリ(オキシエチ
レン)−(ポリ(オキシプロピレン)−n−オクチル]
ホスフェート、トリス[ポリ(オキシエチレン)カルボ
ニル−1−エチルペンチル]ホスフェート、トリス[ポ
リ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)カルボ
ニル−1−エチルペンチル]ホスフェート、トリス[ポ
リ(オキシエチレン)プロピレンオキシカルボニル−1
−メチルビニル]ホスフェート、トリス[3−ポリ(オ
キシエチレン)−メチル−2−メチルプロピオネート]
ホスフェート、トリス[ポリ(オキシエチレン)−2−
ヒドロキシオクチル]ホスフェート、トリス(p−オク
チルフェノキシエチレン)ホスフェート、トリス[ポリ
(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−p−
メチルフェノキシ]ホスフェート、トリス[4−ポリ
(オキシエチレン)エチルフェニルアセテート]ホスフ
ェート、トリス[ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシ
プロピレン)−p−ブトキシフェニル]ホスフェート、
2−エチルヘキシル[ポリ(オキシエチレン)−2−エ
チルヘキシル]ホスフェート、ポリオキシアルキレン・
ビス(ジアリ−ル)ホスフェ−ト等が、酸性リン酸エス
テルとしては、ジテトラデシルアシッドホスフェ−ト、
ジペンタデシルアシッドホスフェ−ト、ジヘキサデシル
アシッドホスフェ−ト、ジヘプタデシルアシッドホスフ
ェ−ト、ジオクタデシルアシッドホスフェ−ト、ジ(ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル)ホスフェー
ト等が、酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記
酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プ
ロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシ
ルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチル
アミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプ
チルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミ
ン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘ
プチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩が
挙げられる。塩素化リン酸エステルとしては、トリス
(ジクロロプロピル)ホスフェ−ト、トリス(クロロエ
チル)ホスフェ−ト、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ
(クロロアルキル)]ホスフェ−ト、トリス(クロロフ
ェニル)ホスフェ−ト等が挙げられる。
【0213】臭素化リン酸エステルとしては、トリス
(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロ
モフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスフェート、等が挙げられ
る。フッ素化リン酸エステルとしては、トリス(ポリフ
ルオロアルキル)ホスフェ−ト、トリス(ポリフルオロ
フェニル)ホスフェ−ト等が挙げられる。亜リン酸エス
テルとしては、ジブチルホスファイト、トリブチルホス
ファイト、ジペンチルホスファイト、トリペンチルホス
ファイト、ジヘキシルホスファイト、トリヘキシルホス
ファイト、ジヘプチルホスファイト、トリヘプチルホス
ファイト、ジオクチルホスファイト、トリオクチルホス
ファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイ
ト、ジウンデシルホスファイト、トリウンデシルホスフ
ァイト、ジドデシルホスファイト、トリドデシルホスフ
ァイト、ジフェニルホスファイト、トリフェニルホスフ
ァイト、ジクレジルホスファイト、トリクレジルホスフ
ァイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルオク
チルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジ
ラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイド
ロゲンホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルフェニルホ
スファイト、ポリオキシアルキレン・ビス(ジアリ−
ル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−
4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチル
フェニル)ブタン、テトラフェニルジプロピレングリコ
ールジホスファイト、テトラデシルジエチレングリコー
ルジホスファイト等が挙げられる。ホスホン酸エステル
としては、O,O−ジメチルドデシルホスホネート、
O,O−ジエチルドデシルホスホネート、O,O−ジ−
n−ブチルデシルホスホネート、O,O−ジ−2−エチ
ルヘキシルドデシルホスホネート、O,O−ジ−2−エ
チルヘキシル−2−エチルヘキシルホスホネート、O,
O−ジ−2−エチルヘキシルイソオクチルホスホネー
ト、O,O−ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスホネ
ート、O,O−ジメチルホスホノメチレン(ジメチル)
スクシネート、O,O−ジ−2−エチルヘキシル−3−
ホスホノメチルプロピオネート、O,O−ジ−2−エチ
ルヘキシルトリス(エチレングリコール)メチレンホス
ホネート、O,O−ジ(デシルポリオキシエチレン)
(デシルポリオキシエチレン)ホスホネート、O,O−
ジ−2−エチルヘキシルヒドロキシメチレンホスホネー
ト、O,O−ジ−2−エチルヘキシルホスホノメチレン
ポリエチレングリコール等が、ホスフィン酸エステルと
しては、O−アルキルジアルキルホスフィネ−ト等が挙
げられる。
【0214】以上の耐荷重添加剤は単品として、また、
数種を混合して用いても良い。これらの耐荷重添加剤を
配合する場合、1)本発明の一般式(1)で表される含
フッ素芳香族化合物(A)と芳香族炭化水素系化合物
(B)あるいはその部分置換体からなる潤滑オイル組成
物、2)本発明の一般式(2)または/および(3)で
表される含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル
(B)あるいはその部分置換体からなる潤滑オイル組成
物、あるいは、3)本発明の一般式(2)または/およ
び(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)に対し
耐荷重添加剤を通常は0.01〜25重量%、好ましく
は0.05〜5.0重量%、さらに好ましくは0.1〜
2.0重量%の割合で含有する事が望ましい。耐荷重添
加剤の割合が0.01重量%未満の場合、耐摩耗性、極
圧性に及ぼす効果が十分でない。一方、25重量%を越
えると電気絶縁性等冷凍機油の特性に悪影響を及ぼし
て、使用できない場合がある。但し、電気絶縁性、安定
性が良好な添加剤についてはこの限りではない。
【0215】1)本発明の一般式(1)で表される含フ
ッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)からなる
潤滑オイル組成物、2)本発明の一般式(2)または/
および(3)で表される含フッ素芳香族化合物(A)と
芳香族オイル(B)からなる潤滑オイル組成物、あるい
は、3)本発明の一般式(2)または/および(3)で
表される含フッ素芳香族化合物(A)を冷凍機油として
使用した場合の金属表面の耐蝕性をさらに改良するため
に、腐食防止剤を配合する事ができる。
【0216】腐食防止剤としては、カルボン酸ではオレ
イン酸、ステアリン酸を、カルボン酸塩では脂肪酸やラ
ノリン脂肪酸のMg、Ca、Ba塩を、スルホン酸塩で
は石油スルホン酸、ジノリルナフタリンスルホン酸やア
ルキルベンゼンスルホン酸のNa、Mg、Ca、Ba塩
を、エステルではソルビタンモノオレ−ト、ソルビタン
モノラウレ−ト等のソルビタンモノ脂肪酸エステルやペ
ンタエリスリト−ルモノ脂肪酸エステルを、アミンでは
N−フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン、
脂肪族アミン、ロジンアミンを、リン酸エステルではリ
ン酸モノエステル、及びその塩、リン酸ジエステル、及
びその塩、さらに、トリフェニルホスフェ−ト等のリン
酸トリエステル、及び、トリフェニルホスファイト等の
亜リン酸エステルを、エポキシ化合物では、グリシジル
エ−テル型エポキシ化合物としてフェニルグリシジルエ
−テル等のアリールグリシジルエーテルや2−エチルヘ
キシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエ−
テルを、グリシジルエステル型エポキシ化合物としてフ
タル酸ジグリシジルエステル等の芳香族カルボン酸グリ
シジルエステル、2−エチルヘキサン酸グリシジルエス
テルやデカン酸グリシジルエステル等の飽和脂肪族カル
ボン酸グリシジルエステル、不飽和脂肪族カルボン酸グ
リシジルエステルを、エポキシ化脂肪酸モノエステルと
してエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジ
ル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェ
ニル及びブチルフェニルエステルを、含窒素複素環化合
物としてベンゾトリアゾ−ル、5−メチル−1H−ベン
ゾトリアゾール等の各種アルキル置換ベンゾトリアゾー
ルのようなベンゾトリアゾール誘導体、イミダゾ−ルお
よびその誘導体、ベンゾイミダゾ−ル、2−(アルキル
ジチオ)ベンゾイミダゾ−ル等ベンゾイミダゾール誘導
体、1,3,4−チアジアゾ−ルポリサルファイド等
を、その他のものとしてジアルキルジチオリン酸亜鉛等
を挙げる事ができる。 以上の腐食防止剤は単品とし
て、また、数種を混合して用いても良い。これらの腐食
防止剤を配合する場合、1)本発明の一般式(1)で表
される含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル
(B)あるいはその部分置換体からなる潤滑オイル組成
物、2)本発明の一般式(2)または/および(3)で
表される含フッ素芳香族化合物と芳香族炭化水素系化合
物(B)あるいはその部分置換体からなる潤滑オイル組
成物、あるいは、3)本発明の一般式(2)または/お
よび(3)で表される含フッ素芳香族化合物に対し0.
001〜25重量%、好ましくは0.001〜5.0重
量%、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%の割合で
含有する事が望ましい。腐食防止剤の割合が0.001
重量%未満の場合、耐蝕性に及ぼす効果が十分でない、
一方25重量%を越えると電気絶縁性等冷凍機油の特性
に悪影響を及ぼす。
【0217】また、1)本発明の一般式(1)で表され
る含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)か
らなる潤滑オイル組成物、2)本発明の一般式(2)ま
たは/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物と
芳香族オイル(B)からなる潤滑オイル組成物、あるい
は、3)本発明の一般式(2)または/および(3)で
表される含フッ素芳香族化合物(A)を冷凍機油として
使用した場合、フェノール類(例えば、2,6−ジ−t
ert−ブチル−p−クレゾール)等や芳香族アミン類
(例えば、α−ナフチルアミン)等の酸化防止剤、シリ
コーンオイル(例えば、ジメチルシロキサン)、オルガ
ノシリケート類等の消泡剤、スルホネート類、フェネー
ト類、コハク酸イミド類等の清浄分散剤、ポリメタクリ
レート等の各種ポリマーの粘度指数向上剤、ジエステル
類やポリアルキレングリコール類、トリグリセライド等
の流動点改良剤、N,N’−ジサリチリデン−1,2−
ジアミノエタン、アセチルアセトン等の金属不活性剤と
ともに用いることができる。
【0218】従って、1)本発明の一般式(1)で表さ
れる含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)
からなる潤滑オイル組成物、2)本発明の一般式(2)
または/および(3)で表される含フッ素芳香族化合物
(A)と芳香族オイル(B)からなる潤滑オイル組成
物、あるいは、3)本発明の一般式(2)または/およ
び(3)で表される含フッ素芳香族化合物と耐荷重添加
剤、腐食防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、消泡剤、
清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点改良剤から選ばれ
る少なくとも一つの添加剤を含有する事を特徴とするフ
ッ化アルカン系冷媒を用いる冷凍機用の冷凍機油組成物
は、冷蔵庫、冷凍庫、カーエアコンあるいはルームエア
コン等に使用するCFC−12やHCFC−22等の冷
媒の代替品として有望なフッ化アルカンを冷媒とする各
種冷凍機用の潤滑油として極めて有用である。
【0219】本発明の他の一つの態様によれば、一般式
(2)で表される含フッ素芳香族化合物、及び一般式
(3)において、特に、一般式(3a)の構造をとる事
を特徴とする含フッ素芳香族化合物が提供される。一般
式(2)については、上述したとおりである。一般式
(3a)については、以下の通りである。
【0220】
【化82】
【0221】[R6 、R7 、R8 およびRf6 は、それ
ぞれ一般式(3)の中のR3 、R4 、R5 およびRfと
同じである。但し、R678 C−基の炭素原子の数
の総和は5〜25の範囲である。]一方、本発明に使用
される一般式(3a)中のR6 、R7 、R8 は炭素数1
〜20個のアルキル基である。一般式(3a)において
芳香核に結合している全てのR678 C−基の炭素
原子の数の総和は5以上25以下、特に好ましくは7以
上15以下の範囲である。R3'R4'R5'C−基の炭素原
子の数の合計が5以上の場合は、潤滑油として適正な粘
性を有し、また、生物濃縮性も低い値を示すため好まし
い。一方、R678 C−基の炭素数の合計が26以
上の場合は、HFC−134a等のハイドロフルオロカ
ーボン系冷媒あるいは各種の水素原子含フッ素エーテル
系冷媒との相溶性が低下したり、また、原料の入手が非
常に困難となるため好ましくない。
【0222】前記の一般式(2)、(3a)で表される
含フッ素芳香族化合物(A)は、上述のとおり、各種オ
イルとの優れた相溶性、低い生物濃縮性、高い安定性、
高い潤滑特性等の良好な特性を有するため、一般式
(2)または/および一般式(3’)のオイル単独で、
あるいは、他のオイルとの混合オイルとして、冷凍機用
潤滑油以外にも、磁気記録媒体用潤滑油、コンプレッサ
ー油、作動油、圧延油、ギアー油、作動油、トラクショ
ンドライブ油、エンジン油、グリース用ベースオイル等
の高性能潤滑油として有用である。また、潤滑油以外の
用途として、各種オイルの耐久性や潤滑性の改質剤、ポ
リマー等の表面改質剤、離型剤、相溶化剤や電気粘性流
体や磁性流体用のベースオイルを挙げることができる。
【0223】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではな
い。本発明の潤滑油の動粘度は、各種の粘度計による粘
度の測定により求めることができる。粘度計は、E型回
転粘度計(東京計器社製)を使用した。 〈合成例1〉特開平5−86382号公報記載の(実施
例54)にしたがって、以下の方法でオイル[S−1]
を合成した。
【0224】反応容器(500mlマイクロポンベ)に
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下、ビスフェノールAと略記する。)68.7g、水酸
化カリウム6.2g、ジメチルスルホキシド120ml
及び水を1ml入れ、溶解させるために、反応容器は油
浴で60℃に加熱し、その混合物は大気圧下で5時間加
熱し溶解させた。系内を脱気後、不活性ガスN2 で常圧
にもどした。反応容器をオイルバスで60℃に加温し、
テトラフルオロエチレンを導入し反応を開始した。系内
圧(ゲージ圧)が3〜4kg/cm2 に保たれるように
テトラフルオロエチレンを供給し、約5時間反応させ
た。
【0225】反応後の溶液よりジメチルスルホキシドを
150℃約5mmHgで溜去し、100mlの純水で5
回水洗する事により無色透明のオイル([S−1]を9
9wt%含有)を130g得た。沸点約150℃、0.
1〜0.3mmHgのもとで単蒸留後、シリカゲルカラ
ムを用いて精製し、オイル[S−1]を単離した。赤外
線吸収スペクトル分析および質量分析[m/e 428
(M+ )、413(M + −CH3 )]によりこのオイル
[S−1]が下記の構造を有する化合物であることを確
認した。この化合物の40℃での動粘度は26cStで
あった。
【0226】
【化83】
【0227】〈合成例2〉テトラフルオロエチレンの代
わりにクロロトリフルオロエチレンを用い、水の添加量
を1mlから44mlに変えた以外は、合成例1と全く
同様にしてオイル[S−2]を得た(収率99%)。本
法により得られたオイルをガスクロマトグラフィーで分
析した結果、目的生成物の純度は99.9%であった。
赤外線吸収スペクトル分析、質量分析[m/e 46
0、462(M+ )445、447(M+ −CH3 )]
より、このオイル[S−2]が下記の構造を有する化合
物であることを確認した。この化合物の40℃での動粘
度は57cStであった。
【0228】
【化84】
【0229】〈合成例3〉ビスフェノールAの代わりに
下記に示す化合物[G−1]を用いる以外は合成例1と
全く同様にしてオイル[S−3]を得た(収率95
%)。図1に示す赤外線吸収スペクトル分析および質量
分析[m/e 470(M+ )]によりこの化合物が下
記に示す構造を有する化合物であることを確認した。こ
の化合物の40℃における動粘度は109cStであっ
た。
【0230】
【化85】
【0231】
【化86】
【0232】〈合成例4〉ビスフェノールAの代わりに
p−t−オクチルフェノール(東京化成(株)製)を用
いる以外は合成例1と全く同様にしてオイル[S−4]
を得た(収率94%)。図2に示す赤外線吸収スペクト
ル分析および質量分析[m/e 306(M+ )]によ
りこの化合物が下記に示す構造を有する化合物であるこ
とを確認した。この化合物の40℃における動粘度は
6.1cStであった。
【0233】
【化87】
【0234】〈合成例5〉ビスフェノールAの代わりに
下記に示す化合物[G−2]を用いる以外は合成例1と
全く同様にしてオイル[S−5]を得た(収率90
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 498(M+ )]によりこの化合物が下記化7に示
す構造を有する化合物であることを確認した。この化合
物の40℃における動粘度は112cStであった。
【0235】
【化88】
【0236】〈合成例6〉ビスフェノールAの代わりに
下記に示す化合物[G−3]を用いる以外は合成例1と
全く同様にしてオイル[S−6]を得た(収率88
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 498(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構
造を有する化合物であることを確認した。この化合物の
40℃における動粘度は250cStであった。
【0237】
【化89】
【0238】〈合成例7〉ビスフェノールAの代わりに
下記に示す化合物[G−1]を、また、テトラフルオロ
エチレンの代わりにクロロトリフルオロエチレンを用
い、更に、水の添加量を1mlから44mlに変えた以
外は合成例1と全く同様にしてオイル[S−7]を得た
(収率95%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量
分析[m/e502、504(M+ )]によりこの化合
物が下記に示す構造を有する化合物であることを確認し
た。この化合物の40℃における動粘度は230cSt
であった。
【0239】
【化90】
【0240】〈合成例8〉ビスフェノールAの代わりに
2,4−ジ−t−アミルフェノールを用いる以外は反応
例1と全く同様にしてオイル[S−8]を得た(収率9
0%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m
/e 334(M+ )]によりこの化合物が下記に示す
構造を有する化合物であることを確認した。この化合物
の40℃における動粘度は9.0cStであった。
【0241】
【化91】
【0242】〈合成例9〉ビスフェノールAの代わりに
下記に示す化合物[G−4]を用いる以外は合成例1と
全く同様にしてオイル[S−9]を得た(収率94
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 442(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構
造を有する化合物であることを確認した。この化合物の
40℃における動粘度は50cStであった。
【0243】
【化92】
【0244】〈合成例10〉ビスフェノールAの代わり
に下記に示す化合物[G−5]を用いる以外は合成例1
と全く同様にしてオイル[S−10]を得た(収率91
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 456(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構
造を有する化合物であることを確認した。この化合物の
40℃における動粘度は115cStであった。
【0245】
【化93】
【0246】〈合成例11〉ビスフェノールAの代わり
に下記に示す化合物[G−6]を用いる以外は合成例1
と全く同様にして化合物[S−11]を得た(収率96
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 456(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構
造を有する化合物であることを確認した。
【0247】
【化94】
【0248】〈合成例12〉ビスフェノールAの代わり
にp−n−ヘプチルフェノールを用いる以外は合成例1
と全く同様にしてオイル[S−12]を得た(収率95
%)。赤外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/
e 292(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構
造を有する化合物であることを確認した。この化合物の
40℃における動粘度は3.1cStであった。
【0249】
【化95】
【0250】〈合成例13〉ビスフェノールAの代わり
にノニルフェノールを用いる以外は合成例1と全く同様
にしてオイル[S−13]を得た(収率92%)。赤外
線吸収スペクトル分析および質量分析[m/e 320
(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構造を有する
化合物であることを確認した。この化合物の40℃にお
ける動粘度は6.2cStであった。
【0251】
【化96】
【0252】〈合成例14〉ビスフェノールAの代わり
にドデシルフェノールを用いる以外は合成例1と全く同
様にしてオイル[S−14]を得た(収率93%)。赤
外線吸収スペクトル分析および質量分析[m/e 36
2(M+ )]によりこの化合物が下記に示す構造を有す
る化合物であることを確認した。この化合物の40℃に
おける動粘度は14cStであった。
【0253】
【化97】
【0254】<合成例15>ビスフェノールAの代わり
に、合成例3で示した化合物〔G−1〕を用い、テトラ
フルオロエチレンの代わりに、パーフルオロプロピルビ
ニルエーテル(CF 2 =CFOCF2 CF2 CF3 )を
用いて、合成例1と同様にして、オイル〔S−15〕を
合成した。但し、合成のスケールは合成例1の20分の
1のスケーエルで行った。得られた粗反応生成物からク
ーゲルロール(Kugel Rohr)式のミクロ蒸留
装置により、オイル〔S15〕を少量単離し、その構造
を赤外線吸収スペクトルおよび質量分析〔m/e 80
2(M+ )〕により確認した。
【0255】
【化98】
【0256】<合成例16>パーフルオロプロピルビニ
ルエーテル(CF2 =CFOCF2 CF2 CF3 )の代
わりにヘキサフルオロプロペンを用いる以外は合成例1
5と同様にオイル〔S−16〕を少量単離し、その構造
を赤外線吸収スペクトルおよび質量分析〔m/e 57
0、550、530(M+ )〕により確認した。
【0257】
【化99】
【0258】(Rfaは、CF3 CF=CF−、又は、
CF3 CHFCF2 −である。) <合成例17>化合物〔G−1〕の代わりに、p−t−
オクチルフェノール(東京化成(株)製)を用いた以外
は合成例15と同様にして、オイル〔S−17〕を得
た。粗反応生成物より〔S−17〕をクーゲルロール式
のミクロ蒸留装置により単離し、その構造を赤外線吸収
スペクトルおよび質量分析〔m/e472(M+ )〕で
確認した。
【0259】
【化100】
【0260】<合成例18>化合物〔G−1〕の代わり
に、p−t−オクチルフェノール(東京化成(株)製)
を用い、パーフルオロプロピルビニルエーテルの代わり
にヘキサフルオロプロペン(CF2 =CFCF3 )を用
いた以外は合成例15と同様にして、オイル〔S−1
8〕を得た。
【0261】粗反応生成物より〔S−18〕をクーゲル
ロール式のミクロ蒸留装置により単離し、その構造を赤
外線吸収スペクトルおよび質量分析〔m/e336,3
56(M+ )〕で確認した。
【0262】
【化101】
【0263】(Rfbは、CF3 CF=CF−、又は、
CF3 CHFCF2 −である。) <合成例19>化合物〔G−1〕の代わりに、p−t−
オクチルフェノール(東京化成(株)製)を用い、パー
フルオロプロピルビニルエーテルの代わりにクロロトリ
フルオロエチレン(CF2 =CFCl)を用いた以外は
合成例15と同様にして、オイル〔S−19〕を得た。
粗反応生成物より〔S−19〕をクーゲルロール式の
ミクロ蒸留装置により単離し、その構造を赤外線吸収ス
ペクトルおよび質量分析〔m/e322,324
(M+ )〕で確認した。
【0264】
【化102】
【0265】
【実施例1】 <含フッ素芳香族化合物(A)と芳香族オイル(B)の
相溶性>合成例1で得られた化合物[S−1]とアロミ
ックス20T(40℃における動粘度14cStの分枝
型アルキルベンゼン)(日本石油洗剤(株)製 商品
名)とを種々の割合で混合し、25℃における相溶性を
調べた。〔S−1〕100重量部をビーカーに入れ、こ
れにアミロックス20Tを、双方1重量部に対し、1重
量部を、100重量部に達するまで順次添加した。10
0重量部に達したところで、目視で相溶性を評価した。
【0266】一方、100重量部のアロミックス20T
をビーカーに入れ、上記と同様〔S−1〕を順次添加
し、その相溶性を目視評価した。その結果、化合物[S
−1]とアロミックス20Tは全ての混合比で完全に相
溶する事が分かった。その結果を表1に示す。
【0267】
【実施例2、3】アロミックス20Tの代わりにアロミ
ックス22(40℃における動粘度31.5cStの分
枝型アルキルベンゼン)(日本石油洗剤(株)製 商品
名)あるいはAB−SG(40℃における動粘度5.8
cStの直鎖型アルキルベンゼン)(三菱油化(株)製
商品名)を使用した以外は実施例1と同様にして25
℃における相溶性を調べた。その結果、化合物[S−
1]とアロミックス22あるいはAB−SGは全ての混
合比で完全に相溶する事が分かった。その結果を表1に
示す。
【0268】
【比較例1、2】アロミックス20Tの代わりにSUN
ISO3GS(40℃における動粘度30cStのナフ
テン系鉱油)(日本サン石油(株)製 商品名)あるい
は流動パラフィン(40℃における動粘度40cStの
パラフィン)(和光純薬(株)製試薬1級)を使用した
以外は実施例1と同様にして25℃における相溶性を調
べた。その結果、化合物[S−1]とSUNISO3G
Sあるいは流動パラフィンは限られた混合比でしか相溶
しない事が分かった。その結果を表1に示す。
【0269】
【表1】
【0270】以上の結果より、一般式(1)で表される
含フッ素芳香族化合物は、非芳香族炭化水素系化合物と
は限られた混合比でしか相溶しないのに対し、芳香族系
炭化水素化合物とはあらゆる混合比でも良好な相溶性を
示す事が分かる。
【0271】
【実施例4】 <潤滑油と冷媒との相溶性>合成例1で得られた化合物
[S−1]とアロミックス20Tとを化合物[S−1]
/アロミックス20Tの重量比80/20で混合して得
られる潤滑オイル組成物の、ハイドロフルオロアルカン
HFC−134a(1,1,1,2テトラフルオロエタ
ン)に対する相溶性を以下の方法により調べた。
【0272】まず、潤滑オイル組成物1.8gを内容積
6mlのガラスチューブに入れておき、ガラスチューブ
ごと液体窒素で冷却し、減圧した後、HFC−134a
約0.2gを導入した。ガラスチューブを封管後、目視
で混合オイルとハイドロフルオロアルカンとの室温での
相溶性を判断した。さらに、メタノール冷媒中で冷却
し、温度が平衡に達したのちに、目視で混合オイルとフ
ッ化アルカンとの相溶性を判断するという方法で室温か
ら低温領域での相溶性を判断し、均一な混合液が懸濁し
はじめる温度を相溶下限温度とした。その結果を表2に
示す。
【0273】
【実施例5、6】アミロックス20Tの代わりにアルケ
ンL(直鎖−アルキルベンゼンのの商品名、40℃で動
粘度が4.3cSt、日本石油製)とAB−SG(直鎖
−アルキルベンゼンの商品名、40℃での動粘度が4.
3cSt、三菱油化(株)製)を用いた以外は実施例4
と同じ方法で冷媒組成物を得た。
【0274】上記潤滑組成物と冷媒組成物との相溶性を
調べた結果を表2に示す。
【0275】
【実施例7】化合物[S−1]の代わりに合成例2で得
られた化合物[S−2]を用いた以外は実施例4と同様
にして潤滑オイル組成物のハイドロフルオロアルカンH
FC−134aに対する相溶性を調べた結果を表2に示
す。
【0276】
【実施例8】化合物[S−1]/アロミックス20Tの
重量比を20/80で混合した以外は実施例4と同様に
して潤滑オイル組成物のハイドロフルオロアルカンHF
C−134aに対する相溶性を調べた結果を表2に示
す。
【0277】
【比較例3〜5】化合物[S−1]または[S−2]と
表2に記載の各種非芳香族オイルからなる潤滑オイル組
成物とHFC−134aとの相溶性を実施例4と同様に
して調べた結果を表に示す。
【0278】
【表2】
【0279】以上の結果より、一般式(1)で表される
含フッ素芳香族化合物と芳香族オイル化合物との潤滑オ
イル組成物は、非芳香族オイルとの潤滑オイル組成物に
比べて、HFC−134aと低温領域でも良好な相溶性
を示す事が分かる。
【0280】
【実施例9〜13】化合物[S−1]の代わりに合成例
3で得られた化合物[S−3]を用いた以外は実施例1
と同様にして、含フッ素芳香族化合物[S−3]と表3
に記載の芳香族オイルとの25℃における相溶性を調べ
た。その結果を表3に示す。
【0281】
【比較例6】化合物[S−3]と流動パラフィンを用い
た以外は実施例1と同様にして、化合物[S−3]と流
動パラフィンとの25℃における相溶性を調べた結果を
表3に示す。
【0282】
【表3】
【0283】以上の結果より、化合物[S−3]に代表
される一般式(2)で表される含フッ素芳香族化合物
は、非芳香族炭化水素系化合物とは限られた混合領域で
しか相溶しないのに対し、芳香族オイルとはあらゆる混
合比でも良好な相溶性を示す事が分かる。
【0284】
【実施例14〜16】合成例3で得られた化合物[S−
3]と、表4に記載の各種芳香族オイルからなる潤滑オ
イル組成物のHFC−134aに対する相溶性を実施例
4〜8と同様にして調べた結果を表4に示す。
【0285】
【比較例7】化合物[S−3]とSUNISO3GSか
らなる潤滑オイル組成物とHFC−134aとの相溶性
を実施例4と同様にして調べた結果を表4に示す。
【0286】
【表4】
【0287】以上の結果より、一般式(2)で表される
含フッ素芳香族化合物と芳香族オイルとの潤滑オイル組
成物は、非芳香族炭化水素系化合物との潤滑オイル組成
物に比べて、HFC−134aと低温領域でも良好な相
溶性を示す事が分かる。また、化合物[S−1]につい
ての実施例6、8と化合物[S−3]についての実施例
15、16を比較すると[S−3]を含む組成物の方が
[S−1]を含む組成物よりも高粘度になるにもかかわ
らず、はるかに低いHFC−134aとの相溶下限温度
を示す事が分かる。
【0288】
【実施例17〜20】合成例4で得られた化合物[S−
4]と表5に記載の各種芳香族オイルからなる潤滑オイ
ル組成物のHFC−134aに対する相溶性を実施例4
〜8と同様にして調べた結果を表5に示す。
【0289】
【比較例8】化合物[S−4]とSUNISO3GSか
らなる潤滑オイル組成物とHFC−134aとの相溶性
を実施例8と同様にして調べた結果を表5に示す。
【0290】
【表5】
【0291】以上の結果より、化合物[S−4]で表さ
れる含フッ素芳香族化合物と芳香族オイルとの潤滑オイ
ル組成物は、非芳香族炭化水素系化合物との潤滑オイル
組成物に比べて、HFC−134aと低温領域でも良好
な相溶性を示す事が分かる。
【0292】
【実施例21〜24】化合物[S−3]とアロミックス
20Tとを表6に記載の各種割合で混合して得られる潤
滑オイル組成物の混合冷媒HFC−32/HFC−12
5/HFC−134a(30/10/60wt%)に対
する相溶性を実施例4と同様にして調べた結果を表6に
示す。
【0293】
【表6】
【0294】以上の結果より、一般式(2)で表される
含フッ素芳香族化合物と芳香族オイルとを各種の割合で
混合して得られる潤滑オイル組成物は、混合冷媒HFC
−32/HFC−125/HFC−134a(30/1
0/60wt%)と低温領域でも良好な相溶性を示す事
が分かる。
【0295】
【実施例25、26、27】化合物[S−3]とアロミ
ックス20Tとを化合物[S−3]/アロミックス20
Tの重量比80/20で混合して得られる潤滑オイル組
成物の混合冷媒HFC−143a/HFC−134a/
HFC−125(52/4/44wt%)に対する相溶
性を、潤滑オイル組成物と混合冷媒とを表7記載の各種
割合で混合し、実施例4と同様にして調べた結果を表7
に示す。
【0296】
【表7】
【0297】以上の結果より、一般式(2)で表される
含フッ素芳香族化合物と芳香族オイルとの潤滑オイル組
成物は、混合冷媒HFC−143a/HFC−134a
/HFC−125(52/4/44wt%)と種々の混
合比においても低温領域で良好な相溶性を示す事が分か
る。
【0298】
【実施例28】化合物[S−3]とアロミックス20T
とを化合物[S−3]/アロミックス20Tの重量比8
0/20で混合して得られる潤滑オイル組成物の混合冷
媒HFC−32/HFC−125/HFC−134aに
対する相溶性を、ハイドロフルオロアルカンとしてHF
C−134aの代わりに混合冷媒HFC−32/HFC
−125/HFC−134a(重量比23/25/5
2)を使用する以外は実施例4と同様にして調べた。そ
の結果は、室温でHFC−32/HFC−125/HF
C−134a混合冷媒と相溶し、相溶下限温度は−70
℃であった。
【0299】
【実施例29】化合物[S−4]とアロミックス20T
とを化合物[S−4]/アロミックス20Tの重量比8
0/20で混合して得られる潤滑オイル組成物の混合冷
媒HFC−32/HFC−125/HFC−134aに
対する相溶性を、ハイドロフルオロアルカンとしてHF
C−134aの代わりに混合冷媒HFC−32/HFC
−125/HFC−134a(重量比30/10/6
0)を使用する以外は、実施例4と同様にして調べた。
その結果は、室温でHFC−32/HFC−125/H
FC−134a混合冷媒と相溶し、−78℃まで冷却し
ても相溶したままであった。
【0300】
【実施例30】合成例5で得られた化合物[S−5]と
アロミックス20Tとを化合物[S−5]/アロミック
ス20Tの重量比80/20で混合して得られる潤滑オ
イル組成物の混合冷媒HFC−32/HFC−125/
HFC−134aに対する相溶性を、ハイドロフルオロ
アルカンとしてHFC−134aの代わりに混合冷媒H
FC−32/HFC−125/HFC−134a(重量
比30/10/60)を使用する以外は、実施例4と同
様にして調べた。その結果は、室温でHFC−32/H
FC−125/HFC−134a混合冷媒と相溶し、−
50℃まで冷却しても相溶したままであった。
【0301】
【実施例31】アルケン56N(日本石油洗剤(株)製
分枝型アルキルベンゼン(40℃での動粘度5.8cS
t)とアロミックス22(日本石油洗剤(株)製分枝型
アルキルベンゼン(40℃での動粘度29cSt)を重
量比45/55で混合した芳香族オイル(40℃での動
粘度14cSt)と化合物[S−3]とを化合物[S−
3]/芳香族オイルの重量比80/20で混合して得ら
れる潤滑オイル組成物のHFC−134aに対する相溶
性を、潤滑オイル組成物/HFC−134aの混合比を
重量比で70/30に変えた以外は、実施例4と同様に
して調べた。その結果は、室温で良好に相溶し、相溶下
限温度は−50℃であった。
【0302】
【実施例32〜35】化合物[S−3]と表8に記載の
各種芳香族オイルからなる潤滑オイル組成物の混合冷媒
HFC−32/HFC−125/HFC−134aとの
相溶性を、ハイドロフルオロアルカンとしてHFC−1
34aの代わりに混合冷媒HFC−32/HFC−12
5/HFC−134a(重量比30/10/60)を使
用する以外は、実施例4と同様にして調べた。その結果
を表8に示す。
【0303】
【表8】
【0304】表8の結果より、一般式(2)で表される
含フッ素芳香族化合物と分枝型アルキルベンゼンとの潤
滑オイル組成物は、直鎖型アルキルベンゼンとの潤滑オ
イル組成物に比べて、混合冷媒HFC−32/HFC−
125/HFC−134aとより低い温度領域でも良好
な相溶性を示す事が分かる。
【0305】
【実施例36】化合物[S−3]とアルキルジフェニル
エーテル(40℃における動粘度 15cSt)(松村
石油研究所(株)製 LB−15)とを化合物[S−
3]/アルキルジフェニルエーテルの重量比82/18
で混合して得られる潤滑オイル組成物のHFC−134
aに対する相溶性を、潤滑オイル組成物とHFC−13
4aを重量比70/30で混合し、実施例4と同様にし
て調べた。その結果は、室温でHFC−134aと相溶
し、相溶下限温度は−42℃であった。
【0306】
【参考例1および実施例37〜41】化合物[S−
1]、[S−3]、[S−4]の表9に記載の各種含フ
ッ素エーテル系冷媒に対する相溶性を、各オイルと含フ
ッ素エーテル系冷媒を重量比10/90で混合し、実施
例4と同様にして調べた。その結果を表9に示す。
【0307】
【比較例9〜13】パーフルオロポリエーテル(40℃
における動粘度 27cSt)(日本モンテジソン
(株)製 Fomblin Y−06)および鉱油(日
本サン石油(株)製 SUNISO 3GS)の含フッ
素エーテル系冷媒に対する相溶性を、潤滑オイルと含フ
ッ素エーテル系冷媒を重量比10/90で混合し、実施
例4と同様にして調べた。その結果を表9に示す。
【0308】
【表9】
【0309】表9の結果より、パーフルオロポリエーテ
ルや鉱油は水素含有含フッ素エーテル系冷媒との相溶性
が不良であるのに対し、一般式(1)で表される含フッ
素芳香族化合物は、各種の含フッ素エーテル系冷媒とよ
り低い温度領域でも良好な相溶性を示す事が分かる。
【0310】
【実施例42、43】化合物[S−3]と表10に記載
の芳香族オイルからなる潤滑オイル組成物の各種含フッ
素エーテル系冷媒に対する相溶性を、潤滑オイル組成物
と含フッ素エーテル系冷媒を重量比70/30で混合
し、実施例4と同様にして調べた。その結果を表10に
示す。
【0311】
【比較例14、15】パーフルオロポリエーテル(40
℃における動粘度 27cSt)(日本モンテジソン
(株)製 Fomblin Y−06)および鉱油(日
本サン石油(株)製 SUNISO 3GS)の含フッ
素エーテル系冷媒に対する相溶性を、潤滑オイルと含フ
ッ素エーテル系冷媒を重量比70/30で混合し、実施
例4と同様にして調べた。その結果を表10に示す。
【0312】
【表10】
【0313】表10の結果より、パーフルオロポリエー
テルや鉱油は水素含有含フッ素エーテル系冷媒との相溶
性が不良であるのに対し、一般式(1)で表される含フ
ッ素芳香族化合物と芳香族オイルからなる潤滑オイル組
成物は、各種の含フッ素エーテル系冷媒とより低い温度
領域でも良好な相溶性を示す事が分かる。
【0314】
【実施例44〜47】 <流動点試験>JIS K2269−1987の流動点
試験方法に準ずる方法で、表11に記載の各種潤滑オイ
ルまたは潤滑オイル組成物の流動点を測定した結果を表
11に示す。
【0315】
【表11】
【0316】以上の結果から、一般式(1)の含フッ素
芳香族化合物に芳香族オイルを混合することにより、低
温流動性が著しく改善されたことは明らかである。
【0317】
【実施例48〜51】 <吸水性試験>化合物[S−3]の潤滑オイル、また
は、化合物[S−3]と表12に記載の各種芳香族オイ
ルからなる潤滑オイル組成物を25℃、相対湿度70%
の恒温恒湿槽中で静置し、オイルの平衡水分量をカール
フィッシャー水分計にて測定した結果を、表12に示
す。
【0318】
【比較例16】化合物[S−3]とエステル系オイル
(ペンタエリスリトール脂肪酸エステル40℃の動粘度
32cSt)からなる潤滑オイル組成物の平衡吸水量を
実施例49と同様にして測定した結果を、表12に示
す。
【0319】
【表12】
【0320】以上の結果から、一般式(2)の含フッ素
芳香族化合物に芳香族オイルを混合すると、吸湿性が著
しく低減される事が分かる。
【0321】
【実施例52、53】化合物[S−4]と化合物[S−
8]の平衡吸水量を実施例48と同様にして測定した結
果を、表13に示す。
【0322】
【比較例17】エステル系オイル(ペンタエリスリトー
ル脂肪酸エステル40℃の動粘度32cSt)の平衡吸
水量を実施例49と同様にして測定した結果を、表13
に示す。以上の結果から、一般式(3)の含フッ素芳香
族化合物は低い吸湿性を示す事が分かる。
【0323】
【表13】
【0324】
【実施例54〜56】 <電気特性>化合物[S−3]の潤滑オイル、または、
化合物[S−3]と表14に記載の各種芳香族オイルか
らなる潤滑オイル組成物の体積固有抵抗率をJIS C
2101(電気絶縁油試験)に準拠した方法で測定し
た。その結果を表14に示す。
【0325】
【表14】
【0326】以上の結果から、一般式(2)の含フッ素
芳香族化合物と芳香族オイルからなる潤滑オイル組成物
は吸湿に起因する電気抵抗の低下が小さい事が分かる。
【0327】
【実施例57】 <生物濃縮性>試験方法は「新規化学物質に係る試験の
方法について」(環保業第5号、薬発第615号、49
基局第392号、昭和49年7月13日)に規定する<
魚介類の体内における化学物質の濃縮度試験>及び「O
ECD Guidelinesfor Testing
of Chemicals」(May 12,198
1)に定める’305C,Bioaccumulati
on:Degreeof Bioconcentrat
ion in Fish’に準拠した。
【0328】具体的な試験方法としては、まず化合物
[S−3]の濃度が0.01mg/Lに設定された試験
水と、じゅん化後の正常なコイを用いて暴露試験を行
い、暴露2、4週間後に回収し、細片化、ホモジナイ
ズ、遠心分離後、高速液体クロマトグラフィー分析によ
って生体内に濃縮された化合物[S−3]の濃縮倍率を
測定した。その結果を表15に示す。
【0329】
【参考例2、3】実施例57と同様にして化合物[S−
9]、[S−1]についても生物濃縮性試験を行った。
その結果を表15に示す。
【0330】
【表15】
【0331】表15から、一般式(1)で表される本発
明の化合物の中でも、一般式(2)で表される化合物は
特に生物濃縮性が低いことが分かる。
【0332】
【実施例58】実施例57と同様にして化合物[S−
4]についても生物濃縮性試験を行った。その結果、化
合物[S−4]の濃縮倍率は4週間目で2260倍の平
衡値に達している事が分かった。以上より、化合物[S
−4]の生物濃縮性は低いと言える。
【0333】
【実施例59、60】含フッ素芳香族化合物の耐熱性を
以下の方法により評価した。即ち、化合物[S−3]ま
たは化合物[S−6]を0.5ml試験管に入れ、ai
r下、175℃で19時間加熱後、熱分解物の有無をガ
スクロマトグラフィーで分析した。その結果を表16に
示す。
【0334】
【参考例4、5】実施例59と同様にして化合物[S−
10]、[S−11]についても耐熱性を評価した。そ
の結果を表16に示す。
【0335】
【表16】
【0336】表16から、一般式(1)で表される本発
明の化合物の中でも、一般式(2)で表される含フッ素
芳香族化合物は特に高い熱安定性を示す事が分かる。
【0337】
【実施例61、62】実施例59と同様にして化合物
[S−4]、[S−8]についても耐熱性を評価した。
その結果を表17に示す。
【0338】
【参考例6〜8】実施例59と同様にして化合物[S−
12]、[S−13]、[S−14]についても耐熱性
を評価した。その結果を表17に示す。〔[S−1
3]、[S−14]はプロピレンオリゴマーを原料とし
て合成したアルキルフェノール由来の物質であり、芳香
族環に結合したアルキル基の構造は第2級アルキル基構
造と第3級アルキル基構造の混合物である。〕
【0339】
【表17】
【0340】表17から、一般式(1)で表される本発
明の化合物の中でも、一般式(3)で表される含フッ素
芳香族化合物は特に高い熱安定性を示す事が分かる。
【0341】
【実施例63、64、65】 <潤滑特性試験>(ファレックス試験) 以下に示す条件で表18に記載の潤滑オイルまたは潤滑
オイル組成物の摩耗量を測定した。先ず、測定するオイ
ルに冷媒ガス(HFC−134a)を吹き込み量約10
L/hrで約15分吹き込む。さらに冷媒ガス吹き込み
下試験開始時の油温25℃の条件で、負荷を200ポン
ドかけた状態で5分間運転した後、負荷を500ポンド
に増加させ、500ポンドを維持しながら2時間運転し
た。試験前後のテストピ−スの重量変化を測定し、摩耗
量とした。その結果を表18に示す。
【0342】
【実施例66〜70】表17記載の潤滑オイルまたは潤
滑オイル組成物に各種の添加剤を配合し、実施例63と
同様な方法により摩耗量を測定した。その結果を表18
に示す。
【0343】
【比較例18、19】アロミックス20TとSUNIS
O3GSの摩耗量を、実施例63と同様な方法により測
定した。その結果を表18に示す。
【0344】
【表18】
【0345】表18から明らかなように、一般式(2)
で表される含フッ素芳香族化合物と芳香族炭化水素系化
合物からなる潤滑オイル組成物は、芳香族炭化水素化合
物のみならず含フッ素芳香族化合物と比較しても優れた
耐摩耗性を示す事が分かる。
【0346】
【実施例71〜74】実施例48と同様な方法で吸水さ
せた表19記載の各種潤滑オイルまたは潤滑オイル組成
物をガラスチューブに0.6ml入れ、さらにHFC−
134aを液体として0.6ml、airをガスとして
2mlおよび鉄、銅、アルミニウムの試験片を加えて封
管した。この冷媒組成物を175℃で10日間加熱した
後、冷媒組成物の色相の変化および金属片の表面を観察
した結果、本発明の冷媒組成物の色相、金属表面状態と
もにほとんど変化は見られなかった。また評価後の潤滑
オイルまたは潤滑オイル組成物のガスクロマトグラフィ
ー分析(GC分析)を行ったところ、本発明の潤滑オイ
ルまたは潤滑オイル組成物には全く分解物は認められな
かった。また、含フッ素芳香族化合物単独ではわずかに
認められた銅表面の変色が芳香族化合物を混合すること
により、改善されることが分かった。それらの結果を表
19にまとめて示す。
【0347】
【比較例20】比較例17で吸水させたエステル系オイ
ル(ペンタエリスロトール脂肪酸エステル40℃の動粘
度32cSt)を実施例71と同様な方法で耐熱性、耐
加水分解性を評価した結果、評価後のエステル系オイル
には加水分解物が認められた。その結果を表19に示
す。表19より、本発明の各種潤滑オイルまたは潤滑オ
イル組成物からなる冷媒組成物は充分な耐熱性、耐加水
分解性を示すことが分かる。
【0348】
【表19】
【0349】
【実施例75〜77】実施例71よりも過酷な条件、即
ち200℃で14日間加熱の条件で、それ以外は参考例
28と同様な方法により、表20記載の各種潤滑オイル
または潤滑オイル組成物の対熱性評価を実施した。それ
らの結果を表20にまとめて示す。表20より腐食防止
剤であるベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシルグリ
シジルエーテルは金属表面の変色防止に効果的であるこ
とが分かる。
【0350】
【表20】
【0351】
【実施例78】 <(A)化合物とHFC−134aの混合物の相溶性>
(A)として、合成例15で得られた〔S−15〕と冷
媒であるHFC−134aの相溶性を以下の方法により
評価した。1.8gの〔S−15〕を容積6mlのガラ
スチューブに入れ、ガラスチューブごと液体窒素で冷却
し、減圧した後、HFC−134a約0.2gを導入し
た。ガラスチューブを封管後、目視で〔S−15〕とH
FC−134aとの0℃における相溶性を判断した。
【0352】〔S−15〕はHFC−134aと均一な
相溶性混合物となった。
【0353】
【実施例79〜82】実施例78と同様に合成例16〜
19で得られた〔S−16〕から〔S−19〕について
も同様にして、0℃におけるHFC−134aへの相溶
性試験を行った。その結果、すべての混合比において、
均一な相溶性混合物となった。
【0354】
【実施例83】 <潤滑油組成物とHFC−134aの混合物の相溶性>
化合物〔S−15〕をエチルベンゼンを、〔S−15〕
/エチルベンゼンの重量比80/20で混合し、潤滑油
組成物を得た。得られたオイル組成物についてHFC−
134aとの相溶性を実施例82と同様にして判断し
た。
【0355】その結果、すべての混合比において、均一
な相溶性混合物となった。
【0356】
【実施例84〜87】実施例83において、化合物〔S
−15〕の代わりに〔S−16〕〜〔S−19〕をそれ
ぞれ用い、その混合比を化合物/HFC−134aの重
量比を70/30とした以外は、同様にしてオイル組成
物とHFC−134aとの相溶性を判断した。
【0357】その結果、上記の混合比において、均一な
相溶性混合物となった。
【0358】
【実施例88】化合物[S−3]と化合物[E−1]
(18cSt/40℃)とを重量比80/20で混合し
て得られる潤滑オイル組成物(59cSt/40℃)の
混合冷媒HFC−32/HFC−125/HFC134
aとの相溶性をハイドロフルオロアルカンとしてHFC
−134aの代わりに混合冷媒HFC32/HFC12
5/HFC134a(重量比30/10/60)を使用
し、潤滑オイル組成物と混合冷媒を重量比70/30で
混合し、実施例4と同様にして調べた。その結果室温で
良好に相溶し、−30℃においても均一なままであっ
た。
【0359】
【化103】
【0360】
【実施例89】化合物[S−3]と化合物[E−2]
(46cSt/40℃)とを重量比80/20で混合し
て得られる潤滑オイル組成物(80cSt/40℃)の
混合冷媒HFC−32/HFC−125/HFC−13
4aとの相溶性をハイドロフルオロアルカンとしてHF
C−134aの代わりに混合冷媒HFC32/HFC−
125/HFC−134a(重量比30/10/60)
を使用し、潤滑オイル組成物と混合冷媒を重量比70/
30で混合し、実施例4と同様にして調べた。その結果
室温で良好に相溶し、−30℃においても均一なままで
あった。
【0361】
【化104】
【0362】
【比較例21〜25】 <パーフルオロポリエーテルと芳香族オイル(B)との
相溶性>以下に示す1)〜5)の各種パーフルオロポリ
エーテルとアロミックス20Tとの25℃における相溶
性を実施例1と同様な方法によって調べた結果、各種パ
ーフルオロポリエーテルとアロミックス20Tはパーフ
ルオロポリエーテル/アロミックス20Tの重量比80
/20、50/50、20/80いずれの混合比でも相
溶しない事が分かった。
【0363】1)Fomblin Y−60: Mn=1800(Montefluos社製) 2)Fomblin Y−25: Mn=3000(Montefluos社製) 3)Fomblin Y−45: Mn=4100(Montefluos社製) 1)、2)、3)とも
【0364】
【化105】
【0365】4)KRYTOX 143AY: Mn=3000(Du Pont社製)
【0366】
【化106】
【0367】5)DEMNUM S−20: Mn=2700(ダイキン工業(株)社製)
【0368】
【化107】
【0369】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、含
フッ素芳香族化合物と芳香族オイルとを混合する事によ
り、低温領域から高温領域まで幅広い温度範囲でハイド
ロフルオロアルカン系冷媒及び含フッ素エーテル系冷媒
と良好な相溶性を示す。また、含フッ素芳香族化合物単
独では低温流動性、低吸湿性、電気絶縁性のさらなる改
善が望まれていたが、芳香族オイルと混合することによ
り当該特性が向上し低温流動性、潤滑特性、低吸湿性、
電気絶縁性耐久性等の特性の良好なオイル組成物を得る
事が出来る。また、本発明による含フッ素芳香族化合物
と芳香族オイルのオイル組成物は冷凍機油組成物へのハ
イドロフルオロカーボン系冷媒の溶解量を調整すること
が可能となり、その結果、冷媒組成物の粘度や潤滑性の
コントロールが可能となるので、各種冷媒システムに適
した冷凍機用の潤滑オイル組成物を提供できるなどの利
点もある。
【0370】さらに、一般式(1)で表される含フッ素
芳香族化合物の中でも、特に一般式(2)で表される化
合物、及び一般式(3)で表される化合物が、以下のよ
うな実用上重要な特性に優れている事をも見出した。 1)生体への濃縮され易さの尺度である、いわゆる“生
物濃縮性”が低いので安全に使用できる。
【0371】2)低吸湿性で、電気絶縁性が良好であ
る。 3)アルキルベンゼン、鉱油等の炭化水素系オイルとの
相溶性が特に優れているため、多量の炭化水素系オイル
と混合して使用する事ができる。更に、当該混合オイル
は一般式(1)のオイルに比べて低温流動性、低吸湿
性、電気絶縁性等の特性が大幅に改善され、かつ、低コ
ストの潤滑油を提供する事ができる。
【0372】4)耐熱性、耐酸化性等の安定性に優れて
いる。 5)ハイドロフルオロカーボンとの相溶性が不十分なア
ルキルベンゼン、鉱油等の炭化水素系潤滑油とハイドロ
フルオロカーボン系冷媒を組み合わせた冷凍システム系
内での油戻りを良好にするための効果的な、各種のオイ
ル状物質や高分子材料の添加剤等の改質剤等添加剤とし
て使用することも可能である。
【0373】6)ハイドロフルオロカーボン系冷媒を用
いる冷凍機用の潤滑油としてだけでなく、一般の用途の
潤滑油として、あるいは各種のオイル状物質や高分子材
料用の改質剤としても使用するとができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例3で得られるオイルの吸収スペクトルを
示す。
【図2】合成例4で得られるオイルの吸収スペクトルを
示す。

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される含フッ素芳
    香族化合物(A)と、ベンゼン環およびナフタレン環か
    ら選ばれる芳香核にアルキル基が結合した構造あるいは
    その誘導体であり、40℃での動粘度が0.1〜500
    センチストークスの範囲であることを特徴とする芳香族
    オイル(B)よりなり、上記(A)成分を0.1〜9
    9.9重量%含有し、かつ40℃での動粘度が2〜50
    0センチストークスの範囲であることを特徴とする潤滑
    オイル組成物。 R(XRf)n (1) [但し、Xは酸素原子または硫黄原子である。nは1〜
    4の整数を表す。Rはべンゼン環およびナフタレン環よ
    り選ばれる芳香核あるいは当該芳香核が連結された複核
    構造、又はそれらの置換体である。R中の炭素原子数は
    6〜60個の範囲であり、RとXRfの結合サイトの数
    はn個である。R中の芳香核含有量は(芳香核を形成す
    る炭素原子の数)/(R全体の炭素原子の数)の比とし
    て0.10〜1.0の範囲である。Rfはフルオロアル
    キル基、フルオロアルキルアリール基、フルオロアルケ
    ニル基、フルオロアリール基、フルオロアラアルキル基
    より選ばれるフッ素化炭化水素基または当該フッ素化炭
    化水素基中の炭素−炭素単結合間に1〜7個のエーテル
    結合を含むものおよびそれらの置換体を表す。Rf中の
    炭素原子数は1〜25個の範囲であり、Rf中の(フッ
    素原子の数)/(炭素原子の数)の比は0.6〜3の範
    囲である。なお、nが2以上の場合には、一般式(1)
    で表される化合物は、複数の種類の−XRf基より構成
    されていてもよい。]
  2. 【請求項2】 一般式(1)中のRが一般式(1a)で
    表される請求項1記載の潤滑オイル組成物。 【化1】 [但しPはゼロ〜2の整数である。P’はゼロ〜4の整
    数を表す。LおよびL’はゼロまたは1を表す。mはゼ
    ロ〜2の整数を表す。m’はゼロ〜5の整数を表す。A
    1 ,Ar2 ,Ar3 ,およびAr4 はベンゼン環およ
    びナフタレン環より選ばれる芳香核またはその置換体で
    ある。YおよびY’は以下のa1 )a2 )およびa3
    より選ばれる多価基であり、Yは2〜4価、Y’は2〜
    6価である。 a1 )炭素数1〜20個の2〜6価の飽和または不飽和
    の炭化水素基あるいはそれらのフッ素原子置換体。 a2 )以下の〜から選ばれる2〜3価の多価基。当
    該多価基中の炭素原子の数はゼロ〜20個の範囲であ
    る。 酸素原子(−O−) カルボニル基、エステル結合、アミド結合、カーボ
    ネート結合から選ばれるカルボニル含有多価基。 硫黄原子(−S−)、スルホニル基、スルフィニル
    基から選ばれる硫黄原子含有多価基。 以下に示す基より選ばれる窒素原子、リン原子、ま
    たはケイ素原子含有多価基。 【化2】 (Aは単結合、水素原子、または炭素数1〜6のアルキ
    ル基のいずれかである) 【化3】 (Bは単結合または酸素原子(−O−)を表す。Dは単
    結合、酸素原子(−O−、−R,−ORのいずれかであ
    る。Rは炭素数1〜20個のアルキル基である。) a3 )a1 )に示された炭素骨格基の末端または内部に
    2 )の多価基が導入された構造の2〜6価の多価基。
    当該基に含まれる炭素原子の数は1〜50個の範囲であ
    る。Ar1 ,Ar2 ,Ar3 およびAr4 における芳香
    核に結合する1価の置換基は以下のb1 )〜b4 )より
    選ばれる少なくとも1種である。 b1 ):炭素数1〜30個のアルキル基、アルケニル
    基、シクロアルキル基およびシクロアルケニル基より選
    ばれる1価の炭化水素基。 b2 ):水酸基、チオール基、ニトリル基、ニトロ基、
    フッ素原子、塩素原子より選ばれる1価の置換基。 b3 ):b2 )の1価の置換基、および連結基Yおよび
    Y’に使用される2価基a2 )の少なくとも1種を含有
    する、b1 )の1価の炭化水素基の誘導体。 b3 における1価の置換基b2 )および2価基a2 )の
    数の合計は1〜3個の範囲である。またb3 )の炭化水
    素基の誘導体中の炭素原子数の上限は50個である。 b4 )b1 )およびb3 )炭素−水素結合の水素原子の
    1部またはすべてがフッ素原子で置換された1価の置換
    基。 なおAr1 ,Ar2 ,Ar3 およびAr4 のそれぞれの
    芳香核に結合する置換基と連結基YおよびY’の数の合
    計は、各芳香核1個あたりゼロ〜4個の範囲である。一
    般式(1a)において−XRfと結合する位置は一般式
    (1a)におけるどの炭素原子でも良い。
  3. 【請求項3】 一般式(1a)において、一般式(1)
    のRが一般式(1a−1)で表される請求項2記載の潤
    滑オイル組成物。 【化4】
  4. 【請求項4】 一般式(1a−1)において、一般式
    (1)のRが一般式(1a−2)で表される請求項3記
    載の潤滑オイル組成物。 Ar1 −Y’−Ar4 (1a−2)
  5. 【請求項5】 一般式(1a−2)においてY’が単結
    合かまたは酸素原子(−O−)、スルホニル基、カルボ
    ニル基、および炭素数20個以内のアルキレン基より選
    ばれる2価基であることを特徴とする請求項4記載の潤
    滑オイル組成物。
  6. 【請求項6】 含フッ素化合物(A)が一般式(2)で
    表される請求項1記載の潤滑オイル組成物。 【化5】 〔但し、R1 ,R2 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜1
    9のアルキル基であり、R1 ,R2 の炭素数の和は4〜
    19である。Rfについては請求項1に同じ〕
  7. 【請求項7】 一般式(1a)において、一般式(1)
    におけるRが1個の芳香核より構成されており、かつ当
    該芳香核が炭素数1〜30個のアルキル置換基を有して
    いることを特徴とする。請求項1記載の潤滑オイル組成
    物。
  8. 【請求項8】 含フッ素化合物(A)が一般式(3)で
    表される請求項1記載の潤滑オイル組成物。 【化6】 〔但し、R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素原子、炭素数
    1〜20のアルキル基であり、n5 は1〜3の整数であ
    る。n5 が2、3の場合、複数のR3 、R4 、R 5 C−
    基は各々同一又は異なっていても良い。R3 4 5
    −基の炭素数の総和は4〜25である。Rfについては
    式(1)に同じ〕
  9. 【請求項9】 含フッ素化合物(A)が一般式(3a)
    で表される請求項1記載の潤滑オイル組成物。 【化7】 〔但し、R6 、R7 、R8 はそれぞれ水素原子、炭素数
    1〜20のアルキル基であり、n2 は1〜3の整数であ
    る。n5 が2、3の場合、複数のR3 、R4 、R 5 C−
    基は各々同一又は異なっていても良い。R6 7 8
    −基の炭素数の総和は5〜25である。Rfについては
    式(1)に同じ〕
  10. 【請求項10】 一般式(1)中のRfが、下記の一般
    式(1b)で表される1価のフッ素原子含有基、または
    その置換体であることを特徴とする請求項1〜9記載の
    潤滑オイル組成物。 【化8】 [但し、A1 ,A2 ,A3 は、フッ素原子または炭素数
    1〜6のフッ素化アルキル基。B1 ,B2 ,B3 は、水
    素原子または炭素数1〜6のアルキル基。Zは、水素原
    子、フッ素原子または炭素数1〜10のアルキル基で置
    換されていてもよいフェニル基またはそのフッ素原子置
    換体。n1 は、ゼロまたは1〜25の整数。n2 ,n3
    は、ゼロまたは1〜10の整数。但し(n1 +n3 )が
    ゼロであることはない。n4 は、ゼロまたは1〜7の整
    数。(1b)においてn1 ,n2 ,n3 が2以上の整数
    の場合には(CA1 2 )(CB1 2 )(CA
    3 3 )の各ユニットは、各々複数の構造をとっても良
    いし、ランダムに配列してもよく、さらには各々連結し
    て二重結合を連結しても良い。なお、下記のユニット同
    志が連結することはない。また、下記のユニットが(1
    b)の末端や水素原子やフッ素原子のとなりに位置する
    ことはない。] 【化9】
  11. 【請求項11】 一般式(1)中のRfが、炭素原子数
    が1〜10個の範囲であるフルオロアルキル基またはフ
    ルオロアルケニル基であることを特徴とする請求項1〜
    10記載の潤滑オイル組成物。
  12. 【請求項12】 一般式(1)中のRfが、炭素原子が
    2〜25個の範囲であり1〜7個のエーテル結合を主鎖
    中に含有するフルオロアルキル基であることを特徴とす
    る、請求項1〜9記載の潤滑オイル組成物。
  13. 【請求項13】 一般式(1)中のRfが1〜4個の範
    囲内で塩素原子で置換された一般式(1b)の構造であ
    ることを特徴とする、請求項1〜9記載の潤滑オイル組
    成物。
  14. 【請求項14】 一般式(1)中のRfが炭素数1〜3
    個のフルオロアルキル基、−CF=CFCF3 ,−CF
    2 CFClH,−CF=CFClおよび、 【化10】 から選ばれる1価基であることを特徴とする請求項1〜
    9記載の潤滑オイル組成物。
  15. 【請求項15】 一般式(1)中のXが酸素原子である
    ことを特徴とする請求項1〜14記載の潤滑オイル組成
    物。
  16. 【請求項16】 芳香族オイル(B)が一般式(B−
    1)で表される芳香族化合物かまたはその置換体である
    ことを特徴とする請求項1〜15記載の潤滑オイル組成
    物。 【化11】 [但し、Ara、Arbは、ベンゼン環またはナフタレ
    ン環である。n1 はゼロ〜4の整数、n2 はゼロ〜3の
    整数、n3 は1〜3の整数、n4 は0、1、2である。
    なおn4 =0のときは、n1 ≠0であり、n4 ≠0のと
    きは(n1 +n2 )≠0である。Kは以下の1)〜3)
    より選ばれる連結基である。 1) 単結合 2) 酸素原子、スルホニル基、カーボネート基および
    カルボニル基より選ばれる2価基。 3) 炭素数1〜12の2〜4価の飽和炭化水素基。 R1 ,R2 は炭素数1〜30のアルキル基である。なお
    1 ,R2 ,K,Arbは複数の構造をとりうる。また
    (B−1)は全炭素原子数の3分の1以内の割合でエー
    テル結合を含んでも良いし、全水素原子の2分の1以内
    がフッ素原子で置換されていてもよい。]
  17. 【請求項17】 一般式(B−1)においてn4 =0で
    ある請求項16記載の潤滑オイル組成物。
  18. 【請求項18】 芳香族オイル(B)が分枝型アルキル
    ベンゼンであることを特徴とする請求項17記載の潤滑
    オイル組成物。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18記載の潤滑オイル組成
    物と、ハイドロフルオロカーボン冷媒または/および水
    素原子含有含フッ素エーテル系冷媒からなる冷媒組成物
    であり、かつ当該潤滑オイル組成物とハイドロフルオロ
    カーボン冷媒または/および水素原子含有含フッ素エー
    テル系冷媒の重量組成比が99/1〜1/99の範囲で
    あることを特徴とする冷媒組成物。
  20. 【請求項20】 ハイドロフルオロカーボン冷媒が炭素
    数1〜4である請求項19に記載の冷媒組成物。
  21. 【請求項21】 ハイドロフルオロカーボン冷媒がHF
    C−134a、HFC−143a、HFC−125、H
    FC−32から選ばれる1種または2種以上である請求
    項20に記載の冷媒組成物。
  22. 【請求項22】 ハイドロフルオロカーボン冷媒がHF
    C−134aである請求項21に記載の冷媒組成物。
  23. 【請求項23】 含フッ素エーテル系冷媒の分子中の炭
    素原子の数と酸素原子の数の和が3〜6である請求項1
    9に記載の冷媒組成物。
  24. 【請求項24】 一般式(2)で表される含フッ素芳香
    核化合物。 【化12】 〔但し、R1 ,R2 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜1
    9のアルキル基であり、R1 ,R2 の炭素数の総和は4
    〜19である。Rfについては式(1)に同じ。〕
  25. 【請求項25】 Rfが炭素数1〜10の範囲であるフ
    ルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基であるこ
    とを特徴とする請求項24記載の含フッ素芳香族化合
    物。
  26. 【請求項26】 Rfが炭素数2〜25の範囲であり、
    かつ主鎖に1〜7個のエーテル結合を含有するフルオロ
    アルキル基であることを特徴とする請求項24記載の含
    フッ素芳香族化合物。
  27. 【請求項27】 Rfが1〜4個の範囲内で塩素原子で
    置換されたフッ素原子含有基であることを特徴とする請
    求項24記載の含フッ素芳香族化合物。
  28. 【請求項28】 Rfが炭素数1〜3個のフルオロアル
    キル基、−CF=CFCF3 、−CF2 CFClH、−
    CF=CFClおよび、 【化13】 から選ばれる1価基であることを特徴とする請求項24
    記載の含フッ素芳香族化合物。
  29. 【請求項29】 一般式(3a)で表される含フッ素芳
    香族化合物。 【化14】 〔但し、R6 、R7 、R8 はそれぞれ水素原子、炭素数
    1〜20のアルキル基であり、R6 、R7 、R8 C−基
    の炭素数の総和は5〜25である。Rfについては式
    (1)に同じ〕
  30. 【請求項30】 Rfが炭素数1〜10の範囲であるフ
    ルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基であるこ
    とを特徴とする請求項29記載の含フッ素芳香族化合
    物。
  31. 【請求項31】 Rfが炭素数2〜25の範囲であり、
    かつ主鎖に1〜7個のエーテル結合を含有するフルオロ
    アルキル基であることを特徴とする請求項29記載の含
    フッ素芳香族化合物。
  32. 【請求項32】 Rfが1〜4個の範囲内で塩素原子で
    置換されたフッ素原子含有基であることを特徴とする請
    求項29記載の含フッ素芳香族化合物。
  33. 【請求項33】 Rfが炭素数1〜3個のフルオロアル
    キル基−CF=CFCF3 、−CF2 CFClH、−C
    F=CFClおよび、 【化15】 から選ばれる1価基であることを特徴とする請求項29
    記載の含フッ素芳香族化合物。
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