JPH07144887A - クレーンの巻上げ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトな構成でありながら、無負荷状態
での巻き取りに起因する吊り下げ用ワイヤーの喰い込み
を防止するとともに、無負荷状態であっても、巻き取り
状態を悪化させずに高速で巻き取る。 【構成】 ジブを上下揺動可能に設けた作業機本体に、
支持ブラケット１７を機体前後方向の軸芯周りで回転可
能に設けるとともに、その支持ブラケット１７にワイヤ
ーガイドシーブ１８を回転可能に設け、かつ、互いに同
調駆動する第１および第２の主巻ドラム１３，１４を設
けるとともに、両主巻ドラム１３，１４間にワイヤー押
さえローラ１６を設け、作業機本体に設けた巻き取り機
６から繰り出した吊り下げ用ワイヤーロープ７をワイヤ
ーガイドシーブ１８に巻掛けるとともに、その途中部分
を第１および第２の主巻ドラム１３，１４に複数回巻き
掛け、ジブの先端から垂下する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、作業機本体に上下揺動
可能にジブを設け、作業機本体に設けた巻取りリールか
ら繰り出した吊り下げ用ワイヤーロープをジブの先端か
ら垂下し、吊り下げ用ワイヤーロープの下端にフックを
連結したクレーンの巻上げ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上述のようなクレーンの巻上げ装置にお
いて、吊り下げ用ワイヤーロープを設けるのに、従来で
は、作業機本体に立設したガントリーの上部にシーブを
設け、巻取りリールから繰り出した吊り下げ用ワイヤー
ロープをシーブを通し、その吊り下げ用ワイヤーロープ
をジブの先端から垂下していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような巻上げ装置を備えたクレーンを、ビルなどの建築
構造体を構築した後のタワークレーンや解体用クレーン
を解体するために用いた場合、解体した分解物を下降し
て降ろした後、フックを上昇するときには、吊り下げ用
ワイヤーロープが弛んでいて無負荷状態になっているた
めに、巻取りリールに対して弛みの有る状態で巻き取ら
れる。そのために、次に、解体した分解物を下降して降
ろすときに、その荷重がかかり、巻取りリールに巻き取
られた吊り下げ用ワイヤーロープ間に、繰り出される吊
り下げ用ワイヤーロープが喰い込み、部分的に共回りを
生じて巻き上げられる状態になってから喰い込みが解除
されて急激に下降するなど、下降と上昇とを繰り返すギ
クシャクした動作になり、スムーズに下降することがで
きない欠点があった。

【０００４】また、喰い込みの解除に伴う急激な下降に
よって、喰い込みが助長されたり、吊り下げ用ワイヤー
ロープに大きな衝撃力がかかって吊り下げ用ワイヤーロ
ープが破損しやすくなったり、荷くずれを生じやすくな
ったりする欠点があった。

【０００５】また、巻取りリールへの巻き取りのために
吊り下げ用ワイヤーロープを案内するシーブが固定され
ているため、無負荷状態で巻取りリールに吊り下げ用ワ
イヤーロープを巻き取るときに、その巻き取り速度を速
くすると、一部の箇所に集中して巻き取られてしまうな
ど、整然とした巻き取りを行うことができず、吊り下げ
用ワイヤーロープの巻き取りに時間がかかって前述のよ
うな解体作業に時間を要してしまう欠点があった。

【０００６】この高速の巻き取りをスムーズに行うため
には、シーブと巻取りリールとの間隔を大きくして、巻
取りリールに巻き取られる吊り下げ用ワイヤーロープの
フリートアングルを適正範囲に収めることが考えられる
が、巻取りリールを設置する台を大きくしなければなら
ず、機体全体が大型化する欠点があった。

【０００７】本発明は、上述のような事情に鑑みてなさ
れたものであって、コンパクトな構成でありながら、無
負荷状態での巻き取りに起因する吊り下げ用ワイヤーロ
ープの喰い込みを防止するとともに、無負荷状態であっ
ても、巻き取り状態を悪化させずに高速で巻き取ること
ができるようにすることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述のような
目的を達成するために、作業機本体に上下揺動可能にジ
ブを設け、作業機本体に設けた巻取りリールから繰り出
した吊り下げ用ワイヤーロープをジブの先端から垂下
し、吊り下げ用ワイヤーロープの下端にフックを連結し
たクレーンの巻上げ装置において、作業機本体に、支持
ブラケットを巻取りリールの回転軸芯に沿う方向に変位
可能に設けるとともに、吊り下げ用ワイヤーロープを巻
回するワイヤーガイドシーブを支持ブラケットに回転可
能に設け、ワイヤーガイドシーブとジブの先端との間
に、互いに同調駆動する第１および第２の主巻ドラムを
設けるとともに、吊り下げ用ワイヤーロープの途中部分
を第１および第２の主巻ドラムに複数回巻き掛け、か
つ、第１の主巻ドラムと第２の主巻ドラムとの間に、吊
り下げ用ワイヤーロープに張力を付与するワイヤー押さ
えローラを設けて構成する。

【０００９】

【作用】本発明に係るクレーンの巻上げ装置の構成によ
れば、無負荷状態で吊り下げ用ワイヤーロープを巻き取
るときに、第１および第２の主巻ドラムに複数回巻き掛
けることによる抵抗と、両主巻ドラム間のワイヤー押さ
えローラによる張力付与とによって、吊り下げ用ワイヤ
ーロープを巻取りリールに弛みの無い状態で巻き取るこ
とができる。

【００１０】また、巻取りリールへの巻き取りに伴って
吊り下げ用ワイヤーロープが巻取りリールの回転軸芯に
沿う方向に移動するに連れ、ワイヤーガイドシーブを設
けた支持ブラケットが巻取りリールの回転軸芯に沿う方
向に変位し、吊り下げ用ワイヤーロープの巻取りリール
の回転軸芯に沿う方向への移動をスムーズに行わせるこ
とができる。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

【００１２】図１は、本発明に係る実施例のクレーンの
巻上げ装置を備えたクレーンの全体側面図であり、アウ
トリガー１を備えた基台２に鉛直方向の軸芯回りで回転
可能に旋回台３を設けた作業機本体４に上下揺動可能に
ジブ５が設けられ、クレーンが構成されている。

【００１３】旋回台３上に巻取りリール６が設けられ、
その巻取りリール６から繰り出した吊り下げ用ワイヤー
ロープ７がジブ５の先端から垂下されるとともに、吊り
下げ用ワイヤーロープ７の下端にフック８が連結されて
いる。

【００１４】また、旋回台３上に起伏用ウィンチ９が設
けられるとともに、その起伏用ウィンチ９から繰り出さ
れた起伏用ワイヤーロープ１０がジブ５に連動連結され
ている。

【００１５】旋回台３上に設けたベース部材Ｂに、主巻
装置１１とスイングシーブ１２とが設けられ、図２の吊
り下げ用ワイヤーロープの仕込み状態を示す要部の斜視
図に示すように、巻取りリール６から繰り出した吊り下
げ用ワイヤーロープ７の途中箇所が主巻装置１１とスイ
ングシーブ１２に巻き掛けられ、クレーンの巻上げ装置
が構成されている。

【００１６】主巻装置１１は、図３の要部の拡大側面
図、および、図４の要部の拡大平面図に示すように、第
１および第２の主巻ドラム１３，１４を設けるととも
に、両主巻ドラム１３，１４に、それらが互いに同調し
て駆動回転するように１個の電動モータ１５が連動連結
されている。第１の主巻ドラム１３と第２の主巻ドラム
１４との間の上下それぞれに、吊り下げ用ワイヤーロー
プ７に張力を付与するワイヤー押さえローラ１６，１６
が設けられている（図２参照）。

【００１７】吊り下げ用ワイヤーロープ７が第１の主巻
ドラム１３と第２の主巻ドラム１４とにわたって多数回
巻き掛けられるとともに、その巻き掛け途中の吊り下げ
用ワイヤーロープ７に対して、ワイヤー押さえローラ１
６，１６により上下から張力が付与され、巻取りリール
６に巻き取られる吊り下げ用ワイヤーロープ７に抵抗を
付与し、吊り下げ用ワイヤーロープ７が無負荷状態で巻
き取られるときでも、弛みが発生しないように構成され
ている。

【００１８】スイングシーブ１２は、図５の要部の一部
切欠背面図に示すように、機体前後の水平方向の軸芯Ｐ
回りで回転可能に支持ブラケット１７を取り付けるとと
もに、その支持ブラケット１７に回転可能にワイヤーガ
イドシーブ１８を設け、かつ、支持ブラケット１７の左
右それぞれと旋回台３とにわたって引っ張りスプリング
１９を設けて構成されている。図中２０，２０は、支持
ブラケット１７の回転範囲を規制するストッパーを示し
ている。

【００１９】この構成により、巻取りリール６での巻き
取りにより吊り下げ用ワイヤーロープ７の巻き取り箇所
が巻取りリール６の回転軸芯に沿う方向に移動するに伴
い、その引張力により引っ張りスプリング１９の付勢力
に抗して支持ブラケット１７が回転変位し、ワイヤーガ
イドシーブ１８に巻き掛けられた吊り下げ用ワイヤーロ
ープ７が巻取りリール６に対して、その回転軸芯に直交
する方向に近づき、良好に巻き取られるように構成され
ている。

【００２０】以上の構成により、ビルなどの建築構造体
を構築した後のタワークレーンや解体用クレーンを解体
するために用いる場合にあって、解体後の分解物を下降
した後、無負荷状態で吊り下げ用ワイヤーロープ７を巻
き取るようなときに、その吊り下げ用ワイヤーロープ７
の喰い込みを防止するとともに、同一箇所に集中して巻
き取られることを防止できるようになっている。

【００２１】上記実施例では、巻取りリール６での巻き
取りにより吊り下げ用ワイヤーロープ７の巻き取り箇所
が巻取りリール６の回転軸芯に沿う方向に移動するに伴
い、支持ブラケット１７を回転変位するように構成して
いるが、例えば、支持ブラケット１７を巻取りリール６
の回転軸芯に沿う方向に摺動変位可能に設けるととも
に、その両側に引っ張りスプリングまたは圧縮コイルス
プリングを介装し、吊り下げ用ワイヤーロープ７の巻き
取り箇所の移動に伴って支持ブラケット１７を巻取りリ
ール６の回転軸芯に沿う方向に摺動変位するように構成
しても良い。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るクレ
ーンの巻上げ装置によれば、無負荷状態で吊り下げ用ワ
イヤーロープを巻き取るときに、巻取りリールに巻き取
られる前段階で抵抗を与えて、巻取りリールに弛みの無
い状態で巻き取ることができるから、無負荷状態であっ
ても、吊り下げ用ワイヤーロープの喰い込みを防止して
吊り下げ用ワイヤーロープを高速で巻き取ることができ
るようになった。

【００２３】また、ワイヤーガイドシーブを設けた支持
ブラケットを巻取りリールの回転軸芯に沿う方向に変位
させ、吊り下げ用ワイヤーロープの巻取りリールの回転
軸芯に沿う方向への移動をスムーズに行わせるから、巻
取りリールの途中箇所に集中して重なるように巻き取ら
れることを回避でき、巻き取り状態を悪化させずに高速
で巻き取ることができるようになった。しかも、ワイヤ
ーガイドシーブと巻取りリールとの間隔を大きくしなく
ても、吊り下げ用ワイヤーロープのフリートアングルを
適正範囲に収めることができ、機体全体を大型化せずに
コンパクトに構成できる。

【００２４】上述の結果、ビルなどの建築構造体を構築
した後のタワークレーンや解体用クレーンを解体するた
めに用いる場合に、分解物の下降を迅速かつ安全に行う
ことができ、解体撤去作業を迅速に行うことができて工
期を短縮できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例のクレーンの巻上げ装置を
備えたクレーンの全体側面図である。

【図２】吊り下げ用ワイヤーロープの仕込み状態を示す
要部の斜視図である。

【図３】要部の拡大側面図である。

【図４】要部の拡大平面図である。

【図５】要部の一部切欠背面図である。

【符号の説明】

４…作業機本体 ５…ジブ ６…巻取りリール ７…吊り下げ用ワイヤーロープ ８…フック １３…第１の主巻ドラム １４…第２の主巻ドラム １６…ワイヤー押さえローラ １７…支持ブラケット １８…ワイヤーガイドシーブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 一吉 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 越原 良忠 大阪市西成区花園南１丁目７番20号 株式 会社コシハラ内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業機本体に上下揺動可能にジブを設
   け、前記作業機本体に設けた巻取りリールから繰り出し
   た吊り下げ用ワイヤーロープを前記ジブの先端から垂下
   し、前記吊り下げ用ワイヤーロープの下端にフックを連
   結したクレーンの巻上げ装置において、 前記作業機本体に、支持ブラケットを前記巻取りリール
   の回転軸芯に沿う方向に変位可能に設けるとともに、前
   記吊り下げ用ワイヤーロープを巻回するワイヤーガイド
   シーブを前記支持ブラケットに回転可能に設け、前記ワ
   イヤーガイドシーブと前記ジブの先端との間に、互いに
   同調駆動する第１および第２の主巻ドラムを設けるとと
   もに、前記吊り下げ用ワイヤーロープの途中部分を前記
   第１および第２の主巻ドラムに複数回巻き掛け、かつ、
   前記第１の主巻ドラムと第２の主巻ドラムとの間に、前
   記吊り下げ用ワイヤーロープに張力を付与するワイヤー
   押さえローラを設けたことを特徴とするクレーンの巻上
   げ装置。