JPH07144166A - 塗装方法、塗装装置および被塗物 - Google Patents

塗装方法、塗装装置および被塗物

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JPH07144166A
JPH07144166A JP6135717A JP13571794A JPH07144166A JP H07144166 A JPH07144166 A JP H07144166A JP 6135717 A JP6135717 A JP 6135717A JP 13571794 A JP13571794 A JP 13571794A JP H07144166 A JPH07144166 A JP H07144166A
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paint
coating material
temperature
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    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D3/00Pretreatment of surfaces to which liquids or other fluent materials are to be applied; After-treatment of applied coatings, e.g. intermediate treating of an applied coating preparatory to subsequent applications of liquids or other fluent materials
    • B05D3/02Pretreatment of surfaces to which liquids or other fluent materials are to be applied; After-treatment of applied coatings, e.g. intermediate treating of an applied coating preparatory to subsequent applications of liquids or other fluent materials by baking
    • B05D3/0254After-treatment
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D1/00Processes for applying liquids or other fluent materials
    • B05D1/002Processes for applying liquids or other fluent materials the substrate being rotated

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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転塗装において、下地の凹凸が塗膜表面に
影響を及ぼすのを回避し、常に優れた塗膜表面の平滑性
を得る。 【構成】 塗料をダレ限界厚以上の厚さに被塗物に塗布
し、かつ塗料のダレが生じない様に被塗物を回転させる
回転塗装において、塗料塗布後のセッティング工程中の
ある時点もしくはセッティング工程終了時点またはその
後の加熱硬化工程中のある時点において、塗料が流動性
を有しかつ溶剤の占有率が30重量%以下、好ましくは10
重量%以下となる様に塗料状態を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のボディ等の被
塗物の表面を塗装する方法、該方法を実施するための装
置および上記方法により塗装された被塗物に関し、更に
詳しくは、塗料を被塗物の表面にダレ限界厚以上の厚さ
に塗布すると共に該塗料のダレを防止すべく上記被塗物
を略水平方向軸周りに回転させる回転塗装方法、該方法
を実施するための装置および上記方法により塗装された
被塗物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車ボディ等の被塗物の表
面に塗料を塗布して塗装を行う場合、塗料の塗布量を増
大して塗膜を厚くすれば塗膜表面の平滑性が向上するこ
とが知られている。
【0003】即ち、塗料を被塗物に塗布した場合、塗膜
の表面は塗料の表面張力によって塗膜表面と平行な方向
内で左右に引っ張られて自ずと平滑になろうとする。こ
の表面張力による平滑化は塗料の流動性が大きいほど良
好に行われ、塗料の流動性は塗料の塗布量(塗膜の厚
さ)が大きくなるとそれに応じて大きくなる。従って、
塗料の塗布量を多くするとそれに応じて塗料の流動性が
増大して塗膜の平滑性が向上し、特に、塗料をダレ限界
厚(ダレ限界厚とは、被塗面が略上下方向に延びる面で
ある場合に該被塗面に塗料を塗布した後該被塗面をその
まま上下方向に位置させておくと重力による塗料ダレが
生じる最小膜厚を意味する。以下同様。)以上の厚さに
塗布すると、塗料が高い流動性を有し、上記表面張力に
よる平滑化が十分に行われ、極めて良好な平滑性を得る
ことができる。
【0004】ところが、塗料をダレ限界厚以上の厚さに
塗布すると、被塗物が略上下方向に延びる被塗面を有し
ている場合、その被塗面においては重力によって塗料ダ
レが生じ、この塗料ダレによって塗膜表面の平滑性は大
きく損なわれてしまうこととなる。
【0005】しかるに、塗料を塗布した後被塗物を水平
方向軸周りに回転させれば、上記塗料に重力とは反対方
向の力を作用させて略上下方向に延びる被塗面における
重力による塗料ダレを防止することができる。また、そ
の様に被塗物を水平方向軸周りに回転させれば、上記重
力による塗料ダレを防止することができるだけでなく、
該回転により上記塗料に対し塗膜表面と平行な方向内で
の左右方向への力が作用し、これにより上記表面張力に
よる平滑化が助長され、もって極めて優れた平滑性が得
られる。
【0006】そこで、近年、例えば特開平4−2278
85号公報に記載されている様に、塗膜表面の平滑性を
向上させるべく被塗面にダレ限界厚以上の厚さに塗料を
塗布すると共に、このダレ限界厚以上の厚さに塗料が塗
布された被塗物を塗料塗布後少なくとも塗料ダレが生じ
始める前から最早塗料ダレが生じなくなるまでの間、被
塗物を略水平方向軸周りに回転させて塗料ダレの発生を
防止し、もって塗料ダレの発生を防止しつつ十分な膜厚
を得て塗膜表面の平滑性の向上を図るようにしたいわゆ
る回転塗装と称される塗装方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き回転塗装について本発明者等が種々検討してみる
と、塗料をダレ限界厚以上に塗布しかつ被塗物を回転さ
せて塗料ダレが生じないようにしても、必ずしも常に優
れた塗膜表面の平滑性が得られるとは限らないことが判
明した。
【0008】この点について、本発明者等が更に検討を
行った結果、上記の如き回転塗装においては、塗料を塗
布しようとする被塗面即ち下地に微細な凹凸が存在する
場合、その凹凸の影響を受けることなく優れた平滑性が
得られる場合と、その凹凸の影響を受けて塗膜表面に凹
凸が出現し優れた平滑性が得られない場合とがあること
を見出だした。
【0009】本発明の目的は、上記事情に鑑み、上記の
如き回転塗装において下地の凹凸の影響を回避して優れ
た平滑性を得ることの出来る塗装方法、該方法を実施す
るための装置および上記方法により塗装された被塗物を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
<本願の第1の発明に係る塗装方法>本願の第1の発明
に係る塗装方法は、上記目的を達成するため、溶剤を含
有する塗料を被塗物に塗布する塗布工程と、該塗布工程
の後に上記塗料から上記溶剤を蒸発させるセッティング
工程と、該セッティング工程の後に上記塗料を硬化させ
る硬化工程とを備えて成り、上記塗布工程では、上記セ
ッティング工程において上記被塗物の上下方向に延びる
面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さ
に上記塗料を塗布し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレが
生じないように上記被塗物を略水平方向軸周りに回転さ
せる塗装方法において、上記セッティング工程中のいず
れかの時点もしくは上記セッティング工程終了時点にお
いて上記塗料が流動性を有しかつ該塗料における上記溶
剤の占有率が30重量%以下になるようにしたことを特徴
とする。上記溶剤の占有率は10重量%以下であればより
好ましい。上記セッティング工程は、上記溶剤を常温で
蒸発させるものとすることができる。
【0011】上記塗料として溶剤を有すると共に加熱に
より硬化する熱硬化型塗料を使用し、上記硬化工程とし
て塗料を加熱して硬化させる加熱硬化工程を採用するこ
とができる。また、上記塗料として溶剤を含有すると共
に紫外線照射により硬化する紫外線硬化型塗料を使用
し、上記硬化工程として塗料に紫外線を照射して硬化さ
せる紫外線硬化工程を採用することもできる。
【0012】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用し、上記硬化工程と
して塗料を加熱して硬化させる加熱硬化工程を採用した
場合には、上記塗布工程では、上記セッティング工程お
よび上記加熱硬化工程において上記被塗物の上下方向に
延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上
の厚さに上記塗料を塗布し、上記セッティング工程およ
び上記加熱硬化工程では、上記塗料ダレが生じないよう
に上記被塗物を略水平方向軸周りに回転させる様に構成
することができる。
【0013】上記塗布工程における塗料の塗布は最上層
の塗膜を形成するものとすることができる。また、上記
被塗物は自動車のボディとすることができる。
【0014】<本願の第2の発明に係る塗装方法>本願
の第2の発明に係る塗装方法は、上記目的を達成するた
め、溶剤を含有すると共に加熱により硬化する熱硬化型
塗料を被塗物に塗布する塗布工程と、該塗布工程の後に
上記塗料を加熱して硬化させる加熱硬化工程とを備えて
成り、上記塗布工程では、上記加熱硬化工程において上
記被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダレが生
じるであろう厚さ以上の厚さに上記塗料を塗布し、該塗
料の塗布後、上記塗料ダレが生じないように上記被塗物
を略水平方向軸周りに回転させる塗装方法において、上
記加熱硬化工程中のいずれかの時点において上記塗料が
流動性を有しかつ該塗料における上記溶剤の占有率が30
重量%以下になるようにしたことを特徴とする。上記溶
剤の占有率は10重量%以下であればより好ましい。
【0015】上記塗布工程と上記加熱硬化工程との間に
上記塗布工程において塗布された上記塗料から上記溶剤
を蒸発させるセッティング工程を備え、上記塗布工程で
は、上記セッティング工程および上記加熱硬化工程にお
いて上記被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダ
レが生じるであろう厚さ以上の厚さに上記塗料を塗布
し、上記セッティング工程および上記加熱硬化工程で
は、上記塗料ダレが生じないように上記被塗物を略水平
方向軸周りに回転させる様に構成することができる。上
記セッティング工程は、上記溶剤を常温で蒸発させるも
のとすることができる。
【0016】上記塗布工程における塗料の塗布は最上層
の塗膜を形成するものとすることができる。また、上記
被塗物は自動車のボディとすることができる。
【0017】<本願の第3の発明に係る塗装方法>本願
の第3の発明に係る塗装方法は、上記目的を達成するた
め、加熱により硬化する熱硬化型塗料を被塗物に塗布す
る塗布工程と、該塗布工程の後に上記塗料を加熱して硬
化させる加熱硬化工程とを備えて成り、該加熱硬化工程
は、上記塗料の温度を該塗料の反応開始温度まで上昇さ
せる加温を行う加温工程と該加温工程の後において上記
塗料の温度を上記反応開始温度以上として該塗料を反応
硬化させる反応硬化工程とから成り、上記塗布工程で
は、上記加温工程において上記被塗物の上下方向に延び
る面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚
さに上記塗料を塗布し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレ
が生じないように上記被塗物を略水平方向軸周りに回転
させる塗装方法において、上記加温工程では上記塗料の
温度を上記反応開始温度まで上昇させる過程で該反応開
始温度より低く常温より高い所定温度に所定時間保持す
る温度保持加温を行うことを特徴とする。上記被塗物の
回転は、上記加温工程および反応硬化工程において行わ
せることができる。
【0018】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用することができる。
その場合は、上記加温工程中のいずれかの時点もしくは
上記加温工程終了時点において上記塗料が流動性を有し
かつ該塗料における上記溶剤の占有率が30重量%以下に
なるように構成することができる。また、この溶剤の占
有率は10重量%以下であればより好ましい。
【0019】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用する場合は、上記塗
布工程と上記加温工程との間に上記塗布工程において塗
布された上記塗料から上記溶剤を蒸発させるセッティン
グ工程を備えた構成とすることができる。この場合にお
いては、上記セッティング工程は、上記溶剤を常温で蒸
発させるものとすることができる。また、この場合にお
いては、上記塗布工程では、上記セッティング工程およ
び上記加温工程において上記被塗物の上下方向に延びる
面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さ
に上記塗料を塗布し、上記セッティング工程および上記
加温工程では、上記塗料ダレが生じないように上記被塗
物を略水平方向軸周りに回転させる様に構成することが
できる。さらに、この場合においては、上記被塗物の回
転は、上記反応硬化工程においても行うことができる。
【0020】上記所定温度は上記所定時間に応じて設定
することができる。また、上記所定時間は上記所定温度
に応じて設定することができる。上記所定時間は1分以
上の所定時間であることが望ましい。上記加温工程は、
それぞれ独立して温度制御可能な熱源を有する加熱領域
を所定方向に複数個並設して成る分割加熱炉内に上記被
塗物を上記所定方向に移動させることによって上記加温
を行う様に構成することができる。また、上記加温工程
は、遠赤外線により上記加温を行う様に構成することが
できる。
【0021】上記塗布工程における塗料の塗布は最上層
の塗膜を形成するものとすることができる。また、上記
被塗物は自動車のボディとすることができる。
【0022】<本願の第4の発明に係る塗装装置>本願
の第4の発明に係る塗装装置は、上記目的を達成するた
め、加熱により硬化する熱硬化型塗料を被塗物に塗布す
る塗布手段と、上記塗料を塗布した後に該塗料を加熱し
て硬化させる加熱硬化手段とを備えて成り、該加熱硬化
手段は、上記塗料の温度を該塗料の反応開始温度まで上
昇させる加温を行う加温手段と該加温の後において上記
塗料の温度を上記反応開始温度以上として該塗料を反応
硬化させる反応硬化手段とから成り、上記塗布手段は上
記加温手段による加温中に上記被塗物の上下方向に延び
る面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚
さに上記塗料を塗布するものであり、かつ該塗料の塗布
後上記塗料ダレが生じないように上記被塗物を略水平方
向軸周りに回転させる回転手段を有する塗装装置におい
て、上記加温手段により上記塗料の温度を上記反応開始
温度まで上昇させる過程で上記塗料の温度を上記反応開
始温度より低く常温より高い所定温度に所定時間保持す
る温度保持加温を行うように上記加温手段を制御する加
温制御手段を備えていることを特徴とする。上記被塗物
の回転手段は、上記加温手段による加温時および反応硬
化手段による塗料の反応硬化時に上記被塗物を回転させ
るものとすることができる。
【0023】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用することができる。
その場合は、上記加温制御手段は上記加温手段による加
温中のいずれかの時点もしくは加温終了時点において上
記塗料が流動性を有しかつ該塗料における上記溶剤の占
有率が30重量%以下になるように上記加温手段を制御す
るものとすることができる。また、溶剤の占有率が10重
量%以下になるように制御するものであればより好まし
い。
【0024】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用する場合は、上記塗
布手段により塗布された塗料を上記加温手段で加温する
前に上記塗料から上記溶剤を蒸発させるセッティングを
行うセッティング手段を備えた構成とすることができ
る。この場合においては、上記セッティング手段は、上
記溶剤を常温で蒸発させるセッティングを行なうものと
することができる。また、この場合においては、上記塗
布手段は、上記セッティング中および上記加温中におい
て上記被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダレ
が生じるであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗布するもの
とし、上記回転手段は、上記セッティング手段によるセ
ッティング時および上記加温手段による加温時に上記被
塗物を回転させるものとすることができる。さらに、こ
の場合においては、上記回転手段は、上記反応硬化手段
による塗料の反応硬化時にも上記被塗物を回転させるも
のとすることができる。
【0025】上記所定時間は1分以上の所定時間とする
ことができる。上記加温手段は、内部を上記被塗物が移
動すると共にそれぞれ独立して温度制御可能な熱源を有
する加熱領域を上記被塗物の移動方向に複数個並設して
成る分割加熱炉により構成することができる。また、上
記加温制御手段は、上記分割加熱炉内における上記被塗
物の移動速度に応じて上記温度保持加温に供する加熱領
域の数を変更制御するものとすることができる。また、
上記加温制御手段は、上記分割加熱炉内における上記被
塗物の移動速度に応じて上記所定温度を変更制御するも
のとすることができる。また、上記加温手段は、熱源と
して遠赤外線照射手段を備えて成るものとすることがで
きる。
【0026】上記塗布手段による塗料の塗布は最上層の
塗膜を形成するものとすることができる。また、上記被
塗物は自動車のボディとすることができる。
【0027】<本願の第5の発明に係る被塗物>本願の
第5の発明に係る被塗物は、上記目的を達成するため、
上記本願の第1,第2もしくは第3の発明に係る塗装方
法により塗装したことを特徴とする。上記被塗物は自動
車のボディとすることができる。
【0028】<第1〜第5の発明全体に関する説明>上
記溶剤としては、揮発性の溶剤即ち有機系の溶剤に限ら
ず、水系の溶剤も用い得る。
【0029】上記「塗料ダレが生じる」とは、塗料が2
mm以上タレることを意味する。また、上記「塗料が流動
性を有する」とは、塗料が1mm以上タレ得る状態を意味
する。この様に定義した理由については後に詳述する。
なお、この定義からも理解される様に、塗料ダレが生じ
得る状態であれば必ず流動性を有していることになる。
【0030】上記「上下方向に延びる面で通常では塗料
ダレが生じる」とは、上下方向に延びる面に塗料を塗布
した場合にその上下面を回転させることなくそのまま上
下方向に位置させておくと重力により塗料ダレが生じる
つまり塗料が2mm以上タレるという意味である。また、
「上記塗料ダレが生じるであろう厚さ」とは、塗料ダレ
が生じるであろうつまり塗料が2mm以上タレるであろう
最小膜厚を意味し、これは前に述べたダレ限界厚に相当
する。
【0031】上記「塗料の塗布後、上記塗料ダレが生じ
ないように上記被塗物を略水平方向軸周りに回転させ
る」とは、塗料の塗布後において塗料ダレが生じないよ
うに、つまり塗料が2mm以上タレることがないように回
転させるということであり、少なくとも塗料の塗布後該
塗料が2mm以上タレる前から最早塗料が2mm以上タレな
くなるまでの間回転させることを意味する。
【0032】この被塗物の回転は、通常は塗料の塗布後
少なくとも塗料が塗料ダレを生じ得る塗料状態である
間、好ましくは少なくとも塗料が流動性を有するつまり
1mm以上タレ得る塗料状態である間、さらに好ましくは
少なくとも塗料が流動性を完全に消失してしまうまでの
間行なわれる。具体的には、上記塗料ダレは上記セッテ
ィング工程もしくは硬化工程特に加熱硬化工程において
生じ得るものであり、セッティング工程において塗料ダ
レが生じ得る塗料状態である場合は少なくともそのセッ
ティング工程において塗料ダレが生じ得る塗料状態であ
る間、硬化工程において塗料ダレが生じ得る塗料状態で
ある場合は少なくともその硬化工程において塗料ダレが
生じ得る塗料状態である間、またセッティング工程と硬
化工程との双方において塗料ダレが生じ得る塗料状態で
ある場合は少なくともその両工程において塗料ダレが生
じ得る塗料状態である間、被塗物の回転が行われる。勿
論、この被塗物の回転は塗料ダレが生じ得ない塗料状態
となった後も引き続き行うことができる。
【0033】上記セッティング工程は、塗料の塗布後被
塗物を直ちに硬化工程特に加熱硬化工程に移行させる
と、塗料は未だ多くの溶剤を含有している状態で塗膜の
表面が先に急激に硬化し、その後中に残っている溶剤が
硬化した塗膜表面から抜け出して該表面に穴が開く等の
問題が生じるので、これを防止するため、塗料の塗布後
硬化工程特に加熱硬化工程の前段において溶剤をある程
度蒸発させておくためのものである。かかるセッティン
グ工程は、溶剤が有機系溶剤(揮発性溶剤)の場合は通
常は常温で所定時間被塗物を放置することによって行わ
れ、溶剤が水の場合は常温より高い温度で所定時間、例
えば80℃×5〜7分間被塗物を放置することによって行
われる。なお,有機系溶剤の場合もセッティング温度を
常温より高くすることも可能であるが、その場合でも通
常は40℃以下で行われる。
【0034】本発明は塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗
布すると共に塗料ダレを防止すべく被塗物を回転させる
回転塗装を前提とするものであり、基本的には上下方向
に延びる被塗面を有する被塗物を対象とするものである
が、上下方向に延びる被塗面を有しない被塗物を対象と
することも可能である。
【0035】<第1の発明に関する説明>上記第1の発
明に係る塗装方法は、セッティング工程が設けられ、こ
のセッティング工程において塗料ダレが生じ得る塗料状
態であることを前提とするものであり、硬化工程におい
ては塗料ダレが生じ得る塗料状態であってもそうでなく
ても良い。
【0036】塗料は溶剤を含有するものであれば良く、
加熱により硬化する熱硬化型塗料であっても、紫外線照
射により硬化する紫外線硬化型塗料等の加熱以外の方法
で硬化する塗料であっても構わない。硬化工程は、塗料
が熱硬化型塗料の場合は加熱により塗料を硬化させる加
熱硬化工程となり、紫外線硬化型塗料の場合は紫外線照
射により塗料を硬化させる紫外線硬化工程となり、それ
以外の方法で硬化する塗料の場合は当該方法で硬化させ
る硬化工程となる。
【0037】この第1の発明において使用される典型的
な塗料は溶剤を含有する熱硬化型塗料であり、一般的な
熱硬化型塗料は、加熱によりその固形分が一旦軟化(粘
度低下)して高い流動性を示し、その後更なる加熱によ
って塗料の温度が反応開始温度以上となって架橋反応を
開始して硬化するものである。従ってこの様な塗料をセ
ッティング工程において塗料ダレが生じるであろう厚さ
以上の厚さに塗布した場合、該セッティング工程におけ
る塗料状態は当然に塗料ダレが生じ得る状態であり、セ
ッティング工程の終了時点においては未だ塗料ダレが生
じ得る状態である場合と溶剤の蒸発により最早塗料ダレ
は生じ得ない状態になっている場合とがあるが、いずれ
の場合であっても加熱硬化工程に移行すると該加熱硬化
工程の初期において塗料固形分が軟化してその流動性が
増大し塗料ダレが生じ得る状態となり得る。
【0038】この第1の発明に係る塗装方法は、上述の
様に硬化工程において塗料ダレが生じ得る塗料状態であ
る必要はなく、従って塗料は硬化工程において直ちに硬
化してしまう場合であっても良い。その様な場合の例と
しては、上述の紫外線硬化型塗料が紫外線照射により直
ちに硬化してしまう場合の他に例えば熱硬化型塗料の場
合において加熱により塗料温度がすぐに反応開始温度以
上となって軟化する暇なく直ちに硬化してしまう場合を
挙げることができる。
【0039】この第1の発明に係る塗装方法において
は、上述のように少なくともセッティング工程において
は塗料ダレが生じ得る塗料状態であるものであり、従っ
てセッティング工程においては上記被塗物の回転が行わ
れる。硬化工程においても塗料ダレが生じ得る塗料状態
である場合には該硬化工程においても上記被塗物の回転
が行われる。硬化工程においては塗料ダレが生じ得ない
塗料状態である場合には該硬化工程においては上記被塗
物の回転を行っても行わなくても良い。
【0040】<第2の発明に関する説明>上記第2の発
明に係る塗装方法は、熱硬化型塗料を用い、加熱硬化工
程において塗料ダレが生じ得る塗料状態であることを前
提とするものであり、セッティング工程は設けても設け
なくても良く、かつセッティング工程を設けた場合、そ
のセッティング工程においては塗料ダレが生じ得る塗料
状態であってもそうでなくても良い。上記熱硬化型塗料
としては、上記加熱硬化工程で塗料ダレが生じ得る状態
を確保可能な塗料であればどの様な塗料でも使用可能で
あり、一般的には上記の様な加熱により一旦軟化する塗
料が使用されるが、軟化しない塗料でも使用可能であ
る。
【0041】この第2の発明に係る塗装方法において
は、上述のように少なくとも加熱硬化工程においては塗
料ダレが生じ得る塗料状態であるものであり、従って加
熱硬化工程においては上記被塗物の回転が行われる。セ
ッティング工程が設けられている場合、該セッティング
工程においても塗料ダレが生じ得る塗料状態である場合
には該セッティング工程においても上記被塗物の回転が
行われる。セッティング工程においては塗料ダレが生じ
得ない塗料状態である場合には該セッティング工程にお
いては上記被塗物の回転を行っても行わなくても良い。
【0042】<第3の発明に関する説明>上記第3の発
明に係る塗装方法は、熱硬化型塗料を用い、加熱硬化工
程を上述の加温工程と反応硬化工程とで構成し、加温工
程において塗料ダレが生じ得る塗料状態であることを前
提とし、その加温工程で上述の温度保持加温を行なうも
のである。セッティング工程は設けても設けなくても良
い。セッティング工程を設けた場合、該セッティング工
程においては塗料ダレが生じ得る塗料状態であってもそ
うでなくても良い。上記熱硬化型塗料としては、上記加
温工程で塗料ダレが生じ得る塗料状態さえ確保可能な塗
料であればどの様な塗料でも使用可能であり、一般的に
は上記の様な加熱により一旦軟化する塗料が使用される
が、軟化しない塗料でも使用可能である。
【0043】この第3の発明に係る塗装方法において
は、上述のように少なくとも加温工程においては塗料ダ
レが生じ得る塗料状態であるものであり、従って加温工
程においては上記被塗物の回転が行われる。セッティン
グ工程が設けられている場合には、該セッティング工程
においても塗料ダレが生じ得る塗料状態である場合には
該セッティング工程においても上記被塗物の回転が行わ
れる。セッティング工程においては塗料ダレが生じ得な
い塗料状態である場合には該セッティング工程において
は上記被塗物の回転を行っても行わなくても良い。ま
た、上記いずれの場合も、反応硬化工程においても上記
被塗物の回転を行うことかできる。
【0044】<第4の発明に関する説明>上記第4の発
明に係る塗装装置は、上記第3の発明に係る塗装方法を
実施するための装置である。
【0045】
【作用および発明の効果】
<回転塗装による塗膜表面の平滑化>上述の様に、塗料
をダレ限界厚以上の厚さに塗布すると共に被塗物を水平
方向軸周りに回転させる回転塗装を行えば、先ず塗料を
ダレ限界厚以上の厚さに塗布したことにより塗料が高い
流動性を有するので表面張力による優れた平滑性が得ら
れ、また被塗物を水平方向軸周りに回転させることによ
り塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗布した場合に生じる
塗料ダレを防止しつつ更に該回転により塗膜表面の平滑
化を助長し、もってきわめて優れた塗膜表面の平滑性が
得られる。
【0046】<塗膜表面における下地の影響>しかしな
がら、上記の如き回転塗装について種々検討してみる
と、その様な回転塗装であっても常に優れた平滑性が得
られるとは限らず、本発明者等はこの点について鋭意研
究した結果、塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗布しかつ
被塗物を水平方向軸回りに回転させることによって塗膜
表面が十分に平滑になっていても、その塗膜表面が流動
性を消失した後において溶剤の蒸発量が大きいと塗膜の
収縮量が大きく、この収縮量が大きいとその収縮に伴な
って下地の凹凸の影響が塗膜表面に出現してその平滑性
が阻害され、収縮量が小さいと下地の凹凸の影響が塗膜
表面に出現する割合が小さく、塗膜表面の平滑性はその
まま維持されることを見出だした。
【0047】より具体的には、塗料が溶剤の蒸発や塗料
固形分の粘度の低下等によって流動性を消失した後にお
ける塗膜の収縮量が小さいほど下地の凹凸の影響が塗膜
表面に出現する割合が小さくなり、この収縮量は塗料中
に含まれる溶剤の量によってほぼ定まり、塗料が流動性
を消失した時点で溶剤の塗料中における占有率が30重量
%以下であれば十分に下地の凹凸の影響を回避して従来
の塗装方法で得られていた平滑性よりも良好な平滑性を
得ることができ、また上記溶剤の占有率が10重量%以下
であればさらに優れた平滑性を得ることができることを
見出だした。
【0048】即ち、塗料が流動性を消失した後における
塗膜の収縮量が大きければ下地凹凸の影響の出現割合が
大きく、塗膜収縮量が小さければ小さい程下地凹凸の影
響の出現割合が小さくなる。そして、もし塗料が流動性
を消失した後において塗膜の収縮量が大きくそれによっ
て塗膜表面に下地凹凸の影響が出現すると、塗料は既に
流動性を消失しているので表面張力による自己平滑化能
力を有しておらず、たとえ被塗物を回転させていてもそ
の塗膜表面に出現した凹凸を修復して平滑化することは
できず、該凹凸はそのまま残存して塗膜表面の平滑性が
損なわれこととなり、一方、塗料が流動性を消失した後
の収縮量が小さければ塗膜の収縮による下地凹凸の影響
出現は回避され,回転塗装により得られた上記塗膜表面
の優れた平滑性はそのまま維持される。
【0049】本発明は、上記知見に基づいて成されたも
のであり、回転塗装において塗膜表面が平滑化した状態
の下で塗料が流動性を消失することを前提とし、この場
合において塗料が流動性を消失した後における塗膜の収
縮量を下地凹凸の影響が出現しない程度まで小さくし、
即ち塗料が流動性を消失した時点での溶剤量を下地凹凸
の影響が出現しない程度まで少なくし、つまり溶剤の占
有率を30重量%もしくは10重量%以下とし、もって下地
凹凸の影響出現を回避して回転塗装により得られた塗膜
表面の平滑性を維持しようとするものである。
【0050】ところで、下地凹凸の影響を受けることな
く塗膜表面の十分な平滑性を得るためには、上述のよう
に回転塗装によって塗膜表面が十分な平滑性を有する状
態下で塗料が流動性を消失し、その消失時点で溶剤の占
有率が30重量%もしくは10重量%以下であることが必要
である。
【0051】しかるに、回転塗装は少なくとも塗料ダレ
が生じなくなるまで被塗物を回転させることにより塗膜
表面の十分な平滑性が得られるものであるから、回転中
に塗料が流動性を消失する場合は勿論のこと、回転が終
了した後に塗料が流動性を消失する場合であっても、そ
の消失時点では必ず塗膜表面は十分な平滑性を有してい
る(回転終了時点では今だ塗料が流動性を有していて
も、その回転終了時点では塗料は少なくとも塗料ダレが
2mm以下という流動性が極めて小さい状態となっている
ので、その後流動性を消失するまでの間は十分に塗膜表
面の平滑性が維持される)。
【0052】従って、回転塗装においては、「塗料がい
ずれかの時点において流動性を有しかつ溶剤の占有率が
30重量%もしくは10重量%以下」であれば、その後塗料
が流動性を最終的に消失する時点では必ず溶剤の占有率
は30重量%もしくは10重量%以下となり、かつその流動
性消失時点では塗膜表面は十分な平滑性を有しているこ
ととなるので、「塗料がいずれかの時点において流動性
を有しかつ溶剤の占有率が30重量%もしくは10重量%以
下」ということは、「塗膜表面が十分な平滑性を有する
状態下で塗料が流動性を消失し、その消失時点で溶剤の
占有率が30重量%もしくは10重量%以下」ということと
同義である。
【0053】なお、本発明においては、上記のように、
塗料ダレが生じるとは塗料が2mm以上タレることを意味
し、塗料が流動性を有するとは塗料が1mm以上タレ得る
状態を意味すると定義した。
【0054】上記被塗物に塗料を塗料ダレが生じ得る厚
さ以上の厚さに塗布するのは、そのように多量に塗布す
ることによって塗料に十分な流動性を付与し、それによ
って回転塗装で十分な塗膜表面の平滑性を得るためであ
り、この回転塗装によって十分な塗膜表面の平滑性を得
るために必要な塗料の流動性は塗料が2mm以上タレ得る
流動性であることから上記のごとく定義した。つまり、
塗料が2mm以上タレ得る状態でないと流動性が十分でな
く、回転塗装を行っても十分な塗膜表面の平滑性を得る
ことは出来ず、この塗料が2mm以上タレ得るということ
は、回転塗装により十分な塗膜表面の平滑性を得るため
の基本条件である。
【0055】また、上記塗料が流動性を有する時点で溶
剤の占有率が30重量%もしくは10重量%以下にするの
は、塗料が流動性を消失した後に塗膜が大きく収縮して
下地凹凸の影響が塗膜表面に出現すると、塗料は既に流
動性を消失しているので表面張力による自己平滑化能力
を有しておらず、下地凹凸の影響により塗膜表面に出現
した凹凸を修復して平滑化することはできず、該凹凸は
そのまま残存して塗膜表面の平滑性は損なわれ、従って
自己平滑化が可能な流動性を有している時点において塗
膜が収縮しても下地凹凸の影響が出現しない程度まで溶
剤量を減少させておくことが必要であるからであり、か
かる自己平滑化が可能な流動性は、上記塗料ダレが生じ
得る流動性に至らない微小な流動性で良く、数知的には
塗料が1mm以上タレ得る流動性で良いことから、上記の
ごとく定義した。
【0056】<第1の発明にかかる塗装方法>第1の発
明にかかる塗装方法は、上記の様に、セッティング工程
が設けられ、少なくともこのセッティング工程において
塗料が塗料ダレを生じ得る状態である回転塗装を対象と
するものである。
【0057】この場合は、セッティング工程中のいずれ
かの時点もしくはセッティング工程終了時点において、
塗料が流動性を有しかつ該塗料における溶剤の占有率が
30重量%以下になるようにすれば、その後のセッティン
グ工程もしくは硬化工程等において塗料が流動性を消失
した時点における溶剤の占有率は必ず30重量%以下とな
り、従ってその流動性を消失した時点において残存して
いる溶剤が蒸発して塗膜の収縮が生じても、その収縮は
小さくそれによって下地凹凸が塗膜表面に影響を及ぼす
程度は非常に小さく、よって下地凹凸の影響の少ない良
好な平滑性を得ることができる。
【0058】本願の第1の発明に係る塗装方法は、上記
の様に、セッティング工程において被塗物の上下方向に
延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上
の厚さに塗料を塗布し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレ
が生じないように被塗物を略水平方向軸周りに回転させ
る塗装方法において、セッティング工程中のいずれかの
時点もしくはセッティング工程終了時点において塗料が
流動性を有しかつ該塗料における溶剤の占有率が30重量
%以下になるように塗装条件を設定して成るので、常に
下地凹凸の影響の少ない良好な平滑性を得ることができ
る。
【0059】上記溶剤の占有率が上記30重量%以下に代
えて10重量%以下になるようにすれば、更に下地凹凸の
影響を回避してより優れた平滑性を得ることができる。
【0060】上記塗料として溶剤を含有すると共に加熱
により硬化する熱硬化型塗料を使用し、上記硬化工程と
して塗料を加熱して硬化させる加熱硬化工程を採用した
場合は、セッティング工程および加熱硬化工程において
被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダレが生じ
るであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗布し、セッティン
グ工程および加熱硬化工程の双方で上記塗料ダレが生じ
ないように被塗物を略水平方向軸周りに回転させる様に
構成することができ、その場合は加熱硬化工程中のいず
れかの時点で塗料が流動性を有しかつ該塗料における溶
剤の占有率が30重量%以下になるようにしても同様に下
地凹凸の影響を受けない優れた平滑性を得ることが出来
るが、その様に加熱硬化工程で流動性を有するものであ
っても、セッティング工程において塗料が流動性を有し
かつ該塗料における溶剤の占有率が30重量%以下になる
ように塗装条件を設定しておけば、その後の加熱硬化工
程での塗料の状態の如何にかかわら確実に下地凹凸の影
響を受けない優れた平滑性を得ることができる。
【0061】上記塗料として溶剤を有すると共に紫外線
照射により硬化する紫外線硬化型塗料を使用し、上記硬
化工程として塗料に紫外線を照射して硬化させる紫外線
硬化工程を採用した場合は、塗料はこの紫外線硬化工程
で直ちに流動性を消失して硬化してしまうので、セッテ
ィング工程において塗料が流動性を有しかつ該塗料にお
ける溶剤の占有率が30重量%以下になるように塗装条件
を設定しておかなければならず、かつそうすることによ
り下地凹凸の影響を受けない優れた平滑性を得ることが
できる。
【0062】<第2の発明にかかる塗装方法>第2の発
明にかかる塗装方法は、上記の様に、少なくとも加熱硬
化工程において塗料が塗料ダレを生じ得る状態である回
転塗装を対象とするものである。
【0063】この場合は、加熱硬化工程中のいずれかの
時点において、塗料が流動性を有しかつ該塗料における
溶剤の占有率が30重量%以下になるようにすれば、その
後この加熱硬化工程で塗料が流動性を消失した時点にお
ける溶剤の占有率は必ず30重量%以下となり、従って流
動性を消失した時点において残存している溶剤が蒸発し
て塗膜の収縮が生じても、その収縮は小さくそれによっ
て下地凹凸が塗膜表面に影響を及ぼす程度は非常に小さ
く、よって下地の凹凸影響の少ない良好な平滑性を得る
ことができる。
【0064】本願の第2の発明に係る塗装方法は、上記
の様に、加熱硬化工程において被塗物の上下方向に延び
る面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚
さに塗料を塗布し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレが生
じないように被塗物を略水平方向軸周りに回転させる塗
装方法において、加熱硬化工程中のいずれかの時点にお
いて塗料が流動性を有しかつ該塗料における溶剤の占有
率が30重量%以下になるように塗装条件を設定して成る
ので、常に下地凹凸の影響の少ない良好な平滑性を得る
ことができる。
【0065】上記溶剤の占有率が上記30重量%以下に代
えて10重量%以下になるようにすれば、更に下地凹凸の
影響を回避してより優れた平滑性を得ることができる。
【0066】上記セッティング工程を備えているものに
おいては、セッティング工程および加熱硬化工程の双方
において被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダ
レが生じるであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗布し、セ
ッティング工程および加熱硬化工程の双方で上記塗料ダ
レが生じないように被塗物を略水平方向軸周りに回転さ
せる様に構成することができ、その場合においても、加
熱硬化工程中のいずれかの時点において塗料が流動性を
有しかつ該塗料における溶剤の占有率が30重量%以下に
なるように塗装条件を設定しておけば、セッティング工
程中の塗料状態がいかなるものであっても、常に下地凹
凸の影響の少ない良好な平滑性を得ることができる。
【0067】<第3の発明にかかる塗装方法>第3の発
明にかかる塗装方法は、上記の様に、加熱硬化工程を加
温工程と反応硬化工程とで構成し、少なくとも加温工程
において塗料が塗料ダレを生じ得る状態である回転塗装
を対象とするものである。
【0068】この場合は、上記加温工程において、塗料
の温度を反応開始温度(塗料が反応を開始して硬化し始
める温度)まで上昇させる過程で該反応開始温度より低
く常温より高い所定温度に所定時間保持する温度保持加
温を行えば、通常の加熱硬化工程の様に塗料の温度を反
応開始温度まで直線的に上昇させるものと比較して、塗
料がより高い流動性を有する状態を所定時間確保するこ
とができ、塗料がより高い流動性を有するということは
上記塗料の表面張力および被塗物の回転により塗料に作
用する力による平滑化がより促進される状態であるとい
うことであり、この平滑化がより促進される状態を所定
時間維持することにより極めて優れた平滑化が達成さ
れ、下地凹凸の影響が少ない良好な塗膜表面の平滑性が
得られる。
【0069】本願の第3の発明に係る塗装方法は、上記
の様に加熱硬化工程を、塗料の温度を該塗料の反応開始
温度まで上昇させる加温を行う加温工程と該加温工程の
後において上記塗料の温度を上記反応開始温度以上とし
て該塗料を反応硬化させる反応硬化工程とで構成し、加
温工程において被塗物の上下方向に延びる面で通常では
塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗布
し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレが生じないように被
塗物を略水平方向軸周りに回転させる塗装方法におい
て、上記加温工程では塗料の温度を反応開始温度まで上
昇させる過程で該反応開始温度より低く常温より高い所
定温度に所定時間保持する温度保持加温を行う様に構成
されているので、該温度保持加温により平滑化がより促
進され、下地凹凸の影響が少ない良好な塗膜表面の平滑
性が得られる。
【0070】上記熱硬化型塗料として溶剤を含有すると
共に加熱により硬化する塗料を使用した場合には、加温
工程中のいずれかの時点もしくは加温工程の終了時点に
おいて塗料が流動性を有しかつ溶剤の占有率が30重量%
以下になるように、好ましくは10重量%以下になるよう
にすれば、それによって上述の様に流動性を消失した後
の塗膜の収縮量を小さくでき、それによってさらに下地
凹凸の影響を小さくし、より優れた塗膜表面の平滑性を
得ることができる。
【0071】特に、この様に反応開始温度より低く常温
より高い所定温度に所定時間保持する温度保持加温を行
なえば、塗料の流動性を保持しつつより多くの溶剤を蒸
発させることができ、それによって通常の加熱硬化工程
の様に塗料の温度を反応開始温度まで直線的に上昇させ
るものと比較して、塗料が流動性を消失した時点の溶剤
量をより小さくすることができ、下地凹凸の影響を殆ん
ど受けない極めて良好な塗膜表面の平滑性を得ることが
できる。より具体的には、通常の加熱硬化工程では、加
熱炉内の雰囲気温度が塗料の反応開始温度以上とされ、
塗料の温度は被塗物の熱容量に対して成り行きで上昇
し、この様に成り行きで直線的に上昇する場合、塗料の
温度は短時間で反応開始温度に到達して塗料の反応硬化
による粘性上昇(流動性阻害)を引き起こすので、流動
性を保ちながら溶剤量を10重量%以下にするのは困難で
あるが、上記の温度保持加温を行えば、塗料の温度を反
応開始温度より低く常温より高い所定温度で所定時間保
持することにより塗料が反応硬化することなく流動性を
維持した状態の下で十分に溶剤を蒸発させることができ
るので、該塗料が流動性を消失した時点の溶剤量を10重
量%以下とすることが可能であり、それによって温度保
持加温を行なわないものでは得ることが困難な極めて優
れた平滑性を得ることができる。
【0072】また、溶剤量を同じ程度まで減少させるこ
とを考えた場合には、温度保持加温を行なわない場合に
比してこの温度保持加温を行なうことにより、溶剤を早
く蒸発させて短時間に目標溶剤量まで低減させることが
でき、それによって加熱硬化工程の時間短縮を図ること
ができる。
【0073】上記熱硬化型塗料として溶剤を含有すると
共に加熱により硬化する塗料を使用した場合には、塗布
工程と加温工程との間に該塗布工程において塗布された
塗料から溶剤を蒸発させるセッティング工程を設け、セ
ッティング工程および加温工程において被塗物の上下方
向に延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ
以上の厚さに塗料を塗布し、セッティング工程および加
温工程(必要に応じてさらに反応硬化工程)では上記塗
料ダレが生じないように被塗物を略水平方向軸周りに回
転させる様に構成することができるが、その様に加温工
程の前にセッティング工程を設ければ、該セッティング
工程によりある程度溶剤を蒸発させることができるの
で、加温工程以降において流動性を消失した時点におけ
る溶剤量をより小さくすることができる。
【0074】上記所定温度は上記所定時間に応じて設定
することができ、上記所定時間は上記所定温度に応じて
設定することができる。上記所定温度および所定時間を
この様に相互の関係で適宜変更して設定すれば、例えば
上記温度保持加温を行う加熱炉内での被塗物の搬送速度
の変化等が生じた場合にもスムーズにその変化に対応し
て適切な温度保持加温を行うことができる。なお、上記
所定時間を1分以上の所定時間とすれば、上記温度保持
加温の効果を顕著に得ることができる。
【0075】それぞれ独立して温度制御可能な熱源を有
する加熱領域を所定方向に複数個並設して成る分割加熱
炉内に被塗物を上記所定方向に移動させることによって
温度保持加温を行う様に構成すれば、例えば温度保持加
温を行う加熱炉内での被塗物の搬送速度を変化させなけ
ればならない様な場合にも、温度保持加温に供する加熱
領域の数を適宜変更することにより極めて簡単に上記所
定時間を実現することができる。また、遠赤外線により
温度保持加温を行う様に構成すれば、迅速に塗料の温度
を上記所定温度まで上昇させることができ、加熱硬化工
程における所要時間の短縮を図ることができる。
【0076】<第4の発明にかかる塗装装置>第4の発
明に係る塗装装置は、上述の様に、上記第3の発明に係
る塗装方法を実施するための装置である。この第4の発
明に係る塗装装置の作用、効果は、基本的に上記第3の
発明に係る塗装方法における作用、効果と同一である。
【0077】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。以下に説明する実施例は、被塗
物としての自動車ボディを塗装する場合に本発明を適用
したものである。
【0078】<自動車ボディの塗装>自動車ボディの塗
装の一例を図1に従って説明する。自動車ボディの塗装
は、一般的に、まず下塗塗装が行なわれ、次に中塗塗装
が行なわれ、最後に上塗塗装が行なわれる。
【0079】上記下塗塗装においては、まず表面処理が
行なわれる。この表面処理ではボディ鉄板の油落しが行
なわれ、次に鉄板と塗料との接着性を良くするため鉄板
表面にリン酸亜鉛の皮膜を形成する処理が行なわれる。
続いてエポキシ系塗料を電着させ、その後この電着塗料
を加熱して硬化させる加熱硬化が行なわれる。
【0080】上記中塗塗装においては、ポリエステル系
塗料を用いた中塗りが行なわれ、続いて上記中塗塗料を
加熱して硬化させる加熱硬化が行なわれる。
【0081】上記上塗塗装においては、ソリッド塗装を
行なう場合とベース・クリア塗装を行なう場合とがあ
る。ソリッド塗装を行なう場合は、該ソリッド塗装によ
り形成されるソリッド塗膜が最上層の塗膜となり、ソリ
ッド塗料を塗布後該ソリッド塗料を加熱して硬化させる
加熱硬化が行なわれる。ベース・クリア塗装を行なう場
合は、まずアクリル樹脂等から成るベース塗料を塗布
し、次いでその上にアクリル樹脂等から成るクリア塗料
を塗布し、その後ベース塗料およびクリア塗料を加熱し
て硬化させる加熱硬化が行なわれる。このベース・クリ
ア塗装の具体例としては、例えばアルミやマイカ等の光
輝材を含むベース塗料を塗布した後に無色透明クリア塗
料を塗布する場合、アルミやマイカ等の光輝材を含むベ
ース塗料を塗布した後に着色透明クリア塗料を塗布する
場合、アルミやマイカ等の光輝材を含まないベース塗料
を塗布した後に無色透明クリア塗料を塗布する場合、お
よびアルミやマイカ等の光輝材を含まないベース塗料を
塗布した後に着色透明クリア塗料を塗布する場合を挙げ
ることができる。なお、このベース・クリア塗装のう
ち、ベース塗料の塗布および加熱硬化をベース塗装、ク
リア塗料の塗布および加熱硬化をクリア塗装と称す。
【0082】上記は自動車塗装の一例であり、例えば上
記中塗塗装を2回行なったり上記クリア塗装を2回行な
うこともできる。また、上記下塗塗装や中塗塗装におい
ても、上記した以外の種々の処理、例えばシール処理や
耐チップ処理等を行なうことができる。
【0083】<回転塗装>上記塗装においては、塗膜表
面の良好な平滑性を得るため、回転塗装が行われる。か
かる回転塗装は、塗膜表面に平滑性が要求される塗装で
あればどの様な塗装に対しても適用可能であり、例えば
上記中塗塗装や上塗塗装等に適用可能であるが、特に、
最上層の塗膜を形成する塗装即ち上塗塗装がソリッド塗
装の場合はソリッド塗装に、ベース・クリア塗装の場合
はクリア塗装に好適に適用することができる。
【0084】かかる回転塗装は、基本的には、図2に示
す様に塗料を塗布する際に被塗物2の上下方向に延びる
被塗面2aに通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ(ダ
レ限界厚)以上の厚さに塗料4を塗布し、その後上記塗
料ダレが生じない様に被塗物2を紙面に垂直な略水平方
向軸6周りに回転させるものである。
【0085】上記上下方向に延びる被塗面2aで通常では
塗料ダレが生じるとは、上下方向に延びる被塗面2aに塗
料を塗布した後その被塗面2aをそのまま上下方向に位置
させておいた場合に塗料が重力によって下方にタレるこ
とであり、本発明の場合塗料ダレが生じるとは、上述の
様に塗料が2mm以上タレた場合(2mm以上塗料がタレる
と塗膜表面にタレにより許容範囲を越える凹凸が生じ、
所望の平滑性が得られない)を意味する。より具体的に
は、図3に示す様に、上下方向に延びる被塗面2aに対し
て下半分にテープ8を貼り付けてマスクをし、その状態
で全面に塗料を塗布してテープ8を剥し、この状態で塗
料ダレがそれ以上大きくならなくなるまで放置し、その
際に生じた塗料ダレ4aの長さlを測定し、その長さが2
mm以上であるときに塗料ダレが生じたものとする。従っ
て、上記ダレ限界厚は、塗布する塗料の厚さを徐々に大
きくしながら所定のセッティング雰囲気中あるいは加熱
雰囲気中で上記塗料ダレ長さの測定を繰り返し行ない、
上記塗料ダレ長さが2mmになったときの塗料の塗布厚を
求めることによって知ることができる。
【0086】上記塗料ダレは、上述の様に塗料が流動性
を有するが故に重力によって下方にタレる現象であり、
従って、図2に示す様に被塗物2を略水平方向軸6周り
に回転させると、その回転によって塗料に対し重力と同
方向の力と重力と反対方向の力とが交互に作用し、それ
によって塗料ダレが防止される。即ち、図2に示す例の
場合、被塗物2は矢印A方向に連続的に回転せしめら
れ、図示の様に塗料4が右側に位置しているときは上記
回転により塗料4に被塗面2aに対して相対的に矢印Bに
示す重力と反対方向の慣性力が作用し、被塗物2の回転
によって上記塗料4が左側に位置しているときは該回転
により塗料4に被塗面2aに対して相対的に矢印Cに示す
重力と同方向の慣性力が作用し、この様に回転によって
塗料4に対し重力と同方向の力と反対方向の力とが交互
に作用することによって塗料の重力による一方向へのタ
レが防止される。なお、上記被塗物2は必ずしも360 °
同方向に連続して回転させる必要はなく、360 °の回転
を交互に反対方向に行なわせても良いし、所定角度範
囲、たとえば45°、90°あるいは135 °の範囲で交互に
反対方向に回転させても良い。
【0087】上記回転は、回転によって重力による塗料
ダレを防止するものであり、従って塗料の塗布後重力に
より塗料ダレが生じる前に回転を開始し、その後塗料の
流動性が低くなりあるいは硬化して最早重力による塗料
ダレが生じ得ない状態になるまで回転を行なわせること
が必要である。また、上記回転は、回転によって重力に
よる塗料ダレを防止するものであり、従って回転によっ
て重力による塗料ダレを阻止し得る力を生じさせること
ができる速度例えば重力により塗料ダレが生じる速度よ
りも速い速度で回転させると共に、回転による遠心力に
よって塗料ダレが生じることのない速度で回転させるこ
とが必要である(略水平方向軸6から半径方向に延びる
被塗面が存在する場合は、該被塗面上では遠心力により
塗料ダレが生じ得る。)。
【0088】<回転塗装の各種態様>回転塗装は、塗料
を塗布する塗布工程と、塗布された塗料を硬化させる硬
化工程とを備えて成る。塗料が溶剤を含有する場合は、
必要に応じて塗布工程と硬化工程との間に溶剤を蒸発さ
せるセッティング工程を設けることができる。
【0089】塗料ダレは、セッティングおよび/または
硬化工程で生じ得る。上記回転塗装では、回転塗装によ
って優れた塗膜表面の平滑性を得るため、塗布工程にお
いて、セッティング工程および/または硬化工程で塗料
ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗布する
必要がある。すなわち、セッティング工程が設けられて
いない場合は硬化工程で上記塗料ダレが生じるであろう
厚さ以上の厚さに塗料を塗布して硬化工程で塗料ダレが
生じ得る塗料状態にする必要がある。また、セッティン
グ工程が設けられている場合は、セッティング工程で上
記塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに塗料を塗
布してセッティング工程で塗料ダレが生じ得る塗料状態
にするか、硬化工程で上記塗料ダレが生じるであろう厚
さ以上の厚さに塗料を塗布して硬化工程で塗料ダレが生
じ得る塗料状態にするか、あるいはセッティング工程と
硬化工程の双方で塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の
厚さに塗料を塗布して両工程で塗料ダレが生じ得る塗料
状態にする必要がある。
【0090】上記いずれの場合でも、塗料ダレが生じる
であろうセッティング工程もしくは硬化工程においては
該塗料ダレが生じないように被塗物を略水平方向軸周り
に回転させる必要がある。
【0091】<回転塗装による塗膜表面の平滑化>上記
塗料は、例えば図4(a)に示す様に、スプレーによっ
て下地10上に塗布される。上記下地10は塗料が塗布され
る被塗面であり、例えば上記塗料塗布が被塗物の表面に
直接行なわれる場合はその被塗物の表面、中塗塗装の場
合は下塗塗膜の表面、ソリッド塗装の場合は中塗塗膜の
表面、クリア塗装の場合はベース塗膜の表面が該当す
る。
【0092】塗料がある程度の厚さに塗布されると、図
4(b)において矢印Dで示す様に塗膜5の表面は塗料
の表面張力によって塗膜表面と平行な方向内で左右に引
っ張られて平滑になろうとする。この場合塗料の塗布量
が少ないと塗料の流動性が低く、上記表面張力による平
滑化が十分に行われず、良好な平滑性を得ることは困難
である。しかるに、塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗布
すると、塗料が十分な流動性を有し、上記表面張力によ
る平滑化が十分に行われ、良好な平滑性を得ることがで
きる。
【0093】ところが、塗料をダレ限界厚以上の厚さに
塗布すると、被塗物が略上下方向に延びる被塗面を有し
ている場合その略上下方向に延びる被塗面においては重
力によって塗料ダレが生じ、この塗料ダレによって塗膜
表面の平滑性は大きく損なわれてしまうこととなる。
【0094】そこで、上述した様に、塗料を塗布した被
塗物を水平方向軸周りに回転させることにより、上記塗
料に重力方向の力と重力とは反対方向の力とを交互に作
用させ、これによって略上下方向に延びる被塗面におけ
る重力による塗料ダレを防止することができる。そし
て、その様に被塗物を水平方向軸周りに回転させれば、
上記重力による塗料ダレを防止することができるだけで
なく、上記図4(b)において矢印Eで示す様に、該回
転により上記塗料に対し塗膜表面と平行な方向内での左
右方向への力が作用し、これにより上記表面張力による
平滑化が助長され、もって図4(c)に示す様に極めて
優れた平滑性が得られる。
【0095】すなわち、塗料をダレ限界厚以上の厚さに
塗布すると共に被塗物を水平方向軸周りに回転させる回
転塗装によれば、先ず塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗
布したことにより上記の様に表面張力による優れた平滑
性が得られ、また被塗物を水平方向軸周りに回転させる
ことにより塗料をダレ限界厚以上の厚さに塗布した場合
に生じる塗料ダレを防止しつつ更に該回転により上記の
様に塗膜表面の平滑化を助長し、もってきわめて優れた
塗膜表面の平滑性が得られることとなる。
【0096】<塗膜表面における下地の影響> (溶剤量と下地の影響)しかしながら、塗料が溶剤を含
有するものである場合、塗料をダレ限界厚以上の厚さに
塗布しかつ被塗物を略水平方向軸周りに回転させること
によって図4(c)に示す様に塗膜表面が十分に平滑に
なっていても、その塗膜表面が流動性を消失した後にお
ける溶剤の蒸発量が大きいと塗膜の収縮量が大きく、こ
の収縮量が大きいと図4(d)に示す様にその収縮に伴
なって下地10の凹凸が塗膜表面に出現してその平滑性が
阻害され、収縮量が小さいと図4(e)に示す様に下地
10の凹凸が塗膜表面に出現する割合が小さく、塗膜表面
の平滑性がそのまま維持される。
【0097】より具体的には、塗料が溶剤の蒸発や塗料
固形分の粘度の低下等によって流動性を消失した後にお
ける塗膜の収縮量が小さいほど下地凹凸の影響が塗膜表
面に出現する割合が小さくなり、この収縮量は塗料中に
含まれる溶剤の量によってほぼ定まり、塗料が流動性を
消失した時点で溶剤の塗料中における占有率が30重量%
以下であれば十分に下地凹凸の影響を回避して従来の塗
装方法で得られていた平滑性よりも良好な平滑性を得る
ことができ、また溶剤の占有率が10重量%以下であれば
さらに優れた平滑性を得ることができる。
【0098】なお、ここでいう塗料の流動性とは、塗膜
表面が塗料の表面張力等によって平滑化可能な流動性を
意味し、本発明の場合、上述の様に塗料ダレが1mm以上
生じ得る塗料状態の場合その塗料は流動性を有し、塗料
ダレが1mm未満の場合は流動性を有しないものと定義す
る。
【0099】(温度保持加温と下地の影響)一方、塗料
が加熱により硬化する熱硬化型塗料を使用し、加熱硬化
工程において塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さ
に塗料を塗布し、かつこの加熱硬化工程で塗料ダレが生
じないように被塗物を略水平方向軸の周りに回転させれ
ば、加熱硬化工程において上述のように極めて優れた塗
膜表面の平滑性が得られる。この場合、加熱硬化工程
を、塗料の温度を該塗料の反応開始温度まで上昇させる
加温を行う加温工程と該加温工程の後において塗料の温
度を反応開始温度以上として該塗料を反応硬化させる反
応硬化工程とで構成し、上記加温工程では塗料の温度を
反応開始温度まで上昇させる過程で該反応開始温度より
低く常温より高い所定温度に所定時間保持する温度保持
加温を行えば、通常の加熱硬化工程の様に温度を反応開
始温度まで直線的に上昇させるものと比較して、塗料が
より高い流動性を有する状態を所定時間確保することが
でき、塗料がより高い流動性を有するということは塗料
の表面張力および被塗物の回転により塗料に作用する力
による平滑化がより促進される状態であるということで
あり、この平滑化がより促進される状態を所定時間維持
することにより極めて優れた平滑化が達成され、下地凹
凸の影響が少ない良好な塗膜表面の平滑性が得られる。
【0100】また、上記熱硬化型塗料として溶剤を含有
すると共に加熱により硬化する塗料を使用した場合に
は、加温工程中のいずれかの時点もしくは加温工程の終
了時点において塗料が流動性を有しかつ溶剤の占有率が
30重量%以下になるように、好ましくは10重量%以下に
なるようにすれば、それによって上述の様に流動性を消
失した後の塗膜の収縮量を小さくでき、それによってさ
らに下地凹凸の影響を小さくし、より優れた塗膜表面の
平滑性を得ることができる。
【0101】特に、この様に反応開始温度より低く常温
より高い所定温度に所定時間保持する温度保持加温を行
なえば、塗料の流動性を保持しつつより多くの溶剤を蒸
発させることができ、それによって通常の加熱硬化工程
の様に塗料の温度を反応開始温度まで直線的に上昇させ
るものと比較して、塗料が流動性を消失した時点の溶剤
量をより小さくすることができ、下地凹凸の影響を殆ん
ど受けない極めて良好な塗膜表面の平滑性を得ることが
できる。より具体的には、通常の加熱硬化工程では、加
熱炉内の雰囲気温度が塗料の反応開始温度以上とされ、
塗料の温度は被塗物の熱容量に対して成り行きで上昇
し、この様に成り行きで直線的に上昇する場合、塗料の
温度は短時間で反応開始温度に到達して塗料の反応硬化
による粘性上昇(流動性阻害)を引き起こすので、流動
性を保ちながら溶剤量を10重量%以下にするのは困難で
あるが、上記の温度保持加温を行えば、塗料の温度を反
応開始温度より低く常温より高い所定温度で所定時間保
持することにより塗料が反応硬化することなく流動性を
維持した状態の下で十分に溶剤を蒸発させることができ
るので、該塗料が流動性を消失した時点の溶剤量を10重
量%以下とすることが可能であり、それによって温度保
持加温を行なわないものでは得ることが困難な極めて優
れた平滑性を得ることができる。
【0102】また、溶剤量を同じ程度まで減少させるこ
とを考えた場合には、温度保持加温を行なわない場合に
比してこの温度保持加温を行なうことにより、溶剤を早
く蒸発させて短時間に目標溶剤量まで低減させることが
でき、それによって加熱硬化工程の時間短縮を図ること
ができる。
【0103】<塗装装置>次に本発明に係る塗装方法の
一実施例を実施するための塗装装置について、該装置の
全体の概要を示す平面図である図5、該装置の要部のみ
の概要を示す正面図である図6、空台車メンテナンスゾ
ーン部分の概要を示す正面図である図7、回転用台車の
概要を示す正面図である図8、回転用台車の概要を示す
右側面図である図9、加熱硬化工程を実施するための予
備加熱炉の概要を示す正面図である図10、上記予備加熱
炉の概要を示す側面図である図11、加熱硬化工程を実施
するための本加熱炉の概要を示す正面図である図12、上
記本加熱炉の概要を示す側面図である図13を参照しなが
ら説明する。
【0104】なお、以下に述べる塗装装置によって実施
される塗装方法は、クリア塗装に対して本発明に係る回
転塗装方法を適用したものであり、溶剤を含有すると共
に加熱により硬化する熱硬化型のクリア塗料を使用し、
塗布工程と加熱硬化工程との間にセッティング工程を設
け、加熱硬化工程は塗料を半硬化させる予備加熱硬化工
程と塗料を本硬化させる本加熱硬化工程とに分けて構成
し、予備加熱硬化工程の初期に温度保持加温を行い、か
つセッティング工程および予備加熱硬化工程(特に温度
保持加温)の双方において塗料ダレが生じ得るようにク
リア塗料を塗布すると共にそれらの両工程で塗料ダレを
防止すべく被塗物を回転させ、さらにセッティング工程
または予備加熱硬化工程(特に温度保持加温)のいずれ
かの時点において塗料が流動性を有しかつ溶剤の占有率
が30重量%もしくは10重量%以下になるようにしたもの
である。
【0105】図示の塗装装置は、図5および図6に示す
様に、第1一般(非回転用)搬送コンベア12と、第2一
般搬送コンベア14と、回転用搬送コンベア16とを備えて
成る。上記第1,第2一般搬送コンベア12,14は、被塗
物である自動車ボディ18を静止状態で保持する一般(非
回転用)台車20をそれぞれ矢印方向に搬送する。上記回
転用搬送コンベア16は、上記自動車ボディ18を略水平方
向軸周りに回転可能に保持する回転用台車22を矢印方向
に搬送する。
【0106】上記回転用搬送コンベア16は全体としてエ
ンドレス状に配設され、回転用台車22はこの回転用搬送
コンベア16により循環搬送される。この回転用搬送コン
ベア16は、それぞれが互いに独立して回転用台車22を搬
送制御可能な第1コンベア24と、第2コンベア26と、第
3コンベア28とを組み合せて成る。第1コンベア24の始
端は位置aにおいて以下に述べるリフタ29に接続される
と共にその終端は位置bにおいて第2コンベア26の始端
に接続され、第2コンベア26の終端は位置cにおいて第
3コンベア28の始端に接続され、第3コンベア28の終端
は位置dにおいて上記リフタ29に接続され、かつ該リフ
タ29を介して上記第1コンベア24の始端に接続されてい
る。
【0107】上記回転用搬送コンベア16は、図示の如く
以下に述べる上塗ベース塗布ゾーンから予備加熱硬化ゾ
ーンまでの部分においてラインAとラインBとの2ライ
ン並列構成とされ、従って上記第1コンベア24は分岐点
eで分岐された2つの分岐コンベア24A,24Bを備え、
上記第2コンベア26はこの2つの分岐コンベア24A,24
Bに接続する2つのコンベア26A,26Bを備え、上記第
3コンベア28はこれらのコンベア26A,26Bに接続する
と共に合流点fで合流する2つの分岐コンベア28A,28
Bを備えて成る。この回転用搬送コンベア16は、必要に
応じて、上記分岐点eから合流点fまでの間のライン
A,Bの搬送速度に対して、その他の部分つまり合流点
fから分岐点eまでの間のコンベア部分の搬送速度の方
を大きく設定することができる。
【0108】上記第1一般搬送コンベア12上には回転治
具取付ゾーン30が設けられ、上記回転用搬送コンベア16
上には、上流側から順に回転エアブローゾーン32、上塗
準備ゾーン34、上塗ベース塗布ゾーン36、第1クリア塗
布ゾーン38aと第2クリア塗布ゾーン38bとを備えて成
る上塗クリア塗布ゾーン38、セッティングゾーン40、加
温ゾーン42aと半加熱硬化ゾーン42bとを備えて成る予
備加熱硬化ゾーン42、プール用搬送コンベア44aを備え
て成るプールゾーン44および上記リフタ29と空台車メン
テナンス用搬送コンベア45とを備えて成る空台車メンテ
ナンスゾーン46が設けられ、上記第2一般搬送コンベア
14上には本加熱硬化ゾーン48が設けられ、上記上塗ベー
ス塗布ゾーン36から予備加熱硬化ゾーン42までは上記ラ
インAとラインBとにそれぞれ設けられている。
【0109】上記回転エアブローゾーン32、上塗準備ゾ
ーン34、上塗ベース塗布ゾーン36は第1コンベア24上に
設けられている。上記上塗クリア塗布ゾーン38は第1コ
ンベア24と第2コンベア26との接続部に設けられ、第1
クリア塗布ゾーン38aは第1コンベア24上に、第2クリ
ア塗布ゾーン38bは第2コンベア26上に位置している。
上記セッティングゾーン40と予備加熱硬化ゾーン42とは
上記第2クリア塗布ゾーン38bと共に第2コンベア26上
に設けられている。上記プールゾーン44は第3コンベア
28上に設けられている。また、上記第3コンベア28の終
端と第1コンベア24の始端との間に空台車メンテナンス
ゾーン46が設けられている。
【0110】上記第1一般搬送コンベア12と第1コンベ
ア24との間には、第1一般搬送コンベア12上の一般台車
10により搬送されてきた自動車ボディ18を第1コンベア
24上の回転用台車22上に移載する第1移載手段50が設け
られ、上記第2一般搬送コンベア14と第3コンベア28と
の間には、第3コンベア28上の回転用台車22により搬送
されてきた自動車ボディ18を第2一般搬送コンベア14上
の一般台車20上に移載する第2移載手段52が設けられて
いる。
【0111】上記回転エアブローゾーン32、セッティン
グゾーン40および予備加熱硬化ゾーン42には、上記回転
用台車22がそれらのゾーンを通過する間該回転用台車22
上の自動車ボディ18を回転させるためのサブコンベア5
4,56が配設されている。
【0112】上記第1,第2一般搬送コンベア12,14お
よび回転用搬送コンベア16は2階部分58に配設され、上
記空台車メンテナンス用搬送コンベア45は1階部分60に
配設されている。上記リフタ29は、図7に示す様に、1
階部分60から2階部分58にかけて上下方向に延びる支柱
29aと該支柱29aに嵌合されて図示しない駆動手段によ
り上下動せしめられる台車受け29bとで構成されてお
り、第2移載手段52により自動車ボディ18が搬出された
空の回転用台車22を1階部分の空台車メンテナンス用搬
送コンベア45に移送し、またこの空台車メンテナンス用
搬送コンベア45から空の回転用台車22を2階部分の第1
コンベア24に移送する。上記空台車メンテナンス用搬送
コンベア45は上記2階部分の回転用搬送コンベア16に対
応する位置に上記リフタ29を介してエンドレス状に配設
されている。
【0113】上記回転用台車22は、図8,9に示す様
に、車輪62を有する基台64と、該基台64上に搬送方向に
所定間隔を置いて立設された支持台66,68と、両支持台
66,68にそれぞれ同一直線上に位置して略水平方向に延
びる回転軸線L回りに回転可能に取り付けられた回転支
承台70,72とを備えて成る。
【0114】自動車ボディ18はその前端および後端に回
転治具74,76が取り付けられ、回転治具74,76はそれぞ
れ上記回転支承台70,72に連結され、もって自動車ボデ
ィ18は両支持台66,68の間で略水平方向に延びる回転軸
線Lの周りに回転可能に回転用台車22に保持される。
【0115】上記回転用台車22の後方支持台68には後方
回転支承台72を回転させる回転伝達機構78が設けられて
いる。該回転伝達機構78は、回転支承台72の回転軸80に
固設された傘歯車82、該傘歯車82に噛合する傘歯車84、
該傘歯車84が固設されている軸86に固設された傘歯車8
8、該傘歯車88と噛合する傘歯車90、該傘歯車90が固設
された軸92に固設されたスプロケット94とで構成されて
おり、該スプロケット94はチェーンから成る上述のサブ
コンベア54,56に噛合する。従って、回転用台車22の搬
送速度とサブコンベア54,56の駆動速度との間に相対速
度差が生じると、スプロケット94が回転し、この回転が
上記回転伝達機構78を介して上記回転支承台72に伝達さ
れ、自動車ボディ18が上記回転軸線L周りに回転せしめ
られる。この場合、サブコンベア54,56の駆動速度を調
節することによって自動車ボディ18の回転速度や回転方
向を変更可能であると共に、回転用台車22が停止した状
態においても自動車ボディ18を回転させることができ
る。
【0116】上記基台64の前部には、前方に延びる係合
子95が軸96を中心として上下方向に回転可能に設けら
れ、該係合子95が突起95aを介してチェーンから成る回
転用搬送コンベア16に係合し、この突起95aを介して回
転用台車22が回転用搬送コンベア16によりその駆動速度
で搬送される。また、上記基台64の後部には、後方に延
びる係合解除子98が図示しない保持部材を介して図示の
様に所定高さを保持した状態で設けられている。従っ
て、前方の回転用台車22に対して後方の回転用台車22が
近接してくると、後方の回転用台車の係合子95が前方の
回転用台車の係合解除子98に当接してその上に乗り上げ
て上方へ回動し、係合子95の回転用搬送コンベア16に対
する係合が解除され、それによって後方の回転用台車22
は前方の回転用台車22が停止している状態で回転用搬送
コンベア16が作動していても該前方の回転用台車22の直
前で停止することとなる。
【0117】上記予備加熱硬化ゾーン42にはその全長に
亘って予備加熱炉が設けられ、自動車ボディ18をこの予
備加熱炉内を通過させることによってベース塗膜および
クリア塗膜の予備加熱硬化が行なわれる。
【0118】図10および図11に示す様に、予備加熱炉10
0 は搬送方向に延びるトンネル状に形成された遠赤外線
炉により構成され、上記第2コンベア26およびサブコン
ベア56が炉内を通過して設けられ、この第2コンベア26
により自動車ボディ18が回転用台車22を介して炉内を通
過せしめられる。この予備加熱炉100 は、搬送方向に複
数個(本実施例では6個)の加熱領域P1〜P6を連設
して成る分割加熱炉により構成されており、各加熱領域
P1〜P6はそれぞれ独立して温度制御可能な熱源とし
ての遠赤外線照射手段102 を備えて成る。遠赤外線照射
手段102 は、各加熱領域P1〜P6において、図11に示
す様に炉の内面に所定間隔を置いて略逆U字状に複数個
設けられており、制御手段104 により各加熱領域毎に供
給する電圧を制御して各加熱領域毎に独立して温度制御
可能とされている。この予備加熱炉100 には、塗料から
蒸発した溶剤が炉内に充満することを防止する等のため
の換気手段106 が設けられている。この換気手段106
は、炉内の下方位置に設けられた給気ボックス108 と、
炉内の上方位置に設けられた排気ボックス110 と、両ボ
ックス108 ,110 間を接続する空気通路112 に設けられ
た給排気手段114 とを備えて成り、給排気手段114 は、
蒸気を熱源とする熱交換器116 と、フィルタ118 と、給
気ファン120 とを備えて成る。上記換気手段106 によ
り、熱交換器116で所定温度に加熱された温風が給気ボ
ックス108 から炉内に送出され炉内を上昇して排気ボッ
クス110 から排出され、この排出された空気は一部が大
気側に放出されると共に一部は新気と一緒に給排気手段
114 により所定温度に加熱され、給気ボックス108 を介
して炉内に送出される。なお、各加熱領域P1〜P6の
遠赤外線照射手段102 には温度センサ122 (加熱領域P
1についてのみ図示)が設けられ、この温度センサ122
の出力に基づい制御手段104 はフィードバック制御を行
なう。
【0119】上記各加熱領域のうち上流側の複数の加熱
領域(本実施例ではP1〜P4)が上記加温ゾーン42a
を形成し、下流側の複数の加熱領域(本実施例ではP
5,P6)が上記半加熱硬化ゾーン42bを形成してい
る。
【0120】上記本加熱硬化ゾーン48にはその全長に亘
って本加熱炉が設けられ、自動車ボディ18をこの本加熱
炉内を通過させることによってベース塗膜およびクリア
塗膜の本加熱硬化が行なわれる。
【0121】図12,13に示す様に、本加熱炉124 は、搬
送方向に延びるトンネル状に形成されると共に実際に加
熱を行なう基部124 aの両端に傾斜部124 bを設けて基
部124 aを高い位置に配した山型炉であって、かつ熱源
として熱風を用いる熱風炉として構成され、上記第2一
般搬送コンベア14が炉内を通過して設けられ、この第2
一般搬送コンベア14により自動車ボディ18が一般台車20
を介して炉内を通過せしめられる。この本加熱炉124
は、基部124 aが搬送方向に複数個(本実施例では3
個)の加熱領域P1〜P3を連設して成り、各加熱領域
P1〜P3にはそれぞれ独立して熱風の温度および風量
を制御可能な熱風供給手段126 が設けられている。該熱
風供給手段126 は、炉の下方位置に設けられた給気ボッ
クス128 と、上方位置に設けられた排気ボックス130
と、両ボックス128 ,130 を接続する空気通路132 に設
けられた給排気手段134 とを備えて成り(空気通路132
および給排気手段134 については加熱領域P1について
のみ図示)、給排気手段134 は、蒸気を熱源とする熱交
換器136 と、フィルタ138 と、給気ファン140 とを備え
て成る。
【0122】上記熱風供給手段126 により、熱交換器13
6 で所定温度に加熱された熱風が給気ボックス128 から
炉内に送出され、炉内を上昇して排気ボックス130 から
排出され、再度給排気手段134 により所定温度に加熱さ
れて炉内に送り出されて循環せしめられる。なお、各加
熱領域P1〜P3の熱風供給手段126 には、炉内に送出
される熱風の温度を検出する温度センサ142 が設けら
れ、該センサ142 の出力に基づいて熱風温度のフィード
バック制御が行なわれる。
【0123】<塗装方法>次に、上記装置による塗装方
法について説明する。上記塗装装置においては、中塗塗
装が終了した自動車ボディ18が一般台車20に保持されて
第1一般搬送コンベア12により矢印方向に搬送され、回
転治具取付ゾーン30で上述の回転治具74,76が自動車ボ
ディ18の前端部および後端部に取り付けられ、続いて第
1移載手段50により自動車ボディ18が一般台車20から回
転用搬送コンベア16上の回転用台車22に移載される。
【0124】この回転用台車22に移載された自動車ボデ
ィ18は、該回転用台車22を介してまず回転エアブローゾ
ーン32に送られ、該ゾーン32を通過する間、上記サブコ
ンベア54によって回転せしめられながらエアーの吹き付
けが行なわれ、ボディ表面や内部に存在するゴミ、塵埃
等の除去が行なわれる。次に上塗準備ゾーン34に送ら
れ、該ゾーン34においてさらにダチョーの羽根でボディ
表面を掃いて表面に付着したゴミ、塵埃等の除去の完全
を期し、続いて位置eで交互にラインAとラインBとに
振り分けられて上塗ベース塗布ゾーン36に送られ、該ゾ
ーン36で上塗ベース塗布が行なわれる。この上塗ベース
塗布は、本実施例ではアルミ、マイカ等の光輝材および
顔料等を含むアクリル−メラミン樹脂から成るベース塗
料を中塗塗膜の上に塗布するものであり、例えばボディ
の外表面に1回塗布し、次にロボットでドアを開いてド
ア開口部やドアの内側等に塗布し、その後外表面にさら
に2回塗布するという複数回塗布により行なわれる。上
記ベース塗料は、通常溶剤として沸点が低く蒸発しやす
いものを用いるので溶剤の蒸発は早く、また膜厚も例え
ば20μ程度と薄いので、塗料ダレが生じる虞はない。
【0125】上記上塗ベース塗布が終了したら、次に上
塗クリア塗布ゾーン38に送られ、該ゾーン38において塗
布ロボット等の塗料塗布手段により上塗クリア塗布が行
なわれる。上塗ベース塗布ゾーン36と上塗クリア塗布ゾ
ーン38との間には所定間隔が置かれ、この所定間隔部分
はアイドルゾーンとしてこのアイドルゾーンを通過中に
ベース塗料の溶剤の十分な蒸発が行なわれる。
【0126】上記上塗クリア塗布は、上記ベース塗膜の
上にクリア塗料を塗布することにより行なわれ、クリア
塗料としては、本実施例では揮発性溶剤を含有したアク
リル−メラミン樹脂から成る透明樹脂塗料が用いられ
る。この上塗クリア塗布においてはクリア塗料が2回重
ね塗りされる。即ち、まず、第1コンベア24の終端部分
に設けられた第1クリア塗布ゾーン38aにおいてクリア
塗料がベース塗膜上にセッティングゾーン40におけるダ
レ限界厚未満の膜厚となる様に塗布され、その後自動車
ボディ18は位置bで第2コンベア26に乗り移って該第2
コンベア26の始端部分に設けられた第2クリア塗布ゾー
ン38bに搬送され、そこでクリア塗膜がセッティングゾ
ーン40および加温ゾーン42aにおけるダレ限界厚以上の
膜厚となる様に上記第1クリア塗布ゾーン38aで塗布さ
れたクリア塗膜上にさらに上記クリア塗料が塗布され
る。
【0127】このクリア塗料の塗布が終了したら、自動
車ボディ18はセッティングゾーン40に搬入され、このセ
ッティングゾーン40通過中にクリア塗料中の揮発性溶剤
が常温下で自然蒸発せしめられる。このセッティングゾ
ーン40通過中は、上記第2クリアゾーン38bでダレ限界
厚以上の厚さに塗布されたクリア塗料のタレを防止すべ
く、上記サブコンベア56により自動車ボディ18を回転さ
せる。
【0128】このセッティングゾーン通渦中にクリア塗
料中の揮発性溶剤が徐々に蒸発して溶剤量が減少し、そ
れに伴ってクリア塗料の流動性が低下し、場合によって
はセッティング終了時点においては既に流動性を消失し
てしまっていることもあり得る。セッティング条件即ち
セッティング温度およびセッティング時間は、前述のセ
ッティングの目的を達成すべく、クリア塗料の種類(樹
脂および溶剤の種類、量等)、膜厚、予備加熱硬化条件
等に応じて適宜に設定すれば良い。
【0129】上記セッティングが終了したら、次に、自
動車ボディ18は予備加熱硬化ゾーン42に搬入され、該ゾ
ーン42に設置された予備加熱炉を通過する間にクリア塗
膜の予備加熱硬化が行なわれる。この予備加熱硬化ゾー
ン42においては、まず、上記加温ゾーン42aでクリア塗
料の温度を常温から反応開始温度まで上昇させる加温が
行われると共にその過程において常温より高くかつ反応
開始温度より低い所定温度で所定時間保持する温度保持
加温が行なわれ、この温度保持加温によってクリア塗料
の流動性を維持した状態の下で溶剤が十分に蒸発せしめ
られ、続いて上記半加熱硬化ゾーン42bでクリア塗料の
温度を反応開始温度以上の温度に保持し、該塗料を一部
反応させて半硬化させる半加熱硬化が行われる。この半
加熱硬化は、クリア塗料の表面にゴミ等が付着してもそ
の後加熱するとこのゴミ等が焼けてすぐに落ちる程度ま
で半硬化せしめるものであり、例えば塗料の架橋反応が
40%程度行なわれる程度まで硬化させる。なお、この予
備加熱効果ゾーン42においては、上記ベース塗膜も同様
に加温ゾーン42a で温度保持加温が行われ、また半加熱
硬化ゾーン42b で半硬化せしめられる。
【0130】上記クリア塗料は上記セッティング終了時
点で流動性が低下もしくは流動性を消失しているが、こ
の予備加熱硬化ゾーン42の初期つまり上記加温ゾーン42
a において塗料の温度が常温から反応開始温度まで上昇
せしめられる過程で、該温度上昇によって塗料の固形分
つまり樹脂分が軟化(粘度低下)して流動性が急激に増
大して塗料ダレが生じ得る状態となり、その後溶剤の蒸
発が進行して流動性は低下し、予備加熱硬化ゾーン42の
後期つまり半加熱硬化ゾーン42b において塗料の温度が
反応開始温度以上となって樹脂分が反応硬化し始めた時
点で流動性は一挙に消失する。
【0131】上記温度保持加温における所定温度および
所定時間は、該温度保持加温によりクリア塗料の流動性
を維持しつつ溶剤量を目標値まで低下させ得るように、
クリア塗料の種類(樹脂および溶剤の種類、量等)、膜
厚、セッティング条件等に応じて適宜に設定すれば良
く、かつ所定温度は所定時間に応じて、所定時間は所定
温度に応じて変更することができる。上記所定温度は、
常温より20℃以上高く(通常は40℃以上)かつ塗料の反
応開始温度より10℃以下の範囲が望ましい。また、上記
所定時間は、目標とする溶剤量即ち30重量%以下もしく
は10重量%以下になりかつ流動性を有する状態の下で1
分以上保持し得る時間であることが望ましい。また、上
記半加熱硬化ゾーン42b における半加熱硬化条件(温度
および時間)も、クリア塗料を半硬化させ得るように、
クリア塗料の種類(樹脂および溶剤の種類、量等)、膜
厚、セッティング条件、温度保持加温条件等に応じて適
宜に設定すれば良い。
【0132】図14は上記予備加熱硬化ゾーン42における
クリア塗料の温度変化の一例を実線で示す図である。図
示の様に、セッティングゾーン40において塗料は常温
(本実施例では20℃)に維持され、予備加熱硬化ゾー
ン42に搬入されると、まず加熱領域P1〜P4から成る
加温ゾーン42aにおいて塗料の温度を反応開始温度約
(本実施例では70〜80℃)まで上昇させると共にその上
昇途中において塗料の温度を常温より低く反応開始温度
より低い所定温度(本実施例では60℃。なお、この所定
温度は必ずしも一定値である必要はなく、所定温度範囲
内で変化、例えば図中においてわずかに右肩上りで変化
しても良い。)に所定時間保持する温度保持加温が行な
われ、続いてP5,P6から成る半加熱硬化ゾーン42b
において塗料の温度を反応開始温度以上の所定温度(本
実施例では140 ℃)まで上昇させて該温度で塗料が上記
半硬化せしめられる。
【0133】上記温度保持加温における所定温度を変更
する場合は該温度保持加温に供する加熱領域P1〜P4
の温度(雰囲気温度)を変更することによって行なうこ
とができ、所定時間を変更する場合は温度保持加温に供
する加熱領域の数を変更することによって行なうことが
できる。また、例えば1日に塗装する自動車ボディ18の
数が変更される場合回転用搬送コンベア16の搬送速度が
変更され、それによって予備加熱炉内を通過する自動車
ボディ18の移動速度も変化し、その場合は例えば同じ加
熱領域P1〜P4までを温度保持加温に供していると温
度保持加温の時間が変化することとなる。この様な場合
には、その自動車ボディの移動速度に応じて温度保持加
温に供する加熱領域の数を変更する、例えば移動速度が
遅くなった場合は加熱領域P1〜P3を温度保持加温に
供する(加熱領域P1〜P3の温度を温度保持加温用の
温度とする。この場合は、加熱領域P4,P5を半加熱
硬化ゾーンとしてこの加熱領域P4,P5の温度を半加
熱硬化用の温度とし、かつ加熱領域P6による加熱は行
なわないようにする。)ことによって、自動車ボディ18
の移動速度が変化しても容易に所定時間を確保すること
ができる。
【0134】半加熱硬化ゾーン42bにおける塗料温度お
よび加熱時間も該半加熱硬化ゾーン42bを構成する加熱
領域の数および雰囲気温度を変更することによって容易
に変更することができる。
【0135】上記実施例では加熱領域P1〜P4間での
炉内の雰囲気温度は一定とされているが、被塗物の熱容
量が大きく炉に入った後塗料が上記所定温度まで上昇す
るのに時間がかかる場合は、その分だけ加温ゾーン42a
の長さを長くしなければならなくなるので、その場合は
例えば加熱領域P1の炉内雰囲気温度をその他の加熱領
域よりも高くして塗料温度が所定温度まで上昇する時間
を短くし、もって予備加熱炉の長さを短くすることもで
きる。つまり、各加熱領域をそれぞれ別個に温度制御し
得ることにより、温度上昇パターンを種々変更制御し、
それによって種々の利点を享受し得る。
【0136】上記予備加熱硬化ゾーン42、特に加温ゾー
ン42aにおいては、塗料の固形分が温度上昇によって軟
化して粘度が低下し、非常に高い流動性を有することと
なって塗料ダレが生じ得る塗料状態となる。そこで、こ
の予備加熱硬化ゾーン42においては、該ゾーン42を通過
する間サブコンベア56により上記セッティングゾーン40
から引き続いて自動車ボディ18を回転せ、塗料ダレの防
止が図られる。なお、この回転は要するに塗料ダレを防
止できれば良いものであり、例えば図14に示す加熱領域
P5において塗料ダレが生じない状態となるのであれ
ば、該加熱領域P5まで回転させれば十分であり、加熱
領域P6まで回転させる必要はない。
【0137】なお、本実施例では上記予備加熱硬化ゾー
ン42に加温ゾーン42aを設け、該加温ゾーン42aで温度
保持加温を行なう様にしているが、この温度保持加温は
必ずしも行なわなければならないものではなく、温度保
持加温を行なうことなく塗料温度を反応開始温度以上ま
で上昇させる様にしても良い。その場合には、例えば上
記図14中において破線で示す様に、塗料温度は反応開始
温度以上まで直線的に上昇せしめられる。
【0138】上記予備加熱硬化ゾーン42において予備加
熱硬化が終了したら、続いて自動車ボディ18は位置cで
第3コンベア28に乗り移り、途中の位置fでラインAと
ラインBの自動車ボディ18が合流した上でプールゾーン
44に搬入され、必要に応じてこのプールゾーン44で適宜
プールされた後、第2移載手段52で回転用台車22上から
上記第2一般搬送コンベア14上の一般台車20上に移載さ
れ、該台車20上に保持されてこの第2一般搬送コンベア
14により本加熱硬化ゾーン48に搬入され、該ゾーン48に
設置された本加熱炉を通過する間に、ベース塗膜および
クリア塗膜の温度を反応開始温度以上の温度に所定時間
保持してベース塗膜およびクリア塗膜を本硬化、例えば
架橋反応が80%以上行なわれる程度まで硬化させる本加
熱硬化が行なわれる。
【0139】なお、上記本加熱硬化ゾーン48における本
加熱硬化工程および予備加熱硬化ゾーン中の半加熱硬化
ゾーン42b における半加熱硬化工程では、共に塗料の温
度が反応開始温度以上とされて該塗料は反応硬化せしめ
られるので、それらの本加熱硬化工程および半加熱硬化
工程は加熱硬化工程中の反応硬化工程を構成する。
【0140】上記本加熱硬化ゾーン48で本加熱硬化が終
了したら、自動車ボディ18は第2一般搬送コンベア14に
よって図示しない検査ゾーンに搬送され、該ゾーンで塗
装検査が行なわれる。
【0141】また、上記第2移載手段52で自動車ボディ
18が第2一般搬送コンベア14に移載された後の空の回転
用台車22は、第3コンベア28で上述のリフタ29まで搬送
され、該リフタ29によって1階部分の空台車メンテナン
ス用搬送コンベア45に送られ、該コンベア45上を搬送さ
れ一周してリフタ29に戻る途中で必要に応じて台車22の
清掃、保持、点検等のメンテナンスが行なわれた後、リ
フタ29により再度第1コンベア24上に送り出され、回転
用搬送コンベア16上を循環せしめられる。即ち、回転用
台車22は回転用搬送コンベア16を1周するごとに空台車
メンテナンス用搬送コンベア45に送られて清掃、保守、
点検等のメンテナンスが行われ、その後再使用される。
また、回転用搬送コンベア16は定期的にメンテナンスが
行われる。この場合、回転用台車22は全て回転用搬送コ
ンベア16から一旦1階部分の空台車メンテナンス用搬送
コンベア45に送られ、空になった状態で回転用搬送コン
ベア16のメンテナンスが行われる。従って、この空台車
メンテナンス用搬送コンベア45は回転用搬送コンベア16
上に位置する全ての回転用台車22を収容し得るだけの長
さを必要とする。また、この回転用搬送コンベア16のメ
ンテナンスと同時に空台車メンテナンス用搬送コンベア
45上に送られた回転用台車22のメンテナンスを行うこと
もできる。
【0142】<塗装装置の変更態様>本実施例では、加
熱硬化工程を実現するための加熱炉を予備加熱炉と本加
熱炉とに分離し、それらを別個の場所に設置した構成を
採用しているが、必ずしも予備加熱炉と本加熱炉とに分
離する必要はなく、予備加熱硬化と本加熱硬化とを1つ
の加熱炉で行うようにしても良い。また、本実施例では
予備加熱炉を遠赤外線式とし、本加熱炉を熱風式として
いるが、それらの加熱方式は実施例のものに限定される
ものではなく、適宜の方式を採用することができる。
【0143】本実施例のように予備加熱炉と本加熱炉と
を分離した場合には、以下のような利点を享受すること
ができる。即ち、加熱炉としては熱風式のものが構成も
簡単であり熱源コストも安価であるので好都合である
が、予備加熱硬化と本加熱硬化とを1つの加熱炉で行う
ようにした場合、該加熱炉の前部すなわち上記予備加熱
硬化を行う部分においては、塗料は未だ塗料ダレを生じ
得る状態であり得るので被塗物を回転させる必要があ
り、この様に被塗物を回転させると自動車ボディ内の塵
埃やゴミが出てきてそこに熱風を吹き付けるとその塵埃
やゴミが未だ未硬化の塗膜表面に付着してしまうという
問題が生じる。そこで、そのような問題を回避するため
加熱炉は例えば遠赤外線による加熱炉を採用することと
なるが、その様な遠赤外線による加熱炉は非常に高価で
ある。そこで、上記のように予備加熱硬化を行う部分と
と本加熱硬化を行う部分とを分離し、予備加熱炉を例え
ば遠赤外線式とし、本加熱炉を熱風式とすることによ
り、上記の塵埃やゴミ付着の問題を解消しつつ炉を全体
として安価に構成することができる。
【0144】また、上述のように加熱炉の前部すなわち
上記予備加熱硬化を行う部分においては、塗料は未だ塗
料ダレを生じ得る状態であり得るので被塗物を回転させ
る必要があり、従って予備加熱硬化と本加熱硬化とを1
つの加熱炉で行うようにした場合、該加熱炉は上記の回
転用搬送コンベア16上に配設しなければならず、そうす
ると回転用搬送コンベア16つまり回転塗装ラインが長く
なるという問題が生じる。そこで、上記のように予備加
熱硬化を行う部分と本加熱硬化を行う部分とを分離し、
回転が必要な予備加熱炉のみを回転用搬送コンベア16上
に配設し、回転が不必要な本加熱炉は一般搬送コンベア
14上に配設することにより、回転塗装ラインを短くする
ことができる。
【0145】さらに、予備加熱硬化と本加熱硬化とを1
つの加熱炉で行うようにした場合、上述のように加熱炉
としては熱風式のものが構成も簡単であり熱源コストも
安価であるので好都合であるが、熱風式とする場合には
熱効率の関係から山型炉を使用したい。山型炉は、高く
なった基部に熱が蓄えられ、平型炉に比して炉の両端部
分から熱が逃げにくいからである。しかしながら、加熱
炉のうち上記予備加熱硬化を行う部分では上述のように
回転用台車を使用する必要があり、この回転用台車は一
般台車に比してその全長が長く、従ってもしこの予備加
熱硬化を行う部分を山型炉で構成すると、その山型炉の
うち傾斜部の両端における平坦部との接続部部分をより
なだらかする必要があり(台車の全長が長いとこの接続
部分がなだらかでないと台車がコンベアから外れてしま
う)、そのため炉長が長くなり、結果として回転塗装ラ
インが長くなるが、上記のように予備加熱硬化を行う部
分と本加熱硬化を行う部分とを分離し、回転が必要な予
備加熱炉のみを遠赤外線式の平型炉として回転用搬送コ
ンベア16上に配設し、回転が不必要な本加熱炉は熱風式
の山型炉として一般搬送コンベア14上に配設することに
より、回転塗装ラインを短くすると共に炉全体を安価に
構成することができる。
【0146】また、上記実施例では加温と半加熱硬化と
を1つの予備加熱炉で行っているが、加温を行う加熱炉
と半加熱硬化を行う加熱炉とを分離して別個に配置する
ことも可能である。この場合には、塗料ダレは基本的に
加温工程で生じ、半加熱硬化工程では生じないので、自
動車ボディの回転は、この加温工程を行う加熱炉のみと
することも可能である。
【0147】<プールゾーン>次に、上記プールゾーン
44について説明する。上述の様に、予備加熱硬化ゾーン
42と第2移載手段52との間において第3コンベア28にプ
ールゾーン44が設けられている。このプールゾーン44は
予備加熱硬化が終了した自動車ボディ18を保持した回転
用台車22を所定台数一時的に貯留するためのものであ
る。
【0148】被塗物に対する塗料の塗布は通常複数回に
分けて行なわれ、塗布された塗料の膜厚がダレ限界厚以
上とされるのは通常最終的な塗布ゾーンである。上記塗
料がダレ限界厚以上の厚さに塗布される上塗クリア塗布
においても第1クリア塗布ゾーン38aと第2クリア塗布
ゾーン38bとで2回に分けて塗料の塗布が行なわれ、最
終の第2クリア塗布ゾーン38bにおいて塗料がダレ限界
厚以上の厚さに塗布される。
【0149】この場合において、塗料をダレ限界厚以上
の厚さに塗布する前の工程で不都合が発生して、例えば
塗料塗布ロボットや搬送コンベアが故障して塗装ライン
が停止すると、第2クリア塗布ゾーン38bにおいてダレ
限界厚以上の厚さに塗料が塗布された自動車ボディ18も
その位置で停止することとなり、この停止によってやが
て塗料のダレが生じ、塗装不良という事態が生じる。
【0150】そこで、上記塗装ラインにおいては、上塗
クリア塗布ゾーン38のうち塗料をダレ限界厚未満の厚さ
に塗布する第1クリア塗布ゾーン38aとその後に塗料を
ダレ限界厚以上の厚さに塗布する第2クリア塗布ゾーン
38bとの間で搬送コンベアを分離し、第1クリア塗布ゾ
ーン38a側の第1コンベア24と第2クリア塗布ゾーン38
b側の第2コンベア26とを別個独立に駆動制御可能に構
成されている。かかる構成により、第1クリア塗布ゾー
ン38aあるいはそれより上流側において何等かの故障が
発生して第1コンベア24が停止しても、第2コンベア26
はそのまま作動させて第2クリア塗布ゾーン38bでダレ
限界厚以上の厚さに塗料が塗布された自動車ボディ18を
第2クリア塗布ゾーン38bから引き出し、自動車ボディ
18を回転させるセッティングゾーン40に搬入し、該ゾー
ン40で自動車ボディ18を回転させて塗料ダレを防止する
ことができる。
【0151】しかしながら、上記の如きコンベア構成を
採用しても、第2クリア塗布ゾーン38bより下流側の工
程、例えば上記塗装ラインの場合第2移載手段52、本加
熱硬化ゾーン48あるいはその後の検査、組立工程で不都
合が発生し、そこから下流側に自動車ボディ18を搬送し
得なくなった場合、第2クリア塗布ゾーン38bよりも下
流側の搬送コンベア上に回転用台車等の搬送台車が詰ま
っていると、該第2クリア塗布ゾーン38bから回転用台
車22を引き出して自動車ボディ18を回転領域(セッティ
ングゾーン40または予備加熱硬化ゾーン42)に搬入し回
転させることが不可能となり、塗装不良が生じる。
【0152】上記プールゾーン44は、上記の如き不都合
を解消するためのものであり、かかるプールゾーン44の
存在により、該プールゾーン44よりも下流側の工程で、
例えば第2移載手段52、本加熱硬化ゾーン48、第2一般
搬送コンベア14あるいは検査、組立工程等で不都合が生
じても、該プールゾーン44に回転用台車22を一時的に貯
留することにより、第2クリア塗布ゾーン38bにおいて
ダレ限界厚以上の厚さに塗料が塗布された自動車ボディ
8を該第2クリア塗布ゾーン38bから確実に引き出して
自動車ボディ18を回転領域に搬入して回転させる、さら
には単に回転させてダレ防止を図るだけでなく予備加熱
硬化も行ってゴミ等の付着の問題解消をも図ることが可
能である。
【0153】上記プールゾーン44は、本実施例では第3
コンベア28に別個の貯留用コンベア44aを位置α,βで
接続し、この貯留用コンベア44a上に回転用台車22を一
時的に貯留可能とすることにより構成されているが、そ
の他にも次の様な態様でプールゾーン44を構成すること
ができる。
【0154】例えば、図示の様に第1クリア塗布ゾーン
38aと第2クリア塗布ゾーン38bとの間で搬送コンベア
を分離し、コンベアの搬送能力(単位時間当りに搬送可
能な台車の数)を、第1クリア塗布ゾーン38a側の第1
コンベア24よりも第2クリア塗布ゾーン38b側の第2お
よび第3コンベア26,28の方を大とし、この搬送能力の
差を利用して第2もしくは第3コンベア26,28そのもの
によって構成することができる。即ち、第1コンベア24
よりも第2、第3コンベア26、28の搬送能力を大きくす
れば、第2、第3コンベア26、28上においては各回転用
台車22の間に所定長の間隔が生じ、必要に応じてこの各
回転用台車22を近接させてそれぞれの間隔を狭めれば、
上記所定長の間隔を寄せ集めただけのスペースが第2、
第3コンベア26、28上に生じ,この第2、第3コンベア
26、28上のスペースをプールゾーン44として利用するこ
とができる。
【0155】あるいは、図示の様に、上記第2クリア塗
布ゾーン38b側のコンベアを予備加熱硬化ゾーン42終了
地点より下流側の所定地点(本実施例では予備加熱硬化
ゾーン42終了地点)cにおいて別個独立に制御可能な2
つのコンベアつまり第2コンベア26と第3コンベア28と
に分離し、第2コンベア26よりも第3コンベア28の搬送
能力を大とし、この搬送能力の差を利用して第3コンベ
ア28そのものによってプールゾーン44を構成することも
できる。
【0156】上記プールゾーン44における貯留可能台車
数は、上記第2クリア塗布ゾーン38bでダレ限界厚以上
に塗料が塗布された自動車ボディ18を該ゾーン38bから
全て引き出し可能とすべく、少なくとも該第2クリア塗
布ゾーン38b中に位置する台車の数とすることが必要で
ある。
【0157】上記プールゾーン44における貯留可能台車
数は、第2クリア塗布ゾーン38b中に位置する台車の数
のみでなくさらにセッティングゾーン40中に位置する台
車の数を加えた数であることが望ましい。そうすれば、
少なくとも第2クリア塗布ゾーン38b中の回転用台車22
とセッティングゾーン40中の回転用台車22との全てを予
備加熱硬化ゾーン42中に搬入もしくは通過させることが
でき、セッティングゾーン40において自動車ボディ18を
長時間回転させている間に塗膜にゴミ等が付着するとい
う問題を回避することができる。
【0158】さらに、プールゾーン44における貯留可能
台車数は、第2クリア塗布ゾーン38bおよびセッティン
グゾーン40中に位置する台車の数にさらに予備加熱硬化
ゾーン42中に位置する台車の数を加えた数以上であるこ
とが望ましい。そうすれば、少なくとも第2クリア塗布
ゾーン38bおよびセッティングゾーン40中の回転用台車
22と予備加熱硬化ゾーン42中の回転用台車22との全てを
予備加熱硬化ゾーン42を通過させて該台車22上の自動車
ボディの塗膜の予備加熱硬化を終了させることができ、
自動車ボディ18の塗膜にゴミ等が付着するという問題を
確実に回避することができる。
【0159】<塗膜硬化に至るまでの塗料状態の制御>
次に、上記クリア塗装においてクリア塗料が塗布された
後該塗料が硬化するまでの間における該クリア塗料の状
態制御について説明する。
【0160】前述の様に、クリア塗装においては、塗料
として揮発性溶剤を有すると共に加熱により硬化する熱
硬化型塗料であるクリア塗料が用いられ、該クリア塗料
が、第2クリア塗布ゾーン38bで、セッティングゾーン
40におけるセッティング工程においておよび予備加熱硬
化ゾーン42における予備加熱硬化工程において、自動車
ボディ18の上下方向に延びる面では通常では重力による
塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに塗布され、
かつそのセッティング工程および予備加熱硬化工程では
塗料ダレが生じないように自動車ボディ18が回転せしめ
られる。
【0161】この場合において、クリア塗料は、前述の
様に、下地凹凸の影響を回避すべく、所定時点において
塗料が流動性を有しかつ該塗料中の揮発性溶剤の占有率
が30重量%以下になるように、好ましくは10重量%以下
になるように制御される。
【0162】上記所定時点はクリア塗料をダレ限界厚以
上の厚さに塗布した後該塗料が硬化し始めまでの間のい
ずれの時点でも良く、従って例えばセッティング工程中
のいずれかの時点もしくはセッティング工程終了時点に
おいて塗料が流動性を有しかつ該塗料中の揮発性溶剤の
占有率が30重量%以下好ましくは10重量%以下になるよ
うにしても良いし、予備加熱硬化工程中において塗料が
流動性を有しかつ該塗料中の揮発性溶剤の占有率が30重
量%以下好ましくは10重量%以下になるようにしても良
い。
【0163】上記塗料状態の制御は、塗料の種類、溶剤
の種類や量、塗料の塗布厚さ、セッティング条件や予備
加熱硬化条件等を適宜調整することにより行なわれる。
【0164】この塗料状態の制御の具体例を挙げると次
の通りである。
【0165】(1) セッティング工程中のいずれかの時点
もしくはセッティング工程終了時点における塗料状態の
制御 (a) 流動性は十分にあるが溶剤量が大きい場合 この場合は流動性を確保しながら溶剤量を下げる調整を
行なう。具体例は次の通りである。
【0166】i) 溶剤の一部を蒸発の速いもの(沸点が
低いもの)に変更する。
【0167】ii) 塗料の固形分の占有率を増やす。
【0168】iii) セッティング時間を延ばす。
【0169】iv) セッティング温度を上げる(但し、セ
ッティング温度は40℃を超えない範囲とする)。
【0170】(b) 溶剤量は少ないが流動性が得られない
場合 この場合は溶剤量を増やして流動性を付与する調整を行
なう。具体例は次の通りである。
【0171】i) 溶剤の一部を蒸発の遅いもの(沸点が
高いもの)に変更する。
【0172】ii) 塗料の固形分の占有率を減らす。
【0173】iii) セッティング時間を縮める。
【0174】また、溶剤量をそのままにして流動性を付
与する調整を行なっても良い。具体例は次の通りであ
る。
【0175】iv) 塗膜の膜厚を大きくする。
【0176】(2) 加熱硬化工程中のいずれかの時点にお
ける塗料状態の制御(温度保持加温を行なわず、塗料温
度を略直線的に上昇させる場合) (a) 流動性は十分にあるが、溶剤量が大きい場合 この場合は、流動性を確保しながら溶剤量を下げる調整
を行なう。具体例は次の通りである。
【0177】i) 温度保持加温を行う前(セッティング
工程を有する場合はセッティング工程終了時)の塗料固
形分の占有率を増大させる。この場合の調整方法として
は、上記(1) (a) i),ii) ,iii),iv) を用いることが
できる。
【0178】ii) 昇温速度を遅くする。
【0179】(b) 溶剤量は少ないが流動性が得られない
場合 この場合は、溶剤量を増やして流動性を付与する調整を
行なう。具体例は次の通りである。
【0180】i) 温度保持加温を行う前(セッティング
工程を有する場合はセッティング工程終了時)の塗料固
形分の占有率を減少させる。この場合の調整方法として
は、上記(1) (b) i),ii) ,iii)を用いることができ
る。
【0181】ii) 昇温速度を速くする。
【0182】また、溶剤量をそのままにして流動性を付
与する調整を行なっても良い。具体例は次の通りであ
る。
【0183】iii) 塗膜の膜厚を大きくする。
【0184】iv) 反応開始温度の高い塗料に変更する。
【0185】(3) 加熱硬化工程中のいずれかの時点にお
ける塗料状態の制御(セッティング工程を有しかつ温度
保持加温を行なう場合) (a) 流動性は十分にあるが、溶剤量が大きい場合 この場合は流動性を確保しながら溶剤量を下げる調整を
行なう。具体例は次の通りである。
【0186】i) セッティング工程終了時の塗料固形分
の占有率を増大させる。この場合の調整方法としては、
上記(1) (a) i),ii) ,iii),iv) を用いることができ
る。
【0187】ii) 温度保持加温の温度を上げる。
【0188】iii) 温度保持加温の時間を延長する。
【0189】(b) 溶剤量は少ないが流動性が得られない
場合 この場合は、溶剤量を増やして流動性を付与する調整を
行なう。具体例は次の通りである。
【0190】i) セッティング工程終了時の塗料固形分
の占有率を減少させる。この場合の調整方法としては、
上記(1) (b) i),ii) ,iii)を用いることができる。
【0191】ii) 温度保持加温の温度を下げる。
【0192】iii) 温度保持加温の時間を短くする。
【0193】また、溶剤量をそのままにして流動性を付
与する調整を行なっても良い。具体例は次の通りであ
る。
【0194】iv) 塗膜の膜厚を大きくする。
【0195】(4) 加熱硬化工程中のいずれかの時点にお
ける塗料状態の制御(セッティング工程なしで温度保持
加温を行なう場合) (a) 流動性は十分にあるが、溶剤量が大きい場合 この場合は流動性を確保しながら溶剤量を下げる調整を
行なう。具体例は次の通りである。
【0196】i) 溶剤の一部を蒸発の速いもの(沸点が
低いもの)に変更する。
【0197】ii) 塗料の固形分の占有率を増やす。
【0198】iii) 温度保持加温の温度を上げる。
【0199】iv) 温度保持加温の時間を延長する。
【0200】(b) 溶剤量は少ないが流動性が得られない
場合 この場合は溶剤量を増やして流動性を付与する調整を行
なう。具体例は次の通りである。
【0201】i) 溶剤の一部を蒸発の遅いもの(沸点が
高いもの)に変更する。
【0202】ii) 塗料の固形分の占有率を減らす。
【0203】iii) 温度保持加温の温度を下げる。
【0204】iv) 温度保持加温の時間を短くする。
【0205】また、溶剤量をそのままにして流動性を付
与する調整を行なっても良い。具体例は次の通りであ
る。
【0206】v) 塗膜の膜厚を大きくする。
【0207】(セッティング工程中における塗料状態の
制御)まず、セッティング工程中における塗料状態の制
御について、より詳細に説明する。本発明者らは、セッ
ティング工程中における塗料状態を種々変化させて該塗
料状態と塗膜表面の平滑性との関係を調べる試験を行な
った。以下、この試験について説明する。
【0208】(I) 試験条件 (1) 試験片 (a) 試験板 横300 ×縦100 ×厚さ0.7 mm(各試験片間の表面凹凸の
程度を均一にするため、表面をレーザ凹凸処理した鋼板
を用いた。) (b) 下地処理 i) 電着塗装:膜厚20μ、175 ℃×30分加熱硬化 ii) 中塗塗装:膜厚35μ、熱硬化オイルフリーポリエス
テル塗料、140 ℃×25分加熱硬化 中塗塗装後、ポリエステルテープを貼り付けた塗面のP
GD値が0.6のものを選別し、仕上りレベルを均一とし
た。PGD値は、写像鮮鋭度を表わす値の1つであり、
視力表と同様に大きさを大から小に徐々に変化させた複
数の数字を記載したチャートを塗膜表面に映し、これを
撮像装置で撮像して読み取り、読み取った数字のうちど
の大きさの数字までが判別できるかによって定められる
値である。PGD値0.6 は以下に述べる同じく写像鮮鋭
度を表わす値の1つであるNSIC値の50〜60程度に相
当し、PGD値の1.0 以上はNSIC値の約85以上に相
当する。なお、PGD値は反射を利用して測定するもの
であるが、中塗塗膜表面は光沢がないので、中塗塗膜表
面にポリエステルテープを貼り付け、そこに反射させて
測定した。
【0209】(2) 上塗塗装 (a) ベース塗布 i) 膜厚 20μ ii) 塗料 熱硬化アクリル−メラミン塗料、NV(塗料
中の固形分)20重量%、粘度13秒/#4FC・20℃ iii) 塗布条件 ・塗布機 静電エア−霧化塗布機 ・エアー圧 3.0 kg/cm2 ・吐出量 350 cc/min ・電圧 −90kV ・距離 300 mm iv) 塗布方法 ・2回塗り(1回目と2回目との間の放置時間5分) ・被塗物を上下方向に固定し、コンベアで搬送(搬送速
度4.0m/分)しながら被塗物に対して直角方向にレシプ
ロ塗布(レシプロストローク1000mm、レシプロ速度70 m
/分)する。
【0210】・1回目と2回目との膜厚配分 1:1 (b) クリア塗布 i) 膜厚 ・標準膜厚 60μ ・比較膜厚 40μ ii) 塗料 ・標準塗料 熱硬化アクリル−メラミン塗料、NV40重量%、粘度22
秒/#4FC・20℃ ・比較塗料1 上記標準塗料において溶剤を蒸発速度の大きいものに変
更、NV41.8重量%、粘度25秒/#4FC・20℃ ・比較塗料2 上記標準塗料において溶剤を蒸発速度の小さいものに変
更、NV38.9重量%、粘度18秒/#4FC・20℃ 上記各塗料の組成およびダレ特性は下記表1および表2
に示す通りである。なお、表1中の溶剤の各成分に付記
した温度はそれぞれの成分の沸点である。また、表2中
のダレ限界厚は塗料温度を20℃に保った場合のダレ限界
厚である。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】表2中のセッティング時のダレ量は、前述
の図3に示す様に下半分にテープを貼った被塗面に塗料
を塗布した後被塗面を上下方向にセットしてテープ剥
ぎ、その状態で雰囲気温度20℃×60分のセッティングを
行ない、該セッティング終了時に測定したダレ量であ
り、上記加熱時のダレ量は、同じく下半分にテープを貼
った被塗面に塗料を塗布した後被塗面を回転させながら
雰囲気温度20℃×8分のセッティングを行ない、その後
被塗面を上下方向にセットしてテープを剥ぎ、その状態
で加熱炉に投入して炉内雰囲気温度を15℃/分×8分で
昇温させて140 ℃まで上昇させ、140 ℃に到達した後炉
内雰囲気温度を140 ℃に維持した状態の下で20分間放置
して加熱を続け、その加熱が終了した時点で測定したダ
レ量である。
【0214】iii) インターバル ベース塗布終了からクリア塗布開始までの放置時間8分 iv) 塗布条件 ・塗布機 静電回転霧化塗布機 ・シェーピングエアー 1.5 kg/cm2 ・吐出量 200 〜300 cc/分 ・電圧 −90kV ・距離 300 mm v) 塗布方法 ・2回塗り(1回目と2回目との間の放置時間2分) ・被塗物を上下方向に固定し、コンベアで搬送(搬送速
度4.0m/分)しながら被塗物に対して直角方向にレシプ
ロ塗布(レシプロストローク500 mm、レシプロ速度18 m
/分)する。
【0215】・1回目と2回目との膜厚配分 2:3
(吐出量で調整) (c) 吹付室の条件 温度20±1℃、湿度75±5%RH、風速0.3 〜0.4m/s (d) 回転条件 自動車ボディの塗装条件を考慮して、クリア塗料の吹付
けが終了した後その吹付け位置で2分間放置し、その後
試験片を回転装置に対して該装置の回転軸心から80cm離
れた位置にセットし、回転数10rpm で回転させた。な
お、上記2分間の放置では塗料ダレは生じない。
【0216】(e) セッティング条件および加熱硬化条件
は以下の試験および試験結果に記載の通り。
【0217】(II) 試験 (1) 試験1 前述の試験片に前述の下地処理および上塗塗布(クリア
塗布は標準塗料を使用し、膜厚は標準膜厚60μ)を行な
い、それを前述の回転条件で回転させながら下記の条件
でセッティングおよび加熱硬化を行ない、セッティング
終了時の塗料の状態と硬化後の塗膜表面の平滑性とを下
記の方法で測定した。
【0218】(a) セッティング 下記の2種類のセッティング温度(セッティング雰囲気
温度)の下でセッティング時間を下記の通り異ならせ、
上記回転条件で回転させながらセッティングを行なっ
た。
【0219】i) セッティング温度 20±1℃,30±1℃(湿度75±5%RH、風速0.3 〜0.
4m/秒) ii) セッティング時間 4,6,8,10,15,30,60分 (b) 加熱硬化 上記回転条件で回転させながら上記の各セッティング条
件でセッティングを行なった試験片を、セッティング終
了後直ちに同じく上記回転条件で回転させながら炉内雰
囲気温度を140 ℃に維持した加熱炉に投入し、投入して
から10分後に回転を停止し、その後その140 ℃に維持し
た加熱炉内にさらに15分間放置して加熱を続けた。
【0220】(c) 塗料状態の測定 i) NV量の測定 上記クリア塗料の吹付け後(セッティング開始前)およ
び加熱炉投入直前(セッティング終了時点)のそれぞれ
の時点におけるクリア塗料のNV量(クリア塗料に含ま
れる固形分の比率)を重量法で下式により測定した。
【0221】
【数1】
【0222】ii) 流動性(ダレ量)の測定 上記クリア塗料の加熱炉投入直前(セッティング終了時
点)における流動性(ダレ量)を次の方法で測定した。
即ち、前述の試験片(ただし、寸法は400 ×400 mm)に
前述の下地処理を行ない、その後図3に示す様に試験片
の下半分にテープを貼り付け、このテープを貼り付けた
側の全表面に前述と同様のベース塗布およびクリア塗布
を行ない、これを前述の回転条件で回転させながら前述
の各セッティング条件でセッティングし、セッティング
終了後上記テープを剥いでテープが貼られていた側を下
にして上下方向にセットし、それぞれのセッティング温
度下で60分放置した際のダレ量(ダレ長さ)を測定し
た。
【0223】(d) 塗膜表面の平滑性の測定 上記加熱硬化を行なった後の塗膜表面の平滑性を次の方
法で測定した。即ち、スガ試験器(株)製の写像鮮映測
定装置(NSIC)を用いて塗膜表面の写像鮮映度(平
滑度)を測定した。この測定は、被測定面と光源との間
に直線スリットが形成されたスリット板を配置し、光源
からの光をスリット板のスリットを通して被測定面に照
射し、その被測定面を撮像装置で撮像し、撮像された画
像中のスリット線像の直線性および明度差(スリット線
像とその隣りの背景像との明度差)とに基づいて写像鮮
映度(NSIC値)を演算するものであり、被測定面が
黒鏡の場合を100 とし、それとの相対値で表わされる。
【0224】(2) 試験2 上記試験1において、膜厚は変更せず塗料を上記標準塗
料から比較塗料1に変更し、その他は上記試験1と全く
同様の方法で試験を行なった。ただし、セッティングは
20±1℃で4分,6分,8分のみとした。
【0225】(3) 試験3 上記試験1において、塗料は変更せず膜厚を上記標準膜
厚60μから比較膜厚40μに変更し、その他は上記試験1
と全く同様の方法で試験を行なった。ただし、セッティ
ングは20±1℃で4分,6分,8分,10分,15分,30
分,60分のみとした。
【0226】(4) 試験4 上記試験1において、膜厚は変更せず塗料を上記標準塗
料から比較塗料2に変更し、その他は上記試験1と全く
同様の方法で試験を行なった。ただし、セッティングは
20±1℃で4分,6分,8分,10分,15分,30分,60分
のみとした。
【0227】(5) 参考試験 上記試験1,2に対しては参考試験を行なった。この参
考試験は下地が極めて平滑な試験片に対して同様のクリ
ア塗布、セッティングおよび加熱硬化を行なった場合の
塗膜表面の平滑度を調べたものであり、上記下地が極め
て平滑な試験片としては、ミガキ板に中塗塗布(膜厚40
〜50μ)を行ない、中塗塗布を加熱硬化させた後その表
面を水研(#1000)して平滑化したものを用いた。
【0228】(III) 試験結果 上記試験1〜4および参考試験の結果を下記表3,表4
に示す。なお、上記試験1〜4において、試験片は上述
の様に小さいのでその熱容量も小さく、従って塗料の温
度は多少の時間遅れはあるものの雰囲気温度と同一にな
るとみなされる。この点については以下の試験において
も同様である。
【0229】
【表3】
【0230】
【表4】
【0231】上記試験1〜4は、セッティング条件、ク
リア塗料の種類(特に含有されている溶剤の種類および
量)およびクリア塗膜の厚さ(クリア塗料の塗布量)を
種々異ならせることによりセッティング終了時点もしく
はそれ以前のセッティング中の所定時点(以下これらを
まとめてセッティング時点と称す)における塗料の流動
性とNV量とを種々異ならせ、かつセッティング終了後
試験片を直ちに炉内雰囲気温度が140 ℃に維持された加
熱炉に直投して直ちに塗料を硬化させ、それによって加
熱炉内で生じる流動性による塗膜表面の平滑性への影響
を排除し、もってセッティング時の塗料の状態と最終的
な塗膜表面の平滑性との関係を調べたものである。
【0232】これらの試験結果から、セッティング時点
において塗料が流動性を有しかつNV量が70重量%以上
つまり溶剤量が30重量%以下であれば、NSIC値は80
以上となり、下地凹凸の影響を受けない極めて良好な塗
膜表面の平滑性が得られることが認められる。なお、従
来の一般的な塗装方法により塗装した場合にはその塗膜
表面の平滑性はNSIC値で70台が上限であり、80台の
NSIC値を得ることは極めて困難であった。従って、
上記NSIC値が80以上ということは従来の塗装方法と
は明確に区別し得る極めて優れた平滑性が得られている
ことを意味する。
【0233】次に、上記試験1〜4の結果について、よ
り具体的に説明する。
【0234】まず、試験1の結果から、炉前即ちセッテ
ィング終了時点において塗料が流動性を有する(ダレ量
が1mm以上)場合にはNV量が大きくなる程塗膜表面の
平滑性は良くなることが認められる。このことは、試験
1ではセッティング終了後直ちに140 ℃の加熱炉に直投
して塗料を硬化させるのでセッティング終了時のNV量
は流動性を消失する直前のNV量であるとみなすことが
でき、従って塗料が流動性を消失する直前のNV量が大
きい程塗膜表面の平滑性は良くなる、つまり流動性消失
時点のNV量が大きい程塗膜表面の平滑性は良くなるこ
とを意味する。
【0235】また、この試験1の結果から、流動性を消
失する直前のNV量が70重量%より小であるとNSIC
値も80より小であるが、NV量が70重量%以上になると
NSIC値が80以上になることが認められる。
【0236】さらに、20℃および30℃のいずれの場合も
30分,60分のときはセッティング終了時点で既に流動性
を消失しており、そのときのNSIC値はそれぞれの温
度において15分の場合と同じ値となっている。しかし
て、30分,60分の場合はセッティングの途中で流動性を
消失し、その消失直前のNV量は15分のセッティング終
了時点のNV量と略同じ(15分の場合のダレ量は20℃の
とき2mm、30℃のとき1mmであり、これはほぼ流動性を
消失する直前であることを意味する)であるはずであ
る。従って、上記30分,60分の場合のNSIC値は15分
の場合のNSIC値と同じであるということから、セッ
ティング終了時点であるとセッティング中であるとに拘
らず、結局流動性を消失する直前のNV量が塗膜表面の
平滑性を支配することが理解され、かつ試験1の結果全
体から結局流動性を消失する時点のNV量が大きければ
平滑性は向上し、かつそのNV量が70重量%以上であれ
ばNSIC値は80以上になることが認められる。
【0237】また、試験2の結果からも、上記試験1の
場合と同様に、塗料の流動性を消失する直前のNV量が
大きい程塗膜表面の平滑性は向上し、かつ数値的にはN
V量が70重量%以上であればNSIC値は80以上になる
ことが認められる。また、この試験2は、塗料の溶剤を
蒸発速度の大きいものに変更し、同じセッティング条件
の下において試験1の場合よりもセッティング終了時点
のNV量を増大させたものであり(20℃×4分,6分,
8分の場合、炉前のNV量が試験1では63,68,72重量
%であるのに対し、試験2では70,74,78重量%と増大
している)、この試験2の結果から塗料を変更してNV
量を増大させればそれに応じてNSIC値も増大するこ
とが認められる。
【0238】また、試験3は上述の様に膜厚を40μに減
らして流動性を小さくしたものであり、この試験3の結
果からセッティング終了時点においてNV量が70重量%
以上であっても流動性を有していない場合にはNSIC
値は非常に小さく、80以上にはならないことが認められ
る。
【0239】また、試験4の結果からも、上記試験1の
場合と同様に、塗料が流動性を消失する直前のNV量が
大きい程塗膜表面の平滑性は向上し、かつ数値的にはN
V量が70重量%以上であればNSIC値が80以上になる
ことが認められる。また、この試験4は上述の様に塗料
の溶剤を蒸発速度の小さいものに変更し、同じセッティ
ング条件の下において試験1の場合よりもセッティング
終了時点のNV量を減少させたものであり、(例えば20
℃×4分,6分,8分の場合、炉前のNV量が試験1で
は63,68,72重量%であるのに対し試験4では55,57,
60重量%と減少している)、この試験4の結果から塗料
を変更してNV量を小さくすればそれに応じてNSIC
値も減少することが認められる。
【0240】さらに、上記試験1,2に対しては上記参
考試験を行なっており、試験1,2の結果と参考試験の
結果とを比較すると、同じセッティング条件同志でのN
SIC値の差はNV量が大きくなる程小さくなってい
る。例えば試験1のセッティング温度20℃の場合を例に
挙げると下記の通りである。
【0241】 セッティング NV量 NSIC値の差 20℃×4分 63 93−69=24 6分 68 96−74=22 8分 72 97−82=15 10分 75 97−84=13 15分 80 97−85=12 この様にNSIC値の差がNV量の増大に伴なって小さ
くなるということは、結局NV量が増大する程下地の凹
凸の影響を受けにくくなっているということを意味し、
従って上記NV量の増大に伴なう平滑性の増大はNV量
の増大に伴なう下地の凹凸の影響回避度合の増大に起因
するものであることが認められる。
【0242】(加熱硬化工程中における塗料状態の制
御)次に、加熱硬化工程中における塗料状態の制御につ
いて、より詳細に説明する。本発明者らは、加熱硬化工
程中における塗料状態を種々変化させて該塗料状態と塗
膜表面の平滑性との関係を調べる試験を行なった。以
下、この試験について説明する。
【0243】(I) 試験条件 試験条件、即ち試験片および上塗塗装については、前述
のセッティング工程中における塗料状態の制御の場合の
試験と同一である。ただし、クリア塗布において膜厚は
標準膜厚60μ、塗料は標準塗料のみを用いた。
【0244】(II) 試験 (1) 試験5 前述の試験片に前述の下地処理、ベース塗布およびクリ
ア塗布(上述の様に、クリア塗布は標準塗料を使用し、
膜厚は標準膜厚60μ)を行ない、それを前述の回転条件
で回転させながら下記の条件でセッティングおよび加熱
硬化を行ない、加熱硬化中の塗料の状態と硬化後の塗膜
表面の平滑性とを下記の方法で測定した。なお、平滑性
の測定方法は前述の通りである。
【0245】(a) セッティング 下記のセッティング温度の下でセッティング時間を下記
の通り異ならせ、前述の回転条件で回転させながらセッ
ティングを行なった。
【0246】i) セッテイング温度 20±1℃(湿度75±5%RH、風速0.3 〜0.4m/ 秒) ii) セッティング時間 4,6,8,10,15,30,60分 (b) 加熱硬化 前述の回転条件で回転させながら上記の各セッティング
条件でセッティングを行なった試験片を、セッティング
終了後直ちに同じく前述の回転条件で回転させながら加
熱炉に投入し、該加熱炉において炉内雰囲気温度を15℃
/分で8分間20℃から140 ℃まで昇温させ、140 ℃に到
達した後炉内雰囲気温度を140 ℃に維持した状態の下で
10分後に回転を停止し、その140 ℃に維持した状態の下
でさらに15分間放置して加熱を続けた。この場合の塗料
の温度変化状態を図15に示す。
【0247】(c) 塗料状態の測定 i) NV量の測定 上記クリア塗料の吹付け後(セッティング開始前)、加
熱炉投入直前(セッティング終了時点)および加熱炉内
での昇温開始3分後(炉内雰囲気温度65℃)のそれぞれ
の時点におけるクリア塗料のNV量を前述の場合と同様
の重量法で測定した。
【0248】ii) 流動性(ダレ量)の測定 下半分にテープを貼り付け、その上にベース塗布および
クリア塗布を行なった前述の流動性測定の場合と同様の
試験片を用意し、この試験片を前述の回転条件で回転さ
せながら上記セッティングおよび加熱硬化と同じ条件で
セッティングおよび加熱硬化を行ない、加熱炉に投入し
昇温開始3分後に回転を停止して炉から取り出し、上記
テープを剥いでテープが貼られていた側を下にして上下
方向にセットし、上記昇温開始3分後の炉内雰囲気温度
65℃で60分間放置した際のダレ量(ダレ長さ)を測定し
た。
【0249】なお、昇温開始3分後の時点におけるNV
量とダレ量とを測定した理由は、その昇温開始3分後の
65℃という温度が炉内において塗料がその流動性を消失
する直前の炉内雰囲気温度であると判断したからであ
る。
【0250】即ち、上述の様に塗膜表面の平滑性は塗料
が流動性を失う直前のNV量によって支配されると考え
られ、従って炉内において塗料が流動性を失う直前のN
V量と塗膜表面のNSIC値との関係を調べる必要があ
る。そこで本発明者らは炉内において塗料が流動性を消
失する温度を調べるため、加熱炉に投入する直前のNV
量を80重量%にした試料を炉に投入し、20℃から10℃/
分、15℃/分、20℃/分の3つの昇温条件で昇温させ、
それぞれの昇温条件の下での各時間経過後におけるダレ
量を測定した。その結果は下記表5の通りである。
【0251】
【表5】
【0252】上記試験結果から、流動性を消失するのは
大体炉内雰囲気温度が70〜80℃の時点であると認めら
れ、従って流動性を消失する直前の炉内雰囲気温度即ち
流動性を保持する限界炉内雰囲気温度は約65℃であると
判断した。そして、この試験結果に基づき、炉内雰囲気
温度が65℃になる昇温開始3分後の時点における流動性
とNV量とを測定した。
【0253】(2) 参考試験 上記試験5に対しては、前述の参考試験と全く同様の方
法で参考試験を行なった。なお、この試験5に対する参
考試験は、セッティングが20℃×4分,8分,30分,60
分の場合についてのみ行なった。
【0254】(III) 試験結果 上記試験5および参考試験の結果を下記表6に示す。
【0255】
【表6】
【0256】上記試験5は、セッティング条件を異なら
せることにより炉内で塗料が流動性を消失する直前のN
V量を異ならせ、この流動性を消失する直前のNV量と
最終的な塗膜表面の平滑性との関係を調べたものであ
る。この試験5の結果から、加熱炉内において塗料が流
動性を消失する直前のNV量が増大すれば塗膜表面の平
滑性も増大し、かつ数値的にはNV量が90重量%以上で
あればNSIC値も90以上になることが認められる。
【0257】なお、この試験5においては炉内において
流動性を消失する直前のNV量は最低で81重量%であ
り、その場合のNSIC値は86である。従って、流動性
を消失する直前のNV量がいくらであればNSIC値が
80以上になるかは、この試験5からは明らかでない。し
かしながら、この試験5および上記試験1〜4の結果か
ら明らかな様に、NSIC値は塗料が流動性を消失する
直前のNV量、つまり塗料が流動性を消失した後の溶剤
の蒸発による収縮量によって支配されることが認めら
れ、そうであれば塗料が流動性を消失するのがどの時点
つまりセッティング時であるか炉内であるかは特に問題
にならないと推察される。従って、この炉内で流動性を
消失する場合においても、セッティング時に流動性を消
失する場合と同様に流動性を消失する直前のNV量が70
重量%以上であればNSIC値は80以上になると推察さ
れ、かつこのことは試験5中の流動性を消失する直前の
NV量とNSIC値との関係からも十分是認し得るもの
である。
【0258】また、同様の理由により、本試験5で流動
性を消失する直前のNV量が90重量%以上のときはNS
IC値も90以上になることから、前述の試験1〜4にお
いてもNV量が90重量%以上であればNSIC値も90以
上になるものと推察され、かつこのことは試験1〜4中
の流動性を消失する直前のNV量とNSIC値との関係
からも十分是認し得るものである。
【0259】なお、この試験5においてもそのNSIC
値と参考試験のNSIC値とを比較すれば、試験1,2
の場合と同様にNV量が大きくなればなる程下地の凹凸
の影響回避度合が大きくなり、塗膜表面の平滑性が増大
することが認められる。
【0260】(温度保持加温を行なう加熱硬化工程中に
おける塗料状態の制御)次に、加熱硬化工程中における
塗料状態の制御であって、特に加熱硬化工程においてそ
の初期に温度保持加温を行なう場合の塗料状態の制御に
ついて、より詳細に説明する。
【0261】上述の様に、加熱硬化工程中において塗料
が流動性を消失する直前のNV量が大きければ大きい程
NSIC値は良くなる。そこで、本発明者らは、加熱硬
化工程において塗料の温度をその反応開始温度よりも低
く常温よりも高い所定温度で所定時間保持する温度保持
加温を行なえば、塗料を反応が開始せず従って流動性を
消失しない状態に維持しつつ速やかにかつより多くの溶
剤を蒸発させることができ、従って流動性を消失する直
前のNV量を速やかにかつより大きくすることができ、
より高いNSIC値を得ることが可能になると考えた。
【0262】そこで、本発明者らは、加熱硬化工程の初
期に温度保持加温を行ない、そうした場合の温度保持加
温終了時の塗料の状態と塗膜表面の平滑性との関係を調
べる試験を行なった。以下、この試験について説明す
る。
【0263】(I) 試験条件 試験条件、即ち試験片および上塗塗布については、前述
のセッティング工程中における塗料状態の制御の場合の
試験と同一である。ただし、クリア塗布において膜厚は
標準膜厚60μ、塗料は標準塗料のみを用いた。
【0264】(II) 試験 (1) 試験6 前述の試験片に前述の下地処理、ベース塗布およびクリ
ア塗布(上述の様に、クリア塗布は標準塗料を使用し、
膜厚は標準膜厚60μ)を行ない、それを前述の回転条件
で回転させながら下記の条件でセッティングおよび温度
保持加温を有する加熱硬化を行ない、温度保持加温終了
時の塗料の状態と硬化後の塗膜表面の平滑性とを下記の
方法で測定した。なお、平滑性の測定方法は前述の通り
である。
【0265】(a) セッティング 下記のセッティング温度の下でセッティング時間を下記
の通り異ならせ、前述の回転条件で回転させながらセッ
ティングを行なった。
【0266】i) セッティング温度 20±1℃(湿度75±5%RH、風速0.3 〜0.4m/ 秒) ii) セッティング時間 6,10,30分 (b) 加熱硬化 前記の回転条件で回転させながら上記の各セッティング
条件でセッティングを行なった試験片を、セッティング
終了後直ちに同じく前述の回転条件で回転させながら上
記温度保持加温を行なうべく炉内雰囲気温度を所定温度
に維持された第1加熱炉に直投して該炉内に所定時間保
持し、その後直ちに前述の回転条件で回転させながら炉
内雰囲気温度を140 ℃に維持された第2加熱炉に投入
し、10分間炉内に保持した後回転を停止し、その後さら
にその140 ℃に維持された炉内に15分間放置して加熱し
た。
【0267】上記温度保持加温としては、クリア塗料の
反応開始温度が大体70〜80℃であることに鑑み、50℃×
2分,5分および65℃×2分,5分の4種類を行なっ
た。温度保持加温50℃×5分の場合の塗料の温度変化状
態を図16示す。
【0268】(c) 塗料状態の測定 i) NV量の測定 上記クリア塗料の吹付け後(セッティング開始前)、第
1加熱炉投入直前(セッティング終了時点)および第1
加熱炉での温度保持加温終了時のそれぞれの時点におけ
るクリア塗料のNV量を前述の場合と同様の重量法で測
定した。
【0269】ii) 流動性(ダレ量)の測定 下半分にテープを貼り付け、その上にベース塗布および
クリア塗布を行なった前述の流動性測定の場合と同様の
試験片を用意し、この試験片を前述の回転条件で回転さ
せながら上記セッティングおよび温度保持加温と同じ条
件でセッティングおよび温度保持加温を行ない、温度保
持加温が終了した時点で回転を停止して上記テープを剥
いでテープが貼られていた側を下にして上下方向にセッ
トし、その温度保持加温と同じ温度雰囲気中で60分間放
置してダレ量(ダレ長さ)を測定した。
【0270】(2) 試験7 上記試験6はセッティングを行なった後温度保持加温を
行なった場合の試験であるが、この試験6に対してセッ
ティングを行なわないでクリア塗料の吹付け後直ちに温
度保持加温を行なった場合の温度保持加温終了時の塗料
状態と塗膜表面の平滑性との関係を調べた。
【0271】この試験7は、試験6に対し、セッティン
グを省略し、従ってセッティング終了時のNV量測定は
なく、かつ温度保持加温が50℃×2分,5分,10分およ
び65℃×2分,5分,10分の6種類を行なった点以外
は、全て試験6と同一である。温度保持加温50℃×10分
の場合の塗料の温度変化状態を図17に示す。
【0272】(3) 参考試験 上記試験6,7に対しては、前述の参考試験と全く同様
の方法で参考試験を行なった。なお、この試験6に対す
る参考試験はセッティングが20℃×6分および30分の場
合についてのみ、試験7に対する参考試験は温度保持加
温が50℃×2分,10分および65℃×2分,10分の場合に
ついてのみ行なった。 (III) 試験結果 上記試験6,7および参考試験の結果を下記表7に示
す。なお、この試験6,7においては試験片を温度保持
加温の直後に140 ℃に維持された第2加熱炉に投入する
ので、試験1の場合と同様に温度保持加温終了時のNV
量(表7中では炉内のNV量として記載されている)は
塗料が流動性を消失する直前のNV量とみなすことがで
きる。
【0273】
【表7】
【0274】上記試験6の結果から、加熱硬化において
炉内雰囲気温度を試験5の様に直線的に上昇させる場合
よりも、この試験6の様に常温より高く塗料の反応開始
温度よりも低い所定温度で所定時間加温する温度保持加
温を行なえば、塗料が流動性を消失する直前のNV量を
増大させることができ、それによってNSIC値をより
一層増大させることができることが認められる。
【0275】即ち、上記試験5と試験6との結果を比較
して見ると、下記の表8に示す様に、セッティングが20
℃×6分,10分および30分のいずれの場合においても、
試験5の場合に比して、50℃×2分の温度保持加温の場
合は特に差はないが、50℃×5分、65℃×2分および5
分の温度保持加温を行なった場合はいずれも、流動性消
失直前のNV量が増大し、それに伴なってNSIC値も
増大していることが認められ、かつ数値的には、NV量
が90重量%以上であればNSIC値も90以上を確保でき
ることが認められる。
【0276】
【表8】
【0277】また、セッティングを行なわずに加熱硬化
を行なう場合は、炉に入る前のNV量が小さく、従って
炉内での流動性消失直前のNV量は小さくなりNSIC
値も大きな値を期待することは困難であると考えられる
が、この様なセッティングを行なわない場合であっても
加熱硬化の初期に温度保持加温を行なえば、上記試験7
の結果に示される様に、流動性消失直前のNV量を70重
量%以上とすることができ(温度保持加温が50℃×2分
の場合を除く)、これに伴ないNSIC値も80以上を確
保することができることが認められる。
【0278】なお、この試験6,7においてもそのNS
IC値と参考試験のNSIC値とを比較すれば、試験
1,2の場合と同様にNV量が大きくなればなる程下地
の凹凸の影響回避度合が大きくなり、塗膜表面の平滑性
が増大することが認められる。 <試験結果のまとめ>上述の様に、塗料をダレ限界厚以
上の厚さに塗布し、かつ塗料のダレが生じない様に被塗
物を回転させる回転塗装においては、その回転中におい
て塗料が流動性を消失する直前の塗料中のNV量が大き
ければ大きい程、つまり溶剤の占有率が小さければ小さ
い程最終的な塗膜表面のNSIC値は増大し、より優れ
た平滑性が得られる。上記塗料が流動性を消失する時点
は、セッティング中もしくはセッティング終了時あるい
は加熱硬化中のいずれでも良い。
【0279】また、塗料が流動性を消失する直前のNV
量が70重量%以上つまり溶剤の占有率が30重量%以下で
あれば下地凹凸の影響を回避してNSIC値は80以上と
なり、従来の塗装方法では得られなかった優れた塗膜表
面の平滑性を常に確保することができ、NV量が90重量
%以上、つまり溶剤の占有率が10重量%以下であればN
SIC値は90以上となり、さらに下地凹凸の影響を回避
して優れた塗膜表面の平滑性を常に確保することができ
る。
【0280】換言すれば、セッティング中もしくはセッ
ティング終了時あるいは加熱中のいずれかの時点におい
て、塗料が流動性を有しかつ溶剤の占有率が30重量%以
下であればNSIC値が常に80以上となり優れた塗膜表
面の平滑性が得られ、溶剤の占有率が10重量%以下であ
ればNSIC値が常に90以上となりさらに優れた塗膜表
面の平滑性が得られる。
【0281】また、加熱硬化工程中において塗料を常温
より高くかつ塗料の反応硬化開始温度より低い所定温度
に所定時間維持する温度保持加温を行なえば、塗料が流
動性を消失する直前の溶剤の占有率をより小さくするこ
とができ、それによってより優れた塗膜表面の平滑性を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗装の概略を示すフローチャート
【図2】塗料のダレ防止のための回転を説明する図
【図3】ダレ量の測定を説明する図
【図4】下地の影響出現を説明する図
【図5】本発明に係る塗装方法の一実施例を実施する装
置を示す概略平面図
【図6】図5に示す装置の要部を示す概略正面図
【図7】図5に示す装置の空台車ストレージ部分を示す
概略正面図
【図8】回転用台車の一例を示す正面図
【図9】図8の回転用台車の右側面図
【図10】予備加熱炉を示す正面図
【図11】図10の予備加熱炉の右側面図
【図12】本加熱炉を示す正面図
【図13】図12の本加熱炉の右側面図
【図14】温度保持加温を有する予備加熱硬化工程での
塗料の温度変化状態を示す図
【図15】試験5における塗料の温度変化状態を示す図
【図16】試験6における塗料の温度変化状態を示す図
【図17】試験7における塗料の温度変化状態を示す図
【符号の説明】
18 被塗物 38 クリア塗布ゾーン 40 セッティングゾーン 42 予備加熱硬化ゾーン 42a 加温ゾーン 44 プールゾーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 3/02 Z 6804−4D E 6804−4D 3/06 102 Z 6804−4D 7/14 L 7/24 301 R 6804−4D T 6804−4D

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤を含有する塗料を被塗物に塗布する
    塗布工程と、該塗布工程の後に上記塗料から上記溶剤を
    蒸発させるセッティング工程と、該セッティング工程の
    後に上記塗料を硬化させる硬化工程とを備えて成り、上
    記塗布工程では、上記セッティング工程において上記被
    塗物の上下方向に延びる面で通常では塗料ダレが生じる
    であろう厚さ以上の厚さに上記塗料を塗布し、該塗料の
    塗布後、上記塗料ダレが生じないように上記被塗物を略
    水平方向軸周りに回転させる塗装方法において、 上記セッティング工程中のいずれかの時点もしくは上記
    セッティング工程終了時点において上記塗料が流動性を
    有しかつ該塗料における上記溶剤の占有率が30重量%以
    下になるようにしたことを特徴とする塗装方法。
  2. 【請求項2】 上記セッティング工程中のいずれかの時
    点もしくは上記セッティング工程終了時点において上記
    塗料が流動性を有しかつ該塗料における上記溶剤の占有
    率が10重量%以下になるようにしたことを特徴とする請
    求項1記載の塗装方法。
  3. 【請求項3】 上記セッティング工程が、上記溶剤を常
    温で蒸発させるものであることを特徴とする請求項1も
    しくは2記載の塗装方法。
  4. 【請求項4】 上記塗料が溶剤を含有すると共に加熱に
    より硬化する熱硬化型塗料であり、上記硬化工程が塗料
    を加熱して硬化させる加熱硬化工程であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の塗装方法。
  5. 【請求項5】 上記塗料が溶剤を含有すると共に紫外線
    照射により硬化する紫外線硬化型塗料であり、上記硬化
    工程が塗料に紫外線を照射して硬化させる紫外線硬化工
    程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の塗装方法。
  6. 【請求項6】 上記塗布工程では、上記セッティング工
    程および上記加熱硬化工程において上記被塗物の上下方
    向に延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ
    以上の厚さに上記塗料を塗布し、上記セッティング工程
    および上記加熱硬化工程では、上記塗料ダレが生じない
    ように上記被塗物を略水平方向軸周りに回転させること
    を特徴とする請求項4記載の塗装方法。
  7. 【請求項7】 上記塗布工程における塗料の塗布が最上
    層の塗膜を形成するものであることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の塗装方法。
  8. 【請求項8】 上記被塗物が自動車のボディであること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の塗装方
    法。
  9. 【請求項9】 溶剤を含有すると共に加熱により硬化す
    る熱硬化型塗料を被塗物に塗布する塗布工程と、該塗布
    工程の後に上記塗料を加熱して硬化させる加熱硬化工程
    とを備えて成り、上記塗布工程では、上記加熱硬化工程
    において上記被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗
    料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに上記塗料を塗
    布し、該塗料の塗布後、上記塗料ダレが生じないように
    上記被塗物を略水平方向軸周りに回転させる塗装方法に
    おいて、 上記加熱硬化工程中のいずれかの時点において上記塗料
    が流動性を有しかつ該塗料における上記溶剤の占有率が
    30重量%以下になるようにしたことを特徴とする塗装方
    法。
  10. 【請求項10】 上記加熱硬化工程中のいずれかの時点
    において上記塗料が流動性を有しかつ該塗料における上
    記溶剤の占有率が10重量%以下になるようにしたことを
    特徴とする請求項9記載の塗装方法。
  11. 【請求項11】 上記塗布工程と上記加熱硬化工程との
    間に上記塗布工程において塗布された上記塗料から上記
    溶剤を蒸発させるセッティング工程を備え、上記塗布工
    程では、上記セッティング工程および上記加熱硬化工程
    において上記被塗物の上下方向に延びる面で通常では塗
    料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚さに上記塗料を塗
    布し、上記セッティング工程および上記加熱硬化工程で
    は、上記塗料ダレが生じないように上記被塗物を略水平
    方向軸周りに回転させることを特徴とする請求項9もし
    くは10記載の塗装方法。
  12. 【請求項12】 上記セッティング工程が、上記溶剤を
    常温で蒸発させるものであることを特徴とする請求項1
    1記載の塗装方法。
  13. 【請求項13】 上記塗布工程における塗料の塗布が最
    上層の塗膜を形成するものであることを特徴とする請求
    項9〜12のいずれかに記載の塗装方法。
  14. 【請求項14】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の塗装
    方法。
  15. 【請求項15】 加熱により硬化する熱硬化型塗料を被
    塗物に塗布する塗布工程と、該塗布工程の後に上記塗料
    を加熱して硬化させる加熱硬化工程とを備えて成り、該
    加熱硬化工程は、上記塗料の温度を該塗料の反応開始温
    度まで上昇させる加温を行う加温工程と該加温工程の後
    において上記塗料の温度を上記反応開始温度以上として
    該塗料を反応硬化させる反応硬化工程とから成り、上記
    塗布工程では、上記加温工程において上記被塗物の上下
    方向に延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚
    さ以上の厚さに上記塗料を塗布し、該塗料の塗布後、上
    記塗料ダレが生じないように上記被塗物を略水平方向軸
    周りに回転させる塗装方法において、 上記加温工程では上記塗料の温度を上記反応開始温度ま
    で上昇させる過程で該反応開始温度より低く常温より高
    い所定温度に所定時間保持する温度保持加温を行うこと
    を特徴とする塗装方法。
  16. 【請求項16】 上記加温工程および上記反応硬化工程
    において上記被塗物の回転を行わせることを特徴とする
    請求項15記載の塗装方法。
  17. 【請求項17】 上記熱硬化型塗料が、溶剤を含有する
    と共に加熱により硬化する熱硬化型塗料であることを特
    徴とする請求項15もしくは16記載の塗装方法。
  18. 【請求項18】 上記加温工程中のいずれかの時点もし
    くは上記加温工程終了時点において上記塗料が流動性を
    有しかつ該塗料における上記溶剤の占有率が30重量%以
    下になるようにしたことを特徴とする請求項17記載の
    塗装方法。
  19. 【請求項19】 上記加温工程中のいずれかの時点もし
    くは上記加温工程終了時点において上記塗料が流動性を
    有しかつ該塗料における上記溶剤の占有率が10重量%以
    下になるようにしたことを特徴とする請求項18記載の
    塗装方法。
  20. 【請求項20】 上記塗布工程と上記加温工程との間に
    上記塗布工程において塗布された上記塗料から上記溶剤
    を蒸発させるセッティング工程を備えていることを特徴
    とする請求項17〜19のいずれかに記載の塗装方法。
  21. 【請求項21】 上記セッティング工程が、上記溶剤を
    常温で蒸発させるものであることを特徴とする請求項2
    0記載の塗装方法。
  22. 【請求項22】 上記塗布工程では、上記セッティング
    工程および上記加温工程において上記被塗物の上下方向
    に延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以
    上の厚さに上記塗料を塗布し、上記セッティング工程お
    よび上記加温工程では、上記塗料ダレが生じないように
    上記被塗物を略水平方向軸周りに回転させることを特徴
    とする請求項20もしくは21記載の塗装方法。
  23. 【請求項23】 上記セッティング工程、上記加温工程
    および上記反応硬化工程において上記被塗物の回転を行
    わせることを特徴とする請求項22記載の塗装方法。
  24. 【請求項24】 上記所定温度が上記所定時間に応じて
    設定されるものであることを特徴とする請求項15〜2
    3のいずれかに記載の塗装方法。
  25. 【請求項25】 上記所定時間が上記所定温度に応じて
    設定されるものであることを特徴とする請求項15〜2
    3のいずれかに記載の塗装方法。
  26. 【請求項26】 上記所定時間が1分以上の所定時間で
    あることを特徴とする請求項15〜25のいずれかに記
    載の塗装方法。
  27. 【請求項27】 上記加温工程は、それぞれ独立して温
    度制御可能な熱源を有する加熱領域を所定方向に複数個
    並設して成る分割加熱炉内に上記被塗物を上記所定方向
    に移動させることによって上記加温を行うものであるこ
    とを特徴とする請求項15〜26のいずれかに記載の塗
    装方法。
  28. 【請求項28】 上記加温工程は、遠赤外線により上記
    加温を行うものであることを特徴とする請求項15〜2
    7のいずれかに記載の塗装方法。
  29. 【請求項29】 上記塗布工程における塗料の塗布が最
    上層の塗膜を形成するものであることことを特徴とする
    請求項15〜28のいずれかに記載の塗装方法。
  30. 【請求項30】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項15〜29のいずれかに記載の塗
    装方法。
  31. 【請求項31】 加熱により硬化する熱硬化型塗料を被
    塗物に塗布する塗布手段と、上記塗料を塗布した後に該
    塗料を加熱して硬化させる加熱硬化手段とを備えて成
    り、該加熱硬化手段は、上記塗料の温度を該塗料の反応
    開始温度まで上昇させる加温を行う加温手段と該加温の
    後において上記塗料の温度を上記反応開始温度以上とし
    て該塗料を反応硬化させる反応硬化手段とから成り、上
    記塗布手段は上記加温手段による加温中に上記被塗物の
    上下方向に延びる面で通常では塗料ダレが生じるであろ
    う厚さ以上の厚さに上記塗料を塗布するものであり、か
    つ該塗料の塗布後上記塗料ダレが生じないように上記被
    塗物を略水平方向軸周りに回転させる回転手段を有する
    塗装装置において、 上記加温手段により上記塗料の温度を上記反応開始温度
    まで上昇させる過程で上記塗料の温度を上記反応開始温
    度より低く常温より高い所定温度に所定時間保持する温
    度保持加温を行うように上記加温手段を制御する加温制
    御手段を備えていることを特徴とする塗装装置。
  32. 【請求項32】 上記回転手段が、上記加温手段による
    加温時および上記反応硬化手段による塗料の反応硬化時
    に上記被塗物を回転させるものであることを特徴とする
    請求項31記載の塗装装置。
  33. 【請求項33】 上記熱硬化型塗料が、溶剤を含有する
    と共に加熱により硬化する熱硬化型塗料であることを特
    徴とする請求項31もしくは32記載の塗装装置。
  34. 【請求項34】 上記加温制御手段は、上記加温手段に
    よる加温中のいずれかの時点もしくは加温終了時点にお
    いて上記塗料が流動性を有しかつ該塗料における上記溶
    剤の占有率が30重量%以下になるように上記加温手段を
    制御するものであることを特徴とする請求項33記載の
    塗装装置。
  35. 【請求項35】 上記加温制御手段は、上記加温手段に
    よる加温中のいずれかの時点もしくは加温終了時点にお
    いて上記塗料が流動性を有しかつ該塗料における上記溶
    剤の占有率が10重量%以下になるように上記加温手段を
    制御するものであることを特徴とする請求項34記載の
    塗装装置。
  36. 【請求項36】 上記塗布手段により塗布された塗料を
    上記加温手段で加温する前に上記塗料から上記溶剤を蒸
    発させるセッティングを行うセッティング手段を備えて
    いることを特徴とする請求項33〜35のいずれかに記
    載の塗装装置。
  37. 【請求項37】 上記セッティング手段が、上記溶剤を
    常温で蒸発させるセッティングを行なうものであること
    を特徴とする請求項36記載の塗装装置。
  38. 【請求項38】 上記塗布手段は、上記セッティング中
    および上記加温中において上記被塗物の上下方向に延び
    る面で通常では塗料ダレが生じるであろう厚さ以上の厚
    さに塗料を塗布するものであり、上記回転手段は、上記
    セッティング手段によるセッティング時および上記加温
    手段による加温時に上記被塗物を回転させるものである
    ことを特徴とする請求項36もしくは37記載の塗装装
    置。
  39. 【請求項39】 上記回転手段が、上記セッティング手
    段によるセッティング時、上記加温手段による加温時お
    よび上記反応硬化手段による塗料の反応硬化時に上記被
    塗物を回転させるものであることを特徴とする請求項3
    8記載の塗装装置。
  40. 【請求項40】 上記所定時間が1分以上の所定時間で
    あることを特徴とする請求項31〜39のいずれかに記
    載の塗装装置。
  41. 【請求項41】 上記加温手段は、内部を上記被塗物が
    移動すると共にそれぞれ独立して温度制御可能な熱源を
    有する加熱領域を上記被塗物の移動方向に複数個並設し
    て成る分割加熱炉により構成されていることを特徴とす
    る請求項31〜40のいずれかに記載の塗装装置。
  42. 【請求項42】 上記加温制御手段は、上記分割加熱炉
    内における上記被塗物の移動速度に応じて上記温度保持
    加温に供する加熱領域の数を変更制御するものであるこ
    とを特徴とする請求項41記載の塗装装置。
  43. 【請求項43】 上記加温制御手段は、上記分割加熱炉
    内における上記被塗物の移動速度に応じて上記所定温度
    を変更制御するものであることを特徴とする請求項41
    記載の塗装装置。
  44. 【請求項44】 上記加温手段は、熱源として遠赤外線
    照射手段を備えて成ることを特徴とする請求項31〜4
    3のいずれかに記載の塗装装置。
  45. 【請求項45】 上記塗布手段による塗料の塗布が最上
    層の塗膜を形成するものであることを特徴とする請求項
    31〜44のいずれかに記載の塗装装置。
  46. 【請求項46】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項31〜45のいずれかに記載の塗
    装装置。
  47. 【請求項47】 上記請求項1記載の塗装方法により塗
    装したことを特徴とする被塗物。
  48. 【請求項48】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項47記載の被塗物。
  49. 【請求項49】 上記請求項9記載の塗装方法により塗
    装したことを特徴とする被塗物。
  50. 【請求項50】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項49記載の被塗物。
  51. 【請求項51】 上記請求項15記載の塗装方法により
    塗装したことを特徴とする被塗物。
  52. 【請求項52】 上記被塗物が自動車のボディであるこ
    とを特徴とする請求項51記載の被塗物。
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