JP2886901B2 - 塗装方法 - Google Patents

塗装方法

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JP2886901B2 JP20518389A JP20518389A JP2886901B2 JP 2886901 B2 JP2886901 B2 JP 2886901B2 JP 20518389 A JP20518389 A JP 20518389A JP 20518389 A JP20518389 A JP 20518389A JP 2886901 B2 JP2886901 B2 JP 2886901B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塗装方法に関するものである。
(従来技術) 被塗物例えば自動車ボディの外表面を塗装する場合、
被塗物に付着しているゴミを除去する準備工程と、被塗
物に塗料を吹付ける工程と、吹付られた塗料を乾燥させ
る乾燥工程とを有する。この乾燥工程は、一般に、セッ
ティング工程と焼付工程との2段階で行なわれ、セッテ
ィング工程は、焼付工程の前において、この焼付工程よ
りも低い温度、例えば常温あるいは仮焼付けとも呼ばれ
るように40℃〜60℃の温度雰囲気で行われる(焼付工程
での焼付温度は通常140℃前後)。
そして、被塗物は、通常、台車等の搬送手段により搬
送されつつ上記準備工程、塗装工程および乾燥工程を経
ることになるが、被塗物の姿勢は、各工程において所定
の姿勢を保持したまま行われている。
ところで、塗装面の品質を評価する1つの基準とし
て、平滑度(平坦度)があり、この平滑度が大きい程塗
装面の凹凸の度合が小さくて、良好な塗装面となる。こ
の塗装面の平滑度を向上させるには、塗膜の厚さ、すな
わち塗布された塗料の膜厚を大きくすればよいことが既
に知られている。
一方、塗装面の品質を阻害するものとして、塗料の
“ダレ”がある。このダレは、重力を受けることによっ
て塗布された塗料が下方に流動することにより生じ、1
回に塗布する塗料の膜厚が大きい程“ダレ”を生じ易く
なる、この“ダレ”の原因は、つまるところ重力の影響
であるため、被塗物のうち上下方向に伸びる面すなわち
いわゆる縦面において生じ易いものとなる。
したがって、塗料の“ダレ”がさ程問題とならない被
塗物の水平方向に伸びる面すなわちいわゆる横面は、塗
布する塗料の厚さを縦面よりも大きくすることが可能で
ある。また、横面に対する塗膜の厚さと縦面に対する塗
膜の厚さをたとえ同じにしても、横面ではダレには至ら
ない程度の塗料の若干の流動によって凹凸が小さくな
り、縦面における平滑度よりも良好な平滑度が得られる
ことになる。
上述のような観点から、従来は、の塗料の“ダレ”を
防止しつつ極力平滑度の大きい塗装面を得るため、極力
流動性の小さい(粘性の小さい)塗料を用いて塗装を行
なうようにしていた。そして、縦面において塗料の“ダ
レ”が生じるいわゆいる“ダレ限界”は、従来汎用され
ている熱硬化型塗料では塗膜の厚さで40μm程度が最大
であった。より具体的には、塗料の“ダレ”は、例えば
熱硬化型塗料ではセッティング工程初期と焼付工程初
期、特に焼付工程初期に生じ易く、この時期に“ダレ”
が生じないように、塗装工程で塗布される塗料の厚さが
決定され、この決定された厚さの最大値すなわちダレ限
界値が40μm程度となる。したがって、絶対的により一
層平滑度の大きい塗装面を得ようとすれば、従来の塗装
方法では、例えば2回塗り等、塗装工程から焼付工程に
至るまでの一連の工程を複数回繰り返して行なう必要が
あった。
(発明が解決しようとする問題点) 前述した吹付けにより塗装を行なう場合に問題となる
ダレ限界というものを克服して、同じ塗膜の厚さであれ
ばより平滑度の優れた塗装面が得られるようにした塗装
方法を本出願人は開発した。すなわち、被塗物にダレ限
界以上の膜厚となるように塗料を吹き付けたのち、少な
くとも、被塗物の塗装面にダレが生じなくなるまで硬化
するまでの間、被塗物が略水平軸線回りに回転させる塗
装方法を開発した。この方法によれば、ダレの根本的な
原因である重力の作用を逆に積極的に活用し、被塗物に
塗布された塗料に対して作用する重力の方向を適宜変更
することにより、塗料の流動性というものを積極的に活
かして、平滑度の大きい塗装面が得られることとなる。
しかしながら、上記塗装方法を実施する場合、従来と
は逆に流動性の大きな塗料をダレ限界以上に塗布するた
め、被塗物の端部に塗料が盛り上ってしまう、という問
題を生じることが判明した。この問題について第28図乃
至第30図を参照しつつ検討を加えてみると、第28図、第
29図に示すように、流動性の大きな塗料は、塗装表面に
作用する表面張力(図中、矢印でその作用方向を示す)
によって流動し、塗装表面の凹凸を平滑化する。しかし
ながら一旦塗装表面を平滑化した後にあっては、第30図
に示すように、表面張力が被塗物Wの端部Tに向けて一
方向(図示、矢印E方向)に作用するため、被塗物Wの
端部Tに向けて塗料が集中し、塗料の盛り上り現象100
が生じる(以下、エッジ溜りという)。
このエッジ溜りは塗料の流動性が大きい程、また塗料
の膜厚が大きい程大きなものとなり、外観の見栄えを損
なう結果となる。つまり、塗料の流動性を積極的に活用
して、せっかく平滑度の大きな塗装面が得られたにもか
かわらず、一部において大きな隆起が存在することは外
観に及ぼす影響が大きなものとなる。
そこで、本発明の目的は、前記したダレ限界以上の塗
料の吹付けと被塗物の略水平軸線回りの回転とを利用し
た塗装方法において、部分的に生じる塗装面の隆起を抑
えるようにした塗装方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用) 前述の目的を達成するため、本発明にあっては次のよ
うな構成としてある。すなわち、 被塗物に塗料をダレ限界上の厚さに吹付塗装する塗装
工程と、 上記ダレ限界以上の厚さとされた塗膜を乾燥させる乾
燥工程と、を備え、 上記乾燥工程では、ダレ限界以上の厚さとされた塗膜
がダレを生じなくなるまで硬化するまでの間被塗物が略
水平軸線回りに回転され、 前記塗装工程の前に、前記被塗物にあらかじめ塗装が
施されてすなわち塗膜が形成されており、 前記塗装工程の前に行われる塗装が、前記被塗物のエ
ッジ部に相当する部分の塗膜厚さが他の部分の塗膜厚さ
よりも薄くなるように行なわれる、 ような構成としてある。
このように、エッジ溜りが生じ易い部分は、ダレ限界
以上の厚さに塗膜が吹付けられる前にあらあじめ他の部
分よりも低くされているので、ダレ限界以上の厚さとさ
れた塗膜が乾燥された後に得られる塗装面は、エッジ部
において大きく盛り上がってしまうことがない。
ダレ限界以上の厚さに塗料を吹付ける前の状態で被塗
物の被塗面のうちエッジ部に相当する部分をあらかじめ
低くしておくには、塗装を行なう途中段階で、ダレ限界
以上の厚さに塗料を吹付ける前の状態で被塗物の被塗面
のうちエッジ部に相当する部分を他の部分よりもあらか
じめ薄い塗膜となるようにしてもよい。すなわち、この
場合は、ダレ限界以上の厚さに塗料が吹付けられる前の
状態では、被塗物にあらかじめ塗膜が形成されているこ
になるが、このあらかじめ形成されている塗膜のうち被
塗物のエッジ部の塗膜厚さを他の部分の塗膜厚さよりも
薄くなるようにすればよい。
また、ダレ限界以上の厚さに塗料を吹付ける場合は、
1回の吹付によってダレ限界以上の厚さとしてもよい
が、2回あるいは3回以上の複数回に分けて吹付けを行
なって最終的にダレ限界以上の厚さとしてもよい(多重
ステージ吹き)。この複数回の吹付によって最終的にダ
レ限界以上の厚さとする場合は、塗膜の厚さがダレ限界
以上の厚さとなる前の段階での吹付塗装によって形成さ
れる塗膜の厚さを、エッジ部においては他の部分よりも
薄くなるようにするのが好ましい。
上記塗料の吹付けは、特にエッジ溜りが発生し易い静
電塗装による吹付けであってもよい。
また塗料のダレは、塗料を吹付けた状態で放置したと
きに目視によって確認し得る程度の塗料の移動をいい
(塗料が硬化したときに筋上となって表れる)、一般に
は2mm程度の塗料の移動が確認されたときにダレが生じ
たものとされる。したがって、ダレ限界以上の厚さに塗
料を吹付けるということは、そのまま放置しておけば少
なくとも2mm程度の塗料の移動が生じるような厚さとす
ることとなり、用いる塗料の流動性が大きいほどダレ限
界の厚さは小さくなる。更に、被塗物の略水平軸回りの
回転は、重力の作用によって塗料に大きな移動が生じな
いようにすればよいので、塗料がダレを生じないような
大きな流動状態を有しなくなるまでの間、すなわち、塗
料が硬化するまでの間、所定の一方向へ連続して行なう
ようにしてもよく、また正逆回転を連続して、あるいは
断続して行なうこともできる。被塗物の回転角度範囲と
しては、ダレ限界以上の厚さに塗料が吹付けられた任意
の部分に対して重力の作用する方向が反転するようにす
ればよく、270度あれば十分である。そして被塗物の回
転軸線は、真の水平軸に対して30度程度の範囲で傾いて
いてもよく、この回転軸線を揺動させることもできる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明
する。
全体の概要 第1図は、被塗物としての自動車用ボディWを塗装す
る場合の全体工程を示してあり、各工程をP1〜P4で示し
てある。
先ず、電着塗装によって既知のように下塗りが完了さ
れたボディWが、台車Dに保持されつつ準備工程P1に送
り込まれる。この準備工程P1では、ボディW内外のゴミ
が例えばエアブローあるいは真空吸引によって除去され
る。この後、工程P2において、ボディWに対して塗料が
吹き付けられる。そして、塗料の乾燥がセッティング工
程P3および焼付工程P4においてなされる。
工程P1〜P4が中途用である場合は、工程P4の後はボデ
ィWが上塗り用の工程へと送られる。また、工程P1〜P4
が上塗り用である場合は、ボディWが、既知のように組
立ラインへと搬送される。
ゴミの除去 工程P1でのゴミ除去は、第2図に示すように、ボディ
Wを水平軸線lの回りに回転させつつ行われる。すなわ
ち、例えば先ず第2図(a)で示す状態でボディWの回
転を停止させてゴミの除去が行われた後、第2図(b)
の状態へとボディWの姿勢を変換してこの位置で停止さ
せ、再びゴミ除去がなされる。このようにして、第2図
の(c)、(d)・・・(i)というように、ボディW
を間欠回転させつつ、ゴミの除去が行われる。
このように、ボディWを回転させつつゴミの除去を行
うことにより、例えばボディWのルーフパネル内面角部
やサイドシル等の閉断面内に付着しているゴミ、すなわ
ち、ボディWを回転させなければ落下してこないような
ゴミをも完全に除去することが可能になる。
塗料の吹き付け、乾燥 先ず、P2での塗料の吹付けは、実施例では、乾燥工程
P3あるいはP4の少なくとも一方でダレを生じかつ塗装完
了をした塗装面は少なくとも2分間はダレを生じないよ
うな塗料を用いて行なわれる。このような現象を生じる
塗料は、その膜厚の大きさや粘度さらにはたれ防止剤の
含有割合等によって変化し、一律に定まるものではな
い。この2分間という数値は、1つのボディWに対する
塗装開始からその全体に渡って塗装が完了するまで(セ
ッティング工程P3への移行を含む)が2分弱ということ
に対応したものである。より具体的には、1つのボディ
Wに対して全体的に塗装が完了するまでは、最も早く塗
装が完了する部分でダレを生じないようにして、塗装工
程P2でのだれ発生を確実に防止するためのものとされ
る。
塗膜の厚さは、乾燥工程P3あるいはP4でダレを生じて
もよい関係上、従来限界とされていた厚さよりも厚くす
ることもできる。勿論、従来と同じ厚さあるいはそれよ
りも薄い厚さとすることは任意である。
塗料の塗布を吹付けにより行うのは、塗膜の厚さを所
望通りのものに管理するのが可能であるからであり、こ
の吹付けの概念としては、静電塗装(静電霧化塗装)を
含むものである。これに対して、dippingによって塗料
の塗布を行うものであっては、dipping槽から被塗物を
引き上げた段階で、前述した目視による1〜2mmを越え
るはるかに大きな塗料の移動を生じてしまう。そして、
ダレ限界以上の塗装を行い、一度ダレが生じた後回転を
行った場合は、その後の回転によっても、一度ダレが生
じた部分の塗面は、他のダレが生じない塗面のような平
滑性を得ることはできない。
P2の後、ボディWに付着した塗料がダレを生じない状
態でP3のセッティング工程へ移行される。このセッティ
ング工程P3では第2図(a)〜(i)で示すように、ボ
ディWが水平方向にに回転される。すなわち、ボディW
が水平方向に伸びる回転軸心lを中心として回転され、
実施例では、この回転軸線lが、ボディWの前後方向に
伸びるものとされている。
ボディWの回転速度としては、吹付けられた塗料の膜
厚、粘度により変化するが、基本的には、次のような下
限値と上限値との間の範囲の回転速度に設定される。す
なわち、回転速度の下限値は、塗装表面の塗料が重力に
よって移動してダレを生じる前に塗面を少なくとも垂直
状態から水平状態とし得るような回転速度のうちの最小
値である。また、上限値は、回転によって発生する遠心
力によってダレが生じないような回転速度のうちの最大
値であるが、回転先端位置において380cm/秒以下の回転
速度とするのがよい。なお、ボディWを略水平軸線回り
に回転させる場合、その回転軸は、水平軸線に対して30
゜程度傾いていてもよいが、好ましくはこの傾きを10゜
以内にするのがよい。
ボディWを略水平軸線回りに回転させる期間として
は、少ないとも乾燥工程において、塗面にダレを生じる
前からダレが生じなくなるまで硬化するまでの間であれ
ばよい。勿論、設備等の関係から、乾燥工程全体に渡っ
て被塗物を回転させてもよい。
また、この回転は、一方向への連続回転、正転と逆的
とを交互に行う正逆回転、さらには途中に回転停止期間
を介する間欠回転のいずれであってもよい。
なお、このセッティング工程P3での温度雰囲気は、実
施例では常温としてあるが、40゜〜60℃等次の焼付工程
P4での温度雰囲気よりも低い温度の範囲で適宜の温度に
設定し得る。勿論、このセッティング工程P3は、あらか
じめ塗料中の低沸点分を揮発させるためであり、これに
より、次の焼付工程P4で低沸点分が急激に揮発されるこ
とによる塗装面でのピンホール発生が防止される。
焼付工程P4においては、例えば、140℃の温度雰囲気
で、塗料の焼付けが行なわれる。このP4でも、P3のセッ
ティング工程と同様に、第2図(a)〜(i)に示すよ
うにボディWが水平方向に回転される。
上述したP3、P4でのボディWの水平方向の回転によ
り、ダレが生じることなく塗料が乾燥される。これによ
り、従来の塗装方法では得られなかった平滑度の極めて
高い高品質の塗装面が得られる。
塗膜厚さとダレ限界と平滑度と水平回転との関係 第3図は、塗膜厚さがダレ限界に与える影響について
示すものである。この第3図では、塗膜厚さとして、40
μm、53μm、65μmの3通りの場合を示してある。こ
のいずれの厚さの場合も、セッティング工程初期と焼付
工程初期との両方の時期に、“ダレ”のピークが生じる
ことが理解される。また、ダレ限界は、乾燥工程中に1
〜2mmのダレを生じるときの値をいうが(具体的には、
塗料がその付着した位置より乾燥工程において1〜2mm
移動することにより、乾燥後の塗装表面にてその塗料の
移動の痕跡が認められる塗膜厚の限界をいう)、このダ
レ限界以下の範囲で得られる最大の塗膜厚さは、従来の
塗料で35〜40μm程度である。
一方、第4図は、ボディWを水平方向に回転させると
きとそうでないときとの、平滑度に与える影響を示して
ある。その第4図中Aは、ボディWを回転させない状態
を示してある(従来の塗装方法)。第4図Bは、ボディ
Wを90゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第
2図(a)と(c)との間で正逆回転)。第4図Cは、
ボディWを135゜回転させた後逆転させる場合を示して
ある(第2図(a)と(d)との間で正逆回転)。第4
図Dは、ボディWを180゜回転させた後逆転させる場合
を示してある(第2図(a)と(e)との間で正逆回
転)。第4図Eは、ボディWを連続して同一方向に回転
させる場合を示してある(第2図(a)、(b)、
(c)・・・(i)の順の姿勢をとり、再び(a)へと
戻る)。
この第4図から明らかなように、同じ塗膜の厚さであ
れば、ボディWを回転させた方が(第4図B、C、D、
E)、回転させない場合(第4図A)よりも、平滑度の
大きものが得られる。また、同じ回転でも、360゜同一
方向に回転させるのが平滑度を高める上では好ましいこ
とが理解される。勿論、ボディWの回転無しの場合は、
塗膜の厚さに限界をきたすため、平滑度を大きくするに
は限度がある。
ちなみに、塗膜の厚さを65μmとしてボディWを360
゜回転させる場合には、得られる平滑度は、写像鮮映度
I.Gで「87」(PGD値で1.0の下限値)である。また、塗
膜の厚さを40μmとした場合には、ボディWの回転無し
の場合はI.Gで「58」(PGD値で0.7の下限値)であるの
に対し、ボディWを360゜回転させた場合はI.Gで「68」
(PGD値で0.8の下限値)である。
なお、既知のように、写像鮮映度におけるIG(イメー
ジグロス)は、鏡面(黒ガラス)を100とし、それに対
する鮮映度の比率を示すものであり、PGDは反射映像の
識別度を1.0から低下するに従って塗装面の平滑度が低
下する値である。
第3図、第4図に示したデータの試験条件は、次の通
りであるが、この試験条件は、P2で上塗りを行なう場合
と同様の条件を示してある。
a.塗料:メラミンアルキッド(ブラック) 粘度:フォードカップ#4で22秒/20℃ b.塗膜機:ミニベル(16,000rpm) シェーピングエア・・2.0kg/cm2 c.吐出量:2回に分けての吹付けで、 第1回目・・・100cc/min 第2回目・・・150〜200cc/min d.セッティング時間:10分×常温 e.焼付条件 :140℃×25分 f.下地平滑度:0.6(PGD値) (中塗、PEテープ上) g.回転または反転作動域: セッティング(10分)〜焼付け(10分) h.被塗物:一辺30cmの角筒体の側面に塗装、中心で回転
可能に支持 i.被塗物の回転速度:6rpm、30rpm、60rpmの3通りで行
なったが、回転速度の相違による差異は事実上生じなか
った ここで、第3図に示す塗料では、特に65μm塗布のも
のでは、セッティング開始時つまり塗装完了時点より1
分以内にダレが生じるようになっており、塗装完了後す
ぐ回転する場合は問題ないが、塗装してすぐ回転を与え
られう設備を有していない場合は、塗装工程からセッテ
ィング工程へ移行する間(約1分間)でダレを生じてし
まうおそれあがある。
エッジ溜りに対する考察 エッジ溜り100は、実験の結果使用する塗料と塗装の
膜厚とに密接に関係し、これらが一定ならばエッジ溜り
100の厚さHと幅Xとがほぼ一定であることが判明した
(第30図参照)。
すなわち、自動車用中塗り塗料及び上塗り塗料を用い
て行なった試験結果を示せば下記の表1のとおりであ
る。
以上の試験結果から、ボディWに段部を形成してエッ
ジ溜り100を外観上目立たなくするには、エッジ溜り100
が発生する部位に深さ0、5mm以下、幅5mm以下の段差を
設ければよいこととなる。
段部形成と塗装面の見栄え(比較例)。
第16図に示すボンネットW′のウインドウォッシャノ
ズル取付穴101とオーナメント取付穴102とに、段部を形
成してその硬化を試験した。すなわち、第17図に示すよ
うに、ウインドウォッシャノズル取付穴101の開口端周
縁部に凹所となる段部101a(深さ0 5mm、幅4mm)を設
け、また第18図に示すように、オーナメント取付穴102
の開口端周縁部に凹所となる段部102a(深さ0 4mm、幅5
mm)を設けて実際にダレ限界以上の塗装と行なった。
塗装実験の条件は以下のとおりである。
(1)下地塗装 カチオン電着 20μm 175℃×30分焼付け (2)中塗 40μm 140℃×25分焼付け (熱硬化オイルフリーポリエステル塗料;グレー) 中塗水研 #800耐水ペーパー (3)上塗り塗料 熱硬化メラミンアルキッド塗料(ブラック) 吹付粘度 22秒/フォードカップ#4、20℃ (4)上塗り塗装条件 塗装機 ミニベル(ベル径60mm) 回転数 22.000rpm、電圧−90KV シェーピングエヤー圧 3.0kg/cm2 ガン距離 30cm 吹付け位置 ボンネットを水平にセット ステージ数 2ステージ(インターバル3分) ブース環境 温度20℃ 風速0.2m/秒 焼付条件 セッティング10分後 140℃×25分(昇温速度8分/20℃→140℃) 膜厚水準(μm) 40 50 60 70 80(乾燥時の膜厚) 実験結果は、下記の表2、表3に示すとおりである。
尚、表2、表3において、従来構造とは、ウインドウォ
ッシャノズル取付穴101等の開口端周縁部に段部を設け
ないものをいう。
上記表2、表3から明らかなように、段部101a,102a
を設けた段付構造によれば、目視上エッジ溜りによる塗
料の盛り上りを目立たなくすることができた。上述した
比較例では、エッジ部での塗料の盛り上がりが防止でき
るものの、被塗物そのものにあらかじめ別途盛り上がり
防止用の凹部(段部)を形成しておかなければならない
ので、この点において好ましくないものとなる。
本発明の実施例(第19図〜第27図) 以下に説明する実施例は、エッジ溜りを防止するの
に、塗膜形成の観点から行うようにしたものである。す
なわち、最終的にダレ限界以上の塗膜厚とする前の塗膜
形成の段階において、エッジ部分における塗膜厚を他の
部分の膜厚よりも薄く形成するようにしてある。
エッジ部分の膜厚を薄く形成するには、例えば次の第
1〜第4のような手法によって行えばよい。
先ず、第1の手法としては、塗装ガンによってボディ
Wの表面に塗料を吹付ける場合に、当該塗装ガンを、エ
ッジ部Tの付近にこさせないようにする。これにより、
第19図に示すように、ボディWの表面に塗膜105が形成
される一方、エッジ部Tにおける塗膜105の厚さは、他
の部分の膜厚よりも薄くされる。
この第19図のような塗膜105上に、ダレ限界以上の厚
さに塗膜106を施した場合(第20図参照)、第21図のよ
うに、この塗膜106のうち乾燥後に得られるエッジ部T
の塗膜100の厚さは他の部分とほぼ同じ厚さとなり、エ
ッジ溜りが生じない(生じても見栄えの点で問題となら
ない程度となる)。
第2の手法としては、第22図に示すように、被塗物と
してのボディWのエッジ部Tより、当該ボディWの縦面
に沿うようにして、横面よりも高くマスキング111を配
設し、かつエッジ部Tを上方から覆うようにマスキング
111の上端部を折曲してある。この状態で、塗装ガン112
を第22図左右方向に変位させつつ、ボディWの表面に塗
膜110を形成する。このとき、塗装ガン112がエッジ部T
付近に位置されても、当該塗装ガン112から吹付けられ
る塗料はマスキング111にさえぎられて、エッジ部Tに
おける塗膜110の膜厚が、他の部分の膜厚よりも薄くさ
れる(塗膜110が第19図の塗膜105と同じように形成され
る)。なお、マスキング111は、これに付着した塗料が
ボディW(のエッジ部T)へたれ落ちないように、塗料
を吸着し得る材質のもので形成しておくとよい。
第3の手法としては、第23A図に示すように、エッジ
部Tの表面を、薄いマスキング202で完全に覆い、この
後塗装ガンによって塗膜201を形成する。この塗膜201の
形成後に、マスキング202を除去すれば、エッジ部Tに
おける塗膜厚さが零となったものが得られる。このよう
にして得られた塗膜201上に、ダレ限界以上の厚さとさ
れた塗膜203を形成した場合を、第23B図に示す(エッジ
溜り防止)。
第4の手法としては、第24A図に示すように、塗膜211
のうちエッジ部Tにおける塗膜100の厚さを、他の部分
と同じあるいは厚く形成する(従来と同じ手法)。この
塗膜211が硬化した後、第24B図に示すように、エッジ部
Tの塗膜100をサンドペーパ212で削ることにより、当該
エッジ部Tにおける塗膜100′(削られた後の塗膜100)
の厚さを他の部分よりも薄くする。このようにした場合
は、サンドペーパ212で塗膜100を削る作業を要する反
面、塗膜211を形成するに際してエッジ部Tの膜厚とい
うものを考慮しなくてすむという利点がある。このこと
は、塗膜211をダレ限界以上の厚さとする場合に有利で
ある。勿論、第24B図における塗膜211は、第19図の塗膜
105と同じ状態とされる。なお、サンドペーパ212に代え
て、砥石、コンパウンド等で研磨してもよい。
次に、ダレ限界以上の厚さに塗料を吹付ける場合は、
1回の吹付けで、あるいは2回以上の複数回の吹付け
で、最終的に所望のダレ限界以上の厚さとなるようにす
ればよい。
例えば2回に分けて所望のダレ限界以上の厚さに塗料
を吹付ける場合、1回目の吹付けによる塗膜厚さをダレ
限界以内の厚さとし、2回目の吹付けによる塗膜厚さを
ダレ限界以上の厚さとすることができる。この場合の例
を第25図に示してある。この第25図において、硬化して
いる中塗り塗膜221の上に、上塗り塗料をダレ限界以内
の厚さに吹付けて、第1上塗塗膜222を形成する。そし
て、この第1上塗塗膜222が硬化する前(ウエット状態
にある間)に、上塗り塗料をダレ限界以上の厚さに吹付
けて、第2上塗塗膜223を形成する。
また、別の手法として、2回に分けて所望のダレ限界
以上の厚さとするのに、1回目の吹付けおよび2回目の
吹付け共に、それぞれダレ限界以内の厚さとしてもよ
い。この場合の例を第26図に示してある。この第26図に
おいて、硬化している中塗り塗膜221上に、上塗り塗料
をダレ限界以内の厚さに吹付けて第1上塗塗膜222を形
成する。そして、この第1上塗塗膜222が硬化する前
(ウエット状態の間)に、上塗り塗料をダレ限界以内の
厚さに吹付けて、第2上塗塗膜223を形成する。勿論、
第26図において、両上塗塗膜222と223との合計の膜厚
が、ダレ限界以上の膜厚とされる。
上記第25図、第26図の場合共に、第1上塗塗膜222の
厚さのうち、ボディWのエッジ部Tにおける厚さを他の
部分の厚さよりも薄くして、エッジ溜りを防止するよう
にしてある。なお、第25図、第26図に示す場合におい
て、中塗塗膜221の厚さのうち、エッジ部Tにおける厚
さを他の部分の厚さよりも薄くするようにしてもよく、
この場合は、第1上塗塗膜222の厚さを全体的に均一な
ものとしてもよい。
以上の説明から理解されるように、エッジ部Tにおけ
る塗膜厚さを他の部分の塗膜厚さよりも薄くする手法
と、最終的に所望のダレ限界以上の厚さに塗料を吹付け
る手法と、エッジ部Tにおいて薄くされる塗膜層をどの
塗膜層にするかの選択とは、適宜組合せられるものであ
る。
次に、試験例によって、本発明をさらに具体的に説明
する。
この試験例は、第27図に示すように、下塗りが完了さ
れたボディWの表面(下塗塗膜層は図示略)に、中塗塗
膜層ICを形成し、この中塗塗膜層の表面に上塗塗膜層OC
を形成したものとなっている。そして、各部の寸法a〜
dとH(エッジ溜り幅)とを測定すると共に、最終的に
得られた塗装面の見栄え、特にエッジ部Tにおける見栄
えの良否を判定するものである。なお、cとdとの各寸
法は、塗料の盛り上がりの頂点位置におけるものであ
る。
上記試験例に用いる塗料として、熱硬化型塗料(溶剤
含有型塗料)と、2液反応型塗料と、粉体塗料との3種
類としてある。また、中塗塗膜層ICと上塗塗膜層OCとの
形成方法は、次の〜の5通りの態様で行った。
中塗塗膜層ICはダレ限界以内の厚さで吹付けられて、
エッジ部Tの塗膜厚さが他の部分よりも薄くされる。ま
た、上塗塗膜層OCは、1回の吹付けでダレ限界以上の厚
さとされる。すなわち、このでは、第19図〜第21図に
対応したものとなる。
中塗塗膜層ICはダレ限界以内の厚さで吹付けられて、
エッジ部Tの塗膜厚さが零とされる。また、上塗塗膜層
OCは、1回の吹付けでダレ限界以上の厚さとされる。す
なわち、このでは、第23A図、第23B図。
中塗塗膜層ICはダレ限界以上の厚さで吹付けられて、
その硬化後に、エッジ部Tの中塗塗膜が削られる。ま
た、上塗塗膜層OCは、1回の吹付けでダレ限界以上の厚
さとされる。このは、第24A図、第24B図、第20図、第
21図に対応している。
中塗塗膜層ICはダレ限界以内の厚さとされ、エッジ部
Tの膜厚を他の部分よりも積極的に薄くするということ
を行わない(通常の手法通りの塗装)。また、上塗塗膜
層OCは、2回の吹付けによって形成される。1回目の上
塗り塗料の吹付けは、ダレ限界以内の厚さで、かつエッ
ジ部Tにおける塗膜厚さが他の部分の厚さよりも薄くさ
れる。そして、2回目の上塗り塗料の吹付けは、ダレ限
界以上の厚さで、1回目の上塗り塗料がウエット状態の
間に行われる。このは、第25図に対応している。
中塗塗膜層ICは、上記の場合と同じである。また、
上塗塗膜層OCは、2回の吹付けによって形成されて、1
回目の上塗り塗料の吹付けは、ダレ限界以内の厚さで、
かつエッジ部Tにおける塗膜厚さが他の部分よりも薄く
される。2回目の上塗り塗料の吹付けは、ダレ限界以内
の厚さで、1回目の上塗り塗料がウエット状態の間に行
われる。そして、2回の上塗り塗料の吹付けによって、
最終的に、上塗塗膜層OCの厚さがダレ限界以上の厚さと
される。このは、第26図に対応している。
上述した試験例をまとめて、下記の、第4表〜第6表
に示してあり、第4表が熱硬化型塗料の場合を、第5表
が2液反応型塗料の場合を、第6表が粉体塗料の場合を
示している。そして、上記第4表〜第6表において、従
来法として示したのは、エッジ部Tの膜厚を、他の部分
よりも薄くする処理を行わなかった場合である。なお、
各寸法a〜dについての計算式である(c+d)−(a
+b)の値が150μm以下であれば、見栄えは良好とな
る。
上記第4表〜第6表において、各塗料の種類に応じた
塗装条件の詳細は次の通りである。
熱硬化型塗料 (1)中塗り a.塗料 :熱硬化オイルフリーポリエステル塗料
(グレー) 吹付粘度 22秒/フォードカップ#4、20℃ b.塗装機 ミニベル(ベル径60mm) 回転数22000rpm 電圧−90KV シェービングエアー圧3.0kg/cm2 ガン距離30cm c.乾燥条件 :セッティング10分(室温)後、140℃×2
5分 (2)上塗り a.塗料 :アルキッドメラミン・ハイソリッド熱硬
化型塗料(主樹脂分平均分子量:2800;色相:ブラック) b.吹付粘度 :20秒(フォードカップ#4/20℃) c.不揮発分 :48重量% d.溶剤 :トルエン:25重量部/ソルベッソ100:25
重量部/ソルベッソ150:50重量部 e.ダレ防止剤:架橋アクリル樹脂粉末;不揮発分に対し
て3重量%) f.塗装コータ:ミニベル(ベル径60mm:日本ランズバー
グ製) ミニベル回転数:1600rpm シェービング圧:3kg/cm2 電圧:90KV ガン距離:30cm 2回吹付の場合はインターバル5分 g.吹付雰囲気:温度20℃±2℃ ブース風速度 0.3±0.1m/秒(プッシュ・プル ダウ
ンフロー h.セッティング条件:セッティング開始温度20℃±2℃
/セッティング時間10分間 i.焼付条件 :温度140℃/時間25分間 昇温速度 :8分(20℃→140℃) j.回転条件 被塗物の中心軸から75cmの距離離れた水平軸を中心に
して、被塗物の両端面が平行になるように回転させた。
回転速度は6rpmである。
2液反応型塗料 (1)中塗り a.塗料 ポリエステルウレタン塗料(色相グレー
で、日本社ビーケミカル(株)製、商品名P−026) 主樹脂 :ポリエステルポリオール、 硬化剤 :ヘキサメチレンジオール 混合比(重量比):主樹脂4に対して硬化剤1の割合 b.塗装機 :圧送式スプレーガン(岩田塗装機(株)
製、商品名ワイダーW71) c.吹付粘度 :16秒/フォードカップ#4、20℃ d.霧化空気圧:4.0kg/cm2 e.吹付距離 :30cm f.乾燥条件 :セッティング10分(室温)後、90℃×25
分 (2)上塗り a.塗料 :ポリエステルウレタン塗料ホワイト(日
本ビーケミカル(株)製、商品名P−263) 主樹脂 :ポリエステルポリオールホワイト 硬化剤 :ヘキサルメチレンジイソシアネート 混合比(重量比):主樹脂4に対して硬化剤1の割合 b.塗装機 :圧送式エアスプレーガン(岩田塗装機
(株)製、商品名ワイダーW71 c.吹付け粘度:16秒/フォードカップ#4 d.塗料吐出量:350cc/分 e.霧化空気圧:4.0kg/cm2 f.吹付け距離:30cm g.2回塗りの場合はインターバル5分 h.乾燥条件:セッティング10分(室温)90℃×25分 (昇温速度5分(20℃→90℃)) e.回転速度:熱硬化型塗料の場合と同じ 粉体塗料 (1)中塗り a.塗料 :エポキシ粉体塗料(日本ペイント(株)
製、商品名パウダックスE) b.塗装機 :静電粉体塗装装置(小野田セメント
(株)製、商品名GX101) c.印加電圧 :−60KV d.塗料吐出量:180gr/分 e.塗料搬送空気圧:2.0kg/cm2 f.吹付距離 :25cm g.乾燥条件 :170℃/25分 (昇温速度8分(20℃→170℃)) (2)上塗り a.塗料 :アクリル粉体塗料(日本ペイント(株)
製、商品名パウダックスA) b.塗装機 :静電粉体塗装装置(小野田セメント
(株)製、商品名GX101) c.印加電圧 :−60KV d.塗料吐出量:180gr/分 e.塗料搬送空気圧:2.0kg/cm2 f.吹付け距離:25cm g.2回塗りの場合はインターバル5分 h.乾燥条件 :170℃/25分 (昇温速度8分(20℃→170℃)) i.回転速度 :熱硬化型塗料と同じ 自動車ボディに好ましい塗料 ここで、自動車ボディWの塗装に用いられる塗料とし
ては、下記の第7表に示すように、塗料樹脂の数平均分
子量は2000〜20000の範囲ものが好ましい。
自動車の塗料として数平均分子量を2000〜20000の範
囲とすることが好ましい理由は、2000未満のものは電子
線か紫外線で硬化する塗料が該当し、この塗料は架橋密
度が高くてもろいため耐久性がなく(2〜3年)、自動
車用外板用としてはあまり好ましくない。また、20000
を越える場合は、粘度が高くなるため溶剤を多量に必要
として、溶剤を多く排出するため好ましくなく、さらに
数平均分子量が20000を越えるラテックスポリマについ
ては、吹付け直後に粘度が高くなるため、平滑性を上げ
ることが困難となって好ましくない。
回転用治具 次に、ボディWを台車Dに対して水平方向に回転可能
に支持させるために用いる治具の具体例について説明す
る。
第5図は、ボディWの前部に取付けられる前側の治具
1Fを示す。この治具1Fは、左右一対の取付用ブラケット
2と、この左右の各ブラケット2に溶接された左右一対
のステー3と、左右一対のステー3同士を連結する連結
バー4と、連結バー4に一体化された回転軸5と、を有
する。このような治具1Fは、そのブラケット2部分を、
ボディWの前部強度部材、例えばフロントサイドフレー
ム11の前端部に固定される。すなわち、フロントサイド
フレーム11には、通常バンパ(図示略)取付用のブラケ
ット12が溶接されているので、このボディW側のブラケ
ット12に対して、上記ブラケット2をボルト(図示略)
を利用して固定する。
一方、ボディWの後部に取付けられる後側の治具1R
を、第6図に示してある。この後側の治具1Rも前側の治
具1Fと同じような構成とされ、この前側治具1Fに対応し
た構成要素には同一符号を付してある。この後側の治具
1RのボディWに対する取付けは、そのブラケット2をボ
ディW後端部にある強度部材としてのフロアフレーム13
に対してボルトによって固定することにより行なわれ
る。勿論、上記フロアフレーム13後端部には、一般にバ
ンパが取付けられる関係上該バンパ取付用のブラケット
があらじめ溶接されているので、このバンパ取付用ブラ
ケットを利用して後側治具1Rの取付を行なうこともでき
る。
上記、前後の治具1Fと1Rとは、ボディWに対する取付
状態において、その回転軸5同士がボディWの前後方向
に伸びる同一直線上に位置するようにされる。この同一
直線がボディWの回転軸線lとなるもので、好ましく
は、この回転軸線lがボディWの重心G(第7図参照)
を通るようにされている。なお、回転軸線lが重心Gを
通ることにより、ボディWの回転の際に、回転速度の大
きな変動が防止される。これにより、ボディWには、回
転変動に伴なう衝撃が発生するのが防止され、ダレ防止
上より好ましいものとなる。
なお、前後の治具1F、1Rは、車種(ボディWの種類)
に応じて専用のものがあらかじめ用意される。
台車 少くともP3、P4で使用されて、ボディWを回転させる
機能を備えた台車である。
第7図において、台車Dは基台21を有し、この基台21
に取付けられた車輪22が、路面23上を走行される。この
基台21は、走行方向前側から後側(第7図右側から左
側)へ順次、それぞれ上方へ向けて伸びる1本の前支柱
24、2本の中間支柱25、26、および1本の後支柱27を有
し、中間支柱25、26と後支柱27との間が、前後方向に大
きく間隔のあいた支持空間28とされている。
ボディWは、上記支持空間28に配設され、その前部
が、前治具1Fを利用して中間支柱26に対して回転自在に
支持される一方、その後部が、後治具1Rを利用して後支
柱27に回転自在に支持される。
前後の治具1F、1R(の回転軸5)は、上下方向から支
柱26、27に対して係脱自在とされると共に、後側の治具
1Rが回転軸線l方向に不動として係合される。このた
め、中間支柱26にはその上端面に開口する切欠き26aが
形成される一方(第10図〜第12図参照)、後支柱27には
その上端面に開口する切欠き27aが形成されている(第1
0図、第14図、第15図参照)。この両切欠き26a、27a
は、治具1F、1Rの回転軸5が嵌合し得る大きさとされて
いる。そして、後側治具1Rの回転軸5にはフランジ部5a
が形成される一方、後支柱27には前記切欠き27aに連通
するフランジ部5aに対応した形状の切欠き27bが形成さ
れている。これにより、後治具1Rは、後支柱27の切欠き
27a、27bに対して、上下方向から係脱されると共に、フ
ランジ部5aのストッパ作用によって後支柱27に対して前
後方向に不動とされる。なお、ボディWに対する回転力
の付与は、前側治具1Fの回転軸5を介して行われ、この
ため前治具1Fの回転軸5先端部には、後述する接続部5b
(第5図をも参照)が形成されている。
基台21からは、下方へ向けてステー29が突設され、こ
のステー29の下端部に、牽引用ワイヤ30が連結されてい
る。このワイヤ30は、エンドレス式とされて、図示を略
すモータにより一方向に駆動され、これにより台車Dが
所定の搬送方向に駆動される。勿論、上記モータは、防
爆の観点上安全な箇所に設置されている。
ボディWの回転は、台車Dの移動を利用して、すなわ
ち台車Dの走行路面23に対する変位を利用して行われ
る。この台車Dの変位を回転として取出すための回転取
出機構31が、次のようにして構成されている。すなわ
ち、回転取出機構31は、基台21に上下方向に伸ばして回
転自在に支持された回転軸32と、回転軸32の下端部に固
定されたスプロケット33と、スプロケット33に噛合され
たチェーン34と、から構成されている。このチェーン34
は、前記ワイヤ30と並列に、走行路面23に対して不動状
態で配設されている。これにより、台車Dがワイヤ30を
介して牽引されると、チェーン34が不動であるため、こ
のチェーン34に噛合うスプロケット33したがって回転軸
32が回転される。
上記回転軸32の回転を、前側治具1F(の回転軸5)に
伝達するための伝動機構35が、次のようにして構成され
ている。すなわち、伝動機構35は、前記前支柱24の後面
に固定されたケーシング36と、ケーシング36に横方向
(前後方向)に伸ばして回転自在に支持された回転軸37
と、この回転軸37と前記上回転軸32とを連動させる一対
のベベルギア38、39と、前記中間支柱25に対して回転自
在かつ前後方向に摺動自在に保持された連結軸40と、を
有する。この連結軸40は、回転軸37に対してスプライン
結合され(この係合部を第7図中符号41で示す)、これ
により回転軸32が回転されると、連結軸40も回転される
ことになる。勿論、回転軸37と連結軸40とは、回転軸線
l上に位置するように設置されている。
前記連結軸40は、前側治具1Fの回転軸5に対して、係
脱される。すなわち、第10図〜第12図に示すように、前
治具1F用回転軸5の先端部には、十字形の接続部5bが形
成される一方、連結軸40の端部には、第10図、第13図に
示すようにこの接続部5bががたつきなく嵌合される係合
凹所40cを有するボックス部40aが形成されている。した
がって、例えば空気圧式のシリンダ42によってロッド43
介して連結軸40を摺動させることによって、上記ボック
ス部40a(係合凹所40c)と接続部5bとが係脱され、その
係合時に連結軸40と回転軸5とが一体回転可能とされ
る。なお、上記ロッド43は、第10図に示すように、連結
軸40の回転を阻害しないように、ボックス部40aの外周
に形成された環状溝40b内に嵌入されている。
以上のような構成によって、連結軸40を第7図右側へ
変位させた状態で、ボディWを台車Dに対して下降させ
ることにより、前後の治具1F、1Rの各回転軸5が、中間
支柱26、27によって回転自在かつ前後方向に不動状態で
支持される。この後、連結軸40(係止凹所40c)が、前
治具1Fにおける回転軸5(の接続部5b)に係合される。
これにより、台車Dをワイヤ30を介して牽引すれば、ボ
ディWが所定の水平軸線lを中心にして回転されること
になる。なお、ボディWの台車Dからの取外しは、上記
した手順とは逆の手順で行えばよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、自動車ボディW
のように、横面に対する塗料の吹付けと、立面に対する
塗料の吹付けとを行なう場合、いわゆるオーバースプレ
ーによって横面のうち立面近傍となる境界部が部分的な
塗膜の盛り上りを生じるという問題に対しても、本発明
を適用することが可能であり、オーバースプレー量を勘
案して、薄膜化の程度あるいは段部の深さ等を決定する
ようにしてもよい。
(発明の効果) 本発明は以上述べたことから明らかなように、塗料の
流動性と回転とを利用して、平滑度の高い高品質の塗装
面を得ることができる。
また、ダレ限界以上に塗布することに起因して生じる
被塗物の端部の塗料の盛り上り現象を目立たなくするこ
とができる。
特に、本発明では、塗膜の形成手法を工夫することに
よりエッジ部での塗料の盛り上がりを防止するようにし
てあるので、塗料の盛り上がり防止のために被塗物その
ものに別途凹部(段部)を形成する必要がないものとな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体工程図。 第2図は被塗物としての自動車用ボディが回転すること
に伴う姿勢変化の状態を示す図。 第3図、第4図は塗料の厚さとダレと塗装面の平滑度と
回転との関係を示すグラフ。 第5図、第6図はボディを回転させるために、用いる治
具の例を示す斜視図。 第7図はボディを回転させるようにしたボディ搬送用の
台車の一例を示す側面図。 第8図は台車の走行路下方の状態を示す一部切欠き平面
図。 第9図は第8図のX9−X9線断面図。 第10図は回転用治具と台車との結合部分を示す側面断面
図。 第11図は第10図X11−X11線断面図。 第12図は第11図の平面図。 第13図は第10図のX13−X13線断面図。 第14図は第10図のX14−X14線断面図。 第15図は第14図の平面図。 第16図は自動車の外板部材であるボンネットの平面図。 第17図はボンネットに形成されたウインドウォッシャ取
付穴を拡大して示し、第16図のX17−X17線断面図。 第18図はボンネットに形成されたオーナメント取付穴を
拡大して示し、第16図のX18−X18線断面図。 第19図は塗装第1ステージによりの形成された塗膜を示
す断面図。 第20図は塗装第2ステージ完了直後塗膜状態を示す断面
図。 第21図は塗装第2ステージ完了後。エッジ溜りが発生し
た後の状態を示す断面図。 第22図は中塗りにおいてマスキングを施した例を示す断
面図。 第23A図はマスキングを施す他の例を示す断面図。 第23B図は第23A図のマスキング処理によって得られた塗
膜の上にダレ限界以上の厚さに塗膜を形成した状態を示
す断面図。 第24A図、第24B図は、サンドペーパによってエッジ部を
薄くする例を示す断面図。 第25図、第26図はそれぞれ2回の吹付によってダレ限界
以上の厚さに塗膜を形成する場合の他の例を示す断面
図。 第27図は表4〜表6のデータ中に示された寸法位置を示
す断面図。 第28図乃至第30図は従来の問題点を示し、エッジ溜りの
発生メカニズムを表わす説明図。 P1〜P4:工程 W:ボディ(被塗物) T:被塗物の端部 l:回転軸線 100:塗料のエッジ溜り 101:ウインドウォッシャ取付穴 101a:段部 102:オーナメント取付穴 102a:段部 105、110、201、211、222、:エッジ部が薄くされた塗
膜層 111、202:マスキング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−29509(JP,A) 特開 昭63−197585(JP,A) 特開 昭63−240970(JP,A) 実公 昭45−2908(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 1/02 - 1/12 B05D 3/02,3/12,7/14 B05B 5/00 - 5/16 B05B 13/00 - 13/06 B05B 12/00 - 12/14 B05C 13/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被塗物に塗料をダレ限界上の厚さに吹付塗
    装する塗装工程と、 上記ダレ限界以上の厚さとされた塗膜を乾燥させる乾燥
    工程と、を備え、 上記乾燥工程では、ダレ限界以上の厚さとされた塗膜が
    ダレを生じなくなるまで硬化するまでの間被塗物が略水
    平軸線回りに回転され、 前記塗装工程の前に、前記被塗物にあらかじめ塗装が施
    されてすなわち塗膜が形成されており、 前記塗装工程の前に行われる塗装が、前記被塗物のエッ
    ジ部に相当する部分の塗膜厚さが他の部分の塗膜厚さよ
    りも薄くなるように行なわれる、 ことを特徴とする塗装方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、 前記塗装工程の前に前記被塗物に施されている塗膜が、
    吹付塗装によって形成されている、ことを特徴とする塗
    装方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項において、 前記塗装工程の前に行なわれる塗装が吹付塗装とされ、 前記塗装工程の前に行なわれる吹付塗装によって、前記
    被塗物のエッジ部に対する膜厚のみが零となるように行
    なわれる、 ことを特徴とする塗装方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項において、 前記塗装工程の前に行なわれる塗装が吹付塗装とされ、 前記塗装工程の前に行なわれる吹付塗装が、前記被塗物
    のエッジ部に相当する部分の膜厚が他の部分の膜厚と同
    等かそれ以上の厚さとなるように行なわれ、 上記塗装工程の前に行なわれる吹付塗装によって形成さ
    れた塗膜の乾燥後でかつ前記塗装工程の前に、前記被塗
    物のエッジ部に相当する部分の塗膜が薄くなるように削
    られる、 ことを特徴とする塗装方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項において、 前記塗装工程の前に行なわれる塗装が吹付塗装とされ、 前記塗装工程の前に行なわれる吹付塗装によって形成さ
    れる塗膜が乾燥された後、上記塗装工程においてダレ限
    界以上の膜厚となるように吹付塗装される、 ことを特徴とする塗装方法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第5項において、 前記塗装工程の前に行なわれる吹付塗装に用いられる塗
    料が中塗り塗料とされ、 前記ダレ限界以上の厚さに塗料が吹付けられる塗料が上
    塗り塗料とされている、 ことを特徴とする塗装方法。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項において、 前記塗装工程が、第1の吹付工程と、該第1吹付工程後
    の第2の吹付工程との2回の吹付工程によって行なわ
    れ、 少なくとも上記第1と第2の2回の吹付工程後に塗膜厚
    さがダレ限界以上の厚さとされる、 ことを特徴とする塗装方法。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第7項において、 前記第1の吹付工程で形成される塗膜の厚さがダレ限界
    以内の厚さとされ、 前記第2の吹付工程で形成される塗膜の厚さがダレ限界
    上の厚さとされる、 ことを特徴とする塗装方法。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第7項において、 前記第1の吹付工程で形成される塗膜の厚さがダレ限界
    以内の厚さとされ、 前記第2の吹付工程で形成される塗膜の厚さがダレ限界
    以内の厚さとされ、 前記第1の吹付工程で形成される塗膜の厚さと前記第2
    の吹付工程で形成される塗膜の厚さとの合計値がダレ限
    界以上の厚さとされる、 ことを特徴とする塗装方法。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第8項または第9項にお
    いて、 前記第1の吹付工程で行なわれる吹付塗装が、前記被塗
    物のエッジ部に対する塗膜厚さが他の部分の塗膜厚さよ
    りも薄くなるように行なわれる、ことを特徴とする塗装
    方法。
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