JP2587083B2 - 塗装方法 - Google Patents

塗装方法

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JP2587083B2
JP2587083B2 JP7133688A JP7133688A JP2587083B2 JP 2587083 B2 JP2587083 B2 JP 2587083B2 JP 7133688 A JP7133688 A JP 7133688A JP 7133688 A JP7133688 A JP 7133688A JP 2587083 B2 JP2587083 B2 JP 2587083B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塗装方法に関するものである。
(従来の技術およびその問題点) 被塗物例えば自動車ボディの外表面を塗装する場合、
被塗物に付着しているゴミを除去する準備工程と、被塗
物に塗料を塗布する工程と、塗布された塗料を乾燥させ
る乾燥工程とを有する。この乾燥工程は、一般に、セッ
ティング工程と焼付工程との2段階で行なわれ、セッテ
ィング工程は、焼付工程の前において、この焼付工程よ
りも低い温度、例えば常温あるいは仮焼付けとも呼ばれ
るように40゜〜60℃の温度雰囲気で行われる(焼付工程
での焼付温度は通常140℃前後)。
そして、被塗物は、通常、台車等の搬送手段により搬
送されつつ上記準備工程、塗装工程および乾燥工程を経
ることになるが、被塗物の姿勢は、各工程において所定
の姿勢を保持いたまま行われている。
ところで、塗装面の品質を評価する1つの基準とし
て、平滑度(平坦度)があり、この平滑度が大きい程塗
装面の凹凸の度合が小さくて、良好な塗装面となる。こ
の塗装面の平滑度を向上させるには、塗膜の厚さ、すな
わち塗布された塗料の膜厚を大きくすればよいことが既
に知られている。
一方、塗装面の品質を阻害するものとして、塗料の
“ダレ”がある。このダレは、重力を受けることによっ
て塗布された塗料が下方に流動することにより生じ、1
回に塗布する塗料の膜厚が大きい程“ダレ”を生じ易く
なる、この“ダレ”の原因は、つまるところ重力の影響
であるため、被塗物のうち上下方向に伸びる面すなわち
いわゆる縦面において生じ易いものとなる。
したがって、塗料の“ダレ”がさ程問題とならない被
塗物の水平方向に伸びる面すなわちいわゆる横面は、塗
布する塗料の厚さを縦面よりも大きくすることが可能で
ある。また、横面に対する塗膜の厚さと縦面に対する塗
膜の厚さをたとえ同じにしても、横面ではダレには至ら
ない程度の塗料の若千の流動によって凹凸が小さくな
り、縦面における平滑度よりも良好な平滑度が得られる
ことになる。
上述のような観点から、従来は、の塗料の“ダレ”を
防止しつつ極力平滑度の大きい塗装面を得るため、極力
流動性の小さい(粘性の小さい)塗料を用いて塗装を行
なうようにしていた。そして、縦面において塗料の“ダ
レ”が生じるいわゆる“ダレ限界”は、従来汎用されて
いる熱硬化型塗料では塗膜の厚さで40μm程度が最大で
あった。より具体的には、塗料の“ダレ”は、セッティ
ング工程初期と焼付工程初期、特に焼付工程初期に生じ
易く、この時期に“ダレ”が生じないように、塗装工程
で塗布される塗料の厚さが決定され、この決定された厚
さの最大値すなわちダレ限界値が40μm程度となる。し
たがって、絶対的により一層平滑度の大きい塗装面を得
ようとすれば、従来の塗装方法では、例えば2回塗り
等、塗装工程から焼付工程に至るまでの一連の工程を複
数回繰り返して行なう必要があった。
本発明は、以上のような事情を勘案してなされたもの
で、同じ塗膜の厚さであれば、より一層平滑度の大きい
塗装面が得られるようにした塗装方向を提供することを
目的とする。
(問題点を解決するための手段、作用) 本発明は、基本的には、被塗物に塗布された塗料に対
して作用する重力の方向を適宣変更することにより、塗
料の流動性というものを積極的に活かして、同じ塗膜の
厚さであればより平滑度の大きい塗料面を得るようにし
てある。具体的には、次のような構成としてある。すな
わち、 被塗物に塗料を塗布する塗装工程と、被塗物に塗布さ
れた塗料を乾燥させる乾燥工程と、を備えた塗装方法に
おいて、 被塗物は、略水平軸線回りに回転可能に支持され、 前記塗装工程では、被塗物の通常の上下方向に伸びる
面では塗料ダレを生じる以上の膜厚に塗料が塗布され、 前記乾燥工程では、塗料がダレを生じるような大きな
流動性を有するようにされて塗料がダレを生じなくなる
まで硬化するまでの間被塗物が略水平軸線回りに回転さ
れ、 前記乾燥工程における被塗物の回転速度が、重力によ
る塗料の最大たれ速度より早い速度で、かつ回転による
遠心力により塗料ダレが生じる速度より遅い速度に設定
されている、 ような構成としてある。
このように本発明では、被塗物に塗布された塗料に対
して作用する重力の方向が、被塗物を水平方向に回転さ
せることによって変更させるため、塗料は、“ダレ”を
生じることなく乾燥されることになる。
本発明によれば、1回当りに塗布する塗料の膜厚を従
来よりもはるかに厚くして、平滑度が従来限界とされて
いたレベルをはるかに越えた極めて良好な塗装面を得る
ことができる。
また、従来と同じような塗膜の厚さとした場合でも、
塗料の流動性を利用して凹凸のより小さいものすなわち
平滑度のより大きい優れた塗装面とすることができる。
さらに、同じ平滑度例えば従来の塗装方法で得られる
平滑度と同等の平滑度を有する塗装面を得ようとすれ
ば、従来のものよりも塗布すべき塗料の膜厚を薄くしす
ることができ、この薄くし得る分だけ使用する塗料の量
を低減することができる。
勿論、薄い塗膜でも“ダレ”を生じるような塗料は、
従来の塗料中から流動性を阻害させる成分を所定割合減
少させることによって得ればよい(従来の塗料中には、
ダレ限界を向上させるため、流動性を小さくするための
ハイブリッド剤が混入されている)。
さらに又、被塗物の回転速度が、塗料の最大たれ速度
(重力により生じる塗料の最大たれ速度−以下同じ)に
応じて設定されているため、回転速度の不足による塗料
のダレ発生というものを確実に防止することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明
する。
全体の概要 第1図は、被塗物としての自動車用ボディWを塗装す
る場合の全体工程を示してあり、各工程をP1〜P4で示し
てある。
先ず、電着塗装によって既知のように下塗りが完了さ
れたホディWが、台車Dに保持されつつ準備工程P1に送
り込まれる。この準備工程P1では、ボディW内外のゴミ
が例えばエアブローあるいは真空吸引によって除去され
る。この後、工程P2において、ボディWに対して塗料が
吹き付けられる。そして、塗料の乾燥がセッティング工
程P3および焼付工程P4においてなされる。
工程P1〜P4が中塗用である場合は、工程P4の後はボデ
ィWが上塗り用の工程へと送られる。また、工程P1〜P4
が上塗り用である場合は、ボディWが、既知のように組
立ラインへと搬送される。
ゴミの除去 工程P1でのゴミ除去は、第2図に示すように、ボディ
Wを水平軸線lの回りに回転させつつ行われる。すなわ
ち、例えば先ず第2図(a)で示す状態でボディWの回
転を停止させてゴミの除去が行われた後、第2図(b)
の状態へとボディWの姿勢を変換してこの位置で停止さ
せ、再びゴミ除去がなされる。このようにして、第2図
の(c)、(d)・・・(i)というように、ボディW
を間欠回転させつつ、ゴミの除去が行われる。
このように、ボディWを回転させつつゴミの除去を行
うことにより、例えばボディWのルーフパネル内面角部
やサイドシル等の閉断面内に付着しているゴミ、すなわ
ち、ボディWを回転させなければ落下してこないような
ゴミをも完全に除去することが可能になる。
塗料の吹き付け、乾燥 先ず、P2での塗料の吹付けは、実施例では、乾燥工程
P3あるいはP4の少なくとも一方でダレを生じかつ塗装完
了をした塗装面は少なくとも1分間はダレを生じないよ
うな塗料を用いて行なわれる(このような塗料の例は後
述する)。この1分間という数値は、1つのボディWに
対する塗装開始からその全体に渡って塗装が完了するま
でが1分弱ということに対応したものである。より具体
的には、1つのボディWに対して全体的に塗装が完了す
るまでは、最も早く塗装が完了する部分でダレを生じな
いようにして、塗装工程Pでのだれ発生を確実に防止す
るためのものとされる。
塗膜の厚さは、乾燥工程P3あるいはP4でダレを生じて
もよい関係上、従来限界とされていた厚さよりも厚くす
ることもできる。勿論、従来と同じ厚さあるいはそれよ
りも薄い厚さとすることは任意である。
P2の後、P3のセッティング工程へ移行される。このセ
ッティング工程P3では第2図(a)〜(i)で示すよう
に、ボディWが水平方向にに回転される。すなわち、ボ
ディWが水平方向に伸びる回転軸心lを中心として回転
され、実施例では、この回転軸線lが、ボディWの前後
方向に伸びるものとされている。なお、このセッティン
グ工程P3での温度雰囲気は、実施例では常温としてある
が、40゜〜60℃等次の焼付工程P4での温度雰囲気よりも
低い温度の範囲で適宣の温度に設定し得る。勿論、この
セッティング工程P3は、あらかじめ塗料中の低沸点分を
揮発させるためであり、これにより、次の焼付工程P4で
低沸点分が急激に発揮されることによる塗装面でのピン
ホール発生が防止される。
焼付工程P4においては、例えば、140℃の温度雰囲気
で、塗料の焼付けが行なわれる。このP4でも、P3のセッ
ティング工程と同様に、第2図(a)〜(i)に示すよ
うにボディWが水平方向に回転される。
上述したP3、P4でのボディWの水平方向の回転によ
り、ダレが生じることなく塗料が乾燥される。これによ
り、従来と塗装方法では得られなかった平滑度の極めて
高い高品質の塗装面が得られる。
塗膜厚さとダレ限界と平滑度と水平回転との関係 第3図は、塗膜厚さがダレ限界に与える影響について
示すものである。この第3図では、塗膜厚さとして、40
μm、53μm、65μmの3通りの場合を示してある。こ
のいずれかの厚さの場合も、セッティング工程初期と焼
付工程初期との両方の時期に“ダレ”のピークが生じる
ことが理解される。また、ダレ限界は、通常1分間に1
〜2mmのダレを生じるときの値をいうが(目視して2mm/
分以上のダレを生じると塗装面が不良とされる)、この
ダレ限界以下の範囲で得られる最大の塗膜厚さは、従来
の塗料で40μm程度である。
一方、第4図は、ボディWを水平方向に回転させると
きとそうでないときとの、平滑度に与える影響を示して
ある。その第4図中Aは、ボディWを回転させない状態
を示してある(従来の塗装方法)。第4図Bは、ボディ
Wを90゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第
2図(a)と(c)との間で正逆回転)。第4図Cは、
ボディWを135゜回転させた後逆転させる場合を示して
ある(第2図(a)と(d)との間で正逆回転)。第4
図Dは、ボディWを180゜回転させた後逆転させる場合
を示してある(第2図(a)と(e)との間で正逆回
転)。第4図Eは、ボディWを連続して同一方向に回転
させる場合を示してある(第2図(a)、(b)、
(c)・・・(i)の順の姿勢をとり、再び(a)へと
戻る)。
この第4図から明らかなように、同じ塗膜の厚さであ
れば、ボディWを回転させた方が(第4図B、C、D、
E)、回転させない場合(第4図A)よりも、平滑度の
大きものが得られる。また、同じ回転でも、360゜同一
方向に回転させるのが平滑度を高める上では好ましいこ
とが理解される。勿論、ボディWの回転無しの場合は、
塗膜の厚さに限界をきたすため、平滑度を大きくするに
は限度がある。
ちなみ、塗膜の厚さを65μmとしてボディWを360゜
回転させる場合には、得られる平滑度は、写像鮮映度I.
Gで「87」(PGD値で1.0の下限値)である。また、塗膜
の厚さを40μmとした場合には、ボディRの回転無しの
場合はI.Gで「58」(PGD値で0.7の下限値)であるのに
対し、ボディWを360゜回転させた場合はI.Gで「68」
(PGD値で0.8の下限値)である。
なお、既知のように、写像鮮映度におけるIG(イメー
ジグロス)は、鏡面(黒ガラス)を100とし、それに対
する鮮映度の比率を示すものであり、PGDは反射映像の
識別度を1.0から低下するに従って塗装面の平滑度が低
下する値である。
第3図、第4図に示したデータの試験条件は、次の通
りであるが、この試験条件は、P2で上塗りを行なう場合
の条件を示してある。
a.塗料:メラミンアルキッド(ブラック) 粘度:フォードカップ#4で22秒/20℃ b.塗膜機:ミニベル(16、000rpm)シェーピングエア ..2、0kg/cm2 c.吐出量:2回に分けての吹付けで、 第1回目...100cc/min 第2回目...150〜200cc/min d.セッティング時間:10分×常温 e.焼付条件:140℃×25分 f.下地平滑度:0.6(PGD値)(中途、PEテープ上) g.回転または反転動作域:セッティング(10分)〜焼付
け(10分) h.被塗物:一辺30cmの角筒体の側面に塗装、中心で回転
可能に支持 i.被塗物の回転速度:6rpm、30rpm、60rpmの3通りで行
なったが、回転速度の相違による差異は事実上生じなか
った また、ここで述べる水平軸としては、水平軸から約10
゜の傾き範囲のものも含むものとする。
塗料 第16図〜第20図は、工程P2で用いる塗料として熱硬化
型塗料を用いる場合において、この熱硬化型塗料のたれ
特性を示す図である。なお、セッティング工程は20℃の
温度下で10分間としてある。また、焼付工程は、20℃か
ら140℃へと8分間かけて昇温させた後、この140℃の状
態を25分間維持するようにしてある。
第16図〜第20図においては、a〜kの計11種類の熱硬
化型塗料例を示してあるが、このようなデータを得るた
めの具体的な試験条件は、次の通りである。なお、以下
の説明で特に塗料例a〜kの区別をしないものは共通事
項である。
(l)塗料 ・溶解稀釈熱硬化型メラミナルキッド (色相 ブラック) ・稀釈溶剤 トリオール 4%(重量%) ソルベッソ100 3%(重量%) (エッソ社製) ソルベット200 3%(重量%)(エッソ社製) ・たれ防止剤 既架橋アクリル樹脂で、添加量を示す数値は全て不揮
発分に対する重量%の表示で粘度と共に表1に示す。
・粘度 数値は全てフォードカップ#4/20℃の表示で、たれ防
止剤の含有割合と共に表1に示す。
(2)塗装条件 2ステージ吹きで表2に示す。
なお、セッティングおよび焼付けについては前述した
通り。
(3)試験板 ・冷延鋼板をリン酸亜鉛処理 ・下塗り カチオン電着 170℃×25分焼付け 膜厚25μm ・中塗り 140℃×25分焼付け 膜厚40μm ・中塗り水研ぎ #800耐水研磨紙による完全水研ぎ (4)評価方法 上記(3)の試験板を垂直にセットした状態で、前述
した塗装条件で塗料粘度とされ防止剤の含有率を種々変
更して上塗り塗料を塗布した。塗装完了後、少なくとも
1分間はダレを生じず、かつ1分間経過した後にダレを
生じるような塗料例をまとめて第16図〜第20図に示し
た。
特にこの中でも第17図に示すeとfの塗料は、塗装完
了後、焼付工程までダレを生じないため、塗装ラインの
タクトを1分とした場合で、後補正工程を有するライン
に対しても十分適応可能である。勿論、本発明は、この
ような塗料に限定されることがない、ということは言う
までもないことである。
ここで、ボディWの回転速度は、塗料の最大たれ速度
に応じて、換言すれば最大たれ速度のときでもダレを生
じないような速度に設定される。この点を具体的に説明
すると、最大たれ速度が例えば毎分12mmである一方、た
れ速度を許容範囲を例えば毎分1mm以下とする場合を考
える。このとき、1mmのたれが生じるまでの時間は5秒
であるので、この5秒の間に、ボディWに作用する重力
の方向が180度逆転していればダレが防止されることに
なる。したがって、5秒で180度回転されるということ
は、ボディWの回転速度を少なくとも6rpmよりも大きく
すればよいということになる。
ところで、塗料は、上下方向に伸びる縦面と左右方向
に伸びる横面との境界となる偶角部に塗料のたまりを生
じ易いもいのとなる。この塗料のたまりは結局のところ
部分的な塗膜の厚くなったところとなって、事実上最大
たれ速度を生じさせる部分となる。したがって、所定の
膜厚となるように塗料を吹けた場合、この塗料のたまり
というものを考慮してボディWの回転速度を決定する必
要がある。もっとも、ボディWの回転を、正転と逆転と
を繰返し行なうような反転形式により行なう場合は、上
記たまりというものは殆ど生じないので、最大たれ速度
の点についてはこのたまりを特に考慮する必要のないも
のとなる。
勿論、回転速度は、最大たれ速度に応じた必要最小限
の値として設定することなく、ある程度、例えば前述し
た計算例から得られる回転速度に対して少なくとも2〜
3割程度早い速度に設定するとよい。なお、この回転速
度の上限値は、遠心力により塗料にダレを生じない範囲
で適宣に設定し得る。
回転用治具 次に、ボディWを台車Dに対して水平方向に回転可能
に支持させるために用いる治具の具体例について説明す
る。
第5図は、ボディWの前部に取付けられる前側の治具
1Fを示す。この治具1Fは、左右一対の取付用ブラケット
2と、この左右の各ブラケット2に溶接された左右一対
のステー3と、左右一対のステー3同士を連結する連結
バー4と、連結バ4に一体化された回転軸5と、を有す
る。このような治具1Fは、そのブラケット2部分を、ボ
ディWの前部強度部材、例えばフロントサイドフレーム
11の前端部に固定される。すなわち、フロントサイドフ
レーム11には、通常バンパ(図示略)取付用のブラケッ
ト12が溶接されているので、このボディW側のブラケッ
ト12に対して、上記ブラケット2をボルト(図示略)を
利用して固定する。
一方、ボディWの後部に取付けられる後側の治具1R
を、第6図に示してある。この後側の治具1Rも前側の治
具1Fと同じような構成とされ、この前側治具1Fに対応し
た構成要素には同一符号を付してある。この後側の治具
1RのボディWに対する取付けは、そのブラケット2をボ
ディW後端部にある強度部材としてのフロアフレーム13
に対してボルトによって固定することにより行なわれ
る。勿論、上記フロアフレーム13後端部には、一般にバ
ンパが取付けられる関係上該バンパ取付用のブラケット
があらかじめ溶接されているので、このバンパ取付用ブ
ラケットを利用して後側治具1Rの取付を行なうこともで
きる。
上記、前後の治具1Fと1Rとは、ボディWに対する取付
状態において、その回転軸5同士がボディWの前後方向
に伸びる同一直線上に位置するようにされる。この同一
直線がボディWの回転軸線lとなるもので、好ましく
は、この回転軸線lがボディWの重心G(第7図参照)
を通るようにされている。なお、回転軸線lが重心Gを
通ることにより、ボディWの回転の再に、回転速度の大
きな変動が防止される。これにより、ボディWには、回
転変動に伴う衝撃が発生するのが防止され、ダレ防止上
より好ましいものとなる。
なお、前後の治具1F、1Rは、車種(ボディWの種類)
に応じて専用のものがあらかじめ用意される。
台車 少くともP3、P4で使用されて、ボディWを回転させる
機能を備えた台車である。
第7図において、台車Dは基台21を有し、この基台21
に取付けられた車輪22が、路面23上を走行させる。この
基台21は、走行方向前側から後側(第7図右側から左
側)へ順次、それぞれ上方へ向けて伸びる1本の前支柱
24、2本の中間支柱25、26、および1本の後支柱27を有
し、中間支柱25、26と後支柱27との間が前後方向に大き
く間隔のあいた支持空間28とされている。
ボディWは、上記支持空間28に排泄され、その前部
が、前治具1Fを利用して中間支柱26に対して回転自在に
支持される一方、その後部が、後治具1Rを利用して後支
柱27に回転自在に支持される。
前後の治具1F、1R(の回転軸5)は、上下方向から支
柱26、27に対して係脱自在とされると共に、後側の治具
1Rが回転軸線l方向に不動として係合される。このた
め、中間支柱36にはその上端面に開口する切欠き26aが
形成される一方(第10図〜第12図参照)、後支柱27には
その上端面に開口する切欠き27aが形成されている(第1
0図、第14図、第15図参照)。この両切欠き26a、27a
は、治具1F、1Rの回転軸5が嵌合し得る大きさとされて
いる。そして、後側治具1Rの回転軸5にはフランジ部5a
が形成される一方、後支柱27には前記切欠き27aに連通
するフランジ部5aに対応した形状の切欠27bが形成され
ている。これにより、後治具1Rは、後支柱27の切欠き27
a、27bに対して、上下方向から係脱されると共に、フラ
ンジ部5aのストッパ作用によって後支柱27に対して前後
方向に不動とされる。なお、ボディWに対する回転力の
付与は、前側治具1Fの回転軸5を介して行われ、このた
め前治具1Fの回転軸5先端部には、後述する接続部5b
(第5図をも参照)が形成されている。
基台21からは、下方へ向けてステー29が突設され、こ
のステー29の下端部に、牽引用ワイヤ30が連結されてい
る。このワイヤ30は、エンドレス式とされて、図示を略
すモータにより一方向に駆動され、これにより台車Dが
所定の搬送方向に駆動される。勿論、上記モータは、防
爆の観点上安全な箇所に設置されている。
ボディWの回転は、台車Dの移動を利用して、すなわ
ち台車Dの走行路面23に対する変位を利用して行われ
る。この台車Dの変位を回転として取出すための回転取
出機構31が、次のようにして構成されている。すなわ
ち、回転取出機構31は、基台2に上下方向に伸ばして回
転自在に支持された回転軸32と、回転軸32の下端部に固
定されたスプロケット33と、スプロケット33に噛合され
たチェーン34と、から構成されている。このチェーン34
は、前記ワイヤ30と並列に、走行路面23に対して不動状
態で配設されている。これにより、台車Dがワイヤ30を
介して牽引されると、チェーン34が不動であるため、こ
のチェーン34に噛合うスプロケット33したがって回転軸
32が回転される。
上記回転軸32の回転を、前側治具1F(の回転軸5)に
伝達するための伝動機構35が、次のようにして構成され
ている。すなわち、伝動機構35は、前記前支柱24の後面
に固定されたケーシング36と、ケーシング36に横方向
(前後方向)に伸ばして回転自在に支持された回転軸37
と、この回転軸37と前記上記回転軸32とを連動させる一
対のベベルギア38、39と、前記中間支柱25に対して回転
自在かつ前後方向に摺動自在に保持された連結軸40と、
を有する。この連結軸40は、回転軸37に対してスプライ
ン結合され(この係合部を第7図中符号41で示す)、こ
れにより回転軸32が回転されると、連結軸40も回転され
ることになる。勿論、回転軸37と連結軸40とは、回転軸
線l上に位置するように設置されている。
前記連結軸40は、前側治具1Fの回転軸5に対して、係
脱される。すなわち、第10図〜第12図に示すように、前
治具1F用回転軸5の先端部には、十字形の接続部5bが形
成される一方、連結軸40の端部には、第10図、第13図に
示すようにこの接続部5bががたつきなく嵌合される係合
凹所40cを有するボックス部40aが形成されている。した
がって、例えば空気圧式のシリンダ42によってロッド43
を介して連結軸40を摺動させることによって、上記ボッ
クス部40a(係合凹所40c)と接続部5bとが係脱され、そ
の係合時に連結軸40と回転軸5とが一体回転可能とされ
る。なお、上記ロッド43は、第10図に示すように、連結
軸40の回転を阻害しないように、ボックス部40aの外周
に形成された環状溝40b内に嵌入されている。
以上のような構成によって、連結軸40を第7図右側へ
変位させた状態で、ボディWを台車Dに対して下降させ
ることにより、前後の治具1F、1Rの各回転軸5が、中間
支柱26、27によって回転自在かつ前後方向に不動状態で
支持される。この後、連結軸40(係止凹所40c)が、前
治具1Fにおける回転軸5(の接続部5b)に係合される。
これにより、台車Dをワイヤ30を介して牽引すれば、ボ
ディWが所定の水平軸線lを中心にして回転されること
になる。なお、ボディWの台車Dからの取外しは、上記
した手順とは逆の手順で行えばよい。
(発明の効果) 本発明は以上述べたことから明らかなように、塗料の
流動性と回転とを利用して、同じ塗料の厚さであれば従
来よりも平滑度の高い高品質の塗装面を得ることができ
る。
また、最大たれ速度に応じて被塗物の回転速度を設定
するようにしてあるので、この回転速度が不足すること
による塗料のダレ発生というような事態を確実に防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体工程図。 第2図は被塗物としての自動車用ボディが回転すること
に伴う姿勢変化の状態を示す図。 第3図、第4図は塗料の厚さとダレと塗装面の平滑度と
回転との関係を示すグラフ。 第5図、第6図はボディを回転させるために、用いる治
具の例を示す斜視図。 第7図はボディを回転させるようにしたボディ搬送用の
台車の一例を示す側面図。 第8図は台車の走行路下方の状態を示す一部切欠き平面
図。 第9図は第8図のX9−X9線断面図。 第10図は回転用治具と台車との結合部分を示す側面断面
図。 第11図は第10図X11−X11線断面図。 第12図は第11図の平面図。 第13図は第10図のX13−X13線断面図。 第14図は第10図のX14−X14線断面図。 第15図は第14図の平面図。 第16図〜第20図は塗料の最大たれ速度と共にたれ特性を
示す図。 P1〜P4:工程 W:ボディ l:回転軸線 D:搬送用台車 1F、1R:回転用治具

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被塗物に塗料を塗布する塗装工程と、被塗
    物に塗布された塗料を乾燥させる乾燥工程と、を備えた
    塗装方法において、 被塗物は、略水平軸線回りに回転可能に支持され、 前記塗装工程では、被塗物の通常の上下方向に伸びる面
    では塗料ダレを生じる以上の膜厚に塗料が塗布され、 前記乾燥工程では、塗料がダレを生じるような大きな流
    動性を有するようにされて塗料がダレを生じなくなるま
    で硬化するまでの間被塗物が略水平軸線回りに回転さ
    れ、 前記乾燥工程における被塗物の回転速度が、重力による
    塗料の最大たれ速度より早い速度で、かつ回転による遠
    心力により塗料ダレが生じる速度より遅い速度に設定さ
    れている、 ことを特徴とする塗装方法。
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