JP2603235B2 - 塗装方法 - Google Patents

塗装方法

Info

Publication number
JP2603235B2
JP2603235B2 JP62027388A JP2738887A JP2603235B2 JP 2603235 B2 JP2603235 B2 JP 2603235B2 JP 62027388 A JP62027388 A JP 62027388A JP 2738887 A JP2738887 A JP 2738887A JP 2603235 B2 JP2603235 B2 JP 2603235B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paint
coating
baking
rotation
dripping
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62027388A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63197579A (ja
Inventor
忠光 中浜
貴和 山根
義雄 谷本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP62027388A priority Critical patent/JP2603235B2/ja
Publication of JPS63197579A publication Critical patent/JPS63197579A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2603235B2 publication Critical patent/JP2603235B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塗装方法に関するものである。
(従来技術およびその問題点) 被塗物例えば自動車ボディの外表面を塗装する場合、
被塗物に塗料を塗布する工程と、塗布された塗料を乾燥
させる乾燥工程とを有する。この乾燥工程は、一般に、
セッティング工程と焼付工程との2段階で行なわれ、セ
ッティング工程は、焼付工程の前において、この焼付工
程よりも低い温度、例えば常温あるいは仮焼付けとも呼
ばれるように40゜〜60℃の温度雰囲気で行われる(焼付
工程での焼付温度は通常140℃前後)。
ところで、塗装面の品質を評価する1つの基準とし
て、平滑度(平坦度)があり、この平滑度が大きい程塗
装面の凹凸の度合が小さくて、良好な塗装面となる。こ
の塗装面の平滑度を向上させるには、塗膜の厚さ、すな
わち塗布された塗料の膜厚を大きくすればよいことが既
に知られている。
一方、塗装面の品質を阻害するものとして、塗料の
“ダレ”がある。このダレは、重力を受けることによっ
て塗布された塗料が下方に流動することにより生じ、1
回に塗布する塗料の膜厚が大きい程“ダレ”を生じ易く
なる、この“ダレ”の原因は、つまるところ重力の影響
であるため、被塗物のうち上下方向に伸びる面すなわち
いわゆる縦面において生じ易いものとなる。
したがって、塗料の“ダレ”がさ程問題とならない被
塗物の水平方向に伸びる面すなわちいわゆる横面は、塗
布する塗料の厚さを縦面よりも大きくすることが可能で
ある。また、横面に対する塗膜の厚さと縦面に対する塗
膜の厚さをたとえ同じにしても、横面ではダレには至ら
ない程度の塗料の若干の流動によって凹凸が小さくな
り、縦面における平滑度よりも良好な平滑度が得られる
ことになる。
上述のような観点から、従来は、の塗料の“ダレ”を
防止しつつ極力平滑度の大きい塗装面を得るため、極力
流動性の小さい(粘性の小さい)塗料を用いて塗装を行
なうようにしていた。そして、縦面において塗料の“ダ
レ”が生じるいわゆいる“ダレ限界”は、従来の塗料で
は塗膜の厚さで40μm程度が最大であった。より具体的
には、塗料の“ダレ”は、セッティング工程初期と焼付
工程初期との両方で特に生じ易く、この時期に“ダレ”
が生じないように、塗装工程で塗布される塗料の厚さが
決定され、この決定された厚さの最大値すなわちダレ限
界値が40μm程度となる。したがって、絶対的により一
層平滑度の大きい塗装面を得ようとすれば、従来の塗装
方法では、例えば2回塗り等、塗装工程から焼付工程に
至るまでの一連の工程を複数回繰り返して行なう必要が
あった。
本発明は、以上のような事情を勘案してなされたもの
で、同じ塗膜の厚さであれば、より一層平滑度の大きい
塗装面が得られるようにした塗装方法を提供することを
目的とする。
(問題点を解決するための手段、作用) 本発明は、基本的には、被塗物に塗布された塗料に対
して作用する重力の方向を適宜変更することにより、塗
料の流動性というものを積極的に活かして、同じ塗膜の
厚さであればより平滑度の大きい塗装面を得るようにし
てある。具体的には、次のような構成としてある。すな
わち、 被塗物の表面に塗料を塗布する塗装方法であって、 略水平に伸びる回転軸回りに回転可能に支持された被
塗物の少なくとも上下方向に伸びる表面に、ダレ限界以
上の厚さに塗料を塗布する塗装工程と、 被塗物表面に塗布された塗料を焼付け乾燥させる焼付
工程と、 前記塗装工程後でかつ前記焼付工程より前に行われ、
該焼付工程における焼付温度よりも低い温度でもって被
塗物表面に塗布された塗料を乾燥させるセッティング工
程と、 を備え、前記塗装工程で塗布される塗料が、前記セッテ
ィング工程においては塗料が塗布された直後で常温でも
塗料の流動性が高いことに起因してそのまま放置してお
けば重力の影響により塗料ダレを生じ、かつ前記焼付工
程においては焼付時の加熱による塗料の熱フローに起因
してそのまま放置しておけば重力の影響により塗料ダレ
を生じるような塗料が用いられ、 前記セッティング工程において、被塗物表面に塗布さ
れた塗料の塗料ダレが生じ始める前に被塗物を回転させ
始め、かつこの場合の回転は、少なくとも塗布した塗料
の塗料ダレが重力により生じ始める以前に被塗物表面が
略垂直状態から略水平状態に移行するような速度で、し
かも回転による遠心力によって塗料ダレが生じる速度よ
りも遅い速度でもって同一方向に連続回転され、 前記焼付工程において、被塗物表面に塗布された塗料
の塗料ダレが生じ始める前に被塗物を回転させ始め、か
つこの場合の回転は、少なくとも塗布した塗料の塗料ダ
レが重力により生じ始める以前に被塗物表面が略垂直状
態から略水平状態に移行するような速度で、しかも回転
による遠心力によって塗料ダレが生じる速度よりも遅い
速度でもって同一方向に連続回転される、 ような構成としてある。
このように本発明では、被塗物に塗布された塗料に対
して作用する重力の方向が、被塗物を水平方向に回転さ
せることによって変更されるため、塗料は、“ダレ”を
生じることなく乾燥されることになる。特に、塗料の
“ダレ”を生じ易い焼付工程とセッティング工程との両
方で被塗物を回転させるので、塗料の“ダレ”を確実に
防止することができる。
本発明によれば、1回当りに塗布する塗料の膜厚を従
来よりもはるかに厚くして、平滑度が従来限界とされて
いたレベルをはるかに越えた極めて良好な塗装面を得る
ことができる。
また、従来と同じような塗膜の厚さとした場合でも、
塗料の流動性を利用して凹凸のより小さいものすなわち
平滑度のより大きい優れた塗装面とすることができる。
さらに、同じ平滑度例えば従来の塗装方法で得られる
平滑度と同等の平滑度を有する塗装面を得ようとすれ
ば、従来のものよりも塗布すべき塗料の膜厚を薄くする
ことができ、この薄くし得る分だけ使用する塗料の量を
低減することができる。
勿論、薄い塗膜でも“ダレ”を生じるような塗料は、
従来の塗料中から流動性を阻害させる成分を所定割合減
少させることによって得ればよい(従来の塗料中には、
ダレ限界を向上させるため、流動性を小さくするための
ハイブリッド剤が混入されている)。
このように、本発明においては、同じ塗料の使用量
(同じ塗膜の厚さ)であれば、従来よりも一層平滑度の
大きい塗装面が得られることになる。とりわけ、1回当
りに塗布すべき塗膜の厚さを、従来では限界とされてい
た値をはるかに越えた大きなものとすることができるの
で、従来の塗装方法では得ることのできない極めて平滑
度の大きい高品質の塗装面を得ることができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明
する。
全体の概要 第1図は、被塗物としての自動車用ボディWを塗装す
る場合の全体工程を示してあり、各工程をP1〜P13で示
してある。
先ず、電着塗装によって既知のように下塗りが完了さ
れたボディWが、台車Dに保持されつつ準備工程P1に送
り込まれる。この準備工程P1では、ボディW内外のゴミ
が例えば真空吸引によって除去される。
この後、工程P2において台車Dが変更された後、工程
P3においてボディWに対して中塗り用の塗料が吹き付け
られる。工程4において、再び台車Dの変更がなされた
後、中塗り塗料の乾燥がセッティング工程P5および焼付
工程P6においてなされる。
中塗り用の焼付工程P6の後は、工程P7での台車Dの変
更が行なわれた後、上塗り用の工程P8〜P13を経る。こ
の上塗り用のP8〜P13の工程は、中塗り用の工程P1〜P6
に対応しており、P10で使用される塗料が上塗り用とさ
れる点を除いてP1〜P6と実質的に変るところがないの
で、その重複した説明は省略する。そして、工程P13の
後すなわち上塗りが完了されたボディWは、既知のよう
に組立ラインへと搬送される。
塗料の吹き付け、乾燥 塗料の吹き付けは、P3(中塗り)およびP10(上塗
り)で行なわれ、また乾燥はP5、P6(中塗り)およびP1
2、P13(上塗り)で行なわれるが、P3〜P6とP10〜P13と
では中塗り用と上塗り用との相違のみで他は実質的に同
じなので、P10〜P13に着目して説明する。
先ず、P10での塗料(上塗り用)の吹付けは、塗膜の
厚さがダレ限界以上となるようにして行なわれる。すな
わち、従来一般に用いられている塗料では、“ダレ”を
生じない塗料の最大厚さすなわちダレ限界値は40μm程
度であるが、工程P10では、このダレ限界となる40μm
よりもはるかに厚い塗膜となるように(例えば65μm)
となるように塗料が吹付けられる。
このP10の後、P11ですみやかに台車Dの変更が行なわ
れた後、P12のセッティング工程へ移行される。このセ
ッティング工程P12では第2図(a)〜(i)で示すよ
うに、ボディWが水平方向にに回転される。すなわち、
ボディWが水平方向に伸びる回転軸心lを中心として回
転され、実施例では、この回転軸線lが、ボディWの前
後方向に伸びるものとされている。なお、このセッティ
ング工程P12での温度雰囲気は、実施例では常温として
あるが、40゜〜60℃等次の焼付工程P13での温度雰囲気
よりも低い温度の範囲で適宜の温度に設定し得る。勿
論、このセッティング工程P12は、あらかじめ塗料中の
低沸点分を揮発させるためであり、これにより、次の焼
付工程P13で低沸点分が急激に揮発されることによる塗
装面でのピンホール発生が防止される。
焼付工程P13においては、例えば、140℃の温度雰囲気
で、塗料の焼付けが行なわれる。このP13でも、P12のセ
ッティング工程と同様に、第2図(a)〜(i)に示す
ようにボディWが水平方向に回転される。
上述したP12、P13でのボディWの水平方向の回転によ
り、P11でダレ限界以上の厚さに塗料を吹付けても、ダ
レが生じることなく塗料が乾燥される。これにより、従
来の塗装方法では得られなかった平滑度の極めて高い高
品質の塗装面が得られる。
なお、P4、P11で台車Dの変更を行なうのは、P5、P
6、P12、P13での乾燥工程において使用する台車Dに塗
料が付着しない状態とするためである。すなわち、P3、
P10においては、台車Dに少なからず塗料が吹付けられ
ることになるが、この塗料が付着した台車Dをそのまま
用いて乾燥工程に移行させると、この台車Dに付着した
塗料が、当接台車Dの走行に伴なって少なからず剥離さ
れてゴミとなり、塗装面の品質を阻害する可能性が生じ
るためである。P2、P7、P9の台車変更も、塗装面に対す
るゴミの影響を極力少なくするためであるが、P4、P11
での台車変更に比して必要性は小さいものである。
塗膜厚さとダレ限界と平滑度と水平回転との関係 第3図は、塗膜厚さがダレ限界に与える影響について
示すものである。この第3図では、塗膜厚さとして、40
μm、53μm、63μmの3通りの場合を示してある。こ
のいずれの厚さの場合も、セッティング工程初期と焼付
工程初期との両方の時期に、“ダレ”のピークが生じる
ことが理解される。また、ダレ限界は、通常1分間に1
〜2mmのダレを生じるときの値をいうが(目視して2mm/
分以上のダレを生じると塗装面が不良とされる)、この
ダレ限界以下の範囲で得られる最大の塗膜厚さは、従来
の塗料で40μm程度である。この第3図において、セッ
ティング工程での塗料ダレは、塗料が塗布された直後で
常温でも塗料の流動性が高いことに起因して生じるもの
である。また、焼付工程での塗料ダレは、焼付時の加熱
による塗料の熱フローに起因して生じるものである。
一方、第4図は、ボディWを水平方向に回転させると
きとそうでないときとの、平滑度に与える影響を示して
ある。その第4図中Aは、ボディWを回転させない状態
を示してある(従来の塗装方法)。第4図Bは、ボディ
Wを90゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第
2図(a)と(c)との間で正逆回転)。第4図Cは、
ボディWを135゜回転させた後逆転させる場合を示して
ある(第2図(a)と(d)との間で正逆回転)。第4
図Dは、ボディWを180゜回転させた後逆転させる場合
を示してある(第2図(a)と(e)との間で正逆回
転)。第4図Eは、ボディWを連続して同一方向に回転
させる場合を示してある(第2図(a)、(b)、
(c)・・・(i)の順の姿勢をとり、再び(a)へと
戻る)。
この第4図から明らかなように、同じ塗膜の厚さであ
れば、ボディWを回転させた方が(第4図B、C、D、
E)、回転させない場合(第4図A)よりも、平滑度の
大きものが得られる。また、同じ回転でも、360゜同一
方向に回転させるのが平滑度を高める上では好ましいこ
とが理解される。勿論、ボディWの回転無しの場合は、
塗膜の厚さに限界をきたすため、平滑度を大きくするに
は限度がある。
ちなみに、塗膜の厚さを65μmとしてボディWを360
゜回転させる場合には、得られる平滑度は、写像鮮映度
I.Gで「87」(PGD値で1.0の下限値)である。また、塗
膜の厚さを40μmとした場合には、ボディWの回転無し
の場合はI.Gで「58」(PGD値で0.7の下限値)であるの
に対し、ボディWを360゜回転させた場合はI.Gで「68」
(PGD値で0.8の下限値)である。
なお、既知のように、写像鮮映度におけるIG(イメー
ジグロス)は、鏡面(黒ガラス)を100とし、それに対
する鮮映度の比率を示すものであり、PGDは反射映像の
識別度を1.0から低下するに従って塗装面の平滑度が低
下する値である。
第3図、第4図に示したデータの試験条件は、次の通
りであるが、この試験条件は、P10、P12、P13での上塗
りを行なう場合の条件を示し、P5、P6での中塗りの時の
水平回転は行なわないものとした(中塗りは従来の塗装
方法)。
a.塗装:メラミンアルキッド(ブラック) 粘度:フォードカップ#4で22秒/20℃ b.塗膜機:ミニベル(16、000rpm) シェーピングエア..2、0kg/cm2 c.吐出量: 2回に分けての吹付けで、 第1回目...100cc/min 第2回目...150〜200cc/min d.セッティング時間:10分×常温 e.焼付条件:140℃×25分 f.下地平滑度: 0.6(PGD値) (中塗、PEテープ上) g.回転または反転作動域: セッティング(10分)〜焼付け(10分) h.被塗物: 一辺30cmの角筒体の側面に塗装、中心で回転可能に支持 i.被塗物の回転速度: 6rpm、30rpm、60rpmの3通りで行なったが、回転速度の
相違による差異は事実上生じなかった 回転用治具 次に、ボディWを台車Dに対して水平方向に回転可能
に支持させるために用いる治具の具体例について説明す
る。
第5図は、ボディWの前部に取付けられる前側の治具
1Fを示す。この治具1Fは、左右一対の取付用ブラケット
2と、この左右の各ブラケット2に溶接された左右一対
のステー3と、左右一対のステー3同士を連結する連結
バー4と、連結バー4に一体化された回転軸5と、を有
する。このような治具1Fは、そのブラケット2部分を、
ボディWの前部強度部材、例えばフロントサイドフレー
ム11の前端部に固定される。すなわち、フロントサイド
フレーム11には、通常バンパ(図示略)取付用のブラケ
ット12が溶接されているので、このボディW側のブラケ
ット12に対して、上記ブラケット2をボルト(図示略)
を利用して固定する。
一方、ボディWの後部に取付けられる後側の治具1R
を、第6図に示してある。この後側の治具1Rも前側の治
具1Fと同じような構成とされ、この前側治具1Fに対応し
た構成要素には同一符号を付してある。この後側の治具
1RのボディWに対する取付けは、そのブラケット2をボ
ディW後端部にある強度部材としてのフロアフレーム13
に対してボルトによって固定することにより行なわれ
る。勿論、上記フロアフレーム13後端部には、一般にバ
ンパが取付けられる関係上該バンパ取付用のブラケット
があらじめ溶接されているので、このバンパ取付用ブラ
ケットを利用して後側治具1Rの取付を行なうこともでき
る。
上記、前後の治具1Fと1Rとは、ボディWに対する取付
状態において、その回転軸5同士がボディWの前後方向
に伸びる同一直線上に位置するようにされる。この同一
直線がボディWの回転軸線lとなるもので、好ましく
は、この回転軸線lがボディWの重心G(第7図参照)
を通るようにされている。なお、回転軸線lが重心Gを
通ることにより、ボディWの回転の際に、回転速度の大
きな変動が防止される。これにより、ボディWには、回
転変動に伴なう衝撃が発生するのが防止され、ダレ防止
上より好ましいものとなる。
なお、前後の治具1F、1Rは、車種(ボディWの種類)
に応じて専用のものがあらかじめ用意される。
台車 少なくとも、P5、P6、P12、P13で使用されて、ボディ
Wを回転させる機能を備えた台車である。
第7図において、台車Dは基台21を有し、この基台21
に取付けられた車輪22が、路面23上を走行される。この
基台21は、走行方向前側から後側(第7図右側から左
側)へ順次、それぞれ上方へ向けて伸びる1本の前支柱
24、2本の中間支柱25、26、および1本の後支柱27を有
し、中間支柱25、26と後支柱27との間が、前後方向に大
きく間隔のあいた支持空間28とされている。
ボディWは、上記支持空間28に配設され、その前部
が、前治具1Fを利用して中間支柱26に対して回転自在に
支持される一方、その後部が、後治具1Rを利用して後支
柱27に回転自在に支持される。
前後の治具1F、1R(の回転軸5)は、上下方向から支
柱26、27に対して係脱自在とされると共に、後側の治具
1Rが回転軸線l方向に不動として係合される。このた
め、中間支柱26にはその上端面に開口する切欠き26aが
形成される一方(第10図〜第12図参照)、後支柱27には
その上端面に開口する切欠き27aが形成されている(第1
0図、第14図、第15図参照)。この両切欠き26a、27a
は、治具1F、1Rの回転軸5が嵌合し得る大きさとされて
いる。そして、後側治具1Rの回転軸5にはフランジ部5a
が形成される一方、後支柱27には前記切欠き27aに連通
するフランジ部5aに対応した形状の切欠き27bが形成さ
れている。これにより、後治具1Rは、後支柱27の切欠き
27a、27bに対して、上下方向から係脱されると共に、フ
ランジ部5aのストッパ作用によって後支柱27に対して前
後方向に不動とされる。なお、ボディWに対する回転力
の付与は、前側治具1Fの回転軸5を介して行われ、この
ため前治具1Fの回転軸5先端部には、後述する接続部5b
(第5図をも参照)が形成されている。
基台21からは、下方へ向けてステー29が突設され、こ
のステー29の下端部に、牽引用ワイヤ30が連結されてい
る。このワイヤ30は、エンドレス式とされて、図示を略
すモータにより一方向に駆動され、これにより台車Dが
所定の搬送方向に駆動される。勿論、上記モータは、防
爆の観点上安全な箇所に設置されている。
ボディWの回転は、台車Dの移動を利用して、すなわ
ち台車Dの走行路面23に対する変位を利用して行われ
る。この台車Dの変位を回転として取出すための回転取
出機構31が、次のようにして構成されている。すなわ
ち、回転取出機構31は、基台21に上下方向に伸ばして回
転自在に支持された回転軸32と、回転軸32の下端部に固
定されたスプロケット33と、スプロケット33に噛合され
たチェーン34と、から構成されている。このチェーン34
は、前記ワイヤ30と並列に、走行路面23に対して不動状
態で配設されている。これにより、台車Dがワイヤ30を
介して牽引されると、チェーン34が不動であるため、こ
のチェーン34に噛合うスプロケット33したがって回転軸
32が回転される。
上記回転軸32の回転を、前側治具1F(の回転軸5)に
伝達するための伝動機構35が、次のようにして構成され
ている。すなわち、伝動機構35は、前記前支柱24の後面
に固定されたケーシング36と、ケーシング36に横方向
(前後方向)に伸ばして回転自在に支持された回転軸37
と、この回転軸37と前記上回転軸32とを連動させる一対
のベベルギア38、39と、前記中間支柱25に対して回転自
在かつ前後方向に摺動自在に保持された連結軸40と、を
有する。この連結軸40は、回転軸37に対してスプライン
結合され(この係合部を第7図中符号41で示す)、これ
により回転軸32が回転されると、連結軸40も回転される
ことになる。勿論、回転軸37と連結軸40とは、回転軸線
l上に位置するように設置されている。
前記連結軸40は、前側治具1Fの回転軸5に対して、係
脱される。すなわち、第10図〜第12図に示すように、前
治具1F用回転軸5の先端部には、十字形の接続部5bが形
成される一方、連結軸40の端部には、第10図、第13図に
示すようにこの接続部5bががたつきなく嵌合される係合
凹所40cを有するボックス部40aが形成されている。した
がって、例えば空気圧式のシリンダ42によってロッド43
を介して連結軸40を摺動させることによって、上記ボッ
クス部40a(係合凹所40c)と接続部5bとが係脱され、そ
の係合時に連結軸40と回転軸5とが一体回転可能とされ
る。なお、上記ロッド43は、第10図に示すように、連結
軸40の回転を阻害しないように、ボックス部40aの外周
に形成された環状溝40b内に嵌入されている。
以上のような構成によって、連結軸40を第7図右側へ
変位させた状態で、ボディWを台車Dに対して下降させ
ることにより、前後の治具1F、1Rの各回転軸5が、中間
支柱26、27によって回転自在かつ前後方向に不動状態で
支持される。この後、連結軸40(係止凹所40c)が、前
治具1Fにおける回転軸5(の接続部5b)に係合される。
これにより、台車Dをワイヤ30を介して牽引すれば、ボ
ディWが所定の水平軸線lを中心にして回転されること
になる。なお、ボディWの台車Dからの取外しは、上記
した手順とは逆の手順で行えばよい。
第16図、第17図および第18図、第19図は、それぞれ前
治具1Fの回転軸5と、連結軸40との結合部位の変形例を
示すものである。
第16図、第17図のものにおいては、先ず、中間支柱26
の切欠き26aが、ボックス部40aを回転自在に支承し得る
ように半円状に形成されている。また、回転軸5の接続
部5b−1がL字形に形成される一方、ボックス部40aに
形成される係合凹所40c−1が、L字形の接続部5b−1
が相対回転不能に係合される形状としたものである。そ
して、係合凹所40c−1は、ボックス部40aの一側面に開
口して、この開口部分が上方を向いているときに、接続
部5b−1が係合凹所40c−1に対して上下方向から係脱
されるようになっている(連結軸40の摺動不用)。
第18図、第19図は、第17図、第18図と同じように、ボ
ックス部40aに形成した係合凹所40c−2が上方を向いて
いるときにのみ、前側治具1Fの回転軸5に形成した接続
部5b−2が係脱され得るようにしたものであり、接続部
5c−2が断面四角形とされる一方、係合凹所40c−2が
この四角形に対応した形状とされている点が第16図、第
17図に示す場合と異なっている。
勿論、第16図〜第19図の場合においては、連結軸40と
前側治具1Fとの係脱可能な状態(係合凹所40c−1、40c
−2が上方を向いた状態)では、ボディWが正立位置
(第7図に示すボディWのルーフパネルが上向きの状
態)とされる。
台車変更装置 P2、P4、P7、P9、P11で台車Dの変更を行うための装
置であり、その一例を、第20図〜第22図に示してある。
この台車変更装置は、第22図に示すように、前工程での
台車移動軌跡R1と後工程での台車移動軌跡R2とが近接す
る移載ステーションS1に設置される。この移載ステーシ
ョンS1に設置される台車変更装置は、第20図、第21図に
示すように、実質的にリフタ51によって構成される。こ
のリフタ51は、左右一対のガイドポスト52と、各ガイド
ポスト52に上下駆動されるように取付けられた基台53
と、この各基台53より、それぞれ伸縮し得るように駆動
される支持脚54と、を有する。この各支持脚54は、それ
ぞれ、台車Dの移動方向に隔置された前後一対の支持部
54aを有する。
以上のような構成において、前工程からのボディWを
支持した台車Dが、移載ステーションS1で停止される。
台車Dが停止されると、最下方にある基台53より支持脚
54が伸ばされた後、基台53が上昇動される。これによ
り、第20図、第21図に示すように、台車D上のボディW
は、支持脚54の支持部54aによってボディWのサイドシ
ルあるいはフロアフレーム部分を支承されつつ、台車D
から持ち上げられて高い位置へと上昇される。この後、
前工程の台車Dが移載ステーションS1から離れ、後工程
用の台車Dが新たに移載ステーションS1に位置される。
この後は、基台53を下降させて、ボディWを台車Dに移
載する。そして、次の移載に備えて、支持脚54が縮長さ
れる(第21図一点鎖線参照)。このようにして、前工程
用の台車から後工程用の台車へとボディWが移載され
る。
勿論、ボディWの移載時には、台車Dを前後、左右方
向からクランプする位置決め装置等によって、当該台車
Dを所定位置に不動状態でしっかりと固定しておくのが
好ましい。
なお、台車Dの移載装置としては、高所を間欠送りさ
れるハンガを有するものとして、リフタ51により一旦ハ
ンガへ移し替えた後、このハンガによりボディWを後工
程用の台車Dの上方へ移動させ、この位置で再びリフタ
を利用してハンガから後工程用の台車Dへとボディを移
載するようにしてもよい。
補足説明および変形例 さて次に、本発明に関連した補足的な説明および台
車、塗装方法等の変形例について順次説明する。
先ず、工程P1でのゴミ除去の際には、ボディWを回転
軸線lを中心にして回転させつつ行なうとよい(第2図
(a)〜(i)参照)。これにより、ボディWの内面、
特に正立位置では下向きとなる面等に付着していたゴミ
が、重力により下方へ落下するので、より確実にゴミの
除去を行なえることになる。このことは、セッティング
工程や焼付工程でのボディWの回転の際にゴミが落下し
てこないということになって、高品質の塗装面を得る上
で重要となる。
中塗りの次に上塗りを行なう際には、中塗り用焼付工
程後の水研ぎを廃止することができる。この場合、ボデ
ィWを回転させるのは、中塗り工程あるいは上塗り工程
のいずれか一方のみであってもよい。すなわち、上塗り
後に得られる最終的な塗装面の良否は、中塗りの良否で
決定されることにもなるが、中塗りでボディWの回転を
行なった際には、この中塗りの仕上げレベルを高くする
ことができるので、従来行なわれていた水研ぎが不用に
なる。また、上塗りでボディWを回転させれば、中塗り
で水研ぎを行なわなくとも、中塗りの仕上げの悪さを上
塗りの良さでカバーすることができる。
上塗りでボディWの回転を行なう場合で、かつダレ限
界の小さい上塗り塗料によって薄い塗膜を形成する場合
は、いわゆるカラー中塗りを行なうとよい。これによ
り、上塗り塗料を通して中塗り塗料が透けて見えても、
色合の点で何等支承の無いものとなる。
台車Dの走行、停止に拘らずボディWの回転、停止の
切換えと、回転方向の変更切換えとは、例えば次のよう
にしても行なうことができる。先ず、第7図の例におい
て、スプロケット33にその径方向反対側からそれぞれ噛
合する第1、第2の一対のチェーン(チェーン34に相当
するもの)を設け、各チェーンをそれぞれ、適宜駆動し
得るようにすしておく。このような構成とすれば、次の
ような駆動態様に応じて、ボディWの回転制御がなされ
ることになる。
第1チェーン停止かつ第2チェーンをフリー: この場合は、台車Dの走行に伴なってボディWが一方向
に回転される。
第1チェーンフリーかつ第2チェーン停止: この場合は、台車Dの走行に伴なって上記とは逆方向
にボディWが回転される。
両方のチェーン共にフリー:この場合は、台車Dの走
行に伴なってボディWが回転されない。
第1チェーンを一方向に駆動かつ第2チェーンをフリ
ー: この場合は、台車Dが停止していても、ボディWが一方
向に回転される。
第1チェーンを他方向に駆動かつ第2チェーンをフリ
ー(第1チェーンをフリーかつ第2チェーンを他方向に
駆動でも同じ): この場合は台車Dが停止していても、ボディWが上記
の場合とは逆方向に回転される。
なお、上述したことは、チェーンに代えてラックバー
を用いても同様である。このラックバーを常に固定状態
として配置する場合は(この場合は台車Dの走行がボデ
ィWの回転の前提となる)、ラックバーを間欠的に配置
したり、あるいはラックバーを配置する位置を左右任意
に設定することにより、台車Dの走行位置に応じてボデ
ィWを任意の方向に回転させ得ると共に、任意の位置で
ボディWの回転を停止させ得る。
台車の変形例 第23図〜第25図は、台車Dの変形例を示すものであ
り、第7図〜第9図に示すものと同一構成要素には同一
符号を付してその説明は省略する。本実施例では、ボデ
ィWを回転させるための回転力を、台車Dの車輪22の回
転力を利用して取出すようにしてある。すなわち、基台
21には、軸受45を介して車軸46が回転自在に支持され、
この車軸46の各端部に車輪22が固定されている。そし
て、車軸46に固定したベベルギア47と、回転軸32の下端
部に取付けたベベルギア48とが噛合されている。これに
より、車輪22が回転されると、回転軸32を介して、ボデ
ィWが回転されることになる。なお、回転軸32の途中に
は、クラッチ49を設けて、台車Dの走行とボディWの回
転との関係を適宜断つことができるようにしてある。本
実施例の利点は、第7図〜第9図に示すチェーン34のよ
うな長尺なものが不用になることである。
焼付炉の好ましい態様 P6、P13の焼付工程において、ボディWの回転を、ボ
ディWの前後方向に伸びる回転軸線lが当該ボディWの
搬送方法を直交するように設定して、焼付炉内に収納し
得るボディWの数を極力多くし得るようにしてある。す
なわち、ボディWの前後方向に伸びる回転軸線lをその
ままボディWの搬送方向に伸ばした場合には、ボディW
の1台当たりに占める搬送方向長さが極めて長くなって
しまうという欠点を解消したものである。
先ず、第26図に示すように、ボディWは、その前後方
向を搬送方向として搬送された後、ターンテーブル61に
よって90゜垂直に回転されて、車幅方向が搬送方向とな
るように姿勢変換される。この後、焼付炉62内へ搬入さ
れる。勿論、この焼付炉62内でのボディWの回転は、そ
の前後方向に伸びる回転軸線lを中心として行なわれる
(回転軸線lがボディWの搬送方法と直交する)。
この焼付炉62内でボディWの回転を効率良くすなわち
省スペースで行なうため、次のようにするとよい。すな
わち、焼付炉62内の左右側壁部分には、それぞれ搬送方
向に伸びる第1、第2の一対のラックバー63F、63Rが固
定配置され、第1ラックバー63Fには、第1回転軸64Fに
固定したギア65Fが噛合され、第2ラックバー63Rには、
第2回転軸64Rに固定した第2ギア65Rが噛合されてい
る。上記第1回転軸64Fには、前治具1Fを介してボディ
Wの前部が着脱自在に連結され、また第2回転軸64Rに
は、後治具1Rを介してボディWの後部が着脱自在に連結
される。勿論、両回転軸64Fと64Rとは、回転軸線l上に
位置されている。
上記第2ラックバー63Rに沿って、エンドレスチェー
ン67が配設され、このチェーン67には、所定間隔毎に、
それぞれ前後一対の挟持片からなる支承部68が、一対化
されている。そして、各支承部68によって、第2回転軸
64Rが搬送方向前後から挟持されている。このチェーン6
7は図示を略すモータにより作動されるもので、防爆上
の見地から、焼付炉62とは離れた位置に設置されてい
る。なお、チェーン67のうち支承部68が第2回転軸64R
を前後方向から挟持している部分が垂れ下がらないよう
に、少なくともこの挟持部分の下方には、垂れ下り防止
用の支承ブラケット69が配設されている。
なお、第27図、第28図中70は熱風循環路であり、これ
に接続されたファン71によって、焼付炉62の上部より吹
込んだ熱風を、焼付炉62の下方から吹き出すようになっ
ている。
以上のような構成において、チェーン67の駆動によっ
て、各支承部68を介して、第2回転軸64Rが搬送方向へ
の押圧力を受ける。この押圧力によって、第1回転軸64
Rは勿論のこと、ボディWおよび第1回転軸64Fも、それ
ぞれ回転されつつ搬送方向へと駆動される。
塗料吹付けの好ましい態様 工程P3、P10に相当するが、使用する塗料が中塗り用
と上塗り用とで異なるのみなので、P10に着目して説明
する。
第35図に示す塗装ラインにおいては、ボディWの搬送
方向において、I〜VIIIのステーションに分けられてい
るので、この各ステーション毎に分流する。
ステーションI ステーションIでは連続搬送されているボディWをタ
クト搬送に移し変えるものである。また、第36図に示す
ように、タッチアップ治具80を利用して、ボンネット9
5、トランクリッド96を開状態に維持させる。なお、第3
6図では、ボディWを回転させない関係上、搬送用の台
車D′としては回転機能を有しない従来のものを示して
ある。
ステーションII ボディWの内面塗装用となる前段塗装ステーションで
ある。両側に配設された第1および第2中央塗装ロボッ
ト81、82により、ボディWの中央部を前後左右に4分割
した対角塗装部a1、a2の塗装を行うとともに、第1およ
び第2角部塗装ロボット83、84によりボディWの前後端
部の左右に分割した部分の半分c1、c2を塗装するもので
ある。この第1および第2角部塗装ロボット83、84は、
前記第1および第2中央部塗装ロボット81、82の塗装部
分a1、a2から離れた位置の角部c1、c2の塗装を行うもの
がそれぞれ両側に配設されている。
すなわち、図示の場合、第1中央部塗装ロボット81が
中央前右の第1中央部a1を分担塗装し、第2中央部塗装
ロボット82が中央後左の第2中央部a2を分担塗装し、ま
た、第1角部塗装ロボット83が前左の第1角部c1を分担
塗装し、第2角部塗装ロボット84が後右の第2角部c2
分担塗装するものである。
ステーションIII ボディWの内面塗装用となる後段階塗装ステーション
であり、前段塗装ステーションIIと同様に、両側に配設
された第3および第4中央部塗装ロボット85、86によ
り、ボディWの中央部を前後左右に4分割した残りの対
角塗装部a3、a4の塗装を行うとともに、第3および第4
角部塗装ロボット87、88により、ボディWの前後端部の
左右に分割した部分の残りの半分c3、c4を塗装するもの
である。この第3および第4角部塗装ロボット87、88
は、前記第3および第4中央部塗装ロボット85、86の塗
装部分a3、a4から離れた位置の塗装c3、c4を行うものが
それぞれ両側に配設されている。
すなわち、第3中央部塗装ロボット85が中央前左の第
3中央部a3を分担塗装し、第4中央部塗装ロボット86が
中央後右の第4中央部a4を分担塗装し、また、第3角部
塗装ロボット87が前右の第3角部c3を分担塗装し、第4
角部塗装ロボット88が後左の第4角部c4を分担塗装する
ものである。
上記前段および後段塗装ステーションIIおよびIII
は、ボディWのドア91、92、エンジンルーム93およびト
ランクルーム94の内面塗装を行う固定であり、各中央部
塗装ロボット81、82、85、86はドア開閉手段(図示せ
ず)を有する。
上述のようなステーションII、IIIでの分担塗装によ
り、塗装ロボット相互間の干渉を防止しつつ吹付け塗装
を効率良く行うことが可能となる。
ステーションIV ボディWをタクト搬送から連続搬送に移し変える。ま
た、マニュアル塗装により補正塗装を行う。この補正塗
装は、主として、ボディWのインナ部分とアウタ部分と
の境界位置に対して行われる。また、エンジンルーム93
およびトランクルーム94の塗装のためにボンネット95お
よびトランクリッド96を開放していたタッチアップ治具
80の回収を行う。そして新たにドア91、92、ボンネット
95、トランクリッド96を、図示を略するロック用治具を
利用して開かないように固定保持させる。なお、この固
定は、後のボディWの回転を行う際に、上記各部分91、
92、95、96が開いてしまわないようにするためである。
ステーションV ボディWの外面塗装であり、この外面のうち、ボディ
Wのトップ面およびサイド面に対する塗料の吹付けがな
される。この吹付けは、固定式あるいは往復式の自動塗
装機によって行われる。なお、このトップ面およびサイ
ド面への吹付けは、2回に分けて行うようになってお
り、このステーションVでの吹付けはその1回目の吹付
けに相当する。したがって、このステーションVで吹付
けられる塗料の厚さは、ダレ限界以内となる十分薄膜な
ものとされる。
ステーションVI マニュアル塗装による見込み補正である。すなわち、
次のステーションVII、VIIIでの外面塗装後に補正が必
要とされるであろう部分をあらかじめ見込んでなされ
る。この見込み補正を行っておくことにより、次のステ
ーションVII、VIIIでダレ限界以上の厚さに塗料を吹付
けた後、すみやかにボディWを回転させる次の乾燥工程
(セッティング工程)へと移行することができる。
ステーションVII ボディWのサイド面およびトップ面を除いた部分に対
する外面塗装が行われる。この塗装は塗装ロボット10
0、101を利用して行われる。そして、この部分における
塗料の吹付けは1回のみとされる関係上、吹付けられる
塗料の厚さは、ダレ限界以上の厚さとされる。
ステーションVIII ボディWのトップ面およびサイド面に対する2回目の
吹付けが行われる。この吹付けは前記ステーションVで
述べたのと同じように自動塗装機でなされる。そして、
ここでの塗料吹付けにより、トップ面およびサイド面で
の塗料の厚さも、ダレ限界以上のものとなる。
前記ステーションVおよびVIIIでの自動塗装は、用い
る塗装ガンの数を極力少なくするため、ボディWの回転
を利用した吹付けを行うとよい。すなわち、塗装ガンに
よる塗料吹付け方向を上、左、右のうち所定の一方向か
らのみとして、ボディWの回転を利用した被塗面の変更
を行なうとよい。
第29図〜第31図は、上方向からのみ塗料の吹付けを行
なう場合を示したものである。この場合は、塗装ブース
の頂壁に取付バー57を固定して、この取付バー55に複数
基の塗装ガン58を取付けてある。この各塗装ガン58は、
それぞれ下方に向けて塗料を噴射するものとなってい
る。
以上のような構成において、台車Dに水平方向に回転
可能に支持されたボディWは、例えば、先ずそのトップ
面に塗料が吹付けられる(第29図)。次いで、回転軸線
lを中心として90゜回転させた状態で、ボディWの右側
面に塗料が吹付けられる(第30図)。引き続き、ボディ
Wを回転軸線lの回りに180゜に回転させた状態で、ボ
ディWの左側面に塗料が吹付けられる(第31図)。
第32図〜第33図は、一側方からのみ塗料を吹付けるよ
うにした例を示すものである。すなわち、台車Dの左側
方に取付バー57が立設され、この取付バー57に複数基の
塗装ガン58が取付られている。この例では、例えば先ず
ボディWの左側面に塗料が吹付けられる(第32図)。こ
の後回転軸線lを中心に90゜回転された状態で、ボディ
Wのトップ面に塗料が吹付けられる(第33図)。さら
に、回転軸線lを中心とした180゜回転された状態で、
ボディWの右側面に塗料が吹付けられる(第34図)。
(発明の効果) 本発明は以上述べたことから明らかなように、ダレ限
界以上の厚さとなる塗料の塗布と被塗物の回転とを利用
して、同じ塗料の厚さであれば従来よりも平滑度の高い
高品質の塗装面を得ることができる。
また、ダレ防止のための被塗物の回転を、同一方向へ
の連続回転とすることにより、平滑度の極めて高いもの
とすることができる。さらに、セッティング工程と焼付
け工程との2種類の乾燥工程においてそれぞれ塗料ダレ
を生じるような塗料を用いた場合でも、各乾燥工程にお
いて被塗物を回転させることにより塗料ダレを防止し
て、最終的に平滑度の高い塗装面を得ることができる。
勿論、高温乾燥となる焼付工程の前に、焼付工程での温
度よりも低い温度で乾燥を行うセッティング工程を設け
てあるので、焼付工程時での加熱による塗装面へのピン
ホール発生を防止して、最終的に得られる塗装面を高品
質なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体工程図。 第2図は被塗物としての自動車用ボディが回転すること
に伴う姿勢変化の状態を示す図。 第3図、第4図は塗料の厚さとダレと塗装面の平滑度と
回転との関係を示すグラフ。 第5図、第6図はボディを回転させるために、用いる治
具の例を示す斜視図。 第7図はボディを回転させるようにしたボディ搬送用の
台車の一例を示す側面図。 第8図は台車の走行路下方の状態を示す一部切欠き平面
図。 第9図は第8図のX9−X9線断面図。 第10図は回転用治具と台車との結合部分を示す側面断面
図。 第11図は第10図X11−X11線断面図。 第12図は第11図の平面図。 第13図は第10図のX13−X13線断面図。 第14図は第10図のX14−X14線断面図。 第15図は第14図の平面図。 第16図、第17図は回転用治具と台車との結合部分の変形
例を示すもので、第16図は、第17図のX16−X16線断面
図、第17図は側面断面図。 第18図、第19図は回転用治具と台車との結合部分のさら
に他の変形例を示すもので、第18図は第19図のX18−X18
線断面図、第19図は側面断面図。 第20図は台車を変更させるための装置の一例を示す側面
図。 第21図は第20図の正面図。 第22図は台車の走行系路と台車変更装置の配置位置との
一例を示す簡略平面図。 第23図〜第25図は台車の変形例を示すもので、第23図は
側面図、第24図は要部簡略斜視図、第25図は台車走行路
の下方の状態を示す断面図である。 第26図は、焼付炉付近へのボディの搬送状態を示す簡略
平面図。 第27図は焼付炉の正面断面図。 第28図は焼付炉の一部省略側面断面図。 第29図〜第31図はボディのトップ面とサイド面とを塗装
する場合の一例を示す正面図。 第32図〜第34図はボディのトップ面とサイド面とを塗装
する場合の例を示す正面図。 第35図は塗料の吹付を行う場合の具体例を示す全体配置
図。 第36図は第35図の要部を示す側面図。 P1〜P13:工程 W:ボディ l:回転軸線 D:搬送用台車 1F、1R:回転用治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−61933(JP,A) 特開 昭57−100939(JP,A) 特開 昭60−223717(JP,A) 特公 昭61−53112(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被塗物の表面に塗料を塗布する塗装方法で
    あって、 略水平に伸びる回転軸回りに回転可能に支持された被塗
    物の少なくとも上下方向に伸びる表面に、ダレ限界以上
    の厚さに塗料を塗布する塗装工程と、 被塗物表面に塗布された塗料を焼付け乾燥させる焼付工
    程と、 前記塗装工程後でかつ前記焼付工程より前に行われ、該
    焼付工程における焼付温度よりも低い温度でもって被塗
    物表面に塗布された塗料を乾燥させるセッティング工程
    と、 を備え、前記塗装工程で塗布される塗料が、前記セッテ
    ィング工程においては塗料が塗布された直後で常温でも
    塗料の流動性が高いことに起因してそのまま放置してお
    けば重力の影響により塗料ダレを生じ、かつ前記焼付工
    程においては焼付時の加熱による塗料の熱フローに起因
    してそのまま放置しておけば重力の影響により塗料ダレ
    を生じるような塗料が用いられ、 前記セッティング工程において、被塗物表面に塗布され
    た塗料の塗料ダレが生じ始める前に被塗物を回転させ始
    め、かつこの場合の回転は、少なくとも塗布した塗料の
    塗料ダレが重力により生じ始める以前に被塗物表面が略
    垂直状態から略水平状態に移行するような速度で、しか
    も回転による遠心力によって塗料ダレが生じる速度より
    も遅い速度でもって同一方向に連続回転され、 前記焼付工程において、被塗物表面に塗布された塗料の
    塗料ダレが生じ始める前に被塗物を回転させ始め、かつ
    この場合の回転は、少なくとも塗布した塗料の塗料ダレ
    が重力により生じ始める以前に被塗物表面が略垂直状態
    から略水平状態に移行するような速度で、しかも回転に
    よる遠心力によって塗料ダレが生じる速度よりも遅い速
    度でもって同一方向に連続回転される、 ことを特徴とする塗装方法。
JP62027388A 1987-02-10 1987-02-10 塗装方法 Expired - Lifetime JP2603235B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62027388A JP2603235B2 (ja) 1987-02-10 1987-02-10 塗装方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62027388A JP2603235B2 (ja) 1987-02-10 1987-02-10 塗装方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63197579A JPS63197579A (ja) 1988-08-16
JP2603235B2 true JP2603235B2 (ja) 1997-04-23

Family

ID=12219672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62027388A Expired - Lifetime JP2603235B2 (ja) 1987-02-10 1987-02-10 塗装方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2603235B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5461933A (en) * 1977-10-26 1979-05-18 Fujitsu Ltd Coating film baking method of drum for printer
JPS57100939A (en) * 1980-12-15 1982-06-23 Hitachi Ltd Method for applying uniform thin film on surface of tube or rod
CA1237382A (en) * 1983-11-14 1988-05-31 Thomas N. Urquhart Electrodeposition system and method therefor
JPS6153112A (ja) * 1984-08-21 1986-03-17 Okutama Kogyo Kk 炭酸カルシウムの回収方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63197579A (ja) 1988-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2603235B2 (ja) 塗装方法
JP2603236B2 (ja) 塗装方法
JP2526229B2 (ja) 塗装方法
JP2653430B2 (ja) 塗装方法
JP2512866B2 (ja) 塗装ラインにおける搬送台車
JP2672084B2 (ja) 塗装方法
JPH0630292Y2 (ja) 塗装ラインにおける搬送台車
JP2526230B2 (ja) 自動車ボデイの塗装方法
JPS63197584A (ja) 塗装方法
JP2545434B2 (ja) 塗装方法
JP2636353B2 (ja) 塗装方法
JP2603245B2 (ja) 塗装方法
JP2517591B2 (ja) 塗装ラインにおける自動車ボデイ回転方法
JP2637780B2 (ja) 塗装方法
JP2526231B2 (ja) 塗装方法
JPS63197583A (ja) 塗装方法
JP2559761B2 (ja) 塗装方法
JPS63248479A (ja) 塗装方法
JP2517590B2 (ja) 塗装ラインにおける自動車ボデイ回転用治具
JP2587065B2 (ja) 自動車ボディの塗装方法
JP2656610B2 (ja) 塗装方法
JP2637785B2 (ja) 塗装方法
JP2587083B2 (ja) 塗装方法
JP2637781B2 (ja) 塗装方法
JP2684098B2 (ja) 自動車車体の塗装・乾燥方法

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term