JPH0712731U - 廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融炉から排出される廃棄物焼却灰の溶融ス
ラグを冷却する廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置の維
持費を安く、かつ小型にする。 【構成】 溶融スラグを排出する溶融炉の出滓部Ｈ_O の
下部に、下側に固化スラグを排出する排出口２ｃを有す
る排出口部２を設け、排出口部２を貫通させた水平な回
転軸５を排出口部２の外側に設けた軸受部６，６で、外
周部に５個のモールド４ａを有する回転モールド４を回
転軸５で間歇回転自在に支持すれば、回転モールド４が
排出口部２の内側であり、排出口２ｃが回転モールド４
の下方であるから、軸受部６，６の位置に固化スラグの
微粉末の飛来がなく、回転軸５の摩耗が少なくなり、溶
融スラグ冷却装置１を長期間安定して使用できると共
に、コンベアが不要になるから小型にすることができ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、下水汚泥，都市ごみ，産業廃棄物の焼却灰或いは石炭を燃料とする ボイラ，キルン，工業炉等から排出される石炭灰等の灰の溶融スラグを冷却固化 する溶融スラグ冷却装置の改善に係り、維持費が安価で、しかも小型化を可能な らしめる廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、上記のような廃棄物焼却灰を処理するに際しては、溶融炉により溶融し てスラグ化した後に冷却固化している。溶融スラグを冷却固化するのは、廃棄物 焼却灰の処分量の減容化及び重金属等の有害物質の固定化を狙いとしたものであ るが、溶融スラグを冷却固化するには、溶融炉の下方位置にチェーンコンベアを 設けて、このコンベアのチェーンに複数のモールド或いはバケットを取付ける。 そして、これらモールド或いはバケットで溶融スラグを受入れて、コンベアの チェーンを間歇循環させながら受入れた溶融スラグを冷却固化させると共に、モ ールド或いはバケットの反転で離型させることによって固化スラグを得ている。 ところで、モールド或いはバケットをチェーンで搬送・循環させながら受入れ た溶融スラグを固化させるものとしては、例えば、本願出願人の出願になる特願 平４−１９２０２号や実公平１−３３９４１号公報に記載されている。

【０００３】 前者のスラグ排出装置１は、その側面断面図の図３に示すように、チェーンコ ンベア４が内設されてなるケーシング２が傾斜配設されてなり、ケーシング２に は溶融スラグＳを流下させる出滓口３が接続されている。前記チェーンコンベア ４は、ケーシング２の長手方向の端部付近に所定の間隔で一対づつ設けられる従 動スプロケット４ａと、ケーシング２の上に設けられたモータＭで駆動される駆 動スプロケット４ｂとを備え、これら一対づつのスプロケット４ａ，４ｂに跨が って無端状の一対のチェーン４ｃが掛装されている。一対のチェーン４ｃの内側 には複数のモールド４ｄが所定の間隔で配設され、さらに一対のチェーン４ｃの 相反する側にはレール（図示省略）の上を転動するガイドローラ（図示省略）が 取付けられている。一方、ケーシング２の搬送先側の下側には、２重スライドゲ ート２ｂを有する排出口２ａが突設され、２重スライドゲート２ｂの開放によっ て、モールド４ｄの反転で離型した固化スラグＣが、排出口２ａ直下に配設され ている固化スラグコンテナ５中に落下するようになっている。

【０００４】 また、後者の冷却固化装置は、その一部切欠正面図の図４に示すように、コン ベア１８は、溶融物を収容する耐熱性バケット１８ａの多数を、左右のチェーン １８ｂにわたって架設した状態で、かつ、相隣るバケット１８ａの端部が同位相 或いは重なる状態で接近並置され、高温炉床（図示省略）からの溶融物を受取る 位置Ａと、これらバケット１８ａの上下反転に伴って固化物を回収ホッパー１９ に放出する位置Ｂにわたって、バケット１８ａの夫々を順序循環させるように構 成されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記各従来技術は何れもそれなりに有用であるが、モールド或いはバケットを 循環させるコンベアのチェーンの寿命が短いという点、つまり、固化スラグから 微粉末が飛散し、飛散した微粉末がチェーンの摺動部分に付着するので早期にチ ェーンが摩耗してしまい、平均的には１年毎に交換しなければならないので、ス ラグ排出装置或いは冷却固化装置の維持費が嵩む他、小型化が好ましいにも係わ らず、広い設置スペースを要するという解決すべき課題があった。

【０００６】 従って、本考案の目的とするところは、従来のものが持つ以上のような課題を 解決し、維持費の削減を可能ならしめると共に省スペース型の廃棄物焼却灰の溶 融スラグ冷却装置を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、固化スラグの硬度が、離型時の落下に際して割れたり型崩れしたり しない程度であれば良く、従来のように、コンベアによる搬送・循環によりそれ 程長時間冷却する必要がないことを知見してなしたものであって、従って、上記 課題を解決するために、本考案に係る廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置が採用 した主たる手段の特徴とするところは、廃棄物の焼却灰を溶融する溶融炉の出滓 部の下部に固化スラグを排出する排出口を有する排出口部を設け、前記出滓部と 排出口との間に設けた水平な回転軸の端部を前記排出口部の外側で支持すると共 に、該回転軸により前記出滓部から流下する溶融スラグを受入れる複数のモール ドを外周部に備えた回転モールドを前記モールドのピッチに合わせて間歇回転自 在に支持したところにある。

【０００８】

【作用】

本考案に係る廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置によれば、複数のモールドを 外周部に備えた回転モールドが排出口部の内側にあり、この回転モールドを間歇 回転自在に支持する水平な回転軸の端部が排出口部の外側で支持されており、そ して固化スラグを排出する排出口が回転モールドの下方であるから、水平な回転 軸の端部の支持部に微粉末が飛来することは少ない。また、複数のモールドを外 周部に備えた回転モールドのためコンベアが不要である。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例に係る廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置１を、その模 式的側面断面図の図１ａと、図１ａのＡ−Ａ線断面図の図１ｂとを参照しながら 説明すると、これらの図に示す符号Ｈ_O は、溶融された廃棄物焼却灰の溶融スラ グが流下する図示しない溶融炉の出滓部であって、この出滓部Ｈ_O の下部には、 上側に大径部２ａを有すると共に漏斗状部２ｂを介して下側に小径で、かつ固化 スラグを排出する排出口２ｃを有する排出口部２が設けられている。この排出口 ２ｃには２重スライドゲート３が設けられ、この２重スライドゲート３の開放に よって、後述する回転モールド４の間歇回転による反転で離型した固化スラグが 、排出口２ｃ直下に配設されている固化スラグコンテナ（図示省略）内に落下す るように構成されている。

【００１０】 前記回転モールド４は、排出口部２の大径部２ａの内側において、この大径部 ２ａを水平に貫通し、突出端部の夫々が大径部２ａの外側に設けた軸受部６，６ で支持されてなる回転軸５によって間歇回転自在に支持されている。この回転モ ールド４の形状は、回転中心を中心とした正５角形をしていて、その外周の平面 側に開口する５個のモールド４ａを備えている。前記回転モールド４の間歇回転 は、モールド４ａ内に流下し続けながら溜まる溶融スラグの冷却程度、つまり硬 さの程度を考慮した一定時間毎に７２°づつ回転されるが、その回転はカム機構 （図示省略）によって行われように構成されている。

【００１１】 以下、上記溶融スラグ冷却装置１の作用態様を説明すると、出滓部Ｈ_O から流 下する溶融スラグは、モールド４ａ内に流下し続けながら溜まると共に順次固化 する。そして一定の時間が経過すると回転軸５が７２°回転され、次のモールド ４ａ内に溶融スラグが流下し続けて溜まると共に順次固化すると、また回転軸５ が７２°回転されるというように回転モールド４が間歇回転され、回転軸５があ る角度回転されると固化スラグが２重スライドゲート３上に落下する。そして、 ２重スライドゲート３上に所定量の固化スラグが溜まると、２重スライドゲート ３が開放され、例えば、排出口部２の下方に配置されている固化スラグコンテナ （図示省略）内に落下して排出されることとなる。

【００１２】 この場合、従来例に比較して冷却時間が短く固化スラグの温度が高いので、固 化スラグの硬度は低いが、離型時には確実に形状が保持され、落下に際して固化 スラグが割れたり、型崩れしなかった。因みに、２０ｋｇ／分で流下する溶融ス ラグを容量３０リットルのモールド４ａで冷却させる場合では、回転モールド４ を４分毎に間歇回転させることにより、割れたり、型崩れしない固化スラグが得 られた。ところで、回転モールド４を回転させる直前にモールド４ａ内に流下し た溶融スラグはすぐには固化せず、未固化のスラグは回転モールド４の回転で零 れ落ちるが、零れ落ちる量は極く僅かで実用上の支障がないことを確認した。

【００１３】 そして、上述の通り、回転モールド４が排出口部２の大径部２ａの内側におい て、この回転モールド４を間歇回転自在に支持する水平な回転軸５の端部が排出 口部２の外側に設けた軸受部６，６で支持されており、そして、固化スラグを排 出する排出口２ｃが回転モールド４の下方である。そのため、回転軸５の端部を 支持する軸受部６，６に微粉末が飛来せず、回転軸５の摩耗が少なくなるから、 回転軸５の使用可能期間が延長され、溶融スラグ冷却装置１を長期間安定して運 転することができる。なお、回転モールド４を所定の回転速度で連続的に回転さ せることもできる。但し、この場合はモールド４ａに溜まる溶融スラグが少量な ために溶融スラグが急冷され、ガラス質の固化スラグになる。

【００１４】 さらに、以上の説明から良く理解されるように、従来例のように、複数のモー ルド或いはバケットをチェーンで搬送・循環させるコンベアでなく、回転モール ド４を間歇回転させるだけの構成である。従って、極めて小型であるから省設置 スペースに対する効果があり、必然的に溶融スラグ冷却装置に係るイニシャルコ ストの削減も可能になる。

【００１５】 次に、本考案の他の実施例に係る溶融スラグ冷却装置を、回転モールドの模式 的側面図の図２を参照しながら説明すると、この実施例が上記実施例と相違する ところは、モールド４ａの数にあり、回転モールド４に９個のモールド４ａを設 けたものである。従って、回転モールド４の間歇回転角度が相違するだけである から、本実施例に係る作用と効果は、上記実施例と同効である。

【００１６】 なお、以上では、回転モールド４に５個と９個とのモールド４ａを設けた例を 説明したが、これらモールド４ａに対して所定の抜き勾配が設けられていれば良 いから、特に、モールド４ａの数に限定されるものではない。

【００１７】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案に係る溶融スラグ冷却装置によれば、複数のモー ルドを外周部に備えた回転モールドが排出口部の内側にあり、この回転モールド を間歇回転自在に支持する水平な回転軸の端部が排出口部の外側で支持されてお り、固化スラグを排出する排出口が回転モールドの下方で、水平な回転軸の端部 の支持部に微粉末が飛来することが少なく、微粉末に起因する回転軸の摩耗が少 なくなってメインテナンス間隔を延長し得ると共に、回転モールドの採用により 溶融スラグ冷却装置を小型化することが可能になり、この装置の維持費の削減と 省設置スペースに対して多大な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１ａは本考案の実施例に係る溶融スラグ冷却
装置の模式的側面断面図で、図１ｂは図１ａのＡ−Ａ線
断面図である。

【図２】本考案の他の実施例に係る回転モールドの模式
的側面図である。

【図３】従来例に係るスラグ排出装置の側面断面図であ
る。

【図４】従来例に係る冷却固化装置の一部切欠正面図で
ある。

【符号の説明】

Ｈ_O …溶融炉の出滓部、１…溶融スラグ冷却装置、２…
排出口部、２ａ…大径部、２ｃ…排出口、３…２重スラ
イドゲート、４…回転モールド、４ａ…モールド、５…
回転軸、６…軸受部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物の焼却灰を溶融する溶融炉の出滓
   部の下部に固化スラグを排出する排出口を有する排出口
   部を設け、前記出滓部と排出口との間に設けた水平な回
   転軸の端部を前記排出口部の外側で支持すると共に、該
   回転軸により前記出滓部から流下する溶融スラグを受入
   れる複数のモールドを外周部に備えた回転モールドを前
   記モールドのピッチに合わせて間歇回転自在に支持した
   ことを特徴とする廃棄物焼却灰の溶融スラグ冷却装置。