JPH0712254B2 - 藺草ハーベスタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は刈取後の藺草を吊下げ支持して搬送し乍ら、屑
藺草を選り出す選り装置を設けてある藺草ハーベスタに
関する。

〔従来の技術〕

この種の藺草ハーベスタにおいて、従来は、挾持搬送装
置で吊下げ支持されて送られる藺草の株元側を、搬送方
向と直交する横方向に回転する複数段の係止爪付回転チ
ェーンで梳き作用を加えて屑藺草を選り出し乍ら、引掛
係止する状態ですくい上げ横倒し姿勢にしてデッキ上に
載置する構成を採っていた（特公昭62−60043号公
報）。

〔発明が解決しようとする課題〕

この場合には、屑藺草を選り出し乍ら藺草を横倒し姿勢
に載置させる機能を前記係止爪付回転チェーンだけで備
える特徴を有するものであるが、藺草の株元側を係止爪
で引掛けて強制的にすくい上げるように横倒し姿勢にす
るので、どうしても藺草が傷付き易い点があるととも
に、係止爪が搬送される藺草全てに対して万遍なく接触
することがないので選り残しが出る等屑藺草の除去が十
分でない面があった。

本発明の目的は屑藺草の除去及び横倒し姿勢でのデッキ
上への載置が円滑に行え、かつ、藺草の損傷が少く、屑
藺草の除去能力の向上が図れるものを提供する点にあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明による特徴構成は、藺草の株元を切断する刈取装
置を機体の左右幅方向に沿って設け、刈取後の藺草の茎
先側を吊下げ挾持して機体前方側から後方側に向けて搬
送する挾持搬送装置を設け、前記刈取装置の後方側に、
機体の左右幅方向に沿う横向きの風を吹き出す送風装置
を、その吹き出し口が前記刈取装置における既刈側の一
端部近くの上方に位置する状態に配設して、前記挾持搬
送装置で吊り下げ搬送される藺草の挟持箇所より株元側
を前記送風装置からの吹き出し風によって上方に吹上げ
ながら屑藺草をさばき選り出す風力選り装置を構成し、
前記挾持搬送装置で吊下げ搬送される藺草の挾持箇所よ
り株元側を係止して、前記送風装置の吹き出し口前方へ
強制搬送する係止搬送装置を、その搬送作用終端部が前
記吹き出し口の近くに位置する状態で設け、前記送風装
置よりも上方位置にその送風装置で選別された藺草を横
倒し姿勢に載置するデッキを設け、さらに、前記送風装
置で吹上げられた藺草の株元側を受け止めて前記デッキ
へ向けて持上げる持上げ搬送装置を設けてある点にあ
る。

もしくは、上記特徴構成に加えて、横倒し姿勢に持上げ
られた藺草の株端側箇所に、株端から突出した屑藺草を
挾持して桿身方向に引抜く一対の選りローラを設ける点
にある。

〔作 用〕

上記の特徴構成によると、刈取後、挾持搬送装置によっ
て茎先側を諺持されて機体前方から後方に向けて吊下げ
搬送される藺草の挾持箇所により株元側を、終端部を前
記吹き取し口の近くに位置させた係止搬送装置によって
送風装置の吹出し口前方へ強制的に送り込み、藺草の挾
持箇所より株元側に対して、例えば第４図に示すよう
に、刈取装置の後方に配設した送風装置からの刈取装置
に沿う横向きの風を吹付けて藺草をさばくことによって
茎先側を挾持されていない短い屑藺草を選り出すことが
できるとともに、藺草をその風力によって吹上げて、そ
の吹上げ途中（或いは略横倒し姿勢になった状態）から
持上げ搬送装置で藺草の挾持箇所より株元側を受止め、
そのまま横倒し状態でデッキに送り込むことができる。

この場合、前記係止搬送装置は、その搬送作用終端部を
前記吹き出し口の近くに位置させた状態で設けてあるか
ら、送風装置からの放出風を受ける藺草は係止搬送装置
により送風装置の吹出し口前方へ確実に強制搬送され
る。送風装置の吹き出し口は刈取装置における既刈側の
一端部近くの上方に位置させてあるから、刈り取られた
藺草のほぼすべてを前記吹き出し口に近接させることが
できて、それらの藺草に強い風を吹きつけることができ
る。

又、これに選りローラを加えた場合には、風力選りを受
けて抜け切れずに搬送藺草の株端から突出している屑藺
草を選りローラに挾持して確実に引抜き除去することが
できる。

〔発明の効果〕 風力式の選りを行うものであるから、藺草を損傷さ
せるといったことが少なく、かつ、万遍なく吹き出し風
を作用させることができるので、屑藺草の選り残しが少
ない。

送風装置で一旦吹上げられた後その吹上途中（或い
は略横倒し姿勢になった状態で）から持上げ搬送装置を
作用させるようにしたので、従来構成のように、係止爪
で引掛けて強制的に桿身方向は引摺るように持上げてい
く場合に比べて風力で吹上られたものを持上げるだけで
あるから、引摺り度合いが小さく、藺草の摺り傷発生が
ほとんどない状態でデッキ上へ藺草を揃えて載置するこ
とができる。

又、刈取の停止に伴って一旦送風装置を停止した場
合から作業を開始する場合に、送風装置だけでデッキま
で持上げる構成のものでは送風装置がフルパワーに立上
がるまでに所定時間が必要でその為にデッキ上への持上
げ十分でないことがあるが、本発明のものでは少なくと
もフルパワーに立上がるまでの所定時間の間においても
持上げ搬送装置でデッキ上に移載できるので、その間作
業の流れが滞ることがない。

又、請求項２に記載のように選りローラを備えた構
成にすると、選り性能が更に高いものとなり、選別精度
の高い藺草収穫が可能となる。

〔実施例〕

乗用型の藺草ハーベスタについて説明する。第１図ない
し第３図に示すように、植立藺草の絡みを解かす左右一
対の分草装置（１），（１）、分草後の植立藺草を導入
し乍ら引起す左右一対の引起し装置（２），（２）、引
起された藺草の株元を切断するバリカン型の刈取装置
（３）等を走行機体（４）の横一側方に配するととも
に、刈取られた藺草の上部を吊下げ挾持して機体後方に
搬送する挾持搬送装置（５）を設け、この挾持藺草の挾
持箇所より株元側を機体横側方に向けて強制搬送する係
止爪付きの横送り搬送装置（８）を設けるとともに、こ
の横送り搬送装置（８）によって送風装置（6A）吹出口
（6a）前方にまで強制的に搬送された藺草の株元側を、
送風装置（6A）吹出口（6a）からの吹き出し風によって
上方に向けて吹上げて屑藺草をさばき選り出す風力式選
り装置（６）を設け、更に、放出風によって吹上げられ
た藺草の株元側をデッキ（10）上に導くように３列の突
起付搬送ベルトを並設してなる持上げ搬送装置（12）を
備えるとともに、デッキ（10）上に送り込まれた藺草を
結束する結束装置（７）を配し、以上を刈取フレーム
（33）に載置してこの刈取フレーム（33）を走行機体
（４）に対して横軸心（Ｘ）周りで上下揺動可能に枢支
するとともに、この結束装置（７）の後方にシリンダ
（14）とパンダグラフ機構とによって上下する収積部
（15）としての積載台を設け、機体後方にエンジン（1
6）及び引起し装置（２）とは反対側横一側に運転部
（９）を設け、これらを左右クローラ走行装置（11），
（11）を備えた走行機体（４）に搭載して乗用型の藺草
ハーベスタを構成してある。尚、図中（17）はエンジン
（16）の横側方に設けられた補助積載台である。

第１図ないし第３図に示すように、分草装置（１）は後
傾斜姿勢で上下端を枢支された杆体（1a）を、その枢支
軸心を中心に紡錘状に公転させ乍ら反対向きに自転させ
て藺草の絡み付きを解す作用を行う。

又、引起し装置（２），（２）は上下一対のスプロケッ
ト（2a），（2a）に亘って巻回したチェーン（2b）に多
数の引起し用起状爪（2c）を取付けて、後傾斜姿勢に配
置されている。前記挾持搬送装置（５）は掻込みホイー
ル（32）を備えた横回し式の左右一対の挾持用ベルト
（5a），（5a）を並設し、その軟質材製のベルト（5
a），（5a）で藺草を傷めない程度に挾持する構成とな
っており、やや後方がり傾斜姿勢に設定されている。

前記選り装置（６）は、前記横送り搬送装置（８）の終
端位置に吹出口（6a）を設けた送風装置（6A）からな
り、送風装置（6A）からの風を機体横側方に向けて水平
方向に吹出させて、前記挾持搬送装置（５）で吊下げ搬
送される藺草を上方に向けて吹上げ、屑藺草をさばき選
り出す。

又、前記搬送装置（6A）の風下側に前記送風装置（6A）
で吹上げられた藺草の株元側を下方から支持してデッキ
（10）上に導く持上げ搬送装置（12）を設けるととも
に、この持上げ搬送装置（12）を構成する搬送ベルトに
一体形成された突起を上下一対の藺草誘導ガイド（13）
空間内に臨ませてある。そして、前記藺草誘導ガイド
（13）は横側面視で送風装置（6A）吹出口（6a）の上方
により鉛直に立上がりデッキ（10）と略同一高さより機
体後方に向けて屈曲し、結束装置（７）に対応してデッ
キ（10）に向けて水平に延設してある。したがって、上
記のような構成によって持上げ搬送装置（12）に支持さ
れた藺草の株元側は水平経路に移行して後記する上下の
選りローラ（18A），（18B）によって引張作用を受け屑
藺草が引抜かれるとともに、この屑藺草が屑藺草用切断
装置（19）で切断され、かつ、挾持搬送装置（５）によ
って挾持されている藺草の株元側が株揃え用切断装置
（20）で切断され、株元長さが切り揃えられて結束装置
（７）に搬入される。

次に、持上げ搬送装置（12）の上端経路に略等しい高さ
位置で、持上げ搬送装置（12）を挾んで送風装置（6A）
の反対側に位置する位置に上下一対の選りローラ（18
A），（18B）を配し、挾持搬送される藺草の株端から突
出している屑藺草をこの上下一対の選りローラ（18
A），（18B）によって挾持して強制的に桿身方向に引抜
くべく構成してある。結束装置用ミッションケース（7
A）に伝動ケースを介して取付けてある上側の駆動選り
ローラ（18A）と下側の遊転選りローラ（18B）で引抜か
れる屑藺草を切断する屑藺草用切断装置（19）が設けら
れるとともに、持上げ搬送装置（12）上端経路における
選りローラ（18A），（18B）の直後方に結束装置（７）
に向けて搬送される藺草の株元側を切り揃えて所定の結
束装置（７）突入長さにする株揃え用切断装置（20）が
設置されている。第６図、第８図及び第９図に示すよう
に、前記屑藺草用切断装置（19）は、横向きの回転軸
（21）に一体回転可能に取付けてあるヘッドアーム（2
2）と、ヘッドアーム（22）と一体で回転軸（21）軸心
周りに回転すべくボルト連結された可動刃（23）と、こ
の可動刃（23）の上下揺動に対してこの可動刃（23）と
交互に屑藺草を切断する上下一対の受刃体（24a），（2
4b）を基端側で一体にした固定受刃（24）と、固定受刃
（24）を回動軸（21）に支持する取付台（25）とからな
る。ヘッドアーム（22）に対して一定範囲で回転するク
ランクアーム（26）を係合し、ヘッドアーム（22）を一
定範囲で上下揺動させ、屑藺草を切断する。又、株揃え
用切断装置（20）は、前記回動軸（21）における前記ヘ
ッドアーム（22）取付け端とは反対側部に一体回動可能
に取付けてある揺動ヘッド（27）と、この揺動ヘッド
（27）先端に取付けた単一の短尺可動刃（28）と、この
短尺可動刃（28）の上下に配置された固定受刃（29），
（29）とからなり、前記クランクアーム（26）によって
左右に揺動される回転軸（21）によって可動刃（28）が
上下の固定受刃（29），（29）と交互に重なり、搬送さ
れる藺草の株元側を所定長さに切り揃える機能を有す
る。

次に、伝動系を説明する。

第１図及び第２図に示すように、機体後端に搭載された
エンジン（16）の近くにミッションケース（30）を配置
するとともに、ミッションケース（30）両端にクローラ
走行装置用伝動ケース（31），（31）を配し、ミッショ
ンケース（30）と前記横軸心（Ｘ）上に配置された伝動
軸（34）とをベルト伝動し、エンジン（16）とミッショ
ンケース（30）との間に主クラッチ機構（35）、及び、
ミッションケース（30）と前記伝動軸（34）との間に刈
取クラッチ機構（36）を設けてある。一方、引起し装置
（２）に対する縦向き伝動軸（37）の下端と前記伝動軸
（34）とを伝動連結するとともに、この縦向き伝動軸
（37）の途中から、挾持搬送装置（５）、係止爪付横送
り搬送装置（８）、及び、前記送風装置（6A）への動力
が分岐され、送風装置（6A）へはベルト伝動構造が採ら
れている。又、前記横軸心（Ｘ）位置での伝動軸（34）
の他端から結束装置用ミッションケース（7A）に向けて
伝動系を設けてある。

〔別実施例〕 第10図に示すように、送風装置（6A）の吹出し風に
よって吹上がられた藺草の株元側を受止めてデッキ（1
0）まで持上げ搬送装置（12）で移送し、デッキ（10）
で横倒し姿勢に姿勢設定した後そのまま結束せずに収積
部（15）に流し込む構成を採ってもよい。

挾持搬送装置（５）としては二つのベルトを対向さ
せた構成にしてあるが、突起付チェーンとガイド杆で挾
持搬送する構成をとってもよく、実施例中のものに限定
されない。

収積部（15）としては特に昇降する構成のものでな
くてもよい。

前記持上げ搬送装置（12）としては搬送チェーンに
係止爪を起状自在に取付けたものでもよく、藺草の株元
側を支持して持上げる構成のものであれば他のものでも
よい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に番号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る藺草ハーベスタの実施例を示し、第
１図は全体側面図、第２図は全体平面図、第３図は全体
正面図、第４図は送風装置での選り作用状態を示す正面
図、第５図は第４図における平面図、第６図は屑藺草用
切断装置及び株揃え用切断装置を示す横断平面図、第７
図は株揃え用切断装置を示す側面図、第８図は屑藺草用
切断装置を示す側面図、第９図は屑藺草用切断装置及び
株揃え用切断装置を示す縦断正面図、第10図は、夫々、
別実施例を示す側面図である。 （３）……刈取装置、（５）……挾持搬送装置、（6A）
……送風装置、（6a）……吹き出し口、（８）……係止
搬送装置、（10）……デッキ、（12）……持上げ搬送装
置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−265014（ＪＰ，Ａ) 実公 昭53−46334（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭51−14843（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】藺草の株元を切断する刈取装置（３）を機
   体の左右幅方向に沿って設け、刈取装置の藺草の茎先側
   を吊下げ挾持して機体前方側から後方側に向けて搬送す
   る挾持搬送装置（５）を設け、前記刈取装置（３）の後
   方側に、機体の左右幅方向に沿う横向きの風を吹き出す
   送風装置（6A）を、その吹き出し口（6a）が前記刈取装
   置（３）における既刈側の一端部近くの上方に位置する
   状態に配設して、前記挾持搬送装置（５）で吊り下げ搬
   送される藺草の挟持箇所より株元側を前記送風装置（6
   A）からの吹き出し風によって上方に吹上げながら屑藺
   草をさばき選り出す風力式選り装置（６）を構成し、前
   記挟持搬送装置（５）で吊下げ搬送される藺草の挾持箇
   所より株元側を係止して、前記送風装置（6A）の吹き出
   し口（6a）前方へ強制搬送する係止搬送装置（８）を、
   その搬送作用終端部が前記吹き出し口（6a）の近くに位
   置する状態で設け、前記送風装置（6A）よりも上方位置
   にその送風装置（6A）で選別された藺草を横倒し姿勢に
   載置するデッキ（10）を設け、さらに、前記送風装置
   （6A）で吹上げられた藺草の株元側を受け止めて前記デ
   ッキ（10）へ向けて持上げる持上げ搬送装置（12）を設
   けてある藺草ハーベスタ。
2. 【請求項２】藺草の株元を切断する刈取装置（３）を機
   体の左右幅方向に沿って設け、刈取装置の藺草の茎先側
   を吊下げ挾持して機体前方側から後方側に向けて搬送す
   る挾持搬送装置（５）を設け、前記刈取装置（３）の後
   方側に、機体の左右幅方向に沿う横向きの風を吹き出す
   送風装置（6A）を、その吹き出し口（6a）が前記刈取装
   置（３）における既刈側の一端部近くの上方に位置する
   状態に配設して、前記挾持搬送装置（５）で吊り下げ搬
   送される藺草の挟持箇所より株元側を前記送風装置（6
   A）からの吹き出し風によって上方に吹上げながら屑藺
   草をさばき選り出す風力式選り装置（６）を構成し、前
   記挟持搬送装置（５）で吊下げ搬送される藺草の挾持箇
   所より株元側を係止して、前記送風装置（6A）の吹き出
   し口（6a）前方へ強制搬送する係止搬送装置（８）を、
   その搬送作用終端部が前記吹き出し口（6a）の近くに位
   置する状態で設け、前記送風装置（6A）よりも上方位置
   にその送風装置（6A）で選別された藺草を横倒し姿勢に
   載置するデッキ（10）を設け、さらに、前記送風装置
   （6A）で吹上げられた藺草の株元側を受け止めて前記デ
   ッキ（10）へ向けて持上げる持上げ搬送装置（12）を設
   けるとともに、横倒し姿勢に持上げられた藺草の株端側
   箇所に株端から突出した屑藺を挾持して桿身方向に引抜
   く一対の選りローラ（18A），（18B）を設けてある藺草
   ハーベスタ。