JP2525498B2 - 藺草収穫機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、藺草収穫機に関する。

〔従来の技術〕

藺草の栽培においては、生成した藺草が無方向に倒伏
して損傷したり、大きく絡まり合うことが無いように網
が掛けられて、藺草は垂直に近い姿勢に保持されてお
り、収穫時にはこの藺草姿勢保持用の網を未刈植立藺草
の上にめくり上げる必要がある。

そのような網のめくり上げを行う手段を構成するに、
従来では、特開明64−67120号公報に見られるように、
刈取前処理部の未刈地側の横側部位に、ケース内で回転
駆動するチェンに取付ラグを適宜間隔に配設する網外装
置を左右方向に設けていた。つまり、網に係止した状態
での取外ラグの横外方への移動により、藺草にほぼ水平
姿勢となるように掛けられた網を未刈植立藺草側に寄せ
るように構成されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、上記従来の技術によるときは、取外ラグの移
動方向を水平に近い方向に設定すると、藺草が垂直に近
い姿勢にある関係上、取外ラグが藺草に沿って移動せず
に藺草に当たるように移動して藺草を傷つけ易い。だか
らといって、取外ラグの移動方向を垂直に近い方向に設
定すると、網を未刈植立藺草側にまで運ぶのに必要な取
外ラグの移動距離が長くなり、その結果、取外ラグによ
る網の係止搬送を、網と取外ラグとの機体進行方向での
相対的な変位を極力抑えて良好に行うには、取外ラグの
移動速度（つまり、係止搬送速度）を大きくするか、或
いは、機体進行速度を遅くするかのいずれかの手段を講
じる必要がある。そして、取外ラグの移動速度を大きく
した場合には、取外ラグが藺草に強く擦れることになっ
て、藺草の損傷させ易くなり、反対に、機体進行速度を
遅くした場合には、作業能率が低下する。

しかも、取取ラグが網に係止したままなかなか外れず
に網に強い力が作用する事態を生じることがあり、網も
損傷し易い。

本発明はこのような実情に着目してなされたものであ
って、作業能率の低下を招来することなく、藺草及び網
を傷つけずに網をめくり上げることができる藺草収穫機
を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明においては、刈取
前処理部の未刈地側の横側部位に、植立藺草に掛けられ
た倒伏防止用の網にブロワからの風を下方から吹付けて
未刈地側にめくり上げる吹出し口を設けた構成とした。

〔作 用〕

上記構成によると、機体を藺草の植立株列に沿って走
行させるに伴って、吹出し口からの吹上げ風が網に吹き
つけられ、藺草の抜出た網部分は未刈側の植立藺草上に
めくり上げられてゆく。

つまり、作業能率の低下の原因となる係止搬送を要す
ることなく、藺草及び網の損傷の原因となる藺草及び網
に対する機械的な接触、当たりを回避して風により網を
めくり上げることができる。

〔発明の効果〕

従って、本発明によると、藺草や網を傷つけることな
く、しかも、作業能率良く網のめくり上げを行うことが
できるようになった。

〔実施例〕

第１図に藺草収穫機の全体側面が、第２図にその平面
が、又、第３図にその要部の正面が夫々示されている。

この藺草収穫機（Ａ）は、クローラ走行装置（１）を
備えた自走機体（２）の前部に支点（Ｘ）を中心に上下
揺動調節自在な刈取前処理部（３）を連結するととも
に、自走機体（２）上に回収台（４）、原動部（５）及
び接縦部（６）を搭載したものとして構成されている。

前記刈取前処理部（３）には、植立した藺草（Ｓ）に
振動を与えて藺草（Ｓ）同志の絡まりを解ぐすべく高速
で自転駆動される回転分草杆（７）と、分草された藺草
（Ｓ）を所定の刈取立姿勢にまで引起こす引き起し装置
（８）と、引起こされた藺草（Ｓ）の株元を切断する刈
刃（９）と、刈取り藺草（Ｓ）の茎先側を左右から挟持
して後方に搬送する挟持搬送装置（10）と、藺草（Ｓ）
の挟持箇所よりも株元側部分を既刈地側に向けて係止搬
送する上下２段の横送り装置（11）と、横送りされた藺
草（Ｓ）に高速で風を吹き付けて既刈地側上方にさばき
上げるとともに搬送藺草中に含まれる短い屑藺を既刈地
側に吹き飛ばすためのブロワ（12）と、さばかれた藺草
（Ｓ）を掻き上げて挟持箇所より株元側部分を横倒れ姿
勢に屈曲させる係止持上げ装置（13）と、横倒れ姿勢に
なった藺草（Ｓ）を茎先側から株元側に向かって梳き伸
ばしながら屑藺を株元側に送り出す選りベルト（14）
と、送り出された屑藺を上下から挟持して機外に放出す
る上下一対の選りローラ（15）と、選り処理及び後方へ
の挟持搬送が終了した横倒れ姿勢の藺草（Ｓ）を結束し
て前記回収台（４）上に放出する結束装置（16）とが備
えられており、２条の藺草（Ｓ）を刈取り選別した後、
所定量づつ結束して横倒れ姿勢で回収台（４）上に回集
してゆくよう構成されている。

上記構成の藺草収穫機を用いての刈取り収穫に際して
は、植立藺草（Ｓ）に掛けられた倒伏防止用の網（Ｎ）
をめくり上げる必要があり、この藺草収穫機（Ａ）には
網めくり上げ手段が備えられている。

つまり、第２図に示すように、刈取藺草（Ｓ）のさば
き上げ用の前記ブロワ（12）は２個の送風口（12a），
（12b）を備えたものに構成され、一方の送風口（12a）
が前述のさばき上げ風の供給用に利用されるとともに、
他方の送風口（12b）に接続したダクト（17）が引起し
装置（８）の横外側にまで延出され、その吹出し口（1
8）の向きが斜め上方外方に設定されている。従って、
この吹出し口（18）から吹出された高速風によって網
（Ｎ）が上方に吹上げられて、振動分草されるとともに
引起し作用を受けつつある藺草（Ｓ）に掛かっている網
（Ｎ）が上方にせり上げられ、このせり上げられた網
（Ｎ）をすり抜けるように藺草（Ｓ）が引起し装置
（８）によって引起こされてゆくとともに、藺草（Ｓ）
が抜出た講部分（Ｎ′）は、第４図中に示されるよう
に、未刈側の植立藺草（Ｓ）上に吹上げめくり上げられ
てゆく。

尚、実施例では送り用の風と網めくり上げ用の風を同
一のブロワ（12）より得ているが、同軸上に２個のブロ
ワを並設して夫々を送り専用及び網めくり上げ専用に実
施するもよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る藺草収穫機の実施例を示し、第１図
は全体側面図、第２図は全体平面図、第３図は要部の正
面図、第４図は収穫作業状況を示す平面図である。 （３）……刈取前処理部、（12）……ブロワ、（18）…
…吹出し口、（Ｎ）……網。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取前処理部（３）の未刈地側の横側部位
   に、植立藺草に掛けられた倒伏防止用の網（Ｎ）にブロ
   ワ（12）からの風を下方から吹付けて未刈地側にめくり
   上げる吹出し口（18）を設けてある藺草収穫機。