JP3549476B2 - 根菜類収穫機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、玉ねぎ、人参、大根、などの根菜類を対象とした収穫機に係り、特には、2条の根菜類を同時に収穫できるようにした根菜類収穫機に関する
【0002】
【従来の技術】
上記根菜類収穫機としては、例えば、特許公報第2759443号に示されているように、圃場にある根菜の葉茎を掻き上げる葉茎掻上げ装置と、この葉茎掻上げ装置によって掻き上げられた葉茎を挟持して引き上げて後方上方に吊り下げ搬送する挟持引上げ搬送装置と、吊り下げ搬送される根菜の葉茎を左右の上昇位置規制ガイド部の間に導入してその高さを揃える位置揃え装置と、高さの揃えられた根菜の葉茎を前記挟持引上げ搬送装置と上昇位置規制ガイド部の間において切断するカッターとを備えたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成においては、2条の根菜類の葉茎が、共通の挟持引上げ搬送装置で挟持搬送されて共通の上昇位置規制ガイド部の間に導入されるので、図に示すように、2条の根菜本体が左右に並んで搬送されると、上昇位置規制ガイド部の間に導入されて引上げ作用を受ける際に、片方が上昇位置規制ガイド部の下面にまで十分接近するまで引き上げられて正しく高さが揃えられるのに対して、他方が上昇位置規制ガイド部の下面にまで十分接近することができない状態で葉切りされることがあり、切り残された葉茎の長さに差が発生することがあった。
【0004】
特に、近年では複数条の植付けを機械的に行う関係から、2条の根菜類が左右に並んで栽培されることになり、上記現象が一層発生しやすいものとなっていた。
【0005】
もちろん、1条づつに挟持引上げ搬送装置と左右一対の上昇位置規制ガイド部を装備すれば、上記のような問題は回避することができるのであるが、これでは、収穫機全体の大型化(横幅)や重量増加を招くとともに、コスト高になるものであり、実用上には問題となるものであった。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、収穫機全体の大型化や重量増加を招くこと少なく、葉茎の切断長さに差が発生することを回避することができるようにすることを主たる目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0008】
(構成) 請求項1に係る発明は、圃場にある根菜の葉茎を掻き上げる葉茎掻上げ装置と、この葉茎掻上げ装置によって掻き上げられた葉茎を挟持して引き上げて後方上方に吊り下げ搬送する挟持引上げ搬送装置と、吊り下げ搬送される根菜の葉茎を左右の上昇位置規制ガイド部の間に導入してその高さを揃える位置揃え装置と、高さの揃えられた根菜の葉茎を前記挟持引上げ搬送装置と上昇位置規制ガイド部の間において切断するカッターとを備えた根菜類収穫機において、収穫対象である2条の根菜の葉茎を単一の前記挟持引上げ搬送装置によって挟持搬送するよう構成するとともに、前記上昇位置規制ガイド部を左右2組備えて、収穫対象である2条の根菜の各条の葉茎を左右2組の上昇位置規制ガイド部によってそれぞれ各別に位置揃えするよう構成し、前記各上昇規制ガイド部の前方先端部を横外方に先広がり形状に形成し、これに続く直線状の葉茎案内経路は左右間隔をもって隔てられ、前記上昇位置規制ガイド部に導入された根菜の葉茎に作用して後方に係止搬送する補助搬送装置を、前記挟持引上げ搬送装置の始端部下方から後方に向けて前記上昇位置規制ガイド部に沿って配備するとともに、前記カッターを、根菜の葉茎に作用して後方に係止搬送している補助搬送装置の上方における前記上昇位置規制ガイド部の上面に接近した位置に位置固定可能に構成してあることを特徴とする。
【0009】
(作用) 上記構成によると、左右に並べて栽培された2条の根菜類が収穫される際、2条の根菜類における葉茎の上部は共通の挟持引上げ搬送装置によって挟持されて後方上方に搬送されるが、各条の葉茎の下部はそれぞれ左右2組の上昇位置規制ガイド部の先広がり形状の前方先端部より、これに続く左右に間隔を隔てた直線状の葉茎案内経路に導かれて、上昇位置規制ガイド部に対して葉茎が相対的に引上げられることで、各条の根菜本体はそれぞれの上昇位置規制ガイド部の下面に接近して、その高さが揃えられることになり、左右の根菜本体どうしがぶつかって、一方あるいは両方の根菜本体の姿勢が傾いてしまい、上昇位置規制ガイド部の下面に十分接近しなくなるような現象が発生することがない。
【0010】
そして、補助搬送装置を上昇位置規制ガイド部に沿って配備したことにより、共通の挟持引上げ搬送装置で葉茎の上部を挟持されて後方上方に搬送される2条の根菜類における葉茎の下部は、先広がり形状の前方先端部によりそれぞれ別個に上昇位置規制ガイド部に導入されるとともに、これに続く左右に間隔を隔てた直線状の葉茎案内経路に導かれて補助搬送装置によって係止されて後方への搬送作用を受ける。
【0011】
(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、左右に並んだ2条の根菜類が同時に収穫されて挟持搬送されても、左右独立した高さ揃えを行って葉切り処理することができ、切断長さの揃えられた根菜を収穫することができるようになった。しかも、挟持引上げ搬送装置は左右の条に対して共用されるので、挟持引上げ搬送部が幅広くなることがなく、全体としての大型化や重量増加を抑えながら優れた性能の根菜類収穫機を構成することができた。
【0012】
また、葉茎は上部に働く挟持搬送作用と、下部に働く係止搬送作用を受けて安定した姿勢で搬送されることになり、圃場からの引上げ、および、後方上方への搬送が確実なものとなり、高さの揃った葉切りを精度よく的確に行うことができる。
【0013】
〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0014】
(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記カッターを、前記上昇位置規制ガイド部の前部上面に接近した前方作用位置と、前記上昇位置規制ガイド部から上方に大きく離れた後方作用位置とに位置調節可能に構成するとともに、後方作用位置の前記カッターで葉切りされた根菜の切残し葉茎を挟持して後方に吊り下げ搬送する回収用挟持搬送装置を配備してあることを特徴とする。
【0015】
(作用) 上記構成によると、カッターを前方作用位置に調節すると、葉茎の切り残し長さの極短い葉切りを行うことになり、葉切り処理の済んだ根菜本体をそのまま圃場に放置しておくことになる。この放置された根菜本体は後行程で回収され、清掃および選別仕分け、等の処理を経て直ちに出荷することができる。また、カッターを後方作用位置に調節すると、葉茎の切り残し長さの長い葉切りを行うことになり、葉切り処理の済んだ根菜の長い切残し葉茎は回収用挟持搬送装置で挟持されて後方に吊り下げ搬送され、その搬送終端で任意の回収処理を行うことが可能となり、収穫した根菜を切残こされた長い葉茎において複数個ごとに縛って保管し、適当な時期に出荷するような場合に適用できる。
【0016】
(効果) 従って、請求項2に係る発明によると、請求項1の発明の上記効果をもたらすとともに、切残し葉茎の長さを任意に設定して、出荷時期や品種に合わせた収穫を行うことができ、実用性に優れたものとなっている。
【0017】
〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0018】
(構成) 請求項3に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記回収用挟持搬送装置の終端側に、吊り下げ搬送されてきた根菜を横倒れ姿勢に案内して放出する姿勢修正機構を配備してあることを特徴とする。
【0019】
(作用) 上記構成によると、葉茎が長く切り残された根菜は、回収用挟持搬送装置で後方に吊り下げ搬送された後、姿勢修正機構で横倒れ姿勢に案内されながら圃場に放置されてゆく。
【0020】
(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、圃場に放置された根菜の葉茎が同じ横方向に揃えられているので、その後の回収が容易であるとともに、適当個数ごとに葉茎を縛ってまとめる作業が行いやすいものとなる。
【0021】
〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0022】
(構成) 請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の発明において、マルチ掛けされた畝の一側から畝内に突入して2条の根菜の下方を通過する土切り崩し体を装着してあることを特徴とする。
【0023】
(作用) 上記構成によると、畝の上面で栽培されている根菜の葉茎は畝に被せられたマルチシートの孔から伸び出しており、カッターを前方作用位置に調節して収穫作業を行うことで、持引上げ搬送装置で葉茎を挟持されて少し持上げ搬送されたところで、上昇位置規制ガイド部の上側近くで葉茎が切断されることになり、葉切りされた根菜本体はマルチシートの下側に残し置かれる。ここで、根菜本体の下方は、畝の側方から突入された土切り崩し体によって膨軟化されているので、根菜本体の引上げが抵抗少なく行われる。
【0024】
このように葉切りを行いながら機体が通過した後は、切り残された短い葉茎がマルチシートの栽培孔から突出している状態となり、マルチシートは葉茎に邪魔されることなく簡単にめくり上げることができる。そして、マルチシートをめくり取ると、畝上には短く葉切りされた根菜本体が浮き上がった状態で並んでおり、これを回収すればよい。
【0025】
(効果) 従って、請求項4に係る発明によると、マルチ掛けされた畝での収穫を能率よく行うことが可能となる。
【0026】
〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0027】
(構成) 請求項5に係る発明は、請求項4記載の発明において、土切り崩し体の直前方位置における畝肩の裾近くに、畝に掛けられたマルチシートの裾を自由にしてめくり上げ容易な状態にするシートめくり上げ用補助具を配備してあることを特徴とする。
【0028】
(作用) 上記構成によると、畝の一側から畝内に突入した土切り崩し体が前進移動する際に、その直前方においてシートめくり上げ用補助具がマルチシートの裾にかけられた土をほぐしたり除去して、マルチシートの裾を自由にし、めくり上げが容易な状態にしているので、土切り崩し体がマルチシートの裾に接触してもこれを引き破るようなことはなく、無理なく押し除けてゆく。
【0029】
(効果) 従って、請求項5に係る発明によると、マルチ掛けされた畝での収穫を、マルチシートの引き破りなどをもたらすことなく一層円滑良好に行うことが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1〜図8に、本発明を歩行型の玉ねぎ収穫機に適用した実施形態の第1例が示されている。この玉ねぎ収穫機は、幅広の平畝上に栽培された4条の玉ねぎ(根菜)Wの内の進行方向右側2条を収穫するよう構成されたものであり、ループ状の操縦ハンドル1が備えられた3輪走行式の走行機体Aの前部に2条堀り仕様の収穫部Bが装備された構造となっている。
【0031】
前記走行機体Aは、畝をまたぐ左右一対の駆動後輪2と右側の畝底を移動する一つの遊転前輪3が備えられており、機体後部に搭載したエンジン4からの動力がミッションケース5で変速された後、車軸ケース6よびチェーンケース7を介して左右の駆動後輪2に伝達されるようになっている。そして、畝幅に応じて後輪トレッドを変更できるように、左側の車軸ケース6を伸縮して左側の駆動後輪2を左右に位置変更できるよう構成されている。また、収穫部Bの対地高さを決めるゲージ輪として機能する遊転前輪3は、手元ハンドル8を回転操作することで上下調節可能に構成されている。
【0032】
収穫部Bには、収穫すべき2条の玉ねぎWそれぞれの左右両脇に位置する縦回し型の葉茎引上げ装置10、その後方に位置する横回し型の葉茎掻上げ装置11、さらにその後方に位置する挟持引上げ搬送装置12、この挟持引上げ搬送装置12の始端部近くに位置する土崩し装置13、挟持引上げ搬送装置12の下方に位置する位置揃え装置14、挟持引上げ搬送装置12と位置揃え装置14との間に位置する葉切りカッタ15、位置揃え装置14の下方に沿って配置された補助搬送装置16、位置揃え装置14の後部上方から後方に延出された回収用挟持搬送装置17、この回収用挟持搬送装置17の後方に位置する姿勢修正機構18、等が装備されており、以下に、各部の詳細な構成および機能を説明する。
【0033】
〔葉茎引上げ装置10〕
【0034】
縦回し型の葉茎引上げ装置10は、ケース21の上下に備えたスプロケット間に巻回されて縦回し駆動されるチェーン22に多数の係止爪23を起伏自在に連結して、係止爪23を前方側に向けて突出させた姿勢で地面近傍から後方斜め上方に向けて移動させて玉ねぎWの葉茎Wbを引き上げるよう構成されたものであり、2条の玉ねぎWそれぞれの左右両脇で作用するように配備され、全体として3本の葉茎引上げ装置10が使用されている。
【0035】
なお、図7に示すように、ミッションケース5の前部に設けた作業用動力出力部24に、PTOクラッチ25を介して動力伝達が断続されるPTO軸26が横架されており、このPTO軸26の左端から前方に向けて延出された前向き伝動軸27の前端に横向き伝動軸28が連動連結され、この横向き伝動軸28で各葉茎引上げ装置10が駆動されるようになっている。
【0036】
〔葉茎掻上げ装置11〕
【0037】
横回し型の葉茎掻上げ装置11は、ケース31の上下に備えたプーリ間に巻回されて横回し駆動されるベルト32に多数の係止爪33を連設し、この係止爪33を横方側に向けて突出させた姿勢で地面近傍から後方斜め上方に向けて移動させて、玉ねぎWの葉茎Wbを掻き上げるよう構成されたものであり、左右一対のベルト32が、互いの係止爪33の先端移動軌跡が重複するように対向して配備され、葉茎引上げ装置10によって引き上げられた2条の玉ねぎWの葉茎Wbが、両ベルト32の始端部で左右から掻き集められた後、後方上方へ掻き上げられるようになっている。
【0038】
〔挟持引上げ搬送装置12〕
【0039】
挟持引上げ搬送装置12は、上下のプーリ間に巻回されて横回し駆動される左右一対の幅広の挟持ベルト34を対向配備して構成されたものであり、葉茎掻上げ装置8によって掻き集められたた2条の玉ねぎWの葉茎Wbを左右の挟持ベルト34で強く挟持して後方上方に移動することで、畝上にある2条の玉ねぎWを引き上げてゆくよう構成されている。
【0040】
なお、図7に示すように、前記PTO軸26からウオーム減速機構36およびチェーン37を介して取出された動力で、挟持引上げ搬送装置12における左側の挟持ベルト34が駆動されるとともに、この左側の挟持ベルト34の前端から取出された動力で葉茎掻上げ装置11における左側のベルト32が駆動される。また、前記チェーン37の中間に連動連結した横向き伝動軸38を介して取出された動力で、挟持引上げ搬送装置12における右側の挟持ベルト34が駆動されるとともに、この右側の挟持ベルト34の前端から取出された動力で葉茎掻上げ装置11における右側のベルト32が駆動されるようになっている。
【0041】
〔土崩し装置13〕
【0042】
土崩し装置13は、挟持引上げ搬送装置12の始端相当位置に左右配備されており、畝肩の裾近くおよび畝上から2条の玉ねぎWの下方にまで入り込むよう正面視L字状に屈折された土切り崩し体41が備えられている。各土切り崩し体41は機体フレーム9の前部に支点a周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、その上方延出端と前記PTO軸26の左右端に備えた偏心クランク部43とがロッド44で連動連結され、偏心クランク部43を介してロッド44が押し引き駆動されることで、土切り崩し体41が支点a周りに一定の小ストロークで前後に揺動駆動され、玉ねぎWの下方の土を崩して膨軟化することで、前記挟持引上げ搬送装置12によって葉茎Wbを挟持されて引上げられる玉ねぎWが無理なく抜き上げられるようになっている。
【0043】
〔位置揃え装置14〕
【0044】
位置揃え装置14は、2条の根菜に対応する2列の葉茎案内経路gが形成されるように、丸棒材からなる4本の上昇位置規制ガイド部46を左右一対づつ2組並列して構成されており、葉茎引上げ装置10の前方箇所から挟持引上げ搬送装置12の搬送方向中間部の下方箇所に亘って設置されている。ここで、左右各組における機体外側の上昇位置規制ガイド部46の先端部は横外方に大きく屈曲されて、葉茎導入経路gの入り口部が先広がり形状に形成されるとともに、これに続く直線状の葉茎案内経路gは、2条の根菜Wが左右の葉茎案内経路gに同時に導入されても、根菜本体Waが互いにぶつかることのない左右間隔をもって隔てられている。また、左右の葉茎導入経路gの終端部は中央側に接近され、各葉茎導入経路gに沿って移動してきた葉茎Wbが合流するようになっている。
【0045】
また、図4に示すように、挟持引上げ搬送装置12よりも前方側では上昇位置規制ガイド部46は地面近くに位置し、挟持引上げ搬送装置12の始端部より後方では高くなるように、側面視で段違い形状に構成されるとともに、挟持引上げ搬送装置12の始端部より後方側において、上昇位置規制ガイド部46と挟持引上げ搬送装置12との間隔が、搬送方向後方側ほど大きくなっている。従って、挟持引上げ搬送装置12で挟持されて斜め後方上方に挟持搬送される2条の玉ねぎWの葉茎Wbは、それぞれ別個に左右の上昇位置規制ガイド部46の間の葉茎導入経路gに導入され、挟持引上げ搬送装置12によって上方に引き上げられようとする玉ねぎ本体Waを左右の上昇位置規制ガイド部51の下面で受け止めてそれ以上の上方移動を阻止することで、各条ごとに玉ねぎ本体Waの高さを一定に揃えるように構成されているのである。
【0046】
ここで、挟持引上げ搬送装置12における左右の挟持ベルト34による葉茎挟持力は、圃場からの玉ねぎ引上げを行う搬送前端側では強く、位置揃え装置14との協働で玉ねぎ本体Waの高さを揃える搬送領域では挟持力を弱くして、位置揃え装置14によって上方移動が阻止された玉ねぎWの葉茎Wbが挟持引上げ搬送装置12から相対的に下方に引き抜かれるようになっている。
【0047】
〔葉切りカッター15〕
【0048】
葉切りカッター15は、前記PTO軸26から屈伸可能に連設された3組のチェーン伝動機構47,48,49の前端部に装備された単一の円盤カッタとして構成されたものであり、位置揃え装置14によって玉ねぎ本体Waの高さが揃えられた玉ねぎWの葉茎Wbを切断するとともに、直線スライド案内機構50に沿って上下に位置調節することで、玉ねぎ本体Waに切り残される葉茎Wbの長さを調節することができるよう構成されている。
【0049】
〔補助搬送装置16〕
【0050】
補助搬送装置16は、位置揃え装置14の下側に近接して配備された前後のプーリ間に巻回した横回し型の爪付きベルト51で構成されており、図7に示すように、その後部駆動プーリ52が、葉茎掻上げ装置11の終端部から取出した動力で駆動されている。そして、左右の補助搬送装置16は左右の各葉茎導入経路gに導入された葉茎Wbを係止爪53で係止して2条各別に後方搬送して葉切りカッター15へ送り込むようになっている。
【0051】
〔回収用挟持搬送装置17〕
【0052】
回収用挟持搬送装置17は、位置揃え装置14の後部上側に配置された前後のプーリ間に巻回されて後方に向けて延出された左右一対の挟持ベルト54で構成されており、前部駆動プーリ55が補助搬送装置16の後部駆動プーリ52と同軸で駆動されている。そして、この回収用挟持搬送装置17は、葉切りカッター15が後方上方に位置調節された時にのみ、葉切りされた根菜の葉茎を挟持して後方に吊り下げ搬送するものであり、葉切りカッター15が回収用挟持搬送装置17より前方に位置調節された時には機能することがない。
【0053】
〔姿勢揃え装置18〕
【0054】
姿勢揃え装置18は、位置揃え装置14の終端側に搬送経路を挟んで配備されたガイドバー61およびガイド板62と、左側の案内ベルト47の終端から取出した動力で駆動される突起付きベルト63とからなり、葉切りされた後、切り残された葉茎Wbを回収用挟持搬送装置17によって挟持されて後方に吊り下げ搬送されてきた玉ねぎ本体Waを、ガイドバー51とガイド板52とによって横向き姿勢に修正して畝上に強制放出してゆくように構成されている。
【0055】
本発明に係る玉ねぎ収穫機は以上のように構成されており、平畝に栽培されている4条の玉ねぎWに対して、一行程の前進で進行方向右側の2条を収穫し、一往復移動することで一畝4条の収穫が行われ、葉切り処理された玉ねぎ本体Waは、畝上に放出されることになる。
【0056】
ここで、葉切りカッター15を前方作用位置に調節すると、葉茎Wbの切り残し長さの極短い葉切りを行うことになり、葉切り処理の済んだ根菜本体Waは、回収用挟持搬送装置17の搬送作用を受けることなく直ちに畝上に放置されてゆく。また、図示のように葉切りカッター15を後方作用位置に調節すると、葉茎Wbの切り残し長さの長い葉切りを行うことになり、葉切り処理の済んだ根W菜の長い切残し葉茎Wbは回収用挟持搬送装置17で挟持されて後方に吊り下げ搬送された後、姿勢修正機構18によって切残し葉茎Wbを所定の方向へ揃えた横倒し姿勢で畝上に放置されてゆく。このように切残し葉茎Wbが所定の方向へ揃えられた根菜Wは、複数個ごとに切残し葉茎Wbを縛って保管され、適当な時期に出荷される。
【0057】
図9〜図15に、本発明の他の作業形態が示されている。この例は、マルチシートFが掛けられた畝で栽培された根菜の収穫を行う際に利用する形態であり、葉切り処理と玉ねぎ本体Waの引き上げ回収処理を別行程に分けて行われる。
【0058】
この場合、玉ねぎ収穫機の走行機体Aは上記第1例と同様であるので、その説明を省略し、以下に、その収穫部Bにおいて先の実施形態と相違している構成について説明する。この作業形態における収穫部Bには、収穫すべき2条の玉ねぎWそれぞれの左右両脇に位置する3個の縦回し型の葉茎引上げ装置10の他に、最右側の葉茎引上げ装置10の更に外側に、右側の肩近くに作用する葉茎引上げ装置10aが追加配備されている。
【0059】
この作業形態においては、前記葉切りカッタ15は、挟持引上げ搬送装置12の挟持開始位置の直後位置に配備されており、畝の玉ねぎWが引き上げられて後方に搬送されないうちに葉茎Wbを低い位置で切断することで、切断位置より上方の葉茎Wbのみが挟持引上げ搬送装置12によって搬送されてゆく。
【0060】
また、この作業形態で使用される土崩し装置13は、葉切りされて畝に残された玉ねぎ本体Waの周辺の土を切り崩して、後の引上げ回収を容易に行えるようにするものであり、図14に示すように、2条の根菜Wの下方に潜り込む土切り崩し体41が葉切りカッタ15より後方に配備されるとともに、図15に示すように、土切り崩し体41の前方に、マルチシートFの裾をすくい上げてめくり上げやすい状態にするシートめくり上げ用補助具42が支点bを中心に前後揺動可能に配備されている。そして、このシートめくり上げ用補助具42と土切り崩し体41とがリンク連動され、土切り崩し体41の前後揺動に連動してシートめくり上げ用補助具42も前後に揺動駆動されるようになっている。また、このシートめくり上げ用補助具42からは、このシートめくり上げ用補助具42ですくい上げたマルチシートFの裾を土切り崩し体41にまで案内して、マルチシートFが土切り崩し体41に引っ掛けられるのを回避するためのシート案内部45が延出されている。
【0061】
このマルチ掛けされた畝での収穫においては、葉切りカッター15は位置揃え装置14の上面に最も接近した前方下方位置に調節される。これによると、根菜Wの葉茎Wbは畝に被せられたマルチシートFの栽培孔から大きく伸び出しており、葉切りカッター15を前方作用位置に調節して収穫作業を行うことで、持引上げ搬送装置12で葉茎Wbを挟持されて少し持上げ搬送されたところで、上昇位置規制ガイド部の上側近くで葉茎Wbが切断されることになり、葉切りされた根菜本体Waはマルチシートの下側に残し置かれる。ここで、根菜本体Waの下方は、畝の側方から突入された土切り崩し41体によって膨軟化されているので、根菜本体Waの引上げが抵抗少なく行われる。
【0062】
このように葉切りを行いながら機体が通過した後は、切り残された短い葉茎がマルチシートFの栽培孔から突出している状態となり、マルチシートFは葉茎Wbに邪魔されることなく簡単にめくり上げることができる。そして、マルチシートFをめくり取ると、畝上には短く葉切りされた根菜本体Waが浮き上がった状態で並んでおり、これを回収すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る根菜類収穫機の全体側面図
【図2】根菜類収穫機の全体平面図
【図3】根菜類収穫機の正面図
【図4】要部の概略側面図
【図5】要部の平面図
【図6】要部の正面図
【図7】伝動系統図
【図8】要部の側面図
【図9】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す全体側面図
【図10】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す全体平面図
【図11】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す全体正面図
【図12】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す要部の概略側面図
【図13】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す要部の平面図
【図14】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す要部の正面図
【図15】マルチ掛けされた畝での使用形態を示す要部の側面図
【符号の説明】
11 葉茎掻上げ装置
12 挟持引上げ搬送装置
14 位置揃え装置
15 葉切りカッター
16 補助搬送装置
17 回収用挟持搬送装置
18 姿勢修正機構
41 土切り崩し体
46 上昇位置規制ガイド部
F マルチシート
Claims (5)
- 圃場にある根菜の葉茎を掻き上げる葉茎掻上げ装置(11)と、この葉茎掻上げ装置(11)によって掻き上げられた葉茎を挟持して引き上げて後方上方に吊り下げ搬送する挟持引上げ搬送装置(12)と、吊り下げ搬送される根菜の葉茎を左右の上昇位置規制ガイド部(46)の間に導入してその高さを揃える位置揃え装置(14)と、高さの揃えられた根菜の葉茎を前記挟持引上げ搬送装置(12)と上昇位置規制ガイド部(46)の間において切断するカッター(15)とを備えた根菜類収穫機において、
収穫対象である2条の根菜の葉茎を単一の前記挟持引上げ搬送装置(12)によって挟持搬送するよう構成するとともに、前記上昇位置規制ガイド部(46)を左右2組備えて、収穫対象である2条の根菜の各条の葉茎を左右2組の上昇位置規制ガイド部(46)によってそれぞれ各別に位置揃えするよう構成し、前記各上昇位置規制ガイド部(46)の前方先端部を横外方に先広がり形状に形成し、これに続く直線状の葉茎案内経路(g)は左右間隔をもって隔てられ、前記上昇位置規制ガイド部(46)に導入された根菜の葉茎に作用して後方に係止搬送する補助搬送装置(16)を、前記挟持引上げ搬送装置(12)の始端部下方から後方に向けて前記上昇位置規制ガイド部(46)に沿って配備するとともに、前記カッター(15)を、根菜の葉茎に作用して後方に係止搬送している補助搬送装置(16)の上方における前記上昇位置規制ガイド部(46)の上面に接近した位置に位置固定可能に構成してあることを特徴とする根菜類収穫機。 - 前記カッター(15)を、前記上昇位置規制ガイド部(46)の前部上面に接近した前方作用位置と、前記上昇位置規制ガイド部(46)から上方に大きく離れた後方作用位置とに位置調節可能に構成するとともに、後方作用位置の前記カッター(15)で葉切りされた根菜の切残し葉茎を挟持して後方に吊り下げ搬送する回収用挟持搬送装置(17)を配備してあることを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
- 前記回収用挟持搬送装置(17)の終端側に、吊り下げ搬送されてきた根菜を横倒れ姿勢に案内して放出する姿勢修正機構(18)を配備してあることを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
- マルチ掛けされた畝の一側から畝内に突入して2条の根菜の下方を通過する土切り崩し体(41)を装着してあることを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
- 前記土切り崩し体(41)の直前方位置における畝肩の裾近くに、畝に掛けられたマルチシートの裾を自由にしてめくり上げ容易な状態にするシートめくり上げ用補助具(42)を配備してあることを特徴とする請求項4記載の根菜類収穫機。
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