JPH0644343Y2 - 藺草ハーベスタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は刈取後の藺草を吊下げ支持して搬送し乍ら、屑
藺を選り出す選り装置を設けてある藺草ハーベスタに関
する。

〔従来の技術〕

この種の藺草ハーベスタにおいて、従来は、挾持搬送装
置で吊下げ支持されて送られる藺草の株元側を、搬送方
向と直交する横方向に回転する複数段の係止爪付回転チ
ェーンで“梳る作業”を加えて屑藺を選り出し乍ら、引
掛係止する状態ですくい上げ横倒し姿勢にして収集デッ
キ上に載置する構成を採っていた（特公昭62-60043号公
報）。

〔考案が解決しようとする課題〕

この場合には、屑藺を選り出し乍ら藺草を横倒し姿勢に
載置させる機能を前記係止爪付回転チェーンだけで備え
る特徴を有するものであるが、藺草の株元側を係止爪で
引掛けて強制的にすくい上げるように横倒し姿勢にする
ので、どうしても藺草が傷付き易い点があるとともに、
係止爪が搬送される藺草すべてに対して万遍なく接触す
ることがないので選り残しが出る等屑藺の除去が十分で
ない面があった。

本考案の目的は選り装置として適切な機構を選定するこ
とによって、屑藺の除去を円滑に行え、かつ、藺草の処
理を効果的に行えるものを提供する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案による特徴構成は、 刈取後の藺草を吊下げ挾持して搬送する挾持搬送装置
を設ける点と、 挾持搬送装置で吊下げ搬送される藺草の株元側に、送
風装置からの放出風を側方より吹付けて屑藺を選り出す
風力式の選り装置を設ける点と、 前記送風装置で強制放出される屑藺を受止め降下させ
る遮蔽体を設けてある点と、 にあり、その作用効果は次の通りである。

〔作用〕

挾持搬送装置に吊下げられている藺草の株元側に対し
て、例えば第４図に示すように、送風装置（6A）からの
放出風を側方より吹付けることによって放出風が“梳る
作用”を藺草に施し、屑藺を選り出すことができるとと
もに、選り出した藺草を遮蔽体で受け止め降下させる。

〔考案の効果〕 風力式選り装置であるから、藺草を損傷させるといっ
たことがなく、かつ、万遍なく放出風を作用させること
ができるので、屑藺の選り残しが少ない。

又、遮蔽体を装備することによって、機体から遠くな
い位置に屑藺を降下収積できて、この遮蔽体がなく四方
に屑藺が飛散する場合に比べて屑藺の後処理が楽にな
る。

〔実施例〕

乗用型の藺草ハーベスタについて説明する。第１図ない
し第３図に示すように、植立藺草の絡みを解す左右一対
の分草装置（１），（１）、分草後の植立藺草を導入し
乍ら引起す左右一対の引起し装置（２），（２）、引起
された藺草の株元を切断するバリカン型の刈取装置
（３）等を走行機体（４）の横一側方に配すとともに、
刈取られた藺草の上部を吊下げ挾持して機体後方に搬送
する前後挾持搬送装置（５）を設け、この挾持藺草の株
元側を機体横側方に向けて強制搬送する係止爪付横送り
搬送装置（８）を設けるとともに、前記係止爪付搬送装
置（８）によって送風装置（6A）吹出口（6a）前方に放
出風力に抗して強制的に搬送された藺草の株元側を、送
風装置（6A）吹出口（6a）からの放出風によって上方に
向けて吹上げ屑藺を選り出す風力式選り装置（６）を設
け、更に、放出風によって吹上げられた藺草の株元側に
収集デッキ（10）上に導く３列の突起付搬送ベルト式持
上げ搬送装置（12）を備えるとともに、収集デッキ（1
0）上に載置された藺草を結束する結束装置（７）を配
し、以上を刈取フレーム（33）に搭載してこの刈取フレ
ーム（33）を走行機体（４）に対して横軸心（Ｘ）周り
で上下揺動可能に枢支するとともに、この結束装置
（７）の後方にシリンダ（14）とパンタグラフ機構とに
よって上下する収積部（15）としての積載台を設け、機
体後方にエンジン（16）及び引起し装置（２）とは反対
側横一側に運転部（９）を設け、これらを左右クローラ
走行装置（11），（11）を備えた走行機体（４）に搭載
して乗用型の藺草ハーベスタを構成してある。尚、図中
（17）はエンジン（16）の横側方に設けられた補助積載
台である。

第１図ないし第３図に示すように、分草装置（１）は後
傾斜姿勢で上下端を枢支された杆体（1a）を、その枢支
軸心を中心に紡錘状に公転させ乍ら反対向きに自転させ
て藺草の絡み付きを解す作用を行う。

又、引起し装置（２），（２）は上下一対のスプロケッ
ト（2a），（2a）に亘って巻回したチェーン（2b）に多
数の引起し用起伏爪（2c）を取付けて、後傾斜姿勢に配
置されている。前記挾持搬送装置（５）は掻込みホイー
ル（32）を備えた横回し式の左右一対の挾持用ベルト
（5a），（5a）を並設し、その軟質材製のベルト（5
a），（5a）で藺草を傷めない程度に挾持する構成とな
っており、やや後上がり傾斜姿勢に設置されている。

前記選り装置（６）は、前記横送り搬送装置（８）の終
端位置に吹出口（6a）を設けた送風装置（6A）からな
り、送風装置（6A）からの放出風を機体横側方に向けて
水平方向に吹出させて、前記挾持搬送装置（５）で吊下
げ搬送される藺草を上方に向けて吹上げ、屑藺を選り出
す。

又、前記送風装置（6A）の風下側に前記送風装置（6A）
で吹上げられた藺草の株元側を下方から支持して収集デ
ッキ（10）上に導く持上げ搬送装置（12）を設けるとと
もに、この持上げ搬送装置（12）を構成する搬送ベルト
に一体形成された突起を上下一対の藺草誘導ガイド（1
3）空間内に臨ませてある。そして、前記藺草誘導ガイ
ド（13）は横側面視で送風装置（6A）吹出口（6a）の上
方より鉛直に立上がり収集デッキ（10）と略同一高さよ
り機体後方に向けて屈曲し、結束装置（７）に対応して
収集デッキ（10）に向けて水平に延設してある。したが
って、上記のような構成によって持上げ搬送装置（12）
に支持された藺草の株元側は水平経路に移行して後記す
る上下ロータ（18A），（18B）によって引張作用を受け
藺草が引出されるとともに、この屑藺が屑藺用切断装置
（19）で切断され、かつ、挾持搬送装置（５）によって
挾持されている株元側が株揃え用切断装置（20）で切断
され、株元長さを揃えられて結束装置（７）に投入され
る。

次に、持上げ搬送装置（12）の上端経路に略等しい高さ
位置で、持上げ搬送装置（12）を挾んで送風装置（6A）
の反対側に位置する位置に上下一対のローラ（18A），
（18B）を配し、この上下一対のローラ（18A），（18
B）によって持上げ搬送装置（12）で送られる屑藺を挾
持して強制的に引出すべく構成してある。結束装置用ミ
ッションケース（7A）に伝動ケースを介して取付けてあ
る上側駆動ローラ（18A）と下側遊転ローラ（18B）の機
体横側方側にはローラ（18A），（18B）で引出される藺
草及びローラ（18A），（18B）で引出される屑藺を切断
する屑藺用切断装置（19）が設けられるとともに、持上
げ搬送装置（12）上端経路におけるローラ（18A），（1
8B）の直後方に結束装置（７）に向けて搬送される藺草
の株元側を切り揃えて所定の結束装置（７）突入長さに
する株揃え用切断装置（20）が設置されている。第６
図、第８図及び第９図に示すように、前記屑藺用切断装
置（19）は、横向きの回転軸（21）に一体回転可能に取
付けてあるヘッドアーム（22）と、ヘッドアーム（22）
と一体で回転軸（21）軸心周りに回転すべくボルト連結
された可動刃（23）と、この可動刃（23）の上下揺動に
対してこの可動刃（23）と交互に屑藺を切断する上下一
対の受刃体（24a），（24b）を基端側で一体にした固定
受刃（24）と、固定受刃（24）を回転軸（21）に支持す
る取付台（25）とからなる。ヘッドアーム（22）に対し
て一定範囲で回転するクランクアーム（26）を係合し、
ヘッドアーム（22）を一定範囲で上下揺動させ、屑藺を
切断する。又、株揃え用切断装置（20）は、前記回転軸
（21）における前記ヘッドアーム（22）取付け端とは反
対側端部に一体回転可能に取付けてある揺動ヘッド（2
7）と、この揺動ヘッド（27）先端に取付けた単一の短
尺可動刃（28）と、この短尺可動刃（28）の上下に配置
された固定受刃（29），（29）とからなり、前記クラン
クアーム（26）によって左右に揺動される回転軸（21）
によって可動刃（28）が上下の固定受刃（29），（29）
と交互に重なり、搬送される藺草の株元側を所定長さに
切揃える機能を有する。

次に、伝動系を説明する。

第１図及び第２図に示すように、機体後端に搭載された
エンジン（16）の近くにミッションケース（30）を配置
するとともに、ミッションケース（30）両端にクローラ
走行装置用伝動ケース（31），（31）を配し、ミッショ
ンケース（30）と前記横軸心（Ｘ）上に配置された伝動
軸（34）とをベルト伝動し、エンジン（16）とミッショ
ンケース（30）との間に主クラッチ機構（35）、及び、
ミッションケース（30）と前記伝動軸（34）との間に刈
取クラッチ機構（36）を設けてある。一方、引起し装置
（２）に対する縦向き伝動軸（37）の下端と前記伝動軸
（34）とを伝動連結するとともに、この縦向き伝動軸
（37）の途中から、挾持搬送装置（５）、係止爪付横送
り搬送装置（８）、及び、前記送風装置（6A）への動力
が分岐され、送風装置（6A）へはベルト伝動構造が採ら
れている。又、前記横軸心（Ｘ）位置での伝動軸（34）
の他端から結束装置用ミッションケース（7A）に向けて
伝動系を設けてある。

次に、選り装置（６）の送風装置（6A）で選り放出され
る屑藺を受止め降下させる遮蔽体（39）について説明す
る。

第１図ないし第５図に示すように、細径の杆体（39a）
を複数個前後方向に隣接する状態で“すだれ”状に垂下
させる基端ボス（39b）を、結束装置（７）用ミッショ
ンケース（7A）の横外側面に取付けられた前後向き姿勢
の支軸（40）に、外嵌支持して、通風可能な遮蔽体（3
9）を構成してある。そこで、選り装置（６）で選り出
された屑藺は放出風とともに或いは前記上下ローラ（18
A），（18B）によって引出されて横外側方に向けて放出
されるが、最大稈長80cm位の短稈であるから、前記杆体
（39a）に衝突して降下するとともに、放出風は杆体（3
9a），（39a）間の間隙を通して通過する。従って、屑
藺を飛散させることなく所定場所に集積できる。この屑
藺の落下する地面近くに、屑藺を細断するバリカン型カ
ッタ（41）を設け、屑藺を２〜３分割する構成を採って
いる。このバリカン型カッタ（41）は、その可動刃を往
復駆動するヘッドアームを、前記伝動軸（34）と一体回
転するクランクアーム（42）に連繋して、エンジン動力
で駆動される構成となっている。前記遮蔽体（39）は前
記支軸（40）周りで上記揺動可能であり、作用姿勢と非
作用姿勢に切換り、同様に、バリカン型カッタ（41）に
ついても格納可能に姿勢変更可能に構成したものでもよ
い。

〔別実施例〕 上記実施例で屑藺切断用バリカン型カッタ（41）を
設けているが、場合によってはこのカッタ（41）は取外
してもよい。

第12図に示すように、選り作業から収集デッキ上に
横倒し載置する作業形態として実施例では送風装置（6
A）と持上げ搬送装置（12）とを併用する構成を採って
いるが、送風装置（6A）による選り装置（６）だけで選
り作用を施し、藺草を横倒し姿勢にして収集デッキ（1
0）上まで持上げる構成を採ってもよい。この場合に、
上方から吹上げられる藺草を受止め、収集デッキ（10）
上に移送し引続き収積台（15）上に横倒し姿勢で落下さ
せる構成を採ってもよい。

送風装置（6A）の放出風によって吹上げられた藺草
の株元側を受止めて収集デッキ（10）まで持上げ搬送装
置（12）で移送し、収集デッキ（10）で横倒し姿勢に姿
勢設定した後結束して収積部（15）に流し込む構成を採
ってもよい。

第11図に示すように、藺草の刈取から結束までの作
業を行う刈取部を昇降リンク機構（39）を介して農用ト
ラクタ等に連結する構成を採ってもよい。この場合に引
起し刈取られた藺草を挾持装置（５）で機体横側方に吊
下げ搬送するとともに、後側方からの送風装置（6A）に
よって前方に向け搬送藺草の株元側を吹上げ屑藺を選り
出すとともに、持上げ搬送装置（12）によって収集デッ
キ（10）上に横倒れ姿勢に載置して結束装置（７）で結
束し、結束装置（７）の更に機体横外側方に設置された
収積台（15）上に放出する。この場合に、結束装置
（７）の更に前方に遮蔽体（39）を設けて屑藺の飛散を
防止する。

第10図に示すように、機体（４）前端に分草装置
（１）、引起し装置（２）を備え、引起し刈取後の藺草
を挾持して機体横側方に吊下げ状態で搬送する挾持搬送
装置（５）を設け、この挾持搬送装置（５）で送られる
藺草に対して前側方の送風装置から放出される放出風に
よって上方に向けて吹上げ、屑藺を選り出す選り作用を
施すとともに、放出風力と持上げ搬送装置（12）とで収
集デッキ（10）上まで持上げ横倒し姿勢に設定して結束
装置（７）で結束し、結束装置（７）の更に横外側方が
わ収積部（15）に放出する。前記したとこのの場合
において、結束装置（７）を設けるかどうかは任意に選
択すればよい。又、機体後方に放出屑藺を受止め降下さ
せる遮蔽体（39）を設けてある。

挾持搬送装置（５）としては二つのベルトを対向さ
せた構成にしてあるが、突起付チェーンとガイド杆で挾
持搬送する構成をとってもよく、実施例中のものに限定
されない。

遮蔽体（39）としては杆体（39a）をすだれ状に垂
らした構成のものでなく、網状のものでもよく、実施例
中のものに限定はされない。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体側面図、第２図は全体平面図、第３図は全
体正面図、第４図は送風装置での選り作用状態を示す正
面図、第５図は第４図における平面図、第６図は屑藺用
切断装置及び株揃え用切断装置を示す横断平面図、第７
図は株揃え用切断装置を示す側面図、第８図は屑藺用切
断装置を示す側面図、第９図は屑藺用切断装置及び株揃
え用切断装置を示す縦断正面図、第10図ないし第12図
は、夫々、別実施例を示す側面図である。 （５）……挾持搬送装置、（６）……選り装置、（6A）
……送風装置、（39）……遮蔽体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 有本 敬 大阪府堺市石津北町64番地 久保田鉄工株 式会社堺製造所内 (72)考案者 猪俣 廣明 大阪府堺市石津北町64番地 久保田鉄工株 式会社堺製造所内 (56)参考文献 実公 昭53−46334（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取後の藺草を吊下げ挾持して搬送する挾
   持搬送装置（５）を設けるとともに、この挾持搬送装置
   （５）で吊下げ搬送される藺草の株元側に、送風装置
   （6A）からの放出風を側方より吹付けて屑藺を選り出す
   風力式の選り装置（６）を設け、前記送風装置（6A）で
   強制放出される屑藺を受止め降下させる遮蔽体（39）を
   設けてある藺草ハーベスタ。