JPH07117931A - 紡糸巻取機の玉揚装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空紙管およびパッケージの供給を行える紡糸
巻取機の玉揚装置を提供する。 【構成】 紡糸巻取機２列に沿って走行する走行台車４
と、その走行台車４に上下動自在にかつ旋回自在に設け
られた一対のアーム５，６と、一方のアーム５には空紙
管９を紡糸巻取機２側に押し出す紙管押出装置７と、他
方のアーム６には上記紡糸巻取機２から受け取った満巻
パッケージＰをクリール等に押し出すパッケージ押出装
置８とを備えた紡糸巻取機の玉揚装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紡糸巻取機の玉揚装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】紡糸巻取機、例えばテイクアップワイン
ダは、工場内に多数並列配置され、満巻のパッケージを
複数同時に生産するものである。具体的には複数例えば
８個の円筒形の空紙管を、スピンドルモータ等により回
転駆動されるボビンホルダに一列に装着して、ボビンホ
ルダを駆動させて複数の紙管を回転させ、各紙管に糸を
巻き取らせて所定の形状および糸量のパッケージを８個
同時に生産するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、パッケージ
が満巻になると、従来は、オペレータが玉揚げすべきテ
イクアップワインダまで行ってその満巻のパッケージを
受け取ると共に、そのボビンホルダに空紙管を装着し、
その後、満巻パッケージをクリール等に搬送していた。
しかし、テイクアップワインダは多数配置されるため、
これら多数のワインダの玉揚作業を手作業で行うには多
大な労力を要する。

【０００４】このため、ワインダに沿って走行すると共
に、満巻パッケージを受け取り、パッケージを搬送する
ロボットが開発されつつあり、例えば特開平4-121365号
公報に開示されたものがある。この玉揚台車（玉揚装
置）は、玉揚すべきテイクアップワインダの前まで走行
移動し、そしてワインダから満巻パッケージを受け取
り、移動後、満巻パッケージをペグスタンドのペグ軸に
差し込むものであり、空紙管やパッケージを他の装置に
供給するには別の供給装置を用いるか手作業で行わなけ
ればならない。

【０００５】そこで、本発明は、このような事情を考慮
してなされたものであり、その目的は、空紙管およびパ
ッケージの供給を行える紡糸巻取機の玉揚装置を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の紡糸巻取機の玉揚装置は、紡糸巻取機列に
沿って走行する走行台車と、その走行台車に上下動自在
にかつ旋回自在に設けられた一対のアームと、一方のア
ームには空紙管を紡糸巻取機側に押し出す紙管押出装置
と、他方のアームには上記紡糸巻取機から受け取った満
巻パッケージをクリール等に押し出すパッケージ押出装
置とを備えたものである。

【０００７】

【作用】満巻パッケージが紡糸巻取機で生産されると、
走行台車がその紡糸巻取機の前まで走行移動し、巻取機
から満巻パッケージを受け取る。そして、紙管押出装置
により一方のアームの空紙管が巻取機に押し出されて、
巻取機への空紙管の装着が行われ、装着後、クリール等
へ移動してパッケージ押出装置により満巻パッケージが
クリール等に押し出される。従って、空紙管およびパッ
ケージの供給を行える紡糸巻取機の玉揚装置を提供する
ことが可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【０００９】図１〜図４において、１は玉揚装置を示
し、この玉揚装置１は、多数並列配置されたテイクアッ
プワインダ２のボビンホルダに対して直角に設けられた
走行路３を走行する走行台車４と一対の平行アーム５，
６と紙管押出装置７とパッケージ押出装置８とを備え、
満巻パッケージＰの受取と空紙管９のホルダへの装着を
行うものである。

【００１０】走行台車４は、矩形状に形成され、その底
面の四隅に車輪１０が回転自在に取り付けられ、これら
車輪１０は上記走行路３に配設されたレール１１上を走
行するように形成されている。尚、走行台車は床等を走
行するように構成してもよい。それら車輪１０には、台
車４内に設けられている正逆回転可能なブレーキ付ギア
モートル１２により回転駆動される走行ベルト１３が掛
け渡され、ギアモートル１２の駆動により走行台車４が
レール１１上を走行するようになっている。レール１１
は、テイクアップワインダ２のボビンホルダに対して直
角で、かつレール１１上の玉揚装置１の平行アーム５，
６の先端をボビンホルダの先端に相対させたとき（突き
合わせたとき）、アーム５，６の先端がボビンホルダの
先端の近傍に位置されてボビンホルダからの満巻パッケ
ージＰの受取と空紙管９のホルダへの装着が行えるよう
に走行路３に配設されている。

【００１１】走行台車４の上面のほぼ中央部には、一側
面に凹部を有する四角形で中空状の支柱１４が垂直方向
に立設されている。支柱１４の上端には、正逆回転可能
なブレーキ付昇降モータ１５が備えられた上部ボックス
１６が設けられ、この上部ボックス１６内には昇降モー
タ１５による昇降旋回部１７の上下動をインバータ制御
する昇降制御ボックス１８が配設されている。また、支
柱１４には昇降旋回部１７が上下動自在に、かつ旋回自
在に設けられている。

【００１２】昇降旋回部１７は、矩形状で、その中央部
に支柱１４が貫通し、かつ支柱１４を昇降し得るように
形成される。この昇降旋回部１７は、上記走行台車４と
上部ボックス１６とに回転自在に設けられた２つの昇降
プーリ１９に掛け渡された昇降ベルト２０の一片が取り
付けられている。その上部ボックス１６の昇降プーリ１
９は上記昇降モータ１５により回転駆動されるようにな
っており、昇降モータ１５を駆動することにより昇降旋
回部１７が支柱１４に沿って上下に移動するようになっ
ている。

【００１３】また、昇降旋回部１７は、上方より下方が
支柱１４を軸に旋回する旋回部１７ａとして形成され、
この旋回部１７ａの上部に回転プーリ２１が設けられて
いる。さらに昇降旋回部１７の上部には、正逆回転可能
なブレーキ付旋回モータ２２が設けられ、このモータ２
２の回転軸に取り付けられた駆動プーリ２３と旋回部１
７ａの回転プーリ２１とに回転ベルト（図示せず）が掛
け渡され、モータ２２の駆動により旋回部１７ａが支柱
１４を軸に回転するようになっている。

【００１４】昇降旋回部１７（旋回部１７ａ）の一側面
およびその反対側の側面には、紙管９の内径より径が小
さく、複数例えば８個の紙管９が１列に装着し得る長さ
の棒状の平行アーム５，６が取り付けられている。平行
アーム５，６の一方、図示例では昇降旋回部１７の右側
は、空紙管９が装着される空紙管アーム５、他方はテイ
クアップワインダ２からの満巻パッケージＰが装着され
るパッケージアーム６として用いられ、これらアーム
５，６は、水平方向に平行で、かつ昇降旋回部１７から
同じ長さ突き出るようにその後端が昇降旋回部１７の側
面に取り付けられている。

【００１５】アーム５，６は、図５に示すように、断面
ほぼＩ字状にアルミで成形されて鋼性アップが図られ、
例えば８個の満巻パッケージＰ（総重量約 100ｋｇのパ
ッケージ）が装着されても耐え得るようになっている。
アーム５，６の先端部および後端部には、プッシャー用
タイミングプーリが回転自在に取り付けられ、これらプ
ーリにアームの両側の凹部を通る駆動ベルトが掛け渡さ
れている。例えば、空紙管アーム５を例にとると、図６
に示すように、アーム５の先端部内にアーム５の径より
小さな径のプッシャー用タイミングプーリ２４が回転自
在に取り付けられ、これに駆動ベルト２５が掛け渡さ
れ、ベルト２５がアーム５の凹部を通って後方のプーリ
に掛け渡される。ベルト２５の一片には紙管押出部材２
６が取り付けられている。

【００１６】紙管押出部材２６は、アーム５の軸方向に
沿って配置され、一端がベルト２５に取り付けられると
共に他端がアームの前方方向に位置され、押出部材２６
がアームの先端に移動したときに先端がアームの先端の
近傍にくる長さに形成された取付部２６ａと、その取付
部２６ａの先端に取り付けられると共に紙管９の内径よ
り大きくその外径より小さい内径の円筒形に形成され、
アーム５に装着された複数の空紙管９をテイクアップワ
インダ２のボビンホルダ２７に順次押し出す押出部２６
ｂとからなる。

【００１７】空紙管アーム５の後方には、図３および図
４に示すように、後方のプーリを回転駆動させる正逆回
転可能なブレーキ付紙管押出モータ２８が設けられ、こ
のモータ２８の駆動によりベルト２５が駆動されて押出
部材２６がアーム５に沿って移動するようになってい
る。その紙管押出部材２６、ベルト２５および紙管押出
モータ２８により紙管押出装置７が構成される。

【００１８】また、パッケージアーム６にも、図１、図
２および図４に示すように、空紙管アーム５と同様にア
ーム６に装着された複数のパッケージＰを押し出すパッ
ケージ押出部材２９が設けられ、このパッケージ押出部
材２９はアーム６の後方に設けられた正逆回転可能なブ
レーキ付パッケージ押出モータ３０の駆動によりアーム
６に沿って前後に移動するようになっており、パッケー
ジ押出装置８が構成される。

【００１９】さらに、昇降旋回部１７内には旋回モータ
２２、紙管押出モータ２８およびパッケージ押出モータ
３０による旋回部１７ａの旋回、紙管押出部材２６の移
動およびパッケージ押出部材２９の移動をインバータ制
御する駆動制御ボックス３１が配設されている。

【００２０】また、支柱１４内には図３に示すようにバ
ランスウェイト３２が配設され、このバランスウェイト
３２は、昇降旋回部１７が下がると上がるように構成さ
れ、これによりパッケージアーム６に複数のパッケージ
Ｐが装着されたときに作用する外力とつりあいがとられ
るようになっている。

【００２１】さらに、走行台車４には図２に示すように
電線３３が接続されて、電力や指令信号が玉揚装置１に
送られるようになっている。尚、走行台車内に電力源や
信号受診装置を設置して無線により玉揚装置を駆動する
ようにしてもよい。

【００２２】走行台車４内には、ギアモートル１２によ
る玉揚装置１の走行をインバータ制御すると共に玉揚装
置１を駆動させるための制御信号を昇降制御ボックス１
８、駆動制御ボックス３１に送る制御ボックス３４が設
けられ、この制御ボックス３４に電線３３が接続され
る。制御ボックス３４には昇降制御ボックス１８、駆動
制御ボックス３１等に接続された接続ケーブル（図示せ
ず）が接続される。走行台車４から上部ボックス１６へ
のケーブルは支柱１４の凹部内に配線されると共に、昇
降旋回部１７へのケーブルは、支柱１４の凹部を通って
上部ボックス１６に至り、図３に示すようにそこから上
部ボックス１６と昇降旋回部１７とを結ぶケーブルベヤ
３５内を通って昇降旋回部１７に至るように配線され
る。ケーブルベヤ３５は、昇降旋回部１７が支柱１４に
沿って上下動しても切れたり絡んだりすることがない可
撓性を有する。

【００２３】その制御ボックス３４には、玉揚時、上記
アーム５，６をレール１１と平行にして走行台車４を玉
揚げすべきテイクアップワインダ２まで移動させる走行
移動機能と、移動後、パッケージアーム６をボビンホル
ダ２７に向くように90°旋回させ、ボビンホルダ２７に
パッケージアーム６を突き合わせるパッケージアーム位
置決め機能と、ボビンホルダ２７の満巻パッケージＰを
パッケージアーム６に受け取った後、空紙管アーム５を
そのボビンホルダ２７に突き合うように移動させてから
のアーム５に装着されている空紙管９をボビンホルダ２
７に押し出す空紙管押出機能と、空紙管押出後、アーム
５，６をレール１１と平行にしてからクリール等まで移
動させ、満巻パッケージＰをクリール等に押し出すパッ
ケージ搬出機能とを有し、これらの機能により制御ボッ
クス３４、昇降制御ボックス１８および駆動制御ボック
ス３１を介してモータ１２，１５，２２，２８，３０等
が駆動されて玉揚装置１が作動するようになっている。

【００２４】具体的には玉揚装置１は以下のように動
く。

【００２５】複数のテイクアップワインダ２が一列に配
設されたうちの一つのワインダ図１に示す例ではＡのワ
インダ２で８個のパッケージＰが満巻になると、空紙管
アーム５に予め８個の空紙管９を装着させておいた玉揚
装置１は図１に示すＢのように走行路３のレール１１上
をその玉揚げすべきワインダ２に向って走行する。この
際、アーム５，６はレール１１と平行（例えば走行方向
前方にアーム５，６の先端がくるようにする）の状態に
なる。これによりアーム５，６が走行時に邪魔になるこ
とがない。

【００２６】玉揚装置１が玉揚げすべきワインダ２の所
定の位置に移動したら、昇降旋回部１７の旋回部１７ａ
が、アーム５，６がワインダ２に相対するように図示例
では右に90°回転する。この回転により、パッケージア
ーム６がワインダ２のボビンホルダ２７に突き合う位置
に位置決めされる。また、回転によりパッケージアーム
６がボビンホルダ２７に突き合う位置に位置決めされな
いときは、ギアモートル１２、昇降モータ１５および旋
回モータ２２が適宜駆動されて位置決めが行われる。こ
の際、アーム５，６の高さを予めボビンホルダ２７に位
置決めされる高さに設定しておくことにより、アーム回
転後はギアモートル１２の駆動だけでアーム６の位置決
めを行えるようにすることがよい。このようにすれば、
パッケージアーム６の位置決めは、大まかにはアーム回
転後ギアモートル１２により走行台車４をボビンホルダ
２７と直角に適宜移動させて行い、微調整で昇降モータ
１５と旋回モータ２２を駆動させてアーム６の高さと傾
きをそれぞれ調節する。

【００２７】パッケージアーム６位置決め後、ボビンホ
ルダ２７から８個の満巻パッケージがパッケージアーム
６に装着される。この装着後の装置１は図１に示すＣの
ような状態である。この際、アーム６は、アルミで断面
ほぼＩ字状に成形されているため鋼性アップが図られ、
８個の満巻パッケージＰ（総重量約 100ｋｇのパッケー
ジ）が装着されてもアーム６が折れることがない。ま
た、パッケージアーム６に満巻パッケージＰが装着され
たとき、これにより作用する外力により玉揚装置１の重
心が移動して装置１が倒れる可能性もあるが、支柱１４
内に設けられたバランスウェイト３２によりパッケージ
装着時に作用する外力とのつりあいがとられるので、装
置１が倒れるおそれはない。

【００２８】満巻パッケージＰを受け取った後、ギアモ
ートル１２により走行台車４は空紙管アーム５がボビン
ホルダ２７と突き合うように走行移動する。移動後、紙
管押出モータ２８が駆動されて、紙管押出部材２６がア
ーム５の後方から前方へと移動してアーム上の８個の空
紙管９を順次ボビンホルダ２７に押し出し、ホルダ２７
に空紙管９が装着される。この空紙管９をボビンホルダ
２７に押し出した状態が図６に示した状態である。

【００２９】そして、紙管押出モータ２８は逆回転駆動
されて紙管押出部材２６がアーム５の前方から後方へと
移動すると共に、旋回モータ２２によりアーム５，６が
レール１１と平行になるように旋回部１７ａが90°回転
する。そして、ギアモートル１２により玉揚装置１は例
えばクリール（図示せず）へと走行し、走行後、クリー
ルは通常ワインダ２の反対側に配置されるため、旋回モ
ータ２２によりパッケージアーム６がクリールに向うよ
うに90°回転し、パッケージアーム６の位置決めが行わ
れる。この走行時や走行停止時、玉揚装置１の重心が移
動するが、支柱１４内に設けられたバランスウェイト３
２によりパッケージ装着時に作用する外力とのつりあい
がとられるので、装置１が倒れるおそれはない。

【００３０】パッケージアーム６の位置決め後、パッケ
ージ押出モータ３０によりパッケージ押出部材２９がア
ーム６の後方から前方に移動してアーム６に装着されて
いる８個の満巻パッケージＰが順次クリールに押し出さ
れる。これにより、パッケージＰのクリールへの搬出が
完了する。そして玉揚装置１は、空紙管９を装着させる
ための装置等に走行移動されて、そこで空紙管９の装着
が行われた後、次の満巻パッケージＰが生産されるまで
待機する。

【００３１】このように、玉揚装置１は玉揚げすべきテ
イクアップワインダ２までアーム５，６を走行方向に沿
った状態で走行移動し、そしてアーム６を旋回して位置
決めしてからワインダ２から複数（８個）の満巻パッケ
ージＰを受け取ると共に、そのボビンホルダ２７に空紙
管９を装着し、その後、アーム６を走行方向に沿うよう
に旋回してからクリール等へ走行するので、空紙管およ
びパッケージの供給を行える紡糸巻取機の玉揚装置を提
供することができる。

【００３２】また、この玉揚装置１は、走行台車４の走
行、昇降旋回部１７の昇降と旋回、紙管押出部材２６の
移動およびパッケージ押出部材２９の移動をインバータ
制御するので、停止時等によるショックを緩和すること
ができる。

【００３３】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、走行台車
に設けられた一対のアームの一方には紙管押出装置、他
方のアームにはパッケージ押出装置を備えたので、空紙
管およびパッケージの供給を行える紡糸巻取機の玉揚装
置を提供できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明するための上面図であ
る。

【図２】本発明の玉揚装置の一例を示す側面図である。

【図３】図２に示す玉揚装置の正面図である。

【図４】図２に示す玉揚装置の上面図である。

【図５】本発明の玉揚装置のアームの一例を示す断面図
である。

【図６】本発明の玉揚装置の空紙管アームに設けられた
空紙管押出部材の一例を示す平面断面図である。

【符号の説明】

２ テイクアップワインダ（紡糸巻取機） ４ 走行台車 ５，６ アーム ７ 紙管押出装置 ８ パッケージ押出装置 ９ 空紙管 Ｐ パッケージ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 紡糸巻取機列に沿って走行する走行台車
   と、該走行台車に上下動自在にかつ旋回自在に設けられ
   た一対のアームと、一方のアームには空紙管を紡糸巻取
   機側に押し出す紙管押出装置と、他方のアームには上記
   紡糸巻取機から受け取った満巻パッケージをクリール等
   に押し出すパッケージ押出装置とを備えたことを特徴と
   する紡糸巻取機の玉揚装置。