JPH07116287B2 - 結晶性新規芳香族ポリスルホン及びその製造方法 - Google Patents

結晶性新規芳香族ポリスルホン及びその製造方法

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JPH07116287B2
JPH07116287B2 JP23088188A JP23088188A JPH07116287B2 JP H07116287 B2 JPH07116287 B2 JP H07116287B2 JP 23088188 A JP23088188 A JP 23088188A JP 23088188 A JP23088188 A JP 23088188A JP H07116287 B2 JPH07116287 B2 JP H07116287B2
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許志 石倉
龍也 菅野
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ジハロジフェニルスルホン化合物とビスフェ
ノールからなる新規重合体及びその製造方法に関する。
詳しくは耐熱性、流動性及び耐溶剤性に優れた結晶化度
の高い結晶性新規芳香族ポリスルホン及びその製造方法
に関する。
(従来技術) 従来より耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチック
スとしてポリスルホンがよく知られている。例えばアー
ル.エヌ.ジョンソン(R.N.Johnson)他ジャーナル.
オブ.ポリマー.サイエンス(J.Polym.Sci)(A)−
1(5)2375(1967)。
これらの芳香族ポリスルホンは、比較的高温における機
械的諸物性に優れ、しかも耐薬品性、電気的特性も良好
であるため多くの分野で実用化が成されて来ている。
近年、さらに耐熱性の向上を要求される分野へ使用され
ることも多くなりガラス転移温度が数十度高く更に熱安
定性も従来と同等かそれ以上のものが望まれている。
しかし、ガラス転移点が高くなるとそれと共に流動性が
低下して成形加工性が大幅に悪くなる問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 芳香族ポリスルホンの重合体は前述のように機械的特性
や耐熱性に優れているものの成形時における成形流動性
及び耐溶剤性が十分でないため精密成形材料及び耐溶剤
性の要求される成形品には難点が残されている。これま
でに、流動性を向上するために主鎖に脂肪族鎖を入れる
方法(特開昭60−53534,特開昭60−108425)またビスフ
ェノールAの代わりに を用いる方法(特開昭58−10114)がある。しかし、こ
れらの方法では、流動性は向上されるものの、耐熱安定
性及び耐溶剤性は劣る傾向にある。つまり熱分解温度の
低下が見られ、本来の芳香族ポリスルホンとしての特徴
を失うという問題点がある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の問題点より、芳香族ポリスルホン
の耐熱性、機械的特性、熱安定性を損なうことなく成形
流動性と耐溶剤性を改良することは、多くの分野で望ま
れていることであると考え、これらの欠点を改良するた
めの鋭意検討を行った。その結果2,2−ビス−(4−ヒ
ドロキシ−3−ターシャリーブチルフェニル)プロパン
とジハロジフェニルスルホン化合物を用いることで結晶
化度の高い新規芳香族ポリスルホンを見出し本発明に至
ったものである。
すなわち本発明は (1)一般式(I) で示される繰り返し単位を有し、ペンタフルオロフェノ
ール/クロロホルム(3/7重量比)を溶媒とする25℃で
の還元粘度が0.2dl/g以上である結晶性新規芳香族ポリ
スルホン(ただし、R1,R2は水素,炭素数1〜8の直鎖
状または分岐状の炭化水素基,ハロゲン原子を示し互い
に同一でも又は異なってもよい。a,bはそれぞれ1〜4
の整数を表し互いに同一又は異なってもよい。)を提供
することを特徴とし且つ又は、(2)該ポリマーの結晶
化度が30%以上であることを特徴とし、(3)その製造
方法は一般式(II) (ただし、XはハロゲンでR1,R2は水素,炭素数1〜8
の直鎖状または分岐状の炭化水素基,ハロゲン原子を示
し互いに同一でも又は異なってもよい。a,bはそれぞれ
1〜4の整数を表し互いに同一でも異なってもよい。)
で示されるジハロジフェニルスルホン化合物と一般式
(III) で表される2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−ターシ
ャリブチルフェニル)プロパンをアルカリ金属塩形成剤
と反応させて得られる二価フェノールアルカリ金属二塩
とを溶媒中で反応させてることを特徴とするものであ
る。
本発明は、一般式(II)で表わされるジハロジフェニル
スルホン化合物としては、ビス(4−クロロフェニル)
スルホン,ビス(4−フルオロフェニル)スルホン,ビ
ス(4−ヨードフェニル)スルホン,ビス(2−クロロ
フェニル)スルホン,ビス(2−フルオロフェニル)ス
ルホン,ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)スル
ホン,ビス(3,5−ジメチル−4−クロロフェニルスル
ホン,ビス(3,5−ジメチル−4−フルオロフェニル)
スルホン等を挙げることができ、これらは、単独でも2
種以上の混合物としても使用できる。ジハロジフェニル
スルホン化合物として特に好ましいものとしてビス(4
−クロロフェニル)スルホン,ビス(4−フルオロフェ
ニル)スルホンを挙げることが出来る。
本発明の重合体は、粘度測定溶媒をペンタフルオロフェ
ノールとクロロホルム(重量比3/7)にし、25℃におけ
る還元粘度(ηred)が0.2dl/g以上であるような重合体
である。ηredが0.2dl/g未満である重合体は耐熱性,耐
溶剤性が低下する。
次に本発明の重合体は、更に詳しくは、以下に述べるい
ずれかの実施態様においても製造することができる。例
えば、 イ) 有機極性溶媒中で、二価フェノールにアルカリ金
属塩形成剤をそのまま、もしくは、水溶液の状態で反応
させ系中の水分を加熱もしくは、共沸脱水溶剤を添加し
て、共沸脱水反応により除去したのち、ジハロジフェニ
ルスルホン化合物を添加して、所定温度にて重合させる
方法。
ロ) 有機極性溶媒中で、二価フェノールにアルカリ金
属塩形成剤をそのまま、もしくは、水溶液の状態で反応
させ、これに、共沸脱水溶剤およびジハロジフェニルス
ルホン化合物を添加して、所定温度にて、共沸脱水させ
ながら重合させる方法。
ハ) 有機極性溶媒中に、別途合成した二価フェノール
のアルカリ金属二塩とジハロジフェニルスルホン化合物
を仕込み、所定温度にて重合させる方法。
ニ) 有機極性溶媒中に、二価フェノール,ジハロジフ
ェニルスルホン化合物及びアルカリ金属炭酸塩を仕込
み、所定温度に昇温し、生成水を脱留去させながら重合
させる方法。
ホ) 有機極性溶媒中に、二価フェノール,ジハロジフ
ェニルスルホン化合物及びアルカリ金属炭酸塩を仕込
み、これに、共沸脱水溶剤を加えて所定温度に共沸脱水
させながら重合させる方法。
などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明において用いられるジハロジフェニルスルホン化
合物の使用量は、二価フェノールに対して90〜110モル
%の範囲内で使用するのが好ましい。より高分子量のポ
リマーを得る為には、95〜105モル%の範囲内で使用す
るのが好ましい。
本発明において用いられる二価フェノールのアルカリ金
属二塩形成剤としては、二価フェノールと反応して二価
フェノールのアルカリ金属二塩を形成するものであれば
特に制限はないが、そのようなものの例として、アルカ
リ金属,アルカリ金属水素化物,アルカリ金属水酸化
物,アルカリ金属硫化物,アルカリ金属硫化水素化物,
アルカリ金属アルコキシドなどを掲げることができる。
この中でも安価で、しかも反応性の高いアルカリ金属水
酸化物、特に、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムを用
いるのが好ましい。
本発明において用いられる二価フェノールのアルカリ金
属二塩形成剤の使用量は二価フェノールの水酸基1つに
対して、反応するアルカリ金属原子が実質上1つ存在す
る量で用いるのが好ましい。具体的には、二価フェノー
ルの水酸基1molに対して二価フェノールのアルカリ金属
二塩形成剤は0.95mol〜1.05molの範囲内で用いられる。
この範囲より少ない場合には高分子量のポリマーが得ら
れにくく、一方この範囲より多い場合には、重合中に副
反応が生じて生成ポリマーの物性の低下や着色度が大き
くなって好ましくない。
本発明において用いられるアルカリ金属炭酸塩として
は、好ましくはフェノールと反応してフェノールのアル
カリ金属塩を形成しうるもので、具体的には炭酸ナトリ
ウム,炭酸カリウム,炭酸ルビジウム,炭酸セシウムで
ある。特に好ましくは、炭酸カリウムもしくは炭酸ナト
リウムである。所望なら水和炭酸塩も使用出来るが、ア
ルカリ金属炭酸塩は無水のものが好ましい。また炭酸水
素カリウムもしくは炭酸水素ナトリウムも下記の理由に
より用いることが出来る。
本発明において用いられるアルカリ金属炭酸塩の使用量
は、二価フェノールもしくはハロフェノールとアルカリ
金属炭酸塩との反応によって生成したアルカリ金属炭酸
塩を完全に分解するに十分高い反応温度で反応させるか
否かに依存する。アルカリ金属重炭酸塩の熱分解反応例
を次式(1)(2)に示す。
重炭酸カリウムは100〜200℃の範囲で分解し、重炭酸ル
ビジウム及びセシウムは175℃で分解する。重炭酸ナト
リウムは幾分安定であるが、270℃で分解する。重炭酸
リチウムはどの様な条件下でも分解しない。重炭酸塩の
分解が殆ど或いは全く起こらない場合には二価フェノー
ル1モルに対して少なくとも2モルのアルカリ金属炭酸
塩を使用しなければならない。しかしながら、反応温度
が上記重炭酸塩を実質上完全に分解するのに十分であれ
ば、使用するアルカリ金属炭酸塩の量は二価フェノール
1モルに対して約1モル用いればよい。特に高分子量ポ
リマーを得る為に、及び重合反応速度を高める為には、
0.5〜200モル%過剰の炭酸塩を用いることが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩の使用量が少ない場合にはフェノー
ルのアルカリ金属塩の生成反応が完了せず、フリーなフ
ェノール基の為に低分子量の生成物しか得られないので
好ましくない。
本発明において用いられる溶媒としては、重合温度にお
いてアルカリの存在下において安定でしかも、二価フェ
ノール,ジハロジフェニルスルホン化合物及び生成重合
体に対する溶解性が高いものであれば、特に制限はない
が、そのようなものの例として、N,N−ジメチルホルム
アミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチル−2−ピ
ロリドン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン,ジメ
チルスルホキシド,スルホラン,ジフェニルスルホン,
クロロベンゼン,ジクロロベンゼンなどを掲げることが
出来るが、これに限定されるものではない。
本発明において用いられる共沸脱水溶剤としては、水と
共沸して、共沸混合物を形成するもので、例えば、ベン
ゼン,トルエン,キシレン,クロロベンゼン,モノクロ
ロエタン,ジクロロエタン,トリクロエタン,テトラク
ロロエタン,モノクロロエチレン,ジクロロエチレン,
トリクロロエチレンなどを掲げることができるが、これ
に限定されるものではない。
本発明において重合反応温度は、反応原料成分の種類,
重合反応の形式等により変化するが、通常70〜400℃の
範囲であり、好ましくは78〜350℃の範囲で実施され
る。上記の温度範囲より反応温度が低い場合は、目的と
する重合反応は殆ど実用に耐える速度で進行せず、必要
とする分子量の重合体を得ることは困難である。一方、
上記の範囲より反応温度が高い場合は、目的とする重合
反応以外の副反応が無視できなくなり、得られる重合体
の着色も著しくなる。また、反応は一定の温度で実施し
てもよいし、温度を徐々に変化させるか、又は温度を段
階的に変化させてもよい。
本発明の方法において、重合反応に要する時間は反応原
料成分の種類,重合反応の形式,反応温度などにより大
幅に変化するが、通常は10分〜100時間の範囲であり、
好ましくは30分〜24時間の範囲で実施される。
本発明の方法において反応を実施する際の反応雰囲気と
しては、酸素が存在しないことが好ましく、窒素もしく
はその他の不活性ガス中で行うと良い結果が得られる。
二価フェノールのアルカリ金属塩は酸素の存在下で加熱
すると酸化されやすく、目的となる重合反応が妨げられ
高分子量化が困難になる他、生成重合体の着色の原因と
もなる。
本発明の方法において重合反応を停止させるには通常反
応物を冷却すればよい。しかしながら、重合体の末端に
存在する可能性のあるフエノキサイド基を安定化させる
ために、脂肪族ハロゲン化物,芳香族ハロゲン化物等を
添加反応させることも必要に応じ実施される。上記ハロ
ゲン化物の具体的な代表例としては、メチルクロライ
ド,エチルクロライド,メチルブロマイド,4−クロロジ
フェニルスルホン,4−クロロベンゾフェノン,4,4′−ジ
クロロジフェニルスルホン,p−クロロニトロベンゼン等
を挙げることが出来る。
重合反応終了後の重合体の分離及び精製においては公知
の方法を適用できる。例えば、反応溶媒中に析出した塩
(アルカリハライド)及び過剰のアルカリ金属塩形成剤
もしくは、過剰のアルカリ金属炭酸塩をろ別した後、ろ
液である重合体溶液を通常は重合体の非溶媒に滴下する
か、逆に重合体の非溶媒を重合体溶液中に加えることに
より、目的とする重合体を析出させることが出来る。さ
らに、反応混合物を冷却後非溶媒中、ホモジナイザー等
を用いて粉末混合物とした後、ろ過し、水を用いて洗浄
することにより粉末混合物が過剰のアルカリ金属形成剤
及び反応中に析出した塩(アルカリハライド)を省くこ
とが出来る。さらに、重合体の非溶媒として通常用いら
れるものの代表例としては、メタノール,エタノール,
イソプロパノール,アセトン,メチルエチルケトン,水
等を挙げることが出来るが、これらは単独でも、二種以
上の混合物として使用してもよい。
本発明によって得られる重合体は、その優れた耐熱性,
耐溶剤性,熱安定性,流動性,高い機械強度等により、
電気絶縁用途,耐熱部品,調理用具,コーティング材
料,精密部品等に使うことが出来る。
本発明を以下の実施例及び比較例にて詳細に説明する
が、これをもって本発明を制限するものではない。
(実施例) 実施例1 攪はん機,ガス導入管,温度計及び先端に受器を付した
凝縮器とを備えた1lSUS316フラスコ内に、2,2−ビス−
(4−ヒドロキシ−3−ターシャリーブチルフェニル)
プロパン34.0gと無水炭酸カリウム27,6gと4,4′−ジク
ロロジフェニルスルホン29.3gと1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン250ml及びベンゼン200mlを仕込み窒素置
換を行った。窒素ガスを通じがら攪はん下昇温して、ベ
ンゼンの還流下で2時間共沸脱水を行った。引続き還流
状態を保持しつつ徐々にベンゼンを系外に除き、130℃
に昇温させこの温度を保持しつつトルエンを50mlを20分
間で滴下し、脱水留去させながら2時間反応を行った。
この後、更に200℃で2時間、220℃で3時間反応を行い
粘ちょうな反応溶液を得た。この溶液を180℃まで冷却
した後、メタノール2000ml中にホモジナイザーで攪はん
下滴下した。次に、この混濁溶液をろ過して白色粉末を
得た。更に、この白色粉末を水500mlで攪はん洗浄を3
回繰り返し最後にメタノールで水を置換し、100℃,3時
間乾燥した。得られた白色ポリマーの還元粘度は0.45dl
/g(ペンタフルオロフェノール/クロロホルム重量比3/
7,25℃)であった。また、X線回析法により測定した結
晶化度は36%であった。
(発明の効果) 以上のように耐熱性、耐熱安定性、耐溶剤性の優れた新
規な芳香族ポリスルホンが得られ、これは、耐熱性及び
耐溶剤性の要求される成形材料全般に使用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) で示される繰り返し単位を有し、ペンタフルオロフェノ
    ール/クロロホルム(3/7重量比)を溶媒とする25℃で
    の還元粘度が0.2dl/g以上である結晶性新規芳香族ポリ
    スルホン(ただし、R1,R2は水素,炭素数1〜8の直鎖
    状または分岐状の炭化水素基,ハロゲン原子を示し互い
    に同一でも又は異なってもよい。a,bはそれぞれ1〜4
    の整数を表し互いに同一又は異なってもよい。)。
  2. 【請求項2】新規芳香族ポリスルホンの結晶化度が30%
    以上である特許請求の範囲第1項記載の結晶性新規芳香
    族ポリスルホン。
  3. 【請求項3】一般式(II) (ただし、XはハロゲンでR1,R2は水素,炭素数1〜8
    の直鎖状または分岐状の炭化水素基,ハロゲン原子を示
    し互いに同一でも又は異なってもよい。a,bはそれぞれ
    1〜4の整数を表し互いに同一でも又は異なってもよ
    い。)で示されるジハロジフェニルスルホン化合物と一
    般式(III) で表される2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−ターシ
    ャリブチルフェニル)プロパンをアルカリ金属塩形成剤
    と反応させて得られる二価フェノールアルカリ金属二塩
    とを溶媒中で反応させて得られる特許請求の範囲第1項
    記載又は特許請求の範囲第2項記載の結晶性新規芳香族
    ポリスルホンの製造方法。
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