JPH07113293A - 縦葺き屋根板およびこの屋根板を用いた屋根構造 - Google Patents

縦葺き屋根板およびこの屋根板を用いた屋根構造

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JPH07113293A
JPH07113293A JP26118093A JP26118093A JPH07113293A JP H07113293 A JPH07113293 A JP H07113293A JP 26118093 A JP26118093 A JP 26118093A JP 26118093 A JP26118093 A JP 26118093A JP H07113293 A JPH07113293 A JP H07113293A
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roof plate
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 屋根板の梱包、運搬を容易にすると共に、施
工後には風圧によって飛散しないものにする。 【構成】 縦葺き屋根板1は略平板状で、左右側縁部1
b,1cには屋根板を接続する上下両部材8,17の挟
着部内側に係止可能で且つ同挟着部から抜け外れない程
度の高さの係止部2を備えてある。そして、この屋根板
を用いた屋根構造は、屋根板の左右側縁部を上下両部材
で、係止部が上下両部材の挟着部内側に位置する態様に
挟着して接続した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は縦葺き屋根板およびこの
屋根板を用いた屋根構造に関し、工場からの出荷に際し
て、梱包、運搬が容易であると共に、施工後には風圧に
よって飛散するようなことがない優れたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の縦葺き屋根板は、瓦棒屋根に代表
されるように、側縁部に立ち上げ部(ハゼ部)を形成し
たものがほとんどであり、その加工・施工は次の二点に
大別されている。 中小規模の屋根(流れ方向の長さがさほどない場合)
にあっては、工場で屋根板をあらかじめ加工した後、現
場に運搬して施工する方法。 大規模の屋根にあっては、屋根板を加工する機械(成
型機)とロール状の屋根材を現場に持ち込み、現場で屋
根板を加工して施工する方法。
【0003】しかし、前者にあっては、積み重ねによる
立ち上げ部の変形を防ぐための梱包、梱包された荷の
「嵩さ張り」、取扱いの手間、ストックする場所の確保
等の問題があった。また、後者にあっては、屋根材(ロ
ール状)はもとより、成型機を現場に持ち込むため、コ
スト(成型機輸送、人手等)が非常にかかるという経済
的な問題があった。
【0004】そこで、左右側縁部に加工を施さない平板
状の屋根板を用いた屋根構造として、実開平2-143419号
等が提案されているが、同提案のものは、屋根板の側縁
部を挟着しているだけなので、屋根面に風圧による負圧
等が作用した場合には、面板部が引き上げられて中央部
が膨らんで、側縁部が挟着部から抜ける方向に引っ張ら
れるため、屋根板が捲れたり、強いては飛散してしまう
恐れもあった。また、挟着と接着剤(屋根板と下地材)
を併用する方法も提案されているが、施工性が著しく低
下するし、さらに接着剤の経年による劣化が問題となっ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、ハゼ部を立ち上げている態様のものでは梱包、運
搬、経済的問題等を、平板状のままの態様のものでは風
圧で飛散してしまう恐れがある問題を、個々に抱えてい
て、いずれのものも双方の問題を一挙に解決できないで
いることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め、縦葺き屋根板では、左右に隣接する屋根板の側縁部
を上部材と下部材によって挟着して接続する縦葺き屋根
に用いる縦葺き屋根板において、前記縦葺き屋根板は略
平板状で、左右側縁部には前記上下両部材の挟着部内側
に係止可能で且つ同挟着部から抜け外れない程度の高さ
の係止部を備えたことを特徴とする。
【0007】また、縦葺き屋根板における係止部の高さ
は、挟着部内側に係止可能で且つ挟着部から抜け外れな
い程度の必要最小限の高さであることが望ましい。この
係止部は上向き、下向きを問わず、流れ方向すなわち側
縁部に沿い所定間隔状に形成しても、連続状に形成して
も良く、プレス等によって打ち出して成型したり、側縁
を折り返して成型しても良い。また、屋根板の面板部は
波板状に加工しても良く、この場合、風圧に対する面板
部の強度が強化される。屋根板の形状は、工場出荷状態
がロール状でない場合は、定形状の矩形状であっても、
曲面屋根等に対応可能な台形状であっても良く、積み重
ね時に係止部の変形等を危惧せずに梱包そして運搬でき
る。また、屋根板の側縁部における係止部より内側に段
部を形成することによって、上部材の上面と屋根面の高
さが同一になるようにしても良い。
【0008】そして、本発明の屋根構造では、下地に固
定された下部材に上部材を取り付けて、この上下両部材
の左右挟着部に左右の縦葺き屋根板の左右側縁部を、同
側縁部における前記挟着部内側に係止可能で且つ同挟着
部から抜け外れない程度の高さに形成してある係止部が
挟着部内側に位置する態様にそれぞれ挟着したことを特
徴とする。
【0009】下部材は、樋部材と下部吊子が別体でも、
一体に形成された態様のものでも良い。上部材は、上部
吊子とカバー部材が別体でも、一体に形成された態様の
ものでも良い。上部材と下部材の接続方法は公知の適宜
手段から選択すれば良く、例えば弾性係合であっても、
ボルト、ナットによる締着であっても良く特に問わな
い。屋根板の側縁部には下部吊子あるいは樋部材上に位
置する範囲内に水切り部を設けても良い。上部材と屋根
板、下部材と屋根板のように、相互に接する箇所にパッ
キングを介在させても良い。
【0010】挟着部の内側における係止部の位置関係
は、面板部に風圧等が作用した時に、挟着部側に向けて
移動して同挟着部を形成している上下両部材の少なくと
も一方に係止して抜け外れなくなるような態様にするの
が望ましい。この場合、施工時には係止関係にならない
ことで、施工時の誤差等を吸収することができる。
【0011】
【作用】屋根板側縁における係止部の高さを挟着部内側
に係止可能で且つ挟着部から抜け外れない程度の最小限
の高さにして、板全体を平板状に保っているため、工場
で一定の長さに裁断して出荷する場合であっても、従来
品のようなハゼ部が無いことによって潰れ等を気にする
ことなく積み重ね、梱包等が可能であり、手間が掛から
ない。
【0012】係止部を含めて板全体を平板状に保ってい
るため、ロール状にしても係止部が潰れるようなことが
なく、ロール状の荷姿に出荷することができると共に、
運搬等の作業が容易になり、また、現場での置き場所が
少なくて済む。
【0013】屋根板の側縁に、挟着部内側に係止可能で
且つ挟着部から抜け外れない程度の高さの係止部を設け
ているため、面板部に風圧が作用した場合であっても、
係止部が上下両部材の挟着部内側に係止することによ
り、挟着部から抜け外れず飛散する恐れがない。
【0014】そして、下地に固定された下部材に上部材
を取り付けて、この上下両部材の左右挟着部に左右の縦
葺き屋根板の左右側縁部を、同側縁部における前記挟着
部内側に係止可能で且つ同挟着部から抜け外れない程度
の高さに形成してある係止部が挟着部内側に位置する態
様にそれぞれ挟着したので、屋根板に風圧が作用する
と、係止部が挟着部内側に係止することにより、屋根板
が挟着部から抜け外れず飛散する恐れがない。
【0015】従来のハゼ組みの屋根および挟着による屋
根と比較して、屋根板が挟着部から抜け外れない挟着状
態で接続が行われるため、屋根板の幅方向の成型誤差、
下部材の取付誤差等を上部材と下部材の挟着部分で吸収
しながら、風圧によって飛散しない構造に迅速に施工す
ることができて施工性が優れている。
【0016】
【実施例】図1および図2には本発明の縦葺き屋根板の
第1実施例を例示しており、金属製の屋根板1は所要の
幅の長尺状のもので、面板部1a左右の左右側縁部1b,1c
に沿い係止部2を等間隔状に形成すると共に、各係止部
2の内側位置に水切り部3をそれぞれ形成して、ロール
状の荷姿に巻回してある。
【0017】係止部2は板面を下面側から上面側に略半
円錐状に打ち出して形成してあり、この係止部の高さは
後の屋根構造で説明する上下両吊子8,17 の挟着部内側
に係止可能で且つ同挟着部から抜け外れない程度の必要
最小限の高さにしてある。
【0018】水切り部3は板面を上面側から下面側に略
半円錐状に打ち出して形成してあり、この水切り部3は
係止部2の口部2aと対向していて、側縁部1b,1c の板面
に開口している口部2aから下面側に流れ落ちる雨水等を
同口部2aに積極的に誘導して且つ水切りし得るようにし
てある。
【0019】これにより、係止部2の高さを上下両吊子
8,17 の挟着部内側に係止可能で且つ挟着部から抜け外
れない程度の最小限の高さにして、屋根板1全体を平板
状に保っているため、工場で一定の長さに裁断して出荷
する場合であっても、従来品のようなハゼ部が無いこと
によって潰れ等を気にすることなく積み重ね、梱包等が
可能であり、手間がかからない。
【0020】係止部2を含めて屋根板1全体を平板状に
保っているため、ロール状にしても係止部2が潰れるよ
うなことがなく、ロール状の荷姿に出荷することができ
ると共に、運搬等の作業が容易になり、また、現場での
置き場所が少なくて済む。
【0021】屋根板1の左右側縁部1a,1b に、上下両吊
子8,17 の挟着部内側に係止可能で且つ挟着部から抜け
外れない程度の高さの係止部2を設けているため、面板
部1aに風圧が作用した場合であっても、係止部2が上下
両吊子8,17 の挟着部内側に係止することにより、挟着
部から抜け外れず飛散する恐れがない。
【0022】係止部2の口部2aに対向させて水切り部3
を形成してあるため、側縁部1b,1cの板面に開口してい
る口部2aから下面側に流れ落ちる雨水等を同口部2aに積
極的に誘導できると共に、水切りすることができる。
【0023】図3には本発明の縦葺き屋根板の第2実施
例を例示しており、構成は前記第1実施例のものと基本
的に同一であるため、共通している構成の説明を省略し
て、相違する構成について説明する。
【0024】屋根板1における係止部2は板面を上面側
から下面側に略半円錐状に打ち出して形成してあり、こ
の係止部2は水切り部3を兼ねている。
【0025】これにより前記第1実施例のものと同様の
効果があり、さらに、係止部2が水切り部3を兼ねる態
様にしてあるため、側縁部における突出物は係止部2の
みとなり、屋根板1全体をいっそう平板状に近づけるこ
とができる。
【0026】図4には本発明の縦葺き屋根板の第3実施
例を例示しており、構成は前記第1実施例のものと基本
的に同一であるため、共通している構成の説明を省略し
て、相違する構成について説明する。
【0027】屋根板1における係止部2は左右側縁を上
面側に折り返して形成してある。
【0028】これにより前記第1実施例のものと同様の
効果があり、さらに、長さが決められている矩形状や台
形状等の定形状のものに相応しい。
【0029】図5には本発明の縦葺き屋根板の第4実施
例を例示しており、構成は前記第3実施例のものと基本
的に同一であるため、共通している構成の説明を省略し
て、相違する構成について説明する。
【0030】屋根板1における係止部2は左右側縁を下
面側に折り返して形成してある。
【0031】これにより、前記第3実施例のものと同様
の効果がある。
【0032】図6には本発明の縦葺き屋根板の第5実施
例を例示しており、構成は前記第3実施例のものと基本
的に同一であるため、共通している構成の説明を省略し
て、相違する構成について説明する。
【0033】屋根板1は係止部2よりも内側に段部4を
面板部1aよりも低く形成してあり、この段部4の上下差
は後の屋根構造で説明する面板部1aとカバー部材28上面
の高さが同一になる比率関係にしてある。
【0034】これにより、前記第3実施例のものと同様
の効果があり、さらに、施工後には屋根板1の面板部1a
とカバー部材28上面の高さを同一に整えることができ
る。
【0035】図7には本発明の縦葺き屋根板の第6実施
例を例示しており、構成は前記第4実施例のものと基本
的に同一であるため、共通している構成の説明を省略し
て、相違する構成について説明する。
【0036】屋根板1は係止部2よりも内側に段部4を
面板部1aよりも低く形成してあり、この段部4の上下差
は後の屋根構造で説明する面板部1aとカバー部材28上面
の高さが同一になる比率関係にしてある。
【0037】これにより、前記第4実施例のものと同様
の効果があり、さらに、施工後には屋根板1の面板部1a
とカバー部材28上面の高さを同一に整えることができ
る。
【0038】図8には屋根板1の面板部1a下面に裏貼り
5を施した態様を例示しており、屋根板1が例えば前記
第1実施例のものである場合、同図に示す積み重ね状態
あるいはロール状態の時、各屋根板1の側縁部1b,1c 間
には断熱材からなる裏貼り5の厚さに相当する隙間6が
確保されて、係止部2と水切り部3が互いに接触しない
ので、積み重ね作業やロール巻き作業を容易に行えると
共に、重ね傷ができず且つ係止部2および水切り部3を
保護できる。また、屋根板1の表面にガードフィルム等
を貼り付けて施工時に剥がすようにしても良い。
【0039】図9乃至図11には前記第1実施例の屋根板
1を用いて施工した屋根構造の第1実施例を例示してお
り、下地7上に長尺状の下部吊子8を軒棟方向に敷設す
ると共に、左右の下部吊子8間に断熱材等のバックアッ
プ材24を敷設し、バックアップ材24上に屋根板1を覆設
して、左右の屋根板1の左右側縁部1b,1c をともに長尺
状の下部吊子8と上部吊子17とで挟着して接続してあ
る。
【0040】下部吊子8は押出成型した長尺状の金属製
若しくは合成樹脂製のもので、樋部9下縁左右のフラン
ジ10を下地7にビス等の固定具25で固定してある。この
樋部9の左右上端には同端をそれぞれ内側に水平状に延
ばして下挟着部11,12 を左右対称に形成してあり、左側
の下挟着部11には屋根板1の右側縁部1cにおける係止部
2および水切り部3内側の板部下面を、右側の下挟着部
12には屋根板1の左側縁部1bにおける係止部2および水
切り部3内側の板部下面を、それぞれ下側から受け止め
て上部吊子17との間に挟持している。
【0041】そして、樋部9中央には上端が内側下向き
に断面略鉤形状を呈している左右一対の突条からなる被
係合部13を立設して、この下部吊子8の被係合部13に上
部吊子17の係合部20を係合してある。
【0042】上部吊子17は押出成型した長尺状の金属製
若しくは合成樹脂製のもので、帯状板部の左右側縁に上
挟着部18,19 を左右対称状に垂設しており、この左側の
上挟着部18は左側の屋根板1の右側縁部1cにおける係止
部2および水切り部3内側の板部上面に接して同右側縁
部1cを下挟着部11との間に挟持し、右側の上挟着部19は
右側の屋根板1の左側縁部1bにおける係止部2および水
切り部3内側の板部上面に接して同左側縁部1bを下挟着
部12との間に挟持している。
【0043】また、上部吊子17は下面部17b 中央に下端
が断面略鏃形状を呈する係合部20を垂設しており、この
係合部20は被係合部13に下端の鏃部が鉤部を越えて抜け
外れないように係合していて、左側の屋根板1の右側縁
部1cを上下両挟着部11,18 間に、右側の屋根板1の左側
縁部1bを上下両挟着部12,19 間に、それぞれ挟着した状
態に保持している。
【0044】屋根板1の左側縁部1bは、同側縁の係止部
2が上挟着部19内側の顎部19a に係止可能で且つ上下両
挟着部12,19 から抜け外れない挟着状態に保持されてい
る。同様に、右側縁部1cは、同側縁の係止部2が上挟着
部18内側の顎部18a に係止可能で且つ上下両挟着部11,1
8 から抜け外れない挟着状態に保持されている。
【0045】これにより、屋根板1に風圧が作用する
と、左右側縁部1b,1c の係止部2が左右の上挟着部18,1
9 内側の顎部18a,19a にそれぞれ係止するので、屋根板
1が上下挟着部11,18 および12,19 間から抜け外れず飛
散する恐れがない。そして、従来のハゼ組みの屋根およ
び挟着による屋根と比較して、屋根板1が上部吊子17と
下部吊子8の左右の上下両挟着部11,18 および12,19 か
ら抜け外れない挟着状態で接続が行われるため、屋根板
1の幅方向の成型誤差そして下部吊子8の取付誤差等を
上部吊子17と下部吊子8の上下両挟着部11,18 および1
2,19 箇所で吸収しながら、風圧によって飛散しない構
造に迅速に施工することができて施工性が優れている。
【0046】さらに、側縁部1b,1c と上挟持部18,19 の
間から入り込む浸水を、係止部2の口部2aを通して水切
り部3より樋部9に積極的に誘導して水切りすることが
できる。また、下部吊子8は樋部材を、上部吊子17はカ
バーを、それぞれ兼ねているため、部材管理が容易であ
ると共に、作業が省力化されて施工容易である。
【0047】図12および図13には前記第2実施例の屋根
板1を用いて施工した屋根構造の第2実施例を例示して
おり、構成は前記第1実施例の屋根構造のものと基本的
に同一であるため、共通している構成の説明は省略し
て、相違する構成について説明する。
【0048】下部吊子8は樋部9における左右上端を下
挟着部11,12 にしており、この下挟着部11,12 の内側に
は顎部11a,12a をそれぞれ形成していて、屋根板1の左
右側縁部1b,1c における下挟着部11,12 の内側にそれぞ
れ位置している係止部2が顎部11a,12a に係止可能にし
てある。
【0049】上部吊子17は帯状板部の下面部17b におけ
る左右側縁を上挟着部18,19 にしており、この左側の上
挟着部18と下挟着部11との間に左側の屋根板1の右側縁
部1cを、右側の上挟着部19と下挟着部12との間に右側の
屋根板1の左側縁部1bを、それぞれ挟着・保持してい
る。
【0050】これにより、前記第1実施例の屋根構造の
ものと同様の効果があり、さらに、上挟着部18,19 を帯
状板部の下面部17b における左右側縁に形成してあるた
め、左右の屋根板1間における接続部分の高さを帯状板
部の厚さ相当に低く仕上げられる。
【0051】図14および図15には前記第3実施例の屋根
板1を用いて施工した屋根構造の第3実施例を例示して
おり、構成は前記第1実施例の屋根構造のものと基本的
に同一であるため、共通している構成の説明は省略し
て、相違する構成について説明する。
【0052】下地7上に、ロール成型した長尺状の金属
製樋部材26を軒棟方向に敷設すると共に、この樋部材26
を跨ぐようにして下地7に短尺状の下部吊子8を軒棟方
向に沿い等間隔状に固定して、ともに短尺状の上下の吊
子8,17間に屋根板1の左右側縁部1b,1c を等間隔毎に
挟着し、且つ軒棟方向の各上部吊子17に渡りカバー部材
28を覆設してある。
【0053】そして、下部吊子8は樋部材26の左右立ち
上げ部27をそれぞれ跨いでいる水平部を下挟着部11,12
にしており、樋部9における被係合部13は上端が断面略
鏃形状を呈する態様に立設している。
【0054】上部吊子17は左右側縁に上挟着部18,19 を
左右対称状に垂設しており、この左側の上挟着部18は左
側の屋根板1の右側縁部1c下挟着部11との間に挟持し、
右側の上挟着部19は右側の屋根板1の左側縁部1bを下挟
着部12との間に挟持している。また、上部吊子17におけ
る中央には係合凹部21を形成すると共に、この係合凹部
21の下側には下端が内側上向きに断面略鉤形状を呈して
いる左右一対の突条からなる係合部20を垂設していて、
係合部20は被係合部13に下端の鉤部が鏃部を越えて抜け
外れないように係合して、係合凹部21にはカバー部材28
の係合突部29が係合している。
【0055】屋根板1の左側縁部1bは、同側縁の係止部
2が顎部18a に係止可能で且つ上下両挟着部11,18 から
抜け外れない挟着状態に保持され、右側縁部1cは、同側
縁の係止部2が顎部19a に係止可能で且つ上下両挟着部
12,19 から抜け外れない挟着状態に保持されている。
【0056】カバー部材28はロール成型した長尺状の金
属製のもので、左右側縁における外側斜め下向き状の折
り下げ部30は上部吊子17外側脇の屋根板1の左右側縁部
1b,1c まで達していて、同側縁部1b,1c との間にパッキ
ング31を挟持し、同側縁部1b,1c と上挟着部18,19 との
間への浸水を未然に阻止し得るようにしてある。そし
て、カバー部材28は、下面側中央に折り返された両端部
を下側に折り下げた後に外側斜め上向きに折り返して係
合突部29を形成してあり、この係合突部29は上部吊子17
の係合凹部21に係合していて、前記パッキング31による
浸水阻止機能が保たれるようにしている。
【0057】これにより、前記第1実施例のものと同様
の効果があり、さらに、カバー部材28で上部吊子17を覆
設して化粧できると共に、折り下げ部30と左右側縁部1
b,1cとの間にパッキング31を挟持していることによっ
て、同側縁部1b,1c と上挟着部18,19 との間への浸水を
未然に阻止することができる。
【0058】図16および図17には前記第4実施例の屋根
板1を用いて施工した屋根構造の第4実施例を例示して
おり、構成は前記第3実施例の屋根構造のものと基本的
に同一であるため、共通している構成の説明は省略し
て、相違する構成について説明する。
【0059】下部吊子8は左右の下挟着部11,12 の内側
に顎部11a,12a をそれぞれ形成していて、この顎部11a,
12a に屋根板1の左右側縁部1b,1c における係止部2が
それぞれ係止可能にしてある。また、顎部11a,12a と樋
部9の間には同樋部9上端に向けて若干下り傾斜状の段
違い部14を形成してあり、この段違い部14は係止部2の
下側に位置して、同係止部2が折り戻される動きを上部
吊子17の下面部17b とで規制し得るようにしてある。
【0060】上部吊子17は下面部17b における左右側縁
を上挟着部18,19 にしており、この左側の上挟着部18と
下挟着部11との間に左側の屋根板1の右側縁部1cを、右
側の上挟着部19と下挟着部12との間に右側の屋根板1の
左側縁部1bを、それぞれ挟着・保持している。
【0061】これにより、前記第3実施例のものと同様
の効果があり、さらに、下部吊子8の段違い部14と上部
吊子17の下面部17b とで係止部2が折り戻される動きを
規制しているため、係止部2の態様が下面側に折り返し
形成してあるものであっても、折り戻されによる挟着状
態からの抜け外れがない。
【0062】図18および図19には前記第5実施例の屋根
板1を用いて施工した屋根構造の第5実施例を例示して
おり、構成は前記第3実施例の屋根構造のものと基本的
に同一であるため、共通している構成の説明は省略し
て、相違する構成について説明する。
【0063】下部吊子8は樋部9中央に台部15を立設し
てあり、この台部15の孔16と同台部上の上部吊子17にお
ける係合凹部21の孔22とにボルト32を下側から通してナ
ット33で接続固定してある。そして、上部吊子17および
カバー部材28は左右の屋根板1の段部4内に納まってい
て、屋根板1の面板部1aとカバー部材28上面は同一高さ
に一致している。
【0064】これにより、前記第3実施例のものと同様
の効果があり、さらに、屋根板1の面板部1aとカバー部
材28上面が同一高さに整えられた屋根面に仕上げられ
る。
【0065】図20および図21には前記第6実施例の屋根
板1を用いて施工した屋根構造の第6実施例を例示して
おり、構成は前記第4実施例の屋根構造のものと基本的
に同一であるため、共通している構成の説明は省略し
て、相違する構成について説明する。
【0066】下部吊子8は樋部9中央に台部15を立設し
てあり、この台部15の孔16と同台部上の上部吊子17にお
ける係合凹部21の孔22とにボルト32を下側から通してナ
ット33で接続固定してある。そして、上部吊子17および
カバー部材28は左右の屋根板1の段部4内に納まってい
て、屋根板1の面板部1aとカバー部材28上面は同一高さ
に一致している。
【0067】これにより、前記第4実施例のものと同様
の効果があり、さらに、屋根板1の面板部1aとカバー部
材28上面が同一高さに整えられた屋根面に仕上げられ
る。
【0068】前記した屋根構造は一例を示しているに過
ぎず、他の態様例を次に説明する。図22の(A)〜
(D)には前記第1実施例の屋根構造の他の態様を例示
しており、(A)では、下部吊子8を短尺状に成型して
いて、下地7に樋部材26を跨ぐようにして軒棟方向に等
間隔状に固定してある。(B)では、下部吊子8の下挟
着部11,12 と屋根板1の左右側縁部1b,1c 裏面との間に
パッキング34を介在させて、同挟着部分における浸水阻
止機能が向上するようにしてある。(C)では、上部吊
子17の左右側縁に折り下げ部23を外側斜め下向き状に形
成して、この折り下げ部23下面に沿いパッキング31をあ
らかじめ沿着すると共に、パッキング31内側の下面部17
b から上挟着部18,19 を垂設して形成してあり、パッキ
ング31によって上部吊子17と屋根板1の挟着部分におけ
る浸水阻止機能が向上するようにしてある。(D)で
は、短尺状の上部吊子17にあらかじめカバー部材28を上
面部17aから下面部17b 側の左右側縁まで一体的に覆設
すると共に、下面部17b におけるカバー部材28両端の内
側に上挟着部18,19 を垂設してあり、カバー部材28によ
る化粧接続構造を屋根板1の挟着作業によって同時に施
工し得るようにしてある。
【0069】図23の(A)〜(E)には前記第2実施例
の屋根構造の他の態様を例示しており、(A)では、下
部吊子8を短尺状に成型していて、下地7に樋部材26を
跨ぐようにして軒棟方向に等間隔状に固定してある。
(B)では、下部吊子8の下挟着部11,12 と屋根板1の
左右側縁部1b,1c 裏面との間にパッキング34を介在させ
て、同挟着部分における浸水阻止機能が向上するように
してある。(C)では、上部吊子17の下面部17b 左右側
縁に沿いパッキング31をあらかじめ沿着して形成してあ
り、パッキング31によって上部吊子17と屋根板1の挟着
部分における浸水阻止機能が向上するようにしてある。
(D)では、短尺状の上部吊子17にあらかじめカバー部
材28を上面部17a から下面部17b 側の左右側縁まで一体
的に覆設すると共に、下面部17b 側におけるカバー部材
28両端下面に沿いパッキング31を沿着してあり、パッキ
ング31によって上部吊子17と屋根板1の挟着部分におけ
る浸水阻止機能が向上するようにすると共に、カバー部
材28による化粧接続構造を屋根板1の挟着作業によって
同時に施工し得るようにしてある。(E)では、上部吊
子17をロール成型して形成しており、下面部17b 左右側
縁に沿いパッキング31を沿着してある。
【0070】図24には前記第5実施例の屋根構造の他の
態様を例示しており、下部吊子8における下挟着部11,1
2 の左右幅を外側、具体的には屋根板1の段部4よりも
内側まで延長して形成すると共に、樋部材26を左右立ち
上げ部27が屋根板1の段部4の内側下に位置するように
形成してある。
【0071】図25には前記第6実施例の屋根構造の他の
態様を例示しており、下部吊子8における下挟着部11,1
2 の左右幅を外側、具体的には屋根板1の段部4よりも
内側まで延長して形成すると共に、樋部材26を左右立ち
上げ部27が屋根板1の段部4の外側下に位置するように
形成してある。
【0072】
【発明の効果】
A.請求項1により、屋根板側縁における係止部の高さ
を挟着部内側に係止可能で且つ挟着部から抜け外れない
程度の最小限の高さにして、板全体を平板状に保ってい
るため、工場で一定の長さに裁断して出荷する場合であ
っても、従来品のようなハゼ部が無いことによって潰れ
等を気にすることなく積み重ね、梱包等が可能であり、
手間が掛からない。
【0073】B.同項により、係止部を含めて板全体を
平板状に保っているため、ロール状にしても係止部が潰
れるようなことがなく、ロール状の荷姿に出荷すること
ができると共に、運搬等の作業が容易になり、また、現
場での置き場所が少なくて済む。
【0074】C.同項により、屋根板の側縁に、挟着部
内側に係止可能で且つ挟着部から抜け外れない程度の高
さの係止部を設けているため、面板部に風圧が作用した
場合であっても、係止部が上下両部材の挟着部内側に係
止することにより、挟着部から抜け外れず飛散する恐れ
がない。
【0075】D.請求項2により、下地に固定された下
部材に上部材を取り付けて、この上下両部材の左右挟着
部に左右の縦葺き屋根板の左右側縁部を、同側縁部にお
ける前記挟着部内側に係止可能で且つ同挟着部から抜け
外れない程度の高さに形成してある係止部が挟着部内側
に位置する態様にそれぞれ挟着したので、屋根板に風圧
が作用すると、係止部が挟着部内側に係止することによ
り、屋根板が挟着部から抜け外れず飛散する恐れがな
い。
【0076】E.同項により、従来のハゼ組みの屋根お
よび挟着による屋根と比較して、屋根板が挟着部から抜
け外れない挟着状態で接続が行われるため、屋根板の幅
方向の成型誤差、下部材の取付誤差等を上部材と下部材
の挟着部分で吸収しながら、風圧によって飛散しない構
造に迅速に施工することができて施工性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の縦葺き屋根板の第1実施例を例示し
ている斜視図。
【図2】 図1のイ−イ拡大断面図。
【図3】 本発明の縦葺き屋根板の第2実施例を例示し
ている斜視図。
【図4】 本発明の縦葺き屋根板の第3実施例を例示し
ている要部の斜視図。
【図5】 本発明の縦葺き屋根板の第4実施例を例示し
ている要部の斜視図。
【図6】 本発明の縦葺き屋根板の第5実施例を例示し
ている要部の斜視図。
【図7】 本発明の縦葺き屋根板の第6実施例を例示し
ている要部の斜視図。
【図8】 縦葺き屋根板の積み重ね状態あるいはロール
状態を示す部分拡大断面図。
【図9】 本発明の屋根構造の第1実施例を例示してい
る縦断面図。
【図10】 同平面図で一部切欠している。
【図11】 同分解斜視図。
【図12】 本発明の屋根構造の第2実施例を例示してい
る縦断面図。
【図13】 同分解斜視図。
【図14】 本発明の屋根構造の第3実施例を例示してい
る縦断面図。
【図15】 同分解斜視図。
【図16】 本発明の屋根構造の第4実施例を例示してい
る縦断面図。
【図17】 同分解斜視図。
【図18】 本発明の屋根構造の第5実施例を例示してい
る縦断面図。
【図19】 同分解斜視図。
【図20】 本発明の屋根構造の第6実施例を例示してい
る縦断面図。
【図21】 同分解斜視図。
【図22】 (A)〜(D)は第1実施例の屋根構造の他
の態様を例示している各部分縦断面図。
【図23】 (A)〜(E)は第2実施例の屋根構造の他
の態様を例示している各部分縦断面図。
【図24】 第5実施例の屋根構造の他の態様を例示して
いる各部分縦断面図。
【図25】 第6実施例の屋根構造の他の態様を例示して
いる各部分縦断面図。
【符号の説明】
1 縦葺き屋根板 1a 縦葺き
屋根板の面板部 1b 縦葺き屋根板の左側縁部 1c 縦葺き
屋根板の右側縁部 2 縦葺き屋根板の係止部 2a 係止部
の口部 3 縦葺き屋根板の水切り部 4 縦葺き
屋根板の段部 5 裏貼り 6 隙間 7 下地 8 下部吊
子(下部材) 9 下部吊子の樋部 10 下部吊
子のフランジ 11,12 下部吊子の下挟着部 11a,12a
下挟着部の顎部 13 下部吊子の被係合部 14 下部吊
子のの段違い部 15 下部吊子のの台部 16 台部の
孔 17 上部吊子(上部材) 17a 上部
吊子の上面部 17b 上部吊子の下面部 18,19 上
部吊子の上挟着部 18a,19a 上挟着部の顎部 20 上部吊
子の係合部 21 上部吊子のの係合凹部 22 係合凹
部の孔 23 上部吊子の折り下げ部 24 バック
アップ材 25 固定具 26 樋部材 27 樋部材の立ち上げ部 28 カバー
部材 29 カバー部材の係合突部 30 カバー
部材の折り下げ部 31,34 パッキング 32 ボルト 33 ナット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右に隣接する屋根板の側縁部を上部材
    と下部材によって挟着して接続する縦葺き屋根に用いる
    縦葺き屋根板において、前記縦葺き屋根板は略平板状
    で、左右側縁部には前記上下両部材の挟着部内側に係止
    可能で且つ同挟着部から抜け外れない程度の高さの係止
    部を備えたことを特徴とする縦葺き屋根板。
  2. 【請求項2】 下地に固定された下部材に上部材を取り
    付けて、この上下両部材の左右挟着部に左右の縦葺き屋
    根板の左右側縁部を、同側縁部における前記挟着部内側
    に係止可能で且つ同挟着部から抜け外れない程度の高さ
    に形成してある係止部が挟着部内側に位置する態様にそ
    れぞれ挟着したことを特徴とする屋根構造。
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