JPH07112887A - 荷取り用ハネ出しブラケットの取付け及び解体方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超高層ビルなどの建設工事において、躯体側
に仮設部材として取り付ける荷取り用ハネ出しブラケッ
トの構造と、その解体方法に関するもので、工事終了
後、安全に、かつ効率的に撤去できるように工夫したブ
ラケットを提供すること。 【構成】 ハネ出しブラケット２を建設過程にある躯体
１の内側に引き込み自在に組み立て、この組み立てたハ
ネ出しブラケット２の前記躯体側よりハネ出す部分の下
面に、複数に分割した受け梁ユニット３ａ，３ｂ，３ｃ
を着脱自在に架支固着させ、各受け梁ユニットの下面に
は、前記躯体側に架支させた天井走行クレーンのクレー
ンレールの延長線に一致させた分割レール４ａ，４ｂ，
４ｃをそれぞれ取り付け、このハネ出しブラケットを躯
体の外周端部に差し込み固定させた構成としたことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、超高層ビルなどの建
設工事において、躯体側に仮設部材として取り付ける荷
取り用ハネ出しブラケットの構造と、その解体方法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】超高層ビルなどの建設工事においては、
建設過程にある躯体の外まわりから、支柱部材や梁部材
などの各種資材を吊り込み、その吊り込んだ資材を躯体
側に組み付け建て方作業を行うのが普通である。そこ
で、その資材を吊り込み、建て方作業を行うクレーンな
どのいわゆる資材揚重運搬設備を躯体側に装備させてい
る。

【０００３】例えば、図４はビルの高層化に対応する建
設技術として開発されたジャッキアップ工法（別称リフ
トアップ工法）と呼ばれている組立工法であるが、この
工法においては、図示のように、まず、建設すべき建物
（躯体）の中心部となる鉄骨構格部１０を先行して組み
立て、ついで最上階に相当する鉄骨構格部２０を地上で
組み立て、これをジャッキアップ装置３０を介して前記
鉄骨構格部１０にせり上げ自在に装架させる。そして、
この装架支持させた最上階に相当する前記鉄骨構格部２
０の下面に、資材揚重運搬設備としての天井走行クレー
ン６０の複数基を装備させている。つまり、この揚重運
搬設備としての天井走行クレーン６０をもって資材を吊
り込み、前記躯体の中心部である鉄骨構格部１０まわり
の鉄骨構造部を順に下から積み上げ組み立てる。他方、
前記鉄骨構格部２０の上には、図示のようなジブクレー
ン４０を搭載設置し、これで前記躯体中心部となる鉄骨
構格部１０の建て方を行い、前記天井走行クレーン６０
による組み立て作業と、ジブクレーン４０による組み立
て作業と、さらに前記ジャッキアップ装置３０による鉄
骨構格部２０のせり上げ作業とを交互に繰り返し、所望
高さの高層ビルを組み立て建設することを特徴とするも
のである。

【０００４】ところで、この工法にみられるように、資
材揚重運搬設備として天井走行クレーン６０を用いる
と、前記図４で示すように、組み立て過程にある躯体の
外まわりから資材の吊り込みを行う関係から、躯体の外
側に、その天井走行クレーン６０のクレーンレール７０
を張り出した形で装備させておくことが必要である。

【０００５】すわなち、天井走行クレーン６０のクレー
ンレール７０を躯体側より張り出して装備させる手段を
予め講じておく必要がある。そこで、従来は、その手段
として図示のように鉄骨構格部２０、つまり躯体側の左
右両端部に、いわゆる荷取り用のハネ出しブラケット５
０をそれぞれ仮設部材として組み付け、この下面にクレ
ーンレール７０を装架し、張り出すように構成してい
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このハネ出
しブラケット５０は説明するまでもなく、仮設部材であ
るため建設工事が終了すれば、解体撤去する必要があ
る。しかし、このハネ出しブラケット５０は、ジャッキ
アップ工法により、解体撤去の時点では、建物の天ぺん
にせり上げられ、きわめて高所にある。その結果、この
ハネ出しブラケット５０を解体撤去するには危険がとも
ない、しかもかなりの時間と人手を必要とする問題点が
あった。この発明は、このような問題点を解消したハネ
出しブラケットの構造と、その解体撤去作業が安全に、
しかも効率的に実施できる方法とを提供することを目的
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、前記目的を達成
するため、この発明は次のような手段を講じたことにあ
る。まず、ハネ出しブラケットを建設過程にある躯体の
内側に引き込み自在な構造として組み立てた。ついで、
この組み立てたハネ出しブラケットの前記躯体側よりハ
ネ出す部分の下面に、複数に分割した受け梁ユニットを
着脱自在に架支固着させ、さらに各受け梁ユニットの下
面には、前記躯体側に装架させた天井走行クレーンのク
レーンレールの延長線に一致させた分割レールをそれぞ
れ取り付けた構成とした。そして、このクレーンレール
を取り付けた複数の受け梁ユニットを有するハネ出しブ
ラケットを前記躯体の外周端部に差し込み固定させた構
成としたことにある。

【０００８】そして建物の組み立て建設が終了し、その
ハネ出しブラケットを躯体側から解体撤去するに際して
は、次のような手順で行うようにした。 （１）まず、ハネ出しブラケットの下面に架支固着させ
た前記受け梁ユニットのハネ出しブラケットに対する固
着をそれぞれ解除する。 （２）ついで、躯体側にホイスト等の吊り込み手段を設
置した。そして、この吊り込み手段を用いて、前記受け
梁ユニットを躯体の内側に吊り込み解体した。 （３）前記受け梁ユニットのハネ出しブラケットからの
取り外し解体が終了すると、ついでハネ出しブラケット
自体を躯体の内側に引き込み、躯体側で解体するように
した。 （４）前記（２）（３）の解体作業が終了すると、その
解体物を躯体上から適宜地上へ荷下ろし、一連の解体撤
去作業は完了する。

【０００９】

【作用】この発明は、以上説明したようにハネ出しブラ
ケット自体を躯体の内側へ引き込むことができるように
構成して躯体側に装備させるとともに、天井走行クレー
ンのクレーンレールは、複数に分割した受け梁ユニット
の下面に取り付けた構成とし、しかも受け梁ユニット自
体は、ハネ出しブラケットに着脱自在な方式をもって架
支固着させた構成としているため、予め躯体側へ装備さ
せる場合も、また解体撤去する場合も、きわめて効率的
に、しかも安全に、それらの作業を行うことができる。
特に高所での解体撤去作業を躯体上で行うことができ、
作業の安全性が確保され、その結果、解体作業が効率的
にできるようになった。

【００１０】

【実施例】さらに、この発明の構成・作用を図面に示す
実施例に基づいて具体的に説明する。まず、図１は躯体
１側に装備させたハネ出しブラケット２の側面図であ
る。ちなみに先に図４で紹介したジャッキアップ工法に
よる場合に例をとれば、最上階に相当する鉄骨構格部２
０を躯体１側とし、これにハネ出しブラケット５０を対
応装備させたものである。このハネ出しブラケット２自
体は、図１で示すように上下の梁材２ａ及び２ｂを山形
鋼等からなるラチス材２ｃで結合して構成し、躯体１の
上下水平梁１ａ及び１ｂ間に水平移動できるようにして
装備させた。つまり、躯体１の内側（図示において右側
へ）へ引き込むことができるようにして装備させた。

【００１１】ついで、前記ハネ出しブラケット２の躯体
１側からハネ出した下部梁材２ｂに、三つに分割した受
け梁ユニット３ａ，３ｂ，３ｃを架支固着させた。そし
て、この受け梁ユニット３ａ，３ｂ，３ｃの下面に、前
記躯体１の下部水平梁２ａに吊り下げ装備した天井走行
クレーン（図示せず）のクレーンレール４に一致させた
分割クレーンレール４ａ，４ｂ，４ｃをそれぞれ装架さ
せた構成とした。５ａ，５ｂ，５ｃは分割クレーンレー
ル４ａ，４ｂ，４ｃをそれぞれ前記受け梁ユニット３
ａ，３ｂ，３ｃの下面に装架させるための吊りピースで
ある。

【００１２】図２は、図１の平面図で、この実施例にお
いては、躯体１側に、２基の天井走行クレーンを装備さ
せるようにした。したがって、荷取り用のハネ出しブラ
ケット２は、躯体１の両側に２組を装備させた構成とし
た。

【００１３】図３は、図２のＹ−Ｙ矢視縦断正面図で、
実施例では、左側に示すように受け梁ユニット３ａ（３
ｂ，３ｃ）は箱型梁に構成し、この左右両側を前記ハネ
出しブラケット２を構成する下部梁部２ｂ，２ｂ上に着
脱自在架支固着させる構成とした。なお固着手段につい
ては、図面上に表示していないが、実施例ではボルトナ
ットによる締着方式を採用し、受け梁ユニット３ａ（３
ｂ，３ｃ）自体のハネ出しブラケット２に対する着脱作
業が容易にできる構成とした。

【００１４】また、ハネ出しブラケット２自体の躯体１
側に対する固定手段については、表示していないが、解
体撤去時、つまり躯体１の内側へ、そのハネ出しブラケ
ット２自体を引き込む場合の作業を容易にするため、躯
体１側にハネ出しブラケット２を構成する上下梁材２ａ
及び２ｂのガイドとなる部材を配備するとともに、ボル
トナットを用いて双方を締着固定させた。しかも資材の
吊り込み作業時には、そのハネ出しブラケット２側にか
なりの荷重が負荷されるため、躯体１側に対し強固に締
着固定させる構成とした。

【００１５】

【発明の効果】この発明による荷取り用ハネ出しブラケ
ットの取り付け及びその解体方法は、以上実施例を通し
て説明したように構成したので、従来の荷取り用ハネ出
しブラケットの取り付け及び解体方法に比較し、次のよ
うな効果をもたらすことができた。 （１）まず、天井走行クレーンのクレーンレールを複数
に分割した受け梁ユニットに装備し、これをハネ出しブ
ラケットに着脱自在に装備させた構成としているため、
躯体側に対する取り付け作業が手際よく、効率的に行う
ことができる。 （２）前記受け梁ユニット及びハネ出しブラケット自体
を躯体側に引き込み、解体撤去するように構成したの
で、作業上の危険性が回避され、安全作業による解体撤
去が確保される。 （３）前記（１）及び（２）によりハネ出しブラケット
の躯体側に対する組み付け作業はもとより、特に解体作
業を躯体側で行うことができるので、従来に比較し、著
しく短時間で行うことができ、工期短縮に貢献できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】躯体側に装備させた荷取り用ハネ出しブラケッ
トの側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図２におけるＹ−Ｙ矢視縦断正面図である。

【図４】荷取り用ハネ出しブラケットを装備させたジャ
ッキアップ工法による高層ビルの組立工法を示す説明図
である。

【符号の説明】 １ 躯体 １ａ，１ｂ 躯体を構成する上下水平梁 ２ ハネ出しブラケット ２ａ，２ｂ 梁材（上・下） ２ｃ ラチス材 ３ａ，３ｂ，３ｃ 受け梁ユニット ４ クレーンレール ４ａ，４ｂ，４ｃ 分割クレーンレール ５ａ，５ａ，５ｂ，５ｂ，５ｃ，５ｃ クレーンレー
ルの吊りピース

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハネ出しブラケットを建設過程にある躯
   体の内側に引き込み自在に組み立て、この組み立てたハ
   ネ出しブラケットの躯体側よりハネ出す部分の下面に、
   複数に分割した受け梁ユニットを着脱自在に架支固着さ
   せ、各受け梁ユニットの下面には、前記躯体側に架支さ
   れた天井走行クレーンのクレーンレールの延長線に一致
   させた分割レールを取り付け、躯体の外周端部に差し込
   み固定させたことを特徴とする荷取り用ハネ出しブラケ
   ット。
2. 【請求項２】（１） ハネ出しブラケットの下面に架支
   固着させた受け梁ユニットの固着を解除し、（２）躯体
   側にホイスト等の吊り込み手段を設置し、この吊り込み
   手段により前記受け梁ユニットを躯体側に吊り込み解体
   し、（３）ハネ出しブラケット自体を躯体側に引き込み
   解体し、（４）前記（２）（３）の解体作業が終了した
   のち、解体物を地上へ荷下ろしする工程とからなる荷取
   り用ハネ出しブラケットの解体方法。