JPH0710878B2 - 溶解性の改善されたα−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造方法 - Google Patents

溶解性の改善されたα−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造方法

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JPH0710878B2 JP61175568A JP17556886A JPH0710878B2 JP H0710878 B2 JPH0710878 B2 JP H0710878B2 JP 61175568 A JP61175568 A JP 61175568A JP 17556886 A JP17556886 A JP 17556886A JP H0710878 B2 JPH0710878 B2 JP H0710878B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、溶解性の改善されたα−L−アスパルチル−
L−フェニルアラニンメチルエステル(以下、アスパル
テームと記載する。)を製造する方法に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、溶解性の改善されたアスパルテームを得るため
に、種々の方法が試みられてきた。例えば、溶解度の高
い賦形剤と共に、顆粒化する、賦形剤と崩壊剤の組合せ
により崩壊錠剤化する、又、発泡剤と中和剤の組合せに
より発泡錠剤化する等がある。また他にアスパルテーム
II型結晶に特定量の加水を行い、攪拌混合後、造粒して
乾燥する方法等が知られている。(特開昭59−95862)
アスパルテーム結晶には、I型及びII型という2種類の
結晶型が存在することが知られている(特開昭59−1724
44及び特開昭60−37949)。II型結晶は、I型結晶と比
較して、吸湿性が少なく、保存安定性も良いため、II型
結晶の製造方法は、多く研究されてきた。しかし、I型
結晶に着目した研究はほとんどなされていない。
[発明が解決しようとする問題点] アスパルテームは水に対する分散性及び溶解性があまり
良くない。食品の利用において、アスパルテームの分
散,溶解性が悪いと、溶解するときに凝集玉を生じて、
溶解操作等が困難となり時間もかかってしまう。
従来法では、一旦、水に溶解し、又は、スラリー化した
りするため、操作面,工程管理面及びエネルギー・コス
ト面で問題がある。また、アスパルテームを溶解度向上
のために他の物質と混合すると、用途によっては、その
物質の混在が問題となる場合もあるので、溶解性のよい
高純度アスパルテームに対する要望が強い。
本発明者らの研究によれば、アスパルテームの前述した
二つの結晶型のうち、溶解性についてはI型の方がII型
よりもはるかに優れている。アスパルテームの湿潤結晶
を工業的な方法で乾燥すると得られる製品は通常I型結
晶とII型結晶の混合物となる。従って、実質上II型結晶
を含まない、又は、その含有量の少ないI型のアスパル
テームの工業的製造法を開発することもまた一つの重要
な技術的課題である。
[問題点を解決するための手段及び作用] 本発明はα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
メチルエステルの湿結晶を乾燥して乾燥されたα−L−
アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルI
型結晶を製造する方法において、水分含量がα−L−ア
スパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル湿結
晶重量基準で5〜15%の領域を常圧下50℃以下の温度で
通過させることを特徴とする溶解性の改善された、α−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステ
ルI型結晶の製造方法を提供するものである。
本発明の方法において、溶解性の改善されたアスパルテ
ームI型結晶を製造する際に原料として使用する湿アス
パルテーム結晶は、いかなる晶析方法及び分離方法を用
いて製造されてもよく湿アスパルテーム結晶の製造法に
ついては、いっさい問わない。すなわち、本発明の方法
で用いる湿アスパルテーム結晶を得るためには適当な方
法によりアスパルテームを晶石させ、次いで固液分離を
行って得ることができる。得られた湿アスパルテーム結
晶は、造粒機で処理しても、しなくてもよい。造粒機で
処理する場合は、押出し造粒,圧縮造粒等、どのタイプ
の造粒機を使用してもよい。湿アスパルテーム結晶を押
出し造粒機を用いて押出し処理する場合、0.1〜10.0mm
径のスクリーンを通過させることにより円柱状の造粒物
を得ることができる。しかし好ましくは、0.5〜5mm径、
さらに好ましくは、2.0〜4.0mm径のスクリーンを通過さ
せる方がよい。
本発明の方法による湿アスパルテーム結晶の乾燥は、湿
結晶重量基準で水分5〜15%の領域までは、乾燥温度等
については格別の限定はない。しかし、アスパルテーム
は、熱に対する安定性が弱く、高温で乾燥をおこなうと
容易に一部、ジケトピペラジン誘導体となる。これは、
無毒で安全ではあるが、甘味が無く、全体的には甘味の
ロスとなるので好ましくは、80℃未満で乾燥を行うのが
望ましい。
アスパルテームは、いかなる乾燥方法を用いても、水分
15%前後までは、溶解性の良い結晶型(I型結晶)を保
持していて、水分5〜15%の領域でI型からII型への結
晶形の転移が起る。そこで水分5〜15%の領域をなるべ
く低い温度で、好ましくは50℃以下で通過させるのが望
ましい。
本発明の方法では乾燥方法(装置)について格別の限定
はなく、慣用の方法例えば固定床での通気乾燥、流動床
による乾燥などを用いることができる。
こうして、溶解性の良い(I型結晶)アスパルテーム乾
燥品をうることができる。
[実施例] 実施例中I型比(I型とII型の合量に対するI型の比
率)は、I型及びII型の標準試料を用いてその混合物を
調整し、X線回折角(2θ)4.4゜(I型)及び5.0゜
(II型)のそれぞれの特有ピークの強度比から検量線を
作成し、各試料の強度比とこの検量線からその比率を求
めた。
また実施例中APM結晶の溶解速度は、その粉末1qを温度2
0℃の蒸留水500ml中に投入、攪拌(マグネチックス・ス
ターラー、200r.p.m.)を継続して目視により完全溶解
までの時間を測定した。
実施例1 遠心分離機で固液分離して得た、湿アスパルテーム結晶
(30kg、水分含量湿結晶基準で60.3%)を2mm径のスク
リーンを通過させ、押出し造粒し、70℃の熱風を用いた
流動乾燥機で水分15%まで乾燥を行った。引き続き熱風
を50%に下げ水分4.9%まで乾燥した後、再び熱風を70
℃に上げ乾燥し、水分2.6%のアスパルテーム乾燥品12.
3kgを得た。
一方比較のため、この湿造粒物(30kg)を70℃の熱風を
用いた流動乾燥機で水分2.0%まで乾燥を行った(12.2k
g、比較例1)。
実施例2〜5 上記で得られた湿アスパルテーム造粒物(30kg)を50℃
の熱風を用いた流動乾燥機で、水分含量3.2〜5.0%まで
乾燥し、熱風を70℃に上げ引き続き乾燥を行い水分1.9
ないし2.3%のアスパルテーム乾燥物(12.2kg)を得
た。
種々の水分含量での結果を以下に示す。
比較例2〜5 50℃乾燥での最終水分含量を6.0〜14.5%とする以外
は、実施例2〜5と同様の操作を実施してアスパルテー
ム乾燥物(12.2kg)を得た。
種々の水分含有量での結果を以下に示す。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、工程
管理上並びにエネルギー・コスト上不利な操作あるい
は、他の物質と混合すること無しに溶解性の良いI型結
晶形のアスパルテームを得ることができる。
本発明の方法により得られる溶解性の改善されたアスパ
ルテームは、清涼飲料水,卓上及びその他食品用甘味剤
として広く有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
    ニンメチルエステルの湿結晶を乾燥して乾燥されたα−
    L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステ
    ルI型結晶を製造する方法において、水分含量がα−L
    −アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル
    湿結晶重量基準で5〜15%の領域を常圧下50℃以下の温
    度で通過させ、最終水分含有量を5.0%以下にすること
    を特徴とする溶解性の改善された、α−L−アスパルチ
    ル−L−フェニルアラニンメチルエステルI型結晶の製
    造方法。
  2. 【請求項2】α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
    ニンメチルエステルの湿結晶が造粒機により造粒された
    ものである特許請求の範囲第1項記載のα−L−アスパ
    ルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルI型結晶
    の製造方法。
  3. 【請求項3】造粒物の径が、0.1〜10.0mmである特許請
    求の範囲第2項記載のα−L−アスパルチル−L−フェ
    ニルアラニンメチルエステルI型結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
    ニンメチルエステルの湿結晶が、造粒機で処理されてい
    ないものである特許請求の範囲第1項記載のα−L−ア
    スパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルI型
    結晶の製造方法。
JP61175568A 1986-07-28 1986-07-28 溶解性の改善されたα−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造方法 Expired - Lifetime JPH0710878B2 (ja)

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