JPH0710857A - 新規アルドース還元酵素阻害剤 - Google Patents

新規アルドース還元酵素阻害剤

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JPH0710857A
JPH0710857A JP14894093A JP14894093A JPH0710857A JP H0710857 A JPH0710857 A JP H0710857A JP 14894093 A JP14894093 A JP 14894093A JP 14894093 A JP14894093 A JP 14894093A JP H0710857 A JPH0710857 A JP H0710857A
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JP
Japan
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aldose reductase
culture
novel compound
days
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Application number
JP14894093A
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English (en)
Inventor
Masao Kuroda
正夫 黒田
Takeshi Ogita
健 荻田
Ryuzo Enokida
竜三 榎田
Hisao Okazaki
尚夫 岡崎
Takeshi Kinoshita
武 木下
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】下記式(I) で表わされる新規アルドース還元酵
素阻害剤A−74863a。 【効果】上記化合物は、糖尿病性神経症、網膜症、白内
障、腎症などの糖尿病合併症の予防・治療剤として有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、殊にアルド−ス
還元酵素阻害剤として有用な新規化合物A−74863
aおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年いわゆる成人病としての II 型糖尿
病患者が増加している。糖尿病は高血糖を主徴とする病
気である。食事療法または血糖降下剤等により、高血糖
を来さない方策が種々行なわれているが、糖尿病患者に
おいて血糖の正常化は容易ではない。その結果、高血糖
を主因とするポリオール経路の活性化(ソルビトール蓄
積)や、非酵素的な蛋白の糖化反応のこう進が起こり、
細胞機能の低下から種々の糖尿病性合併症(神経症、白
内障、腎症)が発症する。
【0003】糖尿病合併症の多発する組織(神経、レン
ズ、腎臓等)には、ポリオール経路の律速酵素であるア
ルド−ス還元酵素(以下ARと略す)が存在しているこ
とが明らかにされており、糖尿病合併症発症においてA
Rの果たす役割が認識されている。
【0004】ポリオール経路では、ポリオール産生基質
(グルコ−ス等)にARが働きソルビトールが生成す
る。ソルビトールは更にソルビトール脱水素酵素により
フルクト−スとなる。高血糖状態ではヘキソキナ−ゼで
りん酸化される以上のグルコ−スが細胞内に移行するた
め、余分なグルコ−スはARの基質となりソルビトール
産生量が増す。この場合、ARが誘導されソルビトール
生成量は増加するが、ソルビトール脱水素酵素は誘導さ
れない。
【0005】ソルビトール脱水素酵素は基質ソルビトー
ルにより誘導されにくいため、またソルビトールは細胞
外へ移行しにくいため、ソルビトールは細胞内に蓄積す
る。その結果、細胞内浸透圧が上昇し、水分貯留を来
し、細胞機能を正常に維持することができなくなる[Bi
ochemical Medicine and Metabolic Biology, 48, 91-1
21, (1992)]。
【0006】ゆえに、高血糖状態においてARを阻害す
れば細胞内ソルビトールの異常蓄積は回避され、細胞機
能を正常に維持することが可能と考えられる。AR阻害
剤は糖尿病合併症の発症及び進展を阻止できると考えら
れ、種々の化合物が合成され、治療薬としての有効性が
検討されている[Pharmacology and Therapeutics, 54,
151-194, (1992):欧州特許公開公報0047109
号]。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは微生物二
次代謝産物中よりAR阻害作用を持つ物質を検索し、土
壌より分離したストレプトミセス属に属する放線菌SA
NK60593(FERM BP−4296)株の培養
液中に、アルド−ス還元酵素阻害作用を有する新規化合
物、A−74863aが生産されることを見出し本発明
を完成した。
【0008】本発明のA−74863aは、糖尿病性神
経症、網膜症、白内障、腎症などの糖尿病合併症の予防
・治療剤として有用である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のA−74863
aは下記の構造式および性状を有する。
【0010】(1)構造式
【0011】
【化2】
【0012】(2)物理化学的性状 1) 性質;黄色粉末。
【0013】2) 溶解性;メタノール、酢酸エチル、ク
ロロホルムなどの有機溶媒に可溶、水に不溶。
【0014】3) 呈色試験;50% 硫酸、ヨウ素に陽性。
【0015】4) 分子式;C21245 5) 分子量;356 (測定値:356.1649、 EIMS 法により
測定)(計算値:356.1578) 6) 比旋光度;[α]D 25 -164°(c 1.24 :メタノール
中) 7) 紫外線吸収スペクトル(メタノール中);203(ε 2
3300), 264( ε 18500), 359( ε 6980) 8) 赤外線吸収スペクトル(cm-1: クロロホルム中);
3200, 1692, 1638, 1605 9) 1H-核磁気共鳴スペクトル;( 重クロロホルム中:PP
M, TMS 基準) 11.85(s)1H, 7.10(s)1H, 6.2(br.s)1H, 5.04(br.t J=7H
z)2H, 3.74(s)1H,3.02(dd J=8.1,15.8Hz)1H, 2.69(dd J
=6.7, 15.4Hz)1H, 2.18(s)3H,2.05(m)4H, 1.67(s)6H,
1.60(s)3H 10) 13C-核磁気共鳴スペクトル;( 重クロロホルム中:P
PM, 重クロロホルム基準) 195.3(s), 191.9(s), 162.5(s), 161.3(s), 141.2(s),
132.1(s) 131.2(s), 124.1(d), 119.3(s), 115.2(d), 108.9(s),
108.2(d) 63.1(s), 59.2(d), 39.9(t), 26.5(t), 26.0(t), 25.9
(q), 17.9(q) 16.6(q), 8.2(q) 11) 高速液体クロマトグラフグラフィー; 保持時間:5.65 分 カラム: ナカライテスク製コスモシール5C18-AR, 4.6
× 150mm 溶媒: 80% アセトニトリル- 水 流速: 1 ml/ 分 本発明において用いられるストレプトマイセス(Strept
omyces)属に属する菌株としては、例えばストレプトマ
イセス・エスピー(Streptomyces sp.)SANK605
93(FERM BP−4296)を挙げることがで
き、この菌株の菌学的性状は次のとおりである。
【0016】形態学的特徴 ISP[インターナショナル・ストレプトマイセス・プ
ロジェクト(International Streptomyces Project)]
規定の寒天培地上、28℃、14日間培養後、顕微鏡下観
察では、SANK60593株の基生菌糸は良好に伸
長、分岐し、茶ないし灰味赤茶色を示すが、ノカルディ
ア(Nocardia)属菌株様のジグザグ伸長は観察されな
い。気菌糸は単純分岐し、房状で白色である。気菌糸上
に形成される胞子は10から50個の連鎖を成し、直な
いし曲状を示す。走査型電子顕微鏡による観察では胞子
の表面構造は平滑(Smooth)状を示す。胞子は楕円形
で、0.5〜0.7 X 0.8 〜1.3 μm である。ポテトエキス
・人参エキス寒天培地上では培養後期には基生菌糸の断
裂が観察される。また気菌糸の車軸分岐、菌核、胞子の
うなどの特殊器官は観察されない。
【0017】各種培養基上の諸性質 各種培養基上で 28 ℃、14日間培養後の性状は表1に
示すとおりである。色調の表示は日本色彩研究所版“標
準色票”に従った。
【0018】
【表1】培地の種類 項目 SANK60593株の性状 シュクロース G : 余り良くない、平坦、薄黄(2.5Y 9/4) 硝酸塩寒天 AM: 形成せず R : 薄黄(2.5Y 9/4) SP: 産生せず グルコース・ G : 良好、平坦、茶味灰(7.5YR 5/2) アスパラギン寒天 AM: 余り良くない、ビロード状、灰味茶 (7.5YR 6/2) R : 暗い茶(5YR 3/3) SP: 薄黄味茶(10YR 7/4) グリセリン・ G : 非常に良好、平坦、灰味赤茶(5YR 3/4) アスパラギン寒天 AM: 僅かに形成、白 (ISP 5) R : 灰味赤茶(5YR 3/4) SP: 鈍赤味橙(2.5YR 5/8) 澱粉・無機塩寒天 G : 余り良くない、平坦、薄黄味茶(10YR 7/3)〜 (ISP 4) 灰味黄茶(10YR 5/3) AM: 僅かに形成、白 R : 薄黄味茶(10YR 7/3)〜暗い黄味茶(10YR 4/3) SP: 薄橙(7.5YR 8/4) チロシン寒天 G : 非常に良好、平坦、茶(7.5YR 4/4) (ISP 7) AM: 僅かに形成、白 R : 暗い黄味茶(10YR 4/3) SP: 明るい茶(7.5YR 5/6) 栄養寒天 G : 余り良くない、平坦、薄黄(2.5Y 9/4) (DIFCO) AM: 形成せず R : 薄黄(2.5Y 9/4) SP: 産生せず イーストエキス・ G : 非常に良好、しわ状、茶(5YR 4/4) 麦芽エキス寒天 AM: 形成せず (ISP 2) R : 明るい茶(7.5YR 5/6) SP: 明るい茶(7.5YR 6/8) オートミール寒天 G : 非常に良好、平坦、灰味黄茶(7.5YR 5/4) (ISP 3) AM: 僅かに形成、白 R : 灰味黄茶(7.5YR 5/4) SP: 黄味茶(10YR 6/10) 水寒天 G : 生育せず AM: R : SP: ポテトエキス・ G : 良くない、平坦、灰味白(9/N) 人参エキス寒天 AM: 形成せず R : 灰味白(9/N) SP: 産生せず G:生育、AM:気菌糸、R:裏面、SP:可溶性色素生理学的性状 28℃で培養後、2ないし21日間に観察したSANK
60593株の生理学的性状は表2に示したとおりであ
る。
【0019】
【表2】 澱粉の水解 陽 性 ゼラチンの液化 疑陽性 硝酸塩の還元 陽 性 ミルクの凝固 陰 性 ミルクのペプトン化 陰 性 メラニン様色素生産性(培地1) 陰 性 (培地2) 陰 性 (培地3) 陰 性 基質分解性:カゼイン 陽 性 チロシン 陰 性 キサンチン 陰 性 生育温度範囲(培地4) 12〜34℃ 生育適正温度(培地4) 24〜32℃ 食塩存在下での生育(培地4) 1.0% 培地1:トリプトン・イーストエキス・ブロス(ISP
1) 培地2:ペプトン・イーストエキス・鉄寒天(ISP
6) 培地3:チロシン寒天(ISP 7) 培地4:イーストエキス・麦芽エキス寒天(ISP 2) また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9) を使用
して、28℃、14日間培養後に観察したSANK60
593株の炭素源の資化性は表3に示したとおりであ
る。
【0020】
【表3】 D−グルコース + D−フルクトース − L−アラビノース ± L−ラムノース + D−キシロース ± シュクロース − イノシトール − ラフィノース − D−マンニトール − 対照 − +:資化する、±:弱く資化する、−:資化しない菌体成分について SANK60593株の菌体成分について長谷川等の方
法[T. Hasegawa et al., ジャーナル・オブ・ゼネラル
・アンド・アプライド・マイクロバイオロジー(Journa
l of general and applied microbiology )第29巻、
319−322頁、1983年]に従い検討した結果、
細胞壁ジアミノ酸としてLL−およびmeso−ジアミ
ノピメリン酸の両方が、また全細胞中の糖成分としてラ
ムノース、マンノース、グルコースおよびガラクトース
がそれぞれ検出された。
【0021】細胞壁ペプチドグリカンのアシルタイプに
ついて内田等の方法[K. Uchida etal., ジャーナル・
オブ・ゼネラル・アンド・アプライド・マイクロバイオ
ロジー(Journal of general and applied microbiolog
y )第25巻、168−183頁、1979年]に従い
検討した結果、アセチル型であった。また、メナキノン
分子種は放線菌の同定実験法[日本放線菌学会、清野昭
雄編、中越印刷、東京、131−139頁、1988
年]に従い検討した結果、主要成分としてMK−9(H
6 )およびMK−9(H8 )を検出した。
【0022】以上の菌学的性質から、本菌株は放線菌の
中でもストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する
放線菌であることが明らかにされた。シャーリングとゴ
トリーブによるISP菌株記載[(E. B. Shirling and
D. Gottlieb)、インターナショナル・ジャーナル・オ
ブ・システマティック・バクテリオロジー(Internatio
nal journal of systematic bacteriology)第18巻、
68−189頁(1968年)、第18巻、279−3
92頁(1968年)、第19巻、391−512頁
(1969年)、第22巻、265−394頁(197
2年)]、ワックスマン著、ジ・アクチノミセテス(S.
A. Waksman 、The actinomycetes )第2巻、ブキャナ
ンとギボンズ編、バージーズ・マニュアル(R. E. Buch
anan and N. E. Gibbons、Bergey's manual of determi
native bacteriology )第8版(1974年)、バージ
ーズ・マニュアル(Bergey's manual of systematic ba
cteriology)第4巻(1989年)、ウェリントンらの
菌学記載[E. M. H. Wellington et al., インターナシ
ョナル・ジャーナル・オブ・システマティック・バクテ
リオロジー(International journal of systematic ba
cteriology)第42巻、156−160頁、1992
年]およびストレプトマイセス属放線菌に関する最近の
文献に記載されている菌種と比較したところ、本菌株は
ストレプトマイセス属の中でもウェリントンらの提唱す
る、LL−およびmeso−ジアミノピメリン酸の両方
を有する菌群(これらの菌群は従来 Kitasatosporia と
称されていた)に含まれる一新菌株であることが明らか
にされた。従って、SANK60593株はストレプト
マイセス・エスピー(Streptomyces sp.)と同定され
た。
【0023】本菌株はFERM BP−4296として
1993年5月17日に通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所に国際寄託されている。
【0024】培養法及び精製法について 本発明の新菌株を分離するに際し使用される分離培地と
しては炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機栄養源等
より選択されたものを適宜含有する培地であれば合成ま
たは天然培地の何れでも使用可能である。A−7486
3aはSANK60593株を適当な培地で培養し、そ
れから採取することによって得られる。栄養源として
は、従来放線菌類の菌株の培養に利用されている公知の
ものが使用できる。例えば、炭素源としてはグルコー
ス、シュクロース、澱粉、グリセリン、水飴、糖蜜、大
豆油などが使用できる。また、窒素源としては大豆粉、
コーンスチープリカー、生イースト、硫酸アンモニウ
ム、硝酸ナトリウム等を使用しうる。このほか必要に応
じて炭酸カルシウム、リン酸塩等の無機塩類を添加する
ほか、菌株の発育を助け、A−74863aの生産を促
進するような有機および無機物を適当に添加することが
できる。培養法としては、一般の抗生物質を生産する方
法と同じく液体培養法、特に深部培養法が最も適してい
る。培養は、好気的条件下で行なわれ、培養に適当な温
度は24−30℃であるが、多くの場合28℃付近で培
養する。A−74863aの生産は、振盪培養で通常4
ー6日で最高値に達する。
【0025】培養終了後、培養液中の菌体あるいは液体
部分に存在するA−74863aを培養液の2倍容程度
のアセトン、アセトニトリルのような有機溶媒を添加し
混合することにより抽出する。抽出物中に存在する固形
部分を珪藻土をろ過操作助剤とするろ過操作または遠心
分離によって分別し、そのろ液または上清中に存在する
A−74863aを、アルドース還元酵素阻害活性を指
標にして、その物理化学的性状を利用し抽出精製する。
例えば、この抽出液中に存在するA−74863aは、
まず濃縮操作で混在する有機溶媒を除去した後にpH
3程度の酸性条件下で水と混和しない有機溶剤、例えば
nーブタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ク
ロロホルム、塩化エチレン、塩化メチレンなどの単独ま
たは、それらの組み合わせにより抽出精製することがで
きる。あるいは吸着剤として、例えば活性炭または吸着
用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD−4
(ローム・アンド・ハース社製)等や、ダイヤイオンH
Pー10、HPー20、CHPー20P、HPー50
(三菱化成(株)製)等を使用する事ができる。A−7
4863aを含む液を上記のごとき吸着剤の層を通過さ
せて不純物を吸着させて取り除くか、またはA−748
63aを吸着させた後、メタノール水、アセトン水、n
−ブタノール水などを用いて溶出させることにより得ら
れる。
【0026】このようにして得られたA−74863a
は、更にシリカゲル、フロリジルのような担体を用いた
吸着カラムクロマトグラフィー、セファデックスLH−
20(ファルマシア社製)などを用いた分配カラムクロ
マトグラフィ、セファデックスG−25(ファルマシア
製)などを用いたゲルろ過クロマトグラフィ、および順
相、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ等で
精製することが出来る。
【0027】アルド−ス還元酵素阻害活性はK.イナガキ
等の方法(Archives of Biochemistry and Biophysics,
216巻, pp337-344, 1982 年)に準拠して測定できる。
【0028】ウシ眼球よりレンズを取り出し、4倍量の
リン酸ナトリウム緩衝液(10mM, pH7.4, 2mM β- メル
カプトエタノ−ルを含む)でホモゲナイズした。18,000
x gで15分間、4 ℃で遠心し、上清を採取した。この上
清に、硫酸アンモニウムを40% 飽和となるように加え、
沈澱を生じさせた。遠心分離後の上清に、硫酸アンモニ
ウムを75% 飽和となるように加え、再度沈澱を生じさせ
た。遠心分離により得られた沈澱物を少量の上記緩衝液
に溶解し、同じ緩衝液に対して透析することによりアル
ド−ス還元酵素活性を示す画分を得た。
【0029】酵素活性の測定は以下のごとく行った。10
0mM リン酸ナトリウム(pH7.4 )、400mM 硫酸アンモニ
ウム、150 μM ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオ
チド・フォスフェイト(還元型)、基質として1mM のDL
- グリセルアルデヒドを含む反応液に、アルド−ス還元
酵素を適量加え反応を開始した。
【0030】酵素活性は、反応開始時より30分間経過後
の340nm における吸光度の減少を測定することにより算
定できる。
【0031】また、アルド−ス還元酵素に対する阻害活
性は上記反応系に阻害活性を有する物質を共存させるこ
とにより、340nm における吸光度の減少の抑制効果とし
て測定できる。
【0032】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されない。
【0033】実施例1. A−74863a物質の精製 (1) 培養 ストレプトミセス. エスピー. SANK60593株を
無菌的に、滅菌した後述の組成の種培養培地100 ml
を含む500 ml の三角フラスコ(種フラスコ)に接種
した。次いでこれを7日間、200rpm のロータリー振
とう機で前培養を行った。
【0034】培地組成(種培養培地) グルコ−ス 10 g グリセロ−ル 10 g オ−トミ−ル 5 g シュ−クロ−ス 10 g S.B.M. 20 g カザミノ酸 5 g 生イ−スト 10 g イ−スト・イクストラクト 3 g 炭酸カルシウム 1 g消泡剤(CB-442) 0.2 g イオン交換水 1000 ml pH 7.0 本培養は以下のように行った。後述の組成の培地を30
Lジャーファーメンターに15L入れ、これを120Cで30
分間加熱殺菌した。次いでこれに上述の種培養液を0.
3L入れ、28℃で5日間、1.0 L/ 分の空気流量で撹
拌速度を100rpmにして撹拌培養した。
【0035】培地組成( 本培養培地) シュークロース 20 g グリセロール 5 g 生イ−スト 10 g 大豆粉 10 g コーンスチープリカー 5 g 塩化コバルト6水塩 0.01g消泡剤(CB-442) 0.2 g イオン交換水 1000 ml pH 7.0 (2) アルドース還元酵素活性測定法 ウシレンズより調製したアルド−ス還元酵素を阻害剤と
ともに下記に示す反応液中に加え、340nm の吸光度の減
少の抑制効果を測定することにより阻害剤の強さを測定
できる。
【0036】反応液は100mM リン酸ナトリウム(pH7.4
)、400mM 硫酸アンモニウム、150μM ニコチンアミド
・アデニン・ジヌクレオチド・フォスフェイト(還元
型)、および1mM のDL- グリセルアルデヒドを含む。こ
の方法により測定した、アルド−ス還元酵素反応を50%
阻害するのに必要なA−74863a物質の濃度は2×
10-7Mである。
【0037】(3) 単離 培養液30Lに60Lのアセトンを加え、室温30分攪
拌した。この混合物にセライトを加えた後に吸引濾過
し、濾液を減圧濃縮してアセトンを除去した。得られた
水溶液のpHを6規定の塩酸で3に調整し、続いて等量
の酢酸エチルで2回抽出を行った。有機層を集め、約1/
3 量の飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを
加え3時間放置した。硫酸ナトリウムを濾別した後、濾
液を減圧濃縮を行い、濃褐色の抽出物 28.8g を得た。
この濃縮物を2等分し、それぞれを90ml の n- ヘキサ
ン- 酢酸エチル 5:1 の混合溶媒に溶解し、同じ溶媒で
平衡化したシリカゲルカラム(6cm × 18cm)にチャージ
し、同じ溶媒で溶出した。この溶出液を約 20 ml ずつ
分画した。
【0038】以下に述べる2つの方法により、各画分中
のA−74863a物資を定量した。すなわち、 1)各画分の酵素阻害活性を測定した。
【0039】2)各画分について、以下の条件下で分析
用高速液体クロマトグラフィーを行った。
【0040】カラム: ナカライテスク製コスモシール5C
18-AR, 4.6 × 150mm 溶媒: 80% アセトニトリル- 水 流速: 1 ml/ 分 UV 260 nm で検出を行い、約 5.6 分に溶出されるピー
クを定量した。
【0041】その結果、該シリカゲルカラムに約 850 m
l の溶媒(n-ヘキサン- 酢酸エチル5:1)を流すとA−
74863a物質が溶出され始め、同じ溶媒で溶出を続
けたところ約 600 ml のA−74863a物質を含む溶
液が溶出された。
【0042】A−74863a物質を含む分画を集め濃
縮乾固し 340 mg の褐色の油状物質を得た。次にこれを
7ml の 100% アセトニトリルに溶解し、7回に分け
て調製用液体クロマトグラフィー(カラム: ミリポア製
プレップパック 25 × 10 カートリッジ、ノバパック H
R C18 25 × 100mm 2本、流速 14ml/分、検出 UV 260
nm)で液クロ分取を行った。約15分に溶出されるピーク
を分取し、濃縮乾固することにより、95 mg のA−74
863a物質が得られた。
【0043】
【発明の効果】アルド−ス還元酵素反応を50% 阻害
するのに必要なA−74863a物質の濃度は2×10
-7Mである。したがって、本発明のA−74863a
は、糖尿病性神経症、網膜症、白内障、腎症などの糖尿
病合併症の予防・治療剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/02 7432−4B //(C12P 17/02 C12R 1:465) (72)発明者 岡崎 尚夫 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 木下 武 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) で表わされる新規化合物A−7
    4863a。: 【化1】
  2. 【請求項2】ストレプトマイセス属に属するA−748
    63a生産菌を培養し、その培養物よりA−74863
    aを採取することを特徴とするA−74863aの製造
    法。
  3. 【請求項3】ストレプトマイセス属に属するA−748
    63a生産菌がストレプトマイセス・エスピーSANK
    60593(FERM BP−4296)である、請求
    項2記載の製造法。
JP14894093A 1993-06-21 1993-06-21 新規アルドース還元酵素阻害剤 Pending JPH0710857A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6943971B2 (en) 2002-08-26 2005-09-13 Fujitsu Limited Slider tester

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