JPH07108201B2 - ホイップクリーム組成物 - Google Patents

ホイップクリーム組成物

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JPH07108201B2
JPH07108201B2 JP4000972A JP97292A JPH07108201B2 JP H07108201 B2 JPH07108201 B2 JP H07108201B2 JP 4000972 A JP4000972 A JP 4000972A JP 97292 A JP97292 A JP 97292A JP H07108201 B2 JPH07108201 B2 JP H07108201B2
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孝吉 日比
哲 藤田
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名古屋製酪株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はホイッピングクリームと
して用いるホイップクリーム組成物、特にアセプティッ
ク製品に適するホイップクリーム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、洋菓子などのトッピングやフィリ
ング材料として、高価で扱いにくい生クリームの代わり
に、扱い易いホイップクリーム組成物が多く用いられて
いる。これらのホイップクリーム組成物は、通常、食用
油脂、無脂乳固形分、乳化剤及びその他の諸材料と水と
からなる水中油型形のエマルションである。ホイップク
リーム組成物としては、流通・保存時の振動や時間経過
などに対して増粘・固化等の性質の変化を起こさないも
のが適している。さらに、ホイップクリーム組成物とし
ては、泡立てたときに短時間で起泡し、適度のオーバー
ランが得られ、また、洋菓子などのトッピング、フィリ
ングとして使用した場合に造花性及び保形性が良く、離
水現象が起きず、再ホイップ性が良いなど、ホイップ性
能が良いものである必要がある。
【0003】従来、ホイップ性能が良いホイップクリー
ム組成物としては、特公昭58−54849等に示され
たようなものが広く利用されており、通常、殺菌処理を
施され、容器に充填されて低温下で流通・保存され、使
用する前に泡立てられる。これらのホイップクリーム組
成物は、高温短時間殺菌(HTST処理)を行って製品
とされるが、残存する微生物のために長期間保存するこ
とは不可能である。更にこれらのホイップクリーム組成
物はHTST処理には適するが、超高温瞬間滅菌処理
(UHT処理)を行うとエマルションが増粘し固化する
ために、アセプティック製品にするには不適だった。ま
た乳化剤として酵素処理されたリン脂質を用いたものと
して、特開昭61−162148,特開平2−1694
6に示されたホイップクリーム組成物があるが、これら
もUHT処理によって増粘固化する。
【0004】最近は長期間保存可能なホイップクリーム
組成物として、UHT処理(約140℃,数秒)を施し
て、アセプティック容器に保存したホイップクリーム組
成物が製造販売されている。例えば、特公昭50−11
458,特公昭58−44347,特開昭58−149
649に示されているようなホイップクリーム組成物
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特公昭50−11458,特公昭58−44347,特
開昭58−149649に示されているホイップクリー
ム組成物に対して、UHT処理を施した場合は、UHT
処理による性質の変化は起きにくいが、起泡に長時間を
要し、起泡後の保形性が悪く、また離水現象を起こしや
すいなど、ホイップ性能がHTST処理されたホイップ
クリーム組成物に比べて劣るといった問題があった。
【0006】このため、本発明では、滅菌処理時及び流
通・保存時に増粘・固化等の性質の変化が殆ど起きず、
さらに、短時間で起泡し、ホイップ性能の良いホイップ
クリーム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本第1発明の
イップクリーム組成物は、油脂と無脂乳固形分等を含む
水相と、さらに、以下のa及びbを乳化剤として含むこ
とを要旨とする。a.ホスフォリパーゼA2処理で作っ
リゾリン脂質がその絶対量で油脂に対して0.05〜
1.0重量%であること。
【0008】b.ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/
又はショ糖脂肪酸エステルが油脂に対して0.8〜2.
0重量%であり、かつポリグリセリン脂肪酸エステル及
び/又はショ糖脂肪酸エステルの合計量のうち不飽和脂
肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルの重量比が10/9
0〜70/30であること。
【0009】本発明における、ホイップクリーム組成物
とは、食用油脂と無脂乳固形分等を含む水相を、乳化剤
を加えてエマルションとしたものである。無脂乳固形分
の分量は、通常、2〜6重量%を用いる。無脂乳固形分
を2重量%以上とすれば、乳化の安定性が高まる。ただ
し、6重量%を越えるとホイップクリーム組成物の粘性
が高まり過ぎる傾向がある。無脂乳固形分はカゼイン等
の乳蛋白と乳糖を主成分とするもので、脱脂乳、牛乳、
脱脂粉乳または全脂粉乳などを用いることができる。ま
た、これらの成分に加えて、カゼインソーダ、プロティ
ナーゼ処理によって比較的長鎖のペプチドに分解され
た、乳蛋白、小麦蛋白または大豆蛋白などを用いること
もできる。その分量は、カゼインソーダ、プロティナー
ゼ処理蛋白の場合、ホイップクリーム組成物全体の2重
量%を越えない範囲が好ましい。無脂乳固形分として
は、牛乳以外の獣乳も用いることができる。
【0010】また、食用油脂は、通常、上昇融点28〜
38℃の油脂を30〜50重量%用いるのが好ましい。
食用油脂としては、大豆油、菜種油、低エルシン酸菜種
油、綿実油、コーン油又はひまわり油のような植物油の
部分水素添加物、パーム油、ヤシ油、パーム核油及びそ
れらの水素添加油、乳脂、ラード又は魚油の部分水素添
加油などの動物性油脂、などの中から1種以上を用い
る。またこれらの油脂の中から1種以上を用い、さらに
大豆油、綿実油、コーン油などのような0℃において液
状である液状油を加えて、それらの混合油脂の上昇融点
が28〜38℃であるものを用いるのが好ましい。油脂
の上昇融点が28℃以下ではホイップクリームの保形性
が悪く、38℃以上では口どけが悪化する。
【0011】本発明のリゾリン脂質とは、大豆由来,菜
種由来,あるいは卵黄由来のリン脂質をホスフォリパー
ゼA2によって酵素処理して脱アシル化したモノアシル
体のリン脂質であって、通常は膵臓由来のホスフォリパ
ーゼA2で処理されたものが用いられる。これらはリゾ
ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノール
アミン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスフ
ァチジン酸などのモノアシルグリセロリン脂質を含む。
またこれらの混合物から含水アルコール処理などによっ
てリゾホスファチジルコリンの含有量を増加させたもの
も適する。化学合成されたリゾリン脂質も同様に用い得
る。前記酵素処理によっては全てのリン脂質をリゾリン
脂質にすることは困難で、ジアシル体リン脂質が残存す
るが、リゾリン脂質の量はリン脂質全体の少なくとも4
0重量%以上好ましくは60重量%以上であることが本
発明の産物に適する。このようなものであれば、リゾリ
ン脂質が、例えば、通常の油分を含むペースト状の大豆
リン脂質をホスフォリパーゼA2で処理した後、中和す
るか、または中和しないで、油分などを含んだまま製品
化したものであってもよく、また、アセトンなどを用い
て精製し、油脂及び発生した脂肪酸を除いたものでもよ
い。リゾリン脂質の添加量はその絶対量で油脂に対して
0.05〜1.0重量%が適し、さらに好ましくは01
〜1.0重量%であることが適する。0.05重量%以
下では併用する他の乳化剤によってエマルション自体の
安定性は十分になっても本発明の目的とする効果、即ち
良好なホイップ性と流通保管適性は得られない。1.0
重量%以上では風味が悪化する。エマルションの製造に
あってホモゲナイザー圧力を高め油滴を細かくする場合
は乳化剤の必要量が増加する。リゾリン脂質の全リン脂
質中のリゾリン脂質の含有量が40重量%以下では、U
HT滅菌による増粘が起こり易くなるが、60重量%以
上では増粘が起こりにくい。
【0012】本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エス
テルはグリセリンが2〜10分子エーテル結合したポリ
グリセリンと炭素原子数12〜22の飽和及び不飽和脂
肪酸のモノ、ジ、ポリエステルであって、そのHLBが
4〜16のものが適する。また本発明に用いるショ糖脂
肪酸エステルはショ糖と炭素原子数12〜22の飽和及
び不飽和脂肪酸のモノ、ジ、ポリエステルの混合物でそ
のHLB値が2〜16のものが適する。なお、本明細書
で用いるHLB値は、流動パラフィンに対する最適乳化
を与える界面活性剤の組み合せ法によって測定した値に
よるもので、国内の食品用乳化剤製造業者が常用してい
るものによる。
【0013】本発明において、乳化剤として用いられる
ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸
エステルの添加量は、油脂に対して0.8〜2.0重量
%である必要がある。0.8重量%より少ない場合は、
乳化が不安定になり、また、2.0重量%より多く添加
した場合には、風味が悪化する。本発明に用いるポリグ
リセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステ
ルは、混合物の不飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エス
テルとの重量比が10/90〜70/30である必要が
ある。乳化剤を構成する脂肪酸についてその飽和脂肪酸
エステル:不飽和脂肪酸エステルの比率は、ホイップ時
のエマルションの不安定性を支配するので、不飽和脂肪
酸のエステルが10重量%以下ではホイップ後のクリー
ムのオーバーランが高めになり、造花性、保形性が不良
になり、本発明の目的に適さなくなる。また、70重量
%以上ではエマルションの安定性が損なわれ易くなり、
ホイップ時間が短くなりすぎるため適当なオーバーラン
が得にくくなる。さらに好ましくは、10/90〜60
/40であるとよい。これらの乳化剤の総量は、対油脂
0.8〜2.0重量%であることが適当で、少なすぎれ
ば乳化が不安定になり、多すぎれば風味を損なう。混合
乳化剤の不飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルの
比率の調整は、不飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エス
テルからそれぞれ1種以上を選んで配合することによっ
て可能であり、また、予め飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と
を混合したものを多価アルコールのエステルにしたもの
を用いてもよい。
【0014】また、上記発明においては、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルから
構成される乳化剤のHLBは、8〜13であることが好
ましい。HLBが8より小さい場合は、UHT後の増粘
が起こりやすくなる。また、HLBが13より大きい場
合は、ホイップ後の戻り現象が起き易く、また、オーバ
ーランが大きくなりすぎて保形性が損なわれる傾向があ
る。
【0015】また、本第2発明のホイップクリーム組成
は、食用油脂と無脂乳固形分等を含む水相と、さら
に、以下のa及びbを乳化剤として含むことを要旨とす
る。 a.ホスフォリパーゼA2処理で作ったリゾリン脂質が
油脂に対して、絶対量で0.05〜1.0重量%である
こと。
【0016】b.以下のb1及びb2からなる混合物が
油脂に対して0.8〜2.0重量%であり、 b1.ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖
脂肪酸エステル。 b2.脂肪酸モノグリセリド及び/又はソルビタン脂肪
酸エステル かつb1およびb2の乳化剤混合物の合計量に占める不
飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルの重量比が1
0/90〜65/35であること。
【0017】本発明における、ホイップクリーム組成物
とは、前述のものと同じく、食用油脂と無脂乳固形分等
を含む水相を、乳化剤を加えてエマルションとしたもの
である。無脂乳固形分、食用油脂及び乳化剤のうちリゾ
リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂
肪酸エステルについては、前述と同じものを用い得る。
【0018】本発明において、乳化剤として用いられる
上記b2の、脂肪酸モノグリセリドとは炭素原子数10
〜22の飽和及び不飽和脂肪酸のグリセリンモノエステ
ルであって、反応モノグリセリドを分子蒸溜したものが
適するが、未蒸溜であってもモノグリセリドを40重量
%以上含有するものは用いることができる。また本発明
に使用するソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタン、
ソルビトール、ソルバイドの飽和、不飽和脂肪酸のモ
ノ、ジ、ポリエステルである。
【0019】bの乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エ
ステル及び/またはショ糖脂肪酸エステルと、脂肪酸モ
ノグリセリド及び/またはソルビタン脂肪酸エステルと
を用いる場合は、b1,b2の混合乳化剤の添加量は、
油脂に対して0.8〜2.0重量%である必要があり、
多すぎても少なすぎても本発明の目的を達することが困
難になる。0.8重量%より少ない場合は、乳化が不安
定になり、また、2.0重量%より多く添加した場合に
は、風味が悪化する。また、bの脂肪酸エステル類は、
それらの混合物に於ける不飽和脂肪酸エステル/飽和脂
肪酸エステルの比率が10/90〜65/35、更に好
ましくは10/90〜60/40であることが適する。
脂肪酸モノグリセリドについては不飽和度の大きいもの
が市販され、入手し易い。例えばリノール酸モノグリセ
リドを用いると不飽和脂肪酸エステルの適量は比較的少
量になる。不飽和脂肪酸のエステルが10重量%以下で
はホイップ後のクリームのオーバーランが高めになり、
造花性、保形性が不良になり、本発明の目的に適さなく
なる。その比率が増すと短時間でホイップしやすくなる
が、65重量%以上ではエマルションの安定性が損なわ
れ、ホイップ時間が短くなりすぎて適当なオーバーラン
が得にくくなる。また、不飽和脂肪酸エステルの比率を
10〜60重量%とした場合は、さらに好ましい結果が
得られる。bの混合乳化剤の不飽和脂肪酸エステルと飽
和脂肪酸エステルの比率の調整は、不飽和脂肪酸エステ
ルと飽和脂肪酸エステルのうちから、それぞれ1種以上
を選んで配合することによって行われる。
【0020】また、上記発明においては、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルに加
えて脂肪酸モノグリセリド及び/又はソルビタン脂肪酸
エステルから構成される混合乳化剤のHLBは、7〜1
2であることが好ましい。HLBが7より小さい場合
は、UHT後の増粘が起こりやすくなる。また、HLB
が12より大きい場合は、ホイップ後の戻り現象が起き
易く、また、オーバーランが大きくなりすぎる傾向があ
る。
【0021】以上述べた本発明のホイップクリーム組成
には、上記各成分の他に、乳化剤として、小量のプロ
ピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリ
ドの有機酸エステルまたはステアリル乳酸ナトリウム等
を添加することも可能である。また、これらの他に、少
量の重合リン酸塩及びリン酸塩、生クリーム、凍結生ク
リーム、糖類、天然ガム類、香料及び呈味料などを適宜
添加することも可能である。
【0022】次に、上述の本発明のホイップクリーム組
成物の製造工程の1例を述べる。まず、油脂中に各乳化
剤及び各添加物のうち油相中に溶解し易いものを加えて
おき、65℃程度の温度下で適当な攪拌を行いながら、
各種の水溶成分を含む水相を加えて、予備乳化を行う。
予備乳化されたエマルションを、加圧式ホモゲナイザー
で乳化し、超高温瞬間滅菌機にて無菌化し、適切な加圧
均質化処理を行って、冷却後アセプティックタンクを経
て、無菌下でアセプティック容器に包装する。近年、滅
菌包装技術の進歩によって無菌状態で多くの液状食品が
流通されるようになったが、ホイップクリームの場合
は、エマルションの流通保管時に於ける安定性と、ホイ
ップ時に於けるエマルションの不安定性という相反する
命題の解決を要するため、短時間でホイップが可能でし
かも優良なホイップ性能をもったアセプティック製品を
得ることは困難であった。このため従来の技術に基ずく
製品は保存や流通に対する安定性は有っても、起泡に長
時間を要する上、起泡後の保形性その他の性能は不十分
であった。
【0023】本発明のホイップクリーム組成物によっ
て、上記のアセプティックホイップクリームの欠陥が改
善される理由は定かではない。しかし、リゾリン脂質と
他の乳化剤との間の界面現象上の微妙な相乗作用によっ
て、比較的多量の不飽和脂肪酸エステルを含むにもかか
わらず、安定したエマルションが得られること。さらに
リゾリン脂質とカゼインを主とする乳蛋白との適度な結
合性によって、流通・保管の条件下では脂肪球の表面が
蛋白層で保護されてエマルションが安定化しているが、
起泡時の激しい攪はんによって部分的な蛋白の離脱が起
こり、不飽和脂肪酸エステルによるエマルションの凝集
が速やかに起こることによるものと推定している。
【0024】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の比較例と好適な実施例に
ついて説明する。なお、表については、実施例の項の最
後の部分にまとめて記載した。また、この比較例、実施
例中で使用した乳化剤は、以下に示すものである。 <リゾリン脂質及びその他のリン脂質> ・サンレシチンA:太陽化学(株)社製 酵素処理レシチン(全リン脂質約90重量%、リゾリン
脂質約70重量%含有) ・サンレシチンW1:太陽化学(株)社製 酵素処理レシチン(全リン脂質約50重量%、リゾリン
脂質約25重量%含有の含油品) ・サンレシチンS:太陽化学(株)社製 酵素処理レシチン(全リン脂質約90重量%、リゾリン
脂質約70重量%含有) ・エルマイザーA:協和発酵(株)社製 酵素処理レシチン(全リン脂質約45重量%、リゾリン
脂質約30重量%含有の含油品) ・EMULFLUID.A:ルーカスメイヤー社製 全リン脂質含有量62重量%。アセチル化レシチンを約
10重量%含む。 ・EMULFLUID.E:ルーカスメイヤー社製 全リン脂質含有量56重量%。リゾリン脂質を約13重
量%含む。 ・BOLEC.C:ユニミルズ社製 全リン脂質含有量60重量%。約20重量%のホスファ
チジルエタノールアミンと、約20重量%のホスファチ
ジルイノシトールを含む。 <ポリグリセリン脂肪酸エステル> ・SYグリスターMS500:坂本薬品(株)社製 ヘキサグリセリンモノステアレート(HLB11) ・SYグリスターMO500:坂本薬品(株)社製 ヘキサグリセリンモノオレート(HLB11) ・SYグリスターMO750:坂本薬品(株)社製 デカグリセリンモノオレート(HLB13) ・SYグリスターMO310:坂本薬品(株)社製 テトラグリセリンモノオレート(HLB8) <ショ糖脂肪酸エステル> ・リョートーシュガーエステルS1670:三菱化成食
品(株)社製 ショ糖モノステアレート(HLB15) ・リョートーシュガーエステルS1170:三菱化成食
品(株)社製 ショ糖モノ・ジステアレート(HLB11) ・リョートーシュガーエステルS770:三菱化成食品
(株)社製 ショ糖モノ・ジステアレート(HLB7) <蒸溜脂肪酸モノグリセリド> ・エマルジーMS:理研ビタミン(株)社製 グリセリルモノステアレート(HLBはおよそ4) ・エマルジーMO:理研ビタミン(株)社製 ヨウ素価75の脂肪酸モノグリセリド(HLBはおよそ
4) <ソルビタン脂肪酸エステル> ・エマゾールS−10:花王株式会社製 ソルビタンステアレート(HLB4.7) ・エマゾールO−10:花王株式会社製 ソルビタンオレート(HLB4.3) (比較試験1)比較例1〜3 比較例として、リゾリン脂質を用いた先行技術(特開昭
61−162148,特開平2−16946)の実施例
に基ずき粘度低下のための若干の改変を行ってホイップ
クリーム組成物を調製した。調製方法は、原料を特殊機
化工業(株)社製のホモミキサーを用いて、3500r
pmで65℃にて15分間予備乳化し、その一部を深尾
精機社製5hpホモゲナイザーにより100〜0Kg/
cm2で乳化後、試料の1部について、75℃で2分
間、高温短時間殺菌した後、5℃に冷却エージングし
た。このホイップクリーム組成物の性質として、粘度を
測定し、また、ホイップ時間、オーバーラン、造花性、
造花後の状態及び再ホイップ性等のホイップ性能を測定
した。これらの測定結果と、重量%で示した組成表示を
表1に示す。また、試料の残部については、深尾精機社
製5hpホモゲナイザーによる乳化後、岩井機械工業
(株)社製のAUHT−3型テスト機によって、140
℃、4秒間のUHT処理を行い、引き続き1段目は50
Kg/cm2の圧力、2段目は0Kg/cm2の圧力で均
質化して試料とした。その結果を表1に示す。
【0025】上記比較例1〜3のいずれの場合も、ホイ
ップクリーム組成物のホイップ性能は不十分なものであ
る。また、UHT処理を行うと、冷却中に固化しやすく
なり、一度固化したホイップクリーム組成物は、起泡が
困難でホイップ性能を評価することができなかった。
【0026】次に、本発明の実施例として、乳化剤とし
てリゾリン脂質に加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル及びショ糖脂肪酸エステルを使用して、以下に示す実
施例1〜7のホイップクリーム組成物を調製した。実施例1 無塩バター2.4Kg,上昇融点36℃のナタネ硬化油
1.5Kg,ヤシ油0.5Kg及びコーン油0.5Kg
からなる油相成分を混合し、パステライザー中で65℃
に加熱攪拌しておく。それに、脱脂粉乳0.4Kg,太
陽化学(株)社製のサンレシチンA(リゾリン脂質を約
70重量%含む、脱脂精製大豆リン脂質)3g,三菱化
成食品(株)社製のHLB11のショ糖脂肪酸エステル
であるリョートーシュガーエステルS1170を12
g,坂本薬品(株)社製のポリグリセリン脂肪酸エステ
ルであるSYグリスターMS500(HLB11)を2
5g,同じくSYグリスターMO500(HLB11)
を30g及びヘキサメタリン酸ソーダ10gに水を加え
た水相成分5.1Kgを65℃に加熱したものを徐々に
加えて予備乳化した。予備乳化液を、深尾精機社製の5
hpのホモゲナイザーで50Kg/cm2の加圧によっ
て均質化した。その後、岩井機械工業(株)社製のAU
HT−3型テスト機によって、140℃、4秒間のUH
T処理を行い、引き続き、1段目は50Kg/cm2
圧力、2段目は0Kg/cm2の圧力で均質化し、クリ
ーンベンチ内で無菌的にサンプリングした。試料を1夜
5℃でエージングして、ホイップクリーム組成物を得
た。このホイップクリーム組成物の性質として、粘度を
測定し、また、ホイップ時間、オーバーラン、造花性、
保形性、離水、ホイップ後の戻り及び再ホイップ時間等
のホイップ性能を測定,評価した。また、このホイップ
クリーム組成物を30℃に2時間保存してヒートショッ
クを与えた後の粘度変化を測定した。これらの測定結果
と、重量%で示した組成表示を表2に示す。表2におい
て、(b)のHLB値は、小数点以下の数字を4捨5入
して示した。また、造花性及び保形性は、表3に示すよ
うな5段階評価によって、評価した。3点以上が実用に
供し得る。また、離水及びホイップ後の戻りは、表4に
示すような5段階評価によって、評価した。離水は+ま
で、ホイップ後の戻りは、++までが実用に供し得る。実施例2〜7 実施例1と同様にして、表2に示す組成でホイップクリ
ーム組成物を調製した。また、実施例1と同様にして、
ホイップクリーム組成物の性質を測定,評価した。結果
を表2に示す。
【0027】実施例1〜7のいずれについてもUHT処
理を行った後にも、良好なホイップ性能を得ることがで
きた。また、ヒートショックを与えた後も、多少の増粘
を示したものの、固化はしなかった。ヒートショックに
よる粘度増加の程度は、低温で流通・保管されるこの種
の製品の品質の安定性の指標になり、この程度の増粘で
あれば、通常数カ月の保存に耐えうる。比較例4 比較例として、実施例2のサンレシチンAの代わりに、
リン脂質換算で同量のペースト状の大豆リン脂質(味の
素社製)を用いて、実施例2と同様の方法でホイップク
リーム組成物を調製した。このホイップクリーム組成物
について、実施例2と同様の測定,評価を行った。ホイ
ップクリーム組成物の組成と測定結果を表2に示す。
【0028】比較例4を評価した結果、UHT処理を施
した後のホイップ性能のうち、特に、造花性、保形性及
び離水については、実施例1〜7に比べて劣っており、
実用に適さない。また、ヒートショックを与えた後に
は、実施例1〜7に比べて、著しい増粘が見られた。 (比較試験2) もう一つの本発明の実施例として、乳化剤としてリゾリ
ン脂質に加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ
糖脂肪酸エステル,脂肪酸モノグリセリド及びソルビタ
ン脂肪酸エステルを使用して、以下に示す実施例8〜1
4のホイップクリーム組成物を調製した。実施例8〜14 油脂として、上昇融点36℃の大豆硬化油3.0Kg,
ヤシ油1.0Kg及びコーン油0.5Kgを用い、実施
例1と同様の方法で、表5に示す組成のホイップクリー
ム組成物を調製した。こうして得られたホイップクリー
ム組成物に対して、実施例1と同様の測定を行った。表
5に、これらの重量%で示した組成表示と、測定,評価
結果を示す。表5において、(b)のHLB値は、小数
点以下の数字を4捨5入して示した。また、造花性及び
保形性は、実施例1と同様の5段階評価によって、評価
した。また、離水及びホイップ後の戻りについても、実
施例1と同様の5段階評価によって、評価した。
【0029】実施例8〜14のいずれについてもUHT
処理を行った後にも、良好なホイップ性能を得ることが
できた。また、ヒートショックを与えた後も、多少の増
粘を示したものの、固化はしなかった。実施例15〜19 油脂として、上昇融点34℃のナタネ硬化油3.7Kg
及びパーム核硬化油0.8Kgを用い、実施例1と同様
の方法で、表6に示す組成のホイップクリーム組成物
調製した。こうして得られたホイップクリーム組成物
対して、実施例1と同様の測定を行った。表6に、これ
らの重量%で示した組成表示と、測定,評価結果を示
す。表6において、(b)のHLB値は、小数点以下の
数字を4捨5入して示した。また、造花性及び保形性
は、実施例1と同様の5段階評価によって、評価した。
また、離水及びホイップ後の戻りについても、実施例1
と同様の5段階評価によって、評価した。
【0030】実施例15〜19のいずれについてもUH
T処理を行った後にも、良好なホイップ性能を得ること
ができた。また、ヒートショックを与えた後も、多少の
増粘を示したものの、固化はしなかった。また、実施例
1〜19のホイップクリーム組成物を、5〜10℃の低
温下で名古屋−東京間を往復する保冷のトラック輸送し
た後、2カ月間4〜10℃に冷蔵放置した場合にも、そ
れらは増粘などの性質の変化が少なく、良好なホイップ
性能が得られた。比較例5 不飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルの重量比が
本発明の範囲外となる比較例として、実施例1と同様の
方法で、表6に示す組成のホイップクリーム組成物調
した。このホイップクリーム組成物について、実施例
1と同様の測定、評価を行った。結果を表6に示す。
【0031】実施例5を評価した結果、ホイップ性能の
うち、特に造花性、保形性及び離水について、実施例1
5〜19に比べて劣っており、実用に適さない。上述の
ように、本実施例によれば、UHT処理の様な滅菌処理
後にも低粘度のホイップクリーム組成物が得られ、ま
た、長期にわたる流通・保存によっても増粘しにくく、
さらに、比較的短時間でホイップし、しかもホイップ性
能の良いホイップクリーム組成物を提供することができ
る。
【0032】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明はこうした実施例に何等限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な
る態様で実施しうることは勿論である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のホイップ
クリーム組成物によれば、超高温瞬間滅菌処理を行うア
セプティック製品に適し、流通・保存時に増粘等の性質
の変化が殆ど起きず、さらに、比較的短時間で起泡し、
ホイップ性能の良いホイップクリーム組成物を提供する
ことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂と無脂乳固形分等を含む水相からな
    り、さらに、以下のa及びbを乳化剤として含むことを
    特徴とするホイップクリーム組成物。 a.ホスフォリパーゼA2処理で作ったリゾリン脂質が
    油脂に対して0.05〜1.0重量%であること。 b.ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂
    肪酸エステルが油脂に対して0.8〜2.0重量%であ
    り、かつポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ
    糖脂肪酸エステルの合計量に占める不飽和脂肪酸エステ
    ルと飽和脂肪酸エステルの重量比が10/90〜70/
    30であること。
  2. 【請求項2】 上記bの乳化剤混合物のHLBが8〜1
    3であることを特徴とする請求項1記載のホイップクリ
    ーム組成物
  3. 【請求項3】 油脂と無脂乳固形分等を含む水相からな
    り、さらに、以下のa及びbを乳化剤として含むことを
    特徴とするホイップクリーム組成物。 a.ホスフォリパーゼA2処理で作ったリゾリン脂質が
    油脂に対して0.05〜1.0重量%であること。 b.以下のb1及びb2からなる混合物が油脂に対して
    0.8〜2.0重量%であり、 b1.ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖
    脂肪酸エステル b2.脂肪酸モノグリセリド及び/又はソルビタン脂肪
    酸エステル かつb1およびb2の乳化剤混合物の合計量に占める不
    飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルの重量比が1
    0/90〜65/35であること。
  4. 【請求項4】 上記b1およびb2の乳化剤混合物のH
    LBが7〜12であることを特徴とする請求項3記載の
    ホイップクリーム組成物
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