JPH07108051B2 - ケーブル束を収容するためのケーブルダクト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、異なる大きさのケーブ
ル束を収容するためのケーブルグクトであって、支持体
に固定可能な基体が設けられており、該基体が、１つの
底部プレートと、２つのダクト壁と、一方のダクト壁の
上縁部に旋回可能に一体成形された複数のカバーヨーク
とを備えており、該カバーヨークの自由端部が係止手段
を備えており、該係止手段が、前記ヨークの閉鎖時に、
向かい合った前記ダクト壁に設けられた対応係止手段に
結合されるようになっており、ダクト室を取り囲むケー
ブルバンドが設けられており、該ケーブルバンドが樋状
の前記基体に、向かい合ったダクト壁の領域内で結合可
能である形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】このようなケーブルダクトは、たとえば
自動車構造体においてケーブル束を収容するために使用
される。このケーブルダクトは通常、２つのダクト壁
と、一方のダクト壁の上縁部で旋回可能に一体成形され
た複数のカバーヨークとを備えた底部プレートを有して
いる。これらのカバーヨークの自由端部は係止手段を備
えており、これらの係止手段は、ヨークが閉じられる
と、向かい合ったダクト壁に設けられた対応係止手段に
結合されるようになっている。

【０００３】このようなケーブルダクトは車両のボデー
薄板または底部薄板に設けられた凹部に嵌め込まれ、そ
の場所で公知の形式で固定される。このダクト内部には
ケーブル導線が敷設される。この場合、保持しようとす
るケーブル束の大きさは、ケーブルダクトから離れてす
でに電力消費個所に案内されている導線の数に応じて、
全長にわたって異なっている。このようなケーブルダク
トは扁平な横断面、または細長い横断面を有しており、
この横断面は、収容しようとするケーブル導線の最大数
に合わせて、ある程度のスペースの余裕を持って設計さ
れている。したがって、挿入されたケーブル導線はダク
ト内で、程度の差こそあれルーズに位置するようにな
り、走行中、振動の発生に基づきばたつきノイズを招い
てしまう。

【０００４】ドイツ連邦共和国特許出願公開第３９３５
６２８号明細書に基づきすでに公知のケーブルダクトに
おいては、このようなばたつきノイズを回避するため
に、ダクト室を取り囲むケーブルバンドが設けられてお
り、これらのケーブルバンドは、向かい合ったダクト壁
のところで樋状の基体に結合可能である。これにより、
挿入されたケーブル導線を後から束ねることができる。
しかしながら、このためには複数のケーブルバンドを自
由な前記ケーブルグクトの空隙に導入し、さらに、止め
部材にバンド端部を通さなければならず、このことは著
しい時間の浪費を招く。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、振動
の発生により生じるばたつきノイズの問題をより簡単
に、しかも組み付けが容易に行なわれるように解決する
ことである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、ケーブルバンドがそれぞれカバー
ヨークの近傍に、それも、該カバーヨークの閉鎖時にケ
ーブルバンドの自由端部が、カバーヨークとダクト壁相
互間に形成されたケーブルバンド留め具と協働するよう
に配置されており、該ケーブルバンド留め具が、閉鎖縁
部と対応係止歯とから成っているようにした。

【０００７】

【発明の効果】本発明によれば、ダクト室を取り囲むケ
ーブルバンドがカバーヨークの近傍に配置されており、
カバーヨークが閉じられると、これらのケーブルバンド
の自由端部が、カバーヨークとダクト壁相互間に形成さ
れたケーブルバンド留め具、つまり、閉鎖縁部および対
応係止歯と協働するようになっていることに基づき、ケ
ーブル導線を挿入し、ヨークを閉じた後、ケーブルバン
ドの突出した端部を引っ張るだけで、ダクト体内の導線
は引き締められて弛みのない束になり、振動によるばた
つきノイズを防止することができる。

【０００８】本発明の別の構成によれば、ケーブルバン
ドが鋸歯状の係止ギザ歯を備えており、この係止ギザ歯
が、ヨークが閉じられると、ダクト壁の上縁部に配置さ
れた対応係止歯と協働して、ギザ歯を備えたケーブルバ
ンドが閉鎖方向に引通し可能であることに基づき、ケー
ブルバンドは簡単にケーブルバンド留め具と協働するこ
とができる。この場合、ケーブルバンドの係止ギザ歯は
ケーブル束に接近する方向に向けられて、ケーブル束に
対して平行に設けられていてもよいし、ケーブル束から
離れる方向に向けられて、ケーブル束に対して平行に設
けられていてもよい。いずれにせよ重要なのは、所属の
係止装置が、対応して配置され位置調整された対応係止
フィンガまたは対応係止歯を備えていることだけであ
る。

【０００９】本発明のさらに別の構成によれば、各ヨー
クが、ダクト壁に被さりかつ底部プレートに向かって折
り曲げられた２つの係止舌片を備えており、ケーブルバ
ンドが各係止舌片の間を通って案内されるようになって
おり、さらに各対応係止手段の間に、各１つの対応係止
歯がダクト壁に一体成形されており、この係止歯が、ヨ
ークが閉じられた状態で、対向する係止ギザ歯と協働す
るようになっていることに基づき、ケーブル導線を極め
て簡単で効果的に束ねることができる。

【００１０】

【実施例】以下に、本発明の３つの実施例を図面につき
詳しく説明する。

【００１１】図示のケーブルダクトは通常プラスチック
製の樋状の基体１とカバーヨーク６とから成っている。
このうち基体は、１つの底部プレート２と、２つのダク
ト壁３，４とを備えており、カバーヨークは、ダクト壁
３の上縁部５に旋回可能に一体成形されている。これら
のカバーヨークの自由端部は係止手段７を備えており、
これらの係止手段は向かい合ったダクト壁４に設けられ
た、対応係止手段または対応係止突起８に結合可能であ
る。

【００１２】この実施例では、係止手段７は２つの舌片
１０に設けられた方形の切欠き９によって形成されてい
る。これらの舌片はカバーヨーク６の自由端部にほぼ直
角に一体成形されていて、カバーヨーク６が閉じられた
後には、向かい合ったダクト壁４に被さるようになって
いる。この場合、対応係止突起８が切欠き９に突入して
係合するまで、舌片１０は、ダクト壁４の外側にー体成
形された対応係止突起８に沿ってスライドする。

【００１３】ケーブルダクト内に、敷設しようとする複
数のケーブル導線１１を互いに固定し、かつダクトに対
しても固定するために、カバーヨーク６の近傍でダクト
室を取り囲む各ケーブルバンド１２が設けられている。
これらケーブルバンドはダクト壁４のところで樋状の基
体１に結合されていて、鋸歯状の多数の係止ギザ歯１３
を備えている。ケーブルバンド１２と底部プレート２と
を結合するためには、この第１実施例の場合、ケーブル
バンドの端部が折り曲げられて、フック１６を備えてお
り、このフックが、底部プレート２に設けられた切欠き
１８の縁部１７に巻き掛けられて、その場所で切欠き１
９に突入して係合する（図２）。

【００１４】ダクト壁４の上縁部１４は、各対応係止突
起８の間の部分で内側に向かって斜め面取りされてお
り、これにより、その場所で対応係止歯１５が形成され
る。これらの対応係止歯には、ヨーク６が閉じると、ケ
ーブルバンド１２が圧着される。この場合、ケーブルバ
ンド１２は、２つの舌片１０によって形成された間隙に
進入し、間隙の閉鎖縁部２０にその背面で支持される。

【００１５】次に、図３〜５につき、ケーブル導線１１
の敷設の際の、本発明における手順を説明する。

【００１６】まずケーブルダクトが、自動車の底部薄板
２１に組付けられる。これを目的として、底部プレート
２は下側に慣用の固定基部２２を備えており、この固定
基部が底部薄板２１の孔２３に差し込まれ、拡開脚２４
によって固定される（図３）。

【００１７】ケーブル導線１１の挿入後、カバーヨーク
６が閉じられ、対応係止突起８は舌片１０の切欠き９に
突入して係合する。この場合、ケーブルバンド１２の端
部は各舌片１０の間の間隙に自動的に進入して、閉鎖縁
部２０によって対応係止歯１５に正確に押圧される（図
４）。

【００１８】すべてのカバーヨーク６が閉じられると、
最後にケーブルバンド１２が間隙を通って矢印Ｐの方向
に引張られる。この場合、対応係止歯１５とカバーヨー
ク６の閉鎖縁部２０とがケーブルバンド１２に弾性的に
少しだけ従動する。次いでケーブルバンド１２は、ケー
ブル導線１１が互いに密に束ねられるまで引っ張られる
（図５）。このようにして、ケーブル導線１１がケーブ
ルダクト内でルーズにばたついて望ましくないノイズを
生ぜしめてしまうのが阻止される。

【００１９】図６は図１と同様のケーブルダクトを示し
たものであるが、図６に示されているケーブルダクトは
別の構成によるケーブルバンド留め具を有している。こ
の場合、このケーブルバンド１２は、バンド方向に対し
て横方向に延びる閉鎖体２５に一体に結合されている。
この閉鎖体は、各対応係止突起８の間の、ダクト壁４に
設けられた切欠き２６に固定可能である。このために閉
鎖体２５は、切欠き２６の側縁に対応する各側に溝２７
をそれぞれ備えている。この溝はダクト壁４の壁厚さに
適合させられている。上方に向けられた第４の側には、
ケーブルバンドの係止ギザ歯１３と協働する対応係止歯
１５が一体成形されており、この対応係止歯は、左側に
図示された閉鎖体２５のように、閉鎖体が組み込まれた
状態では、ほぼダクトの上縁部１４の高さに配置されて
いる。

【００２０】この第２実施例の利点は、第１実施例に比
べて、ケーブルバンド１２とケーブルバンド留め具とを
固定するための手段が、閉鎖体２５で唯１か所にまとめ
られているので、ダクト壁４には切欠き２６のみが加工
成形されていればよいことである。

【００２１】本発明によるケーブルダクトの第３実施例
が図９に示されている。ここでは、ほぼ同様に形成され
たケーブルバンド１２の始端部２８が底部プレート２に
一体に結合されている。さらに、これらのケーブルバン
ドがケーブルダクトの底部プレート２とダクト壁３とカ
バーヨーク６とから、スリット２９によって両側で分離
され、かつ小幅の裂断可能なウェブ３０によってのみ基
体１とカバーヨーク６とに結合されるように、ケーブル
バンドが加工成形されている。カバーヨーク６は前述の
ケーブルダクトに用いたものと同様に形成されており、
ケーブル導線１１の挿入後やはり同様に閉じられる。

【００２２】ケーブル導線１１を束ねるためには、ケー
ブルバンド１２の端部を強力に引っ張ればよい。これに
より、ケーブルバンドとケーブルダクトとの結合のため
のウェブ３０は裂断されて、ケーブル導線１１が互いに
密接するまで、ケーブルバンド１２はカバーヨーク６と
対応係止歯１５との間に滑り通される。

【００２３】この第３実施例により、ケーブルバンドの
別個の射出成形と、引き続き行なわれるケーブルバンド
の挿入とが不要になり、ひいては同一の機能と同一の操
作し易さにおいて、ケーブルダクトの前記２つの実施例
に比べて製造コストが安価となる。

【００２４】もちろん、ケーブルダクトにおけるケーブ
ルバンドのこのような一体の組み込みは、場合によって
はケーブルクリップにも採用できる。ケーブルクリップ
におけるケーブルバンドのこのような組み込みは、ケー
ブルクリップにおいて、ケーブル束の振動のない装入へ
の要求が高まり、通常このために用いられる、ケーブル
クリップの内壁にー体成形されたばね腕を用いては、こ
の要求が充分に満たされない場合に採用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるケーブルダクトの第１実施例を示
した図である。

【図２】図１の底部プレートでのケーブルバンドの固定
形式を部分的に示した拡大図である。

【図３】組付けられたケーブルダクト内に、ケーブル導
線を充填している状態を示した断面図である。

【図４】図３のケーブルダクトを、カバーヨーク閉鎖後
にケーブルがルーズに位置した状態で示した断面図であ
る。

【図５】図４のケーブルダクトを、ケーブルバンドが引
き締められた後の状態で示した断面図である。

【図６】本発明によるケーブルダクトの第２実施例を示
した図である。

【図７】図６のケーブルバンド留め具を、ケーブルダク
トにケーブル導線が充填され、かつ閉じられた状態で示
した平面図である。

【図８】ケーブルバンドを緊張させた状態で、図７のＶ
ＩＩＩ−ＶＩＩＩ線に沿って示した断面図である。

【図９】本発明によるケーブルダクトの第３実施例を示
した図である。

【符号の説明】

１ 基体、 ２ 底部プレート、 ３，４ ダクト壁、
５ 上縁部、 ６カバーヨーク、 ７ 係止手段、
８ 対応係止突起、 ９ 切欠き、 １０舌片、 １１
ケーブル導線、 １２ ケーブルバンド、 １３ 係
止ギザ歯、１４ 上縁部、 １５ 対応係止歯、 １６
フック、 １７ 縁部、 １８切欠き、 １９ 切欠
き、 ２０ 閉鎖縁部、 ２１ 底部薄板、 ２２ 固
定基部、 孔、 ２４ 拡開脚、 ２５ 閉鎖体、 ２
６ 切欠き、 ２７ 溝、 ２８ 始端部、 ２９ ス
リット、 ３０ ウェブ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 異なる大きさのケーブル束を収容するた
   めのケーブルダクトであって、支持体に固定可能な基体
   （１）が設けられており、該基体が、１つの底部プレー
   ト（２）と、２つのダクト壁（３，４）と、一方のダク
   ト壁（３）の上縁部（５）に旋回可能に一体成形された
   複数のカバーヨーク（６）とを備えており、該カバーヨ
   ークの自由端部が係止手段（７）を備えており、該係止
   手段が、前記ヨークの閉鎖時に、向かい合った前記ダク
   ト壁（４）に設けられた対応係止手段（８）に結合され
   るようになっており、ダクト室を取り囲むケーブルバン
   ド（１２）が設けられており、該ケーブルバンドが樋状
   の前記基体（１）に、向かい合ったダクト壁（４）の領
   域内で結合可能である形式のものにおいて、前記ケーブ
   ルバンド（１２）がそれぞれ前記カバーヨーク（６）の
   近傍に、それも、該カバーヨーク（６）の閉鎖時に前記
   ケーブルバンドの自由端部が、カバーヨーク（６）とダ
   クト壁（４）相互間に形成されたケーブルバンド留め具
   と協働するように配置されており、該ケーブルバンド留
   め具が、閉鎖縁部（２０）と対応係止歯（１５）とから
   成っていることを特徴とする、ケーブル束を収容するた
   めのケーブルダクト。
2. 【請求項２】 前記ケーブルバンド（１２）が鋸歯状の
   係止ギザ歯（１３）を備えており、該係止ギザ歯が、前
   記カバーヨーク（６）の閉鎖時に、前記ダクト壁（４）
   の上縁部（１４）に配置された対応係止歯（１５）と協
   働して、前記ケーブルバンド（１２）が閉鎖方向（矢印
   Ｐ）に引き通されるようになっている、請求項１記載の
   ケーブルダクト。
3. 【請求項３】 各カバーヨーク（６）が、前記底部プレ
   ート（２）に向かって曲げられていて前記ダクト壁
   （４）に被さる２つの係止舌片（１０）を備えており、
   該各係止舌片（１０）の間を通って前記ケーブルバンド
   （１２）が案内されるようになっており、さらに前記各
   対応係止手段（８）の間で各１つの対応係止歯（１５）
   が前記ダクト壁（４）に一体成形されており、前記対応
   係止歯が、前記カバーヨーク（６）が閉じられた状態
   で、前記ケーブルバンド（１２）の対向する前記係止ギ
   ザ歯（１３）と協働するようになっている、請求項２記
   載のケーブルダクト。
4. 【請求項４】 前記ケーブルバンド（１２）の始端部
   （２８）が前記底部プレート（２）に一体に結合されて
   おり、前記ケーブルバンド（１２）が前記ケーブルダク
   トの底部プレート（２）とダクト壁（３）とカバーヨー
   ク（６）とから、両側でスリット（２９）によって分離
   され、かつ小幅で裂断可能なウェブ（３０）によっての
   み前記基体（１）と前記カバーヨーク（６）とに結合さ
   れるように、前記ケーブルバンド（１２）が前記底部プ
   レート（２）とダクト壁（３）とカバーヨーク（６）と
   に一体成形されている、請求項１記載のケーブルダク
   ト。