JPH07107656A - 電力系統の保護装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変圧器の事故や点検のために変圧器を系統か
ら切り離す必要が生じ、母線連絡用遮断器により変圧器
のバンク切替えを行う場合にも、フィーダの停電時間を
ごく短くすることができる電力系統の保護装置を提供す
る。 【構成】 複数の変圧器1a、1bの二次側母線３を連系す
る母線連絡用遮断器４と並列に、半導体スイッチ６を設
ける。そして変圧器切離し用遮断器2aが動作したことを
検出手段８が検出すると、制御部７が母線連絡用遮断器
４の投入前に半導体スイッチ７を投入する。このためフ
ィーダ5a〜5dに他方の変圧器1bから瞬時に電力が供給さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数の変圧器の二次側
母線を母線連絡用遮断器により連系した電力系統のため
の保護装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４に示すように、複数の変圧器20を備
えた配電変電所においては、各変圧器20はそれぞれ複数
のフィーダ21に対して電力を供給している。そして複数
の変圧器20の二次側母線22は、常時は開放の母線連絡用
遮断器23により連系されているが、変圧器20の事故や点
検のために系統から切り離す必要等が生じた場合には、
この母線連絡用遮断器23を投入して片側の変圧器20によ
って全部のフィーダ21に対して電力を供給するようにな
っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
場合には変圧器切離し用遮断器24を開放したうえで母線
連絡用遮断器23を投入する必要があるが、従来はこのよ
うな遮断器の操作を手動によって行っていたので、この
切替え作業に数分を必要とする場合があった。従って、
その間は事故が発生した側の変圧器20から給電されてい
たフィーダ21は全て停電状態となってしまうという問題
があった。本発明はこのような従来の問題点を解決し、
変圧器の事故発生等により変圧器の切替えを行う場合に
も、停電時間を瞬時とすることができる電力系統の保護
装置を提供するためになされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の電力系統の保護装置は、複数の変
圧器の二次側母線を常時は開放の母線連絡用遮断器によ
り連系した電力系統の保護装置であって、この母線連絡
用遮断器と並列に設けられた半導体スイッチと、変圧器
切離し用遮断器が動作したことを検出する検出手段と、
この検出手段からの信号を受けて母線連絡用遮断器の投
入前に半導体スイッチを投入させる制御部とからなるこ
とを特徴とするものである。

【０００５】

【作用】本発明の電力系統の保護装置は、変圧器事故等
が発生すると、変圧器切離し用遮断器が動作したことを
検出手段が検出し、制御部に信号を送る。制御部は母線
連絡用遮断器と並列に設けられた半導体スイッチを高速
投入するので、停止した変圧器から給電されていたフィ
ーダには瞬時に他方の変圧器からの給電が行われる。そ
して半導体スイッチが高速投入された後に母線連絡用遮
断器が投入される。このように、本発明では母線連絡用
遮断器と並列に設けられた半導体スイッチを自動的に直
ちに投入することができるので、フィーダの停電時間を
１ms以下とすることができ、ほとんど無停電とすること
ができる。

【０００６】

【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。図１において、1a、1bは２台の変圧器であり、そ
れぞれ変圧器切離し用遮断器2a、2bを介して二次側母線
３に接続されている。４はこの二次側母線３に設けられ
た母線連絡用遮断器であり、常時は開放されているため
に、変圧器1aは二次側母線３に接続されたフィーダ5a〜
5dに対して電力を供給し、変圧器1bは二次側母線３に接
続されたフィーダ5e〜5hに対して電力を供給するように
なっている。

【０００７】本発明においては、この母線連絡用遮断器
４と並列に半導体スイッチ６が接続されている。この半
導体スイッチ６は例えばサイリスタ素子を多数直並列接
続したものであり、一般的には大電流を流すために冷却
装置を備えた大型のものが必要となるが、本発明ではこ
の半導体スイッチ６への通電時間は非常に短くてすむた
めに小型化することができる。

【０００８】７は半導体スイッチ６の制御部である。こ
の制御部７は変圧器切離し用遮断器2a、2bが動作したこ
とを検出する検出手段８からの信号を受けて、半導体ス
イッチ６を動作させるものであるが、その動作は後述す
る。なお図１の実施例では検出手段８として二次側母線
３にＰＴ、ＰＤ等の電圧検出手段8a、8bを取付け、変圧
器切離し用遮断器2a、2bが動作することによって生ずる
二次側母線３の電圧低下を検出している。しかし検出手
段８は必ずしも電圧検出手段である必要はなく、例えば
変圧器切離し用遮断器2a、2bの補助接点から直接信号を
取る形式としてもよい。

【０００９】このように構成された本発明の装置の基本
的な動作は次の通りである。まず、仮に変圧器1aを系統
から切り離すために変圧器切離し用遮断器2aが動作した
とすると、検出手段８が二次側母線３の電圧低下等によ
ってこれを検出し、制御部７に信号を送る。制御部７は
直ちに半導体スイッチ６を投入するため、二次側母線３
の左側部分にも変圧器1bから電力が供給され、それまで
変圧器1aから給電されていたフィーダ5a〜5dにも瞬時に
電力が供給される。このため、フィーダ5a〜5dの停電時
間は１ms程度となり、ほとんど無停電とすることができ
る。その後、制御部７は母線連絡用遮断器４を投入する
ため、半導体スイッチ６が大電流を負担すべき時間はご
く短く、小型のサイリスタ素子を半導体スイッチ６に使
用することができる。なお図２はこの基本的な動作のタ
イムチャートであり、上記の動作は全て自動的に進行さ
れるものである。

【００１０】本発明の装置の基本的な動作は上記した通
りであるが、実際には上記のようなバンク切替えに際し
ては各フィーダ５の負荷状況を考慮し、バンク切替え後
の変圧器1bの負荷が過負荷とならないようにする注意す
る必要がある。また、二次側母線３の電圧低下の原因が
母線事故である可能性もあるため、その場合には母線連
絡用遮断器４を投入することは好ましくない。これらの
点を考慮すると、制御部７には図３に示すような機能を
組み込んでおくことが好ましい。

【００１１】すなわち、二次側母線３の電圧検出手段8
a、8bからの信号があるレベルを越えたときに直ちに半
導体スイッチ投入命令を出すのではなく、各フィーダ５
に取り付けたＣＴ等のフィーダ電流検出手段９からの信
号を演算して切替え前の各フィーダ５の電力負荷量を求
め、その出力を一定時間出力ホールド回路10によりホー
ルドしておく。そして電圧検出手段8a、8bからの信号が
あるレベルを越え、かつ出力ホールド回路10からの信号
があるときにのみアンド回路11を動作させ、半導体スイ
ッチ投入命令を出す。

【００１２】また二次側母線３に電流検出手段12を取り
付けておき、半導体スイッチ７が投入された後の二次側
母線３の電流を検出する。そして二次側母線３の電流が
レベルを越えていない場合にのみ、アンド回路13が母線
連絡用遮断器４の投入命令を出す。仮に母線事故の場合
には、半導体スイッチ７が投入されると二次側母線３に
大きな事故電流が流れるので、その場合には母線連絡用
遮断器４の投入を行わないようにし、直ちに半導体スイ
ッチ７を開放する。

【００１３】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明の電力系
統の保護装置によれば変圧器の事故や点検のために変圧
器を系統から切り離す必要が生じ、母線連絡用遮断器に
より変圧器のバンク切替えを行う場合にも、フィーダの
停電時間を瞬時とすることができ、電力品質の向上を図
ることができる利点がある。また半導体スイッチの負担
を少なくできるので、小型のサイリスタ素子を使用で
き、設備コストの抑制を図ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す単相結線図である。

【図２】本発明の基本的な動作を示すタイムチャートで
ある。

【図３】制御部の機能を説明するブロック図である。

【図４】従来例を示す単相結線図である。

【符号の説明】

1a、1b 変圧器、2a、2b 変圧器切離し用遮断器、３
二次側母線、４ 母線連絡用遮断器、５ フィーダ、６
半導体スイッチ、７ 制御部、８ 変圧器切離し用遮
断器が動作したことを検出する検出手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の変圧器の二次側母線を常時は開放
   の母線連絡用遮断器により連系した電力系統の保護装置
   であって、この母線連絡用遮断器と並列に設けられた半
   導体スイッチと、変圧器切離し用遮断器が動作したこと
   を検出する検出手段と、この検出手段からの信号を受け
   て母線連絡用遮断器の投入前に半導体スイッチを投入さ
   せる制御部とからなることを特徴とする電力系統の保護
   装置。