JPH07106668B2 - インクリボン用基布 - Google Patents

インクリボン用基布

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JPH07106668B2
JPH07106668B2 JP1170477A JP17047789A JPH07106668B2 JP H07106668 B2 JPH07106668 B2 JP H07106668B2 JP 1170477 A JP1170477 A JP 1170477A JP 17047789 A JP17047789 A JP 17047789A JP H07106668 B2 JPH07106668 B2 JP H07106668B2
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益年 植田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、インパクトタイプのシリアルドットプリンタ
ーやラインプリンター等の各種プリンターに使用するイ
ンクリボン用の基布に関する。
[従来の技術] 従来からインクリボン用基布としては、通常の平織物、
すなわち織糸1本を1単位として浮き沈みさせた平織組
織のものが使用されている。
かかるインクリボンにおいて、近年、インパクトタイプ
のプリンターに使用されるインクリボンは、従来のスプ
ールタイプが減少し、カセット内に長いテープ状のイン
クリボンを折り曲げて収納したカセットタイプのものが
増加してきている。
[発明が解決しようとする課題] かかるカセットタイプのインクリボンをプリンターで印
字すると、その折れ曲り部分が濃く印字されるグラフィ
ック斑といわえる印字斑が発生するという欠点があっ
た。
かかるグラフィック斑は、インクリボンのインク吸収性
を向上させると、改善される傾向を有するものである
が、前述の通常の平織組織からなる織物を基布とするイ
ンクリボンでは、インクリボンの厚さをかなり厚くしな
ければインク吸収性を改善することはできず、結局かか
る問題を解決するためには厚さの厚い基布を用いざるを
得ないのが現状である。
しかし、近年、プリンターの印字速度はますます速くな
る一方であり、かかる高速印字のためには印字時間を短
縮することが不可欠であり、そのためにはプリンタのヘ
ッドとプラテンの間隙は必然的に狭くしなければならな
い。
かかる狭い間隙を通過させるインクリボンは、薄くなけ
ればならないし、薄い生地であれば印字時間も短縮でき
る性質があるが、前述の通常の平織組織の基布ではイン
ク吸収性を改善するために基布の厚みを厚くしなければ
ならない。しかし、厚みの厚い基布では、高速プリンタ
ーに使用することができず、実用的なものではなくなっ
てしまう。結局、前述の通常の平織組織の基布ではかか
る問題を解決できないのである。
本発明者らは、かかる業界の技術背景に鑑み、薄くて、
かつグラフィック斑の発生しにくいインクリボンを提供
するための基布について鋭意検討し、その結果、織物の
組織織がグラフィック斑の改善に関係があることを究明
したものである。
すなわち、本発明は、繊維素材や繊維形状などに関わり
なく、薄い基布であっても、インク吸収性およびグラフ
ィック斑、さらには耐ピン抜け性の改善された3拍子揃
った優れたインクリボン用基布を提供せんとするもので
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段
を採用する。
すなわち、本発明のインクリボン用基布は、合成繊維フ
ィラメント糸からなる織糸を2本ないし3本引揃えて、
これを1単位として浮き沈みさせた誘導平織組織によっ
て形成されている織物よりなることを特徴とするもので
ある。
[作用] 本発明によれば、誘導平織組織という特定な織組織をイ
ンクリボンの基布として採用することにより、薄いにも
拘らず、グラフィック斑が発生しにくいという優れた機
能を有するインクリボンを提供し得るものである。
本発明でいう誘導平織組織とは、第1〜6図に組織図を
示したように、合成繊維フィラメント糸からなる織糸を
2本ないし3本引揃えて、これを1単位として浮き沈み
させた織組織であり、一般に変化平織組織とも呼ばれる
ものであって、具体的には畝織、斜子織、変化畝織、変
化斜子織、向斜子織などと呼ばれる織組織のものを言
う。
かかる複数本の織糸を用いる方向は、第1〜4図のよう
に、織物の少なくとも一方向に形成されていればよい
が、第5〜6図のように、経糸ならびに緯糸方向に形成
されている方が最も好ましい。
かかる誘導平織組織において、織糸の引揃え本数は、基
布厚みならびにグラフィック斑の発生率を同時に押える
ため、2〜3本であることが必須である。
本発明の上述の特定な組織からなる織物は、通常の従来
の平織組織からなる織物に比して薄地となり、しかもグ
ラフィック斑が発生しにくく、また、1単位として2本
ないし3本の織糸が引揃えられている織糸部分には、表
面がよりプレーンであるとともに面積もより広いもので
あるために、インクが非常にのり易く(吸収され易
く)、通常の平織のものと比べてインク吸収性において
優れた性質を示す基布を提供し得るものである。特に誘
導平織組織を構成する織糸本数が2〜3本である場合
に、インクリボンとしての性能が極めてバランスのとれ
たものとなる。1単位として引揃えられる織糸本数が多
くなるほど、グラフィック斑の発生しにくさならびにイ
ンク吸収性はますます改善されて好ましいが、逆に織組
織による拘束力はルーズになってくるので、たとえばプ
リンターヘッドのワイヤーが基布を付き抜けるときに力
を必要としなくなるほど容易に突き抜け(耐ピン抜け
性)てしまうことや、該ワイヤーに基布の織糸が絡みつ
いたり、ひっかかってしまったりして、ついには該ワイ
ヤーが折れるなどの問題が起こり易くなる傾向がでてく
るので注意を要し、特に、引揃え本数が4本以上くらい
からは十分にかかる注意をすることが望ましい。すなわ
ち、4本以上になるとインク吸収性やグラフィック斑の
点では問題なくても、耐ピン抜け性に劣り、そのために
ピンの損傷が速く、走行性が悪化し、ひいては印字性が
劣化してくるという問題を惹起する。
かかる誘導平織組織は、経糸ならびに緯糸方向に形成さ
れているのがよいが、経糸方向よりも緯糸方向に形成さ
れている場合の方が、効果的には優れた結果を示す傾向
がある。
本発明における合成繊維フィラメント糸としては、繊維
形成性合成樹脂からなる繊維を使用することができる
が、ナイロン66、ナイロン6などのポリアミドやポリエ
ステルなどからなる繊維が好ましく使用される。これら
の中でも、ナイロン66がインクリボンの耐久性がよいの
で好ましい。
かかる合成繊維フィラメント糸は、単糸繊度や織糸繊度
は限定されるものではないが、たとえば単糸繊度として
は、好ましくは0.5〜4デニール、さらに好ましくは0.8
〜3デニール程度のものが、また、織糸繊度としては、
好ましくは10〜130デニール、さらに好ましくは15〜90
デニール程度のマルチフィラメント糸条が、基布の厚
さ、グラフィック斑の発生率ならびにインク吸収性など
のバランスのよいものを提供することができるのでよ
い。また、該フィラメント糸には、500T/m以上程度の甘
めの撚りが入っているのがよい。
かかるマルチフィラメント糸条は、使用する糸のデニー
ルによって異なるが、一般に、経糸密度としては、好ま
しくは150〜280本/インチ程度、緯糸密度としては、好
ましくは80〜160本/インチ程度の織密度の誘導平織組
織で織物が形成され、インクリボン用基布とする。
本発明のインクリボン用基布は、誘導平織組織としたこ
とにより、従来の通常の平織組織で形成されるものより
も厚みを薄く形成でき、概して130μ以下、さらには128
μ程度未満という薄い生地を提供することができ、これ
は、近年の高速印字型プリンターに非常に好適で有利な
ものである。
たとえば、従来の通常の平織組織において、単に太い糸
使いで織密度にて基布を形成して空隙を設けても、基布
厚みが厚くなるばかりで、グラフィック斑も改善され
ず、またインク吸収性も改善されない。すなわち、本発
明は、基布を構成する織組織によって、前述のインクリ
ボン特性も基布厚みも大きく左右されることを究明して
完成されたものである。
本発明のインクリボン用基布は、このように基布厚みが
薄いにも拘らず、一方では前述の如く、グラフィック斑
が発生しにくく、かつインク吸収性に優れた特徴を有す
るので、例えば、前述の通常の平織組織からなるインク
リボン用基布では考えられなったカセットタイプのイン
クリボンにおいて、グラフィック斑なしで、しかも高速
印字プリンターに使用できるインクリボン用基布を提供
し得たものである。
本発明にかかるインクリボン用基布は、さらに通常の油
性インク等のインク材料が適宜量付着せしめられてイン
クリボンに形成される。
本発明にかかるインクリボン用基布は、樹脂加工やプラ
ズマ処理などの適宜の後加工をされていても、もちろん
よい。
かくして得られる本発明の基布を用いたインクリボン
は、基布厚みが薄いにも拘らず、グラフィック斑の発生
率が著しく低く、しかもインク吸収性や耐ピン抜け性に
優れた特徴を有し得るものである。
[実施例] 以下に本発明を実施例によって詳しく説明する。
本発明で使用する評価方法は次の通りである。
[グラフィック斑] リボンを9ピンドットプリンター(東京電気製M−155
0)用カセットに、前記で作成されたインクリボン(長
さ10m)を収納し、このカセットを上記プリンターにセ
ットしてベタ打ち印字し、肉眼でグラフィック斑の発生
状態を評価した。
(評価基準) ◎:斑が全く発生しない ○:斑がほとんど発生しない △:斑が所々に少し発生する ×:斑が等間隔に多数発生する(比較例1のレベル) [インク吸収性] 試験用基布を10cm×10cmに溶断して試験片を形成した
後、この試験片の重量(A)を測定する。この試験片を
油性インク中に浸漬し、真空乾燥機で脱泡して該インク
をよく試験片中に浸透させる。
次いでインクを含有せしめた試験片の表面のインクを取
除き、さらに試験片を濾紙に挟んでマングルに通して余
剰インクを取除く。更に濾紙を交換して2回マングルに
通して余剰インクをさらに取除いた後、このインク含有
リボンの重量(B)を測定する。
インク吸収性(IK:g/m2)は次式により算出する。
IK=(B−A)×100 [耐ピン抜け性] 試験用基布を13mm幅に溶断してインクリボン用基布を作
成した後、20g/(13mm幅)の張力をかけて、その上から
24ピンドットプリンター用ヘッドのワイヤー(直径:0.2
mmφ)1本で押え、ワイヤーが該基布を突き抜けるとき
の力を測定した。この値は大きいほどよく、評価は、n
=30の最小値を採用した。
実施例1〜4、比較例1〜3 40デニール/34フィラメント及び80デニール/68フィラメ
ントのナイロン66マルチフィラメント糸を用い、各々、
撚数を280T/m、198T/mとして、表−1に示した糸使いか
らなる織物を製織した。
これらの織物を、通常の方法により、製織、精練、仕上
げセットし、表−1に示したような織物を作成した。
これらの織物を13mm幅に溶断し、インクリボン用基布を
作成した。
これらの基布に、基布重量に対し油性インクを22重量%
塗付して、ドットプリンター用インクリボンを作成し
た。
これらのインクリボンについて、グラフィック斑、イン
ク吸収性、耐ピン抜け性を測定した。
その結果を表−1に示す。
表−1から明らかなように、実施例1〜5のものは、比
較例1のものに比して、基布厚みが薄く、グラフィック
斑が著しく改善されており、しかもインク吸収性もよい
ことがわかる。
比較例2のものは、織糸繊度を大きくとり、その分、織
密度を小さくした平織物であるが、比較例1のものに比
して、厚みが大幅に増大してしまっており、実用的なも
のではなかった。
[発明の効果] 本発明のインクリボン用基布は、薄いにも拘らずグラフ
ィック斑が発生しにくく、しかもインク吸収性が低下し
ないという特徴を有するインクリボンを提供することが
でき、かつ近年の高速印字型のプリンターに好適なイン
クリボンを提供することができる。
特に、本発明の基布を用いたインクリボンは、薄くてか
つ印字斑が少ないという特徴を有し得ることからカセッ
トタイプのインクリボンとして好適なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は、本発明のインクリボン用基布の誘導
平織組織の各種の例を示した織組織図である。 第7図は従来の通常インクリボン用基布である通常の平
織織物の組織織図を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維フィラメント糸からなる織糸を2
    本ないし3本引揃えて、これを1単位として浮き沈みさ
    せた誘導平織組織によって形成されている織物よりなる
    ことを特徴とするインクリボン用基布。
  2. 【請求項2】織糸が、ナイロンフィラメント糸である請
    求項(1)のインクリボン用基布。
  3. 【請求項3】該基布が、厚さ130μ以下である請求項
    (1)記載のインクリボン用基布。
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