JPH07102144B2 - 分岐オリゴ糖シラツプの連続的製造方法 - Google Patents

分岐オリゴ糖シラツプの連続的製造方法

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JPH07102144B2
JPH07102144B2 JP61256241A JP25624186A JPH07102144B2 JP H07102144 B2 JPH07102144 B2 JP H07102144B2 JP 61256241 A JP61256241 A JP 61256241A JP 25624186 A JP25624186 A JP 25624186A JP H07102144 B2 JPH07102144 B2 JP H07102144B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は分岐オリゴ糖シラップの連続的製造方法に関
し、澱粉加水分解物を固定化α−グルコシダーゼを充填
したリアクターに連続的に通液して、分岐オリゴ糖を多
量に含むシラップを得る方法である。
分岐オリゴ糖シラップはそのまま、あるいは適宜の手段
で粉末状、顆粒状等に加工されて甘味料等の用途に使用
されるが、ビフィズス菌によって選択的に資化され、ま
た抗う蝕効果も発揮するので、食品、医療品、化粧品、
飼料等の広範な分野で利用される。
〔従来の技術〕
分岐オリゴ糖とは、イソマルトース、パノース、イソマ
ルトトリオースなど、分子内にα−1,6グルコシド結合
を有する糖類の総称であるが、これらは清酒の醸造過程
で多く生成し、酒の「コク」を増す重要な成分として従
来から知られている。
一方、近年砂糖の欠点として肥満と虫歯の問題が指摘さ
れ、一般に砂糖の使用を控える傾向にあるが、これに伴
って、砂糖に替わる甘味料として数々の甘味料製品が市
場に現れてきた。分岐オリゴ糖もこのような新しい甘味
料のひとつとして製品化され、優れた甘味質や食品加工
適正等によって、今後大きな需要が期待されている。
分岐オリゴ糖はグルコースの逆合成反応、あるいはマル
トースの転移反応等によって生成することは従来から知
られている。本発明者らはこれまでに、このような反応
を利用して工業的に分岐オリゴ糖を生産する方法を提案
した(特願昭59−245470号、特願昭60−58483号、特願
昭60−61248号、特願昭60−53017号等)。これらの方法
によれば、主として分岐2糖類から分岐5糖類までの分
岐オリゴ等が混在し、かつ分岐オリゴ糖含量が約40%も
しくはそれ以上(対固形分)のシラップが得られる。こ
のシラップを更に適宜の手段で処理することにより、分
岐オリゴ糖濃度を約90%以上に高めた製品を得ることも
できる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このようにして得た分岐オリゴ糖は、人の腸内でビフィ
ズ菌を選択的に増殖させる作用、人間あるいは家畜の便
の状態を改善する作用、抗う蝕作用等、多くの有用な作
用を持つが、このような特性は分岐3糖類以上の糖にお
いて特に顕著である。従って分岐3糖類以上を多く含む
製品の工業的、経済的な製法が確立できれば、産業上極
めて有用であることはいうまでもない。
転移反応により分岐オリゴ糖を製造する場合、一般に反
応初期には分岐3糖類、分岐4糖類、あるいはそれ以上
の重合度を持つ糖が生成するが、反応の進行につれて、
これらはやがて分岐2糖類に移行し、高重合度成分は減
少する。しかしながら、反応初期で反応を止めたのでは
分岐オリゴ糖自体の生成量が少ないため、工業的な意味
は全くない。
これに対し、本発明者らは酵素の絶対濃度が反応に重要
な影響を与えること、すなわち高濃度酵素系では極めて
短時間の反応で、分岐オリゴ糖含量が高く、しかも分岐
3糖類以上を主成分とするシラップ製品が得られること
を発見した。しかしながらこの場合、短時間で反応が進
むだけに、希望の糖組成で反応を停止させることは、バ
ッチ式による工業的規模の生産においては技術的に極め
て困難である。すなわち、pH変化により反応を停止させ
る手段は、イオン精製への負荷の点で好ましいと言え
ず、また、加熱による方法は昇温に時間がかかりすぎ、
迅速に酵素反応を停止させることが難しいからである。
本発明は、以上のような現状において、分岐オリゴ糖の
含量が高く、かつ分岐3糖類以上の糖が主成分である製
品を、経済的に製造しうる新しい方法を提供するもので
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、以上の課題を解決するために、固定化したα
−グルコシダーゼを用いることとした。固定化すること
により、高濃度の酵素を作用させることが可能になり、
また、反応条件のコントロールも容易となった。
すなわち、バッチ式では高濃度にすると反応が急激に進
むため、コントロールが難しかったり、酵素を大量に使
うにも拘わらず、回収再利用が難しく経済的負担が大き
いという問題があったが、固定化酵素を使用することに
より、このような問題が解決された。
またバッチ式では希望の糖組成を得るためには、反応を
停止させなければならなかったところ、固定化酵素を使
用することにより、通液条件のコントロールのみで反応
を制御することが可能となった。
このようにして、分岐3糖類以上を主成分とする分岐オ
リゴ糖含量の高いシラップ製品の製造方法が完成され
た。固形分濃度20%(W/W)以上であるDE20〜65の澱粉
加水分解物を、1.5IU/ml以上の活性を有する固定化α−
グラコシダーゼを充填したリアクターに、好ましくは1
時間あたりα−グルコシダーゼ1IUにつき固定分として
0.05〜4gの割合で連続的に通液し、分岐3糖類以上を主
成分とし、かつ分岐オリゴ糖を40%以上(対固形分)含
むシラップを連続的に製造する方法に関する。
本発明で用いる基質、すなわち澱粉加水分解物は、トウ
モロコシ澱粉、甘薯澱粉などの澱粉原料を加水分解して
得たDE20〜65の澱粉加水分解物を用いる。加水分解は、
常法により液化型α−アミラーゼにより行われるが、更
にこの液化液に澱粉枝切り酵素、β−アミラーゼ等を作
用させてもよい。澱粉加水分解物はDE20〜65、固形分濃
度20%(W/W)以上であることが必要であり、この範囲
以外では単位反応が十分進行せず、分岐オリゴ糖の精製
も不十分であって、経済的製造方法として成り立たな
い。
本発明においては、このような澱粉加水分解物を、固定
化α−グルコシダーゼを充填したリアクターに通液す
る。用いるα−グルコシダーゼの起源、精製法、固定化
法等は問わないが、本発明においては固定化酵素単位容
積あたりの酵素活性は1.5IU(国際単位)以上であるこ
とが必要である。すなわち、本発明で用いる酵素濃度
は、1.5IU/ml以上という高濃度である。例えば、従来法
のバッチ法では、特開昭61−219345号公報記載の糖転移
酵素の使用量は0.03〜1IU/g・基質が挙げられている。
この使用範囲は同公報の実施例におけるように、通常の
30%基質に適用した場合、mlに換算すると0.01〜0.3IU/
mlとなり、本発明の酵素濃度はこれの少なくとも5倍以
上に相当する。酵素活性がこの値以下であると転移率は
低下し、希望する所定の分岐オリゴ糖成分のみならず、
分岐オリゴ糖自体の生成も不十分となる。更に、通液
は、酵素1IUについて1時間あたり、澱粉加水分解物0.0
5〜4g(固形分として)と接触するように行わねばなら
ない。この範囲を外れると、分岐オリゴ糖を40%以上含
む製品を得ることは難しい。なお、ここでα−グルコシ
ダーゼ1IUは、2%のメチルグルコシドを基質として、3
7℃でα−グルコシダーゼを反応させたとき、1分間に
1μMのα−グルコシド結合を加水分解する活性量であ
る。
本発明の方法を実施するためのリアクターその他の装置
については、本発明の処理条件を実現できるものであれ
ば何でもよく、一般に固定化酵素反応に使用されている
ものを用いることができる。
この方法によって、分岐3糖類を主成分とする分岐オリ
ゴ糖40%以上(対固形分)の製品が得られるが、更に必
要により、適宜の手段でグルコースなどの非分岐糖を分
画、除去して高濃度の分岐オリゴ糖製品を得ることもで
きる。
〔実施例〕
実施例1 アスペルギルス・ニガー系のα−グルコシダー水溶液3m
l(150単位)に、グルタルアルデヒド水溶液3ml(35%
(W/W)と粒状ゼラチン7.5gを加えてよく撹拌し、その
後室温で約1時間放置した後、蒸溜水でよく洗浄して
(500ml3回)23g(湿潤物、42ml)の固定化α−グルコ
シダーゼを得た。比活性は3.3IU/ml(湿潤物)であっ
た。
この固定化α−グルコシダーゼ7.2mlを、長さ15cm、直
径1cmのジャケット付きカラムに充填し、これをリアク
ターとして以下の試験を行った。なお、ジャケットには
55℃の温水を循環せさた。
30%(W/W)コーンスターチスラリーに、耐熱性α−ア
ミラーゼ(ノボ社製ターマミル60L)を作用させ、常法
により一次液化、二次液化を行った後、更に同じ酵素を
0.02%(W/W)添加し、80℃で10時間反応させた。反応
停止はシュウ酸でpHを3.0にして行い、DE27の澱粉加水
分化物を得た。
この液を、常法によりろ過および活性炭処理をした後、
1N苛性ソーダでpHを5.0に調整し、これを前記のリアク
ターに、酵素1IUについて1時間あたり基質1.2g、およ
び0.5g(いずれも固形分として)それぞれ接触するよう
に、連続的に通液した。第1表に、基質およびそれぞれ
の通液条件によって得られたシラップの糖組成を示し
た。
実施例2 実施例1と同様の方法で、DE11となるように調整して得
た澱粉液化液のα−アミラーゼを失活させた後、この液
を60℃、pH5に調整してβ−アミラーゼ(長瀬産業製No.
150)を0.3%(W/W)、プルラナーゼ(ノボ社製プロモ
ザイム200L)を0.2%(W/W)それぞれ加えて24時間反応
させた。得られたDE53の澱粉加水分解物を、常法により
ろ過および活性炭処理した後、実施例1と同じリアクタ
ーで、酵素1IUにつき1時間あたり、基質固形分として
それぞれ、1.0g、0.6g、0.2g接触するように通液して、
シラップを得た。第1表に、基質およびそれぞれの通液
条件によるシラップの糖組成を示した。
実施例3 実施例1で通液条件1.2g/酵素1IU/時間で得らえたシラ
ップ(A)、および実施例2で同じく0.2g/1IU/時間で
得られたシラップ(B)を、それぞれ常法により脱色、
脱イオン精製した後、固形分60%まで濃縮して、ダウエ
ックスXSF−43280(Na型)を充填したカラムを用いてク
ロマト分画し、第2表に示すような糖組成をもつ高濃度
分岐オリゴ糖製品を得た。
なお、クロマト分画の条件は次の通りである。
カラムサイズ:長さ100cm、直径5cm 温度:70℃(ジャケット内温水循環) 飼料負荷量:15g(固形分) 展開液:脱イオン水 流速:SV=0.2 〔発明の効果〕 本発明の方法により、3糖類以上の分岐糖を主成分と
し、かつ分岐オリゴ糖を40%以上(固形分中)含む分岐
オリゴ糖シラップ製品が、工業的規模で経済的に製造で
きる。分岐オリゴ糖は上品な甘味を有し、食品加工材料
としても数々の特徴を持つので、食品加工の分野で重要
な地位を占める糖製品である。そればかりでなく、分岐
オリゴ糖は人の腸内においてビフィズス菌に選択的に資
化されて腸内の清浄化に役立ち、便の状態を改善する効
果を有するほか、虫歯の原因となるストレプトコッカス
・ミュータンスによって利用されないので、難う蝕性の
甘味料として用いうるなど、多くの優れた特性をもつ。
このような特性は、特に分岐3糖類以上の分岐オリゴ糖
において顕著に発揮されるので、本発明の方法によって
得られた分岐オリゴ糖製品は、これらの人間の健康に関
する用途に対して特に好適であり、また、食品のみなら
ず医薬品、化粧品、動物飼料等の分野に至るまで巾広い
用途に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07H 3/00 C08B 37/00 G 7433−4C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固形分濃度20%(W/W)以上であるDE20〜6
    5の澱粉加水分解物を、1.5IU/ml以上の活性を有する固
    定化α−グルコシダーゼを充填したリアクターに連続的
    に通液することを特徴とする分岐オリゴ糖シラップの連
    続的製造方法。
  2. 【請求項2】澱粉加水分解物を、1時間あたりα−グル
    コシダーゼ1IUにつき固形分として0.05〜4gの割合で通
    液することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の分
    岐オリゴ糖シラップの連続的製造方法。
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