JP3697671B2 - パノース液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パノース含有液をクロマト分画してパノース液を製造する方法及び砂糖のう蝕を抑制する甘味料として期待されているパノース液及びパノース粉末の製造方法に関する。特に、パノース含有液をクロマト分画してパノース液を製造するに際して、高純度のパノース液及びパノース粉末が容易に得られる方法に関する。
【0002】
本明細書で、「転移反応」とは、加水分解反応とともにα−1,6結合等の生成を伴う反応をいう。
【0003】
【従来の技術】
加工食品において、虫歯の予防、低減が消費者ニーズの大きなポイントとなっていることから、虫歯の原因である砂糖(ショ糖)を減らしたり、また砂糖を使わずに虫歯を防ぐ甘味料や食品素材が利用されるようになってきている。虫歯を防ぐ甘味料として種々のオリゴ糖が市販されているが、砂糖の代替として食品に応用した場合食品の味質が低下する等の問題点が指摘されている。そのため、より砂糖に近い味質と物性を有した虫歯を防ぐ糖質の開発が望まれている。
【0004】
浜田教授(大阪大学歯学部)などは、澱粉の加水分解中に含まれているα−1,6結合を持った分岐オリゴ糖、特にパノースが酸発生の基質として作用せず、かつ最も強い抗う蝕作用を有する糖であることを明らかにし(「Microbiol. Immunol」 32(1),25-31,1988 )、パノースが砂糖のう蝕を抑制する甘味料として期待されるようになってきている。
【0005】
パノースは、アミロペクチン、グリコーゲンおよびプルランの酸部分加水分解物より製造されており、また、近年サーモアクチノマイセス・ブルガリスR−47が生産するα−アミラーゼがプルランを基質としてパノースを特異的に生成するという報告がある(「Agric. Biol. Chem.,42,1681(1978)」)。
【0006】
しかし、これらの方法は、高価なプルランを原料としており、また本菌の生産するプルラン分解酵素の生産性が低いことから工業的生産を考慮した場合、コスト的に高くなる欠点がある。
【0007】
そこで、澱粉液化液から容易に各種マルトース生成アミラーゼ(必要により枝切り酵素を併用して)を添加して容易に調製できるマルトース液にα−グルコシターゼを作用させて調製したパノース含有液を、クロマト分画等してパノース液を製造する方法が提案されている(特公平5−37037号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法で調製したクロマト分画用のパノース含有液は、本発明者らが、検討した結果、せいぜいパノース含有量が35%/dsであるとともに、単糖であるグルコース以外に、二糖であるマルトース、さらには、他の三糖以上のオリゴ糖も多量に含む(三糖であるマルトトリオースも5%/ds近く)。即ち、パノース含有量を35%/ds以上に増大させようとしても、パノースのα−1,4結合が加水分解されるとともに、α−1,6結合を有するイソマルトースの比率が増大してくるためであると推定される。
【0009】
そして、このパノース含有液を、クロマト分画した場合、高濃度(60%/ds以上)のパノース液を得難く、せいぜい50%/ds前後のパノース液しか得られなかった。
【0010】
二糖であるマルトース、イソマルトースは、グルコース区分とパノース区分に略等量づつ分配され、三糖以上のオリゴ糖は、ほとんどパノース区分に分配されるためである(表3参照)。
【0011】
なお、パノース含有量35%/ds以下のパノース含有液からパノース成分を分離する方法としてペーパークロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー、分子篩の原理を利用したカラムクロマトグラフィーなども用いることができる。しかしながら、これらの分離手段は、操作が煩雑であり回収率が悪く、またスケールアップも難しく産業上利用できる手段とは言えない。
【0012】
本発明は、上記にかんがみて、高濃度のパノース液を容易に得ることができるパノース液及びパノース粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、パノース含有量15〜35%/dsのパノース含有液からグルコース及びα−1,4結合よりなるオリゴ糖を効果的に除去しパノース高含有液糖を調製するための産業上利用できる方法について鋭意検討を試みた。
【0014】
そして、15〜35%/dsのパノース含有液糖に出来るだけパノースを加水分解しない一定量のグルコアミラーゼ単独、一定量のグルコアミラーゼとα−アミラーゼの併用、そして、一定量のグルコアミラーゼとβ−アミラーゼの併用の酵素の添加により効果的にα−1,4結合からなるオリゴ糖をグルコースに加水分解できることを見出すとともに、これらの酵素処理液のグルコース成分をイオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィーにより除去することにより、図1に示す如く効率よくパノース高含有液糖を取得することに成功し、下記構成の本発明を完成した。
【0015】
パノース含有液をクロマト分画してパノース液を製造する方法であって、
マルトース液にα−グルコシターゼを作用させてパノース含有量15〜35%/dsになるまで転移反応を進めた第一パノース含有液に、さらに、グルコアミラーゼまたは必要によりα−アミラーゼまたはβ−アミラーゼとを併用添加して、パノースの見掛け加水分解度が40%以下の範囲で、可及的にα−1,4結合からなるオリゴ糖の加水分解を進めた第二パノース含有液を、クロマト分画用のパノース含有液とする。
【0016】
【発明の作用・効果】
マルトース液にα−グルコシダーゼを作用させて調製した第一パノース含有液は、パノース含量が35%/ds以下と低く、かつグルコースやα−1,4結合からなるオリゴ糖、及び、パノース以外の分岐オリゴ糖を含有している。 そして、この第一パノース含有液を、パノースに比して、マルトース、マルトトリオース等の他のα−1,4結合を含むオリゴ糖を加水分解し易いグルコアミラーゼ単独、または、グルコアミラーゼとα−アミラーゼ若しくはβ−アミラーゼを併用して、加水分解することにより得られる第二パノース含有液は、パノース区分に半分近くが分画される二糖(マルトース等)及びパノース区分にほとんど分画される三糖以上のオリゴ糖(マルトトリオース等)の、パノースに対する糖組成比率が減少する(表1・2参照)。
【0017】
従って、第二パノース含有液をクロマト分画することにより、結果的に、従来得難かった、パノース含量が60%/ds以上のパノース液を容易に得ることができる。
【0018】
また、第二パノース含有液は、虫歯菌による酸発生の原因糖である、主にα−1,4結合よりなるオリゴ糖の糖組成比率が加水分解により減少するため、クロマト分画後のパノース液におけるそれらのオリゴ等の混入比率が、第一パノース液に比して小さい。
【0019】
従って、本発明のパノース液を、食品に使用したとき、パノースの強い抗う蝕性効果の増大がさらに期待できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
【0021】
(1) 本発明の原料液であるマルトース液は、マルトース含量60%/ds以上(望ましくは、70%以上)のものを意味し、その製法は特に限定されず、市販のマルトース液を使用しても良いが、通常、澱粉液化液に、マルトース生成アミラーゼ(例えば、β−アミラーゼ、その他の新型アミラーゼ等)と枝切り酵素(例えば、プルナラーゼ、イソアミラーゼ等)を併用して製造することができる。
【0022】
原料澱粉の種類も、特に限定されず、▲1▼コーンスターチ、小麦粉澱粉等の地上茎澱粉、▲2▼馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の地下茎澱粉、いずれでも使用可能である。
【0023】
β−アミラーゼとしては、起源を問わず何れのβ−アミラーゼでも使用可能であるが、市販されている「ビオザイムML」(天野製薬(株)製、6,000U/g)などを挙げることができる。なお、活性の表示は、基質として1%/ds可溶性澱粉溶液を使用し、40℃で30分間に10mgのグルコースを生成する活性を1単位とする。
【0024】
プルラナーゼとしては、起源を問わず何れのプルラナーゼでも使用可能であるが、市販されている「アマノ」(天野製薬(株)製、900U/ml)などを挙げることができる。なお、活性の表示は、基質として0.5%プルラン溶液を使用し、40℃で30分間反応させた時、1分間に1マイクロモルのぶどう糖に相当する還元力の増加をもたらす酵素量を1単位とする。
【0025】
(2) 第一パノース含有液は、マルトース高含有液にα−グルコシターゼを作用させてパノース含有量15〜35%/dsになるまで転移反応を進め、かつ、調製する。この第一パノース含有液は、パノースを主成分とする分岐オリゴ糖、グルコース、α−1,4結合からなるオリゴ糖などの混液である。
【0026】
ここで、パノース含有量が15%/ds未満では、目的物であるパノース液の60%/ds以上の高濃度のものを得難く、35%/dsを越えるものは、前述の如く、工業的に得難い。
【0027】
上記α−グルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼ)としては起源を問わず何れのα−グルコシダーゼでも使用可能であるが、微生物起源のもので、且つ耐熱性のものが好ましい。例えば、Aspergillus 属、Rhizopus属を起源とする酵素剤を使用でき、さらに具体的には、「α−グルコシダーゼ L アマノ」(天野製薬(株)製、300,000U/ml)などを使用できる。
【0028】
なお、活性の表示法は、基質としてメチル−α−D−グルコシドを使用し、60分間に反応液2.5ml中に1μgのグルコースを生成する酵素力を1単位とする。
【0029】
また、このとき、α−グルコシダーゼの添加量は、マルトース固形分1g当たり、50〜1500U/g・ds、転移時間は、添加量に反比例し、また、温度により異なるが、3〜36時間とする。
【0030】
(2) 次に、上記第一パノース含有液に、グルコアミラーゼ単独、またはグルコアミラーゼとα−アミラーゼ、グルコアミラーゼとβ−アミラーゼの併用酵素を作用させ、パノースの見掛け加水分解度が40%以下の範囲から、可及的にα−1,4結合からなるオリゴ糖をグルコースに加水分解する(α−1,6結合からなるイソマルトースはほとんど分解されない。)。
【0031】
ここで、パノースの見掛け加水分解度が40%を超えると、第二パノース含有液のパノース含有量が低くなりすぎ、クロマト分画したとき高濃度のパノース含液が得難い。オリゴ糖の可及的な加水分解とは、10%程度でも良いが、望ましくは60%以上である。
【0032】
グルコアミラーゼとしては、起源を問わず何れのグルコアミラーゼでも使用可能であるが、微生物起源のもので、且つ耐熱性のものが好ましい。例えば、Aspergillus 属、Rhizopus属を起源とする酵素剤を使用でき、さらに具体的には、「AMG」(ノボノルディスクバイオインダストリー製、330U/ml)などが好適に使用できる。
【0033】
なお、活性の表示は、基質として2%/ds可溶性澱粉溶液を使用し、40℃で60分間に1μgのグルコースを生成する活性を1単位とする。
【0034】
α−アミラーゼとしては、起源を問わず何れのα−アミラーゼでも使用可能であるが、市販されている液化型の「スピターゼHS」(ナガセ生化学工業(株)製、7,000U/g)などを挙げることができる。なお、活性の表示は、基質として1%/ds可溶性澱粉溶液を使用し、40℃で1分間に100mg澱粉の青価を1%/ds低下させる活性を1単位とする。
【0035】
β−アミラーゼとしては、前述のマルトース生成アミラーゼと同じものを使用可能である。起源を問わず何れのβ−アミラーゼでも使用可能であるが、市販されている「ビオザイムML」(天野製薬(株)製、6,000U/g)などを挙げることができる。なお、活性の表示は、基質として1%/ds可溶性澱粉溶液を使用し、40℃で30分間に10mgのグルコースを生成する活性を1単位とする。
【0036】
グルコアミラーゼは、パノースを加水分解する性質があるため(澱粉科学ハンドブック、P106−表5.9)パノース含有液に作用させるとパノース含量が減少する。このため、澱粉及びマルトースからパノースなど分岐オリゴ糖含有液糖を製造する場合には、グルコアミラーゼを含まないα−アミラーゼ、β−アミラーゼそしてα−グルコシダーゼが使用される。しかし、本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、グルコアミラーゼの作用条件を制御することによりパノースの加水分解を最小に抑えてマルトースなどのα−1,4結合からなるオリゴ糖をグルコースに加水分解できることに成功し本発明を完成するに至った。その上、グルコアミラーゼとα−アミラーゼ及びβ−アミラーゼの併用酵素により加水分解しても同様の結果が得られることが明らかになった。
【0037】
ここで、グルコアミラーゼの添加量は、反応温度、加水分解時間によって異なるが、反応温度55℃、加水分解時間24時間のとき固形分1g当り0.02〜0.30U/g・ds(望ましくは0.04〜0.23U/g・ds)とする。そして、併用するα−アミラーゼの添加量は、2〜20U/g・ds、β−アミラーゼの添加量は、5〜50U/g・dsが望ましい。
【0038】
(3) 高パノース液を調製するため酵素により加水分解処理した第二パノース含有液を、イオン交換樹脂を用いてクロマト分画する。なお、第二パノース液は、クロマト分画に際して、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床一混床方式)等により精製及び濃縮して、使用する。
【0039】
ここで、イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂がグルコース成分とパノース区分とを分画するのに適している。強酸性陽イオン交換樹脂は、単糖類と二・三糖類を分画するのに適しているためである。
【0040】
分画に使用する強酸性陽イオン交換樹脂は、アルカリ金属型強酸性陽イオン交換樹脂及びアルカリ土類金属型強酸性陽イオン交換樹脂の何れも使用できるが、好ましくはアルカリ金属型強酸性陽イオン交換樹脂、特に好ましくは、ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂である。
【0041】
具体例として、ダイヤイオンFRKシリーズ、ダイヤイオン「ユニビーズ」シリーズのナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0042】
なお、ダイヤイオンは、三菱化成株式会社の商品名である。カラムへの通液温度は、30〜90℃、好ましくは、50〜70℃で行なう。また通液速度は、SV=0.01〜0.10の範囲が好ましい。
【0043】
本発明の分離操作は、図2に示したナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した分離四塔からなるクロマトグラフィー装置により詳しく説明する。
【0044】
まず、充填層装置内に酵素処理液(分離原料液)を第一塔11から第二塔13、第三塔15を経て第四塔17に向けて循環する第一段階、次いで原料液を第三塔15に供給して当該区画を流下させ、且つこの間に、当該区画から流出するパノース成分に富む溶液を系外に抜き出す第二段階、さらに溶離水を第一塔11に供給して当該区画を流下させ、且つこの間に当該区画から流出するグルコース成分に富む液を系外に抜き出す第三段階、並びに第一塔11に溶離水を供給して当該区画を流下させ、第一塔11の流出液は第二塔13へ流入させ、第二塔13の流出液は第三塔15へ流入させ、第三塔13から流出するパノースに富む溶液を系外に抜き出す第四段階の各段階を順次反復することからなる分離操作により、原料液はパノース高含有画分とグルコース高含有画分に分画される。
【0045】
この分離操作によりパノース含有量60%/ds以上の高パノース液を調製することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために、行った実施例について説明する。
【0047】
[実施例1]
25%/ds濃度のコーンスターチ液化液(DE 6.9、pH 5.5)にプルラナーゼ「アマノ」(天野製薬製)0.045%/ds、β−アミラーゼ「ビオザイムML」(天野製薬製)0.065%/dsを添加し55℃で24時間反応を行なわせてマルトース含有量73%/dsのマルトース液を調製した。
【0048】
次いで、このマルトース液にα−グルコシダーゼ L アマノ(天野製薬製、300,000U/ml)100u/dsを添加して55℃で27時間転移反応を行なわせて、パノース含有量30.4%/dsの第一パノース含有液を調製した。
【0049】
次いで、この第一パノース含有液をpH5.0に調製した後、グルコアミラーゼであるAMG酵素(ノボノルディスクインダストリー社製、330u/ml)を0.10U/g・dsを添加し55℃で24時間加水分解を行なわせた。加水分解液は、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床一混床方式)により精製及び濃縮を行なってクロマト分離用の第二パノース含有液とした。
【0050】
図1に示す分離四塔型クロマトグラフィー分画装置(ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂「ダイヤイオンUBK 550」を充填)を用いて60%/dsのクロマト分離原料液を通液温度60℃でクロマト分画した。クロマト分画液のパノース区分及びグルコース区分を活性炭濾過、イオン交換樹脂による精製後水分30%/dsまで濃縮して、それぞれパノース液及びグルコース液とした。
【0051】
[実施例2]
30%/ds濃度のコーンスターチ液化液(DE 6.5、pH5.5)にプルラナーゼ「アマノ」0.045%/ds、ビオザイムML0.065%/dsを添加し55℃で48時間反応を行なわせてマルトース含有量75%/dsのマルトース液を調製した。次いで、このマルトース液にα−グルコシダーゼ L アマノ100u/dsを添加して55℃で30時間転移反応を行なわせて、第一パノース含有液を調製した。
【0052】
次いで、第一パノース含有液(pH5.0)にAMG0.1u/g、及びα−アミラーゼであるスピターゼHS(ナガセ生化学工業製、7,000U/g)5u/gを添加し55℃で24時間加水分解を行なわせた。糖化液は、実施例1と同様に精製及び濃縮しクロマト分画用の第二パノース含有液とした。
【0053】
図1に示す分離四塔型クロマトグラフィー分離装置(ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂「ダイヤイオンUBK 530」を充填)を用いて、60%/dsのクロマト分離原料液を60℃の通液温度でクロマト分画した。クロマト分画液のパノース区分及びグルコース区分は、実施例1と同様に精製及び濃縮して、それぞれパノース液及びグルコース液とした。
【0054】
[実施例3]
32%/ds濃度のコーンスターチ液化液(DE 5.7、pH 5.5)にプルラナーゼ「アマノ」0.45%/ds、「ビオザイムML」0.065%/dsを添加し55℃で48時間反応を行なわせてマルトース含有量74%/dsのマルトース液を調製した。次いで、このマルトース液にα−グルコシダーゼ L アマノ100u/dsを添加して55℃で30時間転移反応を行なわせて、第一パノース含有液を調製した。
【0055】
次いで、この第一パノース含有液(pH5.0)に「AMG」0.12u/g、及びβ−アミラーゼであるビオザイムML10u/gを添加し55℃で24時間加水分解を行なわせた。加水分解液は、実施例1と同様に精製及び濃縮しクロマト分画用の第二パノース含有液とした。
【0056】
図1に示す分離四塔型クロマト分離装置(ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂「ダイヤイオンUBK550」を充填)を用いて60%/dsのクロマト分離原料液を通液温度60℃でクロマト分画した。クロマト分画液のパノース区分及びグルコース区分は、実施例1と同様に精製及び濃縮して、それぞれパノース液及びグルコース液とした。
【0057】
[応用例4]
実施例3で調製したパノース液を下記の条件でスプレー乾燥して粉末製品とした。
【0058】
液糖濃度 45%/ds
スプレードライヤー出口温度 80℃
給液量 4.5l/hr
ディスク径 100mm
ディスク回転数 16,000rpm
得られた糖粉末は、水分が2.5%/dsであり、流動性が極めて良好であった。
【0059】
<試験結果>
各実施例について、第一パノース含有液、第二パノース含有液、及び、クロマト分画後の精製・濃縮したパノース液・グルコース液を、高速液体クロマトグラフにより糖組成を分析したので、その結果をそれぞれ表1・2・3に示す。
【0060】
それらの結果から、各実施例におけるP区分(パノース液)は、パノース濃度は、いずれも60%/ds以上と高く、また、α−1,4結合を含むマルトース及びマルトトリオースもそれぞれ、約5%/ds以下、2%/ds以下と、非常に少ないことが分かる。
【0061】
また、上記と実施例1〜3において、グルコアミラーゼの添加量を変化させて調製したパノース液について、パノース含有量についても測定したので、それらの結果を図1に示す。
【0062】
図1に示す結果から、グルコアミラーゼにα−アミラーゼまたはβ−アミラーゼを併用することにより、よりパノース含有量の高いパノース液が得易いことが分かる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】第一パノース含有液を、酵素添加量を変化させて加水分解後、クロマト分画して精製・濃縮したパノース液のパノース含量を示すグラフ図
【図2】本発明のクロマト分画に使用するクロマト分離装置の概略図
【符号の説明】
11 クロマト分離装置の第一塔
13 クロマト分離装置の第二塔
15 クロマト分離装置の第三塔
17 クロマト分離装置の第四塔
Claims (5)
- パノース含有糖化液(以下「パノース含有液」と略す。)をイオン交換クロマトグラフィーで分画(以下、「クロマト分画」と略す。)してパノース液を製造する方法であって、
マルトース高含有糖化液(以下「マルトース液」と略す。)にα−グルコシターゼを作用させてパノース含有量15〜35%/dsになるまで転移反応を進めた第一パノース含有液に、さらに、グルコアミラーゼを添加して、パノースの見掛け加水分解度が40%以下の範囲で、可及的にα−1,4結合からなるオリゴ糖の加水分解を進めた第二パノース含有液を、前記クロマト分画用のパノース含有液とすることを特徴とするパノース液の製造方法。 - パノース含有液をクロマト分画してパノース液を製造する方法であって、
前記パノース含有液が、マルトース液にα−グルコシターゼを作用させてパノース含有量15〜35%/dsになるまで転移反応を進めた第一パノース含有液に、さらに、グルコアミラーゼ及びα−アミラーゼを添加して、パノースの見掛け加水分解度が40%以下の範囲で、可及的にα−1,4結合からなるオリゴ糖の加水分解を進めた第二パノース含有液を、前記クロマト分画用のパノース含有液とすることを特徴とするパノース液の製造方法。 - パノース含有液をクロマト分画してパノース液を製造する方法であって、
前記パノース含有液が、マルトース液にα−グルコシターゼを作用させてパノース含有量15〜35%/dsになるまで転移反応を進めた第一パノース含有液に、さらに、グルコアミラーゼ及びβ−アミラーゼを添加して、パノースの見掛け加水分解度が40%以下の範囲で、可及的にα−1,4結合からなるオリゴ糖の加水分解を進めた第二パノース含有液を、前記クロマト分画用のパノース含有液とすることを特徴とするパノース液の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記クロマト分画に使用するイオン交換樹脂として、アルカリ金属型又はアルカリ土類金属型の強酸性陽イオン交換樹脂を使用することを特徴とするパノース液の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、分画したパノース液の濃縮液をスプレー乾燥して粉末製品にすることを特徴とするパノース粉末の製造方法。
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