JP3821568B2 - マルトトリオース液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度のマルトトリオース液が容易に製造でき、同時に生成する副生物を非老化性デキストリンとして有効利用できるマルトトリオースの製造方法に関する。
【0002】
マルトトリオースは、非晶質で保湿性に富み和洋菓子の日持ちの延長等の機能がある。マルトトリオースは、高純度マルトトリオース液またはその粉末品の形態で使用される。
【0003】
デキストリンは、食品加工において賦形剤、増粘剤、コーティング剤、グレーズ剤として、高濃度溶液またはその粉末の形態で使用される。そして、高濃度溶液は、室温保存ないし冷蔵保存した場合、特に冷蔵保存した場合に、白濁しない非老化性を有することが要求される。
【0004】
なお、本明細書で「%」は、特に断らない限り「重量%」を意味し、また「%/ds」は、固形分(dry substance)換算値における%を意味する。
【0005】
ここで、「DE」は、「Dextrose Equivalent」の略号で、還元糖をぶどう糖(デキストロース=D−グルコース)として測定し、その還元糖の固形分に対する比を意味する。
【0006】
【背景技術】
マルトトリオース素材とする高純度のマルトトリオース液は、通常、分解酵素としてマルトトリオース生成アミラーゼの一種であるマルトトリオヒドロラーゼ(例えば、Microbacterium起源)を澱粉の液化液に作用させて製造していた。
【0007】
ここで、高純度とは、マルトトリオース素材として、実用使用可能な純度、具体的には、マルトトリオース含有量が45%/ds以上ものを言う。表1は、食品業界で使用されている一般的な高純度マルトトリオース素材の糖組成を示すものである。なお、表1の各数値は、[吉積他3名編「新食品開発用素材便覧」(平3−12−20)光琳、p.178]及び[「ジャパンフードサイエンス」1990−8、日本食品出版、p.58]から引用したものである。
【0008】
【表1】
【0009】
そして、マルトトリオース含有量45%/ds以上の、特に50%/ds以上の高純度のマルトトリオース液を製造するには高価なマルトトリオヒドロラーゼを5U/g 以上と多量に使用する必要があった(表2参照)。
【0010】
表2は、本発明者らが、コーンスターチ液化液(濃度28%、DE5.0、pH7.0)にマルトトリオヒドロラーゼを添加して、液温55℃で表示の各時間反応させたときに得られた、糖化液の糖組成を示すものである。
【0011】
【表2】
【0012】
このため、マルトトリオース素材は、製造原価の高騰を招き、食品業界、特に菓子業界での使用対象物が、高級品に限定された。
【0013】
本発明は、上記にかんがみて、マルトトリオヒドロラーゼを少量の使用で、相対的に高純度(45%以上の)のマルトトリオース液を容易に製造することができるマルトトリオースの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、マルトトリオース液の製造に際して、副生物も製品として有効利用できるマルトトリオース液の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意・開発に努力をして検討した結果、高価なマルトトリオヒドロラーゼを少量の添加で調製したマルトトリオースをふくむ精製糖化液を原料にしてイオン交換クロマトグラフィーで分画することにより、高純度マルトトリオース液が容易に製造でき、副生物として非老化性デキストリン液も得られることを見出し下記構成の本発明に想到した。
【0016】
澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼを作用させてマルトトリオース含有量が25%/ds以上(通常、25〜48%/ds)の糖化液を調製し、該糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液画分と非老化性デキストリン液画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得ることを特徴とする。
【0017】
ここで、分解酵素として、マルトトリオヒドロラーゼと共にα−アミラーゼを併用することにより、マルトトリオヒドロラーゼの使用量を相対的に小さくできるため望ましい。
【0018】
また、分解酵素として、マルトトリオヒドロラーゼと共にプルラナーゼを併用することにより、クロマト分画した場合に、相対的に高純度のマルトトリオース液を得易いため望ましい。
【0019】
また、クロマト分画に使用するイオン交換樹脂としてアルカリ金属型またはアルカリ土類金属型の強酸性陽イオン交換樹脂を使用することが望ましい。
【0020】
更に、上記高純度マルトトリオース液は、クロマト分画により同時に得られた副生物である非老化性デキストリン液を添加した混合物を、または、非老化性デキストリン液をそのまま、それぞれ噴霧乾燥して粉末製品にすることが製品価値が増大して望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
(1) まず、澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼを作用させてマルトトリオース含有量が25%/ds以上(通常、25〜48%/ds、望ましくは27〜43%/ds)の糖化液を調製する。
【0023】
ここで、原料澱粉の種類は、特に限定されずコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、等の地上澱粉、馬鈴薯澱粉・タピオカ澱粉等の地下澱粉等いずれも使用可能である。
【0024】
液化液は、澱粉の分散性及び酵素活性の見地から、通常、澱粉濃度25〜35%、 pH 5〜8に調製して使用する。また、液化液のDEは、マルトトリオース及び非老化性デキストリンの収率の見地から、3〜20(望ましくは5〜15)の範囲に調製することが望ましい。さらに、反応は酵素活性が高い45〜58℃(望ましくは50〜55℃)に維持して行う。
【0025】
液化液の調製は、例えば、下記の如く行う。
【0026】
所定濃度の澱粉乳に、消石灰を加えてpH調整を行った後、所定量のα−アミラーゼ等の分解酵素を添加する。この澱粉乳をジェットクッカーで約105℃に加熱し、その温度で5〜10分保持する(澱粉・分解酵素の種類により異なる。)。その後、大気圧に解放して、約95℃で、目的とするDEになるまで所定時間(60〜120分)保持して液化を行う。
【0027】
分解酵素として使用するマルトトリオヒドロラーゼは、起源を問わずいずれのマルトトリオヒドロラーゼでも使用可能である。具体的には、天野製薬株式会社から上市されている「AMT」酵素(600 U/ml 、Microbacterium起源)等を好適に使用できる。
【0028】
マルトトリオヒドロラーゼの活性表示は、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した2%可溶性澱粉0.5mlに適量の酵素を加え、全量1.0mlで40℃で反応させ生成するマルトトリオース及びその他の還元糖をソモギ・ネルソン法で定量したときの1分間に1μモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位(1U)とするものである。
【0029】
このとき、マルトトリオースの生成の助長を目的として、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼとともにα−アミラーゼ又はプルラナーゼを併用して製造することもできる。結果的に、マルトトリオヒドロラーゼの使用量が相対的に少なくても、それぞれの作用により高純度マルトトリオース液が得易くて望ましい。特に、α−アミラーゼは安価で入手しやすく望ましい。
【0030】
α−アミラーゼは、起源を問わずいずれのα−アミラーゼでも使用可能である。具体的には、大和化成株式会社から上市されている「クライスターゼT10S」(17,000JLU ) 等を好適に使用することができる。
【0031】
なお、α−アミラーゼの活性表示は、アミラーゼが馬鈴薯澱粉1gに相当する濃度91g/L の糊に65℃で15分間作用するとき、この糊の動粘度を 250×10-6m2/s ( 250cSt)( 65 ℃測定)まで減少させる酵素量を1液化力単位(1JLU )とするものである。
【0032】
プルラナーゼは、起源を問わずいずれのプルラナーゼでも使用可能である。具体的には、天野製薬株式会社から上市されている「アマノ」(900 U/ml)等を好適に使用できる。
【0033】
なお、プルナラーゼの活性表示は、基質として0.5%プルラン溶液を使用し、40℃で30分間反応させた時、1分間に1μモルのグルコースに相当する還元力の増加をもたらす酵素量を1単位(1U)とするものである。
【0034】
澱粉液化液へのマルトトリオヒドロラーゼの添加量は、反応温度、糖化時間によって異なる。
【0035】
例えば、反応温度55℃、糖化時間48時間のとき、1.0〜2.0 U/g、また糖化時間72時間のとき0.5〜1.5 U/gが望ましい。併用酵素であるα−アミラーゼ「クライスターゼT10S」は、0.3〜2.0 JLU また、プルラナーゼ「アマノ」は、0.5〜1.0 U/gの添加が望ましい。
【0036】
糖化液のマルトトリオース含有量25%/ds未満では、クロマト分画しても、高純度マルトトリオース液を得難い。他方、マルトトリオース含有量の上限は、従来にない高純度(70%以上)のマルトトリオース液を製造しようとする場合は特に限定されない。しかし、マルトトリオヒドロラーゼの添加量を経済的な範囲に収めようとする場合は、48%/ds以下とする。即ち、マルトトリオース含有量が48 %/ds を越えるものは、マルトトリオヒドロラーゼの使用量を多くする必要があり、本発明の効果(マルトトリオヒドロラーゼを少量使用)を十分に得難い。
【0037】
(2) 次に、上記糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液画分と非老化性デキストリン液画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得る。
【0038】
上記糖化液は、クロマト分画に際して、分画効率の見地から、通常、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床一混床方式)等により精製及び濃縮して使用する。この濃縮固形分(マルトオリゴ糖)濃度は、40〜70%とする。
【0039】
分画に使用する強酸性陽イオン交換樹脂は、二・三糖類と他のマルトオリゴ糖(デキストリン成分)との分画する作用を奏する。アルカリ金属型強酸性陽イオン交換樹脂及びアルカリ土類金属型強酸性陽イオン交換樹脂のいずれも使用できるが、好ましくはアルカリ金属型強酸性陽イオン交換樹脂、特に好ましくはナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂である。
【0040】
具体例としては、三菱化成株式会から上市されている「ダイヤイオンFRK」シリーズ、「ダイヤイオンユニビーズ」シリーズのナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂等を好適に使用できる。
【0041】
カラムへの通液温度は、40〜90℃、好ましくは55〜75℃で行なう。また通液速度は、SV0.01〜0.10の範囲が好ましい。ここで「SV」は、「 Space Velocity 」の略で、空間速度を意味し、1時間に樹脂容積の何倍の容量を流すかを示す。
【0042】
本発明の分離(クロマト分画)操作を、強酸性陽イオン交換樹脂を充填した分離四塔からなるクロマトグラフィー装置を例にとり、より詳しく説明する(図1参照)。
【0043】
分離操作は、下記四つ各段階を順次反復することからなる。当該分離操作により、精製分離原料液(糖化液)は、非老化性デキストリン液画分と高純度マルトトリオース液画分とに分画する。
【0044】
▲1▼第一段階:充填装置内に澱粉液化液をマルトトリオヒドロラーゼで糖化した精製分離原料液を第一塔11から第二塔13、第三塔15を経て第四塔17にむけて循環する。
【0045】
▲2▼第二段階:精製分離原料液を第三塔15に供給して当該区画を流下させ、かつこの間に、当該区画から流出する非老化性デキストリン溶液を系外に抜き出す。
【0046】
▲3▼第三段階:溶離水を第一塔11に供給して当該区画を流下させ、かつこの間に当該区画から流出するマルトトリオース成分に富む溶液を系外に抜き出す。
【0047】
▲4▼第四段階:第一塔11に溶離水を供給して当該区画を流下させ、第一塔11の流出液は、第二塔13へ流入させ、第二塔13の流出液は第三塔15へ流入させ、第三塔15から流出する非老化性デキストリン溶液を系外に抜き出す。
【0048】
そして、分画後の非老化性デキストリンのDEは、食品加工への利用及び流通の点で支障をきたさないためには適度な粘性を持った製品に加工する必要がある。そのためには、分画する非老化性デキストリン液のDEは、経験上、5〜10の範囲になるようにすることが重要である。
【0049】
分画した非老化性デキストリン液と高純度マルトトリオース液は、長期貯蔵及び利用する食品の形態によって粉末化することが望ましい場合がある。
【0050】
非老化性デキストリン液は、スプレー乾燥によって粉末化ができ、高湿度な環境でも流動性が良好な粉末製品が容易に製造できる。
【0051】
また、高純度マルトトリオース液は、マルトトリオースが吸湿性の高い糖質であるにもかかわらず非老化性デキストリン液と混合してスプレー乾燥することにより、混合割合により所定のマルトトリオース含有量の粉末製品が容易に安価に製造できる。
【0052】
非老化性デキストリン液▲1▼の高純度マルトトリオース液▲2▼に対する混合割合は、通常、▲2▼/▲1▼(重量比)=95/5〜75/25とする。非老化性デキストリン量が過少では、防湿性を製品に得難く、他方過多では、相対的にマルトトリオースの含有量が低くなり(45%未満)、高純度マルトトリオース素材として使用しがたい。
【0053】
なお、上記スプレー乾燥は、例えば、後述の実施例3に記載されているように行う。
【0054】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実施例について説明する。当然、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
コーンスターチ液化液(濃度25%、DE7.8、pH7.0)にマルトトリオヒドロラーゼ(前記「AMT」)1.0 U/gを添加し55℃で48時間反応を行なわせてマルトトリオース含有量31.6%/dsの反応液を調製した。
【0056】
該反応液を、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床混床方式)により精製及び濃縮を行なってクロマト分離用原料液(固形分濃度60%)とした。
【0057】
当該原料液を、図1に示す分離四塔型クロマトグラフィー分画装置(ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂「ダイヤイオンUBK 530」を充填)を用いて通液温度65℃、通液速度SV0.04でクロマト分画した。
【0058】
非老化性デキストリン液画分は、20.2%濃度の分画液が40.3%の収率で回収できた。また、高純度マルトトリオース液画分は、16.1%濃度の分画液が59.7%の収率で回収できた。
【0059】
それぞれの分画液は、活性炭濾過、イオン交換樹脂による精製を行なった。非老化性デキストリン精製液は、水分40%に濃縮し、高純度マルトトリオース精製液は水分25%に濃縮した。
【0060】
非老化性デキストリン濃縮液は、DEが5.6であり、5℃の冷蔵庫に2週間貯蔵しても白濁(老化)しなかった。また、凍結−解凍を繰り返しても白濁(老化)しなかった。
【0061】
表3に本実施例のクロマト分画用原料液及び分画液の糖組成を示す。
【0062】
【表3】
【0063】
<実施例2>
馬鈴薯澱粉液化液(濃度28%、DE5.5、pH7.0)にマルトトリオヒドロラーゼ(前記「AMT」)1.4 U/g及びα−アミラーゼ(前記「クライスターゼT10S」)0.4 JLUを添加し55℃で72時間反応させマルトトリオース含有量41.9%/dsの反応液(糖化液)を調製した。
【0064】
この反応液は、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床混床方式)により精製及び濃縮を行なってクロマト分画用原料液(固形分濃度60%)とした。
【0065】
当該原料液を、実施例1と同様にしてクロマト分画した。
【0066】
非老化性デキストリン液画分は、15.7%濃度の溶液が33.9%の収率で回収できた。また、高純度マルトトリオース液画分は、19.4%の溶液が66.1%の収率で回収できた。
【0067】
それぞれの分画液は、活性炭濾過、イオン交換樹脂による精製を行なった。非老化性デキストリン精製液は、水分40%に濃縮し、高純度マルトトリオース精製液は、水分25%に濃縮した。
【0068】
非老化性デキストリン濃縮液は、DEが8.5であり、5℃で2週間貯蔵しても白濁(老化)しなかった。また、凍結−解凍を繰り返しても白濁(老化)しなかった。
【0069】
表4に本実施例のクロマト分画原料液及び分画液の糖組成を示す。表4から下記のことが分かる。
【0070】
α−アミラーゼを併用する本実施例は、マルトトリオヒドロラーゼの使用量が1.4U/g であるにもかかわらず、糖化液のマルトトリオース含有量は、約42%/dsと、従来の使用量が2U/g の場合の約44%/ds(表2参照)とほとんど変わらない数値を示す。即ち、α−アミラーゼを併用した場合、相対的にマルトトリオヒドロラーゼの使用量が低減できることが分かる。
【0071】
【表4】
【0072】
<実施例3>
馬鈴薯澱粉液化液(濃度28%、DE7.0、pH7.0)にマルトトリオヒドロラーゼ(前記「AMT」)を0.50U/g 及びプルラナーゼ0.5U/g を添加し55℃で72時間反応させマルトトリオース含有量28.9%/dsの反応液を調製した。
【0073】
この反応液を、活性炭濾過、イオン交換精製装置(二床混床方式)により精製及び濃縮を行なってクロマト分離用原料液(固形分濃度60%)とした。
【0074】
当該原料液を実施例1と同様にしてクロマト分画をした。
【0075】
非老化性デキストリン液画分は、23.5%濃度の溶液が47.5%の収率で回収できた。また、高純度マルトトリオース液画分は、19.1%の溶液が47.5%の収率で回収できた。
【0076】
それぞれの分画液は、活性炭濾過、イオン交換樹脂による精製を行なった。非老化性デキストリン精製液は、水分40%に濃縮し、高純度マルトトリオース精製液は、水分25%に濃縮した。
【0077】
非老化性デキストリン濃縮液は、DEが4.9であり、5℃で2週間貯蔵しても白濁(老化)しなかった。また、凍結−解凍を繰り返しても白濁(老化)しなかった。
【0078】
表5に本実施例のクロマト分画用原料液及び分画液の糖組成を示す。表5から下記のことが分かる。
【0079】
プルラナーゼを併用する本実施例は、糖化液のマルトトリオース含有量は、表2に示す場合とほとんど変わらない。選択的に、マルトトリオースが、その他の糖(グルコース、マルトースを除く。)とともに生成する。実施例1より糖化液のマルトトリオースの含有量が低くても、クロマト分画して得られた高純度マルトトリオースの純度が実施例1より高く、また、非老化性デキストリン中の低重合度オリゴマーの含有量も少ない。
【0080】
【表5】
【0081】
<実施例4>
実施例1、2及び3で分画した各非老化性デキストリン濃縮液の45%濃度の溶液を下記の条件でスプレー乾燥して粉末製品とした。
【0082】
スプレードライヤー出口温度 80℃
給液量 4.5L/hr
ディスク径 100mm
ディスク回転数 16,000RPM
得られた各非老化性デキストリン粉末は、いずれも水分が3.8%であり、高湿度下でも流動性が極めて良好であった。
【0083】
<実施例5>
実施例2で調製した非老化性デキストリン濃縮液と高純度マルトトリオース濃縮液を固形分比で非老化性デキストリン:高純度マルトトリオース濃縮液=15:85に混合溶解した糖液濃度45%/ds溶液を実施例4のスプレー条件でスプレー乾燥して粉末製品とした。
【0084】
得られた糖粉末は、水分が2.8%であり、吸湿性の強いマルトトリオース50%以上含有しているにもかかわらず粉体流動性が極めて良好であった。
【0085】
【発明の作用・効果】
本発明に係るマルトトリオースの製造方法は、上記の如く、澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼを作用させてマルトトリオース含有量が25〜48%/dsの糖化液を調製し、該糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液画分と非老化性デキストリン液画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得る方法なので、下記のような効果を奏する。
【0086】
マルトトリオヒドロラーゼの相対的に少量な使用で、高純度(45%/ds以上の)のマルトトリオース液を製造することができる。特に、他の汎用のαアミラーゼ等の分解酵素と併用することにより、マルトトリオヒドロラーゼの使用量を相対的に更に低減することができる。
【0087】
なお、実施例1〜3の結果から、マルトリトリオース純度が50%/dsのものを得るために従来、5U/g 以上のマルトトリオヒドロラーゼを使用したのに対し、実施例1〜3では、マルトトリオヒドロラーゼの使用量は、0.75〜1.4U/g と、約1/7〜1/4ですむことが分かる。
【0088】
50%/ds以上含有マルトトリオース製品1kgを製造する場合の、従来例及び実施例1〜3における、酵素代を比較したものを、表6に示す。表6から酵素代が約1/3〜1/6になることが分かる。
【0089】
マルトトリオース液の製造に際して、即ち、クロマト分画で高純度マルトース液画分に対する他の画分(副生物)として、非老化性デキストリン液が得られ、副生物も製品として有効利用できる
なお、本発明の発明性に直接関係ないが、他方、非老化性のデキストリンを製造する方法については、例えば、特公昭52−46290号公報、特開昭61−205494号公報等の公知技術が存在する。
【0090】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクロマト分画にしようするクロマト分離装置の概略図
【符号の説明】
11 クロマト分離装置の第一塔
13 クロマト分離装置の第二塔
15 クロマト分離装置の第三塔
17 クロマト分離装置の第四塔
Claims (4)
- 澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼをα−アミラーゼとともに作用させてマルトトリオース含有量が27〜43%/dsの糖化液を調製し、該糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液の画分と非老化性デキストリン液の画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得ることを特徴とするマルトトリオース液の製造方法。
- 澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼを、又は、該マルトトリオヒドロラーゼとともにα−アミラーゼ又はプルラナーゼともに作用させてマルトトリオース含有量が27〜43%/dsの糖化液を調製し、該糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液の画分と非老化性デキストリン液の画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得、さらに、
前記非老化性デキストリン液を噴霧乾燥して粉末製品にすることを特徴とする非老化性デキストリン粉末の製造方法。 - 澱粉の液化液に、分解酵素としてマルトトリオヒドロラーゼを、又は、該マルトトリオヒドロラーゼとともにα−アミラーゼ又はプルラナーゼともに作用させてマルトトリオース含有量が27〜43%/dsの糖化液を調製し、該糖化液を、イオン交換クロマトグラフィーで、高純度マルトトリオース液の画分と非老化性デキストリン液の画分とにクロマト分画してマルトトリオース液を得、さらに、
該マルトトリオース液に対して前記非老化性デキストリン液を添加した混合液を噴霧乾燥して粉末化することを特徴とする高純度マルトトリオース粉末の製造方法。 - 前記非老化性デキストリン液の前記マルトトリオース液に対する混合割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜75/25であることを特徴とする請求項3記載の高純度マルトトリオース粉末の製造方法。
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