JP2696530B2 - オリゴ糖の少ないマルトース及びその還元物の製造方法 - Google Patents
オリゴ糖の少ないマルトース及びその還元物の製造方法Info
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Description
その還元物の製造方法に関するものである。
−D−グルコースは古くから麦芽水飴の主成分として知
られ、良質の風味を有するために広く食品に使用されて
きた。一方、その還元物であるマルチトール、即ち4−
〔α−D−グルコピラノシル〕−D−グルチトールも微
生物により醗酵されにくいことや、砂糖に近い甘味を呈
することなどの利点を有することから食品、化粧品、薬
品などの分野で広範囲の用途に使用されている。
して粉末品の需要が増大しており、更に医薬品用途のマ
ルトースやマルチトールは高純度の品が要望されてお
り、一方では粉末品のなかでも吸湿性の低いものが望ま
れている。また、マルトース又はマルチトールの粉末品
はマルトース又はマルチトールの純度が高いものほど粉
末化が容易であるという技術的事情もあった。
を作る場合には、その純度を高めることによって粉末化
させようとした試みが主流になり、多くの方法が紹介さ
れている。
ールの純度を高めるために糖化工程の管理が極めて困難
であったり、特殊な酵素を使用しているために経済的に
不利であったり、クロマト分画などの困難で手間のかか
る工程が含まれていたりなどの工業的に実施する上で不
都合な点があった。その後、これらの不都合はマルトー
ス又はマルチトールの純度を極めて高くして粉末化を容
易にしようとしたために発生したものであることに着目
し、その改善方法が検討された。その結果、たとえ単糖
又は単糖の還元物が少々増加したとしても、オリゴ糖又
はオリゴ糖アルコールを少なくしようとする試みがなさ
れた。その改善方法としては、特公昭57−3356号公報
や特公昭56−28153号公報、特公昭56−28154号公
報、更に特願昭63−101355号や特願昭63−101356号
に記載されているような方法などがあり一応の成果を見
ている。上記の改善方法、、の要点は、糖化の際
にマルトトリオース分解活性/マルトース分解活性≧2.
5である酵素等を作用させるというものであり、改善方
法及びの要点は、汎用性の高い酵素を特殊な組み合
わせで使用して特定の組成の粉末化の容易な糖液を調製
するというものであった。
ており、工業的に粉末化の容易なマルトース又はマルチ
トールを製造する方法として充分に有利な方法とはいえ
なかった。
る酵素として特殊なものを使用しているために、酵素の
入手が困難であるという不都合があった。更に糖化の際
にマルトースも比較的に多く加水分解されるためにグル
コース含量が増加してマルトース収率が高まらないの
で、開示されている各種条件の中でもデキストロース当
量(DE)1前後で液化を止めて糖化し、高純度マルトー
スを製造する必要があった。つまりDE1前後で液化を止
めるという極めて困難な方法であった。
高いマルトース又はマルチトールを得ようとしたときは
クロマト分離等の条件が比較的正確なものを要求される
などの課題を有していた。
ゴ糖の少ないマルトース及びその還元物を工業的に有利
に製造する方法として十分なものではなかった。
トース及びその還元物を製造するための、より容易でし
かも有利な方法の開発が強く望まれていた。
研究を重ねた結果、バチルス・ステアロサーモフィルス
(Bacillus stearothermophilus)の遺伝子のマルトゲ
ニック−α−アミラーゼがコードされた部分をプラスミ
ドにはめ込み、バチルス・ズブティリス(Bacillus sub
tilis)に組込んで生産されたマルトゲニック−α−ア
ミラーゼ(以下単にマルトゲニックアミラーゼというこ
とがある。)を澱粉液化物の糖化の際に特定の方法で使
用することによって、従来の方法よりも簡単な工程で、
容易に粉末化可能なオリゴ糖の少ないマルトース及びそ
の還元物を製造することに成功し、本発明を完成するに
至った。
用し、経済的に有利な地上澱粉をも利用可能にし、粉末
化の容易な、オリゴ糖含有量の少ないマルトース及びそ
の還元物を製造する方法を提供することにある。
溶液に液化酵素を作用させて液化し、デキストロース当
量15以下にて液化酵素を失活させる第1工程、 上記工程で得られた液化物にβ−アミラーゼ及びプル
ラナーゼ及び/又はイソアミラーゼを作用させると同時
に又は作用開始後36時間以内にマルトゲニックアミラー
ゼを作用させて糖化する第2工程、 第2工程開始後、1〜48時間後に液化酵素を基質固形
分1gあたり1〜20単位添加して更に糖化し、糖化物のマ
ルトース含量が固形分中75〜90重量%で、且つ糖化物に
含まれるオリゴ糖の含有量が次式で計算したとき7以下
の数値の範囲に糖化する第3工程、 から構成される。
液に液化酵素を作用させて液化し、デキストロース当量
15以下にて液化酵素を失活させる第1工程、 上記工程で得られた液化物にβ−アミラーゼ及びプル
ラナーゼ及び/又はイソアミラーゼを作用させると同時
に又は作用開始後36時間以内にマルトゲニックアミラー
ゼを作用させて糖化する第2工程、 第2工程開始後、1〜48時間後に液化酵素を基質固形
分1gあたり1〜20単位添加して更に糖化し、糖化物のマ
ルトース含量が固形分中75〜90重量%で、且つ糖化物に
含まれるオリゴ糖の含有量が次式で計算したとき7以下
の数値の範囲に糖化する第3工程、 第3工程で得られた糖化物を還元る第4工程、 により構成される。
いマルトース又はその還元物は、公知の方法により、精
製、濃縮、クロマト分離、結晶化(固化)、乾燥、粉末
化などの工程に供することによって容易に粉末状又は結
晶状のマルトース又はマルチトールを、更に高純度のマ
ルトース又はマルチトールを調製することができる。
に、第1番目の発明の内容を説明する。
であるが、特に従来は粉末状又は高純度マルトース及び
その還元物を製造するうえで不都合の多かった地上澱粉
も有利に使用可能であることが、本発明の利点の一つで
ある。本発明を実施するうえでこの澱粉中のアミロース
やアミロペクチンの組成も特に気にする必要はなく、使
用可能な澱粉を具体的に例示すると、トウモロコシ澱
粉、小麦澱粉、大麦澱粉、などの地上澱粉の他に各種の
地下澱粉があげられる。
きは特に液化液の老化を防ぐ意味で液化時の基質濃度を
好ましく10〜30%、pHを6.0〜6.8に調整して耐熱性の液
化酵素例えばノボ社のターマミル(登録商標)などの液
化酵素を使用して液化し、デキストロース当量15以下、
更に好ましくは3〜13で液化酵素を失活させることが望
ましい。
又はイソアミラーゼ及びマルトゲニックアミラーゼをβ
−アミラーゼ及びプルラナーゼ及び/又はイソアミラー
ゼと同時〜36時間以内に作用させて糖化するが、その一
般的な好ましい条件は基質濃度5〜40重量%、pH5.3、
温度55℃程度である。
1gあたり1〜20単位添加して更に糖化するが、この操作
により、主に四糖以上のオリゴ糖を加水分解してマルト
ース及び三糖を生成し、必要に応じてその後に行われる
工程の一層の効果発現を促す糖組成とし、ろ過性を改善
することができる。
瀬産業(株)製のβ−アミラーゼ#1500、フィンシュガ
ー社製のスペザイム(SPEZYME;登録商標)BBA 1500など
があるが、それらの中でも大豆由来のβ−アミラーゼが
本発明を実施するうえで有利な性質をそなえており、プ
ルラナーゼとしてはノボ社のプロモザイムや天野製薬
(株)製のプルラナーゼアマノCKL等が汎用性が高く、
市販されていることや酵素の性質等から有利に使用でき
る。
ニックアミラーゼとしては、ノボ社のマルトゲナーゼ
(Maltogenase;登録商標)がある。
ば前記遺伝子組変えにより製造したノボ社のマルトゲナ
ーゼを1〜20単位(このマルトゲナーゼの活性はマルト
ゲニック・アミラーゼ・ノボ・ユニットを採用して説明
する。)使用したときにβ−アミラーゼが10〜30単位、
プルラナーゼが0.6〜2.0単位である。また、この糖化工
程はマルトースの純度が平衡に達するまで(通常24〜72
時間)を目安に行う。
性でも使用可能であるが、非耐熱性の液化酵素の方が本
発明を実施するうえで一層効果的である。
且つ糖化物に含まれるオリゴ糖の含有量が次式で計算し
たとき7以下の数値の範囲に糖化することができる。
るマルトースを主成分とする製品群のなかでは比較的高
いマルトース純度を有するものであり、その成分組成は
三糖以上のオリゴ糖含有量が少ないので、市販の類似製
品に比較して粘度が低く、結晶化した場合にはマルトー
スの結晶成長速度が速いので、公知の方法で直接結晶・
粉末化することが容易である。更に、晶析やクロマト分
離工程に供して純度を高めようとした場合にも従来の方
法で製造した製品よりも一層有利に高純度のマルトース
を製造することができる。
法、噴霧造粒法、流動造粒法、ブロック粉砕法の各種方
法またはそれらの組み合わせが採用可能である。
交換樹脂、イオン交換繊維、ゼオライトなどの各種イオ
ン交換体をアルカリ金属型にしてクロマト分離する方法
や適切な濃度まで濃縮した後、晶析、分蜜化する方法な
どが採用可能である。
をそのまま又は必要に応じて上記各種手段でマルトース
順序を高めた後、それ自身は公知の回分式または連続式
の方法で、ニッケル系または貴金属系などの還元触媒の
存在下で水素添加してマルチトールを主成分とする糖ア
ルコールにする。この水素添加条件はマルトースの分解
が生じない条件であれば、どのような条件でも良いが、
通常は糖液の濃度を40〜60重量%にして、水素圧20kg/c
m2以上、更に好ましくは50〜200kg/cm2で、100〜150℃
の温度で行う。
ルチトールは、現在市販されているマルチトールを主成
分とする製品群の中では比較的高いマルチトール順度を
有するものであり、その成分組成は三糖以上のオリゴ糖
アルコール含有量が少ないので、市販の類似製品に比較
して粘度が低く、結晶化した場合にはマルチトールの結
晶成長速度が速いので、公知の方法で直接結晶・粉末化
することが容易である。
の公知の方法によって更にマルチトールの純度を高める
ことも容易に可能である。
明するが、本発明は以下の実施例によって限定されもの
ではない。
液化酵素〔長瀬産業(株)製、スピターゼHS〕20u/g基
質固形分(以下DSと略する。)を添加して常法にて105
℃で液化した。加熱により液化反応をDE6.5にて停止さ
せた。
産業(株)製β−アミラーゼ#1500及び0.67u/gDSのノ
ボ社製プロモザイムTM200Lを添加して糖化反応を進め
た。
5u/gDSを添加した。
を20u/gDS添加して更に66時間糖化反応を継続した。
ーにて測定した結果は次の通りであった。
濃縮して濃度50%の精製糖液とし、その20kgとラネーニ
ッケル触媒200gを内容積25のオートクレーブに仕込
み、水素圧を150〜120kg/cm2に保ち、120℃にて2時間
攪拌し、水素添加を行った。得られた液を触媒と分離し
た後、粒状活性炭のカラムを通して高速液体クロマトグ
ラフィーにて分析した結果は以下の通りであった。
10℃に冷却後、種晶3重量%を添加混合して攪拌しなが
ら15時間かけてマスキットを調製し、噴霧乾燥機で送風
温度80℃にて噴霧結晶化し、結晶状の粉末マルチトール
を得た。
%、二糖90.0%、三糖7.0%、四糖以上のオリゴ糖1.6
%)を還元し、下記の組成を有する還元物を得た。
ト調製操作を行ったが15時間後噴霧乾燥可能なマスキッ
トは得られなかった。
比較的短い工程で、容易な工程管理で、経済的に有利
に、容易に粉末化可能な組成の、オリゴ糖の少ないマル
トース及びその還元物を製造することが可能になる。
Claims (2)
- 【請求項1】濃度5〜40重量%の澱粉水溶液に液化酵
素を作用させて液化し、デキストロース当量15以下にて
液化酵素を失活させる第1工程、 上記工程で得られた液化物にβ−アミラーゼ及びプル
ラナーゼ及び/又はイソアミラーゼを作用させると同時
に又は作用開始後36時間以内にバチルス・ステアロサー
モフィルス(Bacillus stearothermophilus)の遺伝子
のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードされた部分
をプラスミドにはめ込み、バチルス・ズブティリス(Ba
cillus subtilis)に組込んで生産されたマルトゲニッ
ク−α−アミラーゼを作用させて糖化する第2工程、 第2工程開始後、1〜48時間後に液化酵素を基質固形
分1gあたり1〜20単位添加して更に糖化し、糖化物のマ
ルトース含量が固形分中75〜90重量%で、且つ糖化物に
含まれるオリゴ糖の含有量が次式で計算したとき7以下
の数値の範囲に糖化する第3工程、 上記3工程を逐次的に実施することを特徴とするオリゴ
糖の少ないマルトースの製造方法。 - 【請求項2】濃度5〜40重量%の澱粉水溶液に液化酵
素を作用させて液化し、デキストロース当量15以下にて
液化酵素を失活させる第1工程、 上記工程で得られた液化物にβ−アミラーゼ及びプル
ラナーゼ及び/又はイソアミラーゼを作用させると同時
に又は作用開始後36時間以内にバチルス・ステアロサー
モフィルス(Bacillus stearothermophilus)の遺伝子
のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードされた部分
をプラスミドにはめ込み、バチルス・ズブティリス(Ba
cillus subtilis)に組込んで生産されたマルトゲニッ
ク−α−アミラーゼを作用させて糖化する第2工程、 第2工程開始後、1〜48時間後に液化酵素を基質固形
分1gあたり1〜20単位添加して更に糖化し、糖化物のマ
ルトース含量が固形分中75〜90重量%で、且つ糖化物に
含まれるオリゴ糖の含有量が次式で計算したとき7以下
の数値の範囲に糖化する第3工程、 第3工程で得られた糖化物を還元する第4工程、 上記4工程を逐次的に実施することを特徴とするオリゴ
糖アルコールの少ないマルチトールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17176388A JP2696530B2 (ja) | 1988-07-12 | 1988-07-12 | オリゴ糖の少ないマルトース及びその還元物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17176388A JP2696530B2 (ja) | 1988-07-12 | 1988-07-12 | オリゴ糖の少ないマルトース及びその還元物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0223881A JPH0223881A (ja) | 1990-01-26 |
JP2696530B2 true JP2696530B2 (ja) | 1998-01-14 |
Family
ID=15929228
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17176388A Expired - Lifetime JP2696530B2 (ja) | 1988-07-12 | 1988-07-12 | オリゴ糖の少ないマルトース及びその還元物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2696530B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7183265B2 (en) | 2001-08-22 | 2007-02-27 | Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo | Powdery product comprising crystalline β-maltose monohydrate, its preparation, and uses |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6919446B1 (en) * | 1998-01-20 | 2005-07-19 | Grain Processing Corp. | Reduced malto-oligosaccharides |
MX2014009226A (es) * | 2012-01-31 | 2014-11-10 | Cargill Inc | Proceso para producir maltosa a partir de almidon. |
-
1988
- 1988-07-12 JP JP17176388A patent/JP2696530B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7183265B2 (en) | 2001-08-22 | 2007-02-27 | Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo | Powdery product comprising crystalline β-maltose monohydrate, its preparation, and uses |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0223881A (ja) | 1990-01-26 |
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