JP2696534C - - Google Patents

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JP2696534C
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maltose
amylase
maltogenic
maltitol
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東和化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高純度マルトース及びその還元物の製造方法に関する。 〔従来の技術〕 マルトース、即ち4−[α−D−グルコピラノシル]−D−グルコースは古来
麦芽水飴の主成分として知られ、良質の風味を有するために広く食品に使用され
てきた。 一方、その還元物であるマルチトール、即ち4−[α−D−グルコピラノシル
]−D−グルチトールも、微生物により発酵されにくいことや、砂糖に近い甘味
質を有することなどの利点があることから、食品、化粧品、薬品などの分野で広
範囲の用途に使用されている。 従来、高純度のマルトース又はマルチトールを得ることは、他の糖類の高純度
品を得ることに比較して困難であったが、特殊な糖化方法を採用したり、他の糖
類の純度を高める際に多く利用されているクロマト分離法をマルトース又はマル
チト ールの製造工程に適用することにより、その困難さを軽減する試みがなされてき
た。 高純度のマルトース又はマルチトールを得ようとする試みは多数報告されてい
るが、それらのなかでも代表的なものは以下の4種に大別される。 即ち、第1の方法は、例えば、特開昭57-134498号公報に開示されているよう
な、α−アミラーゼで澱粉を低DE(デキストロース当量)に液化した澱粉液化
液にβ−アミラーゼ及びイソアミラーゼを作用させて、マルトース高含有液を得
、更に必要に応じてこれを水素添加して高純度マルチトールを得る方法である。 第2の方法は、特開昭57-209000 号公報、同58-23799号公報、同60-67000号公
報、同62-19210号公報等に開示されているような、グルコース含有量が少なく、
マルトース純度75〜85%程度(本明細書中、%とは固形分あたりの重量%を
示す。以下単に純度ということがある。)のマルトースを主成分とする液化液の
成分を、アルカリ金属形強酸性カチオン交換樹脂でクロマト分離する ことにより、例えば93%以上の高純度マルトースを製造し、その後水素添加し
て高純度マルチトールにする方法である。 第3の方法は、特開昭61-180797 号公報に開示されているような、濃度25〜
45%の澱粉乳を液化した後、糖化条件を調節して糖化し、マルトース純度50
〜80%以上の糖化液を得、その後これを水素添加してからクロマト分離するこ
とにより高純度のマルチトールを製造する方法である。 第4の方法は、特願昭63-101356 号に紹介されているような汎用性の高い酵素
を特殊な組み合わせで使用する方法である。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、従来の方法には数多くの課題が残されており、工業的に有利に
高純度のマルトース又はマルチトールを製造する方法として満足なものではなか
った。 例えば、に開示されている方法は、澱粉を液化する際のDEをできるだけ低
く抑える必要がある。具体的には、高純度のマルトース又はマルチ トールを得るためにはDEを2以下、更に好ましくは、0.5〜1.0にすること
が要求される。 このDE値及びその後の工程中での数値を満たすためには、原料澱粉を価格の
高い地下澱粉(馬鈴薯澱粉等)に限定し、更に液化濃度を20%以下と、通常の
ハイマルトースを製造する工程よりも低くする必要がある。 その結果、この方法は大量に生産・販売されているハイマルトースシロップや
グルコースシロップの製造工程中の糖化槽と比較して、非常に大きなものを必要
とする。 また、大量の水を濃縮する必要があるため、濃縮コストの増大を招くなどの欠
点もあった。 の方法は経済的に有利な地上澱粉も使用し得る方法であり、マルトースの純
度を高める役を担っている工程は、マルトースとDP(糖の重合度)3以上、即
ち、三糖以上のオリゴ糖とを分離する方法である。しかし、この方法は、特にマ
ルトースとマルトトリオースの分子量比が小さく、その他の分離に必要な性質の
差異も小さいために、 分離が極めて困難である。 このため、容量の大きな分離塔を必要とし、分離に大量の溶出水を要すること
やその結果この水の濃縮費用がかさむことなどの不利益がある。 更に分離が困難なためにマルトース画分の中にグルコースなどの不純物が混入
することが多く、マルトース純度が高くなりにくいという欠点もあった。 また、の方法は、分画に供する液の組成がソルビトール、マルチトール、及
びDP3以上の糖アルコールの混合物であり、これからマルチトールを主成分と
する画分を取り出すために8塔式のクロマト分離装置を、極めて複雑な操作で用
いている。 それにも拘らず、各糖成分の分離状態は不良であり、結果的に、マルチトール
を主成分とする画分にはマルトトリイトールが8%前後混入している。 この方法は、DP3以上の糖アルコールが混入してくるので、その後のマルチ
トールの結晶析出 が阻害され、結晶化工程に長時間を要することやマルチトールの収率が低い結果
を招くなどの不都合を生じている。 更に、分画に使用しているカルシウム型イオン交換体は、ソルビトールに対し
て極めて強い吸着力を有するので、その溶出がマルチトールやDP3以上の糖ア
ルコールに比較して著しく遅れ、その結果クロマト分離の際に原料糖液の約5倍
の溶出液を必要とするという欠点もあった。 このことは、つまり、その後の濃縮工程で大量の水を濃縮、除去する必要があ
るということであり、工業的には極めて不利なことである。 次に、の方法は汎用性の高い酵素を特殊な組み合わせで使用してはいるが、
最終糖化段階で高価なグルコアミラーゼを比較的多量に使用する必要があること
や、糖化終了時点でのマルトースの純度が比較的低いこと、更に、還元後にクロ
マト分離工程が必要なためにこの工程を含まないプロセスに比べ、カラムから溶
出する際に使う水によって工程中の固形分濃度が低くなってしまい、製 品化前にこの水を蒸発させる必要があることから、経済的に不利であるという欠
点を有していた。 以上のことから、クロマト分離をせずに、経済的に有利で、糖化終了時点でマ
ルトース純度が高く、且つ工程の簡素な、高純度マルトース及ぴその還元物の製
造方法が切望されていた。 〔課題を解決するための手段〕 上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、バチルス・
ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)の遺伝子のマルトゲニ
ック−α−アミラーゼがコードされた部分を組込んだプラスミドを調製して、更
に、このプラスミドをバチルス・ズブティリス(Baci-llus subtilis)に組込んで
生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼ(以下単にこのものをマルトゲニッ
ク−α−アミラーゼと言うことがある)を使用して特定の条件下で糖化すること
によって、経済的に有利で且つ簡素な高純度マルトースの製造方法を開発し、本
発明を完成するに至った。 以下に本発明の内容を詳細に説明する。 本発明の目的は食品又は各種原材料として有用な高純度マルトース又は高純度
マルチトールの有利な製造方法を提供することにある。 請求項1の本発明の工程は、1)澱粉を液化した後、β−アミラーゼ、イソア
ミラーゼ、プルラナーゼからなる群の中から選ばれる2種以上の酵素を使用して
固形分中のマルトース純度を70重量%以上に調製したのちに、マルトゲニック
−α−アミラーゼを添加して次式 の数値を与えるまで糖化する方法、つまり、従来品の酵素を組合わせて使用する
ことによりマルトース純度を70%以上にした後、マルトゲニック−α−アミラ
ーゼで三糖以上のオリゴ糖を選択的に加水分解して更にマルトースの純度を高め
ることにより構成される。 また、請求項2の本発明の工程は上記1)と同様の糖化工程を経た後に、得ら
れた糖化物を還元することにより構成される。 本発明の原料は、地上澱粉、地下澱粉の別を問わず使用可能であり、澱粉中の
アミロースやアミロペクチンの組成も気にする必要はない。 本発明に使用可能な澱粉を具体的に例示すると、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱
粉、その他大麦、甘薯、タピオカなど由来の澱粉が挙げられる。 次に、これらの澱粉を液化するが、液化の方法や条件は特別に限定する必要は
ない。 然しながら、濃度を高く保つことにより経済性を改善するためと、DEを比較
的高くすることにより液化物の老化を防止するために、例えば基質濃度20〜3
5%で、例えばノボ社のターマミル(登録商標)などの耐熱液化酵素を使用して
、ジェットクッカー等の装置による液化を行い、DE5〜15程度で液化酵素を
失活させることが有利である。 更に、この液化液を55〜60℃で糖化するが、 その際にβ−アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼからなる群の中から選
ぱれる2種以上の酵素を使用する。 この糖化工程開始後マルトゲニック−α−アミラーゼを添加する前までの糖化
の程度は、固形分中のマルトース純度が70重量%以上になるまで糖化すること
が、最終的に純度の高いマルトース又はその還元物を製造するために有利である
。 このとき使用する糖化酸素は、β−アミラーゼとしては例えば長瀬産業(株)製
のβ−アミラーゼ#1500、フィンシュガー社製のスペザイム(SP-EZYME;登
録商標)BBA1500 などがあるが、それらの中でも大豆由来のβ−アミラーゼが本
発明を実施するうえで有利な性質を備えている。 また、プルラナーゼとしてはノボ社のプロモザイムや天野製薬(株)製のプルラ
ナーゼアマノ CKL等が汎用性が高いことや酵素の性質から有利である。 次に、マルトゲニック−α−アミラーゼを添加して下記の式 を満たすまで糖化を行うが、本発明を実施する上で使用できるマルトゲニック−
α−アミラーゼとしてはノボ社のマルトゲナーゼがある。 その好適な糖化条件は、温度50〜60℃、酵素添加量1〜20u/g基質固
形分(以下DSと略することがある。)、pH4.5〜6.5 程度であり、これによ
り、マルトース純度80〜90%程度の高純度マルトースを得ることができる。 更に、前記のようにして得られた高純度マルトースを、それ自身は公知な方法
で、回分式又は連続式の方法を採用し、ニッケル系又は貴金属系などの触媒の存
在下で水素添加して高純度マルチトール液にすることができる。 水素添加条件は、マルトースの分解が生じない条件であればどのような条件で
も良いが、通常は糖液の濃度を40〜60重量%にして、水素圧 20kg/cm2以上で反応させることが好ましく、50〜200kg/cm2で、温度1
00〜150℃にて実施することが更に好ましい。 この水素添加後の未還元糖は極端に低減させる必要はないが、1%以下、更に
は0.5 %以下にすることが、このものを利用加工する上で有利な物性を付与する
ことが可能になるので好ましい。 得られた水素添加液は、必要に応じて触媒を除去した後、更に必要ならば脱色
、脱イオンなどの精製操作を経由して製品とすることができる。 本発明の方法により得られる高純度マルトース又は高純度マルチトールは、現
在市販されているマルトース又はマルチトールを主成分とする製品群の中では比
較的高いマルトース又はマルチトール純度を有するものであり、その成分組成は
三糖以上のオリゴ糖又はオリゴ糖アルコール含有量が少ないので、クロマト分離
法や晶析分蜜化などの公知の方法で更にマルトース又はマルチトールの純度を向
上させたり、公知の方法で直接結晶・粉末化させることも容易に可能である。 〔実施例〕 次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に
より限定されるものではない。 実施例−1 (工程−1) トウモロコシ澱粉を濃度32%、pH6.3 に調整し、耐熱液化酵素
[長瀬産業(株)製、スピターゼHS]20u/gDSを添加してジェットクッカー
にて105℃で液化した。液化酵素を失活させることによりDE12にて液化を
停止した。 (工程−2) 次に、液化液をpH5.5 に調整し、温度57℃で1ml/kgDSの
フィンシュガー社製のスペザイムBBA1500及び1u/gDSのノボ社製プ
ルラナーゼ、プロモザイムTM 200 Lを添加して糖化反応を進め6時間目に液化酵
素スピターゼPN4を20u/gDS添加して合計36時間糖化反応を行った。
糖化開始後36時間目の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果
は次の通りであった。 (一糖 1.0%) (二糖 72.8%) (三糖 21.2%) (四糖以上のオリゴ糖 5.0%) (工程−3) 次いで、マルトゲニック−α−アミラーゼ(ノボ社製、マルトゲ
ナーゼ)10u/gDSを添加して更に36時間反応を続け高純度マルトース−
を得た。反応終了後の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果は
次の通りであった。 (一糖 9.8%) (二糖 84.1%) (三糖 1.9%) (四糖以上のオリゴ糖 4.2%) 実施例−2 トウモロコシ澱粉の濃度を25%に液化DEを6に変更した以外は実施例1の
工程−1及び2と同様に操作して以下の糖組成の液を得た。 (一糖 0.7%) (二糖 80.5%) (三糖 14.7%) (四糖以上のオリゴ糖 4.1%) 更に マルトゲナーゼの添加量を5u/gDSに変更した以外は実施例1の工程−3
と同様に操作して以下の糖組成を有する高純度マルトース−を得た。 (一糖 5.5%) (二糖 88.9%) (三糖 1.6%) (四糖以上のオリゴ糖 4.0%) 実施例−3 実施例−1で得た高純度マルトース−を常法に従って脱色、脱塩、濃縮して
濃度50%の濃縮糖液とし、その20kgとラネーニッケル触媒200gを内容積2
5リットルのオートクレーブに仕込み、水素圧を 120kg/cm2に保ち、120℃にて
2時間攪拌して水素添加を行った。得られた反応液を触媒と分離し、粒状活性炭
のカラムを通した後、高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果は 以下の通りであった。 ソルビトール 10.3% マルチトール 83.8% 三糖以上のオリゴ糖アルコール 5.9% 実施例−4 実施例−2で得た高純度マルトース−を常法に従って脱色、脱塩、濃縮して
濃度50%の濃縮糖液とし、実施例−3と同様に水素添加し、その後の精製操作
の後、高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果は以下の通りであった。 ソルビトール 5.7% マルチトール 88.5% 三糖以上のオリゴ糖アルコール 5.8% 〔発明の効果〕 以上の記載から明らかなように、本発明により、汎用酵素及びマルトゲニック
−α−アミラーゼを特定の条件下で使用し、各工程を実施することにより、容易
な操作で高純度マルトース又はマルチトールを収率良く得ることができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) 濃度20〜35重量%の地上澱粉水溶液をDE5〜15になるまで液化し
    た後、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼからなる群の中から選ば
    れる2種以上の酵素を使用して固形分中のマルトース純度を70重量%以上に調
    製したものに、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophi
    lus)の遺伝子のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードされた部分を組み込
    んだプラスミドをバチルス・ズブティリス(Bacillus subtilis)に組込んで生
    産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加して次式 の数値を与えるまで糖化することを特徴とする 高純度マルトースの製造方法。 (2) 濃度20〜35重量%の地上澱粉水溶液をDE5〜15になるまで液化
    した後、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼからなる群の中から選
    ばれる2種以上の酵素を使用して固形分中のマルトース純度を70重量%以上に
    調製したものに、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermop
    hilus)の遺伝子のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードされた部分を組み
    込んだプラスミドをバチルス・ズブティリス(Bacillus subtilis)に組込んで
    生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加して次式 の数値を与えるまで糖化する第1工程、 得られた糖化物を還元する第2工程、 上記2工程を逐次的に実施することを特徴とする高純度マルチトールの製造方法

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