JP2696537C - - Google Patents

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JP2696537C
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saccharification
amylase
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maltose
maltogenic
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東和化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高純度マルトースの製造方法に関するものである。 (従来の技術) マルトース、即ち4−[α−D−グルコピラノシル]−D−グルコースは古来
麦芽糖水飴の主成分として知られ、良質の風味を有するために広く食品に使用さ
れてきた。 近年、食品加工への応用及び医薬への利用の面で、マルトースが他の多くの糖
類に見られない特質を持つことが明らかにされており、その高純度品の需要が高
まり、高純度マルトースの有利な工業的製造方法の確立が期待されている。 従来から、高純度のマルトースを製造する試みは数多くなされてきたが、高純
度のマルトースを製造することは他の糖類の高純度品を製造することに比較して
困難であり、実用的に成功している方法は少ない。 それらの従来法の中でも代表的な方法は、おおまかに以下のようなものであっ
た。 第1の方法は、例えば特開昭57−134498号公報に開示されているよ
うに、α−アミラーゼで澱粉を低DE(デキストロース当量)に液化した後、β
−アミラーゼ及びイソアミラーゼを作用させて、マルトース高含有液を得る方法
である。 第2の方法は、特開昭57−209000号公報、同58−23799号公
報、同60−67000号公報、同62−19210号公報等に開示されている
ようなグルコース含有量が少なく、マルトース純度75〜85%程度(本明細書
中、%とは特に断らないかぎり固形分あたりの重量%を示す。以下単に純度とい
うことがある。)のマ ルトースを主成分とする糖化液の成分をアルカリ金属形強酸性陽イオン交換樹脂
でクロマト分離することにより、例えば純度93%以上の高純度マルトースを製
造する方法である。 第3の方法は、特開昭63−101356号公報に開示されているような汎
用性の高い酵素を特殊な組み合わせで使用して高純度マルトースを得る方法であ
る。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来多くの方法があるにも拘らず、それらには何れも課題が残
っており、経済的に有利な各種澱粉から、工業的に簡素な工程で、且つ有利に高
純度のマルトースを製造する方法としては満足なものでなかった。 例えば、に紹介されている方法は、澱粉を液化する際のDEをできるだけ低
く抑える必要があり、更に具体的には、高純度のマルトースを得るためにはDE
を2以下、更に好ましくは0.5〜1.0にすることが要求される。 このDE値及びその後の工程中での数値を満た すためには、原料澱粉を価格の高い地下澱粉(馬鈴薯澱粉等)に限定し、更に液
化濃度を20%以下と、通常のハイマルトースを製造する工程よりも低くする必
要がある。 その結果、この方法は液化後のDEを2以下に抑えるために、極めて困難な、
微妙な液化工程の調節が必要であり、また、糖化の際に、大量に生産・販売され
ているハイマルトースシロップやグルコースシロップの製造に使用されている糖
化槽と比較して、非常に大きなものを必要とする。 更に、大量の水を濃縮する必要があるため、濃縮コストの増大を招くなどの経
済的な欠点もあった。 また、に紹介されている方法は経済的に有利な地上澱粉も使用し得る方法で
はあるが、マルトースとDP(糖の重合度)3以上即ち、三糖以上のオリゴ糖と
を分離するものであって、特にマルトースとマルトトリオースは分子量比つまり
分子量の差が小さく、また、分離に必要なその他の性質の差異も小さいために分
離が困難であることか ら、容量の大きな分離塔を必要とし、分離に大量の溶出水を要することや、その
結果この水の濃縮費用がかさむことなどの不利益がある。 更に、分離が困難なためにマルトース画分のなかにグルコースなどの不純物が
混入することが多く、高純度のマルトースが得られにくいという欠点もあった。 更に、に開示されている方法は汎用性の高い酵素を特殊な組み合わせで使用
しており、実用性は高いが、糖化終了時点でグルコアミラーゼを比較的多く使用
する必要があることや、糖化終了時点ではマルトースの純度が比較的に低いとい
う欠点があった。 このような事情から、クロマト分離などの繁雑で水を大量に使用する工程を経
ずに、簡素な工程で、経済的に有利な地上澱粉からも高純度マルトースを製造可
能な方法の開発が望まれていた。 (課題を解決するための手段) 前記課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、澱粉を糊化
した後、β−アミ ラーゼ等の既知汎用酵素で糖化し、遺伝子組み変えにより生産されたマルトゲニ
ック−α−アミラーゼを用い、特定条件で糖化することにより低分子糖化物中の
マルトース含有量が極めて多くなることを見出し、これを利用して高純度マルト
ースを製造することに成功して本発明を完成するに至った。 以下に本発明の内容を詳細に説明する。 本発明の目的は、簡素な工程で、クロマト分離等の繁雑な工程を経由せずに、
経済的に有利な地上澱粉からも、工業的に有利に高純度マルトースを製造し得る
工程を提供することにある。 第一の本発明は、濃度5〜15重量%の澱粉水溶液を加熱糊化する第1工程
、 得られた糊化物にβ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼからなる群
の中から選ばれる2種以上の酵素を使用して糖化する第2工程、 糖化開始後1〜24時間目に、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus
stearothermoph-ilus)の遺伝子のマルトゲニック−α−アミラー ゼがコードされた部分をはめ込んだプラスミドをバチルス・ズブティリス(Baci
llus subtilis)に組込んで生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加
して、糖化開始時点から10〜48時間糖化を継続する第3工程、 第3工程終了後pHを4.5以下に調整して水不溶成分を除去し、その後液化
酵素を添加して溶液中のデキストリンを加水分解し、精製してマルトースを液中
の固形分あたり94.5重量%以上含有した糖液を得る第4工程、により構成さ
れる。 第二の本発明は、濃度5〜15重量%の澱粉水溶液を加熱糊化する第1工程
、 得られた糊化物にβ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼからなる群
の中から選ばれる2種以上の酵素を使用して糖化する第2工程、 糖化開始後1〜24時間目に溶液のpHを4.5以下に調整し、残渣を除去し
た後、得られた糖液にバチルス・ステアロサーモフィルスの遺伝子のマルトゲニ
ック−α−アミラーゼがコードされた部分をはめ込んだプラスミドをバチルス・
ズブ ティリスに組込んで生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加し、糖化
開始時点から10〜48時間糖化を継続して、その後液化酵素を添加して溶液中
のデキストリンを加水分解し、ろ過・精製した後マルトースを液中の固形分あた
り94.5重量%以上含有した糖液を得る第3工程、により構成される。 本発明によれば、上記のような簡素な工程を実施することにより94.5%以
上という極めて高い純度のマルトースが得られる。 また、本発明によれば、地下澱粉からはもちろん、従来は困難であった地上澱
粉からの高純度マルトースの製造も可能になる。 本発明には地上澱粉、地下澱粉の別を問わずに使用することができ、澱粉中の
アミロースやアミロペクチンの組成も気にする必要はない。 本発明に使用可能な澱粉を具体的に例示するとトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉
、その他、大麦、甘薯、タピオカなど由来の澱粉が挙げられる。 次に、これらの澱粉を加熱糊化するが、加熱糊 化の条件は澱粉の濃度を5〜15%とし、温度110〜160℃で行うことが、
その後の工程を可能にし、純度の高いマルトースを得るために好ましい。 更に、この糊化物を55〜60℃で第1段目の糖化をするが、その際にβ−ア
ミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼからなる群の中から選ばれる2種以上
の酵素を使用して糖化反応を実施する。 この糖化工程開始後第2段目の糖化、即ちマルトゲニック−α−アミラーゼを
添加する前までの糖化の目安は1〜24時間であり、その糖化物の水に溶解して
いる物質中のマルトース含有量が88〜93%、更には91〜93%程度になっ
たときが好ましい。 この第1段目の糖化に使用する糖化酵素は、β−アミラーゼとしては例えば長
瀬産業(株)製のβ−アミラーゼ#1500、フィンシュガー社製のスペザイム(
SPEZYME;登録商標)BBA1500などがあるが、それらの中でも、大豆由来の
β−ア ミラーゼが本発明を実施する上で有利な性質を備えている。 また、プルラナーゼとしてはノボ社製のプロモザイムや天野製薬(株)製のプル
ラナーゼアマノCKL等が汎用性が高いことや本発明の実施上有利な性質を備え
ていることから好ましい。 次に、マルトゲニック−α−アミラーゼを添加して糖化するが、その好適な添
加量は3〜20u/gDSである。 このマルトゲニック−α−アミラーゼとしてはノボ社製のマルトゲナーゼがあ
る。 更に、糖化終了後、pHを一度4.5以下に調整するが、このことにより酵素
が失活するとともに糖化液中の残渣の分離・除去が容易に可能となる。 この後、液化酵素を添加して反応させるが、その時に好適な酵素添加量は0.
1〜30u/gDS、更に好適な量は1〜20u/gDSであり、反応温度、p
Hは各々90〜105℃、5.0〜6.0程度が好ましい。 この液化酵素の反応の目安はヨード反応で管理することが便利であり、ヨード
反応が呈色しなくなった時点が最も次工程の残渣の分離・除去及び精製に有利で
ある。 以上の工程の後、通常の方法で残渣の分離・除去及び精製をし、液の固形分中
のマルトース含有量94.5%以上の糖液を得ることができる。 また第二の本発明によれば、前記第1の発明の第2工程の後にpHを4.5以
下に調整して残渣を除去した後、第2段目の糖化を行い、更に、前記と同様の条
件下で液化酵素で処理した後精製して、純度94.5%以上の高純度マルトース
を製造することができる。 これらの水不溶物の除去又は残渣の除去を行う方法としては遠心分離法など、
澱粉糖化工業で一般に使用されている方法が採用可能である。 また、本発明の中で使用する液化酵素は、澱粉工業で一般に使用されているα
−アミラーゼなどが、使用可能である。 以上の工程で得られた高純度マルトースは極め て純度が高いので、そのまま又は単に粉末化してマルトースの商品群を形成する
ことも可能であるが、必要に応じて結晶化やクロマト分離法などの採用によって
更にマルトース純度を向上することも可能である。 また本発明によって得られたものをそのまま水素添加して高純度マルチトール
又は結晶マルチトールとすることも可能であり、更に、本発明の高純度マルトー
スの純度を向上させた後に水素添加して高純度マルチトールや結晶マルチトール
を製造することもできる。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明は以下
の実施例により限定されるものではない。 実施例−1 (第1工程)トウモロコシ澱粉を濃度11%に調整し、温度120℃で20分
間加熱することにより糊化した。 (第2工程)糊化液をpH5.5に調整し、温 度57℃で1ml/kg基質固形分(以下DSと略することがある。)のフィン
シュガー社製スペザイムBBA1500及び1u/gDSのノボ社製プロモザイ
ムTM200Lを添加して、6時間糖化反応を行った。 (第3工程)糖化開始後6時間目にノボ社製マルトゲナーゼ5u/gDSを添
加して、更に24時間糖化反応を継続した。 第3工程終了時の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果は
以下の通りであった。 一糖 1.7% 二糖 95.8% 三糖 0.5% 四糖以上のオリゴ糖 2.0% (第4工程)第3工程の後、pHを3.5に調整して酵素を失活させ、水不溶
成分を遠沈法により除去し、α−アミラーゼ20u/gを添加して温度100℃
で溶液がヨード反応を呈さなくなるまで反応させ、ろ過・精製して高純度マルト
ース−1を得た。 このものの高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果は以下の通りであっ
た。 一糖 1.7% 二糖 95.5% 三糖 0.7% 四糖以上のオリゴ糖 2.1% 実施例−2 (第1工程)実施例−1の温度を150℃に変えた以外は実施例−1の第1工
程と同様に加熱することにより、トウモロコシ澱粉を糊化した。 (第2工程)糊化液を実施例−1のβ−アミラーゼを長瀬産業(株)製β−アミ
ラーゼ#1500に変えた以外は実施例−1の第2工程と同様にして24時間糖
化反応を行った。 糖化開始後24時間目の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結
果は次の通りであった。 一糖 検出せず 二糖 92.5% 三糖 5.0% 四糖以上のオリゴ糖 2.5% (第3工程)糖化開始後24時間目にpHを3.0に調整し、遠心分離法によ
り残渣を除去し、pH 5.3にてノボ社製マルトゲナーゼ10u/gDSを添加して、更に24時間糖
化反応を継続した。 第3工程開始後24時間目にα−アミラーゼ1u/gを添加して温度100℃
で溶液がヨード反応を呈さなくなるまで反応させ、水不溶成分をろ過・精製して
高純度マルトース−2を得た。 このものの高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果は以下の通りであっ
た。 一糖 1.5% 二糖 95.1% 三糖 0.4% 四糖以上のオリゴ糖 3.0% (発明の効果) 以上の記載から明らかなように、本発明により、地下澱粉からはもちろん、従
来は困難とされていた地上澱粉からの高純度マルトースの製造も、簡素で且つ工
業的に有利な工程で可能になった。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 濃度5〜15重量%の地上澱粉水溶液を加熱糊化する第1工程、 得られた糊化物にβ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼからなる群
    の中から選ばれる2種以上の酵素を使用して糖化する第2工程、 糖化開始後1〜24時間目に、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus
    stearother-mophilus)の遺伝子のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードさ
    れた部分をはめ込んだプラスミドをバチルス・ズブティリス(Bacillus subtili
    s)に組込んで生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加して、糖化開
    始時点から10〜48時間糖化を継続する第3工程、 第3工程終了後pHを4.5以下に調整して水不溶成分を除去し、その後液化
    酵素を添加し て溶液中のデキストリンを加水分解し、精製してマルトースを液中の固形分あた
    り94.5重量%以上含有した糖液を得る第4工程、 上記4工程を逐次的に実施することを特徴とする高純度マルトースの製造方法。 2 濃度5〜15重量%の地上澱粉水溶液を加熱糊化する第1工程、 得られた糊化物にβ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼからなる群
    の中から選ばれる2種以上の酵素を使用して糖化する第2工程、 糖化開始後1〜24時間目に溶液のpHを4.5以下に調整し、残渣を除去し
    た後、得られた糖液にバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothe
    rmophilus)の遺伝子のマルトゲニック−α−アミラーゼがコードされた部分を
    はめ込んだプラスミドを バチルス・ズブティリス(Bacillus subtilis)に組
    込んで生産されたマルトゲニック−α−アミラーゼを添加し、糖化開始時点から
    10〜48時間糖化 を継続して、その後液化酵素を添加して溶液中のデキストリンを加水分解し、ろ
    過・精製した後マルトースを液中の固形分あたり94.5重量%以上含有した糖
    液を得る第3工程、 上記3工程を逐次的に実施することを特徴とする高純度マルトースの製造方法

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