JPH0696531B2 - 抗潰瘍剤 - Google Patents

抗潰瘍剤

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JPH0696531B2
JPH0696531B2 JP63155940A JP15594088A JPH0696531B2 JP H0696531 B2 JPH0696531 B2 JP H0696531B2 JP 63155940 A JP63155940 A JP 63155940A JP 15594088 A JP15594088 A JP 15594088A JP H0696531 B2 JPH0696531 B2 JP H0696531B2
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nornigaquinone
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嘉次郎 中島
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株式会社太田胃散
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ニガキ科植物、殊にニガキ(Picrasma ailan
thoides PLANCHON)及びシンジュ(Ailanthus altissim
a SWINGLE)より抽出されるインドール型アルカロイド
を有効成分とする抗潰瘍剤に関するものである。
従来の技術 ニガキ科植物は、山野に自生する落葉樹で雌雄異株で、
互生した枝に奇数羽状複葉がつき、葉の縁には細かい切
り込みがあり、苦木と言う名の如く、全木長く舌に苦味
がある。苦味の本体はクワシンを中心とするジテルペン
であり、この苦味を利用して苦味健胃剤とするか苦味チ
ンキの原料としている。また、苦木は20年以上の老木に
なると、苦味が弱くなり、木部は黄色を呈し、この黄色
の材部よりアルカロイド類が単離されている。使用例と
しては我が国では苦木を、中国では神樹が、健胃若しく
は駆虫作用を目的として用いられている。
このニガキ科植物にはクワシンをはじめニガキラクトン
A-N(Tetrahedron Letter 24 3013 1968)(Chem.Phrm.
Bull.18 2590 1970)(Chem.Phrm.Bull.19 213 1971)
(Chem.Phrm.Bull.19 2426 1971)(Tetrahedron Lette
r 27 5147 1971)、ピクラシンA-G(Phytochemistry 14
2473 1975)等多数の苦味質(Fortschr.Chem.Org.Natu
rst.47 221-264 1985)を含む他、ニガキヘミアセター
ル(Chem.Phrm.Bull.23 2188 1975)、2,6−ジメトキシ
−p−ベンゾキノンが含まれる。さらに、苦味の殆どな
い心材からはニガキノン、メチルニガキノン等のインド
ール型アルカロイド(薬誌87 1371 1967)(Chem.Phrm.
Bull.24 1532-1536 1976)が既に分離されている。その
効果については長い年月による経験的使用歴、すなわ
ち、健胃的な用いられ方に加え、薬理作用面では駆虫作
用(Cyclopedia of Useful Plant Product p545 Hokury
ukan Press Tokyo 1949)、抗真菌作用(生薬学誌36
(4)307-314 1982)、抗腫瘍作用(染色体38 1179-11
88-1986)、ホスフォジエステラーゼ阻害作用(Chem.Ph
rm.Bull.32(5) 1872-1877-1984)、さらに、健胃効
果に関連する資料としては胃運動の亢進作用あり(Toho
ku.J.Exptl.Med.29 321 1936)、亢進作用なし(日薬理
51 62 1955)とするもの、また、胃液分泌には影響を
及ぼさない(日薬理誌50 103 1954)等々の報告がある
のみで、他には最近においても目立った報告はなく、長
年にわたり民間薬として使用されている割には健胃作用
を中心とする薬効の解明はまだ十分になされていない。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような従来のニガキ科植物に含有される
成分を有効成分とする新規な抗潰瘍剤を提供することを
目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、新規な抗潰瘍剤を開発するために種々研
究を重ねた結果、ニガキ科植物、例えばニガキやシンジ
ュなどより得られるインドール型アルカロイド類が意外
にも胃液分泌抑制作用並びにペプシン排出抑制作用を示
し、潰瘍発生を顕著に抑制することを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式 (式中のR1とR2は水酸基又はメトキシ基であって、これ
らはたがいに同一でも異なっていてもよい)で表わされ
るインドール型アルカロイドを有効成分とする抗潰瘍剤
を提供するものである。
このインドール型アルカロイドは、例えば以下のように
して得ることができる。
ニガキ又はシンジュの木部を細切し、低級脂肪族アルコ
ール類、含水低級脂肪族アルコール類、アセトン又は含
水アセトンのような脂溶性有機溶媒で抽出し、その抽出
液を減圧濃縮して粗製物QM-1を得る。次いでこれを弱塩
基性に調整した水に懸濁し、同量のクロロホルム又はエ
ーテルで分配し、有機溶媒層として粗製物QC-2を得る。
また、上記の水層を酢酸エチルで分配し、この酢酸エチ
ル層から粗製物QA-3を得る。前記のQC-2をシリカゲル、
セファデックスなどを用いて分離、精製し、各画分から
の固形分についてアセトンなどを用いて再結晶すること
により、ニガキノン、メチルニガキノンを得ることがで
きる。またノルニガキノンはニガキノンを常法により脱
メチル化することにより製造することができる。
このようにして得たインドール型アルカロイドは、胃液
分泌抑制作用及び抗ペプシン作用を有し、抗潰瘍剤とし
ての効果を示す。
現在、使用されている抗潰瘍作用を目的とした薬剤とし
ては、制酸剤、抗コリン剤、抗ペプシン剤、胃粘膜保護
剤さらに、ヒスタミンH2受容体拮抗剤等があるが、しか
しながら、これらの薬剤は副作用を示すものが多く、例
えば、制酸剤は一時的に胃酸を中和するが、その反応作
用として胃酸分泌を逆に亢進させると考えられている
し、他の薬剤も消化管障害、軽度肝障害、内分泌系異
常、視聴節障害等を示し、殊に、この種の薬剤では右に
でるものがないと迄で絶賛されているヒスタミンH2ブロ
ッカーに代表されるシメチジンでも、その胃液分泌抑制
効果においてはその強力さを発揮する休薬後は逆に以前
にも増して胃液分泌を亢進し、この結果として再発が懸
念され問題視されている。
これに対し、インドール型アルカロイド類は、作用が顕
著で長期間の連用が可能であり、安全性も極めて高い抗
潰瘍剤であり、潰瘍治療剤としては臨床上極めて意義大
きい薬剤である。
次に、本発明の抗潰瘍剤の投与の為の剤型としては、通
常散剤、錠剤、乳剤、カプセル剤、茶剤、顆粒剤、液剤
(酒精剤、チンキ剤、流エキス剤、シロップ剤などを含
む)などの内服の形の他、座剤を挙げることができる。
ここで使用される固体又は液体の賦形剤としては、当該
分野で公知のものが使用される。その幾つかの具体例を
列挙すると、散剤その他の内服用粉末については、乳
糖、澱粉、デキストリン、リン酸カルシウム、合成及び
天然ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、乾燥水酸
化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、乾燥酵母
などがあり、液剤における賦形剤としては、水、グリセ
リン、単シロップ、プロピレングリコール、エタノー
ル、脂肪油、エチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール及びソルビトール等がある。
実施例 次に、参考例、実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によって限定されるもので
はない。
参考例1 例えば、苦木を粗切し、その切片1.5kgをメタノール5l
で温度60℃、5時間還流抽出する。この操作を4回繰り
返し、溶媒を除去し粗製物QM-1(54.9g)を得、次に、
この粗製物QM-1(50g)を熱湯3lに溶解し、室温になる
のを待ち、クロロホルム3lで15回分配し、得られたクロ
ロホルム層を減圧濃縮し粗製物QC-2(14.0g)を得た。
さらに、この粗製物QC-2(10g)をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー、カラム径4.5cm長さ60cm、展開溶媒
クロロホルム−メタノール混液(10:0-0:10)で流下さ
せ、さらに、セファデックスLH-20及びローバカラムRP-
8等を用い通常の精製法を繰り返した後、アセトン等に
より再結晶を行い、融点:225℃の淡黄色粉末のニガキノ
ン356.2mg及び融点:146℃の淡黄色粉末のメチルニガキ
ノン203.0mgを得た。一方、上記、粗製物QM-1を熱湯に
溶解後クロロホルムで分配後生じた水層部を酢酸エチル
3lで15回同様に分配し、得られる酢酸エチル層を減圧下
で溶媒を除去し粗製物QA-3(3.83g)を得た。さらに、
この時に残った水層部を濃縮し水エキス(以下、QH-4と
略称)34.5gを得ることができた。
このようにして、得た粗製物QM-1、QC-2及びQA-3につい
て液体クロマトグラフィー分析を行い、得られたクロマ
トグラムを(B)、(C)及び(D)として図面に示
す。なお、(A)はそれぞれニガキノン、メチルニガキ
ノン純品についてのクロマトグラムである。クロマトグ
ラム中の数は液体クロマトグラフィーにサンプルを注入
後の時間を示すものである。また、液体クロマトグラフ
ィー分析の際の主たる条件は以下のとおりであった。: 充填剤;Asahippak ODP-50(50μ),(旭化成)., カラムサイズ;6mm(内径)×15cm(長さ)., カラム温度;室温., 移動層;アセトニトリル/6%酢酸=45/55., 流速;0.7/分., 検出器;UV248nm., で行った。
なお、ノルニガキノンは上記方法によって得られたニガ
キノンを室温下でジアゾメタンエーテルを用い、脱メチ
ル化させたものである。
これら物質はそれぞれの融点、赤外線吸収、紫外線吸
収、薄層クロマトグラフィー、質量分析、並びに核磁気
共鳴(プロトンNMR)等により物理恒数を測定又は計測
することにより確認された。
例えば、ニガキノン: MSm/z;266(M+) UVλEtoH maxum(logε);246(4.60),262(sh,4.50),
286(4.25),340(4.01),356(4.05),374(4.00)IR
γKbR maxcm-1;3270,1670,1635,1270,1100,10701H‐NMR
(CDCl3)δ(ppm);4.27(3H,s,C4‐OCH3),7.48(1H,
t,J=8Hz,10-H),7.65(1H,t,J=8Hz,9-H),8.02(1H,
d,J=5Hz,1-H),8.10(1H,d,J=8Hz,11-H),8.61(1H,
d,J=8Hz,8-H),8.74(1H,d,J=5Hz,2-H) さらに、メチルニガキノンについては: MSm/z;280(M+) UVλEtoH maxnm(logε);240(4.54),248(4.59),290
(4.02),300(3.99),349(3.95),357(4.01),373
(3.92) IRγKbR maxcm-1;1670,1635,1270,1110,10901H‐NMR(CD
Cl3)δ(ppm);4.09,4.49(各,3H,s,C4,C5‐OCH3),
7.50(1H,t,J=8Hz,10-H),7.68(1H,t,J=8Hz,9-H),
7.88(1H,d,J=5Hz,1-H),8.06(1H,d,J=8Hz,11-H),
8.65(1H,d,J=8Hz,8-H),8.82(1H,d,J=5Hz,2-H) 以下、省略するがノルニガキノンについても同様に同等
性が確認された。
また、上記、ニガキからの成分の抽出及び精製する方法
はシンジュにも全く同様に適用し同様の成分を得ること
ができる。
次に本発明に関する薬剤の胃液分泌並びにアスピリン潰
瘍試験に関する抑制並びに改善効果を示す。
実験例1 胃液分泌試験 体重180-200gのドンリュー系雄性ラットを24時間絶食し
(ただし、水は自由に摂取させる)、エーテル軽麻酔下
に開腹し幽門部を結紮し(Gastroenterology,5 43 194
5)、ただちに、被検薬物を各動物当り5ml/kgに調整
し、十二指腸内に投与した後、腹部を縫い合わせ、4時
間絶食絶水下に放置後、エーテル軽麻酔下に開腹し胃を
取り出し、胃液を採取し、3000rpmで10分間遠心分離
後、胃液量、酸度及びペプシン活性を測定した。
酸度はAutoburete(Radiometer)を用い、0.1NNaOHでpH
7.0まで胃液を適定することにより得られる測定値より
単位時間当たりの酸排出量を求めた。ペプシン活性はAn
son法(J.Gen.Physiol.22 79 1938)により測定し、こ
の値からペプシン排出量を求めた。
なお、被検薬物の調製に当っては、まず、プロピレング
リコールで補助溶解後、2.0%CMC.Naで所定の容量に
し、試料を作成した。また、対照としては被検薬物の代
わりに溶媒群のみを処理したものを対照群とした。さら
に、比較試験としては現在臨床で使用されているシメチ
ジン製剤(以下、CMと略称;タガメット使用、試験では
製剤中のシメチジンの量で表示)を用い、これとの比較
試験も行った。
結果は第1表に示す如くである。なお、抑制率(%)は
下記の式によって算出した。
この結果から、QM-1 125-500mgの処置で胃液分泌量、酸
排出量、ペプシン排出量に対し用量依存的な抑制効果が
認められ、殊に、中高用量250、500mg/kgでは共に、統
計学的にも有意な効果であった。これらの効果はニガキ
ノン、メチルニガキノンを比較的多量に含む画分、すな
わち、QC-2ではさらに低用量でその有効性が確認され
た。又、ペプシン排出量に対しては上記、記載の有効成
分を殆ど含有していないQA-3の画分250mg/kgの処置で約
70%の顕著な抑制効果を示した。
しかし、残る画分QH-4では、いずれにおいても若干の効
果を示してはいるものの、有為な効果は認められなかっ
た。
さらに、胃液分泌抑制効果を中心とする成分検索の結
果、QC-2より上記方法にて分離精製された、ニガキノン
の処置群で胃液分泌、酸排出量、ペプシン排出量に顕著
な抑制効果が認められた。なお、これらの効果は比較試
料として現在臨床で使用されているCM(シメチジン製
剤)と比較しても有効用量的には若干劣るもの後述する
如く、毒性、副作用、並びに天然物からの抽出物である
こと等を考慮した場合、効果的にも十分対抗できるもの
であった。
次に、第1表には記さなかったが、メチルニガキノン、
ノルニガキノンについても同様の試験を行った結果、ニ
ガキノンより若干、効果は劣る傾向を示すものの略、類
似した抑制効果が確認された。
実施例2 アスピリン潰瘍試験 体重180-200gのドンリュー系雄性ラットを24時間絶食し
(但し、水は自由に摂取させる)、エーテル軽麻酔下に
開腹し幽門部を常法により結紮し、直ちに、被検薬物を
十二指腸内に投与し、5分後に岡部等の方法(Japan.J.
Pharmacolo.24 363 1974)に準拠し、2.0%CMC.Naに懸
濁したアスピリン(20mg/ml)を100mg/kg経口投与し
た。
動物は幽門結紮後7時間絶食絶水下に放置後、殺し、胃
を取り出し、常法に従い、ホルマリン固定を行ない胃体
部に発生した損傷の長さ(mm)を10倍下実体顕微鏡で測
定し、その長さの総和を潰瘍係数とした。
なお、被検薬物は、前記、胃液分泌試験同様にプロピレ
ングリコールで補助溶解後、2%CMC.Naで懸濁し試験試
料に供した。また、この試験においても比較試料として
CMを用い、これとの比較を行った。
結果は第2表に示す如くである。なお、抑制率(%)は
下記の式によって算出した。
この結果より、アスピリンで誘発される胃潰瘍に対し、
QM-1 125-500mg/kgの処置で約37-59%の統計学的にも有
意な用量依存的な抑制効果を示した。さらに、この効果
は先の胃液分泌試験と同様にニガキノンを中心としたイ
ンドール型アルカロイドを比較的多量に含む画分QC-2の
処置で、さらに強力で、例えば、250mg/kgの処置で、QM
-1;500mg/kgで効果を凌ぐ、約60%の抑制効果が認めら
れた。また、このQC-2中より上記、精製法で得られるイ
ンドール型アルカロイド、例えば、ニガキノンの250mg/
kg処置で、この抑制効果はさらに顕著で73%にまで増強
され、比較試料として用いたCM60mg/kgの効果と比較し
ても略同程度の効果であった。次に、第2表には記さな
かったが他のインドール型アルカロイド、メチルニガキ
ノン並びにノルニガキノンについても同様に試験を行な
った結果、上記、ニガキノンには若干効果は劣るが両者
共に62.5-250mg/kgの処置で約47%−70%の抑制率が認
められた。
一方、QA-3については250mg/kgの処置で約43%の統計学
的にも有意な効果を示した。この効果は先の胃液分泌試
験からもわかる如く、胃液分泌抑制効果のみならず、ペ
プシン排泄能の低下がこの作用に大きく寄与しているこ
とがわかる。
最後に、QH-4の効果については若干の抑制は認められる
ものの500mg/kgと言う用量でも対照に比較して有意な差
を認めることはできなかった。
このような胃液分泌並びにアスピリン潰瘍試験での結果
より、ニガキ中成分の抗潰瘍作用発現の機序としては胃
液分泌作用と抗ペプシン作用によるものと考えられる。
中でも、胃液分泌抑制作用がその本体であることが判明
した。殊に、インドール型アルカロイド類の胃液分泌抑
制作用を主効果としてなる抗潰瘍作用は強力で、かつ後
述する急性毒性試験並びに長期間の連用の結果から、安
全性も高く、効果面でも現在、臨床で使用されているシ
メチジン製剤に匹敵する効果を有していることが確認さ
れた。
次に、本発明に関する薬剤の安全性を知る目的でQM-1、
QC-2、QA-3、ニガキノン、メチルニガキノン及びノルニ
ガキノンの経口投与での急性毒性試験をddy−系雄性マ
ウスを用いて行った結果、それぞれ、6000mg、3000mg、
3000mg、1000mg、1000mg、1000mgで投与後72時間以内に
おける死亡例は全く認められなかった。ニガキノン、メ
チルニガキノン、ノルニガキノンについては静脈内投与
もそれぞれに行い、3種薬剤とも300mg/kgの処置でも上
記同様に72時間以内には全く死亡例を認めることはでき
なかった。さらに、体重1kg当りQM-1 2000mg、QC-2 100
0mg、QA-3 2000mg、ニガキノン500mg、メチルニガキノ
ン500mg、ノルニガキノン500mgを2週間連続投与(経口
投与)しても、体重減少、中毒症状、死亡例も全く認め
られず、解剖後の主要臓器の肉眼的所見においても目立
った変化を認めることはできなかった。
これらの結果は、本発明に関する薬剤が有効量を考慮す
る時、極めて毒性が低く長期連用にも適した抗潰瘍剤で
あることを示すものであった。
そして、これまで、ニガキに認められる健胃作用がクワ
シン、ピクラシン等々の苦味質について報告されている
技術水準において、既に、苦木中に含有されていたニガ
キノンを含むインドール型アルカロイドに抗潰瘍作用が
検出されたことは、全く予期に反することであった。
次に、人間に対する有効投与量は、これまでの胃液分
泌、アスピリン潰瘍並びに急性毒性試験等から考えて、
その有効投与量は患者の年齢、体重、疾患の程度によっ
て異なるが、通常成人では1日量として、QM-1で750-30
00mg殊に、1000-2000mg、QC-2で500-2000mg殊に、750-1
500mg、QA-3で1500-6000mg殊に、2000-4000mg、ニガキ
ノンで100-400mg殊に、150-300mg、メチルニガキノンで
150-600mg殊に、200-400mg、ノルニガキノンで150-600m
g殊に、200-400mgを症状に合わせて1日3-4回に分けて
経口的服用が適当である。
注射剤として用いる場合はニガキノン30.0-60.0mg、メ
チルニガキノン並びにノルニガキノンの場合は40.0-80.
0mgを1回量とすることが適当である。
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明
はこれらにより制限されるものではない。
実施例1 錠剤、顆粒剤並びにカプセル剤の製造法 a)錠剤の製造法 ニガキノン、メチルニガキノン、又はノルニガキノン15
gを細末とし、これを乳糖83g、微結晶セルロース20g、
ステアリン酸マグネシウム7gと混合し、この混合物を単
発打錠機にて打錠して径7mm、重量125mgの錠剤を製造し
た。
本剤は1錠中に各成分のいずれか一つを15mg含有する。
本剤は1回、ニガキノン製剤で3-5錠、メチルニガキノ
ン及びノルニガキノンで4〜7錠を1日3-4回服用す
る。
b)顆粒剤の製造法 ニガキノン、メチルニガキノン、又はノルニガキノン25
gを細末とし、これを乳糖124g、及びステアリン酸マグ
ネシウム1gを混合し、この混合物を打錠して直径20mmの
スラッグ錠とする。これを粉砕、整粒、篩別して20〜50
メッシュの粒子の顆粒剤を得た。この顆粒を症状に合わ
せて、1回量、ニガキノンで225-450mg(ニガキノンと
して37.5-75.0mgに相当)、メチルニガキノン及びノル
ニガキノンで300-600mg(メチルニガキノン、ノルニガ
キノンとして50-100mgに相当)で、1日に3-4回服用す
る。
c)カプセル剤製造法 上記の顆粒剤もしくは細末としたもの150mgをNo.3のゼ
ラチンカプセルに充填してカプセル剤を得た。
本カプセル剤は症状に合わせて1回、ニガキノン製剤で
3-4カプセル、メチルニガキノン及びノルニガキノンで4
-7カプセルを1日3-4回服用する。
実施例2 注射剤の製造法 ニガキノン、メチルニガキノン又はノルニガキノン25g
を60℃に加温した滅菌生理食塩水5lに溶解し、無菌的に
バイアルにこれら3種薬剤のいずれか一つが25mg含有す
る様に分配し、密封して注射剤を製造した。本注射剤は
成人患者1日当たり症状に応じて、ニガキノン製造で1.
2-2.4ml、メチルニガキノン及びノルニガキノン1.6-3.2
mlを静脈内に投与する。
発明の効果 本発明の抗潰瘍剤は、現在最も有望視されているシメチ
ジンにほぼ匹敵する優れた潰瘍発生の抑制効果を示すと
ともに、安全性に優れ、しかも胃液分泌抑制作用及びペ
プシン排出抑制作用にも優れている。
【図面の簡単な説明】
図面は、QM-1、QC-2及びQA-3中のニガキノンとメチルニ
ガキノンの液体クロマトグラムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−45580(JP,A) 特開 昭60−112791(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中のR1とR2は水酸基又はメトキシ基であって、これ
    らはたがいに同一であっても異なっていてもよい) で表わされるインドール型アルカロイドを有効成分とす
    る抗潰瘍剤。
  2. 【請求項2】経口投与用に製剤した請求項1記載の抗潰
    瘍剤。
  3. 【請求項3】注射用に製剤した請求項1記載の抗潰瘍
    剤。
JP63155940A 1988-06-23 1988-06-23 抗潰瘍剤 Expired - Lifetime JPH0696531B2 (ja)

Priority Applications (1)

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JP63155940A JPH0696531B2 (ja) 1988-06-23 1988-06-23 抗潰瘍剤

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JP63155940A JPH0696531B2 (ja) 1988-06-23 1988-06-23 抗潰瘍剤

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JPH024790A JPH024790A (ja) 1990-01-09
JPH0696531B2 true JPH0696531B2 (ja) 1994-11-30

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