JPH0693093A - ナフタレンジカルボン酸エステルのポリエステルカーボネート - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸エステルのポリエステルカーボネート

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JPH0693093A
JPH0693093A JP26907892A JP26907892A JPH0693093A JP H0693093 A JPH0693093 A JP H0693093A JP 26907892 A JP26907892 A JP 26907892A JP 26907892 A JP26907892 A JP 26907892A JP H0693093 A JPH0693093 A JP H0693093A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式 【化1】 で示される構造単位〔1〕、式 【化2】 で示される構造単位〔2〕、および式 【化3】 で示される構造単位〔3〕からなる還元粘度0.10以
上のポリエステルカーボネート。 【効果】 約200℃で溶融し、透明性の良い膜を成形
することができる。ポリエチレン、ポリプロピレンなど
の公知の樹脂の性質の改良を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリエステルカー
ボネートに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、主鎖中に炭酸エス
テル構造を持つポリマーであって、通常2,2‐ビス
(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノ
ールAと略記する)のような二価フェノールとホスゲン
のような炭酸誘導体との反応により製造され、耐衝撃性
に優れ、かつ吸湿性が小さく熱に安定であるなどの特性
を有する優れたプラスチックである。近年、樹脂の用途
開発にともない、新規な構造や機能を有するポリカーボ
ネートが研究されている。例えば、特開平1−1724
24には、1,4‐シクロヘキサンジオール、または
4,4′‐ビシクロヘキサンジオールからなるポリカー
ボネートが開示されているが、物性値などは明確でな
い。また、本出願人は全トランス体のシクロヘキサン環
のポリカーボネートを特開平3−273025で発明し
たが、不融もしくは分解をともないながら溶融するため
熱成形は不可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、構造単位にシクロヘキシレン基を有し、
熱成形の可能な新規なポリエステルカーボネートを提供
することである。また、他の公知の樹脂、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレー
ト、ABS、ポリアミド類、ポリアクリレート類、ポリ
カーボネート類、ポリエチレンテレフタレートのような
ポリエステル類またはポリフェニレンオキシド類などと
混合し、これら樹脂の機械的強度および熱成形性の改良
を図るとともに新しい性質を付加することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するため検討を重ね、すでに特願平3−89
337に構造単位にシクロヘキシレン基を有するポリエ
ステルカーボネートを提示したが、さらに検討を重ねた
結果、熱成形性に優れたポリエステルカーボネートを見
いだし本発明に至った。
【0005】本発明のポリエステルカーボネートは、そ
の第一の態様として、式
【化9】 で示される構造単位〔1〕からなっている。
【0006】本発明のポリエステルカーボネートは、そ
の第2の態様として、式
【化10】 で示される構造単位〔1〕、式
【化11】 で示される構造単位〔2〕、および式
【化12】 で示される構造単位〔3〕からなっている。
【0007】本発明のポリエステルカーボネートは、そ
の第3の態様として、式
【化13】 で示される構造単位〔1〕、および式
【化14】 で示される構造単位〔2〕からなっている。
【0008】本発明のポリエステルカーボネートは、そ
の第4の態様として、式
【化15】 で示される構造単位〔1〕、および式
【化16】 で示される構造単位〔3〕からなっている。
【0009】本発明のポリエステルカーボネートは、還
元粘度0.10以上(25℃、0.5g/dlクロロホ
ルム)、融点130〜210℃、分解温度340℃以上
の物性値を有する。
【0010】本発明の第2の態様のポリエステルカーボ
ネートの製造法をつぎに示す。まず、次式で示すよう
に、2,6‐ナフタレンジカルボン酸ジクロリドと過剰
のトランス‐1,4‐シクロヘキサンジメタノールをピ
リジンの存在下で反応し
【化17】 式〔4〕
【化18】 で示される2,6‐ナフタレンジカルボン酸ビス〔(ト
ランス‐4‐ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチ
ル〕を製造した。
【0011】つゞいて、この式〔4〕の化合物を溶媒の
1,2‐ジクロロエタン中、ピリジンの存在下、式
〔5〕
【化19】 で示される2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐
プロパン(以下、ビスフェノール‐Aと略記する。)お
よび式〔6〕
【化20】 で示される2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐
1,1,1,3,3,3‐ヘキサフルオロプロパン(以
下、ビスフェノール−AFと略記する。)とを混合し、
式〔7〕
【化21】 で示されるクロロギ酸トリクロロメチルと反応させ、次
式で示す反応式により構造単位〔1〕、〔2〕、〔3〕
の繰り返しからなるポリエステルカーボネートを得る。
【化22】
【0012】本発明の第1の態様のポリエステルカーボ
ネートの製造法は、つぎの反応式で示される。
【化23】
【0013】本発明の第3の態様のポリエステルカーボ
ネートの製造法は、つぎの反応式で示される。
【化24】
【0014】本発明の第4の態様のポリエステルカーボ
ネートの製造法は、つぎの反応式で示される。
【化25】
【0015】上記製造法にクロロギ酸トリクロロメチル
の代りにホスゲンを使用してもよい。反応温度は20〜
100℃、反応時間は特に限定しないが、好ましくは1
〜5時間である。クロロギ酸トリクロロメチル、ホスゲ
ンの使用量は、ジオール成分の合計と等モルまたは、や
や過剰である。また、金属酸化物などのエステル交換触
媒の存在下に、上記のジオールと炭酸ジアリールエステ
ルとを200〜300℃で4〜10時間反応させる方法
でも製造できる。これらの方法において、分子量調整剤
をジオールに対し1〜10モル%必要により添加するこ
とができる。
【0016】分子量調整剤としては一価のフェノール、
例えばフェノール、p‐ターシャリーブチルフェノー
ル、p‐クミルフェノールなどをあげることができる。
また、溶媒としてジクロロメタン、クロロベンゼンのよ
うなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの
芳香族炭化水素の他にエーテル系のテトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどがある。また、ピリジン以外の酸受
容体として、具体的にはトリエチルアミン、1,8‐ジ
アザビシクロ〔5,4,0〕‐7‐ウンデセンなどの3
級アミン、水酸化ナトリウムのような無機塩基、ホスゲ
ンなどの炭酸誘導体としてはホスゲンダイマー、炭酸ジ
アリールエステルとしては、炭酸ジフェニルなどをあげ
ることができる。
【0017】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定さ
れるものではない。
【0018】
【実施例】実施例で得られたポリエステルカーボネート
の物性は以下の方法で測定した。 還元粘度: クロロホルムを溶媒として25℃、0.5
g/dlの濃度で測定した。 融点(Tm): 偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー
社製FP−82)を装着して毎分3℃の昇温温度で測定
した。 分解温度(Td): セイコー電子工業社製TG/DTA
−220型を用い毎分10℃の昇温温度で測定し、重量
減少5%の温度を測定した。 ガラス転移温度(Tg): セイコー電子工業社製DSC
−200型を用い毎分5℃の昇温温度で測定した。
【0019】実施例1 式〔1〕で示される構造単位か
らなるポリエステルカーボネートの製造: 1)2,6‐ナフタレンジカルボン酸ビス〔(トランス
‐4‐ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕、式
〔4〕の製造。 冷却器をつけた300mlのナスフラスコに2,6‐ナフ
タレンジカルボン酸(40.0g、0.19mol )と塩
化チオニル120mlおよびピリジン1mlを入れ、90℃
で12時間反応させた。反応終了後、過剰の塩化チオニ
ルを減圧下留去して得られた結晶を、トルエンで再結晶
し2,6‐ナフタレンジカルボン酸ジクロリドを33.
1g得た。続いて冷却器、撹拌機をつけた500mlの三
つ口フラスコにトランス‐1,4‐シクロヘキサンジメ
タノール17.4g(0.12mol )、ピリジン13m
l、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)150mlを
入れて90℃で攪拌した。これに2,6‐ナフタレンジ
カルボン酸ジクロリド10.0g(0.040mol )を
NMP100mlに溶かした溶液を60分で滴下して、9
0℃で5時間反応を行った。反応終了後この反応液をろ
過した。次いでろ液を2リットルの水中に注ぎ、析出し
た結晶をろ取した。この結晶をメタノールで2回再結晶
して2,6‐ナフタレンジカルボン酸ビス〔(トランス
‐4‐ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕6.
0g(収率32.0%)を得た。融点は178.9〜1
80.4℃であった。この化合物の構造は、IRとNM
Rで確認した。
【0020】2)重縮合反応 100mlの三つ口フラスコに2,6‐ナフタレンジカル
ボン酸ビス〔(トランス‐4‐ヒドロキシメチルシクロ
ヘキシル)メチル〕1.41g(3.0mmol)、ピリジ
ン3mlおよび1,2‐ジクロロエタン(以下、DCEと
称する)8mlを入れて攪拌し、次いで、この液をマント
ルヒーターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリク
ロロメチル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに溶
かした溶液を20分間で滴下し、そのまま3時間反応を
行った。得られた反応液を放冷した後メタノール300
mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物を熱
メタノール中で洗浄し、次いで乾燥して1.27g(収
率86.2%)のポリエステルカーボネートが得られ
た。このポリマーの構造は、IRスペクトルで確認し
た。このポリエステルカーボネートは、還元粘度0.1
9(25℃、0.5g/dlクロロホルム)、融点19
1.1〜202.2℃、ガラス転移温度130.1℃、
分解温度351.2あった。
【0021】実施例2 式〔1〕および式〔2〕、およ
び式〔3〕で示される構造単位からなるポリエステルカ
ーボネートの製造:100mlの三つ口フラスコに2,6
‐ナフタレンジカルボン酸ビス〔(トランス‐4‐ヒド
ロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕1.12g
(2.40mmol)、ビスフェノール−A 0.07g
(0.30mmol)、ビスフェノール−AF0.10g
(0.30mmol)、ピリジン1mlおよび1,2‐ジクロ
ロエタン(以下、DCEと称する)5mlを入れて攪拌
し、次いで、この液をマントルヒーターで90℃に保
ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメチル0.33g
(1.7mmol)をDCE2mlに溶かした溶液を20分間
で滴下し、そのまま3時間反応を行った。得られた反応
液を放冷した後メタノール300mlに注ぎ、析出した沈
澱物をろ過した。このろ過物を熱メタノール中で洗浄
し、次いで乾燥して1.23g(収率89.7%)のポ
リエステルカーボネートが得られた。このポリマーの構
造は、IRスペクトルで確認した。このポリエステルカ
ーボネートは、還元粘度0.32(25℃、0.5g/
dlクロロホルム)、融点163.7〜180.0℃、
ガラス転移温度133.7℃、分解温度353.0℃で
あった。また、このポリマーのクロロホルム溶液をガラ
ス板上にキャストし乾燥したところ透明なポリエステル
カーボネートフィルムが得られた。また、ガラスプレー
トにポリマーをのせ、200℃に熱し、溶融した後に冷
却しても良好なフィルムが得られた。
【0022】実施例3〜4 2,6‐ナフタレンジカルボン酸ビス〔(トランス‐4
‐ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕、ビスフ
ェノール−A、およびビスフェノール−AFの成分比を
変える以外は、実施例2に準拠して行った。その成分比
と得られたポリエステルカーボネートの物性値を表1に
示す。
【0023】実施例5 式〔1〕および式〔2〕で示さ
れる構造単位からなるポリエステルカーボネートの製
造:100mlの三つ口フラスコに2,6‐ナフタレンジ
カルボン酸ビス〔(トランス‐4‐ヒドロキシメチルシ
クロヘキシル)メチル〕0.70g(1.5mmol)、ビ
スフェノール−A 0.34g(1.50mmol)、ピリ
ジン1mlおよび1,2‐ジクロロエタン(以下、DCE
と称する)5mlを入れて攪拌し、次いで、この液をマン
トルヒーターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリ
クロロメチル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに
溶かした溶液を20分間で滴下し、そのまま3時間反応
を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール30
0mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物を
熱メタノール中で洗浄し、次いで乾燥して1.03g
(収率92.1%)のポリエステルカーボネートが得ら
れた。このポリマーの構造は、IRスペクトルで確認し
た。このポリエステルカーボネートは、還元粘度0.3
3(25℃、0.5g/dlクロロホルム)、融点14
6.7〜157.4℃、ガラス転移温度133.5℃、
分解温度357.4℃であった。また、このポリマーの
クロロホルム溶液をガラス板上にキャストし乾燥したと
ころ透明なポリエステルカーボネートフィルムが得られ
た。また、ガラスプレートにポリマーをのせ、160℃
に熱し、溶融した後に冷却しても良好なフィルムが得ら
れた。
【0024】実施例6 式〔1〕および式〔3〕で示さ
れる構造単位からなるポリエステルカーボネートの製
造:100mlの三つ口フラスコに2,6‐ナフタレンジ
カルボン酸ビス〔(トランス‐4‐ヒドロキシメチルシ
クロヘキシル)メチル〕0.70g(1.50mmol)、
ビスフェノール−AF 0.50g(1.50mmol)、
ピリジン1mlおよび1,2‐ジクロロエタン(以下、D
CEと称する)5mlを入れて攪拌し、次いで、この液を
マントルヒーターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸
トリクロロメチル0.33g(1.7mmol)をDCE2
mlに溶かした溶液を20分間で滴下し、そのまま3時間
反応を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール
300mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過
物を熱メタノール中で洗浄し、次いで乾燥して1.06
g(収率82.6%)のポリエステルカーボネートが得
られた。このポリマーの構造は、IRスペクトルで確認
した。このポリエステルカーボネートは、還元粘度0.
28(25℃、0.5g/dlクロロホルム)、融点1
48.3〜160.5℃、ガラス転移温度137.0
℃、分解温度346.5℃であった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明のポリエステルカーボネートは約
200℃で溶融するものであり、熱成形性に優れてい
る。また、透明性の良い膜を作ることもできる。このよ
うに、本発明のポリエステルカーボネートはそれ自体で
有用なものであるが、他の公知の樹脂、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、A
BS、ポリアミド類、ポリアクリレート類、ポリカーボ
ネート類、ポリエチレンテレフタレートの様なポリエス
テル類またはポリフェニレンオキシド類などと混合し、
これら樹脂の機械的強度および熱成形性の改良を図ると
ともに新しい性質を付与することも可能である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 で示される構造単位〔1〕からなる、還元粘度0.10
    以上(25℃、0.5g/dlクロロホルム)のポリエ
    ステルカーボネート。
  2. 【請求項2】 式 【化2】 で示される構造単位〔1〕、式 【化3】 で示される構造単位〔2〕、および式 【化4】 で示される構造単位〔3〕からなる、還元粘度0.10
    以上(25℃、0.5g/dlクロロホルム)のポリエ
    ステルカーボネート。
  3. 【請求項3】 式 【化5】 で示される構造単位〔1〕、および式 【化6】 で示される構造単位〔2〕からなる、還元粘度0.10
    以上(25℃、0.5g/dlクロロホルム)のポリエ
    ステルカーボネート。
  4. 【請求項4】 式 【化7】 で示される構造単位〔1〕、および式 【化8】 で示される構造単位〔3〕からなる、還元粘度0.10
    以上(25℃、0.5g/dlクロロホルム)のポリエ
    ステルカーボネート。
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