JPH069283A - シリカアルミナ薄膜の製造方法 - Google Patents

シリカアルミナ薄膜の製造方法

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JPH069283A
JPH069283A JP24660991A JP24660991A JPH069283A JP H069283 A JPH069283 A JP H069283A JP 24660991 A JP24660991 A JP 24660991A JP 24660991 A JP24660991 A JP 24660991A JP H069283 A JPH069283 A JP H069283A
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勘治 坂田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 両親媒性物質が作る多層二分子膜薄膜の微細
構造を活用し、分子レベルで構造制御された表面積が極
めて大きなシリカアルミナ薄膜を得る。 【構成】 二分子膜成形能をもつ両親媒性物質の展開液
を基板上に展開し、形成された液膜から水分を徐々に蒸
発させることにより、多層二分子膜薄膜が得られる。こ
の多層二分子膜薄膜にシリカアルミナ化合物含有溶液を
浸透させると、シリカアルミナ化合物は多層二分子膜薄
膜の微細構造を鋳型として成長する。そこで、浸透処理
後の両親媒性物質を化学的処理や加熱処理等で除去する
と、分子レベルで構造制御されたシリカアルミナ薄膜が
得られる。 【効果】 得られたシリカアルミナ薄膜は、特異な微細
構造を活かして、物質分離膜,触媒単体を始めとする各
種機能薄膜として使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナノメータレベルの超
薄膜からなる多層構造のシリカアルミナ薄膜を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリカアルミナ化合物は、その触媒能や
細孔構造等を利用して物質分離,触媒,触媒単体等とし
て使用されている。この種のシリカアルミナ化合物とし
ては、ケイ酸ソーダ,コロイダルシリカ等をシリカ原料
とし、アルミン酸ナトリウム等をアルミニウム原料とし
て水熱合成によって作られたゼオライト等が知られてい
る。また、融解等の手法を利用したシリカアルミナガラ
ス,ゾルーゲル法で作製されたシリカアルミナ化合物等
も使用されている。
【0003】物質分離や触媒等の用途にシリカアルミナ
化合物を使用するとき、被分離物質や反応物質の透過量
を大きくすることが必要である。そこで、膜強度を維持
し、しかも膜厚を薄くして透過速度を向上させたフィル
ム状薄膜に作製することが要求される。更に、薄膜の細
孔構造に起因する作用を効果的に発揮させる上で、細孔
構造をナノメータレベルで制御することが要求される。
【0004】しかし、従来のシリカアルミナ関連化合物
は、その多くが粉末状であるため、薄膜化しがたく、造
粒して粒状,板状,塊状等に成形した状態で使用されて
いる。
【0005】たとえば、シリカを薄膜化する方法として
代表的なゾルーゲル法においては、アルコキシシラン物
質の加水分解溶液を基板上に塗布し、加熱処理等を施す
ことによってゲルコーティング膜を形成する。そして、
このゲルコーティング膜からシリカ薄膜が作製される。
【0006】しかし、ゾルーゲル法でシリカ薄膜を製造
する場合、薄膜形成時に溶媒の蒸発やシロキサン結合
(Si−O−Si)の生成による架橋反応に伴って体積
収縮が起きる。そのため、作製された薄膜にクラックが
発生し易く、得られた薄膜が脆い構造をもったものとな
る。この傾向は、他の金属アルコキサイドを使用した場
合にも同様に発生する。したがって、ゾルーゲル法によ
ってフィルム状の薄膜を製造することは、現実的には非
常に難しい。
【0007】また、基板や支持膜等を使用する場合、コ
ーティング膜と基板等との密着性や薄膜形成時の体積収
縮に耐える機械的強度が基板,支持膜等に要求されるこ
とから、使用可能な基板,支持膜の材質に制約が加わ
る。更に、シリカアルミナコーティング薄膜の場合に
は、基板或いは支持膜としても、得られた薄膜の目的用
途から多孔体が使用される。しかし、多孔質の基板或い
は支持膜の細孔構造に起因して、特にサブミクロンレベ
ルの超薄膜で且つ均質な膜厚をもった薄膜が得られ難く
なる。
【0008】たとえば、シリカアルミナ薄膜を得る方法
としては、多孔体であるセラミックス基板の上にゼオラ
イトの結晶を成長させることがJournal of
Membrance Science vol.22
(1985)第135〜146ページに記載されてい
る。しかし、この方法では、ナノメータレベルまで均質
に薄膜化することができず、また細孔構造を制御するこ
とも難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の粉
末を成形する方法やゾルーゲル法等によるとき、物質分
離や触媒単体等の目的用途に適した被分離物質や反応物
質の透過量を大きくすることができるフィルム状薄膜を
得ることが困難であった。特に、これらの方法では、膜
厚をナノメータレベルの緻密さで制御することは不可能
であった。
【0010】そこで、本発明の第1の目的は、ある種の
両親媒性物質が分子レベルの高い規則性をもった多層二
分子膜薄膜を形成する性質を活用することによって、ナ
ノメータレベルで構造制御されたシリカアルミナ薄膜を
製造することにある。
【0011】両親媒性物質の多層二分子膜薄膜を利用し
て製造された薄膜は、1回の処理では超薄膜構造のため
クラックが発生する場合がある。そのため、取扱いが容
易な自己支持性をもった薄膜にすることが困難である。
【0012】そこで、展開液としてラジカル重合性モノ
マーを添加した溶液を使用し、薄膜形成後にラジカル重
合性モノマーを重合させることにより二次元的に架橋し
た超薄膜ポリマーを含む複合薄膜を形成し、この複合薄
膜を使用してシリカアルミナ薄膜の脆さを防ぎ、自己支
持性のある安定したシリカアルミナ薄膜を得ることを第
2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のシリカアルミナ
薄膜製造方法は、その目的を達成するため、二分子膜形
成能を有する両親媒性物質の展開液を基板上に展開した
後、前記基板上に形成された液膜から溶媒を除去するこ
とによって前記両親媒性物質の多層二分子膜薄膜を調製
し、シリカアルミナ化合物を含有する溶媒に前記多層二
分子膜薄膜を接触させ、次いで前記多層二分子膜薄膜を
抽出除去することを特徴とする。
【0014】多層二分子膜薄膜に接触したシリカアルミ
ナ化合物は、薄膜の細孔空間に浸透する。そこで、たと
えば有機溶媒によって両親媒性物質を抽出除去すると、
多層二分子膜薄膜の細孔構造を鋳型として発達した微細
構造をもつシリカアルミナ薄膜が得られる。
【0015】本発明で使用される両親媒性物質は、同一
分子内に極性基及び疎水基の両方を同時に有する化合物
である。
【0016】極性基としては、スルホン基,硫酸基,ア
ンモニウム基,ポリアミン基,カルボン酸基,スルホニ
ウム塩,燐酸塩,ホスホン酸塩,ホスホニウム塩,ポリ
エーテル類,アルコール類,糖残基類を含むポリオール
類及びこれらの基の組み合わせを使用することができ
る。しかし、シリカアルミナ化合物との反応性を考慮す
るとき、たとえばアンモニウム塩のようなイオン対型で
特にカチオン性残基を有するものが好ましい。
【0017】他方、疎水基としては、アルキル基,アル
キルアリル基,脂環基,縮合多環基及びこれらの基にフ
ルオロカーボン鎖を含むもの、更にこれらの組み合わせ
を使用することができる。ただし、生体膜と同様に安定
な二分子膜を形成する上では、ある特定の部分化学構造
が要求される。このような部分化学構造としては、たと
えば2本以上のアルキル長鎖或いはアゾベンゼン,ビフ
ェニル等の剛いセグメントを含むアルキル長鎖等があ
る。
【0018】この点、二分子膜構造を取る両親媒性物質
の化学構造上の特徴及びこれによる薄膜形成能が高い理
由や代表的な化合物例等に関しては、特願平1−588
89号明細書で詳細に説明されているので、ここでは省
略する。
【0019】両親媒性物質の展開液は、所定量の両親媒
性物質を溶媒に溶解或いは分散させることによって調製
される。溶媒としては、多くの場合に水が使用される
が、有機溶媒の使用も可能である。
【0020】展開液が展開される基板としては、ガラス
基板,石英板,フロロポア,グラファイト板,緻密ポリ
マーフィルム,多孔質ポリマーフィルム等が使用され
る。基板の表面に対しては、展開液の種類に応じて親水
化処理或いは疎水化処理を施しても良い。たとえば、展
開液が基板表面上の所定面積に展開されるように、基板
表面の一部を親水化し、残りの表面部分を疎水化処理す
ることも有効である。
【0021】基板上に展開された展開液から溶媒が除去
されると、両親媒性物質の二分子膜が形成される。この
溶媒が除去される過程で、両親媒性物質の分子集合体の
規則性を確保するため、溶媒の除去を徐々に行うことが
好ましい。溶媒除去の条件は、展開液の溶媒系にもよる
が、水溶液系の場合の一例を示すと、室温付近の25
℃,相対湿度60%に設定された恒温恒湿槽内で3日間
程度をかけて行われる。このとき、展開される基板の表
面積,展開液中の両親媒性物質の濃度,展開液の液量等
によって、調製される両親媒性物質の多層二分子膜薄膜
の膜厚が定まる。そして、最終的に製造されるシリカア
ルミナ薄膜の膜厚も決まる。
【0022】溶媒を除去した後で得られる両親媒性物質
の多層二分子膜薄膜は、基板から剥しても十分な自己支
持性を有している。しかし、操作性を考慮したとき、基
板に付着したままの多層二分子膜薄膜に対して、シリカ
アルミナ化合物含有溶液を使用した浸漬等の接触処理を
行うほうが好ましい。
【0023】本発明におけるシリカアルミナ化合物は、
主としてSi−O−Al結合を有する化合物をいう。こ
のシリカアルミナ化合物を含有する溶液は、両親媒性物
質の多層二分子膜薄膜の有機溶媒に対する溶解性を考慮
し、水溶液系であることが好ましい。
【0024】シリカアルミナ化合物は、特に制約される
ものではないが、アルカリ溶液或いは酸溶液においてシ
リカ化合物及びアルミナ化合物との混合による化学反
応、或いはアルミニウムアルコキサイドとシリカアルコ
キサイドとを直接的な合成反応等で製造することができ
る。しかし、後述のイオン交換を行う際、シリカアルミ
ナ化合物以外のアニオン種が混在することを避けるた
め、アルカリ溶液中で反応させた溶液を使用することが
好ましい。
【0025】使用可能なシリカ化合物としては、特に限
定されるものではないが、ケイ酸ナトリウム,ケイ酸カ
リウム,コロイダルシリカ,シリカアルコキサイド等が
例示される。また、アルミニウム化合物としても、特に
限定されるものではないが、アルミニウム粉末,アルミ
ン酸ナトリウム,硫酸アルミニウム,塩化アルミニウ
ム,水酸化アルミニウム,アルミナゾル等がある。
【0026】シリカアルミナ化合物含有溶液は、アルカ
リ溶液中において反応し、溶液中にSi−O−Al結合
を有する化合物,AlをSi−O−Si結合をもつ化合
物が覆った形で全体的にアニオン性の化合物を存在させ
る。また、シリカアルミナ化合物含有溶液を調製するア
ルカリ物質は、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の
無機アルカリ化合物、或いはNHn(R)4-n[ただし、R
はアルキル基を示し、nは0〜3の自然数を示す)で表
される有機アミン化合物等でもよい。
【0027】シリカアルミナ化合物含有溶液は、シリカ
アルミナ化合物の濃度が高くなるに従って粘度が高くな
る。そのため、多層二分子膜薄膜を浸漬放置している間
に、溶媒の蒸発に起因して溶液表面にシリカアルミナ化
合物のゲル膜が形成される。その結果、取扱いが困難に
なる。この欠点を回避するためには、シリカアルミナ化
合物の濃度を1〜20重量%の範囲に維持することが適
当である。
【0028】シリカアルミナ化合物含有溶液に対する多
層二分子膜薄膜の浸漬時間は、多層二分子膜薄膜とシリ
カアルミナ化合物とのイオン交換反応性によって定ま
る。多層二分子膜薄膜の種類,シリカアルミナ化合物の
合成条件等によって変化があるものの、多くの場合に2
0℃前後の室温で1〜20重量%のシリカアルミナ化合
物濃度の範囲においては、ほぼ12時間以内にイオン交
換反応が終了する。したがって、これ以上の時間にわた
り、シリカアルミナ化合物含有溶液に多層二分子膜薄膜
を接触させれば十分である。また、イオン交換剤で処理
を行った後の溶液を使用することにより、浸漬時間を通
常よりも短縮することも可能である。
【0029】シリカアルミナ化合物含有溶液に浸漬処理
した両親媒性物質の多層二分子膜薄膜を水で洗浄し、乾
燥した後、両親媒性物質の種類に応じて選択された有機
溶媒を抽出剤として、両親媒性物質を抽出除去する。こ
の処理によって、両親媒性物質が除去され、ナノメータ
レベルの超薄膜からなる多層膜状のシリカアルミナ薄膜
が得られる。
【0030】得られるシリカアルミナ薄膜は、1回の処
理ではフィルムの膜厚が極めて小さいため、自己支持性
に欠けたり、小片化する場合がある。そこで、本発明者
等は、層内面におけるシリカアルミナ薄膜の成長を促進
させることによって、自己支持性のあるフィルム上のシ
リカアルミナ薄膜を製造する方法を検討した。検討の結
果、シリカアルミナ化合物含有溶液に浸漬処理した両親
媒性物質の多層二分子膜薄膜を水洗後、シリカアルミナ
化合物以外のアニオン種を含んだ溶液に浸漬し、水洗し
た後、再びシリカアルミナ化合物含有溶液に浸漬させる
処理を1回又は複数回繰り返して行う方法、多層二分子
膜薄膜に対するシリカアルミナ化合物の浸透性を向上さ
せるため、シリカアルミナ化合物含有溶液をカチオン性
のイオン交換剤で処理した溶液を使用する方法、或いは
両親媒性物質の多層二分子膜薄膜を調製する展開液にラ
ジカル重合性モノマーを添加し、このモノマーを多層二
分子膜薄膜中で重合処理することによって調製される超
薄膜ポリマーを含む多層二分子膜薄膜を利用する方法が
有効である。
【0031】たとえば、他のアニオンを含む化合物を用
いる処理を行う場合には、シリカアルミナ化合物含有溶
液に浸漬処理した多層二分子膜薄膜を水洗した後、シリ
カアルミナ化合物以外のアニオン種を含む化合物に接触
させる処理を施す。これを水洗し、再び多層二分子膜薄
膜をシリカアルミナ化合物含有溶液に浸漬する。この一
連の処理を両親媒性物質の多層二分子膜薄膜に対して1
回又は複数回繰返して施し、最終的に両親媒性物質の種
類に応じて選択された有機溶媒を抽出剤として両親媒性
物質を抽出除去する。このようにして作製されたシリカ
アルミナ薄膜は、ピンセットでも十分に取り扱うことが
できる程度に優れた自己支持性をもったフィルム状とな
っている。
【0032】ここで、シリカアルミナ化合物以外のアニ
オン種をもつ化合物とは、特に制約されるものではない
が、たとえば塩酸,硫酸,硝酸,臭化水素酸等の無機
酸、塩化ナトリウム,塩化カリウム,硫酸ナトリウム,
硫酸カリウム,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム等の無機
酸塩、臭化ナトリウム,臭化カリウム,フッ化ナトリウ
ム,フッ化カリウム,沃化ナトリウム,沃化カリウム等
のハロゲン化物、或いは蟻酸,酢酸,シュウ酸等のカル
ボン酸及びそれらの塩等で水溶性の化合物等をいう。
【0033】アニオン性物質に対する多層二分子膜薄膜
の接触処理は、アニオン性物質の蒸気を使用して行うこ
ともできる。しかし、多層二分子膜薄膜との反応性を高
めるため、アニオン性物質の水溶液を用意し、この水溶
液に多層二分子膜薄膜を浸漬させることが簡便で且つ効
果的である。
【0034】水溶液の濃度は、特に限定されるものでは
ないが、0.1〜1M程度のものが好ましい。また、浸
漬処理は、シリカアルミナ化合物の浸漬処理と同様に、
この溶液濃度で反応が終了する12時間以上であればよ
い。
【0035】これら一連の処理は、多層二分子膜薄膜を
構成する両親媒性物質の種類によって多少異なるが、2
〜5回以上で繰返し処理の効果が飽和することがある。
このように両親媒性物質の多層二分子膜薄膜をシリカア
ルミナ化合物含有溶液及び他のアニオン種を含む溶液と
交互に接触処理を繰り返すことにより、得られたシリカ
アルミナ薄膜の自己支持性が向上する。
【0036】シリカアルミナ化合物含有溶液をカチオン
性イオン交換剤で処理する場合、アルカリ溶液内で反応
させたシリカアルミナ化合物を含む溶液をカチオンイオ
ン交換剤に接触させ、溶液中のカチオンを他のカチオン
と交換する。得られた溶液に両親媒性物質の多層二分子
膜薄膜を浸漬処理し、水洗後、多層二分子膜薄膜を他の
アニオン種に浸漬処理する。このとき使用するカチオン
交換剤は、シリカアルミナ化合物含有溶液中のカチオン
を交換するため、反応溶液に使用していないカチオンを
もつイオン交換剤がよい。通常、イオン交換剤は、ナト
リウムタイプ或いはプロトンタイプのものが利用されて
いるが、この場合にはプロトンタイプのイオン交換剤が
効果的である。この処理を施した溶液に両親媒性物質の
多層二分子膜薄膜を接触させると、未処理の場合に比較
して格段に交換能力が向上する。使用可能なイオン交換
剤としては、イオン交換樹脂,イオン交換膜等がある。
【0037】また、カチオン性イオン交換剤による処理
の後、既に述べた方法と同様にして両親媒性物質の多層
二分子膜薄膜をシリカアルミナ化合物含有溶液に接触さ
せる方法を1回或いは複数回繰り返す。これによって、
自己支持性に優れた丈夫な薄膜が製造される。
【0038】二分子膜形成能をもつ両親媒性物質は、特
願平1−58889号で示したように、ラジカル重合性
モノマーを多層二分子膜薄膜内に取り込むことができ
る。取り込まれたラジカル重合性モノマーは、二次元的
に架橋した超薄膜積層体を形成する。そこで、この超薄
膜積層体を利用することによっても、自己支持性を備え
たフィルム状のシリカアルミナ薄膜を製造することが可
能である。
【0039】すなわち、二分子膜形成能を有するカチオ
ン型の両親媒性物質にラジカル重合性モノマーを添加し
た展開液を、同様の方法によって基板上に展開した後、
溶媒を蒸発させ、モノマーを含有する両親媒性物質の多
層二分子膜薄膜を調製する。そして、多層二分子膜薄膜
に含まれているラジカル重合性モノマーを熱重合,光重
合,放射線重合等によって重合させ、二次元的に架橋し
た超薄層ポリマーを含有する多層二分子膜複合薄膜を得
る。
【0040】この複合薄膜に対して、同様にシリカアル
ミナ化合物含有溶液への浸漬処理、或いは他のアニオン
種への接触処理を組み合わせたシリカアルミナ化合物含
有溶液への浸漬処理を施し、シリカアルミナ薄膜を製造
する。このとき、シリカアルミナ化合物含有溶液への浸
漬処理は、ラジカル重合性モノマーを含有しない展開液
から調製された多層二分子膜薄膜と同様に行うことがで
きる。
【0041】使用されるラジカル重合性モノマー及びこ
のモノマーを重合させて超薄層ポリマーを含む多層二分
子膜薄膜を作製する方法の一例は、特願平1−5888
9号で示されているが、それに拘束されるものではな
く、他の手段を採用することもできる。ラジカル重合性
モノマーの一例を示すと、次式の多官能モノマーの単独
或いは複数を共重合させて使用することができる。な
お、次式におけるRは、CH3 又はHを示す。
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】また、これら多官能モノマーに単官能モノ
マーやエチレングリコール,グリセリン等の希釈剤を混
合することもできる。使用可能な単官能モノマーとして
は、次のものが例示される。
【0045】
【化3】
【0046】シリカアルミナ化合物含有溶液との接触処
理が行われた多層二分子膜複合薄膜は、最終的に酸化雰
囲気化での熱処理を受けてシリカアルミナ薄膜となる。
具体的には、空気下或いは酸素ガス流下で多層二分子膜
薄膜を電気炉等で300度以上の高温に加熱するこ
とによって、両親媒性物質及び超薄層ポリマーを焼却除
去する。
【0047】
【作 用】分子の両端末に極性基及び疎水基を有する両
親媒性物質のうち、ある種のものは生体膜と同様の二分
子膜構造を有する分子集合体を形成する。この二分子膜
を形成する両親媒性物質は。水分散体として得られるだ
けでなく、両親媒性物質の水分散液を固体基板上に展開
した後で、水を徐々に除去することによって透明性の自
己支持性をもつフィルム状の多層二分子膜薄膜に成形す
ることができる。そして、得られたフィルム状の多層二
分子膜薄膜内においても、両親媒性物質の規則的な二分
子膜構造が維持されており、二次元平面性の高いラメラ
構造をとることが知られている[たとえば、Thin
Solid Films, 121,L89(198
4)参照]。これに対して、二分子膜形成能をもたない
両親媒性物質、すなわち一般の界面活性剤では、自己支
持性があり且つ規則的な分子組織の構造をもつ薄膜の形
成は困難である。
【0048】そこで、本発明者等は、特に二分子膜形成
能を有する両親媒性物質から調製される多層二分子膜薄
膜の分子レベルで高度に規則的な組織構造に着目し、両
親媒性物質が作る二次元平面性の高いラメラ構造を鋳型
にしてシリカアルミナ層を形成するとき、分子レベル、
すなわちナノメータ単位の超薄膜からなるシリカアルミ
ナ薄膜がフィルム状で得られると考えた。ここで、親水
部がイオン対型の両親媒性物質は、対イオンにイオン交
換性があり、組織構造を維持しつつ容易にイオン交換す
る。この性質を利用して、多層二分子膜薄膜の親水部に
シリカアルミナ化合物を層間化することを試みた。
【0049】一般にSi−O結合をもつシリカ化合物
は、アニオン性を示す。これに対し、アルミニウム化合
物は、強いカチオン性を示す。そのため、これら化合物
をそれぞれ多層二分子膜薄膜の親水部にイオン交換して
層間化することは難しい。しかし、シリカアルミナ化合
物を代表するゼオライトの表面電位はマイナスに帯電し
ており、その構造表面にカチオン性の物質をイオン的に
結合した形で安定している。そこで、この構造に似た化
合物を合成することによりシリカ及びアルミニウムを同
時に有する化合物を作り、多層二分子膜薄膜の親水部に
イオン交換し、層間化することを考えた。
【0050】この場合、シリカとアルミナの比はシリカ
アルミナ化合物の合成時の条件によって変化するが、得
られた化合物が全体的にアニオン性であればよい。ま
た、Si−O−Al結合を必ずしも有する必要はなく、
アルミニウム化合物をシリカ化合物が覆い、得られた化
合物が全体的にアニオン性であればよい。これらのこと
を考慮して、両親媒性物質としてカチオン性型のものを
使用した。
【0051】両親媒性物質とシリカアルミナ化合物との
間のイオン交換反応は、シリカアルミナ化合物含有溶液
の状態にもよるが、通常ほぼ化学量論的に進行する。シ
リカアルミナ化合物は、両親媒性物質の多層二分子膜薄
膜の層間の極性基の存在する中で重縮合反応を行う。両
親媒性物質は、最終的に両親媒性物質に種類に応じて選
択された有機溶媒を抽出剤として抽出することによっ
て、シリカアルミナ薄膜から除去される。これにより、
ナノメータ単位の超薄膜からなるシリカアルミナ薄膜が
得られる。
【0052】このとき、イオン交換反応によって層間化
されるシリカアルミナ化合物と両親媒性物質の分子断面
積等の相違によって、多層二分子膜薄膜の層間がシリカ
アルミナ化合物で十分に満たされないことがある。この
ような場合、両親媒性物質を抽出した後に得られるシリ
カアルミナ薄膜は、薄すぎるため、自己支持性がなく、
小片化することがある。そこで、多層二分子膜薄膜の層
間に多量のシリカアルミナ化合物を導入することが必要
とされる。
【0053】シリカアルミナ化合物の導入のために、本
発明では、他のアニオン種による処理によって、多層二
分子膜薄膜内にイオン交換サイトを賦活させている。イ
オン交換で導入されたアニオン性シリカアルミナ化合物
とは別に、両親媒性の対イオンが再び導入され、イオン
交換サイトが賦活される。この処理を繰り返すことによ
り、多層二分子膜薄膜に化学量論以上の多量のシリカア
ルミナ化合物を層間化することができる。
【0054】また、層間への導入量を多くするため、導
入速度を上昇させることを検討した。すなわち、シリカ
アルミナ化合物含有溶液にイオン交換剤によるイオン交
換処理を施すことによって、溶液中のカチオン性のイオ
ンを除去し、イオン交換能力を増加させる。この方法の
採用により、シリカアルミナ化合物は、多層二分子膜薄
膜の層間に迅速に導入される。このとき、層間への導入
量は、化学量論的な値よりも多くなっている。その理由
は、現段階では定かでないが、多層二分子膜薄膜の層間
における極性基に囲まれた特殊な場がこれに起因してい
るものと推察される。
【0055】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。
【0056】実施例1:二分子膜形成能を有する両親媒
性物質として、次式に示す構造をもった化合物(1)を
使用した。
【化4】
【0057】両親媒性物質(1)を純水に分散させ、3
0mMの展開液を調製した。得られた展開液をフロロポ
アー上に展開し、形成された液膜を25℃,相対湿度6
0%の雰囲気下において、液膜中の水分を徐々に蒸発さ
せた。その結果、自己支持性のある白色で半透明な多層
二分子膜薄膜が得られた。
【0058】シリカアルミナ化合物は、アルミニウム物
質としてアルミニウム粉末を使用し、水酸化ナトリウム
でアルミニウム粉末を純水中に溶解することによって調
製した。そして、水溶液にコロイダルシリカを加え、室
温で1週間撹拌した。得られた水溶液の組成は、SiO
2 /Al23 =3(mol/mol),Na2 O/S
iO2 =0.5(mol/mol)であった。
【0059】このシリカアルミナ含有溶液に、作製した
多層二分子膜薄膜を浸漬し、12時間放置した後、多層
二分子膜薄膜を水溶液から取り出した。処理後の多層二
分子膜薄膜は、若干膨潤していた。この多層二分子膜薄
膜を純水で十分に洗浄した後、クロロホルム溶媒を使用
して両親媒性物質(1)を抽出除去した。
【0060】得られたシリカアルミナ薄膜は、膜厚が約
10μmの僅かに白色を呈する透明なフィルムであっ
た。このシリカアルミナフィルムをSEMで観察したと
ころ、その微細構造は、ナノメータ単位で積層した超薄
膜の多層膜薄膜であった。また、フィルムの組成をES
CAによって測定したところ、SiO2 /Al23
2.5(mol/mol)であった。更に、フィルムの
表面積は、窒素吸着法による測定で110m2 /gであ
った。
【0061】実施例2:二分子膜形成能を有する両親媒
性物質として、同じ化合物(1)を使用し、実施例1と
同様の方法で多層二分子膜薄膜を得た。
【0062】他方、アルミニウム物質としてアルミン酸
ナトリウムを使用し、これを純水に溶解した。この水溶
液にコロイダルシリカを加え、90℃で2日間撹拌し
た。このようにして調製されたシリカアルミナ化合物含
有溶液の組成は、SiO2 /Al23 =5,Na2
/SiO2 =1.5であった。
【0063】作製された多層二分子膜薄膜をシリカアル
ミナ含有溶液に浸漬し、12時間放置した後、多層二分
子膜薄膜を水溶液から取り出した。浸漬処理後の多層二
分子膜薄膜は、若干膨潤していた。この多層二分子膜薄
膜を純水で十分洗浄した後、クロロホルム溶媒で両親媒
性物質(1)を抽出除去した。得られたシリカアルミナ
薄膜は、僅かに白色の小片であった。
【0064】そこで、両親媒性物質(1)の多層二分子
膜薄膜をシリカアルミナ含有溶液に12時間浸漬した後
で、0.2M濃度の塩化ナトリウム溶液に12時間浸漬
処理し、再びシリカアルミナ含有溶液に12時間浸漬す
る操作を3回繰り返した。繰返し浸漬処理後の多層二分
子膜薄膜を純水で十分洗浄した後、クロロホルム溶媒で
両親媒性物質(1)を抽出除去した。これによって、十
分に自己支持性があるフィルム状のシリカアルミナ薄膜
が得られた。
【0065】この薄膜をSEMで観察したところ、その
微細構造は、約20nmの超薄膜が積層した多層膜薄膜
であった。また、フィルムの組成をESCAで測定した
ところ、SiO2 /Al23 =5.0であった。更
に、フィルムの表面積を窒素吸着法で測定したところ、
90m2 /gであった。
【0066】実施例3:二分子膜形成能を有する両親媒
性物質として、次式(2)に示す構造をもつ化合物を使
用した。
【化5】
【0067】両親媒性物質(2)を純水に分散させ、3
0mMの展開液を調製した。得られた展開液を実施例1
と同様に処理し、自己支持性のある白色で半透明なフィ
ルムを得た。
【0068】他方、組成がSiO2 /Al23 =3
(mol/mol),Na2 O/SiO2 =1.2(m
ol/mol)である以外は、実施例1と同様にアルミ
ニウム粉末及びコロイダルシリカを出発材料として、シ
リカアルミナ化合物含有溶液を調製した。
【0069】H+ 型カチオン交換タイプのイオン交換樹
脂を使用してシリカアルミナ含有溶液を処理し、処理後
の溶液に作製した多層二分子膜薄膜を浸漬し、12時間
放置した後で取り出した。浸漬処理された多層二分子膜
薄膜を純水で十分洗浄した後、クロロホルム溶媒で両親
媒性物質(2)を抽出除去した。
【0070】作製されたシリカアルミナ薄膜は、膜厚が
20μmで僅かに白色を呈する透明なフィルムであっ
た。このシリカアルミナフィルムをSEMで観察したと
ころ、図1に示すようにナノメータ単位で積層した超薄
膜からなる多層膜構造をもっていた。また、フィルムの
組成は、ESCAによる測定結果でSiO2 /Al2
3 =5.0であった。更に、窒素吸着法で測定したフィ
ルムの表面積は、140m2 /gであった。
【0071】実施例4:二分子膜形成能を有する両親媒
性物質として、化合物(2)を使用した。両親媒性物質
(2)を実施例3と同様に処理して、多層二分子膜薄膜
を得た。他方、シリカアルミナ含有溶液は、アルミニウ
ム物質としてのアルミン酸ナトリウムを純水に溶解し、
これにコロイダルSiO2 を加え、室温で1週間撹拌す
ることによって調製した。この溶液の組成は、SiO2
/Al23 =5,Na2 O/SiO2 =1.5であっ
た。
【0072】H+ 型カチオン交換タイプのイオン交換樹
脂を使用してシリカアルミナ含有溶液を処理し、処理後
の溶液に多層二分子膜薄膜を浸漬し、12時間放置した
後、取り出した。そして、浸漬処理された多層二分子膜
薄膜を純水で十分に洗浄した後、クロロホルム溶媒で両
親媒性物質(2)を抽出除去した。このとき得られたシ
リカアルミナフィルムは、僅かに白色の小片であった。
【0073】そこで、両親媒性物質(2)の多層二分子
膜薄膜をシリカアルミナ含有溶液に12時間浸漬した後
で、0.2M濃度の臭化ナトリウム溶液に12時間浸漬
処理し、再びシリカアルミナ化合物含有溶液に12時間
浸漬する操作を3回繰り返した。そして、最終的にクロ
ロホルム溶媒で両親媒性物質(2)を抽出除去した。そ
の結果、十分に自己支持性があるフィルム状のシリカア
ルミナ薄膜が得られた。
【0074】作製されたシリカアルミナ薄膜をSEMで
観察したところ、ナノメータ単位で積層された超薄膜か
らなる多層膜構造をもっていた。また、シリカアルミナ
薄膜の組成は、ESCAによる測定値としてSiO2
Al23 =6.2であった。更に、窒素吸着法で測定
されたシリカアルミナ薄膜の表面積は、120m2 /g
であった。
【0075】実施例5:二分子膜形成能を有する両親媒
性物質として、実施例3と同じ化合物(2)を使用し
た。この両親媒性物質(2)を純水に分散させ、30m
Mの分散液を用意した。分散液に、両親媒性物質(2)
と等モル量の次式(3)で示す2官能モノマー及び重合
開始剤として2官能モノマー(3)に対して2%モルの
4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロ
キシエトキシ−2プロピル)ケトンを混合して展開液を
調製した。
【0076】
【化6】
【0077】得られた展開液を実施例1と同様に基板上
に展開し、形成された液膜の水分を徐々に蒸発させた。
次いで、長高圧水銀ランプを使用して紫外線を照射し、
2官能モノマー(3)を架橋重合させた。
【0078】他方、シリカアルミナ化合物含有溶液は、
次のように調製した。テトラエチルアンモニウムブロマ
イドを使用して、アルミニウム物質としてのアルミニウ
ムプロポキサイドを純水中に溶解させた。次いで、テト
ラエトキシシランを水溶液に加え、室温で2週間撹拌し
た。得られた溶液は、SiO2 /Al23 =3の組成
をもっていた。更に、H+ 型カチオン交換タイプのイオ
ン交換樹脂を使用してこの溶液を処理し、シリカアルミ
ナ化合物含有溶液を調製した。
【0079】このシリカアルミナ化合物含有溶液で実施
例1と同様に浸漬処理した透明フィルム状の多層二分子
膜薄膜を、箱形電気炉の投入し、昇温速度10℃/時で
昇温し、500℃で10時間放置した。加熱処理後のシ
リカアルミナ薄膜は、膜厚が約30μm程度の僅かに白
色を呈する透明なフィルムであり、十分な自己支持性を
もっていた。また、このフィルムをSEMで観察したと
ころ、ナノメータ単位で超薄膜が積層された多層膜構造
をもっていた。そして、窒素吸着法で測定したフィルム
の表面積は、70m2 /gであった。
【0080】比較例:実施例3で調製したシリカアルミ
ナ含有溶液をそのままフルオロカーボンシート上に展開
し、実施例1と同じ条件下で水分を蒸発させた。その結
果、得られた物質は、透明な固体であり、フィルム状に
はならなかった。この物質をSEMで観察したところ、
図2に示すような特徴のない構造をもつものであった。
また、窒素吸着法により求めた表面積は、5m2 /gと
非常に小さなものであった。
【0081】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、両親媒性物質が作る分子集合体を反応場として活用
し、多層二分子膜薄膜を鋳型としてシリカアルミナ化合
物を多層二分子膜薄膜に浸透させている。そして、所定
のシリカアルミナ化合物が浸透された後で両親媒性物質
を除去するとき、多層二分子膜の微細空隙に倣った微細
構造をもつシリカアルミナ薄膜が得られる。このシリカ
アルミナ薄膜は、分子レベル(ナノメータレベル)で構
造制御されたものであり、従来のゾルーゲル法等で作製
した薄膜に比較して非常に大きな表面積をもっている。
そのため、物質分離膜,触媒,触媒単体等の機能薄膜と
して使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例で作製したシリカアルミナ薄膜
の構造を示すSEM写真
【図2】 両親媒性物質の多層二分子膜薄膜を使用する
ことなく、シリカアルミナ化合物含有溶液から展開法で
作製した物質を示すSEM写真
フロントページの続き (72)発明者 坂田 勘治 福岡県筑紫野市大字二日市304番地の1 (72)発明者 国武 豊喜 福岡県粕屋郡志免町桜丘一丁目19−3

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二分子膜形成能を有する両親媒性物質の
    展開液を基板上に展開した後、前記基板上に形成された
    液膜から溶媒を除去することによって前記両親媒性物質
    の多層二分子膜薄膜を調製し、シリカアルミナ化合物を
    含有する溶液に前記多層二分子膜薄膜を接触させ、次い
    で前記多層二分子膜薄膜を抽出除去することを特徴とす
    るシリカアルミナ薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多層二分子膜薄膜をシリ
    カアルミナ化合物の溶液に接触させた後、更に別のアニ
    オン種を含む溶液に前記多層二分子膜薄膜を接触させ、
    再びシリカアルミナ化合物の溶液に接触させる処理を1
    回又は複数回繰返し行うことを特徴とするシリカアルミ
    ナ薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシリカアルミナ化合物の
    溶液をイオン交換剤によって処理した後、多層二分子膜
    薄膜を接触させ、次いで前記多層二分子膜薄膜を抽出除
    去することを特徴とするシリカアルミナ薄膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のカチオン性物質が除去さ
    れたシリカアルミナ化合物の溶液に両親媒性物質の多層
    二分子膜薄膜を接触させ、更に別のアニオン種を含んだ
    溶液に前記多層二分子膜薄膜を接触させ、再びシリカア
    ルミナ化合物の溶液に前記多層二分子膜薄膜を接触させ
    る処理を1回又は複数回繰返し行うことを特徴とするシ
    リカアルミナ薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の展開液としてラジカル重
    合性モノマーを添加した溶液を使用し、前記ラジカル重
    合性モノマーを含有する両親媒性物質の多層二分子膜薄
    膜を調製した後、前記ラジカル重合性モノマーを重合さ
    せることにより二次元的に架橋した超薄膜層ポリマーを
    含む多層二分子膜複合薄膜を作製し、シリカアルミナ化
    合物を含有する溶液に前記多層二分子膜複合薄膜を接触
    させ、次いで前記多層二分子膜複合薄膜を化学的処理又
    は焼却によって除去することを特徴とするシリカアルミ
    ナ薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 多層二分子膜薄膜を請求項1又は3記載
    のシリカアルミナ化合物を含有する溶液に接触させた
    後、重合したラジカル重合性モノマーを含有する両親媒
    性物質の多層二分子膜薄膜を更に別のアニオン種に接触
    させ、再びシリカアルミナ化合物の溶液に接触させる処
    理を1回又は複数回繰返し行うことを特徴とするシリカ
    アルミナ薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1160212A (ja) * 1997-08-12 1999-03-02 Fukuoka Pref Gov 金属酸化物構造体およびその製造方法

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