JPH0691367A - アルミニウム材の加熱溶接法 - Google Patents

アルミニウム材の加熱溶接法

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JPH0691367A
JPH0691367A JP4245008A JP24500892A JPH0691367A JP H0691367 A JPH0691367 A JP H0691367A JP 4245008 A JP4245008 A JP 4245008A JP 24500892 A JP24500892 A JP 24500892A JP H0691367 A JPH0691367 A JP H0691367A
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昭一 佐藤
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一郎 岩井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接合作業の効率化を図るとともに、接合強度
に優れた溶接品を生産することができるアルミニウム材
の加熱溶接法を目的とする。 【構成】 アルミニウムからなる被溶接部材11、11
の接合界面に、溶加材にフラックスを含有させたインサ
ート材12を介在させ、接合部を一対の発熱体13、1
3で挟み、これらの発熱体13、13からの熱伝導によ
り前記インサート材12を溶融して被接合部材11、1
1を接合する構成とする。さらに、前記被溶接部材1
1、11の接合部において、前記発熱体13による加熱
と同時に、接合面を接合方向に加圧することが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム材の溶
接、特に部材の一部分のみの溶接に好適に用いられるア
ルミニウム材の加熱溶接法に関するものである。
【0002】なお、本明細書において「アルミニウム」
の語は、アルミニウムとその合金の両方を含む意味で用
いられる。
【0003】
【従来の技術】従来、アルミニウム材の一部分のみを接
合する方法として、非酸化雰囲気中で溶加材を介在させ
た被溶接部材に銅製その他の電極を接触状態に配置し、
加圧下で被溶接部材の接合予定箇所に電流を流し、その
電流による抵抗発熱で接合部の温度を上昇させて溶接す
る抵抗スポット溶接法が行われている。また、トーチろ
う付や高周波ろう付等の大気中におけるろう付法も行わ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
抵抗スポット溶接法においては、アルミニウム材は固有
抵抗が小で熱伝導度が大であるために発熱量が小さく、
そのために溶接に必要な発熱量を得るには1スポットあ
たり20〜30kAの高電流を要する。その結果、エネ
ルギーコストが高く、また電極先端部に銅とアルミニウ
ムとの合金を形成し易いために、電極のドレッシング間
隔が短くなり電極の消耗が激しいことから生産性が悪い
という問題点がある。また、電極の消耗やアルミニウム
材の表面状態のばらつきに起因して接合強度がばらつ
き、接合品は信頼性が劣るものであった。さらに、電流
集中度を上げるためには、被溶接部材の重ね代を大きく
取る必要があり使用する被溶接部材が多くなるという問
題点もある。
【0005】また、トーチろう付法や高周波ろう付法に
おいては、大型部材の一部のみを接合するに際して、加
熱と加圧とを同時に行うことは物理的に不可能であるた
めに接合不可能、あるいは接合強度が極めてばらつくと
いう問題点がある。特に、接合部材がAl−Mg系合金
である場合は、これらのろう付法における熱効率の悪さ
から接合が困難である。
【0006】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを目的として、接合作業の効率化を図るとともに、大
型部材の一部分の接合であっても接合強度に優れた溶接
品を生産することができるアルミニウム材の加熱溶接法
を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム材
の加熱溶接法は、前記目的を達成するために、アルミニ
ウムからなる被溶接部材(11)(11)の接合界面
に、溶加材にフラックスを含有させたインサート材(1
2)を介在させ、接合部を一対の発熱体(13)(1
3)で挟み、これらの発熱体(13)(13)からの熱
伝導により前記インサート材(12)を溶融して被接合
部材(11)(11)を接合することを特徴とするもの
である。
【0008】前記被溶接部材(11)を構成するアルミ
ニウム材としては、その組成が特に限定されるものでは
なく、各種組成のものを適宜用い得る。
【0009】前記インサート材(12)は、溶加材が前
記被溶接部材(11)よりも融点の低いアルミニウム合
金であり、かつフラックスを含有させたものであれば、
その組成や形状は特に限定されない。本発明において使
用できるインサート材(12)の一例として、一般に溶
接用の溶加材として使用されるSi、Zn等の融点低下
に有効な元素を含有するAl合金の粉末、またはこれら
の合金組成の単体粉末に、弗化物系フラックスまたは塩
化物系フラックス粉末を添加し混合して、この混合粉末
を熱圧成形後に押出成形等により所要形状に成形したも
のがある。さらにこのような固形のインサート材(1
2)の代表的な組成として、Al、Si、弗化物系フラ
ックスを含み、弗化物系フラックスを除く元素の合計含
有量に対してSi含有量が3〜15wt%、かつ弗化物系
フラックスを除く元素の合計と弗化物系フラックスとを
重量比で99.9:0.1〜70:30の割合で含有
し、かつ密度が理論値の90%以上であるインサート材
を挙げることができる。なお、前記インサート材(1
2)は必ずしも前述されたような固形である必要はな
く、前記合金粉末または合金組成の単体粉末およびフラ
ックス粉末に液状バインダーを混合攪拌した懸濁液も使
用可能である。これらのインサート材(12)を前記被
溶接材(11)(11)の接合界面に介在させる方法と
しては、インサート材(12)が固形の場合は平板状に
成形して接合界面に挟めば良く、また液状の場合は接合
面に塗布すれば良い。
【0010】前記被溶接部材(11)の接合界面にイン
サート材(12)を介在させるとともに、その接合部を
一対の発熱体(13)にて挟む具体的な配置例として、
次のようなものを挙げることができる。
【0011】図1(B)に示されている第1の配置例
は、2枚の平板状の被溶接部材(11)(11)を重ね
合わせて接合する例であり、接合界面にインサート材
(12)を介在させるように配置するとともに、それら
の重ね合わせ方向に被溶接材(11)(11)を挟むよ
うに一対の発熱体(13)(13)を配置するものであ
る。
【0012】図2に示されている第2の配置例は、被溶
接部材(11)(11)の端面同士を互いに突き合わせ
て接合する例であり、接合界面にインサート材(12)
を介在させるように配置するとともに、突き合わせ方向
と直交し、かつ各発熱体(13)が2つの被溶接部材
(11)(11)に跨がるように一対の発熱体(13)
(13)を配置するものである。
【0013】また、前記被溶接部材(11)(11)の
接合部において、前記発熱体(13)による加熱と同時
に、接合面を接合方向に加圧することが好ましい。加圧
する具体的な方法として、図1(B)に示されている第
1の配置例であれば、各発熱体(13)の両側から加圧
機等により圧力を付与して接合面を加圧するように構成
することができる。このように加熱方向と加圧方向が一
致する場合は、被溶接部材(11)を加圧機の加圧部で
直接挟み、この加圧部の被溶接部材(11)との接触部
分付近を外部の熱源から熱を与えて加圧部自身を本発明
における発熱体(13)とする構成も可能である。具体
的には、図3(A)に示されているようにエアシリンダ
等の加圧機の加圧部(14)の先端の周りに高周波誘導
熱源(15)を設けて加圧部(14)を加熱する方式、
図3(B)に示されているように加圧部(14)の先端
の周りに赤外線加熱炉(16)やバーナを設けて加圧部
(14)を加熱する方式等がある。また、図2に示され
ている第2の配置例においては、第1の配置例のように
発熱体(13)を加圧部と兼用させることは困難である
が、矢印方向に別途加圧すれば良い。なお、アルミニウ
ム材は熱伝導度が良いため、発熱体(13)の温度は前
記インサート材(12)の融点よりもやや高く設定すれ
ばインサート材(12)を十分に溶融させることがで
き、接合時間は10秒程度で良い。
【0014】また、本発明においては、接合部が発熱体
(13)の寸法よりも大きい場合でも、発熱体(13)
を接合部上をスライドさせることによって接合できる。
例えば、図4に示されているように、平板状の被溶接部
材(11)(11)を重ね合わせて接合する場合、イン
サート材(12)を介在させた被溶接部材(11)(1
1)の両側を一対のローラ状の発熱体(13´)(13
´)で挟み、ローラを回転させながら矢印方向にスライ
ドさせれば、連続して大面積の接合を行える。また、図
5に示されているように、被接合部材(11)(11)
を突き合わせて接合する場合も、一対のローラ状の発熱
体(13´)(13´)を回転させながらスライドさせ
ることによって、連続して大面積の接合を行える。さら
に、図4および図5において、一対の発熱体(13´)
(13´)をスライドさせないで回転力のみを与え、被
溶接部材(11)(11)をスライドさせるようにして
も良い。
【0015】
【作用】本発明においては、接合界面にインサート材
(12)を介在させた被溶接部材(11)の接合部を一
対の発熱体(13)で挟むことにより、熱が被溶接部材
(11)を介して、または直接にインサート材(12)
に伝導してインサート材(12)が溶融する。前記イン
サート材(11)は通常の溶加材にフラックスが含有さ
れているために、該インサート材(12)材が溶融する
と接合面には溶加材と同時にフラックスも供給され、被
溶接部材(11)の表面に形成される酸化皮膜が除去さ
れて被溶接部材(11)への溶加材の融着性が高めら
れ、大気中においても良好に溶接できる。
【0016】また、図1(B)および図2に示されてい
るように、インサート材(12)を介在させた被溶接部
材(11)を、加熱と同時に接合方向に加圧することに
より、インサート材(12)の被溶接部材(11)への
融着性が一層高められて接合強度の向上および接合時間
の短縮を図ることができる。
【0017】このようにして溶接された被溶接部材(1
1)においては、優れた接合強度が得られ、またインサ
ート材(12)の介在面積、発熱体(13)の断面積お
よび加圧面積によって接合面積を任意に選択することも
可能である。
【0018】
【実施例】次に、本発明のアルミニウム材の加熱溶接法
の具体的実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】本実施例において、母材としてJISA6
N01−T5合金からなり幅15mm×長さ100mm×厚
さ1.0mmの板材を使用した。また、インサート材とし
てAl−10%Si合金粉末からなる溶加材に弗化物系
フラックス(45.8%KF−54.2%AlFの共
晶)粉末を重量比で90:10の割合で混合し、この混
粉を熱圧成形後幅15mm×長さ10mm×厚さ0.7mmに
押出成形したものを使用した。
【0020】そして、図1(A)に示されているよう
に、2枚の前記板材(11)(11)の端部同士を、こ
れらの間に前記インサート材(12)をサンドイッチ状
に介在配置した状態に重ね代10mmで重ね合せた。さら
に、図1(B)に示されているように、この重ね合せ物
の重ね合せ部分を通電により発熱する一対のカーボンヒ
ータ(13)で挟み、エアシリンダ(図示省略)により
矢印方向から加圧した。カーボンヒータ(13)の熱は
板材(11)(11)を介して伝達し、インサート材
(12)を溶融して2枚の板材(11)は溶接された。
このような溶接装置を用いて、ヒータ温度700℃、加
圧力20kg/cm2 、溶接時間5sec の溶接条件で接合し
た5個の溶接品について、各溶接品を破断するまで引張
って破断荷重を調べたところ、いずれも180〜190
kgf の接合強度に優れるものであった。
【0021】さらに、本発明のインサート材も前記組成
のものに限定されるものではなく、Al−Si系合金や
Al−Zn系合金等の溶加材に塩化物系または他の組成
の弗化物系のフラックスを添加し、所要形状に成形した
インサート材も使用できる。また、固形の溶加材の代わ
りに、アルミニウム系合金成分粉末、フラックス成分粉
末および液状バインダを混合したものを接合部に塗布し
て溶接することも可能である。また、発熱体の種類もカ
ーボンヒータに限らず、電気ヒータ等も使用できる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の溶接法に
よれば、接合界面にフラックスを含有する溶加材からな
るインサート材を介在させた被溶接部材を、その接合部
を一対の発熱体で挟むようにして加熱することにより、
接合部に溶加材とフラックスが同時に供給されため、大
気中において短時間で優れた接合強度を達成することが
できる。また、前記加熱と同時に接合方向に加圧するこ
とにより、溶加材の被溶接部材への融着性を一層高めて
接合強度の向上および接合時間の短縮を図ることができ
る。
【0023】本発明において、接合面積の拡大はインサ
ート材の介在面積、発熱体の断面積積の拡大、発熱体ま
たは被溶接部材の移動等によって容易に行われるため、
従来の抵抗スポット溶接法に比較して接合面積を大とす
ることができ、この点からも接合強度の向上を図ること
ができる。しかも、被接合部材を接合方向に発熱体で挟
む加熱方式では加熱と同時に加圧することが容易である
ため、大型部材の一部分の接合で接合強度が要求される
場合にも好適に用いることができる。
【0024】また、被溶接部材であるアルミニウム材は
熱伝導度が高いことから、エネルギーコストを低減させ
ることができるとともに、通常の大気中ろう付法と比較
して溶接時間が短くてすみ、Al−Mg系合金部材の接
合も良好に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の配置例および本実施例を模式的
に説明する断面図であり、(A)は板材とインサート材
を重ね合せた状態、(B)は重ね合せた板材およびイン
サート材をカーボンヒータで挟んだ状態である。
【図2】本発明の第2の配置例を模式的に説明する断面
図である。
【図3】(A),(B)は本発明の第1の配置例の変形
例を模式的に説明する断面図である。
【図4】本発明の第1の配置例の変形例を模式的に説明
する断面図である。
【図5】本発明の第2の配置例の変形例を模式的に説明
する斜視図である。
【符号の説明】
11…被溶接部材(板材) 12…インサート材 13…発熱体(カーボンヒータ)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムからなる被溶接部材(1
    1)(11)の接合界面に、溶加材にフラックスを含有
    させたインサート材(12)を介在させ、接合部を一対
    の発熱体(13)(13)で挟み、これらの発熱体(1
    3)(13)からの熱伝導により前記インサート材(1
    2)を溶融して被接合部材(11)(11)を接合する
    ことを特徴とするアルミニウム材の加熱溶接法。
  2. 【請求項2】 前記被溶接部材(11)(11)の接合
    部において、前記発熱体(13)による加熱と同時に、
    接合面を接合方向に加圧することを特徴とする請求項1
    に記載のアルミニウム材の加熱溶接法。
JP4245008A 1992-09-14 1992-09-14 アルミニウム材の加熱溶接法 Pending JPH0691367A (ja)

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